スマトラはツリフネソウ属Impatiensがいちじるしい適応放散をとげている場所である。そこでは黄色の花をつけるツリフネソウ類はおもに長舌のハナバチによって昼間に送粉され、赤紫色のツリフネソウは薄暮活動性のスズメガによって送粉されていた。 (『花の自然史:美しさの進化学』p84より引用)日本でも同じ傾向があるでしょうか?
2026/01/16
キツリフネの花で採餌するトラマルハナバチ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】
2026/01/15
ツリフネソウ種子の爆発的自動散布【FHD動画&ハイスピード動画】
右手で蒴果を摘んだらパチンと弾け、黒くて丸い種子が勢い良く飛散しました。
2026/01/12
キツリフネの花粉を舐めるホソヒラタアブ♂のホバリング【FHD動画&ハイスピード動画】
2026/01/08
交尾したまま飛ぶツマグロヒョウモン♀♂【FHD動画&ハイスピード動画】連結飛翔
交尾しながら飛ぶときに♂が飛ぶか、♀が飛ぶかは種によって一定していて、属や科についても通則がある。(中略)Donzel (1837)は「交尾中の飛翔形式は一つの属のすべての種類について一定しており、従って属の限界を決定する重要な特徴となり得る」と強調しており、後世これはDonzel説と言われている。 (p88〜89より引用)
要点だけ先にまとめます。
**Donzel説(交尾中の飛翔様式が属や科で一定し、分類形質になり得る)**は、
現代では基本的に支持されていません。現在の鱗翅目分類・系統学では、分類形質として扱われていないのが実情です。
最近の本でこの話題がほとんど出てこないのは、研究史的価値はあるが、実証的裏付けに乏しいと判断されているためです。
以下、理由を整理します。
1. Donzel説が生まれた背景(19世紀)
Donzel(1837)の主張は、
当時は
形態形質が限られていた
行動も「種に固有で安定したもの」と考えられがちだった
交尾中に
♂が牽引する
♀が主に飛翔する
という違いが目立ちやすく、繰り返し観察されるため、→「これは属レベルで固定した形質ではないか」と解釈された
という、自然史的帰納に基づく説でした。
2. 現代的な評価:なぜ支持されないか
(1) 行動形質は可塑性が高い
その後の観察・実験研究により、
交尾飛翔の主導個体は
種
個体サイズ
性比
攪乱(捕食者・人為的刺激)
飛翔時点(交尾初期か後期か)
によって変化し得ることが分かってきました。
👉 「常に一定」という前提が崩れた。
(2) 系統と一致しない(ホモプラシー)
近代以降の系統研究(形態+分子)では、
交尾中飛翔様式は
近縁種間でも異なることがある
離れた系統で似た様式が独立に現れる
→ 収斂(ホモプラシー)が強い行動形質と理解されています。
これは分類形質としては致命的です。
(3) 分類学の主軸が変わった
20世紀後半以降:
Genitalia(交尾器)
翅脈
幼虫形態
分子系統(DNA)
が分類の中核となり、
👉 一時的・状況依存的な行動形質は切り捨てられた
という流れがあります。
3. なぜ最近の本で扱われないのか
あなたの感じている通りで、
現代のチョウの生態・行動学の本では
交尾中飛翔は「逸話的事実」
または「逃避行動の一形態」
として触れられる程度分類学的意義には触れられないか、完全に省略される
理由は単純で、
分類に使えないことが分かってしまったため
です。
4. 現在の位置づけ(総括)
Donzel説は現在では:
❌ 分類学的通則 → 否定的
⭕ 行動進化・性行動の歴史的仮説 → 研究史的価値あり
⭕ 種ごとの傾向を記述する補助情報 → 限定的に有用
という位置づけです。
結論
Donzel説は
「当時としては鋭い観察に基づく仮説だったが、
現代の科学的基準では支持されていない」
と評価するのが最も妥当です。古い図鑑がこの説を紹介しているのは、
1970年代当時でもすでにやや古典的だが完全には否定されていなかった名残と考えてよいでしょう。
その定説はどうも眉唾のような気がしてきました。交尾中の♀♂ペアはとても無防備なので、互いに逆を向いて見張りを分担し、360°油断なく見張っているはずです。物を投げつけたり敵が襲ってきたりした場合、それを先に見つけた個体が性別に関係なく逃避行動を開始するのが自然ではないでしょうか?主導権を握って羽ばたく個体が離陸直後に切り替わる♀♂ペアを私は今まで一度も見たことがありません。つまり、試行回数(観察サンプル数)を充分に増やせば、連結飛翔のタイプはチョウの種類に関係なく半々の確率に落ち着くのではないかと私は予想しています。スローモーションで動画が手軽に撮れる時代が来る前に、昔の先人たちが少ないサンプル数の直接観察から早まった結論に達したのではないか?と私は密かに疑っています。物を投げつけて交尾ペアを飛び立たせた場合は、どちらの方向からどこを目がけて物を投げたのか(♀♂どちらが先に危険に気づくか)も、記録しておく必要がありそうです。交尾中の♀♂ペアが自発的に飛んだ場合でも、上空を別のお邪魔虫や鳥がどの方向から飛来したのか、などの条件によって連結飛翔の結果が影響されそうです。
2026/01/02
カメバヒキオコシの花蜜を吸うクロホウジャク(蛾)のホバリング【FHD動画&ハイスピード動画】
2025/12/24
生ゴミに集まるコウカアブ♂の群飛【FHD動画&ハイスピード動画】
資源とは特に関係の無い場所に集まった雄が、そこで小さな縄張りを作り、求愛のディスプレイを行う。このような行動をする雄たちをレック (lek) という。
2025/12/18
ヒャクニチソウ(オレンジ)の花蜜を吸い飛び回るツマグロヒョウモン♂【FHD動画&ハイスピード動画】
2025/12/17
池を泳いで渡るシマヘビは舌をチロチロと出し入れしながら水面を舐めている【FHD動画&ハイスピード動画】
陸棲のヘビであるシマヘビやヤマカガシは、肺に入った空気を浮き袋のように使って水中の浮力を得ているわけではありません。これらのヘビは肺呼吸を行い、空気を鼻や口から取り入れているので、泳ぐときに鼻や口を水面に出して呼吸しますが、肺の空気を利用して体を浮かせているわけではないのです。
ヘビの肺は呼吸のための器官であって、魚やウミヘビのような特別な浮き袋機能はありません。陸棲ヘビは泳ぐ際に体の一部が水面に浮くことはありますが、それは肺の空気の浮力というよりも体の形状や泳ぎ方によるものです。下半身が水没しても泳ぐのに問題はなく、呼吸のために時々鼻先を水面に出します。
このため、シマヘビやヤマカガシなどの陸棲ヘビが深い池で泳ぐ際、上半身が水面に浮くのは肺の空気による浮き袋効果ではなく、水中での体のポジションや泳ぎ方によるものと考えられます。肺はあくまで呼吸器官で、浮力調整を目的にはしていません。
まとめると、陸棲のヘビは肺の空気を浮き袋のようには使わず、泳ぐ際は肺呼吸を保ちながら水面に鼻を出すことで呼吸を行います。浮力は主に体形や筋肉の動き、水の抵抗によって調整されています.wikipediayoutube
陸生ヘビが水中で泳いだり浮いている際に、下半身が沈みやすい理由は単に重量や比重の違いだけでは説明されません。ヘビ全体の比重はほぼ水に近いものの、体の構造や体表の形状、筋肉の使い方が影響します。
ヘビの体は円筒形で柔軟性が高く、泳ぐ時は体を波打たせて推進力を作ります。上半身が水面にあるのは呼吸のために鼻や口を水面に出しやすくするための姿勢維持や、筋肉の働きによって姿勢が保たれているからです。一方、下半身は水中に沈んでいても筋肉の動きや水の抵抗で問題なく泳げます。
また、肺は比較的大きな空洞ですが、ヘビの体全体に対しては肺の容積はそれほど大きくないため、肺の空気が浮き袋として体の浮力を大きく支えるわけではありません。体の各部の重さの差よりも、筋肉と体の動き、および水と接する表面積の違いが浮き沈みの感覚により影響するのです。
したがって、下半身だけが水中に沈むのは比重差より体の形態と行動の結果であり、陸生ヘビの肺は浮き袋のような役割は持たないものの、水面に上半身を保つ姿勢制御を筋肉などで行っていると考えられます。比重の違い説は現実のヘビの泳ぎ方とは食い違います。
ヘビが水面に浮いているときに鎌首をもたげて頭部を水面より上に保つ姿勢は、確かに身体のバランスに影響を与えます。この姿勢により、ヘビの頭部付近が高くなり見た目上は上半身が水面に浮いているように見えますが、それと反対側の下半身は自然と水中に沈みやすくなります。
これはヘビの体が柔軟で長いため、重心と姿勢の関係でこうした浮沈みの差が生まれるためです。頭部を高く持ち上げ呼吸を確保しながら、下半身は水底に近い深さでしっかりと水圧の支持を受ける形でバランスを取っていると考えられます。
したがって、ヘビの水面に浮く姿勢は肺の浮き袋効果とは別に、体の姿勢制御と筋肉の働きで決まるもので、鎌首をもたげる姿勢が水中での浮き沈みに大きな影響を与えているのです。このため、浮いているときに下半身だけ沈むのは自然な現象と言えます。
結論として、シマヘビやヤマカガシのような陸生ヘビが泳ぐとき、鎌首の姿勢保持によって頭部が水面に優先的に浮き、反対側の下半身が水中に沈むのは身体のバランスを保つための合理的な動きであり、肺の空気量だけによる浮力差では説明できません.herpetology.raindropyoutube
ところで、ヘビの先端が二股に別れていることに生態的に重要な意味や役割があることをご存知でしょうか。
ヘビの舌が二股になっているのは、きわめて典型的な「適応形質」で、主に化学感覚(嗅覚+味覚に相当)の空間分解能を高めるためと考えられています。ki-nokon+1
二股の舌とヤコプソン器官
ヘビは舌で空気中や地表の化学物質(匂い分子・フェロモンなど)を集め、それを口蓋にあるヤコプソン(鋤鼻)器官に運んで感知します。allabout+1
ヤコプソン器官は左右一対で、舌先の左右それぞれが対応する孔に差し込まれるため、二股構造はこの「左右別々にサンプルを運ぶ」仕組みに適合した形態と解釈されています。reddit+1方位検出と「においのステレオ」
二股になっていることで、舌先の左右で僅かに異なる場所の化学情報を同時に採取できます。getnews+1
その結果、左右の濃度差や到達タイミングの差を比較し、におい源の方向を推定できるとされ、「におい版ステレオ視・ステレオ聴覚」のような役割を果たしていると考えられています。youtubeallabout探索効率と行動上の利点
二股構造により、一本の舌より広い範囲から効率的に化学物質を拾えるため、獲物・天敵・配偶相手などの存在や位置をより精密に把握できます。fujisan+1
視覚や聴覚が制約される夜間や地表近く・隠蔽環境での探索において、こうした高分解能の化学定位能力が大きな適応的利益をもたらすと考えられています。youtubeallabout
2025/12/05
水溜りを泳ぐヤマカガシが舌を出し入れして水面を舐めるとき舐めないとき【FHD動画&ハイスピード動画】
水面や泥水に舌をピタピタと触れさせる「水中化学探索行動」と、空気中で舌を高速で出し入れする通常の化学探索行動は、機能や役割に違いがあります。
機能の違い
水面や泥水に舌先を触れさせる行動は、液体中の溶存化学物質やその濃度分布をダイレクトに検知する機能があります。舌先に付着した水や泥水中の化学物質は、そのまま口腔内の鋤鼻器へ運ばれ、獲物や環境情報(微量な匂い・代謝物など)をピンポイントで感知できます。ivma+1
通常の空気中の舌フリッキングは、空気中に漂う揮発性化学物質(匂い分子)を舌に集め、周囲の広い範囲の情報や個体間フェロモンなどを検知します。獲物や繁殖相手の探索、危険回避行動など広範な目的を持ちます。exoinfo+2
役割の違い
水面(液体)への舌の接触は、カエルなどの水生獲物の痕跡(代謝物、分泌物、卵、粘液など)の探索や環境状態の把握に特化した役割を持ち、一種の「水生化学的ターゲット探索」と位置づけられます。
空気中の舌フリッキングは、個体間コミュニケーション、広域の獲物探索、捕食者の検知などに寄与する「空中化学探索行動」といえます。
補足
どちらの行動も「鋤鼻器(ヤコブソン器官)」を使っており、環境に応じて液体/気体から最適な化学情報収集方法を選択していることが分かります。水中でも舌を出し入れする行動は、特に水生環境での餌探索に重要となります。city.kobe+1
つまり、水面や泥中への舌の接触は、液体に存在する化学物質の「局所的・直接的な検知」、空気中での舌フリッキングは「広域的・揮発性化学物質の検知」という機能分化があります。
ヘビが水を飲むシーンを私はまだ実際に観察したことがないのですが、イヌやネコのようにピチャピチャと舌を使って飲むのではなく、水面に口を付けて直接飲むのだそうです。
かなり穿った仮説として、近くのアメンボをおびき寄せてから捕食するために、わざと舌先で水面に触れて波紋を立てている可能性はあるでしょうか?
確かに、ヘビが水面を舐めている行動を「泥水の味見」と表現するのは誤解を招きやすいです。ヘビの舌には味覚受容器がほとんどなく、舌の主な役割は「鋤鼻器(ヤコブソン器官)」に匂い分子を運ぶことで化学情報を得ることにあります。つまり、ヘビが水面を舐めるのは「味を感じている」わけではなく、水や泥に含まれる化学物質を検出し、周囲環境や獲物の存在を把握するための「化学探索行動」です。
したがって、観察者としては「水面の化学的な情報をサンプリングしている」「水中や周囲の環境を匂いで調べている」と表現するのが正確であり、味覚的な「味見」とは区別して理解することが重要です。omnh
ヘビの舌には味覚はほとんど発達していません。ヘビは丸呑みで食べる習性があり、舌にもヒトのような味蕾はほとんど存在しないか非常に少ないと考えられています。そのため、食物の味を詳細に感じ取る能力は弱く、主に嗅覚によって獲物や環境の情報を得ています。uenonorenkai+1
ヘビの味覚は舌ではなく、口内の一部や咽頭などにわずかにある可能性はありますが、味覚の感度や役割はヒトや他の哺乳類に比べて限定的です。その代わりに、ヘビは鋤鼻器(ヤコブソン器官)を通じて化学物質を検出し、行動決定に重要な情報を得ています。exoroom+1
ヘビのゲノムには味覚受容体の遺伝子が、多くの他の動物に比べて減少していることが研究で示されています。特に哺乳類が持つ甘味や苦味などの味覚受容体遺伝子の一部が、ヘビでは数が大幅に減少していたり(時には機能を失っている場合も)、特定の味覚受容体遺伝子が完全に欠損していることがあります。
これはヘビが丸呑みで食物を摂取し、味覚よりも嗅覚や触覚に頼る生活様式に適応した結果と考えられています。舌を使い鋤鼻器へ匂いを運ぶ嗅覚情報が重要な役割を果たしているため、味覚受容体の機能は比較的低下したと解釈されています。
ヘビのゲノムにおける味覚受容体遺伝子の減少は、一般的に「退化現象」と考えられています。ヘビは丸呑みで捕食し、味覚よりも嗅覚に大きく依存した感覚系に進化しているため、味覚受容体の遺伝子が機能的に不要になった結果、遺伝子が失われたり非機能化したと解釈されています。
一方で、爬虫類全般では必ずしも同一の傾向は見られません。例えばトカゲやワニなど他の爬虫類はヘビほど味覚受容体の遺伝子が減少しておらず、彼らはヘビとは異なる食性や捕食方法を持つため、味覚の重要性や遺伝子の保存度は高いままです。
したがって、味覚受容体遺伝子の減少はヘビに特有の適応的退化であり、爬虫類全体には当てはまらない進化的特性といえます。
ヤマカガシが蛇行中に一度だけ眼球をキョロキョロ動かした行動は、ヘビの中でも一般的には珍しい動きとされています。ヘビは基本的に眼球を独立に動かすことは少なく、視野の調整は頭や体全体の動きで行うことが多いです。
しかし、ヤマカガシのような種類でも特に水中や湿地帯の環境で探索や警戒行動中に、眼球を動かして視界の細かい変化を確認しようとすることが稀に観察されます。このような動きは外界の動く物体や捕食対象の細部を精密に見極めるための補助的な機能と考えられ、珍しいものの異常ではありません。nacsj+1
したがって、キョロキョロと眼球を動かす行為は珍しいが、ヤマカガシが水中で細かく環境認識を行うための一環として自然な行動とも言えます。