2024年4月下旬〜5月上旬
平地の二次林で死んだニホンアナグマ(Meles anakuma)の旧営巣地(セット)の監視を続けていると、遂に♀のアナグマが現れました。
シーン1:4/29・午後15:27・くもり・気温25℃(@0:00〜)
獣道を右奥から来たアナグマ♀が、巣口Lの匂いを嗅いでいました。
少し左に歩いて、巣口Rの手前でちょっと座り込みました。
毛皮が焦げ茶色の個体でした。
腹面に乳首は見えません。
左の首筋にある小さな白斑は交尾痕なのかな?
シーン2:4/29・午後15:27・くもり・気温26℃(@0:14〜)
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。
巣口LRの中間地点で座り込んでから、右奥の林内へ向かいました。
獣道で立ち止まると、尻を擦りつけてスクワットマーキングしました。
匂い付けのシーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。
奥の林床に座り込んで痒い体を頻りに掻いていますが、オニグルミ立木の陰になってよく見えません。
シーン3:5/1・午前10:02・くもり・気温13℃(@1:14〜)
2日後も明るい昼間にアナグマ♀がやって来ました。
身を翻して右奥の林内へ入ると、獣道の途中で(いつもの地点で)スクワットマーキングしました。
獣道を引き返してから、セットの手前の林縁で再びスクワットマーキング。
通りすがりに巣口Lのアクセストレンチの匂いを嗅いで行きました。
シーン4:5/1・午前10:17・くもり・気温13℃(@2:02〜)
15分後に同一個体が小走りでセットに戻ってきたようです。
シーン5:5/1・午前10:17・くもり・気温13℃(@2:15〜)
林内の獣道でスクワットマーキングして行きました。
【考察】
この営巣地で越冬していたアナグマ個体が早春に死んで以来、今年の繁殖期にここで出産・育児をしたアナグマ♀個体はいません。
♂個体が交尾相手を探し求めて春に何度も出没しているのですが(夜這い♂)、♀が現れたのはこれが初めてです。
このアナグマ♀が幼獣を連れてここに引っ越してくるつもりなら、巣穴に潜り込んで内検したり巣材を搬入したりするはずです。
しかし、巣穴Lの奥にはホンドタヌキの腐乱死骸があるのではないかと私は疑っていて、その処分(事故物件の特殊清掃)をどうするのかが大問題です。
アナグマ♀は縄張り内に複数の巣穴を持っているらしいのですが、巣内で寄生虫の蔓延を防ぐために、同じ巣穴で毎年続けて出産・育児をしないようにしているのだとしたら、とても興味深いです。(連作障害を避けてローテーション)
つづく→