2016/05/28

池の護岸で虫を捕食するセグロセキレイ♂(野鳥)



2016年5月上旬

溜池のコンクリート護岸の階段でセグロセキレイ♂(Motacilla grandis)が虫を捕食しに通っていました。
よく見ると嘴に虫を何匹も咥えたまま走り回っています。
何度も連続で虫を捕らえ、嘴に獲物を貯めてから帰巣して雛にまとめて給餌するのでしょう。
自分のために捕食しているのであれば、嘴に獲物を貯めずにすぐ飲み込むはずです。
ときどき池の水面をかすめるように飛んでは岸の階段にすぐ戻ってくるのは、水生昆虫を見つけて捕らえたのでしょう。
また、岸から水面に嘴を付けて水を飲んだように見えましたが、もしかすると水面のアメンボなどを素早く捕食したのかもしれません。
本当の飲水行動なら嘴を水に浸した直後に上を向いて喉に水を流し込むはずですし、嘴に獲物を何匹も咥えたまま水を飲むのはとても難しそうです。

飛ぶときに発する鳴き声が確かにハクセキレイとは違い濁っていますね。
(近くでオオヨシキリやカルガモが喧しく鳴いています。)



尾繋がりのオツネントンボ♀♂がヨシの葉に産卵開始



2016年5月上旬

▼前回の記事
ヨシの葉に産卵するオツネントンボ♀【接写】

ここで前回から時間を少し遡ります。
夕方に湿地帯の遊歩道を私が歩いていたら、尾繋がりしたオツネントンボSympecma paedisca)の♀♂ペアが驚いて飛び立ち、水溜りの近くに生えたヨシの枯れ茎に止まり直しました。
これからハート型の交尾体勢に入るのかと期待して撮り始めたら、産卵を始めたのでした。

カメラを警戒したのか、茎の反対側に回り込んで隠れました。
こちらもそっと回り込んで隠し撮りします。
♀は水平に伸ばしていた腹部を曲げて腹端で枯れ茎に触れました。
枯れ茎は見るからに固そうで産卵基質として適しているとは思えません。
やがて♀は身繕いを始めました。
後脚で棘状の産卵管を左右から挟み込んで、しごくように掃除しています。

再びタンデムで枯れ茎から飛び立ち、下に生えたばかりのヨシの若葉に止まり直しました。
♀は直ちに産卵姿勢になりました。
♀が歩いて下に降りようとすると、♂も追従します。
またタンデムで飛び立つも、同じ葉に止まり直し、産卵します。
翅の縁紋は♂が濃くて♀が薄いですね。(オツネントンボは常にそうなのかな?)
どうも♀はここが気に入らなかったようで、タンデムで飛び立つと見失ってしまいました。

慌てて追いかけると、水溜りの端っこでなんとか♀♂ペアを見つけることができました。
産卵場所の選定(飛行)は♂が主導権を握っているのかな?
気に入らなければ♀が一瞬先に飛び立つのでしょうか?
それとも♀の不満を感じた♂が阿吽の呼吸で先導するのでしょうか?(♀をグイグイ引っ張っていく亭主関白タイプ?)
タンデム飛行(尾繋がり)の飛び立ちをハイスピード動画で撮れば分かるかもしれません。

ようやく安住の地を見つけ、とあるヨシの葉表で落ち着いて産卵を始めました。(@1:45〜)
オツネントンボの産卵を観察するのは初めてなので、この後はひたすら望遠マクロで長撮りしました。
途中で撮影アングルを何度か変えています。
合間にマクロレンズで接写した産卵映像は前回紹介しました。
背後の湿地帯ではオオヨシキリの鳴き声♪が響き渡ります。
本当は産卵シーンを微速度撮影したかったのですけど、あいにく三脚を持参していませんでした。
葉身に卵を並べていく順番を早回し映像で記録したかったです。

撮影中はトンボに夢中で気づかなかったのですが、後で写真を見直すと、同じヨシの茎についた別の若葉にも似たような(刺青のようなミミズ腫れのような)産卵痕が見えます。
やはり人気のスポットには集中するようです。

♀が産卵中でも♂ががっちり束縛するのは、ライバル♂に寝取られないようにガード(警護)して確実に自分の精子で受精した卵を産んでもらおうという企みなのでしょう。
♂による交尾後ガードはいつまで続くのか?

つづく→♂が離れた後も単独で産卵するオツネントンボ♀






【おまけの動画】
産卵シーンの一部を6倍速の早回し映像に加工してみました(@8:42〜)。
ブログ限定で公開します。
三脚を使っていないので、手ブレはご容赦ください。


ヤブカンゾウの茎を下るヒメギス♂



2015年7月下旬

道端に咲いたヤブカンゾウの群落でヒメギス♂(Eobiana engelhardti subtropica)が茎を歩いて降りています。
左後脚を欠損した個体です。
近くでヤブカンゾウの蕾を食べている♀と交尾しようと接近を試みるのでしょうか? 
♀の居る株に登り直すかと期待したのですが、見失いました。



2016/05/27

ハクセキレイ(野鳥)雨の日の集団就塒



2016年4月下旬・午後18:30〜18:33

ハクセキレイ♂(野鳥)集団塒の電柱:定点観察#3


朝から終日、雨模様でした。
雨はハクセキレイMotacilla alba lugens)の塒入りに影響するでしょうか?

前編(18:30 pm):
サブの塒である電柱Nには未だ1羽も居ません。
メインの塒である電柱S(主に電線)には40羽ぐらい集まっています。
身震いして雨水を振り払う個体が見えます。
柱上変圧器の近くには未だ1羽も来ていません。
横の車道を水飛沫を上げて走る車の音でかき消されてしまい、ハクセキレイの鳴き声は聞き取れませんでした。

後編(18:33 pm):
電柱Nには約15羽のハクセキレイが続々と集結しています。
電柱Sの方が圧倒的に多くの個体(50羽弱)が塒入りしています。
今回も見事に♂ばかり。
トランスの横に1羽発見。
最後は歩道の水溜りに落ちる雨粒を写して雨足の激しさを示します。
ご覧の通り小雨でした。


考察:
現場に到着した頃には小雨になっていました。
雨雲のせいで暗くなるのが早いので、晴れの日よりも就塒時刻は早まりました。
体内時計ではなく周囲の明るさの低下を感知して柔軟に塒入りするのでしょう。
皆既日食になると昼間でも暗くなりますが、鳥は慌てて塒入りするのかな?
もっと悪天候だと、鳥たちはどうするのでしょうね?
100%人工物のこの塒に雨避けになる庇などは無く、どこに止まっても鳥は雨ざらしで濡れてしまいます。
強いて言えば柱上変圧器の真下なら雨宿り出来そうですけど、特にそこへハクセキレイが集まっている様子もありません。
羽毛の手入れを日頃しっかりしていれば、雨に濡れても平気なのでしょう。
電柱Sが塒として人気が高い理由は、トランスや配線など複雑な構造物が設置されていて、隣のシンプルな電柱Nよりも多数の個体を収容できるために安心するのでしょう。
電柱が立ち並ぶ乱雑な町並みを美化するために電線類を地中化しようという都市計画の運動がありますけど、電柱に塒をとる野鳥にとっては撤去されると深刻な住宅難になり大迷惑ですね。

ちなみに、この日の日の入り時刻は18:27と発表されていますから、日没直後の撮影になります。
撮影直後(午後18:38)の測定で、気温19.7℃、湿度48%、照度25ルクスでした。
月は未だ出ていません。

つづく→#4:メインの集団塒Sに飛び込むハクセキレイの羽ばたき【ハイスピード動画】


電柱N(サブの集団塒)
電柱S(メインの集団塒)
写真の撮影時刻はすべて18:35 pm。
柱上変圧器に3羽

ヨシの葉に産卵するオツネントンボ♀【接写】



2016年5月上旬

尾繋がりしたオツネントンボSympecma paedisca)の♀♂ペアが産卵していました。
場所は、湿地帯の水溜りの岸に生えかけたヨシ(=葦、アシ)の群落です。
そっと近寄りマクロレンズで接写してみると、翅の縁紋がずれていることを確認できたので、ホソミオツネントンボではなくオツネントンボです。

ヨシ若葉の表面に止まった♀の腹端には、焦げ茶色でやや湾曲した棘状の突起があります。
その産卵管をヨシの縦に走る葉脈に沿って葉身の薄い植物組織内に器用に差し込んで、卵を一粒ずつ産み付けています。
産卵管を引き抜くと真横にずれて挿し直すため、産卵痕はほぼ等間隔で横一列に並びます。
葉縁に達すると♀はヨシの葉を少し前進してからまた横へ産み進めます。
その結果、独特のパターンで刺青のような産卵痕が並ぶことになります。
もっと細かく観察すると、♀は腹部を屈曲させΩの体勢で産卵を始めます。
♀は少しずつ腹部を後ろに伸ばしていくため、産卵痕の列は後ろへ後ろへ並びます。
腹部が伸び切ったり腹端が障害物(ヨシの茎)に突き当たったりすると、♀はヨシの葉を少し前進してから改めて産卵を再開します。

♂は産卵する♀の首根っこを掴んだままおとなしく待っています。
尾繋がりの♀♂ペアが左右の足でヨシの葉を抱え込むことで葉身を軽く丸め(凸状に湾曲)、産卵しやすくしているのかもしれません。
一心不乱に産卵する♀の前脚の先が左右ともに欠損している事に気づきました。
本種は「越年蜻蛉」の名前が示すように成虫で越冬することで有名ですから、凍傷で壊死したのかな?

帰ってから手持ちのトンボ関連本や図鑑を調べても、オツネントンボの産卵行動に関する記述は見つかりませんでした。
こんな時期に産卵するということも、植物組織内に産むことも知りませんでした。
ヨシの葉が大きく育つと産卵痕はどのような形状になるのでしょう?
ところで、孵化した幼虫(ヤゴ)はヨシの茎を歩いて降りて下の水溜りに自力で入水するのでしょうか?
ヤゴは鰓呼吸のはずですが、陸上ではどうするのでしょう?
それともヨシの葉裏から孵化してすぐ水溜りに落下するのかな?

つづく→尾繋がりのオツネントンボ♀♂が産卵開始


オツネントンボ♂側面@尾繋がり+産卵中
オツネントンボ♂縁紋@尾繋がり+産卵中
オツネントンボ♀側面@尾繋がり+産卵中。
焦げ茶色の部分に白い毛が生えています。
オツネントンボ♀産卵管@尾繋がり+産卵中@ヨシ葉

2016/05/26

枯れ枝で虫を捕食するスズメ【野鳥:ハイスピード動画】



2016年5月上旬

池の岸で落葉した立ち枯れしたハンノキの枝に居たスズメPasser montanus)の活動を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
未だ葉が芽吹いていない枯れた枝から枝へ軽快に跳び回り、虫などの獲物を探しています。
空中で軽く羽ばたくときもありました。
細い小枝に飛びついてぶら下がり、羽ばたきながらアクロバチックな体勢を披露してくれました。
最後はどこかへ飛び去りました。


ナミテントウ黒色二紋型♀♂:交尾中の尻振り



2016年5月上旬

斑紋の異なるナミテントウ♀♂の交尾を見たすぐ近くの柳の枝で黒色二紋型のナミテントウHarmonia axyridis)の♀♂ペアも交尾していました。

ときどき♂が交尾器を結合したまま体を左右に激しく振る謎の行動が見られました。
先にこの♀と交尾したライバル♂の精子を掻き出そうとしている動き(精子競争の一種)なのかと想像してしまいます。
♀に対して何らかのシグナルを送っているのですかね?
他の昆虫(甲虫?)の交尾でも以前見たことがある気がするのですけど、思い出せません。
単に、交尾器の挿入角度を調節したり引き抜こうとする動きなのかな?
柳の若葉が邪魔で、側面からの接写アングルは確保できませんでした。

一方、♀は交尾中もアブラムシをむしゃむしゃと捕食していました。

私の印象では、北国なのに当地のナミテントウは黒色二紋型が主流派です。(温暖化の影響?)



【追記】
ナミテントウの配偶行動を研究した小畑晶子『幸せを運ぶテントウムシ』を読んでいたら、この尻振り行動の謎が解けました。
私が予想したような、前に交尾した♂の精子を掻き出す行動ではありませんでした。
・♂が交尾中に体を左右に振動させる 
・個体による差異はほとんどなく、特徴として交尾開始後約35分経過してから振動が始まること、振動の間隔が25〜30秒と一定していることなどがわかってきた。 
・ナミテントウでは交尾が始まっても、♂の体の振動が起こるまでは精子が♀の体内に送り込まれていないことを示唆している。直接的な証明はできていないが、♂の体の振動はおそらく精子を送り込む運動であると考えられる。 
・交尾開始から♂の体の振動が始まるまでの約30分は、精包の材料を送り込むのに必要な時間だった。 
(『虫たちがいて、ぼくがいた:昆虫と甲殻類の行動』第1-3章p36-37より箇条書きで引用)



2016/05/25

池に飛び込むカワセミ(野鳥)の漁



2016年5月上旬

朝の溜池で美しいカワセミAlcedo atthis)が魚獲りに通っていました。
水辺に背高く伸びた葦の枯れ茎の先端に止まり、水面を見つめています。
池に飛び込んだ直後はカワセミを見失ったものの、チー、チー♪という甲高い鳴き声を頼りに姿を探すと、近くの木の枝に止まり、暴れる魚を枝に叩きつけていました。
この最中も満足気に鳴き続けています。
獲物がおとなしくなると頭から丸呑みします。
最後は鳴きながら飛び去りました。

溜池の畔で私が静かに待ち伏せしていると、チー!チー!と断続的な鳴き声が響くので、カワセミが再び飛来したのが分かります。
スズメぐらいとても小さな鳥なので、対岸から望遠レンズで狙うとピントをしっかり合わせるのは不可能です。
(画質の粗いパートは最大限デジタルズームしたところです。)

今度もカワセミは枯れアシの茎に止まり、魚影を探しています。
少し飛んで止まり木を変更しました。
下嘴が赤くないので♂だと思うのですが、どうでしょう?
池にダイビングした肝心の瞬間に見失ってしまいました。
もっと引きの絵で撮るべきですね…。

捕らえた魚を殺すための止まり木は前回と違う場所でした。
この時期は未だ木が落葉していて観察しやすく、助かります。
普通カワセミは捕らえた魚を殺すために、飛び込む前のお気に入りの止まり木に戻るのをテレビなどでよく見かけます。
しかし、アシの枯れ茎に戻っても頼りない止まり木なので魚を叩きつけて殺せないでしょう。
かと言って水面に張り出した木の枝はありませんから、樹上からは魚を狙えません。
漁場の状況に応じてカワセミは臨機応変に対処しているようです。

次に機会があれば、カワセミが水に飛び込んで漁をする瞬間をハイスピード動画に撮ってみたいものです。
ペリットの吐き出しなども観察したいです。
川の上流の巣から通ってきているのかな?
カワセミの鳴き声を声紋解析してみる?

※ 動画編集時に自動色調補正で彩度とコントラストを上げています。



【追記】
カワセミは猛禽類のように、大きな餌を嘴や足でちぎってヒナに与えることはできない。(中略)ヒナの成長に伴って、餌も大きくなるのだ。大小さまざまなステージで餌になる生物が周辺に生息していなければ、カワセミは子育てできない。水辺の生態系が豊かでなければ、繁殖できないのだ。(『銀座のツバメ』p72より)



ライラックの花とコアオハナムグリ



2016年5月上旬

民家の庭に咲いたライラック(=リラ、ムラサキハシドイ)の薄紫色の花にコアオハナムグリGametis jucunda)が潜り込んでいました。
花粉や花蜜を食べているのでしょう。




2016/05/24

水路で獲物を探すセグロセキレイ(野鳥)



2016年5月上旬

堤防に挟まれた人工水路(細長い溜池?)の岸でセグロセキレイMotacilla grandis)を見つけました。
水際をこちらに向かって歩きながら捕食する虫を探しています。

残念ながらすぐにセグロセキレイは飛び去ってしまいました。
撮影している私に気づいて警戒したのか、たまたま通過した列車の騒音に驚いたのかもしれません。
飛び立った直後に空中で鳴きました。
図鑑に書いてある通り、ジュッ♪と濁った声でした。
一方ハクセキレイの鳴き声はチュチュッ♪と澄んでいるので、聞き分けが可能なのだそうです。
声紋解析で比べてみる?

私のフィールドは河川の上流域に属するのでセグロセキレイはキセキレイを見るよりも珍しく、久々の遭遇にとても興奮しました。
セキレイ類の目撃頻度はハクセキレイ≫キセキレイ>セグロセキレイの順になります。
セグロセキレイは、カワセミを見るより珍しい印象です。

ところで最近ハクセキレイの塒を調べている私としては、この辺りのセグロセキレイが夜眠る塒はどこにあるのか、気になります。
混群としてハクセキレイの集団塒を一緒に利用しているのかな?
『ネオン街に眠る鳥たち:夜鳥生態学入門』p169によれば、埼玉県東松山市にてセグロセキレイの群れにハクセキレイが数十羽交じった混合塒が報告されています。



モンシロチョウの求愛と交尾拒否



2016年5月上旬

草むらに止まっているモンシロチョウPieris rapae)♀の周囲を♂が飛び回っています。
♀は閉じていた翅を半開きにしながら腹端を持ち上げ、典型的な交尾拒否の姿勢をとりました。
※ 動画冒頭は1/4倍速のスローモーションで交尾拒否行動を示します。ハイスピード動画ではないので、スローの動きがぎこちないですね。

それでもしつこく迫る♂から逃れるために、♀は地面に落下しました。
♀を見失った♂が未練がましく辺りの草むらを探索飛翔しています。


2016/05/23

電柱の集団塒で寝る深夜のハクセキレイ【野鳥:暗視映像】

ハクセキレイ♂(野鳥)集団塒の電柱:定点観察#2


2016年4月下旬・深夜1:30〜1:38

深夜の帰り道にハクセキレイMotacilla alba lugens)の集団塒を見てきました。
そっと近づくと鳴き声は全く聞こえず、塒は静まり返っていました。
まずは鳥のシルエットを狙い写真で記録します。
何度もフラッシュを焚いたら寝ていた鳥を驚かせてしまったのか、塒を軽く飛び回る個体がいました。(映像なし)

メインの集団塒は、やはり電柱Sでした。
柱上変圧器(トランス)の横にも数羽止まっていす。
通りを挟んだ電柱Nにも少数ながらハクセキレイが休んでいました。
電柱N,Sを結ぶ電線には一羽も居ませんでした。
下から見上げる写真では残念ながらハクセキレイの性別は見分けられませんし、目を閉じているのかどうかも不明です。
今流行りのドローンを飛ばしてハクセキレイの寝起き映像を空撮してみたくなりますが、色々と問題がありますし、プロペラの騒音で鳥が逃げてしまいそうです。

通りに沿って並ぶ電柱の下を見て歩くと、地面が鳥の糞で汚れているのは塒となった特定の電柱S,Nの下だけでした。
逆に、町中で鳥の糞が大量に落ちている場所があれば、その上が夜の塒なのかもしれません。



部屋ねぐら性の鳥に比べて外ねぐらをとる種類は清潔に無頓着で、大勢が集まるねぐらでは多くの排泄物のために木が枯れてしまったり、都会では建物や路傍や歩行者を糞で汚してしまうことがある。(『鳥はどこで眠るのか』p74より)

写真撮影直後に電柱の真下の歩道で測定した気温は15.6℃、湿度54%。
昼間との寒暖差が大きく、寒く感じました。
満月のはずなのに、雲が多く夜空に月は見えませんでした。

次に動画で記録しようとしたら、赤外線投光機のうち一台がうっかり充電切れでした。
赤外線投光機を2台同時に使わないと高所の塒を暗視できないため、この日は写真だけ撮って帰りました。
気を取り直して、動画撮影はまた出直すことにします。

ハクセキレイ集団塒@電柱N
ハクセキレイ糞@電柱N直下
ハクセキレイ集団塒@電柱S
ハクセキレイ集団塒@電柱S
ハクセキレイ集団塒@電柱S
ハクセキレイ集団塒@電柱S
ハクセキレイ集団塒@電柱S
ハクセキレイ糞@電柱S直下




2016年4月下旬・深夜2:27〜2:29

2日後の真夜中にハクセキレイの集団塒を再訪しました。
赤外線の暗視カメラで撮りながら、まずメインの塒である電柱Sを調べます。
集団塒から落ちてきた糞で真下の路上がひどく汚れていることを示します。
電柱の側面も所々鳥の糞が垂れていました。
赤外線投光機をダブルで点灯しても、高所の塒は見えるか見えないかギリギリです。
辛うじて見えた範囲でカウントすると、塒Sには13羽を確認しました。



次に通りを挟んで反対側の電柱Nを調べます。
塒の真下の路上を見ても糞の汚れは少なく、塒Nには5羽しか居ませんでした。
集団塒の規模が小さくなると、寝ている鳥は捕食者に狙われる危険が高くなります。
この5羽は、安全なメインの塒Sから追い出されあぶれてしまった劣位の(弱い)個体、あるいは若い個体なのかもしれません。
足環でハクセキレイを個体識別して塒入りする位置を毎晩しっかり調べたら面白そうです。

塒から電柱の間隔1つ分離れた位置に外灯(ナトリウムランプ)が立っていて、オレンジ色の光で通りを一晩中照らしています。
そのため、真夜中でも塒は真っ暗闇ではなく充分な明るさがあり、天敵に寝込みを不意に襲われる心配はなさそうです。
外灯に一番近い電柱を塒に選ばなかった理由は2つ考えられます。

まず第一に、外灯に近過ぎると逆に眩し過ぎるのかもしれません。
次回は照度計を持参しよう。

第二の理由として、他の電柱はシンプルで柱上変圧器が設置されていませんでした。
やはり、ハクセキレイは柱上変圧器の有無で塒としての価値を評価している可能性が高まりました。
柱上変圧器は発熱して暖かいという以外にも、構造物として複雑なのでより多数の個体が周囲に止まれる利点があるのかもしれません。
旧式の柱上変圧器はブーン♪という低音のノイズを常時発していて耳障り(安眠妨害)ですけど、この塒のトランスは新しいようで静かでした。

撮影直後に測定した気温は16.4℃、湿度37%。
月が出ていました(月齢18.7)。

※ 動画編集時に自動色調補正で暗視映像の明るさを増感しています。

ストロボを使った写真撮影はハクセキレイの安眠を明らかに妨げると前回感じました。
居心地が悪くなり塒の位置を変更されると困るので、今後は夜間の定点観察は赤外線の暗視映像だけで記録することにします。
細心の注意を払っても帰り際にチュン、チチッ♪という短い鳴き声を聞きました。(警戒声?)
私が塒の下で不審な動きをしたせいで、寝ていたハクセキレイを起こしてしまったようです。
それとも寝言かな?
(無人の監視カメラによる映像でハクセキレイの寝言を録音できたら面白いですね。)

つづく→#3:ハクセキレイ(野鳥)雨の日の集団就塒



【追記】
図鑑『山渓フィールドブックス4:野鳥』p274によれば、
秋冬には橋桁や工場の建物、街路樹などに集団ねぐらを作る。


藤棚で訪花するクマバチ♂



2016年5月上旬

藤棚でフジの花が咲き始めると、待ち構えていたようにキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が吸蜜に訪れていました。
クマバチと藤の組み合わせは花札の絵柄になりそうなぐらい定番ですけど、雄蜂の吸蜜シーンは初めて見たかもしれません。
複数個体を撮影。
短いホバリング(停空飛翔)中に♂と判明しました。
雄蜂は頭楯が白く、採餌しないため後脚の花粉籠が当然ながら空荷です。

藤棚の周囲では数匹のクマバチ♂が交尾相手の♀を待ち構えて空中にホバリングして縄張りを張っていました。(映像なし)
互いに縄張り争いの空中戦を繰り広げています。
空腹になると雄蜂も藤棚で栄養補給するのでしょう。

実はこの藤棚では紫色と白色の藤の花が並んで咲いていて、白フジの方が開花が早いようでした。
紫の花は未だ咲きかけです。



2016/05/22

電柱に塒入りするハクセキレイ♂の群れ(野鳥)



ハクセキレイ♂(野鳥)集団塒の電柱:定点観察#1


2016年4月下旬・午後18:31〜19:04
▼前回の記事
屋根で鳴く♪ハクセキレイ♂(野鳥)

鳥は夜どこで寝るのか?という夜のバードウォッチングもなかなか面白いものです。


日が暮れると、東西に走る車道に沿って立つ特定の電柱や電線にハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が辺りから続々と集結して群がっていました。
賑やかに鳴き交わしているこの行動は就塒前集合だろうとピンと来ました。
というのも、ハクセキレイが夏の塒としているケヤキ並木がこの通りにあったからです。

▼関連記事(撮影:2013年6月上旬)
街路樹に塒入りするハクセキレイの群れ(野鳥)
しかし4月下旬では未だケヤキの木は芽吹いておらず、野鳥が隠れられる茂みが全く無くて丸坊主の状態です。
かなり強く剪定されて枝も少なくなっています。
留鳥(一年中留まって暮らす)のハクセキレイは、ケヤキが落葉している期間はどこに塒入りしているのか、考えてみれば不思議でした。(気にしたことがありませんでした。)

全景(下は裸のケヤキ並木)18:33 pm

集まったハクセキレイの中には、電線や電柱でときどきホバリングしたり空中戦したりする元気な個体も居ます。
塒入りする場所取りの争いがあるのかもしれません。

未だ明るさの残る時刻では、電線で羽繕いしている個体も見受けられます。
計15羽ぐらいの群れを見ると、集まってきているハクセキレイの性比が極端に偏っており、♂ばかりで♀が居ない点がとても不思議です。
ハクセキレイの繁殖期について調べると、

繁殖期は5〜7月で、広いなわばりをもち、ふつう一夫一妻で繁殖する。(『日本動物大百科4鳥類II』p77より)


こんな早い時期から♀は巣で抱卵しているのかな?
それとも♀だけの集団塒が別な場所にあるのでしょうか?

『鳥はどこで眠るのか』を読むと答えが書いてありました。

アイルランドから日本までの広い地域では、ハクセキレイが集団ねぐらを形成している。早い時期には、このねぐらは♂の成鳥が多くを占め、彼らの連れ合いはまだ巣についているが、やがて♀と幼鳥も合流する。(p55より)

しばらく観察していてふと気づくと、大通りを挟んで反対側(北側)の電柱Nにも同数ぐらい集まっていました(〜15羽?)。
塒となる南北2本の電柱N,Sは電線で結ばれています。

電柱Sに設置された柱上変圧器の横に数羽のハクセキレイが陣取りました。
もしかするとトランスの発熱で、寒い冬は特に暖かいのかもしれません。
ここは雪国ですから、厳冬期も塒として利用しているのならサーモグラフィカメラで撮影したら面白そうです。
インターネットで検索すると、スズメの群れがトランスに塒入りしている例があるらしく、暖かいからかもという推察がなされていました。

かなり暗くなっても、外灯のおかげでしばらくは通常のカメラでも撮影可能です。
さすがに画質も粗くなってきたので、電柱Sに少し近づいて撮影してみました。
光量不足のため、遠い被写体をズームしようとするときつくなります。
ハクセキレイの鳴き声がなくなり、辺りを飛び回る個体も減りました。
どうやら就塒完了したようです。

静まり返った電柱の真下から見上げると、いつの間にか空は真っ暗になっていました。
それにしても、こんな交通量の多い(騒々しい)街中に野鳥の集団塒があるとは意外です。
電柱や電線に設置された白い碍子がハクセキレイにとって保護色になっているかもしれません。
塒となった電柱Sの真下の路上は鳥の糞でひどく汚れていました。
電柱Sがメインの塒のようで、電柱Nには少数しか残っていませんでした。
塒となった2本の電柱を結ぶ電線にハクセキレイは居なくなりました。

落葉した丸裸のケヤキ並木には就塒しませんでした。

最後は赤外線の暗視カメラでも撮ってみました。
高所のため赤外線投光機の光も充分に届かず、寝静まったハクセキレイのシルエットが辛うじて映るだけでした。

ちなみに、この日の日の入り時刻は午後18:21。
日没と同時に満月(月齢14.7)が東の空に登りました。
満を持して照度計を持参したのですが、動画撮影と計測を同時にこなすのは難しかったです。
午後18:41の測定で気温16.0℃、湿度62%、照度3ルクス。
5分後の18:46の測定で照度は計測限界の1ルクスになり、それ以降は0ルクスでした。
肉眼では問題なく見えるので、いつもヒトの暗視性能には我ながら感心します。

ハクセキレイの集団塒について書かれた名著(バイブル)『ネオン街に眠る鳥たち:夜鳥生態学入門』で勉強したポイントを抜粋します。

私が見つけた集団塒は、この本に紹介されていたほど大規模ではありませんでした。
したがって、単純な比較はできないかもしれません。
・互いに嘴が触れない程度の個体間距離を保ちながら、整然と並んでいる。

・この工場へ塒入りするハクセキレイの生息範囲は(中略)、半径十キロぐらいの広範囲となりそうだ。(p42-43)

・適当な場所のない個体は、眠りにつくどころではない。飛び立っては場所を変え、すでに止まっている個体の前でホバリングして割り込もうとすることもある。(p44)

・街路樹を利用する場合、その樹種は常緑樹のことが多いが、なかには(中略)落葉したイチョウの枝に丸見えの状態で夜を過ごすこともある。ハクセキレイが塒に利用している街路樹は、駅前や繁華街といった人通りの多い場所が大部分であった。(p46)

・ハクセキレイの集団塒を見ると、以前は橋桁など人目にふれない人工物を利用することが多かったが、最近の傾向としては、繁華街の街路樹やビルの壁面(看板や広告塔など)を利用する場合が増えてきた。(p47)

・スズメやカラス、ハクセキレイのように繁殖期以外には巨大な集団塒を形成する鳥でも、繁殖に参加する個体は、繁殖地周辺にとどまって番や単独で塒をとる場合もあることが知られている。(中略)同じ種の鳥が、ときと場合によって単独で寝たり、集団塒に参加したりするということは、一義的に集団塒だけが有利であるとか、種の生存にとって単独塒が決定的に不利であるわけではないことを物語っている。(p203より)

・密集した集団塒では、塒の中の低い位置の止まり場は、上部に止まっている個体の糞を浴びやすいことになる。集団塒の内部は質的に均一ではなく、個体間の優劣によって、塒の中での止まる場所が異なってくるであろう。(中略)糞による羽毛の汚染が防水性を低下させ、体温の保持を困難にした。(中略)塒の下方の個体が糞で汚れ、羽毛の防水性ひいては保温力の低下が起こる。(同書p200より)



つづく→#2:電柱の集団塒で寝静まる深夜のハクセキレイ【野鳥:暗視映像】




【追記】
日本野鳥の会『セキレイのなかまたち(みる野鳥記)』p39(ハクセキレイはどこで眠るの?)によると、

最近では、都心の大きな道路沿いのイチョウなどの街路樹にねぐらを作る例が、たびたび報告されるようになりました。
このようなねぐらのそばも、車が大きな音をたててたえず走っています。
あたりがうす暗くなると、セキレイたちがパラパラと集まってきます。
その数は多いときで100羽を超えます。
鳥たちは、すぐねぐらの木には入らないで、しばらく近くのビルの屋上にとまってざわざわしています。
ところがあるとき、いっせいにねぐらの木に入るのです。
セキレイどうし、合図するのかもしれませんが、わたしたちにはわかりません。
ねぐらにした街路樹のイチョウは、もう葉を落として枝だけになっています。
そこにたくさんの鳥がとまっているので、近くの高層ビルからの明かりでは、また木に葉が茂ったように見えました。


ただし雪国にある私のフィールドでは、落葉した街路樹に塒入りしたハクセキレイを未だ一例も観察していません。 
秋から冬にかけての集団塒がどこにあるのかも私は突き止められていません。
また、この本の挿絵では、キセキレイとハクセキレイの混群が落葉したイチョウで寝ているイラストが見開きで描かれていました。
混群について本文に記載が無いのですが、混群のイラストを描いたのは画家の勇み足では?(昼間の生息地もやや違いますし)


18:33 pm
18:36 pm
18:41 pm
18:43 pm

春の刈田で採食するキジ♂(野鳥):母衣打ち♪と飛翔



2016年5月上旬

雪が解けても未だ耕されていない田んぼの遠くからキジ♂(Phasianus versicolor)が縄張りを宣言するケーン、ケーン♪という勇ましい鳴き声が聞こえてきたので姿を探すと、見つけることが出来ました。
「キジも鳴かずば撮られまい。」

※ さえずり(囀り)に分類されるらしい。

刈田をこちらに向かって歩きながら地面を啄んでいます。
突然、小走りで畦道に登ると見晴らしの良いお立ち台で勇ましく縄張り宣言と母衣打ち♪を披露してくれました。
隣の休耕田に降りたキジ♂は、歩きながらの採食を開始。

途中から私も少しだけ接近してから続きを撮りました。
キジ♂は私には構わず、こちらにどんどん向かって来ます。
小走りに畦道を乗り越えると、遂に助走をつけて飛び立ちました。
流し撮りしながら追うと、キジ♂は隣接する湿地帯の茂みに姿を消しました。
このとき周囲の畦道や農道を散歩する4、5人がキジを包囲して追い詰めるようなかっこうになったので、さすがにキジ♂も警戒して逃げたのでしょう。

※ 夕方(午後17:41〜17:44)に撮った薄暗いもやっとした映像に動画編集時に自動色調補正を施して彩度と明るさを上げています。


斑紋の異なるナミテントウ♀♂の交尾



2016年5月上旬

柳の枝先で斑紋タイプの違うナミテントウHarmonia axyridis)の♀♂ペアが交尾していました。
黒色二紋型の♀と紅色型十九紋型の♂です。
ナミテントウの斑紋はメンデルの法則に従うことが知られています。
今回の組み合わせでかけ合わせると、次世代はどんな斑紋になるのでしょうね?

参考サイト:ナミテントウの斑紋の遺伝実験についてナミテントウの斑紋について
側面から接写してみて交尾器の結合を確認できました。
枝に静止した♀は身繕いしています。
♂を背負ったまま♀が徘徊移動を始めました。

接写の大敵である風が吹いて枝が揺れ、虫撮り泣かせでした。




【追記】
七尾純『テントウムシ (カラー自然シリーズ 7)によれば、
テントウムシのはでな紋様は、仲間への合図というよりは、食べるとにがい虫だということを、敵に知らせる役目をしているようです。葉の上で、まるでちがう紋様の黒い♂と黄色い♀の同じナミテントウが、まちがえずに交尾できるのは、仲間をにおいで見分けたからです。



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