2020/05/23

カワミドリの花で採餌するハキリバチ♀



2019年10月上旬・午後13:55頃

つづら折れの峠道の横に咲いたカワミドリの群落でハキリバチの一種♀が訪花していました。
忙しなく飛び回り、採餌しています。
腹部下面のスコパに薄黄色の花粉を満載している♀でした。
この蜂の名前が分かる人がいらっしゃいましたら教えてください。

ところで、カワミドリ群落の周囲に混じって生えている貧弱で疎らな穂をつけたイネ科植物が気になりました。(撮影には邪魔でした)
『イネ科ハンドブック』をパラパラと眺めていて、素人目に一番似ていたのがヌカキビでした。
しかしヌカキビは湿地性とのことで、撮影地点の山地と辻褄が合いません…。
撮影地点の近くを沢の水が流れていたのかどうか、覚えていません。


側面
背面



日没直前に川から塒へ飛び去るカワウの群れ(冬の野鳥)



2019年12月下旬・午後16:11〜16:19・くもり(日の入り時刻は午後16:22)
▼前回の記事
川岸の倒木に離合集散するカワウ:1日の暮らし【10倍速映像】(冬の野鳥)

川岸の倒木で昼間過ごしているカワウPhalacrocorax carbo hanedae)の群れが夕方に集団ねぐらに向かって飛び立つ瞬間を前回は撮り損ねてしまったので、リベンジにやって来ました。
倒木の対岸に夜明け前からブラインドを張って隠し撮りする手法は私の肉体的な負担が大きいので、作戦変更します。
アングルを変えて遠くの上流地点から望遠レンズで狙えば、夕方から撮影に行ってもカワウに警戒されることはありません。
秋の台風による増水で川の右岸が侵食されて倒木が集中した区間があり、そこでカワウの群れが並んで休んでいます。

冒頭では倒木に計6羽、川面に1羽のカワウが写っています。
周囲では多数のカルガモも休んでいます。
止まり木上に止まるカワウの向きは個体によってバラバラでした。
倒木でカワウは羽繕いもほとんどせず、欠伸したり、ただまったりと休んでいるだけです。
太陽が出ていないので、翼を広げて乾かす行動もしていません。
一方、川面に浮かんでいる個体は潜水漁も水浴もせず、のんびりと遊泳してるだけです。

ちなみに一番手前に見える倒木が、これまで対岸から定点観察してきた倒木aです。
撮影アングルが90°違うと印象が一変しますね。
今回のアングルの方が、止まり木上で並ぶカワウの個体間隔や遠近感がよく分かります。

倒木上の1羽が急に川面の上流側に飛び降りて入水しました。(@3:20)
そのまま川面を横断し、岸から離れて行きます。
いよいよねぐらに帰る時間です。
更に2羽が相次いで倒木から川に飛び降りました。(@3:33)

画面の一番右に居た個体は、倒木上からいきなり潜水するという、珍しい入水法を披露してくれました。(@3:40)
倒木に残った個体もそわそわし始め、仲間に遅れまいと次々に川面に飛び降りました。
軽量化のため脱糞してから飛び立つ個体もいます。

岸を離れたカワウは川幅の中央付近まで川面を遊泳すると下流に向かって全力疾走を始めました。
羽ばたきながら川面を両足跳びで助走すると、集団ねぐらの方向へ飛び去りました。
各自が勝手なタイミングで三々五々と飛び去るのは意外でした。
黒いカワウの群れが一斉に飛び立つ、もっと迫力あるシーンを期待していたので、拍子抜けしました。

以前観察した白鳥の離塒のように、川面から一斉に飛び立つタイミングを揃えるために群れが鳴き交わすことはありませんでした。
(今回は被写体が遠過ぎて、カワウの鳴き声が聞き取れなかっただけかもしれません。)

▼関連記事(3年前の撮影)
早朝に集団塒の川から飛び立つコハクチョウの群れ:ハイライト映像(冬の野鳥)

低空で飛び去るカワウ3羽+1羽の後ろ姿を撮影できました。
最後の1羽は左岸のどこかに単独で休んでいたようで、それまで全く気づきませんでした。


カワウは群れで溜まる場所をいくつか持っており、そこで休息と睡眠をとる。夜明けには採餌のために隊列を成して餌場に向かい、夕方になると再び群れでねぐらに戻る。群れでの飛翔時には、V字形に編隊を組んで高く飛ぶことが多い。1日の移動距離は10-20kmとされる[16]。(wikipediaより引用)

体重の重いカワウは離陸しても、なかなか高度が上がりません。
群れが上空で雁行陣を組む様子を確認する前に、カワウ達は低空飛行のまま河畔林の陰に隠れてしまいました。
カワウに個体標識して行き先を確かめた訳ではありませんが、私が知る最寄りの集団塒まで直線距離で3〜4kmしかありません。
この群れは個体数が少なく目的地が近いので、おそらく雁行陣にならないのではないかと私は予想しています。
もっと個体数が多い群れだと、一斉に離陸して塒まで「くの字型」で飛ぶのかもしれません。
蛇行する川に沿って上空を飛ぶのか、それとも直線的に最短距離を飛ぶのか、刻々と暗くなる時間帯に追跡調査するのは大変です。
生け捕りしたカワウに電波発信機やGPSを装着して日々の行動を追跡調査したら面白そうです。

映像に最大8羽のカワウが登場するのは、数日前に倒木の対岸から間近で観察したときと同じでした。
おそらく同じ群れ(家族?)が昼間は毎日この流域で過ごしているのでしょう。

カワウが居なくなり、川に残ったのはカルガモとキンクロハジロの混群だけです。
カモ類は夜もここに留まって塒とするようです。

※ 曇り空の夕暮れ時で薄暗いので、手持ち夜景モードで撮りました。


カワウ8?(野鳥)@川岸:倒木
カワウ6(野鳥)@川岸:倒木+1@川面



2020/05/22

カブラヤガ♀(蛾)終齢幼虫の防御体勢



カブラヤガ(蛾)の飼育記録#2



▼前回の記事
白菜の葉裏に隠れるカブラヤガ♀(蛾)終齢幼虫

2019年11月下旬・室温18.5℃、湿度42%

飼育中のカブラヤガAgrotis segetum)の終齢幼虫が脱走したので、慌てて捕獲しました。

方眼紙の上に乗せて、ピンセットで挟んだり摘んだり突いたりすると、幼虫は身をよじって暴れます。
しつこく刺激を繰り返すと、身を丸めて防御姿勢になりました。
毒液を吐いたり威嚇したりするなどの自衛行動は特に何もしませんでした。
擬死状態(死んだふり)ではなく、すぐに回復して再び元気に徘徊・逃走します。

体長は約45mmあり、この時点で終齢でした。

つづく→#3:腹部を回して暴れるカブラヤガ♀(蛾)の蛹


カブラヤガ♀(蛾)終齢幼虫@方眼紙+防御姿勢
カブラヤガ♀(蛾)終齢幼虫@方眼紙


川面で求愛するカルガモ♀♂(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午後12:50頃・晴れ

川面に2羽のカルガモ♀♂(Anas zonorhyncha)が並んでいました。
上流を向いて互いに見つめ合いながら、首を伸縮させて頭を上下に動かし、交互にお辞儀を繰り返しています。
これはカルガモの求愛行動です。
なかなか良い雰囲気のカップルで、このまま交尾に発展しそうだったのですが、直後に飛来したカワウに気を取られてしまい、カルガモの配偶行動を最後まで見届けられませんでした。



▼関連記事(数日後に同じ川で一部始終を撮影)
カルガモ♀♂の求愛・交尾行動(冬の野鳥)

右の個体が大きいが、この時点では性別不明。

2020/05/21

灼熱の路上で休むオナガサナエ♀の謎



2019年8月下旬・午後13:45頃・晴れ

川沿いの堤防上の舗装路でオナガサナエ♀a(Melligomphus viridicostus)を見つけました。
青緑の複眼は、成熟個体である印です。
よく見ると、何か小さな獲物を食べ終えた直後のようです。(口器から食べ残しがはみ出ている)
大きな複眼の付いた頭部がギョロギョロと動き、辺りを油断なく見張っています。

真夏の直射日光に照らされた灼熱のアスファルト上に(わざわざ選んで?)止まっているのは何故でしょう?
路面温度を測ると49.2℃、気温は30.1℃でした。
変温動物のトンボが50℃近い高温にも平気で耐えているのは驚異的というか、とても正気の沙汰とは思えません。
例えば少し移動して道端の草の葉に止まるだけで温度はかなり下がるはずです。
あまりの暑さに死にかけているのかと思いきや、急に飛び立って少し離れた路上に再び着陸しました。
観察している私の方が熱射病になりそうです。

路上でオナガサナエ♀は腹部を斜めに持ち上げていましたが、倒立姿勢(オベリスク姿勢)というほど急角度ではありません。
トンボは暑過ぎると体温調節のために自分の影がなるべく最小になるように倒立するはずですが、今回は腹端がきっちり太陽の方を向いていませんでした。

暑さに強いのはこの個体aが特別なのかと思ったら、数分後に別個体の成熟♀bも少し離れた灼熱の路上で休んでいました。
川沿いの目立つ場所に居座り、早く♂に見つけてもらって交尾したいのかな?
オナガサナエという種類のトンボに出会ったのはこの日が生まれて初めてなので、分からないことばかりです。


オナガサナエ成熟♀a:顔@舗装路上+オベリスク姿勢+虫捕食


オナガサナエ成熟♀b:側面@舗装路上

川で水浴し水を飲むマガモ♂(冬の野鳥)



2019年12月下旬・午後15:50頃・くもり

夕方の川に行くと、マガモ♀♂(Anas platyrhynchos)の群れが対岸の近くで浮いていました。
冬鳥のマガモは性的二型で、♀♂を見分けるのが簡単です。

頭部が鮮やかな緑色(メタリックグリーン)の♂が川面で水浴するシーンを初めて観察できたので、映像をまとめてみました。
尾羽を左右に振りながら頭を勢いよく水中に何度も浸し、全身に川の水をかぶっています。
さっぱりすると上に伸び上がりながら羽ばたき、水気を切りました。
次に尾羽を左右に振りながら頭を水面まで下げると、嘴で水をすくって飲みました。
喉を潤したマガモ♂は羽繕いを始めました。
続いて隣の♂個体も水浴びを開始。
後半は単独♂の行水シーンです。
この個体は水浴後の羽繕いをしませんでした。

水浴後に水を飲んだのは、初めに登場した1羽目の個体だけでした。

マガモ♂は夕方が水浴びタイムなのかな?
しかし一方で、地味な羽色の♀は水浴しませんでした。




2020/05/20

菊の花蜜を吸うキタテハ秋型



2019年11月上旬・午前10:55頃・晴れ

道端の花壇に咲いた赤紫色の菊の花(園芸品種)に秋型のキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。
半開きの翅を開閉しながら吸蜜しています。
日差しが強くて暑いのか、後半は翅を閉じる時間が長くなりました。

ナミハナアブ?が近くに飛来すると、キタテハは翅をピクッと少し開いて追い払いました。(@0:23、0:32)
威嚇というよりも、逃げ腰(反射的に逃避の離陸準備)になっただけかもしれません。
他のハエ類が飛来した時には反応しなかったのが不思議です。

同じ菊の群落でキタテハの小さな別個体も見かけたのですが、そちらは撮り損ねてしまいました。


翅表
翅裏

川岸の倒木に離合集散するカワウ:1日の暮らし【10倍速映像】(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午前7:35〜午後16:28・晴れ(日の出時刻は午前6:50、日の入りは午後16:21)


▼前回の記事
群れから離れた倒木で過ごす独居カワウの羽繕い(冬の野鳥)

カワウPhalacrocorax carbo hanedae)に一番人気の太くて長い倒木に注目し、とある1日の様子を微速度撮影で記録してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
愚直に長撮りしてみるだけで、色々と面白いことが分かってきます。
お気に入りの止まり木に朝一番乗りした個体から映像が始まります。
朝日が昇ると強烈な逆光が眩しかったものの、午後になるとよく晴れた順光になりました。
夕方になると西日を浴びて、なかなか絵になる光景になりました。

潜水漁や水浴を済ませたカワウが川面から倒木に飛び上がると、よちよちと横歩きで斜めの倒木を上に登り、空いていれば最高地点まで移動します。
どうやらそこが最も好条件の特等席のようです。
倒木に上陸するカワウの数が増えると、互いに適度な間隔を開けて並ぶようになります。
翼を広げても隣の個体とぶつからない間隔を保っています。
好条件の場所は全身が黒い成鳥が占め、腹面が白い若鳥は残った空席に甘んじている傾向がありました。
群れ内の力関係の序列(つつきの順位性)に従って止まり木の席次が決まっているのか、あるいは単純に早い者順なのか、気になります。
もしかすると漁の経験が浅い若鳥は獲物がなかなか捕れずに川で過ごす時間が長く、若鳥が倒木に後から参入しようとしても空席が無いのかもしれません。
あるいは、カワウの若鳥は止まり木で休むよりも川で遊びたい年頃なのかもしれません。

止まり木ではのんびり欠伸をしたり、翼を大きく広げて乾かし、時間をかけて念入りに羽繕いします。
倒木に止まるカワウの向きは個体によってバラバラで、その場で各自がときどき方向転換しました。
倒木上で向きを変える際は、バランスを崩して川に落ちないようにその場で羽ばたいています。
日光浴で羽根を乾かすため太陽に対して全員が同じ方角を向くのか?と予想したのですが、そんなことはありませんでした。
倒木上でたまたま選んだ席の微妙な角度や形状によって、止まりやすい向きがありそうです。
濡れた羽根が乾き冷えた体が暖まったら漁を再開します。

止まり木に長時間居座るカワウは、ときどき片足立ちになっていました。
疲れた足を交互に休めているのでしょう。
倒木に座り込んで昼寝する個体もいました。
ただしそれは、特等席(止まり木が水平になっていて安定する場所)を占めた個体の特権です。
止まり木が斜めになっている場所に座ると居心地が悪いようで、短時間で立ち上がってしまいます。

川に張り出すように岸から倒れた木に並んだカワウの群れは頻繁に脱糞していました。
この止まり木は水洗トイレになっていて清潔に保たれています。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」
もし陸地に生えた特定の木にカワウが集まると深刻な糞害で止まり木の枯死をもたらすことが容易に想像できます。
カワウの糞害や悪臭で現実に悩んでいるヒトには申し訳ないのですが、生態学的に巨視的に考えみましょう。
ヒトによる大規模な森林破壊に比べたら遥かにマシです。
本来カワウは必ずしも害鳥ではなく、川魚を捕食したカワウが陸地で排便することによって河畔林に良質な栄養分(肥料)が供給されます。
昔はカワウのコロニーの真下に溜まった糞(グアノ)を定期的に集める伝統が日本各地にあったそうです。
良質の肥料として農家に高く売れるので、とても良い現金収入になったらしいです。
しかし化学肥料が大量生産される時代になると、カワウと共存する伝統は廃れてしまいました。
カワウは大量の糞によって荒廃した河畔林が使えなくなると、新しい場所に移動します。
つまりカワウは長い年月をかけて河畔林に適度な撹乱と再生を順次もたらしていると考えられます。
似た例として、ビーバーの話があります。
ビーバーが巣作りのために大量の木を切り倒し大規模な土木工事をしてダムを作るのは、一見するとヒトによる環境破壊と同じです。
しかし、実は川沿いの生態系の多様性を保つのにビーバーの活動が必要であることが分かってきています。
もちろん「日本に外来種のビーバーを移入しろ」という主張ではありません。
「郷に入っては郷に従え」で、ビーバーが棲む国ではビーバーが必要ですし、カワウが棲む国ではカワウが必要なのです。

この川で暮らす水鳥の個体数ではカルガモAnas zonorhyncha)が優占種です。
同じ倒木で休みたくても体の大きなカワウに対して立場が弱いカルガモの様子(遠慮している)にもご注目ください。
ただし異種間で場所取りの本格的な喧嘩にはなりませんでした。
カルガモは大きなカワウとの直接対決を避け、明らかに遠慮しています。
カワウが居なくなると、待ちかねたようにカルガモが空席を占めました。
カワウにとって倒木の両端は止まり木としての条件が悪いようで、避けています。
左の先端は川の水に浸っており、根際の右端は日当たりが悪いのでしょう。
倒木の両端ならカルガモも止まり木として遠慮がちに利用することが許されます。
川の水に浸った倒木の細くなった左端にカルガモが乗ると、その重みで倒木全体が少し沈みます。
そこからカルガモが立ち去ると、しなっていた倒木がバネのように復元します。



※ 対岸に張ったブラインド内に三脚を据えて長撮りしました。
微速度撮影中に鳴き声や環境音が録音されなくなるのはカメラの仕様です。

等倍速で録画した映像素材も10倍速に揃えてから繋ぎました。
長編映像なのでBGMを入れてみました。
画面のチラつきを抑えるために、動画編集時にdeflicker処理を施しました。
カメラが1台しか無いので、他の被写体を撮ったり私が昼寝したりして、断続的に撮影しました。
動画内に撮影時刻を刻々と表示したいのですが、時計を直接写し込む手法も使えませんし、動画編集で時刻のテロップを入れる方法が分かりません…。

カワウの群れはこの倒木上で夜もそのまま寝る訳ではありません。
集団ねぐらは別の場所にあることが分かっています。
私がカワウを終日観察した目的の一つは、日没時に集団塒へ帰る様子を撮影することでした。
ところが昼間に夢中で動画を撮りまくった結果、カメラのバッテリー3個を全て使い切ってしまい、残念ながら肝心の帰投シーンを撮り損ねてしまいました。
カメラのバックモニター(液晶画面)を非表示にしたりして、昼間はなるべくバッテリーを節約したのですが、配分を間違えました。
カメラが使えなくなった数分後にカワウが倒木から次々と下流へ飛び去ってしまい、悔しい思いをしました。
できればブラインド内で連泊したいところです。
しかしカメラのバッテリーと食料・水などを補給しなければなりません。
夜から天気が崩れるとの予報で諦め、辺りが完全に暗くなるのを待ってから撤収しました。

ブラインドを使った撮影スタイルは成果が大きくて充実している反面、あまりにも過酷でした。
徹夜や早朝の寒さが辛いだけでなく、窮屈なブラインド内で息を殺して長時間座り続けるとエコノミークラス症候群になりそうです。
折りたたみ式の小さな椅子とクッションを持ち込んで座り、ときどきブラインド内で立ち上がって血行回復に努めました。

予想より気温の寒暖差が激しく、晴れた昼下がりのテント内は意外にも暑いぐらいでした。
防寒具をどんどん脱いで薄着になります。
夕方になると冷え込んできたので再び防寒着を着込みました。
足元が一番冷えるので、靴下に貼るタイプのカイロを使いました。

冬は川辺りでも蚊が全くいないので快適です。
夏だとヤブ蚊の襲来に悩まされて地獄でしょう。
この流域で最も恐るべきツツガムシ病に感染するリスクも冬にはありません。

終日観察で疲労困憊した私の体力がなかなか回復せず、根雪が積もる前にもう一度再挑戦することができませんでした。
そこで、楽をして別アングルから夕方だけ撮影することにしました。


つづく→日没直前に川から塒へ飛び去るカワウの群れ(冬の野鳥)


最大7羽のカワウが並んで止まれる倒木

2020/05/19

誤認求愛を繰り広げるフタモンアシナガバチ♂の群飛【HD動画&ハイスピード動画】



2019年10月上旬・午後12:10頃・快晴

この日は朝から秋晴れで、フタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)雄蜂♂の群飛をあちこちの日向で見かけました。
道端に設置された日当たりの良い石碑(庚申塔)の周囲で繰り広げられていた激しい群飛に注目しました。

日光に熱せられて温かい石碑の上で数匹のフタモンアシナガバチ♂が並んで日光浴しています。
顔色が白く、触角の先端がカールしているのがアシナガバチの雄蜂♂の特徴です。
その周囲でも多数の♂が忙しなく飛び回り、石碑に離着陸を繰り返していました。
石碑上で頻繁に♂同士が飛びついて、一見すると激しく喧嘩しているように見えます。
240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみると、何が行われているのか明らかになります。(@0:13〜)

石碑に乗って休んでいる♂の背中に次々に飛びつくものの、飛びつかれた個体は無反応です。
噛み付いたりしていませんし、石碑から追い払おうと縄張り争いの喧嘩をしている訳でもありません。
探雌飛翔中の♂が焦って互いに誤認求愛・マウントしているようです。
間違いに気づくと何事もなかったように再び飛び去ります。
本番の交尾に備えて、新女王に真っ先に飛びかかる練習をしているのかもしれません。
石碑上で身繕いする♂個体もいました。

私は未だアシナガバチの群飛からの交尾行動を野外で観察したことがありません。
毎年探し歩いているのですが、なかなか幸運に恵まれません。

▼関連記事(6、9年前の撮影)
フタモンアシナガバチ♂の群飛
フタモンアシナガバチ♂の群飛と誤認交尾【HD動画&ハイスピード動画】


フタモンアシナガバチ♂群れ@石碑+日光浴+誤認求愛

フタモンアシナガバチ♂群れ@石碑+群飛・全景


エクリプス羽のミコアイサ♂が川で潜水漁(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午前10:50頃・晴れ

▼前回の記事
川面で羽繕いするエクリプス換羽中のミコアイサ♂(冬の野鳥)

対岸付近の川面で羽繕いしていたエクリプス羽のミコアイサ♂(Mergus albellus)が急に潜水しました。
水中で魚や水生動物を捕食するのだそうです。
15秒ぐらいで少し離れた水面に浮上しました。
その場で伸び上がりながら羽ばたき、羽根の水気を切ります。
倒木の下まで移動すると再び水中に潜りました。
今度は25秒後に対岸の少し上流地点で浮上。
先程と同じく、その場で伸び上がりながら羽ばたき、羽根の水気を切りました。
その後はときどき水で濡らした嘴で羽繕いを始めました。


2020/05/18

タヌキの溜め糞を舐めるベッコウバエ♂



2019年11月上旬・午後12:30頃・晴れ

里山のスギ(杉)林の斜面にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が共同トイレとして長年使っている溜め糞があります。

薄暗いスギ林床に残されたタヌキの溜め糞に1匹のベッコウバエ♂(Dryomyza formosa)が居座っていました。
側面から見た時に腹部が赤褐色で黄色い長毛が生えているので♂と判明。
やがて黄色い口吻を伸ばすと、獣糞の表面を舐め始めました。
隣の落ち葉に移動して休むこともありますが、すぐに溜め糞に戻りました。
おそらく交尾相手の♀が糞塊の匂いに誘引されて飛来するのを待ち伏せしているのでしょう。

他には小型のアリや別種のハエも溜め糞に集まって来ていたのですが、私には名前が分からないのでスルー。
(もし映像から見分けられる方がいれば教えてください。)
いつかタヌキの溜め糞の傍らにトラップカメラ(無人カメラ)を仕掛けてみたいものです。


カルガモ♀♂の求愛・交尾行動(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午前11:32・晴れ

川面に並んで浮かぶ2羽のカルガモAnas zonorhyncha)が求愛行動(お見合い)を始めました。
互いに見つめ合いながら交互に頭を上下に動かしています。
このヘッドトッシングと呼ばれる求愛の際に嘴を一瞬水面に付けるので、次に首を伸ばすと嘴から水が滴り落ちました。
左の個体が♂、右の個体が♀でした。
♀のお辞儀の動きが小さくなり、頭を水面に下げました。
その背後から♂がのしかかり(マウント)♀の首筋を軽く咥えて体を保定すると、交尾に成功しました。
短い交尾を終えると、♂は頭を低くした姿勢で川面を泳ぎ去り、♀から素早く離れました。(儀式化された求愛行動のレパートリーの一つで、nod-swimmingと呼ぶそうです。)
その場に残った♀は、全身を水中に漬けて水浴を繰り返します。
次に伸び上がって羽ばたき、濡らした嘴で羽毛を整えました。(羽繕い)

※ 動画編集時いつものように手ブレ補正は施しませんでした。(副作用が酷いため)
カルガモの求愛・交尾の一部始終をしっかり観察できたので満足です。
一年越しの宿題が解決しました。

▼関連記事(1年前の撮影)
池の水面で求愛・交尾するカルガモ♀♂【冬の野鳥】

八木力『冬鳥の行動記:Ethology of Wild Ducks』という本で読んだことのある、カモ類の交尾行動と同じでした。

 交尾には♀との合意が必要なので、♂が♀に近づきながら頭部を上下させるヘッドトッシングを行なって交尾を促し、これに♀が同調して頭部を上下させれば同意の合図。
♀は交尾受け入れの姿勢をとります。♂は♀の後頭部をくわえてマウンティング。
交尾終了後、♀は必ず(儀式的水浴びと)転移性羽ばたきを行ない、♂はまれに行なうことがあります。 (p58より引用)


カルガモ♀♂(野鳥)@川面+交尾

2020/05/17

ヤマハギの花で採餌するサカガミハキリバチ♀?の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2019年10月上旬・午後14:15頃・くもり

里山の峠道のコンクリート法面に垂れ下がるように伸びたヤマハギ(山萩)スミスハキリバチ♀(Megachile humilisと思われる蜂が訪花していました。(標高約600m地点)
腹部下面のスコパおよび後脚に黄色い花粉が付着しています。
吸蜜中は腹端をやや持ち上げて海老反り姿勢になりました。
吸蜜中に左右の後脚を擦り合わせることもありました。
体毛に付着した花粉をスコパへ移しているのでしょう。

ヤマハギの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:55〜)
複数個体(少なくとも2匹)を撮影。

ハキリバチ類を見分けるのは苦手ですし、同定のための採集もできていません。
もしスミスハキリバチではなく別種でしたらご指摘願います。
『日本産ハナバチ図鑑』と見比べて素人の当てずっぽうですが、頭楯に白い毛が密生しているのでサカガミハキリバチ♀(Megachile remota sakagamii)ですかね?
(顔が花粉で汚れているだけなら黄色に染まっているはずです。)
ツルガハキリバチ♀(Megachile tsurugensis)とも似ていて、悩ましいところです。
図鑑の記載では、発生期が撮影日の10月を含むのはツルガハキリバチです。(スミスおよびサカガミの発生期は9月まで)


背面
腹面:スコパ
側面



群れから離れた倒木で過ごす独居カワウの羽繕い(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午後12:48〜13:55


▼前回の記事
川岸の止まり木でカワウに遠慮するカルガモ(冬の野鳥)

カワウPhalacrocorax carbo hanedae)の群れ(計7羽)が止まり木として共有している倒木から川下に少し離れた別の倒木で独りで過ごしている一匹狼の個体を見つけました。
腹面の羽毛が白っぽいので若鳥のようです。
ブラインド内から隠し撮りしていると、どうしても視野が狭くなり、初めは気づきませんでした。

細い倒木に下流を向いて止まり、念入りに羽繕いしていました。
翼を大きく広げて羽根に風を通し日光を浴びて乾かします。
これほど間近で美しいカワウの羽繕いを観察できたのが嬉しくて、長々と撮ってしまいました。
皆さんには退屈な映像かもしれません。

倒木をつかむ足にも注目です。
中川雄三『水辺の番人 カワウ (月刊たくさんのふしぎ2017年11月号)』によると、
カワウは水かきをもつにもかかわらず、上手に枝をつかむことができます。多くの鳥は前に3つ、後ろに1つのゆびをもちますが、カワウは前だけに4つのゆびがあり、それぞれのゆびの間に水かきがあります。この4つのゆびを使い、木をぎゅっとつかむのです。(p20-21より引用)

せっかくなので、カルガモとカワウの足元に思いっきりズームインして枝の掴み方の違いを撮るべきでしたね。

群れの仲間から外れているのは、血縁関係が薄い個体なのでしょうか?
若鳥でも成鳥と一緒に止まり木で鈴なりに並んでいる個体も居たので、年齢で別れている訳でもなさそうです。
それとも単純に、お気に入りの倒木は早い者勝ちで空席が埋められてしまい、遅れてきた者は仕方なく少し離れた止まり木に甘んじるしかないのかもしれません。
これを見るとヒトはよく「孤立している」「一匹狼」「かわいそうな仲間外れ」「独立心が強い」などど勝手に感情移入や擬人化をしがちです。
それを証明するにせよ否定するにせよ、本当のところは個体識別した上で長期間観察しないと分かりません。

対岸にはカルガモの群れもずらっと並んで休んでいました。

つづく→川岸の倒木に離合集散するカワウ:1日の暮らし【10倍速映像】(冬の野鳥)





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