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2025/12/05

水溜りを泳ぐヤマカガシが舌を出し入れして水面を舐めるとき舐めないとき【FHD動画&ハイスピード動画】

 



2024年9月上旬・午後12:30頃・晴れ 

山中の湿地帯にある水溜りでヤマカガシRhabdophis tigrinus)が細い体を浸し、鎌首をもたげて静止していました。 
先が二股に割れた黒い舌を素早く伸縮させています。 
ヘビが舌舐めずりをするようにチロチロと出し入れしているのは、口腔内にあるヤコブソン器官(鋤鼻器)に周囲の空気を取り込んで、周囲のかすかな匂いを敏感に嗅ぎ取るためです。 
ヘビも普段は我々ヒトと同様に鼻の穴で呼吸し、鼻腔の奥にある嗅上皮で空気の匂いを嗅いでいますが、獲物のかすかな残り香を嗅ぎ取るために特別な鋤鼻器を発達させたのです。 
(ヒトの鋤鼻器は退化しています。)


高速で出し入れする舌の動きを、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:37〜5:54) 
ヤマカガシが静止しているときには、出し入れする舌の先端は水面に触れていませんでした。 
このときヤコブソン器官で嗅ぎ取っているのは、周囲の空気中に漂う匂いの情報だけです。 
舌を出し入れする筋肉の動きだけで、水面に少し波紋が広がっています。 

しばらくすると、ヤマカガシが舌を出し入れする頻度が高くなり、しかも舌を長く伸ばすようになりました。 
これは蛇行を始める前兆です。 
下半身を左右にくねらせて前進を始めました。 
すると、長く伸ばした舌を引っ込める際に先端が水面にピタピタと軽く触れるようになりました。 
まるで水面に鞭を打っているようです。 
そのたびに水面に波紋が広がります。 
初めは正面を向いていたヤマカガシが左に移動し始めたので、側面からも舌の出し入れを撮ることができました。

蛇行する際は、持ち上げていた頭部を少し下げる(前傾姿勢)ので、舌先が水面に触れるのは仕方がない(不可抗力)のかもしれません。 
それとも、蛇行しながら意図的に水面を舐めて、空中だけでなく水中に漂う微量な匂い分子も鋤鼻器に取り込んでいるのかもしれません。
Perplexity AIに質問した回答がこちら。

水面や泥水に舌をピタピタと触れさせる「水中化学探索行動」と、空気中で舌を高速で出し入れする通常の化学探索行動は、機能や役割に違いがあります。

機能の違い

  • 水面や泥水に舌先を触れさせる行動は、液体中の溶存化学物質やその濃度分布をダイレクトに検知する機能があります。舌先に付着した水や泥水中の化学物質は、そのまま口腔内の鋤鼻器へ運ばれ、獲物や環境情報(微量な匂い・代謝物など)をピンポイントで感知できます。ivma+1

  • 通常の空気中の舌フリッキングは、空気中に漂う揮発性化学物質(匂い分子)を舌に集め、周囲の広い範囲の情報や個体間フェロモンなどを検知します。獲物や繁殖相手の探索、危険回避行動など広範な目的を持ちます。exoinfo+2

役割の違い

  • 水面(液体)への舌の接触は、カエルなどの水生獲物の痕跡(代謝物、分泌物、卵、粘液など)の探索や環境状態の把握に特化した役割を持ち、一種の「水生化学的ターゲット探索」と位置づけられます。

  • 空気中の舌フリッキングは、個体間コミュニケーション、広域の獲物探索、捕食者の検知などに寄与する「空中化学探索行動」といえます。

補足

どちらの行動も「鋤鼻器(ヤコブソン器官)」を使っており、環境に応じて液体/気体から最適な化学情報収集方法を選択していることが分かります。水中でも舌を出し入れする行動は、特に水生環境での餌探索に重要となります。city.kobe+1

つまり、水面や泥中への舌の接触は、液体に存在する化学物質の「局所的・直接的な検知」、空気中での舌フリッキングは「広域的・揮発性化学物質の検知」という機能分化があります。


ヘビが水を飲むシーンを私はまだ実際に観察したことがないのですが、イヌやネコのようにピチャピチャと舌を使って飲むのではなく、水面に口を付けて直接飲むのだそうです。 
つまり今回の高速ベロは、喉の乾きをいやす飲水行動ではありません。

ヘビは基本的に水容器や自然の水たまりの水を直接口に含んで飲む方法をとります。ヤマカガシも例外ではなく、水辺や水溜りなどで水を飲む際は、頭を水面近くに下ろし、舌を出し入れしながら水を口に含みます。この際、直接水に口をつけて飲むことが多いです。exoroom+1

自然界での水飲み行動においては、水たまりの水を利用したり、葉や石に溜まった水滴をなめたりすることもありますが、ヤマカガシは水場に来て実際に水を飲む習性があります。また、湿度を保つために水辺周辺で時間を過ごすことも多いです。exoroom


かなり穿った仮説として、近くのアメンボをおびき寄せてから捕食するために、わざと舌先で水面に触れて波紋を立てている可能性はあるでしょうか? 
しかしスーパースローの映像を見てもらうと分かるように、ヤマカガシのすぐ目の前の水面をアメンボが滑走してもヤマカガシは無視することが多いです。 
しかも、ヤマカガシが襲いかかろうとしても、いつもアメンボは波紋を敏感に察知して素早く逃げてしまいます。(例@3:41〜3:45) 

動画の後半は、ヤマカガシが水溜りで静止しながらも舌を高速で出し入れしている様子を再び高画質のFHD動画でご覧ください。 
蛇足かもしれませんが、せっかく長々と観察できた記録映像を捨てるのも惜しいので付け足しました。 
水溜りの中を蛇行で移動しながら舌を高速で出し入れする様子は、前回の記事で紹介しました。 


【考察】 
水面を舐めているヤマカガシが「泥水の味見をしている」と表現するのは誤解を招きます。

確かに、ヘビが水面を舐めている行動を「泥水の味見」と表現するのは誤解を招きやすいです。ヘビの舌には味覚受容器がほとんどなく、舌の主な役割は「鋤鼻器(ヤコブソン器官)」に匂い分子を運ぶことで化学情報を得ることにあります。つまり、ヘビが水面を舐めるのは「味を感じている」わけではなく、水や泥に含まれる化学物質を検出し、周囲環境や獲物の存在を把握するための「化学探索行動」です。

したがって、観察者としては「水面の化学的な情報をサンプリングしている」「水中や周囲の環境を匂いで調べている」と表現するのが正確であり、味覚的な「味見」とは区別して理解することが重要です。omnh

ヘビの舌には味覚はほとんど発達していません。ヘビは丸呑みで食べる習性があり、舌にもヒトのような味蕾はほとんど存在しないか非常に少ないと考えられています。そのため、食物の味を詳細に感じ取る能力は弱く、主に嗅覚によって獲物や環境の情報を得ています。uenonorenkai+1

ヘビの味覚は舌ではなく、口内の一部や咽頭などにわずかにある可能性はありますが、味覚の感度や役割はヒトや他の哺乳類に比べて限定的です。その代わりに、ヘビは鋤鼻器(ヤコブソン器官)を通じて化学物質を検出し、行動決定に重要な情報を得ています。exoroom+1

ヘビのゲノムには味覚受容体の遺伝子が、多くの他の動物に比べて減少していることが研究で示されています。特に哺乳類が持つ甘味や苦味などの味覚受容体遺伝子の一部が、ヘビでは数が大幅に減少していたり(時には機能を失っている場合も)、特定の味覚受容体遺伝子が完全に欠損していることがあります。

これはヘビが丸呑みで食物を摂取し、味覚よりも嗅覚や触覚に頼る生活様式に適応した結果と考えられています。舌を使い鋤鼻器へ匂いを運ぶ嗅覚情報が重要な役割を果たしているため、味覚受容体の機能は比較的低下したと解釈されています。


ヘビのゲノムにおける味覚受容体遺伝子の減少は、一般的に「退化現象」と考えられています。ヘビは丸呑みで捕食し、味覚よりも嗅覚に大きく依存した感覚系に進化しているため、味覚受容体の遺伝子が機能的に不要になった結果、遺伝子が失われたり非機能化したと解釈されています。

一方で、爬虫類全般では必ずしも同一の傾向は見られません。例えばトカゲやワニなど他の爬虫類はヘビほど味覚受容体の遺伝子が減少しておらず、彼らはヘビとは異なる食性や捕食方法を持つため、味覚の重要性や遺伝子の保存度は高いままです。

したがって、味覚受容体遺伝子の減少はヘビに特有の適応的退化であり、爬虫類全体には当てはまらない進化的特性といえます。



高速ベロの他にもう一つ興味深いのは、水溜りを泳ぐヤマカガシの眼球が一度だけ左にキョロッと動いた(ように見えた)ことです。(@4:17〜) 
しかし、何度も見返すと、単にヘビが進む方向を変えた(頭部の向きを変えた)だけで、眼球が動いたように見えたのは私の錯覚(思い込み)かもしれません。 
Perplexity AIに質問すると、ヘビは基本的に眼球を動かすことはないらしい。

ヤマカガシが蛇行中に一度だけ眼球をキョロキョロ動かした行動は、ヘビの中でも一般的には珍しい動きとされています。ヘビは基本的に眼球を独立に動かすことは少なく、視野の調整は頭や体全体の動きで行うことが多いです。

しかし、ヤマカガシのような種類でも特に水中や湿地帯の環境で探索や警戒行動中に、眼球を動かして視界の細かい変化を確認しようとすることが稀に観察されます。このような動きは外界の動く物体や捕食対象の細部を精密に見極めるための補助的な機能と考えられ、珍しいものの異常ではありません。nacsj+1

したがって、キョロキョロと眼球を動かす行為は珍しいが、ヤマカガシが水中で細かく環境認識を行うための一環として自然な行動とも言えます。




つづく→

2025/11/24

夏の暑い昼間に扇風行動で巣を冷やすモンスズメバチ♀の群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 


2024年8月下旬・午後12:30頃・気温32℃ 

破風板に営巣した(引っ越してきた)モンスズメバチVespa crabro flavofasciata)のコロニーを定点観察しようと、暑い昼下がりに来てみました。 
巣の周囲では多数の蜂が飛び回り、巣に出入りしていました。 
営巣地に白昼堂々近づく私に対して警戒していたのかもしれませんが、大顎をカチカチ鳴らして警告したり私に攻撃してきたりする個体はいませんでした。 

カメラで巣口にズームインしてみると、数匹(4〜6匹)のワーカー♀が巣口の縁に陣取って外向きに並び、各自がその場で猛烈に羽ばたき続けていました。 
これは、暑い夏に巣内の温度を冷やすための扇風行動で、気温が30℃以上になると発動します。 
私が立って撮影した地点の気温を測ると、32℃でした。 
「レーザーポインタ付きの非接触式赤外線放射温度計」を持ってくるのを忘れたので、モンスズメバチの巣口の温度を測ることはできませんでした。 
気温が高くなり過ぎると育房内の幼虫や蛹が正常に発生しなくなるので、巣内に外気を送風して冷やしているのです。 
扇風行動だけでは対処できないほどの酷暑になると、水を飲んできたワーカー♀が巣内で吐き戻して湿らせ、気化熱で効果的に冷却するのだそうです。 

身繕いしながら扇風している個体もいます。 
他の外役ワーカー♀たちは続々と巣から飛び去ったり、帰巣したりしています。 

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:01〜) 
扇風行動の羽ばたきがスーパースローにするとよく見えるようになりました。 
帰巣する♀は獲物の肉団子や巣材のパルプを抱えておらず、空荷でした。 
もしかすると、外で水を飲んできて、巣を冷やすために運んできたのかもしれません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


関連記事(10年前の撮影)▶  

モンスズメバチ♀群れ@巣口:破風板a+扇風行動
モンスズメバチ巣@破風板b

破風板の裏側がどうなっているのか調べたくても、屋根裏に勝手に登ることはできませんし、そもそも私はスズメバチの攻撃から身を守る防護服を持っていません。 
横から覗いて駄目元でストロボ写真を撮ってみたら、破風板の裏側からもモンスズメバチの巣の外皮の一部が見えていました。

巣内にいるモンスズメバチ成虫の腹部の縞模様が外皮の縁から覗いて見えます。



つづく→

2025/11/04

ヌスビトハギの葉を切り抜いて巣に空輸するハキリバチの一種♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年8月上旬・午後12:10〜12:45頃・晴れ 

里山で湿地帯に接したスギ植林地の林縁で、蜂の羽音が気になりました。 
下草のヌスビトハギの小群落には、葉をくり抜いた痕跡が多数残っています。 
これはハキリバチの仲間によるしわざです。 



私がその場でじっと待っていると案の定、ハキリバチ♀がヌスビトハギの群落に飛来しました。
ハキリバチ♀は、ハエのようなプーン♪というやや甲高い羽音を立てて飛び回ります。 
クマバチやオオスズメバチが発する重低音の羽音とは明らかに違います。 

ヌスビトハギの小葉に着陸すると羽ばたきを止めます。
鋭い大顎で小葉をチョキチョキと切り始めます。 
丸く切り抜く葉片に跨って丸めながら、切り落とす間際に再び羽ばたき始め、抱えて飛び去ります。

マメ科のヌスビトハギの葉は三出複葉です。 
3枚の小葉のうち、真ん中の柄が明瞭な小葉は頂小葉ちょうしょうようと呼ばれ、残りの2枚の小葉は側小葉そくしょうようと呼ぶのが一般的です。 
ハキリバチ♀は、ヌスビトハギの頂小葉でも側小葉でも特に選り好みしないで切り抜いているようです。 

1枚の小葉から複数の葉片がくり抜かれた跡も残っています。 
緑色の葉だけでなく、黄緑の若葉も切り抜くことがありました。 
葉片の形状は色々で、卵型だったり長楕円形だったり細長く切り抜かれたりしています。 
巣穴の育房に巣材を充填する作業の進捗具合によって、必要な葉片の形状を臨機応変に変えているのでしょう。 
切り取り線は小葉の中央にある主脈を越えたり越えなかったり、まちまちです。 
小葉のどこから切り取り始めるか(葉柄に対して遠位か近位か)についても、特に決まっていないようです。 

巣材の葉片を抱えて飛び去るハキリバチ♀を追いかけようとしても、すぐに見失ってしまいました。 
営巣地がどこにあるのか突き止められませんでしたが、ハキリバチの多くは借坑性ですから、林道脇の針葉樹(スギ?)大木の樹上の虫食い穴などに巣がありそうです。 
隙間や小孔に切り取ってきた葉片を詰め込んで育房を作り、花粉団子を貯食し、その上に産卵し、葉片で育房を仕切ると、また次の育房を作り始るのだそうです。 

関連記事(5年前の撮影)▶ 借坑性ハキリバチ♀の巣の観察:2019年 


おそらく同一個体と思われるハキリバチ♀が数分ごとにヌスビトハギの群落に戻ってきて、せっせと巣材を集めて帰ります。 
蜂が次に着地しそうな葉を狙って待ち構えても、なかなか予想が当たりません。 
私が毎回カメラを近づけて接写しても、ハキリバチ♀は警戒心が薄いのか、嫌がらずに作業を続けてくれました。

林床にはヌスビトハギの他に、フジ(藤、別名:ノダフジ)の葉などもたくさん生えていました。 
しかし、このハキリバチ♀が巣材として集めるのは、ヌスビトハギの葉片だけでした。  

ちなみに、周囲でジーー♪と単調にやかましく鳴き続けているのはエゾゼミ♂(Lyristes japonicus)です。 
ウグイス♂(Horornis diphone)がホーホケキョ♪とのどかにさえずる声も聞こえます。 

ハキリバチ♀がヌスビトハギの葉を切り抜いて持ち去る様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:40〜) 
切り抜き作業中の蜂を横から見ると、腹面のスコパは白い毛が密生しているものの、花粉は付着していません。 

ハキリバチ♀は毎回几帳面に小葉を丸く切り抜く訳ではないようです。 
かなり大雑把に切り取って、クシャクシャに丸めた葉片を持ち去ることもあり、興味深く思いました。 

葉片を抱えて飛び去るハキリバチ♀の姿を流し撮りできると、スーパースローで見応えがあります。 
葉片を完全に切り抜くと、それを抱えたまま蜂は落下します。 
激しく羽ばたいて空中で体勢を立て直すと、ホバリングしながら巣の方向を見定めて、まっすぐ帰巣します。 
おそらく太陽コンパスや周囲の景色から、記憶した巣の方角を読み取っているのでしょう。 
空荷で飛ぶよりも遅くなるのは、運んでいる葉片が重いのではなくて、空気抵抗が大きいせいでしょう。 

ヌスビトハギの茎の先端にはピンクの花序が咲きかけていました。
しかし、巣材集めに忙しいハキリバチ♀がヌスビトハギに訪花することは一度もありませんでした。 
幼虫が食べる餌を集めたり、母蜂自身が栄養補給(吸蜜)する蜜源植物は、また別の場所に咲いているのでしょう。 


2年前からの宿題だった、ヌスビトハギの葉から巣材を集めるハキリバチ♀を実際にじっくり観察できて大満足です。 
巣材集め行動の細かい点でクズハキリバチとの違いを見出せませんでした。 
関連記事(5年前の撮影)▶  


さて、この蜂の名前は何でしょうか?
素人目には特徴が乏しくて、ハキリバチの種類を見分けられません。 
黒い頭楯の両側に白い部分がある(白毛が密生)ことに気づきました。 
『日本産ハナバチ図鑑』と見比べると、ツルガハキリバチ♀(Megachile tsurugensis)が候補として見つかりましたが、顔色だけでは決め手になりません。 
ちなみに、ツルガハキリバチは「本州では最も個体数の多いハキリバチ」なのだそうです。(同図鑑p330より引用) 

例えばクズハキリバチやバラハキリバチなど、好んで葉を切り抜く植物が蜂の名前に付いている種類もいます。 
しかし、ハキリバチ♀が巣材として集める植物は、蜂の種類ごとに厳密には決まっている訳ではないそうです。 
ヌスビトハギの葉を専門にくり抜く「ヌスビトハギハキリバチ」なる和名の蜂は、今のところ知られていません。 

同定のためにハキリバチ♀を採集しようか迷ったのですが、動画撮影を優先していたら、そのうちパッタリと巣材集めに通って来なくなりました。 
育房作りが一段落したのか、それとも活発に働く時間帯が日周リズムで決まっているのかもしれません。


※ 動画の素材は撮影順ではなく、適当に入れ替えています。 
※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→ 


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2025/10/26

池に跳び込んで逃げるトノサマガエル【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午後14:20頃・晴れ 

山麓の池にトノサマガエル♀♂(Pelophylax nigromaculatus)の群れが居ました。 
私が下手に近づくと、岸辺から次々と水中に飛び込んでしまいます。 

慎重に近づいて撮ると、♂が池の浅い岸辺で水に浸っていました。
背中の正中線が濃い黄緑色なので、♂と分かります。 
喉をヒクヒクと軽く動かしているものの、警戒しているのか鳴き声を発していません。 

ふと私の足元を見ると、背中の正中線の縦筋が白っぽい♀を岸辺に発見。 
草むらに隠れて気づきませんでした。
池の中央を向いていて、いつでも池に飛び込める体勢です。 
ジャンプする瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:23〜) 
長靴の爪先で蹴る素振りをしたら、ようやく跳んでくれました。 
勢い良く入水し、危険を逃れました。 


2025/10/25

オモダカの花蜜を吸い飛び回るホソヒラタアブの一種♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月下旬・午後13:45頃・くもり 

今年はアイガモ・ロボットが水田の除草になぜか失敗したようです。 


それでも除草剤(農薬)を撒かずに見守っている(放置している)ところに、米農家の気骨を感じました。 
(除草に失敗したときの収量データを取ろうという農学者魂?) 
これで懲りずに水田自動抑草ロボットの改良を進めて欲しいものです。 


田んぼの中にびっしり生えた雑草に混じって、抽水植物のオモダカが白い花を咲かせています。 
雄花にホソヒラタアブ♂(Episyrphus balteatus)またはその仲間が訪花していました。 
ホソヒメヒラタアブ? 
この組み合わせは初見です。 
左右の複眼が発達し中央(頭頂部)で接していたので、♂のようです。 

ホバリング(停空飛翔)しながら吸蜜するのではなく、雄花の雄しべの葯に留まって口吻を伸ばし、蜜腺や花粉を舐めています。 
翅を半開きにしたまま花の上を歩いて移動し、色んな角度から吸蜜しています。 
訪花中は横縞模様のある腹部を上下に動かしています。 
少し飛んで横の花に移動し、吸蜜を続けます。 

ハナアブの他に、得体のしれない微小な昆虫が何匹もオモダカに訪花していました。 
撮影中は全く気づかなかったので、次回はマクロレンズで接写してみるつもりです。 
この微小な虫って何でしたっけ?(度忘れしてしまいました。) 

オモダカの横に生えたイネの葉には、害虫によって食い荒らされた食痕(虫食い跡)が残されています。 
米農家はこの食痕を見ただけで、きっと害虫の正体を推理できるのでしょう。 
(ご存知の方は教えてください。) 

ハナアブ♂がオモダカの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:27〜) 
後半は風で花が大きく揺れて飛び立ちました。 
隣の花も激しく揺れて着地できず、どこかに飛び去りました。 


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2025/10/21

ミズナラ幼木の葉から葉に飛び回り産卵するムラサキシジミ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午後12:30頃・晴れ 

里山の遊歩道沿いで翅が青く輝く美しい蝶が飛び回っていました。 
ムラサキシジミNarathura japonica)を見たのは生まれて初めてです。 

葉から葉へと忙しなく飛び回り、ミズナラ幼木の先端部にある葉芽に触角や足で触れてみて次々に調べているようです。 
撮影中は、てっきりアブラムシの甘露を舐めているのかと想像したのですが、映像を見直してもアブラムシは写っていません。 
翅表の斑紋から、この個体は♀であることが分かりました。 
どうやら産卵に適した食樹植物(ブナ科の常緑樹または落葉樹)を探索しているようです。 
ミズナラ以外の別の樹種(フジですかね?)の葉にも留まったのですが、すぐにミズナラの葉に戻りました。 
やはりミズナラが好みのようですが、なぜか産卵してくれません。
おそらく産卵に適した葉芽がなかなか見つからないのでしょう。 

横に咲いたリョウブの花で吸蜜するかと期待したのですが、一度も訪花しませんでした。
後で調べると、ムラサキシジミの成虫は花蜜をほとんど吸わず、樹液やアブラムシの甘露などを摂取するのだそうです。 

ムラサキシジミ♀の探索および産卵行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:27〜) 
いつもなら、飛び立つ瞬間だけを編集で切り取ります。
今回は意味のある探索行動も含まれていたので、カットしませんでした。 

ハイスピード動画モードに切り替えると固定焦点になるので、蝶が前後に動き回るとピンぼけになるのは仕方がありません。 
(撮りながらカメラを前後に動かしてピントを合わせる必要があるのですが、私が下手に動くと蝶が怖がって逃げてしまうので、静止して撮り続けました。) 

忙しない行動もスーパースローでじっくり観察することができました。 
羽ばたくと翅表のメタリックな青色が日光に輝いて、息を呑むほど美しいですね。 
ミズナラの葉から少し飛んでは近くの葉に移動し、足先や触角で葉芽に触れて調べています。 
葉から葉へ伝い歩いて移動することもありました。 

遂に、ムラサキシジミ♀は腹端を曲げて葉の根本の裏面に産卵したようです。(@1:34〜) 
卵から幼虫が孵化したら、すぐ近くにミズナラの葉芽があることになります。※ 
産卵行動が撮れたのはこの1回だけでした。 

※ ミズナラの芽形成サイクルを考えると、7月中旬の枝先に見られる芽は、基本的にすべて「葉芽」です。 
初夏~夏(6~8月)の時期は、すでにその年の新梢(当年枝)が伸び切りつつあり、先端や葉の付け根に次年度の葉芽が形成されつつある段階です。 
ミズナラの花は春に当年枝上に形成されるため、この時期に花芽は存在しません。 



【考察】 
(1)ムラサキシジミはゼフィルスの仲間ではない。
雑木林に生息する金属光沢が美しいシジミチョウだったので、てっきりムラサキシジミはゼフィルスの仲間だと思い込み、知ったかぶりで筆がすべりそうになりました。
念のために確認すると、ゼフィルスはミドリシジミ族の愛称であって、ムラサキシジミ族のムラサキシジミは含まれないそうです。
(危ない、危ない…。)
翅脈構造に注目した形態分類だけでなく、生活史もゼフィルスとは全く違うそうです。 
ゼフィルス類が年一化で卵越冬型であるのに対し、ムラサキシジミは多化性(年数回発生)で成虫越冬を行います。


(2)今回ムラサキシジミ♀がほとんど産卵しなかった理由についてPerplexity AIに相談してみると、他の可能性も提示してくれました。

産卵条件の未成立

ムラサキシジミは新芽や柔らかい葉柄基部を好むため、ミズナラの新芽が適度に展開していない場合は産卵を見送ることが多い。7月中旬はミズナラ新梢の成長期が過ぎて葉が硬化していることが多く、産卵に適する状態ではない可能性が高い。実際、観察例では「近くに新芽が控えていない枝では探索のみで去る」行動が確認されている。

成熟段階と時期の問題

ムラサキシジミは多化性で、7月個体群の一部は羽化直後でまだ成熟期に達していない雌が多い。産卵器官が完全に成熟する前は、産卵行動の探索だけを繰り返すことがある。そのため、見かけ上「産卵探索のようで産卵しない」行動が頻発する。気温が高い時期は交尾や体内卵形成が遅れる場合もある。


(3)南方性のチョウの分布拡大について。 
私のフィールド(山形県の多雪地帯)でムラサキシジミを見たのは生まれて初めてで、興奮しました。
本種はもともと南方系の蝶らしいです。
近年の温暖化の影響で、分布が北進しているのでしょうか?
当地で食樹探しには苦労しませんから、積雪量が減って成虫が無事に越冬できれば、もっと個体数が増えるはずです。

ムラサキシジミ(Narathura japonica)はもともと九州・四国・本州中部以南の暖地性樹林性シジミチョウだが、近年では明確に北方へ分布を拡大しており、山形県での記録も珍しいながら定着しつつあるとされる。nacsj+4

山形県での記録

山形県では2010年代以降に複数の観察が報告されており、山形市や鶴岡市など県内各地で確認例がある。特に2015年には山形市で雌の採集記録が報告され、これが「温暖化に伴う北進例」として全国的に注目された。従来、ムラサキシジミの分布北限は宮城県南部付近とされていたが、現在は山形県内にも不定期に出現している。nanyodoshoten+3

北進と温暖化の関係

日本全体でみると本種は1990年代以降に急速に北上しており、その要因として地球温暖化による冬季気温上昇が主要因と考えられている。越冬は成虫で行うため、厳しい寒さが続く地域では生存が難しかったが、近年は冬季の最低気温が上昇し、北方でも越冬可能になったとみられる。また、寄生蜂などの天敵が分布北限では未到達であり、これが繁殖成功率を高めているという研究結果もある。kpu+3

まとめ

  1. 山形県でのムラサキシジミ記録はまだ多くはないが、2010年代以降しばしば確認されるようになった

  2. その要因は、温暖化による冬の気温上昇と寄生者不在による生存率上昇が主と考えられている。

  3. 現状では散発的な発生段階だが、今後定着が進む可能性が高い。

したがって、山形県での出現はかつては稀であったが、 近年の地球温暖化と気候緩和の影響を受けた北進個体群の一部であるとみるのが妥当である。



(4)学名のシノニムについて
英語版wikipediaでは、ムラサキシジミの学名はArhopala japonicaとなっています。 
日本語版wikipediaに載っている学名(Narathura japonica)と違います。
ともに(Murray, 1875)と同じ分類学者が同じ年に発表している場合、どちらのシノニムが優先されるのでしょうか?
Perplexityに質問すると、ややこしい事情があって現在も確定していないようです。

ムラサキシジミの学名については、Narathura japonica (Murray, 1875) が現在の日本国内の分類体系(たとえば日本鱗翅学会・日本チョウ類保全協会など)で主に採用されているが、Arhopala japonica (Murray, 1875) も依然として国際的な文献では通用しており、両者は**同じ種を指すシノニム(異名)**である。digital-museum.hiroshima-u+4

分類学的経緯

もともとMurrayが1875年に発表したときはArhopala japonicaとして記載され、その後、Arhopala属を細分する見解の中でNarathura属が独立され、日本の研究者によって本種がNarathura属に移された。両属の区別点は翅脈や♂交尾器などに基づくとされるが、明確な形態的境界がないため、近年もどちらの属に置くかは研究者の体系によって異なるpteron-world

命名上の優先順位

両方とも同じ記載者Murrayおよび同年(1875)であるため、国際動物命名規約(ICZN)上では「記載時の原属名」――すなわちArhopala――が名義上の原組み合わせとして優先されるが、実際の「有効名(valid combination)」としては分類体系で採用される属名に従う。そのため、分岐学的にNarathuraを独立属と認める場合にはNarathura japonicaが有効名となり、そうでない体系ではArhopala japonicaが使用される。mizumoto-koen.blogspot+1

現行の整理

  • 日本鱗翅学会や広島大学デジタル博物館など国内主要機関では Narathura japonica (Murray, 1875) を採用。wikipedia+1

  • 海外のデータベース(EoL, GBIF, LepIndexなど)では Arhopala japonica (Murray, 1875) が主流。sugisaka.sakura+1

結論として、どちらも正しいが、属の扱いが異なるだけで同一種を指す。命名規約上の原記載は Arhopala japonica、しかし日本国内の現行標準は Narathura japonica である。



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