2023/02/25

スギ林道の溜め糞場に通う「フサ尾」のホンドタヌキは複数居た【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月上旬 

里山のスギ林道にある溜め糞場sに通うホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の定点観察記録です。 
深夜に2晩連続で「フサ尾」が登場しました。 

シーン1:9/3・午前2:25頃・気温22℃ 
「フサ尾」の個体が林道を歩いて右から登場しました。 
実は7分前に「垂れ尾」が来て溜め糞場sに排便したのですけど、もしかしてペアで行動しているのでしょうか? 
それにしては間隔が開き過ぎのような気もします。 
「フサ尾」は自分たちの溜め糞場の匂いを嗅いただけで左へ通り過ぎました。 
アナグマの溜め糞がある所には立ち寄りませんでした。 

1分15秒後、更に別個体の「フサ尾」が右から登場し、カメラ目線で立ち止まっています。 
私が便宜的に「フサ尾」と名付けたのは、「垂れ尾」とは違うという意味のいわゆる正常個体ですから、「フサ尾」が複数居ても不思議ではありません。
何か他の特徴で個体識別しないといけません。 

トレイルカメラの存在を警戒しつつ、この個体も足早に溜め糞場を左へ通り過ぎました。 



シーン2:9/4・午前3:36・気温20℃ (@0:32〜) 
翌日は雨が降る中をフサ尾のタヌキが珍しく林道を左からやって来ました。 
対面にあるスギ大木の根元や下草の匂いを嗅ぎました。 
最近ニホンアナグマMeles anakuma)はこの溜め糞場sに来てないはずなのに、スクワットマーキングした残り香があるのかな? 
今回は自分たちの溜め糞には興味を示さずに素通りしました。 

そのまま右へ立ち去る直前に立ち止まって身震いし、雨で濡れた毛皮の水気を振り落としました。 


タヌキを個体識別できるようになりたくて垂れ尾とフサ尾で動画を別々に切り分けたのですが、単純に時系列順にまとめた方が良かったかもしれません。
色々と試行錯誤しないと分かりません。



ブッドレア(白)の花蜜を吸うミドリヒョウモン♂

 

2022年9月中旬・午後16:00頃・晴れ 

寺社の駐車場の隅に植栽されたブッドレアの白花品種にミドリヒョウモン♂(Argynnis paphia)が訪花していました。 
翅を開閉しながら吸蜜しています。 
前翅の縁が擦り切れた個体でした。 
横の路地を車が通りかかると、蝶は花から飛んで逃げてしまいました。

2023/02/24

スギ林道の溜め糞場周辺で虫を捕食するクロツグミ♀♂【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月中旬 

里山のスギ林道にある溜め糞場sを自動センサーカメラで監視していると、薄明薄暮の時間帯に3日連続でクロツグミ♀♂(Turdus cardis)が現れました。 

シーン1:9/17・午前5:22・気温18℃・(日の出時刻は午前5:19) 
日の出直後に真っ黒な鳥が林道の真ん中に佇んでいました。 
クロツグミ♂でしょうか? 
山中には未だ朝日が射してないので、赤外線の暗視モードのままです。 
スギの落ち葉の敷き詰められた林道をピョンピョン跳んで右に移動しました。 
歩行様式はトコトコ歩くのではなくホッピングでした。
関連記事(9年前の撮影)▶ 樹上のクロツグミ♂(野鳥)

クロツグミは平地の河川林や低山の明るい林にすみ、早朝、地上を跳びはねながら、ミミズや昆虫類を探している姿をよく見かける。 (『やまがた野鳥図鑑』p99より引用)  


シーン2:9/18・午後17:35・気温24℃・日の入り時刻は午後17:46 (@0:17〜) 
日没の直前ですが、鬱蒼としたスギ林の中は既に暗く、暗視モードでトレイルカメラが起動しました。 
飛んできて林道の真ん中に降り立った(と思われる)クロツグミ♂がホッピングで林道を渡ると、対面に見えるスギ大木の下で落ち葉を素早くめくる行動を繰り返しました。 
落ち葉の下に隠れている虫を探しているのでしょう。 
ピョンピョン跳んで林道を移動すると、落枝の上に跳び乗って身震いしました。 
このとき腹面が白く斑点模様があることを確認できました。 
ホッピングで林道を左に立ち去りました。 

マルチメディア鳥類図鑑』でクロツグミの食性を調べると、
地上や樹上で、昆虫や木の実などを食べる。落ち葉をくちばしでめくって、葉の下にひそむ昆虫やクモなどを探し出す。

シーン3:9/19・午前5:28・気温24℃・日の出時刻は午前5:21 (@0:54〜) 
3日目も初日と同じく、日の出直後に現れました。 
監視カメラが起動すると、今回は初めて2羽の鳥が画面中央の林道上に並んで居ました。 
右の個体Rは真っ黒なので、連日来ているクロツグミ♂と分かります。 
したがって、左に居る地味な個体はクロツグミ♀なのでしょう。 
クロツグミが♀♂つがいで溜め糞場sに登場したのは初めてです。 
おそらくクロツグミの営巣地やねぐらがこの近くにあり、日の出直後から採餌活動を始めるのでしょう。 

左の個体L(クロツグミ♀)はピョンピョン跳んで林道を手前に横切り、カメラの死角に消えました。 
居残った個体R(クロツグミ♂)は林道上でスギの落ち葉を啄みました。 
小さな虫を捕食したのかもしれません。 
ホッピングで林道を移動すると、初日と同じくお気に入りの落枝に乗りました。 
再び林道をあちこち移動しながらスギの落ち葉をめくって虫を探しています。 

クロツグミは、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマMeles anakuma)が共有している溜め糞そのものには興味を示さなかったものの、溜め糞場の周囲の落ち葉の下には糞虫など多くの昆虫が潜んでいることを経験から知っているようです。 
タヌキの糞塊に含まれている未消化の種子を鳥が採食するのではないかと期待していたのですが、クロツグミ♀♂はそれをしませんでした。 

小池伸介『クマが樹に登ると:クマからはじまる森のつながり』という本を読み直すと、「第5章:散布された種子の運命」が特に面白かったです。 
「タネを含んだ(ツキノワグマの:しぐま註)糞の上に設置した自動撮影カメラで撮影された動物たち」と題した写真にクロツグミが写っていました。p177
鳥類の三種(カケス、ヤマドリ、クロツグミ:しぐま註)は明らかに、糞の中にくちばしを突っ込んでいたり、タネを咥えていることから、これらの鳥も糞の中のタネの移動に影響している (p178より引用)

タヌキの溜め糞に群がり吸汁するオオマダラヒロクチバエを接写してみる

 

2022年9月中旬・午後13:30頃・晴れ 

低山の尾根道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場cに様々なハエ類が集まっていました。 
私には物珍しいオオマダラヒロクチバエEuprosopia grahami)に注目して、今回はマクロレンズで接写してみましょう。 

私の顔の近くでハエがブンブンと羽音♪を立てて飛び回り、タヌキの糞便臭が鼻をつきますが、心を無にして撮影します。 
デジカメの改悪でバックモニターの角度を変えられなくなった(バリアングル液晶が廃止された)ために、ローアングルの撮影がやりにくくて仕方ありません。 
炎天下の尾根道に腹這いになって溜め糞に来るハエを接写します。 
LUMIX FZシリーズのバリアングル液晶をなんとか復活してくれませんかね、Panasonicさん! 

オオマダラヒロクチバエの顔を正面から接写すると、複眼が細長く見えます。 
見る角度によっては、複眼の色が緑がかっています(構造色)。 
腿節が黄褐色なので、マツダマダラヒロクチバエではなくオオマダラヒロクチバエと判明。 
伸縮する口器の形状が独特で、スタンプのようにペタペタと獣糞の表面を吸い取っています。 
これがヒロクチバエ科の名前の所以なのでしょう。 
糞塊上を自発的に歩き回ってくれたおかげで、側面や背面からも接写できました。 

後半はやや引きの絵でオオマダラヒロクチバエおよびキンバエの群れを撮ってみました。 
オオマダラヒロクチバエの性別の見分け方を私は知らないのですが、腹面を見せている個体で腹端にある黒くて細長い突起は♀の産卵管なのかな? 

2023/02/23

砂防堰堤の上で取っ組み合いして遊ぶ幼いニホンザル

 

2022年9月中旬・午前11:00頃・くもり 

里山から流れ出る渓流を跨ぐように作られたコンクリート製の砂防堰堤に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが集まり、互いに毛繕いし合ったり思い思いにくつろいでいました。 
2頭の子ザルが取っ組み合いを始めました。 
本気の喧嘩ではなく、仲良しの遊び仲間がレスリングのような格闘遊びをしているようです。 
格闘中に鳴き声を発していませんでした。(少なくとも私には聞き取れませんでした。) 
もし堰堤の縁から落ちたら結構な高さなのですけど、ニホンザルは高さへの恐怖は無いようです。
私に隠し撮りされていることに気づくと、堰堤の少し奥に移動して死角に隠れました。 
私もそっと移動して撮影アングルをなんとか確保します。 
相手を組み伏せようとしたり、甘噛みしたり、逃げる相手を追いかけたり、疲れ知らずの子ザルは延々と寝技を続けています。 
子ザル同士の無邪気なプロレスごっこのように見えて、実は群れ内での力関係(序列)がこうして決まっていくのかもしれません。
ようやく一戦を終えると、堰堤を右に遊動して仲間と合流しました。 

この2頭にひたすら注目して格闘遊びの一部始終を長撮りすれば良かったのですけど、巨大な堰堤のあちこちで多数のニホンザルが様々な行動をしていたので、何を撮るべきか目移りしてしまいました。


飛べ!セスジスカシバ♂(蛾)

 

2022年9月中旬・午後12:40頃・晴れ 

里山の斜面に繁茂するクズの葉の端にセスジスカシバ♂(Pennisetia fixseni fixseni)が止まっていました。 
見事なベーツ型擬態で、私もズームインしてみるまでは蜂(スズメバチまたはアシナガバチ)かと思いました。 
触角の分岐が発達しているので♂と分かります。 
側面から見ると、腹端の毛束(ヘアペンシル?)がよく目立ちます。 

葉上でじっとしているので、もしかして死骸なのかと疑い、指で触れてみました。 
右触角に軽く触れるとピクッと避けたので、生きていました。 
私がしつこく触わっても、なかなか飛んで逃げようとしません。 
翅を閉じていて分かりにくいのですが、「透かし翅」になっていません。 
羽化直後で翅から鱗粉が落ちる前の個体なのかな? 

セスジスカシバ♂は葉上を歩いて移動してから、準備運動なしにブーン♪と飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしても、羽ばたきが早過ぎて、「透かし翅」かどうかしっかり確かめられませんでした。 
ハイスピード動画で撮るべきでしたね。 

※ 後半は羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。



2023/02/22

ミゾソバなど林道に生えた下草を食べに連日通うニホンカモシカ【トレイルカメラ】

 

2022年9月中旬

里山の林道でいつも水溜りができているジメジメした区間を監視できるように、自動センサーカメラを新たに設置してみました。 
これまでは林道脇の法面から水溜りを見下ろすようなアングルでしたが、反対側から狙ってみます。 
すると、意外にもニホンカモシカCapricornis crispus)の採食シーンが3日連続で長々と記録されていました。 
初日は日の出直後に現れ、2〜3日目も時間を遅らせながら午前中に登場しました。 


シーン1:9/16・午前5:25〜5:30・(日の出時刻は午前5:18)
右から登場した時にはカメラに対して近過ぎて、林道で何をしているのかよく分かりませんでした。 
左に一度通り過ぎてから、すぐにまた同一個体?が戻って来ました。 
角が未だ細くて若い個体のようです。 
右側の背中に黒点の模様があります。 
左尻の上に白い毛が生えています。
これらの特徴は個体識別に使えるかな? 
後ろ姿の股間をいくら目を凝らして見ても、外性器が毛で覆われていて性別不明です。 

今度は画面の中央で下草を採食してくれました。 
この餌場がよほど気に入ったのか、ほとんど移動せずにのんびりと下草を食べ続けます。 
後日、現場検証すると、その辺りの湿った林道にはミゾソバが大群落を形成して地面を覆い尽くしていました。





ミゾソバの茎を途中から食い千切った跡(食痕)がそこら中で見つかります。
カモシカは下顎にしか切歯(門歯)が無いために、ノウサギの食痕のようにスパッと鋭い切り口にはなりません。




他にはトリアシショウマヌスビトハギが疎らに生えていました。 
トリアシショウマ@ヌタ場


この時期は花が咲き終わった植物が多くて、私には種類を見分けられなくなります。 
奥に見える山側の斜面には、シシガシラという常緑の羊歯が生えていますが、カモシカはシダ植物を食べないようです。 

本を読むとカモシカは草食獣の中でもgrazerではなくbrowserとされていて、てっきり草はあまり食べずに灌木の葉が好きなのかと思っていました。 
(ちなみにシカがgrazerです。)
カモシカがミゾソバをモリモリ食べるとは意外でした。
同時期に別の地点で出会った個体の直接観察でもミゾソバの花や葉を食べていました。

平田貞雄『ニホンカモシカ・ミミの一生』という本は、生後間もないニホンカモシカ幼獣♀を保護した飼育観察記録です。 
様々な植物を与えて食べるかどうか克明に調べ上げていて貴重な資料なのですが、ミゾソバは「テスト回数3〜7回で採食しなかったもの」リストに含まれていました。(p48:表2) 
つまり、ミミ♀はミゾソバが嫌いで食べなかったという結果です。 
これは明らかに私の今回の映像記録と異なるのですが、ニホンカモシカの個体差または地域差による好き嫌いとしか言いようがありません。 


シーン2:9/17・午前7:42〜7:50・日の出時刻は午前5:19(@4:39〜) 
翌朝にもカモシカが下草を食べにやって来ました。 
林道を左から右へゆっくり歩きながら採食しています。 
同一個体が戻って来たのかと思いきや、右の背中に黒点模様が無いので、おそらく別個体でしょう。 
角の発達具合から、素人目には成獣に見えます。 
左の尻に白毛もありません。 


シーン3:9/18・午前9:30頃(@9:14〜) 
3日目の朝もカモシカが採食に来ました。 
この林道は餌となる下草も多いし人通りも少ないので、安心して採食できるお気に入りの餌場なのでしょう。 
右の背中に黒毛の部分があり、左の尻が白いので、初日の若いカモシカと同一個体のようです。 


3日間で2頭の個体が餌場に代わる代わる登場していました。 
ヒトや車の往来が途絶えた林道(廃道)でも下草が野放図に繁茂せずに通年きれいに保たれているのは、カモシカなど草食獣のおかげ(採食圧)なのだと気づかされました。
画面右端に見切れている浅い水溜りでカモシカが水を飲むことはありませんでした。
しかし、泥濘と化した浅い水溜りにニホンカモシカの蹄跡がくっきりと残されていました。





※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
フルカラーの新機種で記録できなかったのは残念です。



巣穴に帰る途中で少し迷うモンスズメバチ♀

 



2022年6月中旬・午前11:35頃および午後13:45頃・晴れ 

拡張工事中の巣穴から不要な土砂を外に捨てるために、モンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が何匹も忙しく出入りしています。 
蜂が帰ってくると、そのかすかな羽音で気づきます。 
巣口に向かって一直線に飛来するのではなく、一度通り過ぎてしまうことが多いようです。 
うまく流し撮りできた帰巣シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
営巣地の周囲に咲き乱れるブタナの花で栄養補給のために吸蜜するかと期待したのですが、訪花シーンは一度も見れませんでした。

初めて出巣する際に定位飛行して巣口の周囲の風景をしっかり記憶したはずですが、覚えたときと同じ向きで戻らないと、帰巣できないのかもしれません。 
あるいは、私が巣穴の近くの地面に荷物を下ろし、突っ立って撮影しているために、営巣地周辺の景色が蜂にとって激変してしまい、少し迷子になっているのかな? 
迷子になったのではなく、私に対して警戒した蜂が営巣地の周辺を偵察してから帰巣した、という可能性も考えられます。 

巣穴から少し離れてじっとしている限り、モンスズメバチ♀は私に対して攻撃してきませんでした。 
対スズメバチ専用の防護服を着用しなくても、蜂の習性を理解していれば、これぐらいの映像は安全に撮れます。
この日は三脚を持ってこなかったので、撮影手法は限られてしまいます。

生き物の自然な行動を観察したい私としては、観察行為そのものが観察対象の行動に影響を与えてしまう、という問題にいつも頭を悩まされます。 
充分に離れた位置から望遠レンズで撮影したり、ブラインドを張って(カモフラージュ)隠し撮りしたり、無人センサーカメラを使ったり、様々な手法が先人の動物カメラマンによって開発されてきました。




2023/02/21

夜のスギ林道を走り回る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2022年9月中旬 

里山のスギ林道にある溜め糞場sを自動センサーカメラで見張っていると、秋になってもときどき夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が写ります。 
夜に餌を探し歩いていると思われますが、スギ林の林床に野ネズミの餌が豊富にあるとは思えないません。
タヌキやアナグマの溜め糞に含まれる種子を食べたり糞虫を捕食したりするでもなく、単なる移動経路のようです。 


シーン1:9/14・午前1:36・気温22℃ 
画面の右下隅に居た野ネズミが右へ走り去りました。 


シーン2:9/15・午前2:39・気温18℃(@0:05〜) 
画面中央から林道を左へチョロチョロと走り去りました。 
タヌキの溜め糞には興味を示さず、すぐ横を素通りしました。 


シーン3:9/15・午前2:50・気温19℃(@0:17〜) 
画面の右下を右に移動して行きます。 


シーン4:9/15・午後19:37・気温20℃(@0:27〜) 
画面中央を左に移動。 


シーン5:9/15・午後20:11・気温20℃(@0:42〜) 
今回も画面中央から左に移動。 
カメラの赤外線LEDが強過ぎて画面中央部は白飛びしていたので、動画編集時に少し暗くしたら見やすくなりました。 
タヌキの新鮮な溜め糞上では様々な虫が蠢いているのに、野ネズミは虫を捕食することもなく素通りしました。 


シーン6:9/15・午後23:54・気温18℃(@1:01〜) 
このときは珍しく、画面中央から一旦右に移動してから、再び戻って来ました。 
尻切れトンボで録画が打ち切られて残念。 


シーン7:9/17・午前3:34・気温18℃(@1:46〜) 
スギの落ち葉が敷き詰められた林道を右から左へ走り去りました。 
タヌキの溜め糞をピョンピョン跳んで通り過ぎる際に、足で踏んでしまっています。 


センサーが感知してから録画開始するまでの反応速度が早い新機種のトレイルカメラを使っているのに、野ネズミがどこから現れるのか毎回分かりません。 
小さな野ネズミの個体識別なんて到底無理ですが、どうやら夜の巡回ルートが大体決まっているようです。
カメラの設置アングルを少し変えてみたりしつこく試行錯誤した結果、実は近くに野ネズミの巣穴があることが後々分かってきます。



草を両手で挟み込んで食べるヒロバネヒナバッタ

 

2022年9月中旬・午後13:45頃・晴れ 

里山の尾根道に残されたタヌキの溜め糞cを観察していると、ヒロバネヒナバッタStenobothrus fumatus)が来ているのを見つけました。
マクロレンズで接写してみました。 


バッタも獣糞に含まれている種子を食べるのかと思いきや、溜め糞の横に疎らに生えたイネ科の草の葉(種名不詳)を食べ始めました。 
左右の前脚の先(跗節)で草をしっかり挟み込んで食べる様子がなんとも可愛らしいですね。
腹端が見えなかったので、性別不明です。 
後膝が黒いことから、ヒナバッタは除外できます。(参考:保育社『検索入門セミ・バッタ』p120) 


関連記事(11年前の撮影)▶ ヒロバネヒナバッタ♂の鳴き声♪
 

2023/02/20

獣道の途中で排尿マーキングするホンドタヌキ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月中旬・午前2:20 

里山の雑木林で泥汚れのついたカラマツを自動センサーカメラで見張っていると、深夜にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が通りかかりました。
ちなみに、冒頭のシーンは明るい昼間の現場状況です。 
斜面を横切る獣道の途中で立ち止まり、不思議そうにカメラの方を見つめていました。 

タヌキが立ち去る間際の行動が気になりました。 
どうやら林床の下生え(幼木)にオシッコをひっかけて行ったみたいです。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:21〜) 
画角の右下隅にちらっと写っただけなのですが、通りすがりに右後脚を軽く持ち上げて、イヌ♂の排尿のような体勢になっていました。 
残念ながら小便が出る様子は写っていませんでした。 
それでもタヌキの排尿マーキングの片鱗を垣間見れたのはこれが初めてで、とても嬉しい収穫でした。 
撮らぬたぬきの皮算用?
しかも、片足を持ち上げて排尿したということで、この個体は♂と判明。 

従来は溜め糞場を監視するために、獣道を斜め上から見下ろすようにトレイルカメラを設置しているので、タヌキが排尿したかどうか分かりにくかったのかもしれません。
今回はややローアングルにカメラを設置したので、たまたま写ったのでしょう。
この獣道をタヌキが通りかかる度に決まった場所にオシッコをかけて匂い付け(マーキング)するのであれば、トレイルカメラのアングルをもう少し右にずらせば、次こそはしっかり録画されそうです。
ただし、これまでの私の経験では、ローアングルだとカメラの存在をタヌキに気づかれやすくなり、敬遠・迂回されるのではないかと心配です。

この地点に監視カメラを仕込んだのは、泥浴びしたイノシシがカラマツの幹に体を擦り付けるシーンを隠し撮りしたいからです。
しかしイノシシが滅多に現れないので、カメラを撤去しようか迷い始めたところでした。
それでも色々と予想外の副産物が撮れて楽しいので、結果オーライで続けることにします。



池に落水して暴れるヒカゲチョウ♀を捕食するトノサマガエル♀

 



2022年9月中旬・午後14:55頃・くもり 

山中の池に落水したヒカゲチョウ♀(Lethe sicelis)が水面でパタパタと暴れています。 
蝶が立てる波紋に気づいたトノサマガエル♀(Pelophylax nigromaculatus)が浅い池をピョンピョン跳んで近づいて来ました。 
この時点では獲物に対して定位しており、一直線に向かってきました。 
トノサマガエル♀は喉をヒクヒク動かしています。 

ヒカゲチョウ♀も迫りくる殺気を感じたようです。 
絶体絶命のヒカゲチョウ♀は逃げられないので、動きを止めました(フリーズ、すくみ行動、擬死、死んだふり) 
蛙に翅裏を見せていますが、地味な模様なので保護色になっているのかもしれません。 
案の定、トノサマガエル♀は獲物を見失ったようで、ヒカゲチョウ♀の横を通り過ぎてしまいました。 
蝶が少しでも動いたらカエルに気づかれてしまいます。 
至近距離で共にフリーズした息詰まる神経戦を5倍速の早回し映像でご覧ください。 
トノサマガエル♀はときどき腹部がヒクヒク動くだけで、じっとしています。 
カエルが動かないのも、獲物を油断させるための作戦なのでしょう。 

ヒカゲチョウ♀が先に警戒を解いてしまい、ピクピクと身動きし始めました。 
閉じた翅を細かく震わせているのは、飛び立つ前の準備運動なのでしょう。 
体温を上げるために、胸部の飛翔筋を激しく動かすのです。 

それを横目で見ていたカエルが遂に襲いかかりました。 
狩りの決定的瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:17〜) 
トノサマガエル♀は口を大きく開けて跳びつき、見事に獲物をパクリと咥えました。 
カメレオンのように舌を素早く伸ばして獲物を狩るのではありません。 
自分の身を守る武器を持たないヒカゲチョウは、成す術もなく捕食されてしまいました。 
狩りに成功したカエルはまず左右の前脚を使って、獲物に付着したゴミや泥を払い落としました。 
トノサマガエル♀の口の両側から蝶の翅が飛び出しています。 
かさばって食べにくい翅を取り除くこともなく、その場で全て丸呑みしました。 
カエルは歯が無いので、大きな獲物を食い千切ることができないのです。 
数回に分けて獲物を飲み込もうとする度に、大きな眼球が引っ込みます。

トノサマガエルの捕食シーンを動画に撮れたのは久しぶりです。 
こうなるだろうと展開を予想(期待)して、辛抱強く長撮りした甲斐がありました。 

池を舞台にして繰り広げられる「食うか食われるかの連続ドラマ」を目の当たりにして、静かな感動を覚えました。 
特に印象的なのは、弱者の対捕食者戦略としてのすくみ行動(フリーズ)です。 
今回はトノサマガエルに軍配が上がりましたが、「ヘビに睨まれたカエル」という慣用句もあるように、立場が変わればカエルもフリーズするしかありません。 
実際、この池にはヤマカガシなどの蛇がときどき出没します。

2023/02/19

ノブドウの果実を次々に採食するニホンザル

 

2022年9月中旬・午前11:00頃・くもり(にわか雨が降る前)

林道の脇に生えたオニグルミの樹上にニホンザルMacaca fuscata fuscata)の若い個体が登っていました。 
ノブドウの蔓がクルミの木に巻き付いて伸びた結果、覆い尽くすようなマント群落になっています。 
ノブドウの果実を若いニホンザルが次々に食べていました。 
ニホンザルの採食メニュー一覧が載ったPDF資料を見ると、ノブドウが含まれていました。
三戸幸久. "ニホンザル採食植物リスト." Asian paleoprimatology 2 (2002): 89-113.
ノブドウは色とりどりの果実を付けますが、我々の常識に反して熟果は白色なのだそうです。(衝撃の事実!) 
青や紫に色づいた果実は、虫こぶ(虫えい)で、ノブドウミタマバエ(Asphondylia baca)やブドウトリバNippoptilia vitis)などの幼虫が寄生した結果とされています。 
しかし図鑑や本に書いてあることよりも現実ははるかに複雑怪奇(完全には解明されていない)らしいので、いつか自分でも採集・飼育してこの辺りを確かめてみたいところです。 

樹上のニホンザルは片手でオニグルミの枝葉を掴んで体勢を確保し、逆の手を伸ばして果実の付いたノブドウの蔓を口元に手繰り寄せました。 
手を伸ばしてノブドウを次々と摘果して口に運ぶこともあります。 
左手でも右手でも摘果したので、特に偏った利き手は認められませんでした。 
いくら食べても口から色付きの果汁が滴り落ちることはなく、唇が紫色に染まることもありませんでした。 
ノブドウの葉は決して食べずに果実だけを選んで食べています。 
緑色の未熟な果実は食べませんでした。 
何口か咀嚼した後に吐き出す残渣は、ノブドウ果実の中にある硬い種子と思われます。 
薄甘い(?)果肉と果汁だけ摂取しているようです。 
しかし、ノブドウの白い熟果(正常果)だけでなく色づいた寄生果(虫こぶ)も構わずに食べているのだとすれば、中に潜む寄生者の幼虫や蛹を捕食している可能性も考えられます。 
特に不味かった虫こぶだけ、サルは吐き出しているのかもしれません。 
「虫こぶは不味くて食べられない」という「定説」はどこまで本当なのでしょうか? 
ちゃんと体を張って味見(毒味)をしたヒトはいるのかな? 
他人任せにしないで、私も自分で味見してみるべきですね。
色とりどりの宝石のような実。実の一部はノブドウミタバエ(原文ママ:正しくはノブドウミタマバエ)などが寄生して虫こぶになる。(中略)果肉や種子の状態から、濃い青や紫の実は未熟で、白い実が熟果であるようだ。白い実の果肉は白く半透明で、少々舌に残るがブドウに似た食感でほのかに甘い。ただし青や紫の実の種子もまけば正常に発芽する。 (『身近な草木の実とタネハンドブック』p120より引用)


猿はときどき振り返って私の様子を窺いながら、採食を続けます。 
しつこくカメラを向けている私に警戒したのか、オニグルミの枝葉の陰に隠れてしまいました。 
茂みの陰に隠れながらもノブドウの果実を食べ続けています。 


オニグルミ樹上のニホンザルはやがて、見通しの良い枝に移動してくれました。 
枝に腰掛けて餌を咀嚼しながら、後脚で体を掻いています。 (@3:27〜)
このとき股間に見えたピンクのでべそのような突起物は♂の陰茎にしては小さいので、♀のような気がします。 (間違っていたらご指摘ください。) 
胸に長い乳首が見えないので、経産婦♀でないことは確かです。 

しばらくすると猿はオニグルミの下部の枝に移動し、ノブドウのマント群落から果実採食を再開しました。 
今度は採食シーンがよく見えるようになりました。 
私がじっと動かず静かに撮影していたら、警戒を解いてくれたようです。






後半に私が少し近づいてみると、猿はオニグルミの横枝にぶら下がり、ゆっくりと慎重に地上に降りました。 
木から降りたニホンザル♀は急に走り出すと砂利道の林道を横断し、姿を消しました。 

今回、採食行動を直接観察した限りでは、ニホンザルはノブドウの種子散布にさほど貢献していない印象を受けます。 
ノブドウの果実を食べたニホンザルは、ほぼその場で種子を吐き出している(ように見える)からです。 
一部の果実を丸ごと飲み込み、遠くへ移動してから糞と一緒に未消化の種子を排泄するのかな?(周食型散布) 
この問題を自力で突き止めるには、ニホンザルやタヌキなど野生動物の糞分析もいつか自分でやらないといけません。 

ノブドウの種子散布者の本命は鳥なのでしょうか? 
野鳥と木の実ハンドブック』でノブドウについて調べると、否定的でした。
10月頃には熟すが、鳥が採食することは少なく、12月頃になってカワラヒワなどがときどき採食する程度。本当の実の色は赤紫色で、紫色や紺色になるのはブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生しているためだと言われている。(p49より引用:熟果の色に関しては筆者の誤り?)

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