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2025/10/26

池に跳び込んで逃げるトノサマガエル【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午後14:20頃・晴れ 

山麓の池にトノサマガエル♀♂(Pelophylax nigromaculatus)の群れが居ました。 
私が下手に近づくと、岸辺から次々と水中に飛び込んでしまいます。 

慎重に近づいて撮ると、♂が池の浅い岸辺で水に浸っていました。
背中の正中線が濃い黄緑色なので、♂と分かります。 
喉をヒクヒクと軽く動かしているものの、警戒しているのか鳴き声を発していません。 

ふと私の足元を見ると、背中の正中線の縦筋が白っぽい♀を岸辺に発見。 
草むらに隠れて気づきませんでした。
池の中央を向いていて、いつでも池に飛び込める体勢です。 
ジャンプする瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:23〜) 
長靴の爪先で蹴る素振りをしたら、ようやく跳んでくれました。 
勢い良く入水し、危険を逃れました。 


2025/10/25

オモダカの花蜜を吸い飛び回るホソヒラタアブの一種♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月下旬・午後13:45頃・くもり 

今年はアイガモ・ロボットが水田の除草になぜか失敗したようです。 


それでも除草剤(農薬)を撒かずに見守っている(放置している)ところに、米農家の気骨を感じました。 
(除草に失敗したときの収量データを取ろうという農学者魂?) 
これで懲りずに水田自動抑草ロボットの改良を進めて欲しいものです。 


田んぼの中にびっしり生えた雑草に混じって、抽水植物のオモダカが白い花を咲かせています。 
雄花にホソヒラタアブ♂(Episyrphus balteatus)またはその仲間が訪花していました。 
ホソヒメヒラタアブ? 
この組み合わせは初見です。 
左右の複眼が発達し中央(頭頂部)で接していたので、♂のようです。 

ホバリング(停空飛翔)しながら吸蜜するのではなく、雄花の雄しべの葯に留まって口吻を伸ばし、蜜腺や花粉を舐めています。 
翅を半開きにしたまま花の上を歩いて移動し、色んな角度から吸蜜しています。 
訪花中は横縞模様のある腹部を上下に動かしています。 
少し飛んで横の花に移動し、吸蜜を続けます。 

ハナアブの他に、得体のしれない微小な昆虫が何匹もオモダカに訪花していました。 
撮影中は全く気づかなかったので、次回はマクロレンズで接写してみるつもりです。 
この微小な虫って何でしたっけ?(度忘れしてしまいました。) 

オモダカの横に生えたイネの葉には、害虫によって食い荒らされた食痕(虫食い跡)が残されています。 
米農家はこの食痕を見ただけで、きっと害虫の正体を推理できるのでしょう。 
(ご存知の方は教えてください。) 

ハナアブ♂がオモダカの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:27〜) 
後半は風で花が大きく揺れて飛び立ちました。 
隣の花も激しく揺れて着地できず、どこかに飛び去りました。 


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2025/10/21

ミズナラ幼木の葉から葉に飛び回り産卵するムラサキシジミ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午後12:30頃・晴れ 

里山の遊歩道沿いで翅が青く輝く美しい蝶が飛び回っていました。 
ムラサキシジミNarathura japonica)を見たのは生まれて初めてです。 

葉から葉へと忙しなく飛び回り、ミズナラ幼木の先端部にある葉芽に触角や足で触れてみて次々に調べているようです。 
撮影中は、てっきりアブラムシの甘露を舐めているのかと想像したのですが、映像を見直してもアブラムシは写っていません。 
翅表の斑紋から、この個体は♀であることが分かりました。 
どうやら産卵に適した食樹植物(ブナ科の常緑樹または落葉樹)を探索しているようです。 
ミズナラ以外の別の樹種(フジですかね?)の葉にも留まったのですが、すぐにミズナラの葉に戻りました。 
やはりミズナラが好みのようですが、なぜか産卵してくれません。
おそらく産卵に適した葉芽がなかなか見つからないのでしょう。 

横に咲いたリョウブの花で吸蜜するかと期待したのですが、一度も訪花しませんでした。
後で調べると、ムラサキシジミの成虫は花蜜をほとんど吸わず、樹液やアブラムシの甘露などを摂取するのだそうです。 

ムラサキシジミ♀の探索および産卵行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:27〜) 
いつもなら、飛び立つ瞬間だけを編集で切り取ります。
今回は意味のある探索行動も含まれていたので、カットしませんでした。 

ハイスピード動画モードに切り替えると固定焦点になるので、蝶が前後に動き回るとピンぼけになるのは仕方がありません。 
(撮りながらカメラを前後に動かしてピントを合わせる必要があるのですが、私が下手に動くと蝶が怖がって逃げてしまうので、静止して撮り続けました。) 

忙しない行動もスーパースローでじっくり観察することができました。 
羽ばたくと翅表のメタリックな青色が日光に輝いて、息を呑むほど美しいですね。 
ミズナラの葉から少し飛んでは近くの葉に移動し、足先や触角で葉芽に触れて調べています。 
葉から葉へ伝い歩いて移動することもありました。 

遂に、ムラサキシジミ♀は腹端を曲げて葉の根本の裏面に産卵したようです。(@1:34〜) 
卵から幼虫が孵化したら、すぐ近くにミズナラの葉芽があることになります。※ 
産卵行動が撮れたのはこの1回だけでした。 

※ ミズナラの芽形成サイクルを考えると、7月中旬の枝先に見られる芽は、基本的にすべて「葉芽」です。 
初夏~夏(6~8月)の時期は、すでにその年の新梢(当年枝)が伸び切りつつあり、先端や葉の付け根に次年度の葉芽が形成されつつある段階です。 
ミズナラの花は春に当年枝上に形成されるため、この時期に花芽は存在しません。 



【考察】 
(1)ムラサキシジミはゼフィルスの仲間ではない。
雑木林に生息する金属光沢が美しいシジミチョウだったので、てっきりムラサキシジミはゼフィルスの仲間だと思い込み、知ったかぶりで筆がすべりそうになりました。
念のために確認すると、ゼフィルスはミドリシジミ族の愛称であって、ムラサキシジミ族のムラサキシジミは含まれないそうです。
(危ない、危ない…。)
翅脈構造に注目した形態分類だけでなく、生活史もゼフィルスとは全く違うそうです。 
ゼフィルス類が年一化で卵越冬型であるのに対し、ムラサキシジミは多化性(年数回発生)で成虫越冬を行います。


(2)今回ムラサキシジミ♀がほとんど産卵しなかった理由についてPerplexity AIに相談してみると、他の可能性も提示してくれました。

産卵条件の未成立

ムラサキシジミは新芽や柔らかい葉柄基部を好むため、ミズナラの新芽が適度に展開していない場合は産卵を見送ることが多い。7月中旬はミズナラ新梢の成長期が過ぎて葉が硬化していることが多く、産卵に適する状態ではない可能性が高い。実際、観察例では「近くに新芽が控えていない枝では探索のみで去る」行動が確認されている。

成熟段階と時期の問題

ムラサキシジミは多化性で、7月個体群の一部は羽化直後でまだ成熟期に達していない雌が多い。産卵器官が完全に成熟する前は、産卵行動の探索だけを繰り返すことがある。そのため、見かけ上「産卵探索のようで産卵しない」行動が頻発する。気温が高い時期は交尾や体内卵形成が遅れる場合もある。


(3)南方性のチョウの分布拡大について。 
私のフィールド(山形県の多雪地帯)でムラサキシジミを見たのは生まれて初めてで、興奮しました。
本種はもともと南方系の蝶らしいです。
近年の温暖化の影響で、分布が北進しているのでしょうか?
当地で食樹探しには苦労しませんから、積雪量が減って成虫が無事に越冬できれば、もっと個体数が増えるはずです。

ムラサキシジミ(Narathura japonica)はもともと九州・四国・本州中部以南の暖地性樹林性シジミチョウだが、近年では明確に北方へ分布を拡大しており、山形県での記録も珍しいながら定着しつつあるとされる。nacsj+4

山形県での記録

山形県では2010年代以降に複数の観察が報告されており、山形市や鶴岡市など県内各地で確認例がある。特に2015年には山形市で雌の採集記録が報告され、これが「温暖化に伴う北進例」として全国的に注目された。従来、ムラサキシジミの分布北限は宮城県南部付近とされていたが、現在は山形県内にも不定期に出現している。nanyodoshoten+3

北進と温暖化の関係

日本全体でみると本種は1990年代以降に急速に北上しており、その要因として地球温暖化による冬季気温上昇が主要因と考えられている。越冬は成虫で行うため、厳しい寒さが続く地域では生存が難しかったが、近年は冬季の最低気温が上昇し、北方でも越冬可能になったとみられる。また、寄生蜂などの天敵が分布北限では未到達であり、これが繁殖成功率を高めているという研究結果もある。kpu+3

まとめ

  1. 山形県でのムラサキシジミ記録はまだ多くはないが、2010年代以降しばしば確認されるようになった

  2. その要因は、温暖化による冬の気温上昇と寄生者不在による生存率上昇が主と考えられている。

  3. 現状では散発的な発生段階だが、今後定着が進む可能性が高い。

したがって、山形県での出現はかつては稀であったが、 近年の地球温暖化と気候緩和の影響を受けた北進個体群の一部であるとみるのが妥当である。



(4)学名のシノニムについて
英語版wikipediaでは、ムラサキシジミの学名はArhopala japonicaとなっています。 
日本語版wikipediaに載っている学名(Narathura japonica)と違います。
ともに(Murray, 1875)と同じ分類学者が同じ年に発表している場合、どちらのシノニムが優先されるのでしょうか?
Perplexityに質問すると、ややこしい事情があって現在も確定していないようです。

ムラサキシジミの学名については、Narathura japonica (Murray, 1875) が現在の日本国内の分類体系(たとえば日本鱗翅学会・日本チョウ類保全協会など)で主に採用されているが、Arhopala japonica (Murray, 1875) も依然として国際的な文献では通用しており、両者は**同じ種を指すシノニム(異名)**である。digital-museum.hiroshima-u+4

分類学的経緯

もともとMurrayが1875年に発表したときはArhopala japonicaとして記載され、その後、Arhopala属を細分する見解の中でNarathura属が独立され、日本の研究者によって本種がNarathura属に移された。両属の区別点は翅脈や♂交尾器などに基づくとされるが、明確な形態的境界がないため、近年もどちらの属に置くかは研究者の体系によって異なるpteron-world

命名上の優先順位

両方とも同じ記載者Murrayおよび同年(1875)であるため、国際動物命名規約(ICZN)上では「記載時の原属名」――すなわちArhopala――が名義上の原組み合わせとして優先されるが、実際の「有効名(valid combination)」としては分類体系で採用される属名に従う。そのため、分岐学的にNarathuraを独立属と認める場合にはNarathura japonicaが有効名となり、そうでない体系ではArhopala japonicaが使用される。mizumoto-koen.blogspot+1

現行の整理

  • 日本鱗翅学会や広島大学デジタル博物館など国内主要機関では Narathura japonica (Murray, 1875) を採用。wikipedia+1

  • 海外のデータベース(EoL, GBIF, LepIndexなど)では Arhopala japonica (Murray, 1875) が主流。sugisaka.sakura+1

結論として、どちらも正しいが、属の扱いが異なるだけで同一種を指す。命名規約上の原記載は Arhopala japonica、しかし日本国内の現行標準は Narathura japonica である。



以上の調べ物でPerplexity AIをフル活用し、とても勉強になりました。(スレッド12




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2025/10/19

獲物を待ち伏せ中に身繕いするヒメキンイシアブが飛び立つまで【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午後14:20頃・くもり 

里山の急斜面をつづら折れで登る山道で、見慣れないアブを見つけました。 
ユキツバキの群落に混じって生えているオオバクロモジ灌木の葉に乗っています。 
撮った写真をGoogleレンズで画像検索してもらうと、ヒメキンイシアブChoerades japonica)と正体が判明しました。 
いつもお世話になっている「ムシヒキアブ図鑑サイト」に掲載された標本写真を参照すると、ヒメキンイシアブは複眼の形状に性差はないようです。 
腹部に黄色と黒の鮮やかな横縞模様があるのは、「24時間戦える勇気のしるし」ではなくて、ハチに似せた警告色(またはベーツ擬態)なのでしょう。 
私も初めは黒い蜂かと思いました。

どうやら獲物を待ち伏せしているようで、辺りをキョロキョロと油断なく見回しています。 
6本足で葉の上に立ったまま一歩も動かないのですが、待ち伏せ中はトンボのように首をグリグリ動かすだけでなく、全身を少しねじって、何か虫が飛来する度に向き直ることもありました。 

ときどき前脚で顔(複眼)を拭ったり、左右の前脚を互いに擦り合わせたりして、身繕い(化粧)しています。 

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:19〜) 
いきなり左へ飛び去り、戻ってきませんでした。 
狩りの成否は不明です。


【追記】 
この個体の性別が私には分からないのですが、♂だとすると、縄張りを張って♀を待ち伏せしていたのかもしれません。



2025/10/17

オオバギボウシの花で穿孔盗蜜を繰り返すクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午前10:30頃・くもり 

郊外の道端の花壇に咲いたオオバギボウシの群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
クロマルハナバチやニホンミツバチと違い、クマバチ♀は太っちょでオオバギボウシの花筒に潜り込めず口吻も短いので、正当訪花しないで盗蜜を繰り返しています。 
花筒の根本を外側から大顎で噛むのではなく、口吻を突き刺して穿孔し、蜜腺から花蜜を盗んでいました。 

クマバチ♀が飛び去ると、オオバギボウシ花筒の根本に穿孔跡(盗蜜痕)が残っているのが見えます。 
花筒の根元にちょっと留まるだけで、すぐに次の花へ飛び立つことがあります。 
おそらく穿孔跡がある花を避けているのでしょう。 (もう先客が盗蜜したせいで花蜜は残っていないから)

雄しべの葯に触れることはないので、当然ながらクマバチ♀の体表に花粉は付着していませんし、後脚の花粉籠は空荷です。 

クマバチ♀の穿孔盗蜜行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:01〜) 
複数個体を撮影。 


関連記事(5、11年前の撮影)▶  


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2025/10/07

オオバギボウシの花から花粉を集めるセイヨウミツバチ♀【ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午前10:30頃・くもり 

郊外の畑の端にある花壇に咲いたオオバギボウシの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

240-fpsのハイスピード動画で撮ってみたら、セイヨウミツバチ♀は正当訪花でオオバギボウシの花筒に潜り込んだものの、なぜか集粉しただけで吸蜜しませんでした。 
この個体は、雄しべに留まって葯から花粉を集めてから飛び去りました。

2025/10/01

オオバギボウシの花で採餌するクロマルハナバチ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午前10:25頃・くもり 

郊外で道端の花壇にずらりと咲いたオオバギボウシの大群落でオオバギボウシオオマルハナバチBombus hypocrita)のワーカー♀がせっせと訪花していました。 
毎回、正当訪花を繰り返して吸蜜・集粉しています。 

後脚の花粉籠が空荷の個体と、橙色の花粉団子を付けている個体がいました。 
花筒に潜り込んで吸蜜すると、腹面が雄しべに触れてオオバギボウシの花粉が付着します。 
次の花に潜り込むと、その花粉が雌しべに授粉するのです。 
雌しべの先端部が上向きに湾曲しているのは、そのためです。
クロマルハナバチはときどき毛繕いして体毛に付いた花粉を後脚の花粉籠に移します。
花蜜ととも花粉団子を巣に持ち帰り、幼虫の餌にするのです。 

関連記事(11年前の撮影)▶ オオバギボウシに訪花するクロマルハナバチ♀ 

ギボウシの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:07〜) 
複数個体を撮影。 

ちなみに、花壇の奥に見えているのはアスパラガス畑です。


※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2025/09/15

池で単独連続打水産卵するオオシオカラトンボ♀と警護飛翔する♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午前11:40頃・晴れ 

里山にあるモリアオガエルに繁殖池に来てみると、最近雨が降ってくれたおかげで池の水量が増していました。 
対岸付近の水面で打水産卵するトンボ♀を見つけました。 
体色が性的二型のトンボで、黄色の♀が単独で打水産卵する間に、水色の♂が近くをホバリング(停空飛翔)しながら♀を警護していました。 

同定用の写真を撮るよりも産卵行動を記録する動画を優先したのですが、動きが速くてしっかり合焦できませんでした。 
シオカラトンボ、シオヤトンボなどと迷ったのですが、打水産卵する♀の透明な翅の根元が黒かったので、オオシオカラトンボOrthetrum triangulare melania)の♀♂ペアと確定しました。 警護する♂は撮影アングルの問題で翅の根元が見えませんでした。
(シオヤトンボは成虫の出現時期と、腹部の色の違いから却下。) 

(オオシオカラトンボの)♀は単独で浅い水面を打水し、腹端ですくい上げた水と卵とを前方に飛ばす。♂は付近を飛んで警護することが多い。(ネイチャーガイド『日本のトンボ』p483より引用) 

関連記事(12年前の撮影)▶ オオシオカラトンボ♀ 


生物関連の本の中でも、たとえありふれた普通種でも一種類の生き物に絞って生活史や行動生態を徹底的に調べて渾身の一冊にまとめた本を私は好みます。 
そんな本の一つ『シオカラトンボ (カラーサイエンス 12)』によると、
・交尾のあとすぐに、めすは、水のなかに産卵します。このとき、おすはめすのまわりととんで見はります。 
・水草のはえた池や沼では、めすが卵を水てきといっしょに水草にむかって、腹のさきでとばして、産卵します。 (p30〜31より引用)
1985年に発行された40年前の古本ですが、交尾の連続写真(当時は高速連写できないので苦労して撮り貯めたカラー写真を再構成した組写真)なども掲載されていて、充実した内容です。 
最近はこうしたじっくり腰を据えた本を作る余裕がなくなっているのが残念です。 


動画の冒頭では、池の水面の上を水色のトンボと黄色のトンボが高速で飛び回っています。 
異種間の縄張り争いかと思って慌てて撮り始めたので、ズームインし過ぎてしまい、すぐに見失ってしまいました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、産卵地点を探して飛び回るオオシオカラトンボ♀の後を同種の♂が追尾していました。 

黄色いトンボ♀が水面の上でホバリングしながら腹端を水面に叩きつける度に、水滴が斜め前方に飛んでいきます。 
単独で打水産卵に励む♀の近くを水色のトンボ♂が単独でホバリングしながら警護しています。 
オオシオカラトンボは、連結状態(尾繋がり)では産卵しないのです。

オオシオカラトンボ♀の連続打水産卵を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:58〜) 
♂の警護飛翔は写っていません。 

※ 晴れていてもスギ林に囲まれた池で遠くからズームインして撮影するとかなり暗い映像になったので、動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




【考察】 
いつものようにPerplexity AIと問答を繰り返して、産卵行動についてブレインストーミングしました。 
トンボの種類をオオシオカラトンボと絞り込む手助けもしてくれました。 

オオシオカラトンボ♀の卵は、打水の度に前方に飛んでいく水滴の中に含まれているのか、それとも打水した瞬間に水中に沈むのか、どちらなのでしょうか?

打水産卵時の卵の挙動
オオシオカラトンボの打水産卵(飛水産卵)では、腹端を水面に打ち付けると同時に卵と水滴を一緒に前方へ飛ばす行動がみられます。

このとき腹端で水面をすくい上げた小さな水滴の中に卵が含まれていて、その水滴ごと水面の前方(浅瀬や水草の周辺)に飛ばされる、というのが標準的な解釈です。

連続して打水するので、水面には多数の小さな水滴が弧を描きながら飛び、卵もこれに含まれて飛ばされます。

詳細と補足
水滴は水面に再び落ちる際、その中に入った卵も一緒に着水し、そのまま水中に沈みます。

写真や動画の高精度な観察でも、「水滴の中に卵が混じって飛んでいる」様子が確認されており、水滴の色が微妙に濁る・色づく場合は卵塊が含まれているためとされています。

水滴の一部が透明、他がうっすら褐色の場合、褐色の水滴の方に卵や卵塊が多く含まれる状況が観察されています。

まとめ
オオシオカラトンボ♀の打水産卵では、卵は打水によってできた小さな水滴に包まれて飛び、水滴ごと前方へ飛ばされた後、水面に落ちてそのまま水中に沈みます。打水と同時に水中に直接沈むのではなく、「水滴の中に入って飛ぶ→水面に再落下して水中へ沈む」が基本の流れです。

この産卵様式は、卵をなるべく広範囲にばらまき、外敵からの(食卵)リスクを減らすためのものと考えられています。

今回私が観察した事例では、オオシオカラトンボ♀は池の浅いところから岸に向かって水滴を繰り返し飛ばしていました。
この時期は雨量が少なく池は干上がりつつあったので、卵の生存率を上げるには岸(陸上)ではなく池の中央に向かって水中に産むべきではないでしょうか?

オオシオカラトンボ♀が池の浅瀬から岸に向かって水滴を飛ばす産卵行動は、たしかにご指摘のように「池の干上がりが進む時期、水面から離れた場所では卵が孵化や発生に適さなくなる恐れ」があります。実際、トンボの打水産卵は卵を水滴と一緒に前方へ飛ばし、より広範囲かつ適した場所に分散する意味があると考えられていますが、どの程度「着水するか」は水位や池の地形、個体の打水角度など自然条件によって変動します。

トンボの産卵行動の研究では、

普段は卵を確実に水面に落下させることが繁殖戦略ですが、池が干上がりつつあるなどの極端な状況では、必ずしも全ての卵が生き残るわけではなく、生存率の低下は避けられません。

メスは本能的には「水面やその近く」で産卵しますが、水位が低くなっている場合、結果的に一部の卵が水際から外れるリスクも発生します(環境把握能力には限界があります)。

しかし、トンボは基本的に当日の池の状態(少なくとも「目で見て水がある範囲」)を選ぶ能力が備わっていると考えられており、一定の確率で着水しない場所にも卵が飛ぶことも想定内です。干上がりの進行など短期間の変動には柔軟に対応しきれないため、「池の縁」に産み落とされた卵は水位低下で生存率が下がる可能性が高いですが、これは自然環境下でトンボが常に抱えるリスクでもあります。

まとめると、「池の水位が極端に下がると卵の生存率が低下しうる」ことはその通りですが、オオシオカラトンボの産卵行動はあくまで通常状態の水辺環境を前提に進化しており、池が干上がる非常時に完全対応するものではありません。生存率の確保には、産卵タイミング・場所選択・環境変動すべてが影響します。

産卵時の水位が高ければほとんどが水面に着地し高い生存率となりますが、干上がりが進めば一部は陸地に落下し孵化できず死亡します。

トンボは水面に産みつけようとしますが、環境条件が変動する以上「最大多数を水辺に着地させる」戦略しかとれません。

したがって、今回ご覧になったような状況は、生態的にはごく普通に見られる現象であり、トンボの本能的な産卵行動が必ずしもその年の最適条件に対応できないという自然界の一断面ともいえます。

それなら、オオシオカラトンボの卵や幼虫(ヤゴ)は乾燥に対して強い(耐性がある)のでしょうか?
卵の乾燥耐性
トンボ類の卵は一般に産卵直後は乾燥に弱いですが、発生が進み眼点(発生初期の目のような構造)が現れるまではやや耐乾性が低い一方、発生が進むと乾燥耐性がかなり強くなります。

水田や池が一時的に干上がっても、多くの種で卵は土や泥の中でかなりの乾燥や低温に耐えて春になり、水が張られると孵化することが可能です。

オオシオカラトンボの卵もこの耐乾性を持ち、通常の内陸のため池などで冬期に水が抜かれて乾燥状態が続いても、生き残れるケースがあり、これは稲作地帯のシオカラトンボなどとほぼ同等の能力とみなされます。

ヤゴ(幼虫)の乾燥耐性
幼虫(ヤゴ)は卵ほどの乾燥耐性はありませんが、冬季の低温下では、ある程度の乾燥や池干しにも耐えられることが知られています。

泥の中に深く潜ったり、落ち葉の下に隠れるなどして、一時的な湿泥状態なら生存できる場合もあります。

ただし高温期(春~夏~初秋)に完全な乾燥に晒されると生き残れないことがほとんどで、特に羽化直前の終齢幼虫などは乾燥に極めて弱いです。冬季など休眠に近い低代謝の状態だとやや耐えやすいですが、卵期ほどの耐性はありません。

まとめ
卵期の乾燥耐性は高く、池や水田の“冬期干上げ”程度には十分に耐える能力がある。

ヤゴは卵ほど乾燥に強くないが、泥の中など湿り気がごくわずかに残る状況では冬季~早春に一時的な乾燥に耐えられる場合もある。

一方、完全な乾燥(土がカチカチに乾く状態)が長期間続くと、幼虫はほとんど死滅してしまう。

多くの日本のトンボ同様、オオシオカラトンボも水辺の環境変動にある程度耐える進化をしていますが、耐性の「強さ」は卵>幼虫の順です。

トンボの♂が産卵しているパートナー♀をライバル♂から守るためには、交尾後も尾繋がりの状態を保ってペアで産卵するのが最善であるはずです。
なぜオオシオカラトンボ♂は連結を解除した状態で♀の警護飛翔をするのでしょうか?
「尾繋がりの状態で連結打水産卵するのでは産卵しにくくて仕方がない」とオオシオカラトンボ♀がたとえ感じたとしても、首根っこを掴まれた♀は自分の意志では連結を解除することが出来ません。
つまり産卵中に連結するかしないかは、♂が選択した結果なのです。
むしろ、オオシオカラトンボ♂が連結しないのは♂が浮気性だからと考えられます。
たとえ警護飛翔中でも、産卵池に別個体の同種♀が飛来したら、♂はただちに新しい♀を捕獲して交尾を試みることが(私は未見ですが)報告されているそうです。
以下はPerplexityによる回答です。
オオシオカラトンボの単独産卵と♂の警護飛翔の進化・行動の実態については、実際の現場行動と繁殖戦略の両面からもっと複雑な説明が必要です。

連結解除の主導は♂
トンボ類の多くでは交尾後、♂が自発的に連結を解除して♀を離す行動が観察されています。

これは交尾後に♀が産卵に移る時点で、連結保持による直接監督より、効率的な交尾回数増加や他の♀探索への戦略を取るためです。

つまり、単独打水産卵への切り替えは、進化的には♂側の交尾戦略(浮気的=複数の♀との交尾へ)や他の♀に対する即応性の高さの副産物です。

警護飛翔中の♂の行動
産卵警護中でも、池に新たな♀が現れると、警護していた♂は即座に警護中の♀を見捨て、新到着♀にアタックし連結しようとする行動が頻繁に報告されています。

トンボ♂は「警護」と「新たな交尾相手獲得」を状況ごとにスイッチしやすく、どちらかといえば「新たな♀優先」になる傾向が強いです。

進化的意義
単独産卵を可能にしたのは**♀の進化的自由ではなく、♂の浮気行動(頻繁な交尾機会探索)や多数交尾戦略に由来**します。

産卵警護は「自分の精子で産ませたい」気持ちの表れですが、より生殖成功率を高めるためには、他の♀の出現時に即座に乗り換える「浮気性」が同じくらい重要です。

観察・実験例
産卵池では、同時に複数ペアが産卵行動をとり、♂が急に警護♀から新たな♀に乗り換える現象が容易に再現・観察できます。

男女双方の利害一致ではなく、主に♂の多回交尾・浮気性・交尾機会争取戦略によって形づくられていると考えられます。

要するに、オオシオカラトンボの警護産卵と連結解除の主因は「♂の浮気性や交尾回数の最大化欲求」と見る方が、生態的現象の実態により近いです。ご指摘の通り、産卵警護中でも♂は新規到着の♀に即反応して乗り換えるため、「本当に守っている」のは縄張りと交尾機会だけであり、♀自身や受精卵に対する献身的防衛ではありません。

トンボは種類によって産卵行動が多様です(打空産卵、打水産卵、連結産卵、単独産卵など)。 
比較行動学と分子系統分類学を組み合わせると、トンボの産卵行動がどのような順序で進化してきたか推測できるだろうか?  
それとも、産卵行動はトンボの系統とはあまり関係なくて、収斂進化の結果だろうか?

比較行動学と分子系統分類学を組み合わせることで、トンボの産卵行動の進化順序を「かなりの程度」推測することは可能ですが、産卵行動の多様性は必ずしも系統樹のパターンにきれいに一致せず、**収斂進化(独立進化)も非常に多い**ことが明らかになっています。[1][2][3]

### 行動形態と系統の対応

- トンボの産卵行動には「静止接触産卵」「静止非接触産卵」「飛翔接触産卵」「飛翔非接触産卵」など複数の基本タイプがあり、各グループごとに特徴的な行動パターンを示します。[1]
- たとえば、イトトンボ科やアオイトトンボ科は連結潜水産卵や組織内産卵が典型で、ヤンマ類やアカトンボ類は空中からの打空産卵・連結打水産卵、トンボ科は♀単独の打水産卵が多いなど、類縁ごとの偏りがあります。[2][3]

### 分子系統分類学との比較

- 最新の分子系統樹による分析では、こうした産卵行動パターンが「一度だけ進化し、系統的に保存されている」場合と、「複数回、異なる系統で独立進化した(収斂進化)」場合の両方が認められています。[1]
- 一部の行動(例:組織内産卵や連結打水産卵)は比較的原始的な形質とされ、複数の系統にわたって保存されている傾向がありますが、**打水産卵や打空産卵など「目立った派生行動」は、異なるグループ間で独立に進化したと推測されるものが多い**です。[3][1]

### 収斂進化の具体例

- たとえば「打空産卵」はアカトンボ類だけでなく他の科にも現れ、「単独打水産卵」も様々な系統で発達しており、同じ行動が系統的に遠いグループでも発現します。[2][1]
- これは生息環境や繁殖戦略、生存率向上など外部要因による適応が大きく関わっているためと考えられています。

### 結論

- 比較行動学と分子系統分類学を合わせれば「祖先形質」「系統保存された行動」「収斂的な適応」の判別が可能ですが、**産卵行動の多くは複数回・多系統で独立進化した例が多く、単純な祖先―派生の直線的な進化とは限りません**。[3][2][1]
- したがって、「産卵行動の進化順序は系統ごとに異なる分岐と収斂の複合」と解釈するのが現在の理解です。

 


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2025/09/13

ナンテンの花粉を集めて回るクマバチ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午後14:40頃・晴れ 

田園地帯の農道と民家の庭との境界に植栽されたナンテンキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
耳を澄ますと、重低音の羽音がかすかに聞こえます。 

関連記事(2年前の撮影)▶ ナンテンの花で採餌するクマバチ♀


蜂の動きがあまりにも忙しないので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@0:23〜) 
訪花中の蜂が触れると、ナンテンの白い花弁が次々と散ってしまいます。 
吸蜜するクマバチ♀をよく見ると、後脚の花粉籠に薄っすらと黄色い花粉団子を付けていました。 
飛びながら空中で後脚を互いに擦り合わせています。 
体毛に付着した花粉をまとめて、花粉籠に移しているのです。 
後脚の花粉籠に黄色い花粉団子がうっすらと付着しています。 
花粉籠があることと、顔の頭楯が黒いことからも、♀と分かります。

ところで、ナンテンの若葉や茎は夏でも赤いのですね。

2025/09/09

ハラビロトンボ未成熟♂の飛び立ち【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午前10:50頃・晴れ 

里山で山道を登っていると、見慣れない黒いトンボを見つけました。 
後でトンボの図鑑を調べてみると、ハラビロトンボLyriothemis pachygastra)の未成熟♂と判明。 

ススキの葉に留まり、翅を深く下げて休んでいます。 
巨大な複眼で覆われた頭部をグリグリ動かして、周囲を油断なく見張っています。 
口器をもぐもぐ動かすこともありました。 

顔面の額上部に青色の金属光沢がありました。 
腹部に副性器が見えたので、♂でした。 

飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:25〜) 
帽子を投げつけると、真上に飛び立ち、同じ葉には戻って来ませんでした。 

逃げたハラビロトンボ♂は、近くのヨモギの葉に留まり直していました。 
水平の止まり場で翅を深く下げて休んでいます。 
もう一度帽子を振って、飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮りました。(@1:07〜) 
今度は左上へ飛び去りました。 


2025/09/07

ムラサキツメクサの花蜜を吸い飛び回る春型のキアゲハ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年6月中旬・午後15:00頃・晴れ 

湿地帯の端に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落で春型のキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が訪花していました。 
口吻を差し込んで吸蜜している間もキアゲハ♀は小刻みに羽ばたき続けてバランスを取っています。 
風が吹いてムラサキツメクサの頭花が揺れても、しっかりしがみついて吸蜜を続けます。 
風が止んで落ち着くと、羽ばたきを止めて吸蜜することもありました。

キアゲハ♀がムラサキツメクサの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:37〜) 



吸蜜の合間に、近くに自生するヨモギ(キク科)の葉にキアゲハ♀が一瞬だけ着地するのを目撃しました。(映像なし) 
産卵に適したセリ科の食草かどうか、触れて確認したようです。


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2025/09/03

向かい合ってペアで並ぶフタツメオオシロヒメシャク(蛾)の謎【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2025年6月中旬・午前10:00頃・晴れ 

里山(低山)の雑木林を抜ける細い山道で白い蛾がイタヤカエデ幼木の葉に止まっていました。 
結構レアな蛾なのに、同種と思われる大小2頭の個体が向かい合って同じ葉に静止しているのが不思議でした。 
前翅の前縁だけを互いに接しています。 
♀♂ペアが求愛行動の最中なのかと思いきや(まさに「お見合い」?)、全く動かず、交尾には至りませんでした。 
フタツメオオシロヒメシャクは触角の形状で雌雄を見分けられるらしいのですが、今回の静止状態ではともに前翅の下に触角を隠しているので、性別は不明です。 
触角も脚も見えません。 
大きさに性的二型があるのかな? 
なんとなく、左の大きな個体Lが♀で、右の小さな個体Rが♂ではないかと勝手に推測したのですが、定かではありません。 
後述するように、今回成虫が留まっていたイタヤカエデはフタツメオオシロヒメシャク幼虫の食餌植物ではありません。

求愛行動ではなく集団ねぐらだとしたら、ちょっと面白い話です。
白い翅の蛾は森の中でよく目立つので、寝るときに群れを形成すれば、捕食者に襲われる確率を少しでも減らせるはずです。
2頭が向かい合って並ぶことで、前翅にある眼状紋の威嚇効果を高めているのでしょうか。

動きが乏しいと動画ブログのネタになりませんから、飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:21〜) 
まずは物を投げつけてみました。 
イタヤカエデの幼木に物がぶつかって葉が揺れても、蛾の反応は鈍く、葉に止まったままで逃げようとしませんでした。(映像は割愛。) 
仕方がないので、次は蛾に直接触れてみることにしました。 
右手の中指で右の個体R♂?の左後翅にそっと触れると、準備運動無しですぐに飛び立ちました。 
もう1頭もつられて(連鎖反応で)飛び立つかと予想したのですが、意外にもイタヤカエデの葉の上に居残っていました。 
続けて左の個体L♀?の右前翅に触れると、すぐに飛び去りました。 

力強く羽ばたいて慌てて逃げる様子をスーパースローで見ても、残念ながら触角の形状は分かりませんでした。 
性別を知るには、一時的にでも捕獲・採集しないといけないようです。 


今回、蛾の同定には『くらべてわかる蛾 1704種』という図鑑のp62を参考にしました。 
「小型で後翅の紋が薄め」というキャプションも考慮してフタツメオオシロヒメシャクProblepsis albidior matsumurai)が一番似ていたのですが、「暖地性」という記述が気になりました。 
Perplexity AIに相談してみると、
フタツメオオシロヒメシャクは本来南方系の蛾で、暖地性とされており、従来は九州以南でよく見られ、本州の温暖な地域にも分布しています。しかし、最近の温暖化の影響で、九州以北の地域にも生息域を拡げているという記録があります。 山形県などの北国でも、近年の気候変動による温暖化で成虫が見られる可能性が高まっていると言えます。6月中旬の山形県の里山での観察も、温暖化の影響が関わっている可能性があるため、暖地性でありながら見られることは十分にありえる状況です。 まとめると、山形県には以前は分布していなかった種かもしれませんが、近年の温暖化に伴い北上し、見られるようになったと考えるのが妥当です.
フタツメオオシロヒメシャクの食餌植物はモクセイ科らしいのですが、私のフィールドで自生するモクセイ科の樹木はマルバアオダモぐらいしか思いつきません。 
里の人家近くの環境ではトウネズミモチやキンモクセイなどが植栽されているので、それらを利用しながら分布を広げている(北上中)のかもしれません。 

それとも、フタツメオオシロヒメシャクと同定した私の判断が間違いですかね? 


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2025/08/31

電線で交尾するスズメ♀♂【野鳥:ハイスピード動画】

 

2025年8月上旬・午前9:45頃・晴れ 

郊外の住宅地で電線に留まったスズメPasser montanus)の♀♂つがいが交尾をしていました。 
一方の個体だけが相手の横で翼を小刻みに震わせ続けていました。 
初め私は、てっきりスズメの幼鳥が親鳥に餌乞いしているのかと思ったのですが、交尾を始めたのです。 
後で動画をじっくり確認すると、2羽とも成鳥でした。 

慌てた私がカメラ操作を誤り、ハイスピード動画で撮り始めてしまいました。 
青空を背景に逆光気味だったのでカメラのバックモニターが見えづらく、ほとんど勘で撮ったので、最後まで私は自分のミスに気づきませんでした。 
(こういうときは、カメラの液晶画面を見るのではなくファインダーを覗きながら撮影すべきでした。)
スズメが交尾時に特有の鳴き声を発していたのに、ハイスピード動画では録音されない仕様なので残念無念。 
♀♂どちらの個体が鳴いていたのか不明です。(鳴くのは多くの場合♂らしい。) 
しかし今回はスズメの短い交尾行動をスーパースローで記録できたので、それはそれで満足です。 
交尾を記録したハイスピード動画が細切れで終了したのは、いつものように高画質のFHD動画で撮っていると勘違いしたままの私が良きところでスナップショット(静止画)を何枚も撮ってるつもりだからです。 

関連記事(4、5年前の撮影)▶  


2羽のスズメのうち、♂だけが終始、全身の羽毛を逆立てていました。
一方、♀の羽毛は普通でした。
よく晴れていて無風の条件だったので、風で♂の羽毛がなびいたり乱れたりしたのではありません。 
♂が性的に興奮したり緊張したりしている証かもしれません。
全身を大きく見せて♀にアピールする効果もありそうです。 

♂が♀の背から降りる度に、♀は電線を伝って右へ右へと移動します。 
♂は小刻みに羽ばたきながら♀を追いかけ、再び♀の背に飛び乗って交尾を挑みます。 

哺乳類の交尾と違って、鳥の♂は♀に背後からマウントしながら♀の首筋を咥えて保定する(バランスを取る)ことはありません。 
今回のスズメ♂が羽ばたき続けているのは、♀の背中という不安定な足場でバランスを取りながら交尾するためでしょう。
ただし、比較的安定した電線に降りたときにも♂は羽ばたきを続けていました。 (求愛誇示?)

交尾という熟語を構成する字の通り、確かに♀と♂の尾羽根が互いに交差しています。 
鳥の♂は陰茎を持たないので、交尾するときは総排泄孔をお互いに触れ合って精子を♀に渡すことになっています。 
電線の下から見上げるように撮影したので、スズメの総排泄孔を♀♂ともにしっかり観察できたのですが、尾羽根を何度も交差したのに総排泄孔は触れ合っていません。 
したがって、交尾試行を繰り返したものの、厳密に言うと交尾は失敗したようです。 
♂が♀にマウントし尾羽根を交差しているときに、♀が体を横に少しひねって(あるいは尾羽根のひねり・持ち上げ)協力しない限り、総排泄孔が触れ合って精子を受け渡すことは無理です。 
今回のスズメ♂は、♀の尾羽根の根元の背側に総排泄孔を擦りつけていましたが、そこに付着した♂の精子が自力で蠕動運動して♀の総排泄孔まで辿り着くのは不可能です。
つまり♀が協力姿勢を取らない限り、いくら尾羽根を交差した時間や回数が多くても、交尾は成功しません。

鳴き声が録音されていない無音のスーパースロー動画を見る限り、スズメ♀は♂を誘っているようには全く見えません。
今回♀は電線に身を伏せて♂のマウントを受容しているだけでした。 
♂との交尾を激しく拒否したという程ではありませんが、交尾に非協力的でした。 
私が電線の下でカメラを構えていたので、スズメ♀は落ち着けず(真下のヒトを警戒して)、♂との交尾を拒否したのかもしれません。 

交尾を終えたスズメの♀♂ペアは互いに離れて電線に留まり、各自で羽繕いしたり体を足で掻いたりしています。 
左の♂個体は「翼震わせ」を止めたものの、依然として羽根を逆立てたままで、まだ性的興奮の余韻が残っているのかもしれません。

今回は通りすがりにたまたま撮影できたので、その後のスズメ♀♂ペアの動向は不明です。 
したがって、繁殖の進行を示す行動(スズメ♀が巣材を運んだり、♂から給餌を受けたり、雛の声がしたり、など)は確認できませんでした。


【考察】 
この記事を書くために、ChatGPTと問答を繰り返し、有益なブレインストーミングができました。 
(一方でPerplexity AIは、スズメ♂が交尾時に羽根を逆立てることをなぜか知りませんでした。)

8月上旬にスズメが交尾したのは時期的に遅くないだろうか? 
ChatGPTに問い合わせると、
スズメは1年に 2〜3回、多い場合は4回ほど繁殖 することがあります。北日本の郊外では:

第1回繁殖:4月〜5月

第2回繁殖:6月〜7月

第3回繁殖:7月下旬〜8月上旬

気温や餌の量が減り、換羽期に入ると繁殖活動は終了します。北日本では 8月中旬以降はほぼ交尾は観察されない と考えてよいです。
スズメは基本的に一夫一妻性とみなされていますが、♂がパートナーの♀の浮気(婚外交尾)を防ぐために、交尾の直前に総排泄孔から精子を掻き出すことは解剖学的に不可能です。
スズメの♂は♀をライバル♂からひたすらガードして頻繁に交尾するしか、卵や雛の父性を保証する術はありません。 

今回スズメ♀の行動は(消極的な)交尾拒否と思われます。
交尾相手の♂を選り好みしたのでしょうか?
 「交尾を試みたけど♀に拒否されて失敗した(受精できない)」ということをスズメ♂は自覚しているはずです。
交尾(試行)後の羽繕いでも♂が羽根を逆立てたままなのは、欲求不満かもしれません。 
♀がパートナー♂との交尾を拒むと、その後に♂からの給餌や縄張り防衛などを協力してもらえなくなるかもしれません。
つまり、pair-bonding(つがいの絆を保つ)の手段として交尾を形式的にでも受け入れることが必要なのでしょう。 

今回のように下から見上げる形で観察・撮影していた場合、♀にとっては「近くに潜在的な脅威あり」と感じ、自然に交尾を拒否する行動が強まった可能性が高いです。

つまり、交尾未遂は**♀の心理的・環境的要因による一時的な拒否**の結果である可能性があります。

これは♀の繁殖戦略や精子選択の意思とは直接関係せず、安全確保のための行動として理解できます。

この場合、オスの欲求不満や羽毛逆立ちも、♀の拒否に起因して生じた「未遂反応」と考えるのが自然です。

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