2024/12/31

冬眠の合間に追加の巣材を集める雪国のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬

シーン0:1/22・午後13:46・くもり・気温20℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する2つの巣穴を同時に1台のトレイルカメラで監視しています。 
今季は異常な暖冬で積雪が少なく、まるで早春のように林床の地面があちこちで露出しています。 


シーン1:1/23・午後20:47・気温-2℃(@0:04〜) 
トーパーから覚醒して右の巣穴Rから外に出てきたばかりと思われるアナグマが、右端の林縁に居ました。 
ノソノソ歩いて右へ向かいました。 
何をしに行ったのでしょう?


シーン2:1/23・午後20:49(@0:20〜) 
約2分後に、アナグマが後ろ向きで右から戻ってきました。 
前脚で林床の落ち葉を大量に掻き集めながら巣内Rに搬入します。 
夏に見られた巣材集めと同じ行動ですが、今回は気温が低いせいか、ピョンピョン跳ぶように後退する動きはしませんでした。 
真冬の巣内はよほど寒いのでしょう。 
濡れている(凍っている)落ち葉に寝床としての断熱効果があるとは思えないのですが、無いよりましなのでしょう。 
自分の体温で落ち葉を乾かしてから寝床として使うのかな? 
あるいは、隙間風を防ぐために詰め込む巣材なのかもしれません。 
(それなら穴掘りの得意なアナグマは、土で隙間を埋めるかも?)
意外にも、巣材集めを繰り返すことはなく、この1回だけでした。 
翌日から再び大雪が降ったので、落ち葉掻きができる最後のチャンスでした。 
まさかアナグマに天気予報の能力があるのか?とまたひとつ謎が増えました。 

今季は異常な暖冬です。 
雪国に生息するアナグマにとって暖冬や地球温暖化が朗報なのかどうか、観察1年目ではまだ判断できません。 
積雪による断熱効果が期待できず、巣穴が地中の浅いところに掘られている場合、放射冷却現象の夜明け前などに巣内も零下までひどく冷え込むのではないかと想像しています。 

越冬に入ったアナグマは、冬眠の合間にたまに巣外へ出てきても、動きがとにかく緩慢でぼんやりしていました。 
今回は珍しく(久々に)、巣材集めという活発な行動を見れてよかったです。 



シーン3:1/23・午後21:02・気温-1℃(@1:11〜) 
12分後に再び出巣Rしたアナグマが、巣口Rの左で小刻みに震えています(体温を上げるためのシバリング?)。 
さっき巣材集めをしたアナグマと同一個体とは限らないので、注意が必要です。
(個体識別ができていません。) 
危なっかしい足取りで、巣口Rの横でマルバゴマギ落葉灌木の根元をうろついています。

右の林内へ向かう途中で林縁に座ったのは、スクワットマーキング(縄張りの匂い付け)かもしれません。 
この個体が巣材集めに行ったのかどうか、その後の動向がなぜか動画に記録されていませんでした。 


シーン4:1/23・午後22:33・降雪・気温-1℃(@2:11〜) 
1時間半後、アナグマが巣口Rの左に戻って来ていました。 
細いマルバゴマギ落葉灌木の根元をよじ登ろうとしてスリップし、地面に座り込みました。 
また緩慢な動きに戻ってしまいました。 
擬人化すると、まるで泥酔しているような、足が痺れているような、覚束ない足取りです。 
雪がちらつく中、頻りに振り返って監視カメラの方を気にしています。 
今回はあえて早回し加工せずに、アナグマの動きが緩慢な様子をお伝えしました。 


シーン5:1/23・午後22:42・降雪・気温0℃(@3:11〜) 
10分後、アナグマは営巣地(セット)をゆっくり回り込んでから、巣口Rに戻ってきました。 
巣口Rの手前で身震いしてから、ようやく中に潜り込みました。 
この個体は左右の瞳の大きさが均等だったので、ここで出産・育児した母親♀(右目<左目)ではないことだけは分かりました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


越冬中のニホンアナグマは、厳密な意味での冬眠ではなく、トーパー(torpor)と呼ばれる状態になります。 
トーパーとは、体温を一時的に環境温度近くにまで下げ、代謝を低下させる状態のことです。
冬眠する動物に比べて体温の低下幅は小さいものの、心拍数も通常の半分程度にまで低下します。(AIのGeminiに教えてもらいました。)
ニホンアナグマは冬眠期間中に体温の周期的な低下と上昇がみられ(異温性)、体温が上昇したときに覚醒して巣外活動するのだそうです。
異温性(heterothermy)とは、恒温動物において部位、もしくは生理状態の違いにより体温が大幅に異なることをいう[1]。(wikipediaより引用)


ホンドタヌキの営巣地で見つけたオオモンクロクモバチ

 

2023年7月中旬・午後14:45頃・晴れ 

雑草が繁茂する休耕地にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地を久しぶりに見に来たものの、巣口にタヌキ幼獣の姿はなく、タヌキの気配を感じられませんでした。 
子育て中はなるべく巣穴に近づかないようにしていたのですが、最後に見たのは6月上旬です。


巣口から伸びる溝(アクセストレンチ?)の土が白っぽく乾いています。 
その地面でオオモンクロクモバチAnoplius samariensis)が翅を小刻みに開閉しながら身繕い(化粧)していました。 
本種の性別の見分け方を私は知りません。 
もし♀ならば、草むらで獲物のクモを狩ったり、裸地に巣坑を掘るかと期待したのですが、すぐに飛び去ってしまいました。 
オオモンクロクモバチが飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、背後からクロアリ(種名不詳)に奇襲され、驚いて飛び立ったことが分かりました。 

近くの森からニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)の斉唱♪がかすかに聞こえます。

2024/12/30

雪の少ない真冬に根曲がり巣穴に通うホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬~2月上旬

シーン0:1/22・午後12:56(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
暖冬で積雪が少なく、ほとんど溶けてしまいました。 
平地のスギ防風林で、画面の手前から奥に向かって根こそぎ倒れたスギ風倒木(根返り)の根元に掘られた「根曲がり巣穴」を自動撮影カメラで監視しています。 

この巣穴aにはニホンイタチMustela itatsi)が越冬しているらしいことが分かっています。 
実はすぐ近く(画面の右背後)にもう一つ同様の巣穴bがあり、そこにもイタチが出入りしていたのですが、撮影機材が足りなくて2つの巣穴a,bを同時に監視できません。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で登場したシーンをまとめました。


シーン1:1/23・午前4:22(@0:04〜) 
夜明け前に、タヌキが根曲がり巣穴aに巣穴に頭を突っ込んでいました。
この後でタヌキが巣穴aの中にしっかり入ったかどうか、見届けられず、残念でした。
わずか2秒間の短い動画しか撮れていなかったからです。 
電池の残量は充分にあるはずなので、miniSDカードの異常(書き込みエラー)なのでしょう。 

しかも、実は画面の下端の地面にモリアオガエルの死骸が転がっているのに、空腹のはずのタヌキは、その場で食べたり持ち去ったりしませんでした。 
雑食性のタヌキは、腐肉食性でもあるのに、見逃したのが不思議でした。
死んだカエルの匂い(かすかな死臭)に気づかなかったのか、それとも警戒した(罠を疑った)のかな?


シーン2:2/5・午前0:52(@0:08〜) 
翌月になり、雪がまた少しだけ積もりました。 
深夜に左奥の獣道から登場しかけたタヌキが、監視カメラの存在(あるいは、かすかな物音)に気づいてフリーズしています。 
風の匂いを頻りに嗅いでから、左に引き返してしまいました。 
湿った雪質の雪面にタヌキの足跡が残りました。

監視カメラを根曲がり巣穴aからもう少し離して設置すれば、タヌキに警戒されずに撮影できるのは分かっています。
しかし、周囲に色々と障害物があるため、どうしても無理なのです。
藪に隠れた安全な場所を選んで営巣していることに、当然のことながら感心します。


つづく→

野生ニホンザル♀の同性愛行動#2(若い♀同士の抱擁、マウンティング、正常位の擬似交尾など)

 

2023年12月中旬・午後15:55頃・くもり 

夕方に山麓を遊動する野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを慎重に追跡していたら、太い風倒木(樹種はオニグルミ、隣の立木はハンノキ)の上に並んで毛繕いしているペアを見つけました。 
相互毛繕いではなく、片方の個体が一方的に甲斐甲斐しく毛繕い(ノミ取り)しています。 

気持ち良さそうに目を瞑って毛繕い(頭皮マッサージ?)を受けていた個体が急に顔を上げると、互いに対面したまま抱き合いました。
抱擁(ハグ)したまま相手を押し倒すと、下になった個体が腰を動かして陰部を相手に擦り付けました。 
正常位の性行動(疑似交尾)と思われます。 
倒木上で仰向けに寝た個体は、ゴツゴツして寝心地が悪いと思うのですが、短時間で終わりました。 
続けて、再び対他毛繕いに戻りました。 

このとき私が立っていた地面の足場がとても不安定で、猿の手前にある枝が撮影の邪魔だったこともあり、動画を撮りながら少し移動しました。
(映像がひどく手ブレして申し訳ありません。) 
幸い、ニホンザル♀のペアは私が動いても、すぐには逃げ出しませんでした。 

次にペアの一方が立ち上がると、パートナー♀の背後に回り込み、マウンティングしながら腰を動かしました。(pelvic thrust) 
マウントされた♀は、振り返って相手の顔を仰ぎ見たものの、両手は倒木の上に付いたままでした。 
最後の点が、典型的な異性間交尾時の♀の行動とは違いました。
(片手で♂の体に触れたり引き寄せたりするはず) 
短い疑似交尾が終わると、ペアは倒木上で再び対面で座り抱き合いながら体を軽く揺すりました。 
このとき口を少しもぐもぐ咀嚼しています。 
頬袋の中に詰め込んでおいた食料を食べているようです。 

無粋な出歯亀(私)がじっと見ているせいで落ち着かないのか、倒木上のペアが移動を始めました。 
倒木から地面に降りる際に股間がちらっと見えて、ようやく性別が♀と分かりました。 
尻の色が真っ赤ではなくてピンクだったことから、発情していない若い♀のようです。 

もう1頭も倒木から降りて、パートナーを追いかけました。 
土手の途中で追いつくと、背後からマウンティングしました。 
今回も両足を相手の膝の裏に乗せてマウントし、腰を動かしました。 
マウントした個体の股間に睾丸が見えないことから、やはり♀同士のようです。 
マウンティングを終えた直後に、目を凝らしてよく見たのですが、マウントされた♀の尻に白い精液は付着していないようです。(異性間の交尾ではない) 

土手を登って用水路沿いの小径に移動すると、横に並んで座って一方的な対他毛繕いを始めました。 
手前にあるオニグルミの倒木が邪魔で見えにくいのですが、その背後でニホンザル♀のペアが再びマウンティングしました。 
このとき、マウンティングの攻守交代をした点が興味深く思いました。(異性間では決して見られない?)
今回も、マウントされた個体は振り返って相手を仰ぎ見るだけで、パートナーを片手で掴んで引き寄せる動きはしませんでした。 

マウンティングの次は、また熱い抱擁に戻りました。 
♀同士でよくみられるこの行動を、ニホンザルの研究者は「ハグハグ」と呼んでいるのだそうです。(※ 追記参照)
一素人の擬人化した解釈ですが、ハグハグは♀同士の前戯のようなもので、性的な興奮が高まるとマウンティング(後背位)や正常位に移行するようです。 
ハグハグから相手を押し倒し、正常位になりました。 
今度は倒木の上ではなく地面なので、仰向けになっても安定していて背中が痛くありません。 

私に気づいたようで、警戒した個体が左奥へ歩き去り始めました。 
それを追いかけた別個体が背後からマウンティングしました。 
マウントを止めた若い♀のペアは、用水路沿いに設置された転落防止のフェンス(金網)を相次いで身軽に登り、手摺を伝って歩き始めました。 
ここで群れの仲間と合流したことになります。 
それまで、群れの仲間は若い♀同士の同性愛行動に何も干渉しませんでした。 

 仲間が何匹も手摺に並んでいた。♀aもフェンスを登って手摺へ。 用水路の対岸の林縁から伸びた落葉性広葉樹(クリ?)の枝に飛びつくと、ターザンのようにブランコ遊びをしながら、対岸に渡りました。 

この辺りから私はもう誰が誰だかニホンザルを個体識別できなくなりました。
手摺に座って体を掻いていた個体が振り返って仲良しのパートナーを見つけると、駆け寄りました。 
フェンスから地面に相次いで戻ると、そのまま地上でマウンティングしました。 
フェンスの手摺(断面が丸い、金属の横棒)の上では足場が不安定で、マウンティングしたくてもできないのでしょう。 
マウンティングに続けてハグハグを繰り返したということは、♀同士のようです。 

私が少し移動してペアに近づき、なんとか撮影アングルを確保しました。 
(ちょっとだけ目を離して空白時間があったので、さっきと同一の♀ペアかどうか確証がありません。) 
ペアは相変わらず水路横の小径に座り、対面でハグハグしていました。 
立ち上がると背後からマウンティングしました。 
このとき♀の外性器はピンク色でした(未発情)。

マウントを解除した2頭は、相次いで横のフェンスによじ登り、手摺から頭上の落葉樹の横枝に飛びつきました。 
先行個体は、枝にぶら下がったままターザンのように対岸のフェンスに移り、地面に降りました。 
ところが後続個体は体重が軽いのか、ブランコの振幅が小さくて対岸のフェンスには手が届きませんでした。 
どうするのかと思って見守ると、臨機応変にそのまま横枝をよじ登ってから、対岸のスギ横枝に飛び移りました。 
無事に対岸の地上に降りると、先行するパートナーの後を追って遊動を続けます。 
ニホンザルの群れは、全体としてねぐらとなる森を目指しているようでしたが、私が追いかけるので警戒してどんどん逃げているのかもしれません。 

ニホンザル♀同士の同性愛行動を観察したのはこの日が始めてでした。
しかも、同じ山系の少し離れた地点で同じ日に何度も観察できたので、とても興奮しました(interestingという意味で)。 

関連記事(同日の撮影)▶  

もしかすると、発情期なのにこの群れには成獣♂が居なくて(♂不足)、交尾相手の♂が見つからない♀たちが性的に欲求不満になっているのかと、現場では安直に推測しました。
猿害対策でなぜか♂ばかりが駆除されてしまったのか、などと先走って考えたりもしました。 
ところが、この日に撮れた動画をすべて見直すと、発情した成獣♂(αアルファ♂?)も群れと一緒に遊動している様子がしっかり写っていました。 
この日♀の同性愛行動を初めて撮影できて夢中になっていた私は、♂の存在が目に入らなかった(記憶に残らなかった)ようです。 


※ 夕方で薄暗いので、動画の画質が少し粗いです。 


※【追記】
今回見られた前戯のような抱擁は、ハグハグ行動と呼ばれるのだそうです。 
少し長いのですが、文献検索で見つけた学会発表の抄録を引用させてもらいます。
中川尚史, et al. ニホンザルにおける “ハグハグ” 行動パタンの地域変異. In: 霊長類研究 Supplement 第 22 回日本霊長類学会大会. 日本霊長類学会, 2006. p. 28-28.

 

【抄録】演者のひとり下岡は、金華山のニホンザルの“ハグハグ”行動について報告した(下岡、1998)。“ハグハグ”は、「2個体が対面で抱き合い、お互いの体を前後に揺さぶる行動」であり、以下のような特徴が認められた。1)2個体の行動が同調する、2)リップスマックを伴う、3)平均持続時間は17秒である、4)主にオトナ雌によって行われ、血縁の有無によらない、5)グルーミングの中断後や闘争後に見られる。以上の特徴から下岡はこの行動には、個体間の緊張を緩和する機能があると考えた。本発表では、金華山の“ハグハグ”行動と相同と思われる行動が屋久島のニホンザルでも観察されたので報告する。 当該行動は、2005年9月から12月、屋久島西部林道域のニホンザルE群を対象に、演者を含む総勢8名で行った性行動の調査中に観察された。 観察された行動は、下岡が報告した1)~5)の特徴、および機能を持っており、“ハグハグ”と相同の行動とみなすことができた。しかし一方で、行動パタンにわずかな変異が認められた。屋久島の“ハグハグ”も「2個体が抱き合い、お互いの体を前後に揺さぶる行動」であるが、必ずしも「対面で抱き合」うのではなく、一方の個体は他方の側面から抱きつく場合があった。さらに、屋久島の“ハグハグ”は、他個体を抱いた手を握ったり緩めたりいう動作を伴ったが、金華山ではそうした動作は見られていない。 行動の革新が見られ、集団中に伝播し、世代を超えて伝承することを文化と定義すれば、文化の存在を野生霊長類で証明することはかなりの困難を伴う。そこで、1)行動の地域毎の有無、2)行動を示す個体の増加、3)行動のパタンの一致などがその傍証として用いられてきた。金華山の“ハグハグ”とは微妙に異なるパタンで屋久島においても相同の行動が発見されたことは、上記3)の文化の傍証に相当する。今後、1)、2)の傍証についての情報を収集していく予定である。

今回の私の撮影地は山形県で、鹿児島県の屋久島よりも宮城県の金華山にずっと近いです。 ハグハグ行動のパターンが、金華山の個体群と近い事がわかりました。 
屋久島の個体群で記述されたハグハグのバリエーションとは全く違います。
ハグハグが緊張緩和のための行動という解釈には、個人的に納得できません。
今回、私の耳には、同性愛行動に耽るニホンザル♀の鳴き声やリップスマック(唇で鳴らす音)をまったく聞き取れませんでした。 


【追記2】
観察に不慣れな私が若いニホンザル♂を♀と誤認しているだけかもしれません。
だとすれば、同性愛でない可能性が出てきます。
子猿♂は睾丸が未発達だとしたら、私には性別を見分けるのはお手上げです。

2024/12/29

夜明け前の雪山をうろつく冬毛のニホンノウサギ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶  

2024年1月下旬・午前5:10頃・気温−2℃・日の出時刻は午前6:43 

雪の積もった里山で杉の根元にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の塒(ねぐら)を自動センサーカメラで見張っていると、夜明け前に真っ白な冬毛のニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が現れました。 
この地点でノウサギは初見です。
現場は、画面の手前から奥に向かって斜面が下り坂になっているスギ植林地です。 

ノウサギは立ち止まって長い耳をそばだたせ、スギの木から垂れ下がっている細長い蔓の匂いを嗅ぎました。 
やがて、凍った雪面をゆっくり右へ移動し始め、最後は雪の斜面を駆け下りて行きました。 


つづく→

アップルミントに訪花するシロオビノメイガ(蛾)

 

2023年9月上旬・午後14:55頃・くもり 

堤防路に咲いたマルバハッカ(別名アップルミント)の群落でシロオビノメイガSpoladea recurvalis)が訪花していました。 
触角を小刻みに動かしながら吸蜜しているようですが、後ろ姿で肝心の口吻が見えません。 
アップルミントの白い花穂に対して下向きに止まっているため、翅の面にしっかり正対して撮れないのも、もどかしいです。 
後半に自ら方向転換してくれたのですが、そのときには口吻を伸ばしてはいませんでした。 

その後、私が近くの茂みをうっかり足で揺らしてしまったせいで、警戒心が強いシロオビノメイガは、花や葉の陰に隠れてしまいました。 

この組み合わせで、吸蜜シーンのもっと良い映像が撮れたら、差し替えます。

2024/12/28

雪山でニホンカモシカの新鮮な糞を食べるホンドタヌキ♂【トレイルカメラ:暗視映像】食糞行動

 



2024年1月下旬

シーン1:1/28・午後19:47(@0:00〜) 
ニホンカモシカCapricornis crispus)が里山のスギ植林地にある溜め糞場sr1に久々に来て排便する動画を再掲します。 


シーン2:1/29・午前3:14(@0:46〜) 
日付が変わった深夜、カモシカが脱糞してから7時間23分後に、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で溜め糞場sr1に現れました。 
小雪がちらつく中、雪面に残されたカモシカの新鮮な糞塊の匂いを嗅いでいます。 
タヌキはその場でクチャクチャと咀嚼したので、カモシカの糞粒を食べたようです。 
食料事情が悪化する厳冬期のタヌキは、食糞するほど飢えているのでしょうか? 
カモシカの新鮮な糞を食べることで、タヌキにとってビタミン補給や腸内細菌の補給になるのかもしれません。 

食糞後のタヌキは、雪山の斜面を登って右奥へ立ち去る間際に、細い落葉灌木に対して排尿マーキングしました。 
左後脚を軽く持ち上げて小便したので、おそらく♂のようです。 
その後は、雪面の匂いをかぎながら右の渓谷へ向かいました。 
雪面が凍結しているようで、タヌキが歩いても足が潜らず、足跡が残りません。 

1.5倍に拡大したうえで、タヌキの食糞行動および排尿マーキングをリプレイ。(@2:13~)


【考察】
今回、私はタヌキがカモシカの糞を直接食べたのだと解釈しました。
夏ならともかく雪山の厳冬期なので、溜め糞場に来た糞虫やハネカクシ、ハエなどの虫をタヌキが捕食した可能性は除外できます。
低温に強い冬尺蛾♂が新鮮な獣糞に飛来して吸汁していたらとても面白い(エキサイティング!)のですが、冬尺蛾の成虫では口吻が退化しているので、あり得ない妄想ですね。
それなら、口吻のある越冬キリガが獣糞に飛来してミネラル摂取のために吸汁する可能性や、セッケイカワゲラが獣糞を食べにくる可能性はどうでしょう?
夏に獣糞(または人糞)トラップを野外に設置すれば、チョウやガ(鱗翅目)がミネラル摂取のために集まってくるのを観察できます。
しかし、厳冬期の雪山に獣糞トラップを設置しても、獣糞がすぐに凍ってしまって誘引効果は薄いかもしれません。
越冬キリガは冬尺蛾と違って冬に交尾しませんから、性成熟のためにミネラル摂取するのは春になってからでも遅くありません。
したがって、越冬キリガが気温の低い夜にわざわざ獣糞に飛来するのは期待できないかもしれません。
逆に、厳冬期の雪山で獣糞に集まる昆虫の観察例がほとんどないのは、誰も今まで真面目に調べていないだけかもしれません。
私もフユユスリカ?が獣糞に集まっていた事例を2回観察しただけです。

タヌキが小便でマーキングしたということは、また食糞に戻ってくるつもりなのかと期待しました。
しかし後日にカモシカの溜め糞場sr1に来たタヌキが、雪に埋もれた糞塊をわざわざ掘り返して食べることはありませんでした。 


家ネズミの死骸を樹上で食べるハシボソガラス(冬の野鳥)

 

2024年1月下旬・午前9:55頃・降雪 

夜の間に、この冬一番のドカ雪が積もりました。 
気温が低いため、雪質はサラサラな乾雪です。 

裏庭の落葉したケヤキの樹上に1羽のハシボソガラスCorvus corone)が近所の住宅地から飛来しました。 
嘴には小動物(小型哺乳類)を咥えています。 
冠雪したケヤキの横枝に止まったカラスが、両足で獲物をしっかり押さえつけながら、嘴で突き刺そうと何度もつつき始めました。 
獲物を狩ってきた直後なのかと初めは思ったのですが、死骸は硬く凍っていました。 
(死後硬直かもしれません。)
カラスが肉片を食べても、獲物の傷口から血は出ません。 
貯食物を雪の下(地中?)から掘り出してきた可能性もありそうです。 

死骸を咥えて持ち上げた際に、無毛の長い尻尾が見えたので、モグラではなくネズミの仲間と判明しました。 
周囲の環境から、おそらく野ネズミではなく家ネズミの可能性が高そうです。 
素人目には、ハツカネズミMus musculus)よりも大きそうなので、クマネズミRattus rattus)またはドブネズミRattus norvegicus)だと思うのですが、どうでしょう。
ネズミの種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。 

窓の隙間から隠し撮りしている私にハシボソガラスが気づくと、気まずそうに獲物を持ってケヤキの幹の陰に隠れてしまいました。 
カーテンの動きでバレてしまったようです。

※ 窓ガラス越し斜めに撮った不鮮明な映像に、動画編集時に自動色調補正を施しています。


【考察】
ネズミ類は、雪国の冬でも冬眠しません。 
暖かい人家に住み着く家ネズミをカラスが捕食してくれたのだとすれば、益鳥ということになり、とても助かります。 
もしかすると、殺鼠剤で駆除(毒殺)された家ネズミの死骸を近所から拾ってきたのかもしれない、と思いつきました。 
だとすれば、殺鼠剤は無色で無味無臭らしいので、カラスは疑うことなく毒入りの死骸を食べてしまい、健康を害する可能性があります。 
そのカラスの死骸は、また別のスカベンジャー(死肉食の分解者)が食べに来るはずですから、毒物の生物濃縮が起こってしまいます。 
殺鼠剤を使う場合は、死んだネズミを野外に捨てるのではなく、環境から隔離して適切に処理することが必要です。 


2024/12/27

厳冬期に雪山の溜め糞場で夜に排便するニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬

シーン1:1/24・午後13:22・晴れ(@0:00〜) 
日中の明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
雪が積もった里山でスギ植林地の上端部にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動撮影カメラで見張っています。 
画面の手前から奥に向かって上り坂の斜面を見上げています。 
林床の雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 


シーン2:1/28・午後19:47(@0:08〜) 
晩にカモシカが左奥から登場したようで、監視カメラの起動時にはすでにスギの木の下に佇み、カメラを正面から見据えていました。 
頭部を左右に回すように身震いしました。 
やがて警戒を解くと、舌をペロペロ出し入れしながら、後脚だけ蹄を少し前に移動させて排便姿勢になりました。 
カメラに尻を向けてくれなかったので、肝心の肛門が見えません。 
それでも、小さな糞粒がポロポロと落ちて雪面に跳ね返り、転がる様子がかろうじて写っていました。 
そのままの体勢で、瞬きひとつしないまま、しばらくじっと静止しています。 
食糧事情が悪化する厳冬期のカモシカは便秘気味なのですかね? 
というか、むしろ逆に繊維質が多くて栄養価の低い餌しか食べてない気がするのですけど。
排便と同時に排尿もしたかどうか、正面からのアングルでは不明です。 
排便体勢のまま目を見開いていたカモシカが、ようやく瞬きしました。(@1:32~) 
残念ながら90秒間で録画が打ち切られ、溜め糞場sr1からカモシカが立ち去るまでの一部始終を動画に記録できませんでした。 



シーン3:1/28・午後19:49(@1:38〜) 
次に監視カメラが起動したときには、カモシカは溜め糞場sr1から居なくなっていました。 
雪面に残る足跡を読み解くと、カモシカは左に立ち去ったようです。 


シーン4:1/28・午後19:47(@1:43〜) 
ニホンカモシカが雪山で排便したシーンを1.5倍に拡大したうえでリプレイしてみました。 
カモシカは下り坂(斜面の谷側)の方を向いて排泄していました。
もしかすると、斜面の山側を向いて排便する方が自然(楽な体勢)なのに、監視カメラの存在を警戒しながら用を足したのかもしれません。 
暖冬で積雪量は少なく、カモシカの蹄はそれほど雪面に潜っていません。 
糞粒が次々に排泄されています。 
雪の斜面を転がり落ちた自分の糞粒がいくつか前足の蹄に触れたようですが、カモシカは気にしていません。


【考察】 
翌日、この溜め糞場sr1で興味深い事件(衝撃の食糞行動)が観察できました。 



結局カモシカはこの1回しか現れず、あまりにも撮影効率が悪いので、この地点から監視カメラを撤去することにしました。 
複数個体のカモシカが冬に同じ溜め糞場sr1を共有しているのかどうか、確かめたかったのですが、計画倒れに終わりました。



シロバナヤマフジの花蜜を吸い藤棚を飛び回るクマバチ♂【ハイスピード動画】

 


2023年5月上旬・午後15:20頃・晴れ


民家の藤棚に咲いたシロバナヤマフジ(シラフジ、白藤)の群落でキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)の雄蜂♂が訪花していました。 
240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。 
マメ科シロバナヤマフジの蝶形花で正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。 
訪花の合間に飛んだ際に、顔の頭楯が白く、複眼が大きく発達していることから、雄蜂♂と分かりました。 

栄養補給を済ませた雄蜂♂は蜜源植物の近くでホバリング(停空飛翔)して空中に縄張りを構え、交尾相手の♀を待ち構えます。 
そこまでは本に書いてある通りで、理屈として分かるのですが、同じ藤棚でクマバチ♀も忙しなく訪花していたのに、なぜか求愛・交尾行動は一度も見られませんでした。 


空中で停飛(ホバリング)している雄蜂♂は、早い者勝ちで♀を獲得するために、周囲で動く物に対しては反射的に何でも飛びつく習性があるぐらいです。
したがって、藤棚で訪花を繰り返しているクマバチ♀の存在に気付いていないはずがありません。


クマバチは同種の仲間を個体識別したうえで「この♀は脈なしだ(以前に交尾拒否された?)」という判断を雄蜂♂が下しているとしか思えません。

 ※ 動画編集時に逆光補正処理を施してあります。 


関連記事(同所で7年前の撮影)▶ 白藤の花蜜を吸うクマバチ♂



【追記】
ときどき復習しないと私も忘れそうになるのですが、クマバチはミツバチ科に属しているものの、ミツバチのような真社会性ハチではなく亜社会性のハチです。
つまりクマバチの♀は女王蜂と働き蜂のようなカーストに分かれておらず、単独または少数の♀が共同で採餌と育児を行います。
したがって、交尾の様式も異なります。
ミツバチのように新女王蜂と雄蜂♂が結婚飛行で交尾するのではなく、ホバリングで縄張りを占有するクマバチ♂は同種の♀であれば誰でも交尾可能ということになります。
また、クマバチの雄蜂♂は♀と交尾してもミツバチ♂のように即死することはなく、何度でも交尾可能なのだそうです。
しかし、クマバチ♀の交尾拒否行動については、あまりよく分かっていないらしい。
キムネクマバチの♀が雄蜂♂を誘引する物質(性フェロモン)を分泌していることは、行動観察などから確認されています。
クマバチ属の一部の種では、♀が分泌する性フェロモンの成分が特定されていて、主に炭化水素やエステルといった化合物の混合物で構成されていたそうです。
しかし、日本産のキムネクマバチでは♀の性フェロモンの実態は化学的に同定されていないらしい。
そうと分かれば、訪花中のクマバチ♀に対して雄蜂♂が求愛しない理由も簡単に説明できそうです。
(交尾する気がない♀は、性フェロモンを分泌していない。交尾する♂を♀が選り好みしている?)


以上、この追記部分は、AIのGeminiに質問しまくった回答を自分なりにまとめました。
ダブルチェックしても情報の出所が不明な点(肝心の性フェロモンについて)もあり、AIに特有の知ったかぶり(ハルシネーション)なのかもしれませんが、一応ここにまとめておきます。

2024/12/26

厳冬期に1〜2頭でうろつき雪原の巣穴に出入りするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬~2月上旬 

シーン0:1/22・午後14:17・くもり・気温22℃(@0:00〜) 
休耕地でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地をトレイルカメラで見張っています。 
今期は異常な暖冬で積雪量が少ないです。 


シーン1:1/29・午後19:01・気温-2℃(@0:04〜) 
雪が少し積もり、雪面に古い足跡が残っています。 
(低温のせいか、タヌキが巣穴に出入りしても監視カメラが撮り損ねているようです。) 


シーン2:1/29・午後19:03(@0:07〜) 
タヌキが単独で手前に向かって雪原を歩いて来ます。 
雪面に足跡が残らないということは、凍結しているのでしょう。 


シーン3:1/30・午後20:33・-2℃(@0:15〜) 
手前から奥に向かって雪原を歩き去るタヌキの後ろ姿が写りました。 
クラスト(凍結)した雪面にタヌキの足跡は残りません。 
巣口で立ち止まると、周囲を警戒してから慎重に中に潜り込みました。 
巣穴の主が無事であることが確認できて、一安心。 


シーン4:1/31・午前0:40・夜霧・気温-6℃(@0:42〜) 
画面全体がぼんやりと曇ってほとんど見えません。 
夜霧が立ち込めているのか、それとも寒さでレンズに霜が下りたのでしょうか? 
タヌキらしき獣が手前から奥に歩き去り、巣口に辿り着きました。 
振り返るとようやく白く光る眼が見えました。 
おそらく入巣したと思われますが、霧ではっきり見えません。 


シーン5:1/31・午後18:23・晴れ・気温0℃(@0:56〜) 
晴れた晩に、出巣直後と思われるタヌキが手前に向かって雪原を歩いてきます。 
雪面はクラストしていて、足跡が残りません。 
右下で立ち止まってブルブルと激しく身震いしました。 
右を見やってから手前の落葉樹林内へ入って行きました。 


シーン6:1/31・午後21:21・晴れ・気温-2℃(@1:20〜) 
3時間後にタヌキが外出(採餌)から戻ってきたようです。 
手前から奥に向かって凍結した雪原を歩き、巣穴に真っ直ぐ向かうと、中に入りました。 


シーン7:2/1・午前5:35・気温3℃(@1:46〜) 
雪(みぞれ?)が降り始め、強風が吹いています。 


シーン8:2/1・午後17:28・気温-3℃(@2:04〜) 日の入り時刻は午後17:04。 
日没後の晩、横殴りの吹雪が吹き荒れていてもタヌキが越冬用巣穴から外に出てきました。
古い足跡は新雪ですっかり埋もれてしまいました。 
右下手前に向かって一直線に雪原を歩いてきます。 
立ち止まって新雪の雪面の匂いを嗅いでいます。 
身震いしてから、再び歩き始めます。 


シーン9:2/1・午後17:42・気温-3℃(@2:30〜) 
13分後に同一個体が戻って来ました。 
自分の足跡をそのまま辿って、帰巣しました。 
巣口で周囲を見回し、身震いしてから入巣。 
雪面を小さな雪玉が強風に吹かれて転がって行きます。 

タヌキの個体識別ができていませんが、この越冬用巣穴には1頭しか住んでいないのでしょうか? 
♀♂ペアが同時に出入りする様子を最近見かけません。 
巣ごもりから交互に覚醒するのかな? 


シーン10:2/3・午後17:29・気温0℃(@3:20〜) 日の入り時刻は午後17:07。 
久しぶりに♀♂ペアのホンドタヌキが同時に姿を現してくれました。 
この日も日没後に活動を始めました。 
1頭が巣口に座って手前を見ています。 
その間に先行個体が雪原を右下まで来ていました。 
後続個体も巣穴を離れると、凍結した雪原をゆっくり歩き始めました。 


シーン11:2/3・午後22:37・気温-6℃(@3:51〜) 
6時間7分後にようやく1頭が外出から戻り、右手前から真っ直ぐ帰巣しました。 


シーン12:2/3・午後22:52・気温-5℃(@4:06〜) 
さらに15分後、後続個体がようやく戻ってきました。 
採餌中のペアは別行動していたようです。 
先行個体と同じく右手前から帰巣しました。 
巣口の手前で雪面に残る足跡が気になり、匂いを嗅いでいます。 
ゆっくり巣穴に入りました。 


シーン13:2/4・午前1:26・気温-6℃(@4:44〜) 
約2時間半後の深夜、出巣直後と思しきタヌキが手前に歩いて来ます。 
雪面にうっすらと新しい足跡が残りました。 


シーン14:2/4・午前1:28・(@4:53〜) 
数分遅れて出巣した後続個体も手前にやって来ました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
雪国ではタヌキが歩いた足跡が雪面にしっかり残り、行動の軌跡を読み取れるのが面白いところです。

その後はトレイルカメラの電池切れなのか、何も写らなく。 
昼間も撮れなくなったのは不思議です。 
厳冬期は低温のため電圧が低下するのでしょう。 
雪解けが急速に進む時期に、タヌキの行動を記録できなかったのは残念です。 



カタクリの花を眺めながら春の山道を登る

 

2023年4月下旬・午後12:00頃・晴れ 

里山の斜面にカタクリの大群落が満開に花を咲かせていました。 
ウグイス♂(Horornis diphone)がどこか近くでホーホケキョ♪ときれいな囀り(さえずり)を披露していました。 
まさに春の風物詩ですが、期待した訪花昆虫は全く見当たりませんでした。 
静かに進行している昆虫の大絶滅が本当に心配です。 

山道を登りながらカタクリの花畑を動画に撮ってみました。 
ちょっと酔いそうな映像になってしまったので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

早春に咲くカタクリの花は、スプリング・エフェメラルのひとつです。 
この里山ではかつてカタクリの大群落が春のちょっとした観光資源になっていました。 
コロナ禍のロックダウンで山林を誰も整備しなくなると、あっという間に雑木林の下生えが藪となったり倒木が散乱したりして、カタクリの群落は衰退してしまったようです。 
一方、冬に雪崩が多発する急斜面では樹木が育たない(植物遷移が進行しない)ため、そこを通る登山ルートではカタクリの群落が健在です。 
定期的に適度に攪乱される地形でないと、カタクリの群落は安定して維持できないようです。 
里山を林業家が再整備すれば、カタクリの花畑を復活させるのは難しくないはずです。 
カタクリはアリによって種子が散布される植物としても有名です。

2024/12/25

イタチの越冬用巣穴の横を真冬に通り過ぎる雪国のホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬・午前5:05頃・日の出時刻は午前6:42 

平地のスギ防風林でニホンイタチMustela itatsi)の越冬用巣穴のひとつである「根曲がり巣穴a」を自動センサーカメラで見張っています。 

夜明け前にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が現れました。 
雪面は凍結しているようで、雪の結晶がキラキラと光って見えます。(赤外線を反射) 
左の獣道から来たらしいキツネが、雪面の匂いを嗅いでから左に引き返しました。 
もしかすると、前日の朝(約20時間半前)に来たホンドテンの残り香があるのかもしれません。 

根曲がり巣穴の存在にキツネは気づいていない様子です。 
他の野生動物と違って、キツネはイタチの巣穴に不法侵入したり顔を突っ込んで匂いを嗅いだりすることもありません。
(無視している? イタチの匂いを忌避している?)


つづく→

水溜りの泥を舐めてミネラル摂取するツバメシジミ♂

 

2023年9月中旬・午後15:30頃・晴れ

田園地帯の農道に水溜まりができていました。 
その岸にツバメシジミ♂(Everes argiades hellotia)が止まって、乾きかけた泥を舐めていました。 
ツバメシジミの吸水行動は初見です。 
しかし近くにいたキタキチョウ♂の集団吸水の撮影に集中していた私はツバメシジミ♂に気付くのが遅れてしまい、ズームインしたときには口吻を伸ばしていませんでした。 
飛び去る直前に腹端を下げて接地させたのは、排尿行動ですかね? 
地上では翅をしっかり閉じているので、性別不明でした。 
飛び立つ羽ばたきを1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、翅表が紫青だったので♂と判明。

2024/12/24

真冬の雪山でカモシカの塒に来たホンドタヌキのペア♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年1月下旬・午後19:12・気温−1℃ 

雪の積もった里山でスギの木の下にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の塒をトレイルカメラで見張っています。 
二ホンリスがよく出没するので、試しにオニグルミの堅果をいっぱいに入れた給餌箱をスギの幹に設置してみました。 
プラスチックの餌箱は、キッチン・シンク用のスポンジケース(生ごみ捨て?)を100円ショップで買っできました。 
排水できるように容器の底がメッシュ状(網目)になっているのがポイントです。 

ある晩、♀♂ペアと思われる2頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が登場しました。 
この地点でタヌキが写ったのは初めてです。 
まず先行個体がスギの根元で雪面の匂いを嗅ぎ回っていました。 
クルミ給餌箱には雪がこんもり積もっています。 
(餌箱の上に庇や屋根を取り付けるべきかもしれません。) 
雪解け水で中身のオニグルミ堅果が濡れ、黒い汁(タンニン)が滴り落ちて雪面を汚しているようです。 
タヌキがふと上を見上げてクルミ給餌箱に気づくと、慌てて手前に逃走しました。 
餌箱は真っ白なプラスチック製なので、暗闇でも目立ってしまいます。 
(全面に目立たないマスキングテープを貼る必要がありそうです。) 
雪面は凍っていて、タヌキが歩いても足が潜りません。 

次に左から後続のパートナーが登場し、手前に歩いて来ました。 
左下から1頭が戻ってきて、スギ斜め倒木の下をくぐって右へ向かいました。 


つづく→

モリアオガエルの死骸を持ち去るカケス【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年1月下旬・午前9:00頃・晴れ 

平地のスギ防風林の林縁で、雪の消えた地面にカエルの死骸が転がっているのを見つけました。 
頭部を背側からつつかれていたので、鳥が食べ残したようです。 
今期は異常な暖冬ですから、冬眠から季節外れに目覚めてしまったカエルが天敵に捕食されたのでしょうか? 
それとも、冬眠中のカエルを野鳥が地中から掘り出して捕食したのかな? 

モズLanius bucephalus)のはやにえが地面に落ちた可能性も考えられます。 
ここは田畑や休耕地の近くなので、モズが生息していても不思議ではありません。 
関連記事:▶  


さて、犠牲となったカエルの種類は何でしょう? 
シュレーゲルアオガエルまたはモリアオガエルだと思うのですが、死体の頭部が損傷しているため、重要な識別ポイントである目の色が分かりません。 
腹面に斑紋があるので、モリアオガエルRhacophorus arboreus)と判明しました。 
こんな平地の小さな林にモリアオガエルが生息しているとは知らず、ちょっと意外でした。 
近くに水がたまった素掘りの水路や池?もあるので、水辺の樹上にモリアオガエルの泡巣が作られるかどうか、初夏の繁殖期に確かめないといけません。(忙しくて、すっかり忘れてしまいました。) 

野外で見つけた死骸を素手で触れてはいけません。 
ビニール袋を手袋代わりにしてモリアオガエルの死骸を掴むと、死後硬直はなく、凍死体でもなく、ぐったりしていました。 
腐敗臭はまったくしませんでした。
実はすぐ近く(約3m離れた地点)に、ニホンイタチMustela itatsi)の越冬用巣穴があります。 
根こそぎ倒れたスギの風倒木が何本も放置され、その根元に巣穴が2つ掘られているのです。 
せっかく新鮮な肉が手に入ったので、根曲がり巣穴aのすぐ手前の地面にカエルの死骸を放置して、巣穴の主に給餌してみましょう。 
監視カメラに何が写るか、楽しみです。 
すぐに雪が積もって埋もれてしまうことを心配しましたが、幸い雪が降る前に餌を見つけてくれました。 


翌日の朝に現れたのは、イタチではなく1羽のカケスGarrulus glandarius)でした。 
地面に仰向けで転がっているモリアオガエルの死骸を見つけると、周囲を警戒しています。 
まずは屍肉の本体ではなく小さな白っぽい肉片を咥え、左に飛び去りました。 
すぐにまたカケスが戻ってくると、モリアオガエルの死骸を丸ごと咥えて右へ飛び去りました。 
三回目に戻ってくると、最後の白い肉片を咥え上げ、左奥へピョンピョン跳んでカメラの死角に消えました。 
監視カメラの存在を警戒しているのか、カケスは死肉を食べるシーンを決して見せてくれませんでした。 
もしかすると、カケスは小さな肉片だけ食べて、メインのモリアオガエル死骸を再び貯食した(近くに隠し直した)のかもしれません。 
気温が低い厳冬期なので、日向を避ければ死骸は冷蔵/冷凍保存され、腐る心配はありません。 

カケスの死肉食を観察できたのは今回が初めてです。 
カケスはカラス科に属しますから、死肉を食べても不思議ではありません。 
近くの二次林で秋にドングリ(堅果)をせっせと貯食していましたが、餌の乏しい冬には、カエルの死骸でも嬉しいご馳走だったはずです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2024/12/23

真冬の雪山を駆け回るニホンリス【トレイルカメラ】

 

2024年1月中旬 

シーン0:1/9・午後12:38・晴れ(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の状況です。 
雪の積もった里山で、スギ植林地に残されたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動撮影カメラで見張っています。 
暖冬で降雪が少ないのですが、林床の溜め糞は雪で覆われ、雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 
画面の手前から奥に向かって上り坂の斜面を見上げるアングルになっています。 

この地点でニホンリスSciurus lis)が初めて登場したシーンをまとめました。 


シーン1:1/20・午前6:54・晴れ(@0:07〜) 
雪面に立ち止まっていたリスが右に(渓谷に向かって)軽快に走り去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。


シーン2:1/20・午前9:14・晴れ(@0:24〜)
2時間20分後、同一個体のリスなのか、スギ立木の背後を通って雪の斜面を右へ走って行きます。 
ときどき立ち止まりながらも、渓谷の方へ向かっています。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 


リスは体重が軽いのか、雪面が凍結していたのか、2回ともリスの足は雪に深く潜ってはいませんでした。
樹上性のリスが雪原を無防備に走り回るのは目立ちますから、天敵(捕食者)に襲われるリスクがあるはずです。
秋に貯食しておいたはずなのに、厳冬期は食糧が乏しくて、遠出をしないといけないのかな?

雪で覆われた深い渓谷をリスが対岸に渡ることがあるのでしょうか? 
切り立った崖の雪面にリスの足跡を見つけたことは未だありません。 
いつかトレイルカメラで野生動物の鵯越(ひよどりごえ)を長期監視してみたいのですが、その渓谷は雪崩の多発地帯な上に、トレイルカメラを上手く設置できる場所が確保できなくて、保留(後回し)になっています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

イモカタバミの花で採餌し飛び回るハキリバチの一種♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月中旬・午後15:15頃・晴れ 

民家の軒下の花壇に咲いたイモカタバミの群落でが訪花していました。 
正当訪花を繰り返して吸蜜しています。 
腹面のスコパが橙色の花粉で汚れています。 
採餌の合間に身繕いして、体に付着した花粉をスコパに移しています。

イモカタバミの花から飛び立つ瞬間の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:56〜) 


関連記事(4か月前、4年前の撮影)▶  

2024/12/22

雪が降る夜に雪山を独りでうろつくホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年1月中旬 

雪の降る夜にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で登場したシーンを以下にまとめました。 

シーン0:1/9・午後12:38・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
雪の積もった里山で、スギ植林地に残されたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動センサーカメラで見張っています。 
暖冬で降雪が少ないのですが、林床の溜め糞は雪で覆われ、雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 
画面の手前から奥に向かって斜面を見上げるアングルになっています。 


シーン1:1/12・午後17:56(@0:06〜)日の入り時刻は午後16:43。 
小雪がぱらつく晩に単独で現れたタヌキが、雪山の斜面をうろつき、右上奥(渓谷)へ向かいました。 


シーン2:1/13・午後23:11(@0:27〜) 
翌日も夜中に単独行動のタヌキが登場し、奥の斜面を右へトラバースして行きました。 


木登り・跳び移りの得意な野生ニホンザルたちの身体能力

 




2023年12月中旬・午後15:10頃・くもり 

野生ニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れが水路橋の手すりを伝って続々と渡って来ます。 
此岸で突っ立って撮影している私を迂回するため、ニホンザルは手すりの途中から横に生えた落葉高木に跳び移り、枝から枝へジャンプしたり幹を下ったりして、地上に降ります。
樹木や人工構造物を利用して三次元に迂回する、というのは我々ヒトにはなかなか出来ない芸当です。 
木から木へ跳び移るには、正確な距離を把握する両眼視が不可欠です。

怖がりの個体は、枯草の藪に隠れながら私を迂回して遊動しています。 
見事な保護色になっています。 

逆に、好奇心旺盛な個体がわざわざ私の方に近づいて来て、すぐ横を通り過ぎました。 
ニホンザルにしてみれば、度胸試しのつもりなのでしょうか? 
用水路の手摺に飛び乗ると、しばらく私を見下ろしています。 
手摺から地上に降りる際に股間をスロー再生で見ると、♂の睾丸ではなく♀の外性器でした。 
顔や尻が発情期の赤色ではなく、胸の乳首が目立たないことから、若い♀のようです。 

まるでパルクールやSASUKEの選手のようで、ニホンザルの身軽な身体能力には惚れ惚れします。
ニホンザルの動きを模倣するようなロボットを開発するのはかなり難しそうです。

2024/12/21

雪山でスギの木の下にある塒を単独で訪れたニホンカモシカの幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月中旬 

シーン1:1/9・午後13:12・くもり・気温13℃(@0:00〜) 
里山の斜面に植林されたスギ林で、ニホンカモシカCapricornis crispus)のねぐらを自動センサーカメラで監視しています。 
画面の手前から右上奥に向かって斜面が下っています。 
記録的な暖冬ですけど、また少し雪が積もりました。 


シーン2:1/11・午後22:03・気温-4℃(@0:04〜) 
ある晩遅くに、左からカモシカの幼獣が単独で現れました。 
体高が低く、角が短いので、幼獣と分かります。 

カモシカ幼獣は、スギの根元に自生する極細の落葉灌木(樹種不明)の枝先の匂いを嗅いだだけで、眼下腺マーキングをしませんでした。 
そもそも私は、カモシカの幼獣が眼下腺を擦り付けて縄張りを匂い付けする行動を見たことがないかもしれません。 
幼獣が成長して眼下腺マーキングを始めた途端に、縄張り内の他個体から攻撃されたり排斥されてしまうのでしょうか? 

この個体も塒で寝ないで、そのまま奥へ立ち去りました。 
遠くで白い目が光ったので、カモシカ幼獣が振り返ったようです。 

実はここに来る約6分20秒前まで、約20~30m離れた地点にあるカモシカの溜め糞場sr2にニホンカモシカの母子が来ていました。 

時系列的に、そこから幼獣だけが塒まで登って来たのでしょう。 
一緒に居た母親♀は幼獣の近くにいるはずですが、監視カメラに写りませんでした。 


シーン3:1/16・午前6:34・気温-7℃(@0:58〜)日の出時刻は午前6:50。 
ここから先は、おまけの映像です。 
5日後の夜明け前に、雪がしんしんと里山(低山)に降り続く様子(軽い吹雪)をお届けします。 
新機種のトレイルカメラでも悪天候(風雪)による誤作動があるようです。 
斜めに倒れかけたスギ幼木の枝葉にたっぷり冠雪しています。 
新雪の雪面に野生動物の足跡は残されていません。 



ヤブツルアズキの葉に乗って日光浴するウラナミシジミ♂

 

2023年9月中旬・午後16:00頃・晴れ 

民家の裏庭に蔓延るヤブツルアズキの群落でウラナミシジミ♂(Lampides boeticus)が蔓の先の小葉に止まっていました。 
翅を半開きにしてまま日光浴しています。 
マメ科植物はウラナミシジミの食草ですから、産卵に来る♀を待ち伏せて交尾しようとしているのかもしれません。(縄張り占有行動?) 
しばらくすると、翅を閉じてしまいました。 
暑くなった(体温が上がり過ぎた)のかな?

2024/12/20

雪で埋もれたニホンアナグマの越冬用巣穴に立ち寄る真冬のホンドギツネ【トレイルカメラ】

 



2024年1月中旬・午前6:35・気温-1℃・日の出時刻は午前6:50 

ニホンアナグマMeles anakuma)が越冬している営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っていると、早朝にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が登場しました。 
暖冬ですが、ようやくまた新雪が積もりました。 
一面の銀世界だと、夜明け前でも充分に明るいです。 

新雪の積もった落葉樹林内をキツネが単独でラッセルしながら右奥からやって来ました。 
わざわざ寄り道して回り込むと、雪で埋もれたアナグマの巣口Rの匂いを嗅いでから左へ立ち去りました。 
もう一つの巣口Lには興味を示さなかったということは、そちらにはアナグマが住んでいないのでしょうか? 



雪国の落葉樹林で採餌するエナガの群れ(冬の野鳥)

 



2023年12月下旬・午後13:15頃・晴れ 

平地の落葉した二次林でエナガAegithalos caudatus)の群れと遭遇しました。 
私がじっとしていると、ジュリリ、ジュリリ♪と鳴き交わしながら私の周囲に近寄ってきました。 
エナガはヒトをあまり恐れず好奇心旺盛な印象があります。
どの個体を撮るべきか目移りしてしまいました。 

落葉灌木に登って枝先や枯れ蔓をあちこちつついて虫を食べているようです。 
ついに地上に下りてきた個体は、枯れた藪を覗いて餌を探し、雪面の落枝をついばみました。 
実は、少数のシジュウカラと混群を(一時的に?)形成して一緒に採餌行動していました。 

2024/12/19

霧のたちこめる深夜に雪山でニホンカモシカの溜め糞場を通り過ぎるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年1月中旬 


シーン1:1/9・午後14:01・くもり・気温11℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
雪が積もった里山で、スギの木の下にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2をトレイルカメラで見張っています。 
周囲はスギと雑木(ミズナラやアカマツ、ハリギリなど)の混交林です。 
画面の左下から右上に向かって山の緩斜面になっています。 
奥には巨大な倒木(落葉性広葉樹)が見えます。 
スギ樹上からの落雪により雪面は荒れていて、落葉落枝も散乱しています。 
カモシカが残した複数の糞塊は、雪で埋もれてしまって見えません。 


シーン2:1/18・午後23:55・気温1℃(@0:03〜) 
夜霧の立ち込める深夜に、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で現れました。 
右から緩斜面を降りて来て、雪に埋もれた倒木を跨いで乗り越え、カモシカの溜め糞場sr2の匂いを嗅いでから左に立ち去りました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


元々ここはタヌキの溜め糞場なのかもしれない、という可能性を思いつきました。 
しかしトレイルカメラによる監視を続けたり、夏に現場検証したりすると、それは否定できました。 


つづく→

アジサイの花で採餌して飛び回るクロマルハナバチ♀の群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月中旬・午前10:00頃・くもり 

道端の花壇に咲いたアジサイ(紫陽花)の群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは意外にも初見です。 

関連記事(7、11年前の撮影)▶  


アジサイの花序を歩き回るクロマルハナバチ♀の体表には白い花粉が付着しており、後脚の花粉籠に薄茶色の花粉団子を大量に付けて運んでいる個体もいます。 
振動集粉するかと期待したのですが、耳を澄ましてもその羽音は聞き取れませんでした。 
アジサイの花をよく見ると、雄しべの葯には花粉がほとんど枯渇していました。 
もう既にハナバチたちがほとんど集粉し尽くした後なのでしょう。 

紫陽花の花から蜂が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:10〜) 
集粉してから飛び立つと、腹面の体毛に付着した花粉を足で掻き落とし、空中で両脚を擦り合わせて花粉籠に移します。 

2匹のクロマルハナバチ♀がアジサイの花序でニアミスするシーンもたまたま撮れていました。
先客が飛んで逃げたものの、舞い戻ってきてライバルを追い払いました。 
同じコロニーから来た仲間ではないのかな?

複数個体を撮影。 
小さなミツバチ?も訪花していたようですが、撮り損ねました。

2024/12/18

雪山の溜め糞場に来て雪面の匂いを嗅ぎ灌木に眼下腺マーキングするニホンカモシカの母子【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月中旬 

シーン1:1/9・午後14:01・くもり・気温11℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
雪が積もった里山で、スギの木の下に見つけたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2をトレイルカメラで見張ることにしました。 
周囲はスギと雑木(ミズナラやアカマツ、ハリギリなど)の混交林です。 
画面の左下から右上に向かって山の緩斜面になっています。 
奥には巨大な倒木(落葉性広葉樹)が見えます。
スギ樹上からの落雪により雪面は荒れていて、落葉落枝も散乱しています。 
カモシカの残した複数の糞塊は、雪で埋もれてしまって見えません。 


シーン2:1/11・午後21:56・気温-4℃(@0:03〜) 
晩に左奥から登場したカモシカ成獣が、細い落葉灌木の幹に顔の眼下腺をゴシゴシと擦り付けてマーキング(匂い付け)しています。 
左から幼獣が登場して成獣に寄り添いました。(@0:13〜) 
したがって、この2頭は親子(母子)と分かりました。 

母親♀は早々に左へ立ち去りました。 
残った幼獣は、雪に埋もれた溜め糞場sr2の匂いを頻りに嗅ぎ回っています。 
幼獣が頭を下げると、短い角が見えました。 


シーン3:1/11・午後21:57(@1:03〜) 
結局、長居した幼獣も溜め糞場sr2では排泄しないで、立ち去ってしまいました。 
母親の後を付いていったのかと思いきや、幼獣は単独で少し離れた地点の塒に向かいました。(つづく) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
前季から見張っていた溜め糞場sr1にはカモシカが来なくなってしまったので、全く別の地点にある溜め糞場sr2にトレイルカメラを設置し直すことにしました。 
実は私が監視カメラを設置する前にスコップでスギ立木や倒木の下の雪を掘り返してカモシカの糞塊を確認したので、溜め糞場sr2を荒らしてしまったことになります。 
(雪を埋め戻したつもりですが、それでも不自然でした。) 
次にカモシカが来るまでに新雪が積もれば私の狼藉は隠蔽されたのかもしれませんが、暖冬で雪は降りませんでした。 
せっかく溜め糞場sr2に来てくれたニホンカモシカの母子は異変を感じて警戒し、ここでは排便しなかったのかもしれません。 


つづく→

雪面に風散布されたオオウバユリの種子

2023年12月下旬・午後・晴れ 

平地の落葉した二次林を歩き回ると、雪に覆われた林床でオオウバユリが枯れていました。
その株の真下の雪面に種子が散乱していました。 
開裂した蒴果から翼の付いた種子が風散布された好例です。
地面よりも雪面に落ちたオオウバユリ種子の方がよく目立ちます。 
親株の根元から各種子への距離を測定してグラフに描けば、風散布の立派なデータになりそうです。

関連記事(3年前の撮影)▶ オオウバユリ種子の風散布を実演してみる


植物学の用語で理解が曖昧なまま使っているものを、この機会に復習してみました。 
百科事典や植物図鑑の解説で用語の定義を読むだけではなかなか頭に入らないので、AIのGeminiに質問してみました。 
たちどころに専門的な回答が自動生成されて、とても勉強になりました。
ただし、回答をダブルチェックする必要があります。
さらに疑問があれば、AIと質疑応答を重ねて自学自習を深めることが出来ます。
なかなかすごい性能です。
調べ物をする際に誰もインターネットを検索しなくなる(誰もググらなくなる)時代がすぐそこまで来ていることを実感します。
私はベンチャー起業のGoogleが興隆して検索の覇者へと登り詰める過程をつぶさに目撃してきました。
そのGoogleが危機感を覚えて、Geminiの開発・改良に死物狂いで全力を注いでいるのも納得です。



Q: オオウバユリの実が翼果ではなく蒴果とされているのはなぜか? 
翼果のように見えるのは収斂進化なのか? 


A: Gemini1.5の回答
オオウバユリの実が翼果ではなく蒴果と分類される理由、そして翼果のように見える理由について、詳しく解説していきます。 
オオウバユリの実が蒴果である理由 
蒴果とは、複数の種子を含む果実が成熟すると裂開し、種子を散布するタイプの果実です。オオウバユリの実は、この蒴果に分類されます。 
  • 構造: オオウバユリの実は、複数の室に分かれており、各室に多数の種子が詰まっています。成熟すると、これらの室が裂開し、種子が外に飛び出す構造をしています。 
  • 種子の特徴: オオウバユリの種子は、比較的大きく、扁平な形をしています。種子の周囲には、薄い翼状の構造が見られます。この翼状の構造は、風によって種子を遠くに運ぶための適応と考えられています。 
翼果との違い 
翼果とは、果皮の一部が薄く広がって翼状になり、風によって種子を遠くに運ぶための適応が見られる果実です。カエデの種などが代表的な例です。 
オオウバユリの種子も翼状の構造を持っていますが、果実全体が裂開するという点が、翼果とは大きく異なります。翼果は、果実全体が一つのもので、種子が翼と一緒に風に乗って飛んでいきます。 
翼果のように見える理由:収斂進化の可能性 
オオウバユリの種子が翼状の構造を持つにも関わらず、蒴果に分類されるのは、収斂進化が考えられるためです。 
  • 収斂進化: 異なる系統の生物が、同じような環境に適応する過程で、似たような形質を獲得することを収斂進化といいます。 
  • 風散布への適応: オオウバユリとカエデのように、異なる種類の植物が、どちらも種子を風によって遠くに運ぶという同じ環境への適応として、翼状の構造を獲得したと考えられます。 つまり、オオウバユリの種子の翼状の構造は、カエデの翼果と似た機能を果たしていますが、その構造が進化してきた過程は異なる、というわけです。 
まとめ 
オオウバユリの実は、その構造から蒴果に分類されます。種子の翼状の構造は、風散布のための適応であり、カエデの翼果との類似性は収斂進化の結果と考えられます。 
ポイント: 
  • 蒴果:複数の種子を含む果実が裂開する 
  • 翼果:果実全体が翼状になり、種子が翼と一緒に飛ぶ 
  • 収斂進化:異なる系統の生物が、同じような環境に適応して似た形質を獲得する
オオウバユリの実は、植物の多様な進化の過程を垣間見せてくれる興味深い例と言えるでしょう。



【アフィリエイト】

ランダムに記事を読む