2012/08/25

タヌキの溜糞に潜り込んで食すオオセンチコガネ




2012年6月下旬

雑木林の登山道にホンドタヌキの溜糞がありました。
この季節は分解者の活動が活発なためか溜糞は新鮮でなく、あまり原型を留めていません。
真っ黒な泥状に分解されつつあり、少々臭いです。
タヌキが食べた植物の種子などが混じっています。

この溜糞にオオセンチコガネPhelotrupes auratus
が2匹来ていました。
赤味を帯びた金属光沢が美しく、「掃き溜めに鶴」どころの騒ぎではありません。

映像中盤で出会った2匹がマウントしかけたので交尾するかと思いきや、すぐに別れ、その後は没交渉。
同種でも同性だったのかな? 交尾拒否?

交尾できなかった♂?は「穴があったら入りたい」といった風情で、溜糞の中に潜り込もうと必死です。
仰向けにひっくり返すとすぐに起き上がります。
腹面も絢爛豪華なメタリックの装いでした。

もう一匹の個体は対照的におっとりしています。
仰向けにひっくり返してもすぐには起き上がらず(擬死)、その後はひたすら溜糞の上で黙々と食事を続けています。
糞食する口器の動きを接写してみました。

前脚の腿節の前面に橙色の謎の付着物があります。
左右非対称なので、金属光沢の反射の悪戯ではなさそうです。
これは一体何なのか去年からずっと気になっています。

関連記事はこちら→「センチコガネの前脚に謎の付着物
その後、謎が解けました。
この記事の【追記2】を参照して下さい。
フェロモンを分泌する毛束なのだそうです。

木の枝を使って溜糞をほじくり返してみたものの、他の糞虫は来ていませんでした。


【追記】
『ファーブル写真昆虫記5:ふんの玉をころがす虫』p47によると、
オオセンチコガネは、ふつう6月に卵をうみ、9月にあたらしい成虫が羽化します。







野生ニホンカモシカと睨めっこ




2012年6月下旬

林道を静かに下っていると、前方でニホンカモシカCapricornis crispus)が鼻息荒く逃げ出しました。
すぐに立ち止まってスギの木陰からこちらの様子を伺っています。
反芻していたのか口をモグモグ動かしています。
鼻腔を大きく広げ正面を向いて凝視していたカモシカが、ようやく横顔も見せてくれました。

最後はフシュフシュ♪と鼻息を荒げて威嚇しながらも逃げ腰になりました。
数歩走ると立ち止まり、横目でこちらを伺いつつ鼻息威嚇を続けます。
鼻息を荒げながら逃走して林道を外れ、茂みに覆われた斜面を下って行きました。

標高約450m地点。


お世辞にも可愛い顔…とは言えないですよね。野生的!



2012/08/24

ヤブデマリの花蜜を吸うキンモンガ(蛾)




2012年6月下旬

林道横のヤブデマリに数頭のキンモンガが訪花していました。
カメラを近づけても逃げず、口吻を伸ばし夢中で花蜜を吸っています。
翅を軽く開閉しながら集合花を移動します。
白くて大きな装飾花を足場に次の花序へ移動します。
昆虫に受粉を助けてもらうために、とても良くできた花の作りになっていますね。







2012/08/23

耳欠けニホンカモシカと遭遇




2012年6月下旬

送電線の電柱が並ぶ急斜面に焦げ茶色の大型獣を発見。
テレコンで覗くと電柱の横に夏毛のニホンカモシカが立っていました。

カモシカは後ろ向きの姿勢から上半身を捻り、振り返ってこちらを見下ろしています。
送電線を通すために切り開いた斜面は通常、電力会社の保守作業員によって頻繁に下草が刈られているのですが、たまたまこの時期は大きなシダの葉などが生い茂っていました。
ここでカモシカはおそらく何か採食していたと思われます。

【追記1】
高槻成紀『北に生きるシカたち シカ、ササそして雪をめぐる生態学(復刻版)』という本を読んでいたら、上記下線部のような送電線沿いに作られている帯状の伐採地を「伐採帯」と呼ぶことを知りました。
・(伐採帯には)植生遷移の初期に出現する、いわゆるパイオニア植物や林縁に出現する植物が多かった。(p183より引用)
・伐採帯沿いでは伐採帯がシカの食糧となる植物を増加させ、同時に、すぐ近くにシカが逃げ込んだり、休息、睡眠をとるための林があるため、全体として好都合な条件を提供する。
・伐採帯は長く続く林縁とみなすことができる。(p186より)
これまで私は里山で傷跡のように見える伐採帯を醜悪な必要悪とみなしていたのですが、認識を改めさせられました。
野生草食動物にとって伐採帯は極相林(原生林)よりも暮らしやすいことになり、目撃例が多いのも納得しました。
伐採帯の存在が里山の生物多様性を増しているというデータを見せつけられると、癪ですけど電力会社のプロパガンダではなく、科学的事実として認めざるを得ません。

かなり黒っぽい毛並みのカモシカで、それまで見たことのない顔つきの個体です。
右耳に切れ目があるのが特徴的で、もし再会すれば個体識別が出来そうです。(※)
顔を正面から見ると垂れ目に見えます。
左右の眼下腺がコブのように膨らんでいます。


斜面の下にいるこちらが風上でした。
カモシカは鼻腔を広げ頻りに風の匂いを嗅いでいます。
犬と同様に鼻面が濡れています。
やがて完全にこちらへ向き直り、斜面を左にトラバース移動しスギ林の中に姿を消しました。

里山の林道を登り始めてすぐの標高~350m地点。



【追記2】
※ 実は3年前にも林道で遭遇していました。→「野生ニホンカモシカとの最接近遭遇
目撃地点を思い出しても、「あの辺一帯を縄張りとしてるのねー」と辻­褄が合います。


『森の賢者カモシカ:鈴鹿山地の定点観察記』p56によると、
識別のポイントは、角の形状、顔面の色や紋様などである。これらの特徴は、年齢を経るごとに少しずつ変化していった。たとえば、顔面の色が少しずつ濃くなったり、突然、角の先端が一部欠けたりすることもあった。冬毛と夏毛の違いにも注意する必要があった。

2012/08/22

トラガ♀(蛾)の産卵行動?




2012年6月中旬

山道脇の崖を覆う草叢でトラガが葉裏に潜り込み、何やら怪しい動きをしています。
蔓植物の蔓に沿って歩く際に腹端を擦り付けている気がします。
♀が産卵しているのだろうか?
地面に達した蛾は枯葉にも産卵したようですが、よく見えません。
最後は羽ばたいて飛び去りました。

帰宅後に調べてみると、トラガ幼虫の食草として、ユリ科のシオデやサルトリイバラが記録されているらしい。
今回の蔓植物がサルトリイバラなのかな?
葉の形が違うように思うのですが、植物に疎い私にはよく分かりません。

卵の有無を直接確認できれば一番です。
しかしいつもの悪い癖で、蛾が飛び去った先を目で追ってしまうと次の瞬間にはどこに産んでいたのか分からなくなってしまいました…。






2012/08/21

ニホンザルの母子と授乳




2012年6月中旬

野生ニホンザルの群れの観察。
幼い子猿を胸に抱いた母猿が少し怯えたように葉陰に隠れました。
授乳しているようです。


母猿の乳首を吸う子猿。






雑木林の樹冠を跳んで移動するニホンザル




2012年6月中旬

野生ニホンザルの群れの観察。
雑木林の枝から枝へと身軽に跳び移り、遊動します。

ワイルドだろ~?




2012/08/20

クロアゲハ♂がハルジオンに訪花吸蜜




2012年6月中旬

道端に咲くハルジオンの群落で一頭のクロアゲハ♂が訪花していました。
花に止まると羽ばたきながら吸蜜します。
同一個体を歩きながら追いかけて撮影。

クロアゲハの♂には後翅の前縁に白色条があり、黒い翅で羽ばたくと白黒がチラチラと明滅して目立ちます。おそらく同種の♀にアピールする信号となっているのでしょう。
(オナガアゲハ♂にも同様の白色条があります。)
これは写真では伝わりにくく、生態動画ならではと思います。

クロアゲハの♀に人工的な白黒の点滅信号を見せたら引き寄せられるかな?

恥ずかしながらヒメジョオンとハルジオンの違いがなかなか覚えられず、現場でいつも迷います。
今回の花は白いが蕾が垂れ下がっており、葉の基部が茎を抱いていることからハルジオンです。

茎を折ってみて中空であれば、なお確実でしょう。



2012/08/19

口唇裂の奇形ニホンザルとの再会




2012年6月中旬

山道で遭遇した野生ニホンザルMacaca fuscata
)の群れの中に唇の裂けた個体がいました。
林縁の地上にひっそりと座って、茂みから遠慮がちにこちらの様子を伺っています。
遊動する群れを追って姿を消しました。

2週間前に初めて見つけたみつ口の奇形ニホンザルと同一個体と思われます。

未だ猿を個体識別できない私でも見間違えようのない顔貌です。
従って、同じ群れと再会したことになります。
前回の遭遇地点から地図上の直線距離で約1.9km離れていました。
群れの遊動域に関する情報も得られました。


先天的な口唇裂の奇形ではなく、喧嘩で負った裂傷の可能性もあります。

オスザルどうしのケンカで唇が裂けている個体は、どの群れにも一頭くらいはいるものだ。(『頭骨コレクション』p103より)

だとすると、上の推論は全てご破算になります。






キンモンガ(蛾)の飛び立ちハイスピード動画




2012年6月中旬

この時期によく見かける昼蛾と言えばキンモンガです。
翅を全開にして木の葉に静止した状態から飛び立つ様子をハイスピード動画(220 fps)に撮ってみました。
スローモーションでは力強い羽ばたきが見られました。





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