2019/11/30

ミズキの木を降りながら実と葉を食べるニホンザル



2019年7月下旬・午前5:55


▼前回の記事
ミズキの果実を食べるニホンザルの群れ

早朝の山麓でミズキの木に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが登って採食しています。
1頭に注目すると、枝を下に降りながら熟し始めたミズキの果実(核果)を食べていました。
途中、左手で目の前の枝葉を引き寄せ、葉を少し千切って食べました。(@0:35)
(手の動きが早くてはっきり見えなかったのですが、もしかすると葉の上に居た虫を捕食したのかもしれません。)
モグモグと動いている唇がミズキの果汁で黒ずんでいます。
その後はスルスルと幹を降りて地面に達すると、林道を走り去りました。


ニホンザル@ミズキ樹上+葉採食



クズハキリバチ♀は巣材を切り取る葉を選り好みする【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月上旬・午後


▼前回の記事
葛の葉を切り取るクズハキリバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

多数のクズハキリバチ♀(Megachile pseudomonticola)が巣材集めに通うクズの群落を見に川辺りにまたやって来ました。
どうやらクズハキリバチ♀は全く同じ葉に戻って来るのではなく、毎回適当に葉を選んで切り抜くようです。
つまり、撮影のために私が一箇所で待ち伏せしても空振りに終わります。

今回新たに分かって面白かったのは、クズの葉の切り抜き作業を中断する♀個体がときどきいることです。
交尾することしか頭にない雄蜂♂がクズ群落を飛び回っていて♀の巣材集めを妨害することがありました。
天敵のキイロスズメバチ♀も獲物を探して飛び回っています(探餌飛翔)。(映像なし)
しかし今回紹介する映像では、♂や天敵の邪魔が入ったようには見えません。
カメラを持った私が♀の邪魔をした訳でもありません。
葉片を切り取るクズの葉を自発的に選び直すことが複数個体の♀で見られました。
葉の柔らかさや瑞々しさなどを素早く吟味して、巣材としての質に満足できなかったのでしょう。

そうした巣材を選り好みする行動を1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。
葉の縁が何箇所も丸くくり抜かれたクズの葉に一瞬止まったものの、気に入らなかったのかすぐに別の葉を探しにクズの茂みへ飛び込んで行きました。
実際に切り抜くシーンは手前の葉に隠れて見えませんでしたが、しばらくすると丸く切り抜いた葉片を抱えて巣へ飛び去ります。

240-fpsのハイスピード動画でも選り好み行動が撮れました。(@1:17〜)
葉片の切り抜き作業を途中で中断して飛び立ち、場所を変えています。
引きの絵でクズの大群落を撮ったハイスピード動画でも巣材の選り好み行動が記録されていました。
画面の左下でクズハキリバチ♀がクズの葉に着陸しました。
しかし気に入らなかったようで、葉片をくり抜かず、別の葉を探しに飛び去りました。
次に登場して大きく弧を描くように画面を横切ったのは、おそらく雄蜂♂の探雌飛翔でしょう。
やがて、画面の左上の辺りから巣材を運ぶ♀がこちらに向かって飛んで来ます。

余談ですが、日向のクズの葉は暑くて日差しが強過ぎる昼間は葉を閉じてしまいます。
マメ科植物でよく見られる就眠運動ですが(ネムノキの葉が有名)、クズの群落で微速度撮影してみたら面白そうです。
巣材集めに通うクズハキリバチ♀は日向よりも日陰で開いたクズの葉に好んで集まるのかどうか、調べてみる価値はありそうです。


岩場のカルガモ幼鳥5羽を引率して池を泳ぎ去る親鳥(野鳥)



2019年7月下旬


▼前回の記事
池の岩場で羽繕いするカルガモの幼鳥5羽と岸で見守る親鳥(野鳥)

コンクリートで固めた岸の縁に立っているカルガモAnas zonorhyncha)の親鳥(おそらく♀)が、羽繕いを始めました。
右足で頭部を掻いたり、ストレッチ運動でY字バランスのような奇妙な姿勢になったりもしました。
その間も蓮池の岩場を見下ろし、幼鳥5羽の安全の見張りを怠りません。
親鳥が嘴を軽く開けてかすかに動かしているのは、下に居る幼鳥に小声で何か呼びかけているのかな?
(周囲の騒音や蝉しぐれがうるさくて、カルガモの鳴き声を聞き取れませんでした。)

やがて親鳥♀がコンクリート護岸の縁に沿って少し歩き、水面を見下ろすと羽ばたきながら蓮池に飛び降りました。(@0:35)
岩場のすぐ横にザブンと着水する様子をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。
直後に尾羽を左右に振り振り動かしています。
そのまま岩場を回り込んで幼鳥の傍らに泳いで来ました。

すると岩場の右端に座っていた幼鳥が立ち上がり、背伸びをしながら羽ばたき練習を始めました。
しかし、まだ羽根が充分に生え揃っていないので飛べません。
一方、幼鳥が外出の支度をするのを水面で待っていた親鳥♀がその場で身震いしたら、羽毛が抜け落ちて水面に落ちました。
親鳥♀が「先に行くわよ」と言わんばかりに水面を左に泳ぎ去り、ハスの茂みの奥に姿を消しました。
幼鳥も岩場から次々に入水し、親鳥の後を慌てて追いかけます。
親鳥が幼鳥を引率して、蓮池のどこかで採食するのでしょう。
いくら人馴れしていても、私が近くで長々と撮影していたのが嫌だったのかもしれません。

つづく→マダニに寄生された?カルガモ(野鳥)


カルガモ親鳥♀(野鳥)@蓮池:岸+見張り+羽繕い
ストレッチ運動?の奇妙な体勢
カルガモ親鳥♀(野鳥)+幼鳥5@蓮池:岩場+引率遊泳

2019/11/29

ニホンザル:夏の格闘遊び



2019年7月下旬

この日の早朝に山麓で遭遇した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れで観察できた格闘遊びのシーンをまとめてみました。(計3回)
殺気立った本気の喧嘩(闘争)が頻発する発情期は冬ですから、夏に見られる格闘はふざけ合いの遊び(プロレスごっこ)だと思います。
鋭い犬歯で本気で噛んだら大怪我するはずですが、この日に見た格闘では甘噛みに留めるというルールがあるらしく、流血沙汰にはなりません。
本気の喧嘩なら大声で悲鳴を上げるはずですけど、静かに格闘していました。
(周囲で絶え間なく鳴き続けるセミ時雨の高周波数のせいでニホンザルの鳴き声が聞き取りにくかったのかもしれません。)
闘争後に関係を修復したり緊張をほぐしたりするための宥和行動(毛繕いやプレゼンティングなど)はありませんでした。
こうした格闘遊び(スパーリング)を繰り返しながら群れ内の順位が次第に決まっていくのでしょう。

シーン1:午前7:05(@0:00〜)

里山の斜面で2頭が取っ組み合いをしています。
相手を組み伏せると甘噛みしています。
起き上がると素人目にも体格差、年齢差があるようでした。
親子(母子)と言うよりも兄弟ではないかという気がしたのですが、性別を見分けられませんでした。
すぐ近くに居た別の2頭が合流し、 追いかけっこが始まりました。
追われた個体は木に登って逃げたようですが、手前の藪が邪魔でよく見えません。

シーン2:午前7:46(@1:13〜)

林縁の舗装路で2頭の子猿が格闘遊びをしています。
喧嘩を止めて離れても、軽く追いかけっこしています。
林道を歩き去る後ろ姿で股間に見えるのが小さな睾丸だとすると、共に♂ですね。
遊動しながら文字通り道草を食っています。(採食行動)

画面右の斜面からさらに別個体が登場。
そのまま二頭が追いかけっこになり、激し目の取っ組み合いをしながら土手の斜面を滑り降りて行きました。
土手で首相撲のような格闘を少し続けてから、何事も無かったように別れました。

シーン3:午前8:17(@2:40〜)

画面左はハンノキ。
それに隣接したオニグルミの樹上で1頭がスルスルと降りて来ました。
下の枝で別個体と出会い頭に格闘遊びが始まりました。
やはり甘噛みしています。
離れてから右の個体がツタの絡みついた幹を幹をどんどん降りていき、林床まで降りました。


エンジュの花で探餌飛翔するコアシナガバチ♀



2019年8月上旬・午後

民家の庭で立派に育ったエンジュの大木でコアシナガバチPolistes snelleni)のワーカー♀が訪花していました。
花から花へと忙しなく飛び回っていたので、獲物のイモムシを探している(探餌飛翔)のかと現場では思いました。
しかし1/5倍速のスローモーションで見直すと、花に着陸した際に少しだけ吸蜜したようにも見えます。


コアシナガバチ♀@エンジュ訪花

2019/11/28

池の岩場で羽繕いするカルガモの幼鳥5羽と岸で見守る親鳥(野鳥)



2019年7月下旬

カルガモAnas zonorhyncha)の幼鳥が5羽、蓮池の岩場に身を寄せ合って、休んでいました。
1羽は昼寝していたのに、間に割り込もうとした隣の兄弟に押されると目を覚まし、背伸びと欠伸をしました。
幼鳥たちは自分で羽繕いするだけでなく、対他羽繕いも見られました。
右端の2羽が仲良しらしく、隣の個体の顔の辺りを羽繕いしたり相手の嘴を甘噛みしたりしている。

この日は珍しく1羽の成鳥が岸の歩道に上陸していて、蓮池を見下ろしていました。
幼鳥は未だ飛べる羽根が生え揃っていないので、おそらく親鳥♀が幼鳥の安全を近くで見守っているのでしょう。
かなり人馴れしていて、通行人が横を通ったり可愛い幼鳥の写真を撮りに来たりしても逃げずにリラックスしています。
誰か給餌するヒトがいるのかもしれません。
幼鳥がカラスや猛禽類、ネコなどの天敵に襲われないように、このカルガモ一家はわざと人通りの多いところで暮らしているような気がします。

これはツバメなどの繁殖戦略と似ており、シナントロープの一種と言えそうです。

普段この岩場は亀(クサガメとミシシッピアカミミガメ)がのんびり甲羅干し(日光浴)をしているのですが、この日はカルガモの群れが占領していて、亀は岩場に寄り付けません。
池の水中では黒い鯉が泳ぎ回っています。



つづく→岩場のカルガモ幼鳥5羽を引率して池を泳ぎ去る親鳥(野鳥)

カルガモ幼鳥5(野鳥)@蓮池:岩場+羽繕い
カルガモ幼鳥5(野鳥)@蓮池:岩場+羽繕い
カルガモ親鳥♀(野鳥)@蓮池:岸+見張り
カルガモ親鳥♀(野鳥)@蓮池:岸+見張り

ツユクサの葉を食べるオンブバッタの幼虫



2019年8月上旬・午後

河川敷の草むらでオンブバッタAtractomorpha lata)の幼虫を発見。
胸部に翅芽が見えるので、未だ幼虫です。
ツユクサの葉を一心不乱に食べていました。
双子葉植物の葉を食べるバッタを今まで私は見たことがなくて、少し驚きました。

保育社の図鑑『検索入門:セミ・バッタ』でオンブバッタの食性を調べると、

多くの種類の草を食べるが、他のバッタ類に比べるとイネ科より双子葉植物を好む傾向がはるかに強く、とくにキク科の草をよく食べる。地上より植物の上に多い。 (p48-49より引用)


wikipediaにも以下の記述がありました。

バッタ類の多くは日当たりのよい草原に生息し、イネ科やカヤツリグサ科の植物を食べるが、オンブバッタはクズ、カナムグラ、カラムシなど葉の広い植物を食べる。

ツユクサ(ツユクサ科)の葉を食べるという記録は調べても見つけられませんでした。

食べ進むにつれて、ツユクサの葉縁で食痕が少しずつ大きくなります。
隣のツユクサの葉にも食痕が2箇所ありました。

最後に私が指先でそっとオンブバッタ幼虫に触れたら跳んで逃げました。
意外と鈍感ですね。
未だ翅が生えていないので、羽ばたいて遠くまで飛ぶことはできず、ジャンプするだけです。
私の指を写し込んだことで、採寸代わりにもなっています。(大きさの比較)

※ 安物のハンディカムで撮った映像のため、画質がいまいちです。
三脚が無かったので、食害シーンを微速度撮影で記録できませんでした。

採集して成虫まで飼育してみたいところですが、これ以上あれこれ手を広げ過ぎると収拾が付かなくなってしまうので我慢しました。


2019/11/27

カエデの葉を食べ毛繕いを受けるニホンザル



2019年7月下旬・午前7:10頃

里山の雑木林の斜面に座っていた若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)が左手で何か幼木の小枝を引き寄せて葉を食べました。
採食メニューの樹種はカエデの一種だと思うのですが、イタヤカエデですかね?(自信なし:ウリハダカエデの可能性は?)
手前の茂みが邪魔で残念ながらよく見えません…。
近くに居た別個体の子猿が急に駆け寄り、背後に回り込むと対他毛繕いを始めました。
ノミ取りされている方は採食を止めて林床にゴロンと寝そべりました。


ミヤマアカネ♀の離着陸【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月上旬・午後

桜並木の下の草むらでミヤマアカネ♀(Sympetrum pedemontanum elatum)が休んでいました。
ススキの葉に乗って休んでいても、頭部をグリグリと動かして周囲を油断なく見張っています。
翅は水平に保ち、いつでも飛び立てる体勢です。

急に飛び立っても、すぐに同じ葉に舞い戻って来ました。
♀ですから、縄張り占有行動ではなく、獲物を待ち伏せしているのだと思います。
ミヤマアカネ♀の離着陸を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみましょう。(@0:33〜)
自発的に飛び立ち、辺りをグルグル飛び回ってから結局同じススキの葉に帰って来て着陸。
戻ってきた際に獲物は捕らえていませんでした。


▼関連記事(成熟♂@3年前の撮影)
離着陸を繰り返すミヤマアカネ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】




ミヤマアカネ♀@林縁:イネ科葉

2019/11/26

電線に並んで親鳥♂に餌乞いするハクセキレイ幼鳥(野鳥)



2019年8月上旬

街なかの路地裏で2羽の
ハクセキレイMotacilla alba lugens)が電線に少し離れて止まっていました。
右に居る嘴の黄色い幼鳥がチチチ、チチチ…♪と鳴いて餌乞いしながら近付こうとしても、左の親鳥♂は給餌せずに幼鳥から離れて距離を保っています。
(私が撮り始める前に、親鳥♂が幼鳥に巣外給餌を済ませていた可能性もありそうです。)
ハクセキレイも幼鳥は嘴の中が赤いのですね。
やがて左の成鳥♂が白い糞をポトリと排泄しました(@0:29)。
路地に落下する親鳥♂の糞を反射的に目で追う幼鳥がなんともおかしかったです。

親鳥♂は脱糞で軽量化した直後に電線から飛び立ちました。
幼鳥は一瞬びっくりしたものの、すぐに親鳥♂を追って飛び去りました。
私以外の通行人が路地を歩いて来たので、ハクセキレイの親子は警戒して逃げ出したようです。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

巣立ったハクセキレイ幼鳥の面倒を見ている親鳥を私はこれまで♂しか見たことがありません。(今回も含めて計3例)
これは観察例(12)が未だ少ないことによる偶然なのでしょうか?
親鳥♀はどこで何をしているのでしょう?
もしかして、親鳥♀は幼鳥の子育てをパートナーの♂に任せて自分は次の繁殖のため巣で抱卵をしているのかな?
(ハクセキレイの繁殖は確か年一回だったような…?)
あるいは親鳥♀の方が♂よりも警戒心が強く、ひと気の無い場所で残りの幼鳥の面倒を見ているのかもしれません。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を上げています。


つづく→路地裏の側溝で水を飲み虫を捕るハクセキレイ♂(野鳥)


ハクセキレイ♂(左)+幼鳥(右)@路地裏:電線+餌乞い
ハクセキレイ♂(左)+幼鳥(右)@路地裏:電線+餌乞い

葛の葉を切り取るクズハキリバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月上旬・快晴、酷暑の午後

川沿いに繁茂するクズの群落でクズハキリバチ♀(Megachile pseudomonticola)が何匹も巣材集めに通っていました。
ハキリバチの巣材集め行動を見るのが長年の悲願だったので、感無量です。
特に、切り抜いた葉片に跨って飛び去る様子が感動的でした。

飛来したクズハキリバチ♀がクズの大きな葉の縁にしがみつくと、鋭い大顎で楕円形または円形に巣材を切り抜きます。
採餌活動はせずに巣材集めに専念しているようで、腹部下面のスコパは空荷でした(茶色の毛が密生)。
透明な翅は黒く縁取られています。
葉片を切り落とす直前から羽ばたきを始め、曲げた巣材を脚で抱えると、巣に向かって飛び去ります。
河川敷を横切って一気に高度を上げると、青空に吸い込まれるようにゆっくり飛んで行きます。
本で読んだ通りの美しさでした。
空輸スピードが意外に遅いのは、荷物が重いというよりも空気抵抗が大きいためでしょう。

このクズ群落を見回すと、あちこちの葉にハキリバチがくり抜いた痕跡が残されていて穴だらけになっていました。
ハキリバチに何回も繰り返し切り抜かれた結果、葉の縁がギザギザの鋸歯のようになった葉もあります。
クズハキリバチ♀にくり抜かれてしばらくすると、丸い穴の縁から少し変色が始まるようです。
ニセアカシアやノイバラなども近くに生えていましたが、クズ以外の植物の葉で巣材を集める個体は見られませんでした。(巣材の選択性)

それぞれのクズハキリバチ♀はクズ群落の中でもお気に入りの葉を選ぶと毎回同じ葉に集中的に通って来ているのでしょうか?
(活動するクズハキリバチ♀の個体数がなまじ多いと目移りして右往左往するだけなので、葉切り行動をどうやったら効率よく撮影できるか?という必要に迫られた実用的な疑問です。)
蜂を個体標識してしっかり調べた訳ではありませんが、私が特定のクズの葉に注目して待ち構えていても、クズハキリバチ♀はほとんど戻って来ませんでした。
古い(前回の?)切り抜き穴の隣から採取することもあれば、無傷のクズ葉の縁から葉片を切り抜くこともありました。
特定の葉に戻って来るつもりなら、場所をしっかり記憶するために、葉を切り抜いた直後に定位飛行をするはずです。
しかし帰巣する前に定位飛行する個体は見られませんでした。
どの葉から切り取るか、おそらく毎回ランダムというか臨機応変に選択しているようです。
辺りにはクズの大群落が生い茂っていて巣材源は無尽蔵にありますから、わざわざ細かい場所まで記憶する必要が無いのでしょう。
ハキリバチ♀は巣作りの進捗状況に応じて、次に必要となる巣材の大きさや形、柔らかさなどを変えているのだそうです。

クズハキリバチ♀は単独で営巣するので、社会性のハチではありません。
それなのにお気に入りのクズ群落が集団採葉場として選ばれ、多数の♀が巣材の葉片を集めに通って来るのは一体どうしてでしょう?
クズは至る所に生える雑草ですから、クズハキリバチ♀は各自が巣に近い別々の場所で巣材集めをしても良さそうなものです。

来年も次世代のクズハキリバチ♀が同じ場所に生えたクズ群落を集団採葉場とするのかどうか、非常に興味があります。 (ドロバチ類では集団採土場を何年か連続して見ています。)

葉片を持って帰巣する蜂を毎回途中で見失ってしまい、営巣地は不明です。
飛び去った方向には堤防があり、土手の上には桜(ソメイヨシノ)並木が見えました。
クズハキリバチは借坑性ですから、おそらくソメイヨシノ樹上のあちこちに小さな樹洞があり、そこに巣があるのではないかと私は予想しています。

クズハキリバチ♀の一連の行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみましょう。(@1:16〜)
葉片を切り取った後に羽ばたくのが遅れて地上に軽く墜落してしまった個体が微笑ましいです。
ハイスピード・モードにすると固定焦点なので、飛び去る蜂を流し撮りしてもすぐにピントが合わなくなってしまいます。(一長一短)

複数個体を撮影。

実はハキリバチ類の葉切り行動を実際に観察するのは、生まれて初めてでした。
これまでハキリバチの仕業(葉切り痕)をフィールドで見つけたことも数えるぐらいしかなかったのです。
蜂好きを自称している割にはハキリバチの仕事っぷりを見ていないことが、密かなコンプレックスになっていたぐらいです。
ずっと見たい見たいと思っていた長年の夢がようやく叶い、この夏で一番嬉しく興奮しました。

私が夢中になって動画を撮りまくっていると、やがて巣材集めに通うクズハキリバチ♀の数が減りました。
おそらく日周リズムで活発に働く時間帯が決まっているのでしょう。
次回はもう少し早い時間帯に来てみようと思います。



つづく→クズハキリバチ♀は巣材を切り取る葉を選り好みする【HD動画&ハイスピード動画】

クズハキリバチ♀@クズ葉切り取り:巣材集め
クズハキリバチ♀@クズ葉切り取り:巣材集め
クズハキリバチ♀@クズ葉切り取り:巣材集め+運搬帰巣

クズ葉:クズハキリバチ♀巣材集め痕
クズ葉:クズハキリバチ♀巣材集め痕
クズ葉:クズハキリバチ♀巣材集め痕

2019/11/25

ウワミズザクラの枝を揺すり葉を食べるニホンザル



2019年7月下旬・午前6:36

若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)が山麓の雑木林の林縁で灌木によじ登りました。

灌木の樹種はおそらくウワミズザクラだと思います。
太い枝の途中から伐採されています。

幹をすばやく登ると、横枝に腰掛け、体を掻きました。
枝葉の隙間から私の姿を認めると、また威勢よく幹を少し登り、枝揺すりの誇示行動を披露してくれました。(@0:27)
全身で反動を付けて幹をユサユサと揺すっています。
下で撮っている私に対する威嚇行動でしょう。

枝の又に腰掛けてモグモグと口で何か食物を咀嚼しています。

急に立ち上がって上の枝葉に狙いを定めると素早く両手を伸ばし、葉裏に止まっていた虫?を捕まえようとしました。(@1:01)
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
しかし、どうやら捕虫に失敗したようです。
取り損ねた虫が擬死落下したのか、猿は悔しそうに下を見ています。
子供の頃に虫捕りに励んでいた人は皆、親近感を覚えることでしょう。



直後にウワミズザクラの葉を千切って少し食べました。
これは悔し紛れの転移行動なのかな?
左手で小枝を引き寄せ、再び葉を一口だけ採食しています。

最後は大きくジャンプして隣の木(樹種不明)の枝に跳び移りました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

野生ニホンザルの一挙手一投足は本当に見ていて飽きません。


ニホンザル@ウワミズザクラ樹上

アカメガシワ雌花の周囲で群飛するオオハキリバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年7月下旬

民家の裏庭に植栽されたアカメガシワの雌株に多数のオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が集まっていました。
雌花に訪花して吸蜜しています。

雄蜂♂の群飛(♂による探雌飛翔)の様子を引きの絵で、240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:36〜)

オオハキリバチ♂に比べて♀が圧倒的に少ないのは、なぜでしょう?
オオハキリバチは雄性先熟ですから、この時期は未だ羽化した成虫♀個体数が♂に比べて少ないのかもしれません。
それとも、採餌・貯食活動に励む♀は花粉を出さない雌花があまり好きではなくて、雄花が咲いている雄株の方に行っているのでしょうか?
もしかするとアカメガシワの樹上に小さな樹洞が幾つか開いていて、その巣からこれから羽化してくるオオハキリバチ♀を多数の♂が待機している可能性もありそうです。

クマバチも少数ながら来ていました。

▼関連記事(同じ日に撮影)
アカメガシワで訪花中のクマバチに誤認求愛するオオハキリバチ♂

余談ですが、この日もアカメガシワに訪花するミツバチを見かけなかったのが不思議でした。(花粉の無い雌花は敬遠される?)
今季はミツバチの個体数が激減しているのではないかと非常に気がかりです。




オオハキリバチ♂2@アカメガシワ訪花吸蜜
オオハキリバチ♂@アカメガシワ訪花吸蜜

2019/11/24

チゴハヤブサの留守中に止まり木で羽繕いするムクドリ(野鳥)



2019年7月中旬

毎年チゴハヤブサFalco subbuteo)がよく休んでいるお気に入りの止まり木(枯れたヒノキ大木)に珍しくムクドリSturnus cineraceus)が止まっていました。
実は直前まで止まっていたチゴハヤブサが飛び去るとすぐ入れ替わるようにムクドリが飛来して枯枝に止まったのです。

「知らぬが仏」なのか「鬼のいぬ間に洗濯」なのか、大胆なムクドリです。
もしチゴハヤブサが本気を出して襲えば、おそらくムクドリは捕食されてしまうでしょう。
私は半ばそれを期待して見守ったのですが、恐れ知らずのムクドリはしばらく羽繕いしてから無事に飛び去りました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

約5分後にチゴハヤブサが戻って来ました。(映像公開予定:カラスとの大喧嘩)


ムクドリ(野鳥)@ヒノキ枯木+羽繕い

エンジュの花で採餌するトモンハナバチ♀



2019年8月上旬・午後

民家の庭木のエンジュトモンハナバチ♀(Anthidium septemspinosum)が忙しなく訪花していました。
エンジュの蝶形花に正当訪花すると、吸蜜しています。
腹部下面のスコパ(花粉刷毛)に薄い黄色の花粉を付けて運んでいます。

あまりにもせかせかと落ち着きなく飛び回って目が回りそうなので、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみます。
1匹の♀に注目して撮っている間も別個体♀が画面を高速で横切りました。
次の花へ飛びながら空中で脚を擦り合わせていました。
体毛に付着した花粉をスコパに移し替える行動の一環だと思うのですが、花粉をポロポロと落としていました。

※ 5日の間隔を開けて定点観察に行き、2回分の動画をまとめました。



▼関連記事
エンジュの花蜜を吸うトモンハナバチ♂


トモンハナバチ♀@エンジュ訪花採餌

ミズキの果実を食べるニホンザルの群れ



2019年7月下旬・午前6:15〜6:25

山麓のミズキ樹上に早朝からニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが集まって採食していました。
複数個体が樹上に散開して、黒く熟した果実を選んで次々に手で摘み取って食べています。
ミズキの実を頬張ってモグモグしている唇が果汁で黒く染まっています。

ミズキの果実はモモなどと同じく核果と呼ばれ、果肉の中には硬くて大きな種子が含まれています。
ニホンザルはミズキの核果を丸ごと食べるので、硬い種子をコリコリとかじる音が微かに聞こえます。
猿が食べているミズキの果実は、必ずしも黒く熟したものばかりではないことに気づきました。
未熟果は渋い気がするのですけど、中に硬い種子が無い方が食べやすくて好みだという個体もいるのかな?

枝を曲げたり折り取ったりして手元に引き寄せてから実を採食することもあります。
しかし実を完食する前に折り取った枝を惜しげもなく地面に落としてしまいます。



▼関連記事(4年前に別の里山で撮影)
ミズキの実を採食するニホンザルの群れ


樹上で採食していた1頭が急に勢いよく樹冠に登り、枝揺すりの誇示行動を披露しました。(@2:38)
木の下でしつこく撮り続ける私に苛立って威嚇してきたのでしょう。
ニホンザルは樹上だとヒトに対して優位に立てると自信があるのか、結構近くで撮っても私を恐れている様子はありません。



つづく→路上でミズキの落枝を拾い実を食べるニホンザル♂(左切れ耳)

ニホンザル@ミズキ樹上+果実採食
ニホンザル@ミズキ樹上+果実採食

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