2024/02/03

ニホンアナグマ♀の欠伸【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

6/4・午前0:00頃・気温12℃ 
ちょうど日付が変わる深夜に、右目の小さなニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が営巣地(セット)の広場に独りで座って、痒い体をボリボリ掻いていました。 
育児に疲れているようで、地面に伏せてから寝返りを打って横臥しました。 
そのまま外で眠るのかと思いきや、起き上がって再び体を掻きました。 
痒い毛皮をボリボリ掻きながら、口を大きく開けて欠伸をしました。 

 【アフィリエイト】 中川遊野『どうぶつのあくび』 


雪解け田んぼに集まるコハクチョウ大群の諸活動:採食・飲水・羽繕い・昼寝・小競り合い【冬の野鳥:4K動画】

 

2023年3月下旬・午後15:10頃・晴れ 

早春の田んぼにコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の大群が散開していました。 
あまりにも個体数が多いので、どの個体の行動に注目すべきか、目移りしてしまいます。(計何羽が登場するか数えてみる?) 
採食したり(落ち穂拾い)、雪解け水を飲んで喉を潤したり、羽繕い、昼寝など各々がのんびり過ごしています。 
近くの舗装路を車や自転車が通りかかっても、白鳥は逃げようとしません。 
この大群の中には首輪を装着した個体は見つけられませんでした。 

採食中に群れが混み合ってくると、たまに小競り合いが勃発します。 
畦道から隣の雪田に下りた個体が、目の前を横切ろうとした別個体を邪険に追い払いました。(若鳥同士の小競り合い @2:00〜) 
嘴でつつかれそうになった相手は反撃せずに、慌てて逃げて離れました。 
その左では、別個体が雪田で片足立ちのまま採食しています。 
冷たい雪解け水に浸かった足がしもやけや凍傷にならないように、片足ずつ交互に持ち上げて温めているのでしょう。 

せっかくカメラを三脚に固定して高画質の4K動画で撮っても、雪解けの進む刈田から陽炎が絶えずゆらゆらと立ち昇っています。
もっとシャープな映像を撮るには、気温の低い早朝に撮影する必要がありそうです。

2024/02/02

営巣地の林床に穴を掘って餌を探すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣地(セット)で採食するシーンをまとめてみました。 
採食行動または探餌行動だと解釈しているのですけど、後ろ向きだったりやや遠かったりして、口の咀嚼を確認できていません。



シーン1:6/2・午前0:42・(@0:00〜) 
小雨がぱらつく深夜にアナグマ♀が奥にある巣口Rを点検してから、左奥の林縁に向かいました。 
木の根元に穴を掘り始めました。 
ミミズや虫などの獲物を探しているのでしょうか。 
少し奥に歩いてから地面に座って、体を掻きました。 
立ち上がると、二次林を探餌徘徊。 


シーン2:6/6・午前4:01・気温10℃(@0:59〜)日の出時刻は午前4:14。 
4日後の明け方に、♀が身震いしてから奥の二次林へ入って行きました。 
林床のあちこちで浅く穴を掘って餌を探しているようです。 

遠くの田畑(または休耕地)からキジ♂がケンケーンと鳴いて朝一番の縄張り宣言をする声がかすかに聞こえました。(@1:50〜) 


シーン3:6/8・午前4:12・気温14℃(@1:59〜)日の出時刻は午前4:13。 
2日後の日の出直前には、2匹のアナグマ(♀とヘルパー♂)が巣穴の外に出ていました。 
個体識別にあまり自信がないのですが、1頭(おそらくヘルパー♂)が林縁に横たわって体を掻いたり仰向けで毛繕いしている間に、もう1頭(おそらく♀)が手前の巣口Rで地面を浅く掘り返しながら鼻面を土の中に突っ込んでいました。 
巣穴Rを拡張するための穴掘りではなく、採餌のための穴掘りと思われます。 


シーン4:6/8・午前4:13・(@2:59〜) 
続けてトレイルカメラが起動した際には、なぜか暗視モードの赤外線照射が切れてしまいました。 
ちょうど日の出時刻を迎えた林内は未だ真っ暗で、ほとんど何も見えません。 
ちなみに、気温20℃と表示されているのは異常値です。(連続動画撮影によるカメラ自体の発熱)

動画編集で強引に明るく加工してみると、アナグマの興味深い行動が撮れていました。
光量不足のため、まるでモザイク処理したような非常に粗い映像ですが、目を細めて見ると、林縁で仰向け毛繕いしていたヘルパー♂が前足をミズキ?灌木の幹に掛けて後足で立ち上がったのです。 (@3:39〜)
アナグマが2本足で起立するシーンは珍しいです。
立木へのマーキング行動なのかな?
♀はときどき巣材集めの際に落ち葉が足りないと、後足で立ち上がって木の枝や蔓植物から生の葉を前脚で採取することがあります。 
しかし、今回の映像ではヘルパー♂が立ち上がって前脚で届く範囲に若葉は生えてませんでした。
もしかすると、木登りしていたクワガタなどの甲虫を見つけて捕食したのではないか?と想像を逞しくしてみました。 

関連記事(同時期に同所で撮影)▶ 昼間にミズキの幹を下るスジクワガタ♂ 


 一方、手前にいる♀は探餌の穴掘りを続けながら手前に移動しました。 


 ※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


昼間にミズキの幹を下るスジクワガタ♂

 

2023年6月上旬・午後14:45頃・晴れ 

ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣する平地の二次林で、若いミズキの木を下向きになって降りて行くスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis striatipennis)を見つけました。 
白っぽい幹に黒々としたクワガタムシが動いているとよく目立ちます。 
(鳥に捕食されるのではないかと心配です。) 
地上に向かって幹をどんどん下りていきます。 
小さなアリ(種名不詳)とすれ違いましたが、ニアミスしなかったので何事も起こりませんでした。 

採集・採寸するつもりだったのに、私がちょっと目を離した隙に地上に下りたようで、見失ってしまいました。 
ミズキの根元や地表に達してからの行動を見届けるまで動画を撮り続けるべきでした。 
写真を見直すと大顎の内歯が2歯あるので、コクワガタ♂ではなくスジクワガタ♂ですね。
「スジ」クワガタと言っても鞘翅に縦筋が無いので、比較的大型の個体なのでしょう。 
 岡島秀治、山口進『検索入門クワガタムシ
上翅は小形の個体で明瞭な縦条をもつが、中〜大形の個体になるにしたがって次第に不明瞭となり、やがて消失する。(p108より引用)

現場では樹種が分からなかったのですが、樹皮、葉裏および未熟果の写真から総合的にミズキと判明しました。 
スジクワガタ♂はミズキの木の上部で樹液を吸っていたのかもしれませんが、ミズキの樹液酒場なんて私は見聞きしたことがありません。
ネット検索すると、ミズキから滲み出る樹液はファフィア酵母なる特殊な酵母の分解作用で発酵すると鮮やかなオレンジ色になるらしい。

最後は引きの絵(全景)から上にパンして林冠の様子を写しました。 
雑木の葉がびっしりと重なり合うように生い茂り、日光が射し込む林冠ギャップが殆どありません。 (空が見えない)
ミズキの左隣に生えた、棘だらけの細い幹は若いハリギリの木です。 
すぐ右にはアナグマの巣穴があります。 

※ 分かりやすく見せる演出の都合上、動画素材の順序を入れ替えました。 
明るい日中でもかなり薄暗い林内で望遠マクロにすると、画質が少々粗くなってしまいます。

2024/02/01

雨夜にアナグマの営巣地で餌を探し歩く野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

梅雨入り前ですが、ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)で雨夜に出没する野ネズミ(ノネズミ)の動画をまとめてみました。 

6/2には線状降水帯が形成され、長雨が終日降り続きました。


シーン1:6/2・午前1:23・(@0:00〜) 
画面の赤丸に注目してください。 
二次林の林床で深夜未明に野ネズミが立ち止まって、何かしています。 
何かを採食したのか、顔を拭っている(毛繕い)のか、よく分かりません。 
手前にあるアナグマの巣口Lを迂回して、チョロチョロと左へ向かいました。 


シーン2:6/2・午前3:47・(@0:16〜) 
餌を探し求めて左のエリアをウロチョロしています。 


シーン3:6/2・午後20:12・(@0:24〜) 
同じ日の晩になると、夜行性の野ネズミが活動を始めました。 
画面の右端から右へ。 


シーン4:6/2・午後20:39・(@0:39〜) 
画面中央から左へ。 


シーン5:6/2・午後22:07・(@0:40〜) 
小雨が降る中、右のエリアを野ネズミがウロチョロしています。 


シーン6:6/2・午後22:26・(@0:58〜) 
左奥の灌木の方へ向かいました。 


※ 雨音が聞き取れるように動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
雨夜の森で地面を多足類が活発に徘徊していたのですけど、うっかり編集でカットしてしまいました。 
野ネズミが見つけていたら捕食したかな? 
アナグマやタヌキならどうでしょう? 


強風の日にウィンドサーフィンや掴み合いの空中戦を楽しむハシボソガラスの群れ(野鳥)

 

2023年6月上旬・午後15:15頃・晴れ 

山麓の農村部にそびえ立つ2本のスギ(杉)高木の梢からハシボソガラスCorvus corone)の群れが繰り返し飛び立っていました。 
晴れているものの強風が吹き荒れる日で、樹上のカラスは軽く飛び上がると翼の角度を少し変えるだけで急上昇したり急降下することが可能です。 
隣の木にふわりと飛び移りました。 
4羽のカラスが強い逆風を利用してウィンドサーフィン(風乗り遊び)を楽しんでいるようです。 

樹冠に止まった個体がお辞儀をしながら鳴いていますが、風切り音がうるさくて聞き取れません。 
鳴き声が聞こえなくても、鳴き方の姿勢だけでハシボソガラスと分かります。 

杉の木から相次いで飛び上がった2羽が空中で互いに追いかけっこを始めました。 
強風で流されてしまうスリルが楽しいのでしょう。 
元の止まり木に戻るのも大変で、強風に逆らって必死で羽ばたいています。 

強風下の空中戦を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:20〜) 
空中で互いに足で蹴り合ったら絡み合ってしまい、きりもみ状態で落ちていきます。 
地上に墜落する寸前で離れました。 
まるで本で読んだことのある猛禽類の求愛行動みたいです。 

空中戦も含めて遊びの行動だと私は解釈しましたが、止まり木を巡る本気の縄張り争いだった可能性もありますかね? 
スギ樹上に塒入りするにはまだ早い時間帯でした。 


関連記事(2、7、10年前の撮影)▶  

2024/01/31

ヨモギの茂みに隠れて騒がしく兄弟喧嘩をしていたホンドタヌキの幼獣が巣穴に隠れた

 



2023年6月上旬・午後12:45頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地をトレイルカメラで監視しています。 
カメラの電池を交換するために森を抜けて休耕地へ向かっていると、林縁の原っぱでヨモギの茂みが一部だけ不規則に揺れていることに気づきました。 
風による振動にしては不自然です。 
クズの蔓もヨモギの群落に覆いかぶさるように伸びています。 
初めは鳥の鳴き声しか聞こえませんでしたが、耳を澄ますと、時々なんとも形容し難い奇妙な鳴き声や唸り声もかすかに聞こえてきました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

おそらく巣外に出てきたタヌキの幼獣が草むらに隠れて格闘遊び(兄弟喧嘩?)をしてはしゃいでいるのではないか?と想像しました。 

離れたところからしばらく長撮りしても、タヌキの幼獣はヨモギ群落の外に姿を現してくれませんでした。 
親の言いつけをしっかり守っているのか幼獣の生まれついた本能なのか知りませんが、明るい昼間は天敵(捕食者)に襲われる心配があるので、草むらに隠れて過ごすようです。 
例えば、ノスリなどの猛禽類が休耕地で獲物を狙っているかもしれません。 

関連記事(11日前の撮影)▶ 夕暮れの樹上で鳴く♪ノスリ(野鳥) 


別の用事を済ませてから20分後。 
ヨモギの茂みを揺らしていた生き物の正体を突き止めるために、動画を撮りながらゆっくり近づいてみました。 
(獣ではなく野鳥の可能性も考えられます。) 
ヒメジョオンの白い花が咲き乱れる休耕地の草むらには、獣道が何本も縦横に形成されていました。 
私が近づくと外で遊んでいたタヌキ幼獣は慌てて巣穴に逃げ込むだろうと予想したものの、雑草の草丈が高くて逃走シーンは見えませんでした。 

ヨモギの群落を回り込んでからタヌキの巣口aにズームインすると、穴の奥から2頭の幼獣が顔だけ出して、つぶらな瞳で私を不思議そうに見上げていました。 
巣口の手前に生えたクズの蔓が邪魔で、どうしても前ピンになってしまいます。 
私が横に少し動くと、ホンドタヌキの幼獣は警戒して巣穴の奥に逃げ込んでしまいました。
人懐っこく外に出て来られる方が困ってしまうので、ヒト(怪しい侵入者)を恐れてくれて一安心。
あれほど元気に騒いでいたのに、私と対峙している間、幼獣は鳴き声を全く発しませんでした。 
巣口でミドリキンバエ?が飛び回っています。 
親ダヌキの姿を全く見かけませんでしたが、採餌に出かけているのか、日中は巣穴の奥でぐっすり寝ているのでしょう。
近くにあるもう一つの巣穴bには近寄らず、写真を撮っただけで私はタヌキの営巣地から撤退しました。 




この後も無人カメラでの監視をしばらく続けたのですが、何も撮れなくなってしまいました。
私の干渉を嫌がってタヌキの家族が巣穴を放棄して出て行った訳ではありません。
初夏は植物の成長が旺盛で、原っぱにあるタヌキの巣穴が雑草ですっかり覆い隠されてしまったからです。
タヌキ成獣の体高よりも雑草の草丈の方が高くなりました。
風が吹く度に草木が揺れてカメラのセンサーが誤作動することが多く、無駄撮りばかりになります。
かと言って、営巣地の草刈りをする訳にはいきません。
あれこれ試行錯誤したのですけど、タヌキ営巣地の撮影は泣く泣く諦めました。
ドローンを飛ばして上空から空撮するか、高木に登って樹冠にトレイルカメラを設置するしかなさそうですが、高所からでは暗視カメラの赤外線が届かなくなりそうです。
長い空白期間の後、落葉した冬になってから再開します。
巣口b

カキノキの雌花で吸蜜するニホンミツバチ♀

 

2023年6月上旬・午後15:45頃・晴れ 

民家の庭に植栽されたカキノキに黄白色の花が咲きました。 
柿の木なんて田舎ではあちこちにありふれているのに、恥ずかしながらこれまで私は柿がいつどんな花を咲かせるのか意識したことがありませんでした。 
虫媒花ならもっと目立つ香りの良い花に進化しても良さそうなものなのに、こんな地味な花なのだと初めて知りました。 
カキノキの下で花見をする酔狂な人は居ません。
雌雄同株で雄花と雌花が別々に咲くらしい。 

カキノキにニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が何匹も飛び回って訪花していました。 
ニホンミツバチ♀が正当訪花を繰り返しているのは萼が大きい雌花で、雌しべ1個と退化した雄しべが8個あるらしい。 

秋に熟した果実を収穫したり食べたりするときに、いわゆる「ヘタ」と呼ばれる部分が雌花の萼です。

葯の無い雌花からは集粉できませんから、ニホンミツバチ♀は花蜜を吸うだけです。 
したがって、後脚の花粉籠が空荷なのも当然です。 

カキノキの花は真下に向かって開くので、枝の下に潜り込んで花を見上げて撮影する必要があり、逆光になってしまいました。
写真ではストロボを焚けばきれいに撮れますけど、動画は編集時に逆光補正しても限界があります。
 

2024/01/30

深夜の原っぱで遊ぶホンドタヌキの幼獣を親が1頭ずつ巣穴に連れ戻す【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

休耕地に営巣したホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の家族を自動センサーカメラで見張っています。 


シーン1:6/1・午後23:14・気温18℃・小雨(@0:00〜) 
小雨がぱらつく深夜に、親タヌキが1頭の幼獣aを口に咥えて原っぱを右に運び、奥の巣穴に運び入れました。 
手前に生い茂るヨモギの群落が邪魔ですけど、手前にある別の巣口で複数頭の幼獣が待っていて(冒頭の赤丸に注目)、ミャーミャー♪と猫のような鳴き声を発しました。 
親タヌキがすぐにまた巣穴から外に出てきて、原っぱで夜遊びしている幼獣たちの元へ向かいました。 
せっかく巣穴に連れ戻した幼獣aが、その間に巣口に出てきてしまっています。 
親が次の1頭bの首筋を咥えて奥の巣穴へ搬入します。 
原っぱに残された幼獣2頭c,dが相次いで駆け出し、自力で親ダヌキを追いかけて行きました。 
この映像を見る限り、少なくとも計4頭の幼獣が育っていることになります。 


シーン2:6/1・午後23:29・気温18℃・小雨(@1:04〜) 
約13分後、奥の巣口付近の原っぱで、1頭の幼獣が元気に飛び跳ねています。 
独りで深夜の原っぱを探索しているようです。 
別個体の幼獣が巣口に居残っている姿も草葉の陰からちらっと見えています。 


シーン3:6/1・午後23:30・小雨(@2:03〜) 
気温24℃と表示されているのは異常値(暗視動画の連続撮影によるカメラの放熱)です。
原っぱで独り遊んでいた幼獣を親タヌキが連れ戻しに来ました。 
首筋を咥えられた幼獣はおとなしく巣穴へと運ばれて行きます。 

ようやく幼獣全員を巣内で寝かしつけてから、親が独りで右へ立ち去りました。 
餌を探しに出かけたのでしょう。(探餌徘徊) 


※ タヌキ幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画の編集時に音声の一部を正規化して音量を強制的に上げています。 


細い山道に座り込んで反芻するニホンカモシカ♂

 

2023年6月上旬・午後12:35頃・晴れ 

里山でつづら折れになった細い山道を私が静かに登っていると、前方に座り込んでいるニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)を発見。 
画面の左が山側で右が谷側という斜面になっていて、しかも画面の手前から奥に向かって上り坂になっています。
カモシカの方が私よりも斜面の上に位置しているので優位性があり、私をあまり恐れていません。 (いざとなったら余裕を持って逃げられる、と知っている。)
カモシカは近視なので私の姿が見えてないのかもしれませんが、座ったままでこちらを見下ろしています。 

角や耳介に個体識別できる分かりやすい特徴は無いものの、顔馴染みの個体だと思います。 
やがて警戒を解くと、横(谷側)を向いて反芻を始めました。 
反芻胃から未消化の食物を吐き戻して、植物繊維を臼歯で磨り潰すように噛み直しています。 
口が届く範囲に下草がいくらでも生えているのに、それを食べようとはしません。 

咀嚼しながら鼻面で右前脚に擦り付けたのは、鼻面が痒くて掻いたのかもしれません。
右脇腹の筋肉をピクピクと痙攣のように繰り返し動かしています。 
吸血性昆虫を追い払うための動きなのでしょう。 
耳介を動かして、頭部の周りを飛び回る吸血性昆虫を追い払います。 

カモシカはときどき私を見下ろしながらも、反芻を続けます。 
周囲ではホトトギス♂(Cuculus poliocephalus)などの野鳥が鳴く声♪が聞こえます。 
カモシカが座っているのは山道の日陰(木陰)ですが、木漏れ日が少し胴体に射しています。

反芻するカモシカの目が少しトロンとしてきたものの、寝るまでは至りませんでした。(@5:55〜) 
ここまでリラックスした姿を見せてくれるのは有り難いです。 (私を信頼してくれているのかな?)

遂にカモシカが立ち上がりました。(@6:33〜) 
このとき股間で睾丸がブラブラ揺れたので、♂と判明しました。 
フィールドで野生カモシカの性別を見分けるのは至難の業なので、貴重な事例となりました。  


下り坂の山道に立って踏ん張る前脚の蹄を大きく開げて体重を支えていることが分かります。 
右肩の辺りが痒かったのか、右後脚の蹄で器用にゴシゴシと掻きました。 
身震いしてから細い山道を伝って、なんと私の方へゆっくり下り始めました。 
 少し歩いただけですぐに立ち止まると、道端に自生するユキツバキ幼木の葉に顔を擦り付けて眼下腺マーキングしました。(@6:51〜) 
他個体のニホンカモシカに対して縄張りを宣言する行動です。 
異種の私に対してやんわりと縄張りを主張する意味もあるのでしょう。
ところが、私は肝心なところで録画を中断してしまいました。 
動画を撮りながら静止画スナップショットを撮るつもりが、うっかり隣の録画ボタンを押してしまったのです。 (痛恨のミス)
急いで続きを撮り始めたときには、眼下腺による匂い付けを止めていました。 

私をじっと見下ろしながら、ときどき舌舐めずりしています。 
鼻をヒクヒク動かして、風の匂いを嗅いでいます。 
カモシカ♂の動きがソワソワと落ち着かなくなりました。
きっと、山道を塞いでいる私に退いて欲しいのでしょう。 
この山道はとても狭くて、道を譲れませんし、すれ違うのも困難です。 
せっかく登って来た山道を引き返して、カモシカに背を向けたくありません。
(もしも万一、鋭く尖った角を持つカモシカが私を攻撃しようと坂を駆け下りてきたら、熊よけスプレーを噴射して撃退するつもりでした。)
仮に私が山側の茂みの中に退避すればガサガサと物音を立ててしまい、それに驚いたカモシカがパニックを起こして逃げてしまうような気がしたのです。 
私はその場から一歩も動かず静かに撮影を続けます。
カモシカ♂は鼻息を荒らげたり、蹄を地面に叩きつけるように足踏みして(地団駄を踏む)蹄を鳴らしたりする威嚇行動や苛立ちを示す行動を全くやりませんでした。 
おそらく過去にも山中で私と何度も遭遇していて、人畜無害だと分かっているのでしょう。 

 カモシカ♂は大きく身震いして、体にまとわりつくように飛び回るヤブ蚊やブヨを追い払いました。 
立ったまま左後脚の蹄で左耳の後ろをゴシゴシと掻いてから(@8:25〜)、再び顔をプルプルと振りました。 
さっきマーキングしたユキツバキ幼木とは別の株の葉の匂いを再び嗅ぎました。 
もぐもぐと少しだけ反芻咀嚼。 

遂にニホンカモシカ♂は痺れを切らし、細い山道から谷側に外れて私を迂回してくれました。 (@9:30〜)
ユキツバキ群落の茂みに突入すると、ガサガサと藪漕ぎしながら急斜面を下って行きます。 (つづら折れをショートカット)
ここでカモシカの姿を見失いました。 
なかなか濃密な直接観察の時間を過ごすことができて、大満足です。 

関連記事(1、3、12年前の撮影)▶  





カモシカが長時間座っていた辺りを
動画撮影の直後に現場検証すると、おそらくイタドリと思われる草の葉に食痕が残っていました。 
採食シーンは見てませんけど、ニホンカモシカの食痕には特徴があります。
熊谷さとし、安田守『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』によると、
カモシカはシカと同様に、上顎に前歯はない。そのため、草や小枝を食いちぎった跡は(中略)、植物の一部に繊維が残る。ウサギ類の食痕(スパッとした切り口)と比べると、雑な印象だ。 上顎の前歯の代わりに、板歯(硬い歯茎)をまな板にして、下顎の前歯を包丁のようにして使う。 (p92より引用)



古い本ですが、羽田健三・監修『ニホンカモシカの生活 (1985年)』 によると、長野県内におけるカモシカの食痕調査で

家畜にとって有害だと言われている草木まで食べていることがわかりました。(中略)そのほかにも、毒ではありませんが、鋭いとげがあって一般の家畜の餌にならないタラノキの幹やキイチゴ類の枝も採食していました。(p112〜113より引用)

タデ科のイタドリには家畜全般に対する有毒成分として、クリピダチンという有毒成分が全草に含まれているのだそうです。

ただし、「クリピダチン」なる毒をネット検索しても、何もヒットしません。


2024/01/29

大量の落ち葉を掻き集めて引っ越し先の巣穴に運び入れるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣材集めを繰り返す様子をまとめてみました。  


シーン1:6/1・午後23:09・(@0:00〜) 
幼獣を手前の巣穴Lに運んでから(R➔L)1時間40分後。 
夜更けに手前の巣穴Lから外に出てきた♀が、アクセストレンチから離れて左へ向かいました。 
しばらくすると、♀が左からピョンピョン跳ぶように後退りしながら戻って来ました。 
林床の落ち葉を前脚で大量に掻き集めて来たのです。 
落ち葉を両腕いっぱいに抱えたまま、後ろ向きで巣材を巣穴Lに搬入しました。 


シーン2:6/4・午後18:18・(@0:33〜)日の入り時刻は午後19:00。 
3日後の夕方に自動センサーカメラが起動すると、♀(?)が巣材を奥の巣穴Rへ運ぶ途中でした。 
両腕に大量の落ち葉を抱えたまま、立ち止まって地面に鼻面を突っ込んでいます。 
何か虫(獲物?)を見つけてしまったようです。 
気が散ったアナグマは、その場に座り込んで毛繕いを始めました。 

ようやく巣材運びを再開。 
今回は興味深いことに、巣材(寝床、敷き藁)の落ち葉を巣内には持ち込まずに巣口Rに雑に置いただけでした。 

そのまま奥の広場に座り込むと、体の痒い部位をボリボリ掻いたり仰向けで毛繕いしたりし始めました。(5倍速の早回し) 
大股開きになった股間に陰茎は見えませんでした。 
下腹に見えた突起は乳首なのかな? 


シーン3:6/6・午前3:58・(@1:16〜) 
2日後の未明。 
幼獣を奥の巣穴Rに運んでから(L➔R)2時間15分後に、♀が画面の右下(巣口Lの横)で落ち葉を前足で掻き集めていました。 
監視カメラの電池が消耗していて断片的な映像ですが、後退しながら巣材と一緒に奥の巣穴Rに入りました。 


シーン4:6/6・午後19:39・(@1:28〜) 
同じ日の晩。 幼獣を手前の巣穴Lに運んでから(R➔L)13分後。 
♀が落ち葉を集めて巣穴Lへ搬入しました。 
巣口Lのアクセストレンチには細長い落枝が数本放置されていて、それに落ち葉が引っかかり、搬入作業の邪魔になっています。 


シーン5:6/6・午後19:42・(@1:43〜) 
次の巣材集めから後ろ向きで戻って来た♀が、落ち葉を手前の巣穴に運び入れました。


シーン6:6/7・午前1:31・(@2:04〜) 
日付が変わった深夜に、今度は奥の巣穴Rへ巣材を搬入しました。 
 幼獣を奥の巣穴Rに運んでから(L➔R)1時間35分後のことでした。 


シーン7:6/9・午後18:14・(@2:09〜)日の入り時刻は午後19:03。 
2日後の夕方。 
昼間に寝た後の寝起き状態の♀?が、営巣地(セット)をうろついたり、地面に座って体を掻いたりしています。
やがて手前の巣穴Lに入りました。 

しばらくすると再び出巣Lした♀が、アクセストレンチの上端で身震いしてから左に立ち去りました。 
後ろ向きで集めてきた落ち葉を巣穴Lに搬入。 


シーン8:6/9・午後18:16・(@2:47〜)
出巣Lした♀が左上奥の林内に向かいました。 
しばらくすると、いつものように後退しながら落ち葉を運んできたものの、量が全然足りないので、落ち葉を求めて今度は左へ向かいました。 
アナグマの営巣地周辺(セット)の地面には落ち葉がきれいさっぱり無くなっているので、逆にそれが目印(フィールドサイン)になるかもしれません。
(落ち葉が無くなれば、生葉を集めてくることもあります。)
巣材が大量に得られない環境には営巣できないことになります。
引越し祝いで稲藁などを与えてやれば、アナグマ♀は嬉々として巣内に運び入れ、巣材として使ってくれるでしょう。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


【考察】 
アナグマ♀は幼獣を引っ越した先の巣穴に必ず新しい巣材を補充することが分かりました。 
この行動パターンはよく理解できます。
ただし、引越し先に予め新しい巣材を用意しておくことはないようです。
幼獣引っ越しのシーン(前回の記事)と巣材搬入のシーン(今回の記事)を別の動画に切り分けたのですが、単純に時系列順にお見せした方が分かりやすかったかもしれません。 
しかし実は、幼獣引っ越しと巣材搬入の間に長々と別な行動(毛繕いや徘徊など)が挟まることが多いのです。 

アナグマは二次林で林床の落ち葉を大量に掻き集めて地中に搬入し、腐葉土を作る役割を果たしている、と言えそうです。 
使い古した巣材をときどき巣外に搬出することがあります。 
落ち葉の分解や発酵を促進しているとしたら、カブトムシなど腐葉土に産卵する虫がアナグマの巣穴に来たりしないのでしょうか?
巣材の腐葉土を餌にしてカブトムシの幼虫が育ったら、それをアナグマが捕食するかもしれません。 

落ち葉と言えば秋の印象ですから、初夏の林内に落ち葉が残っているのか?と疑問に思うかもしれません。 
春から初夏にかけて若葉があっという間に成長して林冠をびっしり埋め尽くすと、日光が林床まで届く前に遮られて昼間でも林内は薄暗くなります。 
そうなると林の上層部(林冠)より下の枝から生えた若葉は日照不足となり、競争に負けた木は黄変した葉を惜しげもなく落としてしまいます。 
実際、この時期に撮れたトレイルカメラの映像に、落ち葉がはらりと舞い散る様子がたまに写っていることがあります。 

巣口Lのアクセストレンチには細長い落枝が数本放置されていて、苦労して運んできた落ち葉がそれに引っかかり、搬入作業の邪魔になっています。 
我々の感覚だと、邪魔な落枝を玄関から早く取り除けば良いのに…と思うのですが、横着者のアナグマは放置したままです。 
もしかすると、この落枝には防犯の意味があるのかもしれません。 
侵入者が巣口に近づくと落枝を踏んでしまい、その物音で巣内のアナグマに知らせる警報装置になっているのではないか?と思いつきました。 


ブラックベリーの花で摂食する赤銅型のコアオハナムグリ

 

2023年6月上旬・午前10:45頃・晴れ 

民家の裏庭のブラックベリー(=セイヨウヤブイチゴ)の生垣で今年も白い花が咲きました。 
赤銅型のコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
花に頭を突っ込んで花粉や花蜜を食べてから、隣の花へ歩いて移動します。
体表に白い花粉が付着するので、コアオハナムグリはブラックベリーの授粉を助けていることになります。

2024/01/28

ニホンアナグマ幼獣の首筋を咥えて1頭ずつ巣穴の外へ連れ出す♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年6月上旬

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を運んで、2つの巣穴の間で行ったり来たり引っ越しを繰り返す様子をまとめました。 


シーン1:6/1・午後21:24・(@0:00〜) 
ある晩に♀が身震いしてから奥の巣穴に入りました。 
やがて1頭の幼獣を口に咥えて巣穴Rから外に出て来ました。 
幼獣が育って体重が増したようで、手前の巣穴Lへ運ぶ途中で♀は何度も地面に置いて休んでいます。(R➔L) 
首筋を咥えられた幼獣は暴れたりしないで、おとなしく運ばれて行きます。 

カメラに正面を向いた際に、左右の目の大きさが違う(右目<左目)という特徴から、♀と見分けられます。 
見る角度によりますが、首筋に白斑があるのも、この♀の特徴です。 


シーン2:6/1・午後21:26・(@0:41〜) 
♀は空荷で奥の巣穴Rに引き返しました。 
次に出巣Rした際には、また別の幼獣を咥えていました。 
そのまま手前の巣穴Lへ運搬します。(R➔L) 


シーン3:6/1・午後21:29・(@1:10〜) 
♀が空荷で入巣Rすると、次の幼獣の首筋を咥えて出巣Rしました。 
3頭目の幼獣を連れて巣穴Lに引っ越し。(R➔L) 


シーン4:6/2・午前0:27・(@1:42〜) 
深夜に日付が変わりました。
小雨がぱらぱらと降っていても気にせずに、♀が幼獣の引っ越しをしたので驚きました。(雨天決行!) 
手前の巣穴Lから幼獣を引きずって外に出ると、重い幼獣を途中で地面に下ろして身震いしました。 
奥の巣穴Rには幼獣を咥えたまま後ろ向きで入ったようです。(L➔R) 
♀が空荷で出巣Rし、手前の巣穴Lに戻ったところで録画終了。 


シーン5:6/2・午前0:29・(@2:27〜) 
次にトレイルカメラが起動すると、小雨がぱらつく中を♀が幼獣を運搬中でした。(L➔R) 
空荷の♀が巣穴RからLへ戻る途中で身震いして、雨で濡れた毛皮の水気を切りました。 
しばらくすると、♀が手前の巣穴Lから後ろ向きで幼獣を外に引きずり出しました。 
かなり手荒に扱っても、幼獣は鳴き声一つ立てません。(L➔R) 

1分半の録画時間で2回連続の幼獣運搬が撮れたのは初めてかもしれません。 
引っ越しに慣れて一連の動きが無駄なくスムーズになったのでしょうか。 


シーン6:6/2・午前0:31・(@3:24〜) 
空荷で入巣Lした♀が次の幼獣の首筋を咥えてアクセストレンチを後ろ向きで外に出て来ました。 
重い幼獣を一旦地面に置いてから咥え直し、奥の巣穴Rへ運び入れました。(L➔R) 

♀は夜中に計4頭の幼獣を続けて運んだことになります(L➔R)。 


シーン7:6/5・午後22:39・(@4:10〜) 
3日後の晩に、また引っ越しシーンが撮れていました。 
♀が入巣R直後に幼獣を咥えて外に引きずり出しました。(R➔L?) 
カメラの電池が消耗していて、尻切れトンボで録画終了。 


シーン8:6/5・午後22:41・(@4:22〜) 
次にカメラが起動したときには、巣穴Rへ向かう♀の後ろ姿が写りました。 
巣口Rで待っていた幼獣を咥えて外に引きずり出したところで、録画終了。(R➔L?) 


シーン9:6/6・午前1:43:・(@4:22〜) 
日付が変わった未明。 
引っ越しの途中で地面に一旦下ろした幼獣の尻の辺りを♀が舐めてやっていました。 (対他毛繕い)
幼獣を運んで奥の巣穴に辿り着く前に録画終了。(L➔R) 


シーン10:6/6・午前1:44:・(@4:46〜) 
カメラの電池切れでわずか5秒間しか撮れなかったものの、幼獣を運んだ♀の入巣Rまでなんとか見届けることができました。(L➔R) 


シーン11:6/6・午後19:21・(@4:51〜) 
なぜか電池が復活しました。 
基本的にアナグマは昼間、巣内で休みます。

晩になると♀が幼獣を咥えたまま手前の巣穴Lに向かって後ろ向きに引きずっていました。(R➔L) 
最後は巣口Lで向きを変え、前から入巣Lしました。 
…と思いきや、♀が巣口Rの方を振り返りました。 
ケケケケ♪またはキュキュキュキュ♪のような騒がしい鳴き声がかすかに聞こえます。 
繁殖期に夜這いに来た♂が♀に求愛する鳴き声(ジェジェジェビーム♪)とは違います。 
どうやら巣口Rで待っている幼獣が鳴いているようです。 
幼獣同士で兄弟喧嘩しているのか、それとも母親を呼んでいるのか、どちらでしょう?
巣口Rで待っている幼獣の姿は見えないものの、巣口Rから飛び出ている枯草が中に引っ込みました。 

しばらくして出巣Lした♀は、身震いしてから入巣R。 
巣口Rで待っていた幼獣を咥えようとしたところで、録画終了。 


シーン12:6/6・午後19:23・(@5:37〜) 
♀が幼獣の首筋を咥えて手前の巣穴Lに運び入れました。(R➔L) 
このとき♀は頭から入巣Lしています。 


シーン13:6/6・午後19:24・(@5:47〜) 
次の幼獣を手前に引きずって運ぶ間にも、幼獣が鳴き叫ぶ声が聞こえます。(R➔L) 
まさに運ばれている幼獣が珍しく鳴いているのかもしれませんが、幼獣の口は動いていません。 
画面には写っていない別個体の幼獣が鳴いているのだろうと私は推測しています。 


シーン14:6/6・午後19:26・(@6:05〜) 
♀が身震いしてから奥の巣穴に戻ると、巣口Rに待機していた幼獣を咥えて外に連れ出しました。(R➔L?) 


シーン15:6/6・午後23:55・(@6:35〜) 
4時間半後の深夜に、再び♀が幼獣を運んで引っ越しました。(L➔R?) 
運搬中の♀が横向きになった際に、腹部に乳房がちらっと見えたような気がします。 


シーン16:6/7・午後19:23・(@6:40〜) 
翌日の晩に撮れた引っ越しシーンです。 
幼獣を運ぶ途中の♀が地面に座って痒い体を足で掻いていました。 
入巣Rする際に身震いしました。(L➔R) 


シーン17:6/8・午後14:50・気温25℃・(@6:59〜) 
別アングルに設置した新機種のトレイルカメラに珍しく引っ越し?シーンが撮れてしました。 
しかも明るい昼間の時間帯です。 
♀が入巣Rしてしばらくすると、同じ巣穴Rから後ろ向きで外に出て来ました。 
口には幼獣を咥えています。 
♀は幼獣を巣口Rに置いて、対他毛繕いを始めました。 
明るい自然光下で幼獣の姿を見たのは初めてかもしれません。 
親は茶色なのに、幼獣は白っぽい毛皮でした。 
幼獣でも顔には一丁前に白黒の縞模様がすでに描かれています。 

 ※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
幼獣の個体識別は難易度が高すぎて私にはとても無理ですが、連続して最大4回の引っ越しが観察されたので、♀が育てている幼獣の数は計4頭と考えています。
(トレイルカメラの撮り漏らしがあれば、もっと多くなります。)

隣接する2つの巣穴の間で幼獣を行ったり来たり移動させているだけですし、どうも「引っ越し」と呼ぶのは適切ではなさそうです。 
幼獣を連れた引っ越しの方向が日によって一定しないので(L⇔R)、♀の目的が分かりません。 
そもそも巣穴Lと巣穴Rは内部でつながっているのか、独立しているのか、知りたいところですが、今のところ確かめようがありません。 
同じ育室で幼獣と長期間暮らしていると巣材(寝床)にダニやノミなどの寄生虫が発生し、引っ越しを余儀なくされるのかもしれない、と考えたこともあります。 
それなら使い古した巣材を外に出して捨てたり天日干ししたりするはずです。

育室をときどき引っ越すこと自体に意味があるのではなく、幼獣を短時間でも外に連れ出して外界の環境に少しずつ慣らすのが目的のような気がしてきました。(幼獣の外気浴、日光浴) 
雨天でも小雨なら容赦なく幼獣を外に連れ出します。
ヒトの育児でも乳児を乳母車に乗せて外に散歩に出かけますよね。 
この育児にヘルパー♂は関与しないようで、ワンオペの♀はてんてこ舞いです。
4頭の幼獣を連れて順番に外出させようとしても、元の巣穴に幼獣を戻してしまうと大変です。
どの個体が外出済でどの個体が未だなのか、ワンオペの母親には分からなくなってしまう可能性があります。
そのような混乱を避けるための工夫として、引っ越しのていを取っている、と考えれば辻褄が合います。
あるいは長距離の引っ越しに備えて予行練習(トレーニング)をしているのかな? 

「いきもの.com」というサイトでユーラシアアナグマの生態についてまとめられていました。
ニホンアナグマよりも詳しく調べられている近縁種なので、参考のために引用させてもらいます。
 一般的に生まれる子供の数は乳首の数の半分と言われていますが、ユーラシアアナグマの場合も、3対の乳首に対し、平均産仔数は3頭です。 赤ちゃんは生後4~5週で目を開き、8~10週でセットから出るようになります。 生後2.5カ月には離乳し、約1歳で性成熟に達します。
セットには複数の家族群がいることもあります。 この時、それぞれの家族は別々の部屋を利用します。 また、面白いことにセットは親世代から子世代に引き継がれることがあります。


後半の下線部を読んで驚愕しました。

もしもこれが私が観察するニホンアナグマのセットについても当てはまるのなら、これまでの私の解釈は全て抜本的に見直す必要があります。

1頭ずつ違う色の首輪を装着するなどして、厳密に個体識別したいところですけど、素人には無理な相談です。



つづく➔ 大量の落ち葉を掻き集めて引っ越し先の巣穴に運び入れるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

サイハイランの花

2023年6月上旬・午後13:15頃・くもり 

平地の雑木林の昼なお薄暗い林床に見慣れない花が咲いていました。 
ミョウガを連想させるような薄いピンク色の花が、直立した茎の上部にびっしりと並んで咲いています。 
Google画像検索してみたら、一発でサイハイランと判明しました。 
近縁種のモイワランも検討しましたが、花の色が薄くて葉があるのでサイハイランのようです。
多くのラン科植物で知られているように、サイハイランは部分的菌従属栄養植物(潜在的な腐生植物)なのだとか。
葉が黄変しているのは、日照不足で枯れそうなのか、それともスプリング・エフェメラルなのかな? 
図鑑によれば、サイハイランの葉は常緑らしい。

現場では気づかなかったのですが、撮れた写真を確認すると、サイハイランに小さなハエが訪花していました。 
送粉者をじっくり調べるのが来季の宿題です。 

現場の二次林はニホンアナグマの営巣地で、他の野生動物も多く暮らしています。 
この森がもし伐採されそうになったら微力ながら保護活動したいのですが、希少種の生き物がいるという事実が必要です。 
フィールドでネジバナ以外の野生ランを見つけたのは初めてで嬉しかったのですけど、山形県でサイハイランは絶滅危惧種というほどレアではないようです。

田植え後の水田で働くアイガモ・ロボ(水田自動抑草ロボット)

 

2023年5月下旬〜6月上旬 

前回の記事(同日に隣の田んぼで撮影):▶ 田植え後の水田で採食するカルガモ(野鳥) 


合鴨農法について私が初めて知ったのは、確か漫画(『美味しんぼ』『夏子の酒』など)からだったと記憶しています。 

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有機農業として一石二鳥どころか、三鳥、四鳥もある優れたアイデアです。 
しかし実践してみると、手間がかかる割には肝心の除草効果が安定しない、などの課題があるそうです。 
アイガモを放鳥しても、生き物は気まぐれですから広い水田を万遍なく巡回してくれません。
いっそのこと機械化・自動化してロボットに任せようという発想が出てくるのは当然です。 


シーン1:5月下旬・午後14:30頃・晴れ(@0:00〜) 
田植えが終わったばかりの水田で、水上ドローンのような奇妙な人工物が動き回っていました。 
近くで誰かが見張りながらラジコン無線で操作しているのではなく、無人のロボットが自律的に水田の中を遊泳しています。 
ロボットが田んぼの水を撹拌して回るだけで、アイガモ農法のように水田の除草効果があるらしい。 
噂には聞いていたものの、実際に動いている姿を初めて見ました。 
開発の歴史的な経緯から合鴨農法にちなんでアイガモロボと名付けられただけで、形状がアイガモに擬態している訳ではありません。 

ロボットが近づいてきたときによく観察すると、ルンバを連想させるシンプルな作りでした。 
緑のプラスチック製の外枠を浮きにして、いかだのように水面に浮いています。 
上面には太陽光パネルが取り付けられていて、昼間は休みなく働き続けることが可能になっています。 
後方に伸びる短い突起はGPSや携帯電話と連携するためのアンテナなのかな? 
稼働中は側面の緑色パイロットランプが点滅しています。 
植えたばかりの稲の苗はまだ草丈が低いので、ロボットが通り過ぎても、水中に倒伏してしまうことはありません。 
 1対の細長い螺旋状のスクリューが回転することで推進力を得ています。 
このタイプのスクリューは、水深が浅くても平気で進めます。
このプロペラで田んぼの泥水を激しく撹拌している様子が見えました。 
船を推進させるだけならスクリューをもっと静かに回転させた方がエネルギーのロスは小さいのですが、水田除草機としては水底の泥が舞い上がるほど水を激しくかき混ぜる必要があるのです。 
田んぼの水が泥で濁ると、雑草の種子が芽生えても光合成ができなくなり、成長が抑制されます。 
一方、イネはある程度育った苗を植えるので、水の透明度が下がっても全く影響を受けません。 
畦道の手前まで来るとアイガモロボットは減速し、片方のスクリューを逆回転させてくるりと方向転換しました。 
ロボットのモーター音や撹拌音を近くで聞いても静かでした。

ちなみに、このスクリューの形状は「アルキメデスの螺旋」と呼ばれていて、古代ギリシアのアルキメデスが揚水ポンプとして発明したことで有名です。
船の推進装置としては、砕氷船のスクリューに採用されているのを見たことがあります。
シーン2:6月上旬・午前10:30頃・晴れ(@2:18〜) 
ちょうど2週間後に同じ田んぼを再訪すると、稲の苗が順調に育っていました。 
この日もアイガモロボが黙々と働いています。 
せっかくなら三脚を立ててアイガモロボの動きを長時間微速度撮影すればよかったですね。 
田んぼの角まで来たらどんな動きをするようにプログラムされているのか、興味があります。 

アイガモロボが通過した後のはずなのに、なぜか手前の水は澄んで見えます。
水の濁りはすぐに収まってしまうのかな?
やがて田んぼの水位を下げる時期になると、アイガモロボは撤去されました。 
私が思ったよりも短期間しか使われないようです。 
大きく育った稲の上をアイガモロボが通過すると、稲が倒伏してしまうという問題もあるのでしょう。 

この記事は企業案件(宣伝)ではありません。 
私が面白いと思ったから動画に撮って記事にしました。 
素人目線でも除草効果に疑いがあれば、そのように忖度なく書くつもりです。 

アイガモロボを導入した水田は一部の区画だけなので、処理区と隣接する対照区で除草効果を比較することが可能です。 
「処理区はアイガモロボが通過した直後は田んぼの水が撹拌されて濁り、光合成が妨げられて雑草の成長が抑えられる。 一方で対照区は田んぼの水が澄んでいて、雑草が繁茂してしまう。」
 …という分かりやすい比較写真を撮ろうとしたのですけど、素人目には効果がはっきりしませんでした。 (※追記参照)
ドローンを飛ばさないと田んぼの中央部には近づけないために、農道や畦道から田んぼの端の写真しか撮れないのが問題です。 
ルンバ(お掃除ロボット)でもアイガモロボでも、作業区画の端っこはどうしても作業漏れがあるのかもしれません。 

田んぼの水面に緑藻(アオコ? アオミドロ?)が生えているのが気になりました。 
肥料のやり過ぎで水質が富栄養化している区画なのでしょう。 
私が調べた限り、これは稲作にはあまり害がなく、今問題にしているアイガモロボの除草効果とは関係ないのだそうです。(この点が間違っていたら、ご指摘ください。) 

生きたアイガモを使った合鴨農法では、雛や若鳥が天敵に捕食されないように保護する必要があります。 
アイガモロボは高価なので、盗難が心配です。 
盗まれても稼働しないよう遠隔操作できるのだとか。 

ロボットを開発・販売した井関農機の公式サイト(アイガモロボ特設サイト)を見ると、アイガモロボのメーカー希望小売価格は、税込で¥551,100円でした。 
高額な投資に見合った除草効果があったかどうか、除草剤の使用量をどのぐらい抑えられたのか、米の収量や品質は向上したのか、ロボットの耐久年数はどのぐらいなのか、稲作農家が総合的にシビアに判断するはずです。 
最新技術のアイガモロボを導入しているというだけで話題になりますし、収穫した米のブランド価値が高まる(高く売れる)のかもしれません。 
アフィリエイト:アイガモ農法米 
食用の米だけでなく、酒造用のブランド米で導入される例もありそうです。

2023年は異常気象で非常に暑い夏でした。
水田雑草ではありませんが、例えばセイタカアワダチソウの成長が妨げられるほどの酷暑でした(高温ストレスで背が高く生育しなかった)。 
水田抑草ロボットの評価が定まるには、何年か継続して使ってみる必要があるでしょう。


※【追記】
よくよく考え直すと、アイガモロボが居ない隣の田んぼでは従来通りの除草剤を撒いたはずなので、対照区とは言えませんね。
アイガモロボも除草剤も全く使わない田んぼを対照区とすべきですが、その年の収穫を犠牲にしてまで厳密に対照実験する奇特な米農家はいないでしょう。
雑草の生育に明らかな差が出なかったということは、アイガモロボには従来の除草剤と遜色ないぐらいの抑草効果があったと言えそうです。

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