2019/07/13

池で泳ぎ潜るミシシッピアカミミガメ



2019年5月中旬

蓮池の水面にハスの小さな若葉がようやく開き始めました。
いつも亀が甲羅干ししている岩場には珍しく1匹も居ませんでした。
その代わり、1匹のミシシッピアカミミガメTrachemys scripta elegans)が水面下を泳いでいました。
少し潜ると緑藻で濁った水で姿が見えなくなるものの、息継ぎのためすぐに浮上します。
水面に顔を出した際に、赤耳の模様が見えたのでミシシッピアカミミガメと分かりました。

やがてハスの葉が池の全面を覆い尽くしてしまうと、こんなに伸び伸びと泳ぐことはできなくなります。

フィールドでアカミミガメの遊泳シーンを観察したのはこれが三度目です。

▼関連記事
ミシシッピアカミミガメの甲羅干しと潜水(約2年前の撮影)
池から岩に上陸して日光浴するミシシッピアカミミガメ♂(約1年前の撮影)


ミシシッピアカミミガメ@蓮池:遊泳
ミシシッピアカミミガメ@蓮池:遊泳

倒木から樹皮を持ち去るハシボソガラス(野鳥)



2019年5月上旬

河畔林でニセアカシア(別名ハリエンジュ)と思われる倒木にハシボソガラスCorvus corone)が来ていました。
何をしているのか後ろ姿でよく見えませんが、嘴に謎の大きな塊を咥えています。
そのまま持って右に飛び去りました。

一瞬の出来事なので1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。
初めは動物の死骸かと思ったのですけど、よく見ると樹皮のようです。
カラスは枯枝を巣材として集めてくるのが普通です。
それにしても、巣材集めにしては時期が遅い気がします。

今季の繁殖に一度失敗した親鳥が巣を作り直しているのでしょうか?
後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』によると、カラスは造巣の初期に巣内に土塊を詰める習性があるそうです。


サルノコシカケのようなキノコを採食した可能性はどうでしょうか?

▼関連記事
キノコ?を食べるハシブトガラス(野鳥)

ハシボソガラス(野鳥)@河畔林:倒木+キノコ?採取



ノダイコンの花蜜を吸うモンシロチョウ♂



2019年5月中旬

河畔林の明るい林床に咲いたノダイコン(大根の内陸性自生種)の群落でモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が訪花していました。
翅をしっかり閉じたまま吸蜜しています。
左前翅の縁が破損しているのは鳥に襲われかけたビークマークでしょうか?
最後は満ち足りたように、この群落から飛び去りました。



モンシロチョウ♂@ノダイコン訪花吸蜜
モンシロチョウ♂@ノダイコン訪花吸蜜

2019/07/12

モミの巨木に登りクモなどを捕食するコゲラ(野鳥)



2019年5月中旬

モミの巨木でコゲラDendrocopos kizuki)が木登りしていました。
幹をピョンピョンと上に登るだけでなく、下に降りたり横に移動したり、体の向きは一定のまま自由自在に動けます。
樹皮の割れ目に潜んでいたクモ?をほじくり出すと、その場で捕食しました。(@0:36)
獲物の正体が分かった貴重な例です。
コゲラはモミの幹をどんどん登り、あちこちで立ち止まると嘴で樹皮をほじくって隠れている虫を探しています。
虫を捕食後に足で顔を掻くことがありました。

初めは私の背丈ぐらいの高さから登り始めたコゲラを、モミ高木の真下から見上げて長撮りしていたら首が痛くなってしまいました。


コゲラ(野鳥)@モミ幹+木登り+クモ?捕食
コゲラ(野鳥)@モミ幹+木登り
コゲラ(野鳥)@モミ幹+木登り

モミ幹
モミ枝葉
モミ枝葉

マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂がソメイヨシノ花後の子房を次々に食害【10倍速映像】



マメドクガの飼育記録#15


▼前回の記事
マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂の排便

2019年5月上旬・午前中・室温〜23℃

マメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bがソメイヨシノ花後の子房を次々に食べ尽す様子を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
受粉して膨らみ始めた子房だけでなく、それを覆っている萼片や、萎れた雄しべ、雌しべ、果柄も一緒にモリモリ食べています。
食欲旺盛でなによりです。
しかし、桜の若葉は頑として食べようとしません。
桜の葉に含まれるクマリンの芳香(=桜餅の香り)を嫌うのかもしれません。
クマリンには抗血液凝集作用があり、殺鼠剤に使われているぐらいなので大量に摂取すると有毒です。(昆虫にも有毒?)

もし桜の花が未だ咲いている時期に与えたら、マメドクガ幼虫は花弁も食べたかな?
枝に少しだけ残っていたソメイヨシノの花弁や、散った花弁が枝葉に付着したまま萎れていた花弁も食べるのを目撃しました。(映像なし)


『科学のアルバム:サクラの一生』によると、

サクラは花がちったあと、葉のはたらきで養分をつくり、実を生長させる。
花びらがちっても、がく、おしべ、花柱だけがのこっている。2日から4日で実だけになる。
実は、花の子房がかわったもので、かたい核のなかに種ができる。(p18-19より引用)



つづく→#16:マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂は桜の未熟果(肥大した子房)を食べられない【10倍速映像】


マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@ソメイヨシノ花後の未熟果

2019/07/11

川から流木に飛び乗って休み、再び飛び去るカワウ(野鳥)



2019年5月上旬

1羽のカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が川の岸辺に沿って下流へ向かって泳いで来たので、私は堰の真横で待ち構えて撮影しました。
根こそぎ倒れたニセアカシア(別名ハリエンジュ)の巨木が過去の洪水で川に流され、この堰で縦にひっかかっているのですが、カワウは川面から流木の根元に飛び上がりました。
ここも格好の止まり木になっているようです。
堰の直下では川が滝のように白い水飛沫を上げています。

上流(南)を向いて倒木に止まったカワウはすぐに身震いしました。
その場で羽ばたき、濡れた羽根の水気をしっかり切ります。
翼を大きく広げて日に当て羽根を乾かすのかと思いきや、すぐに畳んでしまいました。
念入りに羽繕いを始めました。

キョロキョロと神経質そうに辺りを見渡しているカワウは、上空を飛ぶハシボソガラスの鳴き声を気にしてるのかな?
やがて尾羽を持ち上げながら白っぽい液状便を排泄しました。(@3:31)
飛ぶ前に体重を少しでも軽くしようとするのです。
すると予想通り、カワウは翼を広げながら脚を屈めると、倒木を蹴って上流へ飛び立ちました。(@3:35)
川の上を低空で上流に向かって飛び去る勇姿を流し撮りしました。
最後に脱糞および飛び立ちのシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

カワウが止まり木から飛び立つ姿は今回初めて見ました。
ちなみに、川面から飛び立つ際は長い助走が必要でした。

▼関連記事
川から飛び立つカワウの助走は両足跳び(野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】


その後もこの川の堰を通りがかる度に流木をチェックするようにしているのですが、カワウが止まっている姿は今のところ見ていません。


枝垂れ桜の花の周囲で占有飛翔するクマバチ♂



2019年4月下旬

街中の路地裏に植えられたシダレザクラ(枝垂桜)に薄いピンク色の花が満開に咲いていました。
その花の横でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)がホバリング(停空飛翔)していました。
縄張りを張って交尾相手の♀を待ち伏せしているのです。
クマバチ♀に限らず何か虫が飛んできただけでクマバチ♂はすかさず反応してすっ飛んで行き、もしライバル♂の領空侵犯があれば縄張りから追い払います。
空振りだったと分かると元の空域に戻って見張りを続けます。
♀との交尾は早い者勝ちなので、雄蜂♂は必死なのでしょう。
しかしクマバチ♀♂の交尾シーンを私は未だ一度も見たことがありません。


クマバチ♂@枝垂桜訪花+占有飛翔

2019/07/10

キノコ?を食べるハシブトガラス(野鳥)



2019年5月上旬

池の畔にハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が飛来しました。
嘴に何か茶色い大きな塊を咥えています。
キノコですかね?
対岸で撮っている私に気づくと慌てて飛び去りました。
一瞬の出来事なので、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみます。

しばらくすると、いつの間にか同じ場所にハシブトガラスが戻って来ていました。
なぜか池の岸がお気に入りの食事場所なのでしょう。
2週間前に同じ場所で観察したハシブトガラスと同一個体かもしれません。

▼前回の記事(15日前の撮影)
包装袋を開けてクッキーを食べるハシブトガラス【野鳥】

どうやら貯食している訳ではないようです。
今回は茶色の硬そうな塊を嘴で小さく千切って食べています。
例えば麩菓子ならばもっとサクサクと砕けるはずですから、野生のキノコのような気がします。
キノコの内部に潜んでいる虫が目当てなのかもしれません。
背を向けて食事をしているので、メニューが何かじっくり見せてくれません。
振り向いたカラスの喉袋が大きく膨らんでいるということは、その場で自分のために食べたのではなく、巣に運んで雛または抱卵中の♀に給餌するのでしょう。
池の畔から飛び立つと、対岸の電線に止まり直しました。
身震いしてから嘴を電線で拭いました。
すぐにまた飛び立ちましたが、木々が邪魔で見失ってしまい、巣の位置を突き止められませんでした。

カラスがキノコを食べるなんて私は知りませんでした。
インターネットで検索してみると、NPO法人札幌カラス研究会代表理事によるカラスのブログ記事がヒットしました。

キノコを食べる生き物は昆虫だけではない。カラスもキノコを食べる。よく見掛けるのは毒キノコと言われる「ベニテングタケ」である。好んで食べているように思えて仕方がない食べ方によって初めて食べる物なのかそうでないのか判る。通常生き物達は毒のある物は食べないと思われがちだが、カラスを始め鳥にはある程度の毒を分解できる物質を持ち合わせていると聞いた事がある。考えてみたら「毒があるから食べない」と言っていては生きては行けないかも知れない。多の昆虫も食べている訳なのでどうやら人だけが食べたら良くないのかも知れない。現にベニテングタケにはたくさんの昆虫が張り付いている。
ただし、今回私が見たカラスの採食メニューがキノコだとしても、明らかにベニテングタケではありません。
キノコに疎い私でもそれぐらいは分かります。
サルノコシカケの仲間かな?(当てずっぽう)
このキノコをカラスはどこから取ってきたのでしょう?
次はカラスがキノコを採食する現場を観察してみたいものです。

ハシブトガラス(野鳥)@池:岸+キノコ?採食
ハシブトガラス(野鳥)@池:岸+キノコ?採食

マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂の排便




マメドクガの飼育記録#14



▼前回の記事
桜の果柄を食すマメドクガ(蛾)終齢幼虫

2019年5月上旬・室温24℃

育ち盛りのマメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bがソメイヨシノ花後の果柄を食べながら、規則正しく定期的に脱糞しています。
排便した時刻を記録すると約30分間隔と分かるので、次の排泄時刻を予測できて撮影の準備が楽になります。

果柄の下側にしがみついていた最後端の腹脚(尾脚?)を離して腹部後端を持ち上げると、肛門から黒色または濃緑色(黒っぽい深緑色)の糞をポトリと排泄します。
排便後はゆっくりと姿勢を戻します。

最後のシーンでは、急に仰け反って海老反りの体勢になり、左右に身を捩ると自分の毛束を利用してブラッシング(毛繕い)を始めました。(@2:20)
この身繕い行動は、脱皮直後に見られた「海老反り起毛運動」(私が勝手に命名)と同じです。
体に付いたゴミを払い落とそうとしているのでしょう。
海老反り姿勢から一度元に戻しかけてから再び腹端を持ち上げて黒い糞を排泄しました。

イモムシ・毛虫の糞の形状は、後腸の断面の形状を反映して俵のような塊が花びらのように割れているのが普通です。
しかしこの個体は、終齢幼虫なのに糞が花びらのように割れていない(不明瞭)点が珍しく思いました。
桜の花後の子房や果柄という普通ならマメドクガ幼虫が食べないような粗食のメニューを与えているからでしょうか?
いかにも食物繊維が多く含まれていそうな糞です。

つづく→#15:マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂がソメイヨシノ花後の子房を次々に食害【10倍速映像】


2019/07/09

春の川面で採食する冬鳥コガモ♀♂の群れ(野鳥)



2019年5月上旬

街中から流れてきた用水路が水門を通って川の本流に合流する辺りコガモ♀♂(Anas crecca)の群れが居ました。
川面をクルクルと忙しなく泳ぎ回りながら、水面に浮いている餌を採食しています。

前回コガモを見つけたのと同じ最上川ですが、ここは少し上流の地点になります。
冬鳥とされているコガモは、果たしてこのまま当地に残って繁殖するのでしょうか?


気になるのは、前回コガモ♀♂の群れを見つけたのも上記下線部のような場所でした。
私は未だ観察例が少ないので、偶々かもしれませんが、コガモは川の流域でもそのような場所が好きなのですかね?

コガモ♀♂(野鳥)群れ@川面遊泳+採食
コガモ♀♂(野鳥)群れ@川面遊泳+採食
コガモ♂(野鳥)群れ@川面遊泳+採食

キリウジガガンボの求愛飛翔?



2019年5月上旬


▼前回の記事
水路で飛びながら打水産卵するキリウジガガンボ♀?

水深の浅い水路で2匹のガガンボが水面ギリギリの低空を飛び回り、激しい空中戦を繰り広げていました。
私はガガンボの生態にまるで疎いのですが、縄張り争いがあるのでしょうか?

やがて1匹が水面の落ち葉や藻の上に着陸しました。
ズームインしてみると大型のガガンボで、おそらくキリウジガガンボ♂(Tipula aino)でしょう。
着陸直後は、腹端にある交尾器?(把握器?)を開閉していました。

ここでつい先程、キリウジガガンボ♀?の打水産卵を観察したばかりですし、縄張り争いではなく求愛飛翔なのかもしれません。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。
他の昆虫(小さなハエ?)も激しく飛び回っていて、ややこしいですね。
求愛が実って交尾を始めるまでの過程を観察してみたいものです。



キリウジガガンボ♂?@水路水面:落ち葉
キリウジガガンボ♂?@水路水面:落ち葉・全景

2019/07/08

農道をパトロール中に縄張り宣言♪するキジ♂(野鳥)



2019年5月上旬

身の回りの生き物を見ていると毎日のように新しい(小さな)発見があるので、なるべくネタが被らないようにお届けしているのですが、個人的に何回撮っても飽きないテーマがあります。
その一つがこの、「母衣打ちするキジ♂」です。
豪華絢爛たる装いのキジ♂とフィールドで出会う度に母衣打ちを期待して、毎回飽きずに撮ってしまいます。
決して美声囀りさえずりとは言えませんが、命みなぎる活力を溜めて溜めて短い瞬間に爆発させるパフォーマンスにいつも惚れ惚れします。
こうして動画を撮り貯めれば、後に声紋解析で鳴き方の個性を比べたり、地域による微妙な方言を調べたり、例えばドラミング回数の時代変化を調べたりすることができるかもしれません。
縄張り宣言するキジ♂の絶叫は、かなり遠くまで響き渡ります。

今回は少し長い動画なので、まず冒頭で2回鳴いたハイライト・シーンの1/5倍速スローモーションを見てもらいます。
田んぼは田起こしがほぼ終わり、これから水入れと代掻きが始まるようです。
畦道もきれいに作り直されています。
キジ♂と出会う前からも田んぼの方から鳴き声♪は聞こえていました。

その田んぼの真ん中を通る農道にキジ♂(Phasianus versicolor)が現れました。
夕方の西日を浴びつつトコトコと歩き去る後姿を撮影開始。
辺りをキョロキョロ見渡しながら、縄張りをパトロールしているようです。
スミレやヒメオドリコソウ、タンポポ、スイバの花などが咲いている農道で立ち止まり、道草を食いました。
雑草の群落の濃い緑色の葉っぱを2回啄みました。(@1:47)
残念ながら採食メニューは不明です。

やがて立ち止まると縄張り宣言の母衣打ち♪を披露しました。(@2:43)
風切り音にかき消されて、ケンケーン♪という勇ましい鳴き声が聞き取れませんでした。
スローモーションを見直すと、母衣打ちでドドドドド…♪と2+9回羽ばたいています。
すぐにまたパトロールを再開。
尾羽も強い横風に煽られています。
歩き去るキジ♂の後ろを私もこっそり尾行して撮影を続けます。

農道の突き当りは砂利道とのT字路になっています。
キジ♂はそのまま砂利道も直進すると、立ち止まって二度目の母衣打ち♪。(@5:37)
今回も風の音で全く聞き取れませんが、激しい羽ばたきで砂埃が舞うので迫力は伝わります。
母衣打ちをスローモーションで見ると、3+10回羽ばたいていました。
また歩き始め、隣接する墓地に姿を消しました。


キジ♂(野鳥)@農道パトロール

桜の果柄を食すマメドクガ(蛾)終齢幼虫




マメドクガの飼育記録#13



▼前回の記事
桜の花後の子房を食べるマメドクガ(蛾)終齢幼虫

2019年5月上旬

マメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bは、ソメイヨシノの小さな子房を完食した後も、続けて果柄を食べ続けます。
果柄が短くなると、ときどき後退しながら食べ進みます。
しかし依然として、桜の若葉には決して口を付けようとしません。

頭楯の横から前方に長く伸びた1対の黒い毛束も見えます。(欠損後に脱皮で再生)

つづく→#14:マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂の排便


マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@ソメイヨシノ果柄+摂食
マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@ソメイヨシノ果柄+摂食

2019/07/07

電柱支線用かずら巻き防止ガードの無効例:クズの本懐を遂げる



2018年8月中旬〜11月下旬

▼前回の記事
クズの蔓と戦う電柱支線用かずら巻き防止ガード


成長力が旺盛なクズの蔓が電線に絡みつくと地絡事故を起こす原因となりかねません。
電柱を補強するために上部から斜めにケーブル(支線)を張って地面に固定しているのですが、その支線を伝って地上からクズの蔓が伸びてしまうと大変です。
これを防ぐために電力会社の作業員が定期的に草刈りして周ったり、除草剤を撒いていたのでは膨大なコストがかかってしまいます。
そこで「電柱支線用かずら巻き防止ガード」と呼ばれる黒い円筒形のプラスチックが支線に取り付けられています。
あちこちで目にしたことがある人も多いでしょう。
つる植物の先端が伸びる際にある程度以上大きな直径の太い物体には絡みつくことができない、という性質を利用しています。
ところが生き物を相手にすると、理屈通りに行くとは限りません。


2018年8月中旬
とある場所で、クズの蔓が「電柱支線用かずら巻き防止ガード」を完全に攻略、突破して電柱に達している例を見つけました。
恐るべき生命力です。

葉が繁茂し、紫色のクズの花が咲いていました。


9月上旬
定点観察に通ってみると、支線の周りにクズの葉が更に育っていました。

電柱に達した蔓の先端部は、中段の電線に巻き付きながら水平に伸び続けています。


9月下旬
花は散っても支線はクズの群落にすっかり取り込まれた状態です。


11月下旬
枯れたクズの葉や蔓が電線や支線からぶら下がっていました。
クズの本懐を遂げてあっぱれです。

「かずら巻き防止ガード」破れたり!


電力会社の保守作業員が電柱を見回りに来ないのでしょうか。
こんな状態になるまで見逃されてほったらかしにされていたということは、電柱に巻き付いたクズのせいで電線がショートしたり停電になったりする事故は幸い起こらなかったのでしょう。
もしかすると、電気を送る電線は電柱の最上段を通り、電柱の中段を通るケーブルは光ファイバーとか電話線なのかもしれません。

だとすれば、電柱中段のケーブルに蔓植物が巻きついてもあまり問題は生じないのでしょう。


クズは秋に地上部が枯れても根茎が残りますから、根絶やしにしない限り毎年繁茂することになります。
日本でクズは単なる雑草の一種ですけど、諸外国にも帰化植物として分布を広げ猛威を振るっています。(参考リンク
日本由来のクズは有害植物ならびに侵略的外来種として指定され、懸命に駆除されているそうです。



さて、この場所で「電柱支線用かずら巻き防止ガード」がうまく機能しなかった理由を考えてみましょう。

注目すべきは、同じ電柱から2本伸びている支線の両方に「かずら巻き防止ガード」が取り付けられているのに、片方だけがクズに攻略されてしまったという点です。
春になって地下茎から新たに伸びたクズの蔓はまず、金網のフェンスを伝って上に成長したのでしょう。
そこから次は「電柱支線用かずら巻き防止ガード」を乗り越える必要があります。
設置した初めの年は支線への蔓の侵入を上手くブロックできたかもしれません。
しかし前年の蔓が「かずら巻き防止ガード」の手前に巻きついたまま枯れて残っていれば、翌年の蔓はそれを足場として上に伝って伸びることが可能になります。
「俺の屍を越えてゆけ」とばかりにクズは何年もかけて「かずら巻き防止ガード」を突破したのではないか、と私は推測しています。
私の仮説が正しければ、周囲のフェンスおよび支線に巻き付いて枯れたクズの蔓を一旦全て取り除いてしまえば、次の年からは「かずら巻き防止ガード」が突破されることはなくなるはずです。

それから、フェンスの高さよりもずっと上に「かずら巻き防止ガード」を取り付け直すべきでしょう。(あるいはもう一つ上に追加する)
もう一つ別の仮説としては、ここのクズ群落は蔓が巻きついて成長できる物体の限界半径が突然変異で普通よりも大きくなっていて、「かずら巻き防止ガード」の太さもあっさり突破されてしまった可能性も考えられます。

しかし、もしそうなら、隣にもう一本別に張られた支線の「かずら巻き防止ガード」も突破しているはずですから、突然変異説は否定できそうです。

今回は不定期の定点観察になってしまいました。

固定カメラで長期間の微速度撮影(タイムラプス)をじっくり行い、つる植物と「かずら巻き防止ガード」との静かなる攻防戦を映像で記録できたら面白そうです。
しかし誰かにカメラを悪戯されたり盗まれたりしそうなので、実現できていません。
私もいつかオーディオマニアのように自宅の庭に「マイ電柱」を建てて、思う存分、実験・撮影してみたいものです。

まぁでも、わざわざマイ電柱を立てる必要はなくて、屋根から庭にケーブル(支線)を張ってから「かずら巻き防止ガード」を取り付け、庭を雑草伸び放題にして長期間見守るだけです。



↑【おまけの動画】
日本のクズではありませんが、イギリスの国営放送BBCが熱帯のジャングルで蔓植物の成長を長期間、微速度撮影した見事な早回し映像です。
CGによるアニメーションではありません。
驚異の実写です。

帰巣後に転卵してから座るハシブトガラス(野鳥)



2019年5月上旬
▼前回の記事
ニセアカシア樹上の巣で抱卵するハシブトガラスは警戒心が強い(野鳥)

私があまり動き回らずに下を向いて道端のキタテハ撮影に熱中していると、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の親鳥は「こいつは人畜無害だ」と判断し警戒を解いてくれたようです。
やがてヒノキ高木の天辺で見張っていたハシブトガラスが少し飛んで農道を横切り、営巣木の5本左隣のニセアカシア(別名ハリエンジュ)高木に止まりました。
ガーガー♪と嗄れ声で鳴いています。(私に対する警戒声?)
しばらく私の様子を伺ってから再び飛んで、営巣木に着地。
白テープを巻いた巣の真下にある枝に移動しました。
辺りを警戒してから飛び上がり、ようやく自分の巣に戻りました。
段階的に帰巣することからも、ハシブトガラス親鳥の用心深さが伺えます。
最後はピョンと巣に跳び乗りました。

巣の縁に止まって中を覗き込み、嘴でなにやらゴソゴソと作業しています。
これはおそらく、転卵でしょう。
巣材を整えているのかもしれません。
巣の縁を移動し、向きを変えて転卵を続けます。
ようやく座り込んで抱卵を再開。
私に背を向け、川の方(西)を向いて座りました。

30分後に現場を再訪すると、親鳥は川の方を向いたまま抱卵を続けていました。


水路で飛びながら打水産卵するキリウジガガンボ♀?



2019年5月上旬

底に泥や緑藻が堆積しているような水深の浅い用水路でガガンボの一種が低空で飛びながら腹端を水面にチョンチョンと付けていました。
♀による打水産卵のようです。
産卵する度に水面に波紋が広がります。
岸の汚泥に産み付けるのではなく、水面に直接産卵しています。
現場は用水路が川の本流に流れ込む手前、水門の下でした。

しばらくすると、ガガンボが水路のコンクリート壁面に止まって休みました。
目測では大型のガガンボでした。(未採寸)
写真を拡大すると、キリウジガガンボTipula aino)ですかね?
もし間違っていたらご指摘願います。
キリウジガガンボの♀なら腹端が尖っているはずですが、この個体は違います。
この水路では複数のガガンボが飛び回っているため、産卵していたガガンボ♀と同一個体である自信がありません。
途中で♂と入れ替わったのかな?

映像の最後は打水産卵シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。



「水田のぬかるみに産卵するキリウジガガンボ Tipula aino の♀」と題した生態動画をkiokuimaさんがYouTubeで公開なさっています。
キリウジガガンボは挿泥産卵だけでなく場合によっては打水産卵もするのか、それとも私が撮ったのは別種のガガンボなのですかね?
ちなみにトンボでは種類によって産卵法が決まっています。

私がガガンボ類の産卵行動を観察したのはこれが4例目です。

▼関連記事
地面に産卵するガガンボ♀ @2008年5月中旬
ミカドガガンボ♀?の打水産卵 @2013年6月中旬
苔に産卵するガガンボ♀【名前を教えて】 @2016年11月下旬


つづく→キリウジガガンボの求愛飛翔?


キリウジガガンボ?@水路壁面
キリウジガガンボ?@水路壁面


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