2021/11/27

下藪で活動するヤブサメ?(野鳥)

 

2021年8月下旬・午後15:30頃・晴れ 

低山の尾根道の横に広がる灌木の藪に地味な鳥が隠れていました。 
明瞭な白い眉斑があるのでウグイスは除外できます。 
ヤブサメUrosphena squameiceps)かムシクイ類だと思うのですが、尾羽の長さをしっかり見せてくれません。 
謎の鳥は下藪をピョンピョン跳び回りつつも、全く鳴かずに黙っています。
風で茂みがざわざわと揺れる音でかき消されそうですけど、周囲で聞こえる鳴き声は、ヤブサメではなくチッチゼミ♂のものです。
(ヤブサメは)白く明瞭な眉斑、短い尾で、ウグイスやムシクイ類と区別できる。ムシクイ類とは棲息場所も違い、ムシクイ類が林の中層から上層で生活するのに対し、ヤブサメは下層で生活している。山渓カラー名鑑『日本の野鳥』p454より引用)
現場近くで早春の時期にヤブサメ♂の鳴き声を聞いているので、今回見つけた鳥もヤブサメではないかと思います。
関連記事(4ヶ月前の撮影@)▶ 春の山で虫のようにさえずる♪ヤブサメ♂(野鳥)鳴き声の声紋解析

ハッカに訪花する労働寄生ハナバチ:ハラアカヤドリハキリバチとトガリハナバチ♀

 

2021年8月下旬・午後13:20頃・晴れ 

山腹の林道沿いに咲いた、おそらくニホンハッカと思われる花にハラアカヤドリハキリバチ(旧名ハラアカハキリバチヤドリ)Euaspis basalis)が吸蜜に訪れていました。 
それと入れ替わるように、一瞬だけトガリハナバチの一種♀(Coelioxys sp.)も飛来しました。 
こちらはハッカの花には着陸せず、すぐに飛び去りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

偶然だと思いますが、共に労働寄生種のハナバチなのが興味深く思いました。 
労働寄生種が見られるということは、比較的自然度が高く保たれている環境ということなので、嬉しくなります。 
(ちなみに、この日は社会寄生種のチャイロスズメバチ♀も近くで見かけました。) 

撮影後に花の名前を知るために花や葉の付き方などをしっかり調べたかったのですが、現場は多数のキイロスズメバチ♀がひっきり無しに飛び回る巣の眼の前にあり、私は怖くて近寄れませんでした。

2021/11/26

ヨコジマオオハリバエ♀♂の交尾未遂?

 

2021年8月中旬・午後15:50頃・くもり

 道端の雑草が生い茂った休耕地に咲いたヒメジョオンヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)が訪花していました。 
動画に撮り始めた途端に、別の昆虫が高速で飛来し、背後から飛びかかりました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしても、電光石火の出来事で何が起きているのかよく分かりません。 
襲われる直前にセスジハリバエは気づいてヒメジョオンの花から飛び立とうとしていました。 
しかし逃げるのが間に合わず、空中でぶつかった2匹はもんどりうって花から転がり落ちました。 
ハエ類を狩る狩蜂なのかと初めは思ったのですが、おそらく同種のハエが求愛したのではないかと思います。 
蜜源植物の占有行動(縄張り争い)とは考えにくいでしょう。 
ヨコジマオオハリバエは鱗翅目の幼虫に寄生するらしいのですが、それに寄生する別種のハエがいるとしたら面白い話です。

その後、別れたヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)のうち1匹が近くに自生するアカジソ(赤紫蘇)の葉に止まりました。 
両手両足を擦り合わせ、顔も前脚で拭って念入りに身繕いしています。 
前足に付着していたキク科植物の種子の冠毛(白い綿毛)を払い落としました。 
化粧が済むと飛び立ち、近くに咲いた別のヒメジョオン群落に向かったようですが、見失いました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

 

イチジクの熟果に仲良く群がるオオスズメバチ♀とシロテンハナムグリ

 

2021年8月下旬・午後13:40頃・くもり時々小雨 

民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)で果実が熟すと、オオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀が何匹も集まっていました。 
  シロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea) 
よく熟したイチジクは見るからに甘くて美味しそうです。 
オオスズメバチ♀は熟果の果肉を大顎でザクザクと噛み切りますが、固形物を飲み込めないので、果汁を啜っているだけです。 
その証拠に、オオスズメバチは果肉を噛み切って団子状にしたものの、絞りカスはすぐに捨ててしまいました。
スズメバチは獲物を狩ると肉団子にして幼虫の餌にしますが、団子にしたイチジク果肉を巣に持ち帰ることはありません。 

オオスズメバチ♀同士が熟果で出会っても喧嘩せず、軽く口づけを交わしました(栄養交換)。 
おそらく同じコロニー出身なのでしょう。 
今回他の種類のスズメバチを全く見かけなかったのは、おそらく最強のオオスズメバチが追い払って独り占めしたのでしょう。(占有行動) 
ところが、同じ熟果に複数のオオスズメバチとシロテンハナムグリが群がって食餌している光景があちこちの枝で見られました。 
喧嘩もせずに仲良く(平和に)食餌しているというか、互いに無視しています。 
オオスズメバチ♀はシロテンハナムグリの背中に覆いかぶさりながら食事を続け、甲虫を追い払うことはありませんでした。 
樹液酒場などの餌場で占有行動する傾向が強いとされるオオスズメバチがシロテンハナムグリに対して寛容だったのは、餌が十分豊富にあるためか、あるいは甲虫が丈夫な鎧に守られているためか、どちらでしょう? 

他の来客としては、クロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀とキンバエLucilia caesar)の仲間もイチジク熟果を訪れていました。 
下に掲載した最初の写真で、イチジク熟果を時計盤と見立てた時に2時の方角に位置する謎の昆虫が気になります。(動画@1:14〜1:32) 
脚が長く、腹部が白く膨満しています。 
おそらくカメムシの仲間ではないかと思ったのですが、背側からしっかり撮ることが出来ませんでした。 
それとも伸縮する口吻の形状からハエとかシリアゲムシの仲間ですかね?

2021/11/25

トノサマガエルの死骸を屋根の上に運んで食べるハシボソガラス(野鳥)

 

2021年8月下旬・午後14:25頃・晴れ

郊外の住宅地で民家の屋根に2羽のハシボソガラスCorvus corone)が飛び乗りました。 
左側の個体Lは体つきが華奢なので、おそらく幼鳥のようです。 
そのカラスLが干からびたカエルの死骸を持ち運んでいました。 
道で車に轢かれたロードキルや周囲の田んぼから死骸を拾ってきたのでしょう。 
カエル死骸の頭部が千切られたように欠損しているのは、カラスが啄んだ後なのかな? 
大きさからおそらくトノサマガエルPelophylax nigromaculatus)と思われます。 
逆光のせいか、トノサマガエルにしては死骸が赤っぽく見えます。 

私がカメラを向けているのを嫌い、ハシボソガラスLは獲物を咥えたまま左へ飛び去りました。 
屋根に残った個体Rは小さな肉片を摘み上げて、逆の右へ飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
撮影中、2羽とも全く鳴きませんでした。

草むらの奥にある巣に出入りするキイロスズメバチ♀の群れ【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午後13:15頃・晴れ 

里山の斜面の茂みの中から多数のスズメバチが高速で出入りしていました。 
クズのマント群落やシダ植物などが辺りに繁茂しています。 
山腹の藪の奥にスズメバチの巣盤らしき構造物が見えているのに、撮影中は気づきませんでした。 
(明るい日差しの下ではカメラのバックモニターが見えにくいのです。)
巣は地上の意外と低い位置にあるようです。 

飛び回るスズメバチの動きがあまりにも速いので、初めは種類が見分けられませんでした。 
怖いのは地中営巣性のオオスズメバチです。 
こういうときはスーパースロー映像の出番です。 
飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:00〜) 
すると蜂の正体はキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀と判明しました。 

私の知る限り、キイロスズメバチは樹上に営巣するはずなので、地上の低い位置の草むらに営巣している例は珍しく思いました。 
スズメバチ専用の防護服を着ないとこれ以上は危険で近づけませんが、低木が藪に隠されているのかもしれません。 

スーパースローにしても帰巣する外役ワーカー♀の飛翔速度が速過ぎて、巣材や肉団子を搬入しているのかどうか、よく分かりませんでした。 
ほとんどが帰巣する個体で、出巣する個体は1匹しか撮れませんでした。 

キイロスズメバチの巣の直下にたまたま蝶が飛来しました。 
ミドリヒョウモンArgynnis paphia)とダイミョウセセリDaimio tethys)のようです。 
しかし、忙しく飛び回るキイロスズメバチ♀は蝶を狩ったり追い払ったりすることはありませんでした。 
その一方で私に対しては明らかに警戒してきました。 
蜂が飛ぶコースを塞ぐように巣の正面に突っ立って動画を撮っていると、キイロスズメバチ♀は次第に私を警戒するようになり、停飛(ホバリング)しながら私の体にまとわりつくようになりました。 
飛びながら大顎をカチカチ♪と鳴らす警告音は聞こえなかったものの、身の危険を感じた私は静かに後退し、難を逃れました。 
後半は蜂の飛行ルートから少し離れて、横から撮影するようにしました。
次回からは白っぽい服装で観察すべきです。 
今回は黒っぽいマスクを顔にかけていたのが良くなかったのかもしれません。
スズメバチ専用の防護服をレンタルしようかと検討すると、往復送料込みで1万円弱でした。 
蜂を駆除しないで観察するだけという酔狂な目的にしては値が張ります。 
防護服無しでどこまでスズメバチの生態に迫れるか、無理のない範囲で挑戦を続けます。 

高見澤今朝雄『日本の真社会性ハチ 全種・全亜種生態図鑑』を紐解いてキイロスズメバチの巣について調べると、
・成熟期では巣に近づいただけで攻撃してくることがある。 
初期の巣は石垣の中、樹洞、土中などの遮蔽空間に造られ、巣盤数2〜3段で働きバチの数が百匹前後に達すると軒下や崖などの解放空間へ巣の引っ越しを行なう。(p94より引用)
したがって、今回見つけたのはおそらく春に創設女王が目立たない場所に作った母巣(一次巣)であり、これからコロニーが二次巣へと引っ越すのではないかと予想しました。 
この巣は山中でも少し目立つ場所にあるため、いずれ駆除されてしまう可能性が高そうです。


2021/11/24

尺取虫(蛾)の植物擬態がバレたら…

 

 2021年8月下旬・午前10:05頃・晴れ
前回の記事:▶ クマイチゴの葉を食べる尺取虫(蛾)【名前を教えて】

クマイチゴの葉を食害していた尺取虫(シャクガ科の幼虫)が急に立ち上がりました。 
何事かと思えば、コアシナガバチPolistes snelleni)のワーカー♀が獲物を求めて隣の葉を徘徊していました。 
緑色の尺取虫は葉縁に腹脚だけで直立し、全身をピンと真っ直ぐに伸ばしています。 
どうやら葉柄や小枝、蔓など周囲の植物に擬態しているようです。 
風でブラブラ揺れているのもまたリアルですね。 
見事な擬態が奏功し、天敵のコアシナガバチ♀は尺取虫の存在には気づかずに飛び去りました。 

危機が去るとシャクトリムシは直ちに警戒を解くと尺取り運動で移動し、隣の葉の下に隠れました。 
私が茂みを掻き分けて探すと、尺取虫は再び葉縁でまっすぐ伸びて静止していました。 
近くを通りかかったアリ(種名不詳)も、尺取虫には気づいてないようです。 
ただし、アリは視覚で獲物を探す生き物ではないので、触角で触れない限り尺取虫に気づかないでしょうし、擬態は通用しないはずです。

擬態を見破った私が尺取虫の頭部に指で触れると嫌がり、上半身をムチのように激しく振って抵抗(威嚇)しました。 
つまり擬死状態とは違うようです。 
それでも私がしつこく触れると、尺取虫は弾けるように葉縁から落ちて逃げのびました。 
植物擬態だけでなく、二段構え、三段構えで天敵に備えていることが分かりました。
尺取虫の緊急避難を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
飼育するために採集しようかと考えていたのに、草むらで見失ってしまいました。

獲物を運搬中に落としてしまったクモバチ♀

 

2021年8月下旬・午後12:15頃・くもり 

田園地帯の農道(砂利道)で小型の黒い蜂が獲物のクモを後ろ向きに引きずったり低空で飛んだりして巣に向かって運んでいました。 
クモバチ科の一種♀を見つけたのは久しぶりです。 
私がカメラでしっかりズームインする前に蜂を草むらで見失ってしまいました。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。(@0:44〜) 
近づく私を警戒したのか、クモバチ♀は獲物を砂利道に捨て、慌てたように飛び去っていました。 
それとも重い獲物を途中で隠し(一時保管)、行き先の巣穴を探索しに行ったのかな? 

落とし物の茶色いクモは蜂に毒針を刺されて全身麻痺しています。 
獲物がハエトリグモ科なら蜂の種類はヒメクモバチ♀だろうと推理できますが、違う種類のクモ(コモリグモ科??)のようです。 
獲物だけでも採集して、しっかり同定すべきでした。 

逃げたクモバチ♀は少し離れた砂利の上で身繕いしてからどこかに飛び去りました。 
化粧シーンも1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:32〜) 
しばらく待てば、蜂は落とし物を取り戻しに来たでしょうか? 
先を急ぐ用事のあった私は待てませんでした。

2021/11/23

休耕田で餌を捕食するダイサギ(野鳥)

 

2021年8月下旬・午後16:50頃・晴れ 

広大な田園地帯に囲まれた休耕田で1羽の白鷺が採餌活動していました。 
ダイサギArdea alba)です。 
少し遠くて分かりづらいのですが、用水路沿いの草むらをゆっくり歩き、獲物を捕食しているようです。 
私の知る限り、ダイサギが稲穂やイネの葉を食害することはありません。 
水田の害虫を捕食してくれるのなら米農家は益鳥と歓迎してくれるでしょう。 
逆に、今回ダイサギがお行儀よく水田に侵入しなかったということは、農薬散布やモノカルチャー(単一栽培)の影響で水田には虫や小動物の数が隣接する休耕地よりも少ないということを物語っているのかもしれません。 
夏のこの時期は未だ田んぼに鳥よけグッズ類は設置されていませんでした。

ダイサギは休耕田の草むらを長い足でゆっくり歩きながら、次々に獲物を捕食しています。 
残念ながら、遠くてメニューは不明です。 
バッタなどの昆虫なのか、それともカエルや小魚(ドジョウ?)なのか、私には見分けられませんでした。
望遠レンズを取り出して装着するのが億劫で、横着してしまいました。
 

モリズミウマ♂?の跳躍【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午後15:50頃・晴れ 

里山で砂利が敷かれた山道を下山中にカマドウマの仲間を見つけました(標高約540m地点)。
草が疎らに生えた砂利道を徘徊しています。 
産卵管が無いので♂ですね。 
カマドウマ類は成虫になっても翅が無く、移動手段は専らジャンプするだけです。 
(モリズミウマは)前胸には強い光沢がある点で一見コノシタウマに似ているが、後肢脛節の背面に並ぶ刺はすべてほぼ同じ大きさであることが区別点。(中略)山地の林床に普通。(p56より引用)
(コノシタウマは)胸部には強い光沢があり、一見モリズミウマに似ている。後脛節の背面の棘列は、4〜5本の短い棘列と1本の長い刺の繰り返しのパターンとなるのが特徴。(中略)冷涼な落葉広葉樹林の林床にすむ。(同書p61より引用)
しっかり同定するために採集すべきでしたが、疲れていた私は追いかけて捕獲する余力がありませんでした。  
関連記事(10年前の撮影)▶ コノシタウマ♂の雪面徘徊
スナップショットの後脚部分を拡大してみると、どうやら今回の個体はモリズミウマDiestrammena tsushimensis)のようです。 

長い触角で辺りを探っています。 
私が指で軽く触れようとすると、右に跳んで逃げました。 
跳躍シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
私が手前の草をうっかり弾いてしまい、それに驚いて逃げたことが分かりました。 
モリズミウマ♂をしつこく追いかけると、今度は近づいただけで前方へ跳んで逃げました。 
最後にモリズミウマ♂のジャンプを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:41〜) 
フェイントをかけるようにビクッと横に身をすくめてから横っ跳びに逃げました。

2021/11/22

タヌキの溜め糞を舐めるオオマダラヒロクチバエ

 

2021年8月下旬・午後15:00頃・晴れ 

里山の尾根道にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場cに来る昆虫を観察しています。 
常連客のキンバエ類に混じって見慣れないハエが口吻を伸ばして獣糞の表面を頻りに舐めていました。 
溜め糞の中でも新鮮な軟便または泥状になった部分が好みのようです。 

翅に独特の斑紋があり、腿節が黄褐色でした。 
調べてみると、どうやらヒロクチバエ科のオオマダラヒロクチバエEuprosopia grahami)という種類のようです。 
食性は、成虫が樹液、腐果、獣糞。 
幼虫はコガネムシ類の幼虫を捕食するらしい。
(参考ブログ「KONASUKEの部屋」:オオマダラヒロクチバエ20200905) 
この情報を信じるならば、オオマダラヒロクチバエ♀は獣糞に産卵するのではなく、地中のコガネムシ幼虫に寄生産卵することになります。 (どうやって調べたのでしょう?)
にわかには信じ難いので、おそらく詳しく調べられていないのではないか(情報不足)という気がします。 
もしこれが、センチコガネなど糞虫の幼虫を捕食するというのなら、私も納得します。

溜め糞上でメタリック・グリーンに輝くキンバエが近づいても互いに無関心でした。 
採寸してませんが、体格を比べると、キンバエ>オオマダラヒロクチバエ。



キアゲハ幼虫は触られた側の臭角を長く伸ばす?

 

2021年8月下旬・午前7:30および午後12:35頃・晴れ 

山麓の道端の草むらでキアゲハPapilio machaon hippocrates)の幼虫を見つけました。 
模様が黒っぽい個体です。
食草(セリ科植物)の葉柄?に乗ってじっと静止しているだけでした。 
この植物はオオハナウドかな?と思ったのですが、蕾が咲きかけで花も葉も見れず、しっかり同定できませんでした。 
昼間に目立つ葉表で堂々としていて、天敵(捕食者や寄生者)が怖くないのでしょうか? 
キアゲハ幼虫の体表に私が触れる度に、上半身を仰け反らせながらオレンジ色の臭角をニョキっと伸ばしました。 
フォーク状に突出した臭角から独特の異臭を放ち、威嚇しています。 
しばらくすると海老反り姿勢から戻り、臭角も引っ込みます。
関連記事(8年前の撮影:飼育個体)▶ 臭角を伸ばすキアゲハ終齢幼虫
面白がって繰り返していると、面白いことに気づきました。 
伸びた臭角の長さが左右非対称なのです。 
軽度の奇形なのかと思いきや、触られた側の臭角が長く伸びることが判明しました。 
幼虫の右側面に触れると右の臭角が長く伸び、左側に触れると左の臭角が長く伸びるのです。 
正中線(背中の真ん中)に触れたら臭角は左右対称に伸びたかな?
体の左右に同時に触れたら、臭角はどう伸びるでしょうか?
(臭角の)内部は体液で満たされており、それの圧力増減によって臭角を出し入れすることができる。(wikipediaより引用)
お祭りの縁日でよく売っている玩具の笛の「吹き戻し(ピロピロ笛)」と同じ原理です。 
体性感覚(触覚)と臭角がリンクしていて、フォーク状の臭角のつけ根の部分(分岐点)には左右への体液分配をコントロールする弁のような仕組みがあることになります。
幼虫は少数の単眼をもつだけで目がほとんど見えませんから、視覚ではなく触覚で敵の位置を察知しているのでしょう。
そんな複雑な機構を想定しなくても、幼虫が触られた側に体を曲げたことで内圧に左右差が生じ、受動的に臭角の伸展も左右非対称になるのかもしれません。

5時間後、帰り道に現場を再訪しました。 
おそらく同一個体のキアゲハ幼虫が少し移動して蕾の上に乗っていました。 
何度も実験を繰り返すと、同じ結果が再現されました。 
しつこく繰り返すと接触刺激に馴れて反応が鈍くなります。
他の個体でも同じなのか、更に追試して確かめる必要があります。 
とりあえず、8年前の飼育個体で試してみた実験映像を見直してみましょう。
当時は気づかなかったのですが、やはり刺激された同側の臭角が少し長く伸びていて、背中の中央(正中線)を触れられると左右均等に伸びていました。
ただし、私の利き手の問題でキアゲハ終齢幼虫の同じ側(左側)ばかり突いていました。


撮影中に狩蜂が飛び回っていました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、その正体はミカドトックリバチEumenes micado)でした。 
幼虫の背後で一瞬ホバリングしただけで、狩らずに飛び去りました。 
狩りの決定的瞬間が見れずに残念でした。 
狩蜂に襲われたら幼虫は臭角で応戦したはずです。 
ミカドトックリバチ♀が獲物として狩るイモムシ(蛾の幼虫)の種類には好みがあり、アゲハチョウ科の幼虫は狩りの対象外なのでしょう。 
(キアゲハ幼虫の臭角から発する匂いに強い忌避効果があり、ミカドトックリバチ♀が狩らなくなったという可能性も考えられます。)

【追記】
学研の写真図鑑『チョウ:くらしとかいかた』p27によると、
(アゲハチョウ類の)幼虫の出すくさい角は、人には通じてもアシナガバチなどにはききめがない。角にかまわず食べてしまう。
藤丸篤夫『アゲハチョウ観察事典』によれば、
 臭角は、敵から身を守るためのもので、とくにアシナガバチにたいしてきくといわれています。(中略)臭角があれば、かならずアシナガバチから身を守れるとはいえないようです。(p16より引用)

2021/11/21

夜の山道を飛び回るコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年8月下旬・午後22:34・気温14℃ 

里山の尾根道に設置したトレイルカメラ(無人センサーカメラ)に夜行性コウモリ(種名不詳)の飛翔シーンが写っていました。 
一瞬だけカメラの前を横切り、パタパタ♪と羽ばたき音が聞こえました。 
起動したトレイルカメラの電子部品が発する微弱な超音波に反応しているのでしょうか? 

バットディテクター(コウモリ探知機)とトレイルカメラを組み合わせて、コウモリが発する超音波の鳴き声も同時に記録できたら面白そうです。 
鳴き声の声紋でコウモリの種類を同定できる可能性があるからです。 
山の中を飛ぶコウモリは、街なかでよく見かけるアブラコウモリとは違う種類ではないかと期待できます。
バットディテクターがコウモリの超音波をヒトの可聴域に変換する方式は幾つかあるらしいのですが、その一つに「タイム・エキスパンション式」があります。
タイムエキスパンション式(Time Expansion:時間軸延長式) 録音(書き込み)した鳴き声データを録音時より 1/10 程度の遅いスピードで再生し、人が聴こえる音にする方式である。コウモリの鳴き声を加工(変換)しない方式で、コウモリの超音波がそのまま記録できる。コウモリの種は、記録した超音波をソナグラム化することで、判断する。wikipediaより引用)
試しに撮れた動画ファイルを1/10倍速のスローモーションでリプレイしてみたのですが、コウモリの羽ばたき以外の鳴き声は録音されていませんでした。 
スペクトログラムを描いてもコウモリの声紋は得られませんでした。 
なぜ駄目なのか素人に理屈は分かりませんが、やはり専用のバットディテクターが必要になるようです。 

実は3時間前にも飛来したコウモリがトレイルカメラの画面をチラッと横切っていました。 
あまりにも一瞬で、しかもコウモリの全身が写ってなかったので、その動画は割愛。 
トレイルカメラで何も撮れてない無駄な空打ち動画の多くは、コウモリが素早く横切って赤外線センサーを起動したと思われます。

今回のトレイルカメラは山道に残されたタヌキの溜め糞に狙いを定めています(画面中央)。
もし夜も溜め糞に夜行性の昆虫が群がり、その虫をコウモリが繰り返し捕食しに来たら面白いですね。
しかし、糞虫などは糞塊の下に潜って(隠れて)しまいますし、暗い夜はハエも飛びません。

新型コロナ・ウイルスのパンデミックの影響で、野生コウモリのフィールドワークが世界中で滞ることになりました。 
ウイルスの自然宿主がコウモリではないかと疑われているため、洞窟などのコロニーに入って調査するのも躊躇ってしまいます。 
ウイルスを防ぐ完全防護服が必要になりそうです。
バットディテクターのネット通販サイトも軒並み販売中止になっています。
(メーカーが倒産したのではないかと心配です。)
山中にトレイルカメラを仕掛けると、夜行性コウモリの活動も撮れることが分かりました。 
フィールドに無人カメラを仕掛けるだけなら感染の心配は無いでしょう。 

ミソハギの花蜜を吸うキタキチョウ【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午後12:20頃・くもり 

農村部の道端に咲いたミソハギの灌木にキタキチョウEurema mandarina)が訪花していました。 
翅をしっかり閉じたまま赤紫の花から吸蜜しています。 
なぜか白飛びしてしまい、翅裏の斑紋がよく見えません…。 
翅裏の本当の地色は薄く淡いレモン色です。 
そこにソバカスのような黒い点々の斑紋があるはずなのです。

キタキチョウがミソハギの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:20〜) 

ちなみに、遠くで何度も鳴り響く発砲音♪は、里の農地から野生ニホンザルの群れを山へ追い払うために脅かす空砲です。

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