ラベル 擬態 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 擬態 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023/08/03

クマイチゴの葉から飛び立つセスジスカシバ♀(蛾)

 

2022年9月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の急斜面をつづら折れで登る山道の傍らで、クマイチゴの葉表の縁にセスジスカシバ♀(Pennisetia fixseni fixseni)が乗っていました。 
 
触角の形状から♀と見分けられます。 
セスジスカシバ幼虫の食草はバラ科のキイチゴ類なので、♀が産卵していた可能性が高いです。 
横からではなく背側から撮ったので、残念ながら産卵姿勢かどうかはっきり見えませんでした。 
撮影後に葉をめくってみて、裏面に卵の有無をチェックすべきでしたね。 
実際に、セスジスカシバ♀が居た葉には虫に大きく食害された跡(食痕、虫食い跡)が残っていました。 
母親の立場になって考えると、虫食いの無いきれいな葉(餌資源として質の高い葉)に産卵した方が孵化してくる幼虫のためになる気がするのですけど、この♀個体は無頓着でした。

カメラを近づけたら警戒し、飛んで逃げました。 
かすかに聞こえる羽音も蜂のような重低音でした。
キイロスズメバチにそっくりなベーツ型擬態をした昼行性の蛾ですから、こんな虫が飛んで向かってきたら、多くのヒトは怯んでしまうはずです。
見た目(視覚)だけでなく羽音(聴覚)でもハチに似せているのは興味深いですね。 
翅の形態を似せれば、自ずと羽音も似てくるのでしょうか? 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

※ 羽音♪が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


関連記事(同時期の撮影)▶ 飛べ!セスジスカシバ♂(蛾) 

2023/07/03

アリに噛まれて飛び去るオオモモブトハナアブ♀

 

2022年9月上旬・午前11:55頃・くもり 

山道の横の苔むしたハリギリ(別名センノキ)大木の根元でホバリング(停空飛翔)する昆虫がいました。 
縄張りを張っていたのか、あるいは私の汗を舐めようと飛来したのか、分かりませんでした。 
てっきりマルハナバチかと思ったのですが、林道脇に露出した石の上に着陸したのでズームインしてみると、マルハナバチにベーツ擬態したオオモモブトハナアブ♀(Matsumyia jesoensis)でした。 
 「カオグロ」オオモモブトハナアブではありません。 
側面からは分かりにくいのですけど、左右の複眼は中央で接していないので♀と判明。 

石の上で微小なアリ(種名不詳)に右中脚の先端(跗節)を噛まれ、慌てて飛び去りました。 
微小なアリにしてみれば、ただでさえ視力が悪いのに巨大なアブの全身像は把握できませんから、蜂に擬態しているかどうかなんて預かり知らぬところです。
オオモモブトハナアブ♀を攻撃して追い払ったというよりも、噛み付いて獲物かどうか味見してみたのでしょう。
つまり、アリに対してベーツ型擬態は通用しません。

オオモモブトハナアブ♀は近くの幼木の葉に止まり直したものの、すぐにまた飛び立ちました。 
音量を上げるとオオモモブトハナアブ羽音♪がかすかに聞こえます。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:30〜) 

※ 羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。



2023/06/13

カバエダシャク♂(冬尺蛾)の見事な保護色がバレると…

 

2022年11月上旬・午後13:45頃・晴れ

里山の雑木林を飛び回っていた蛾が林床の落ち葉に着陸しました。 
イタヤカエデの黄色い落ち葉に乗っていた蛾にズームインすると、カバエダシャク♂(Colotois pennaria ussuriensis)でした。 
触角が羽毛状なので、この個体の性別は♂と見分けられます。 

晩秋で冬尺蛾のシーズンが始まりました。 
今期初見のカバエダシャクになります。 

褐色(茶色)の翅が落ち葉に対して見事な保護色になっている他、前翅の外縁に浅い鋸歯が入っているおかげで、隠蔽擬態となっています。 
(翅の外縁が直線状よりも、ゆるくギザギザが入っている方が翅の輪郭が分かりにくくなります。)
落ち葉の上で動かなければ、見つけ出すことはほぼ不可能でしょう。
目立たない姿が、その生物の色や模様によって達成されている場合、これを保護色と言い、姿形や行動によって行われる場合を擬態と言う。両者を兼ね備えている場合も当然ながらある。(wikipediaより引用)

イタヤカエデの落ち葉と一緒にそっと拾い上げても、カバエダシャク♂は飛んで逃げませんでした。 
しかし私が親指で翅に軽く触れた途端に、準備運動無しで飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 


▼関連記事(7、8年前の撮影) 





2023/04/18

ミゾソバに訪花吸蜜するウラナミシジミ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年10月中旬・午後14:25頃・晴れ 

河川敷を横切る水路(出水樋門の下流)に沿って咲いたミゾソバの群落でウラナミシジミ♂(Lampides boeticus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅を閉じて吸蜜すると翅裏の眼状紋が目立ちます。 
強い西日を浴びて白飛び気味になってしまいました。 

閉じた後翅を互いに擦り合わせ、尾状突起を偽の頭部の触角のように動かしています。(自己擬態行動) 
本物の触角は剛性があるようで下げたまま動かないのに、尾状突起は秋風にヒラヒラとなびいています。 

しばらくすると翅を半開きにしてくれたおかげで翅表がしっかり見え、♀と判明しました。 
翅が無傷の新鮮な(羽化直後の)個体です。 
風が止むのを待って日光浴するのでしょうか。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:50〜)

2022/10/04

トリアシショウマの花から花へ飛び回るヒメトラハナムグリ

 

2022年7月下旬・午後12:25頃・晴れ 

里山の細い林道を登っていると、道端に咲いたトリアシショウマの群落でヒメトラハナムグリLasiotrichius succinctus)が訪花していました。 
花粉や花蜜を食べに来たのでしょう。 
セマダラコガネAnomala orientalis)の左に居るのがヒメトラハナムグリです。 
マクロモードで接写しようとレンズをそっと近づけると、ヒメトラハナムグリはトリアシショウマの花穂から飛び立ち、離着陸を繰り返しています。 
外見が蜂に似ているベーツ擬態というだけでなく、羽音も蜂に似てブーン♪と軽快な羽音を立てて飛び回ります。 
すると先客のオオハナアブ♂が遠慮して逃げました。 
その間、セマダラコガネは後脚を高々と持ち上げて威嚇・牽制しています。 

飛び立ちおよび飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:40〜)、ヒメトラハナムグリは鞘翅を閉じたまま後翅を広げて羽ばたいていることが分かります。 
実際には鞘翅は半開きで建付けが悪く、飛翔中はガタついていました。 
脚を左右に大きく広げて飛んでいます。 
240-fpsのハイスピード動画でも飛翔シーンを撮ってみたかったのに、カメラの撮影モードを切り替えたらもう飛んでくれなくなりました…。 

※ 羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2021/12/29

シマヘビ幼蛇の死骸(ロードキル)

2021年10月上旬 

山麓の田園地帯で舗装された農道に蛇の轢死体(ロードキル)が腹を向けて転がっていました。 
アスファルトの上で日光浴していたところを車に轢かれたのでしょう。 
ひっくり返して見ると、シマヘビElaphe quadrivirgata)の幼蛇でした。 
幼蛇の時期は縦縞模様ではなく横縞で、毒蛇のニホンマムシと似ています。 
これはベーツ型擬態なのでしょうか。 
車の運転者がマムシと見間違えて、(危険な毒蛇を駆除するつもりで)故意に車に轢き殺されてしまったのだとしたら、逆効果ですね。
夕方だったせいか、屍肉食性の昆虫や分解者は何も来ていませんでした。
 
関連記事(2年前の撮影)▶ シマヘビ幼蛇の威嚇

2021/12/12

マルハナバチに擬態したカオグロオオモモブトハナアブ♀の化粧行動

 

2021年9月中旬・午後15:55頃・くもり 

雑木林に囲まれた細い山道の横でマルハナバチにそっくりなハナアブを見つけました。 
残念ながら顔を正面から拝めなかったのですが、どうやらカオグロオオモモブトハナアブMatsumyia nigrofacies)のようです。 
おそらくトラマルハナバチ♀(Bombus diversus diversus)にベイツ型擬態していると予想されます。 
葉の上に乗って念入りに身繕いしています。 
後脚で腹背や翅を擦る合間に、左右の後脚を擦り合わせています。 
前脚で顔を拭ったり、左右の前脚を互いに擦り合わせたりしています。 
このとき口吻で前脚を舐め湿らせていました。 

化粧が一段落して飛び立ったと思いきや、すぐにまた近くの草の葉(林床の下草)に止まり直しました。 
複眼の形状から♀と判明。

薄暗い林床で撮ったので、ピントが甘いです。

2021/12/11

ホツツジ訪花中のスズキハラボソツリアブ♀に交尾を挑む♂

 

2021年9月上旬・午前11:40頃・くもり

里山の尾根道に沿って咲いたホツツジの群落でスズキハラボソツリアブ♀(Systropus suzukii)が単独で訪花していました。 
腹部末端が太いので、おそらく♀だと思います。 
吸蜜中は花に足を掛けて羽ばたきを止めているので、ツリアブ類が得意とするホバリング吸蜜ではありません。 

腹端を少し上に持ち上げてから次の花へと飛び立ちます。 
そこへ別個体が飛来しました。 ほっそりした体型なので、おそらく♂でしょう。 
空中で♀に衝突したものの、すぐに別れました。 
ホツツジの花は比較的広範囲に咲いていたので、蜜源植物を巡る縄張り争いとは考えられません。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、どうやら♂が♀を捕獲し交尾を挑もうとして失敗したようです。 
♀による明確な交尾拒否行動があったのかどうか、よく分かりませんでした。 
おそらく、この♀は既に交尾済みだったのでしょう。 
次は♂の求愛が成就して交尾に至る過程を観察してみたいものです。 



ところで、大谷剛『昆虫―大きくなれない擬態者たち』という本によると、
(寄生蜂の)産卵管はたいてい寄主に対応してうまく産卵できるように特殊化しているので、人の皮膚を突き破るのはなかなか難しいのだ。例外はアメバチのグループ。つい最近刺されてみたが、結構痛かった。だから、アメバチに擬態しているアブが存在する。 
写真4-1:アメバチ類とその擬態者。ニトベハラボソツリアブ、スズキハラボソツリアブのモデルがオオアメバチ、マツケムシヤドリコンボウアメバチ (p62より引用)
この指摘は面白く、初耳でした。 
確かにマツケムシヤドリコンボウアメバチとスズキハラボソツリアブは見た目がそっくり似ています。
しかし、私は夜に灯火の下ぐらいでしかアメバチ類を見たことがありません。 
(私の目が届かない山林の樹上などに多いのかな?)
昼間にフィールドで見かける個体数は、モデルよりも擬態種ハラボソツリアブの方が圧倒的に多い印象です。
アメバチは寄生蜂ですから、個体数が少ないのは当然です。 
そのような状況でベーツ型擬態が成立するかどうか(進化できるかどうか)、私は疑問です。 
つまり、鳥などの捕食者が擬態モデルのアメバチに刺されて(痛い目に遭って)学習する機会が乏しいのではないでしょうか? 
虫好きの脳は偶然の空似でもすぐに擬態だと言いたがる癖があります。
したがって、願望(希望的観測)や「言ったもん勝ち」ではなく、客観的な実証が必要です。 
食虫性の野鳥は本当にハラボソツリアブ類を怖がって忌避するでしょうか? 
実験でデータを取ろうとすると難しいですね。
だから今まで誰もやってこなかったのでしょう。

2021/11/28

蜂に擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀?がタヌキ溜め糞の横で身繕い

 

2021年8月下旬・午後15:05頃・晴れ 

山道に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞を観察していると、辺りを黄色い昆虫が素早く飛び回りました。 
てっきりキイロスズメバチのワーカー♀がハエを狩るために飛来したのかと初めは思いました。
関連記事(8、9年前の撮影)▶ 
タヌキの溜め糞で停空飛翔するキイロスズメバチ♀ 
タヌキの溜め糞に集まるキイロスズメバチ♀
しかし、キイロスズメバチにしては黄色が鮮やか過ぎます。 
小径の横に生えたミズナラ幼木の葉に止まった昆虫をよく見ると、ベーツ擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀(Chrysotoxum sapporense)でした。
黄色と黒は勇気のしるし♪ 
葉に乗って身繕いしています。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
しかしすぐに近くの葉(樹種不明)に止まり直しました。 
思わせぶりにタヌキの溜め糞の近くに居続けるのは果たして偶然でしょうか? 
ハナアブなら獣糞の近くで油を売ってないで訪花するのが本分だと思うのですけど、近くに蜜源植物は見当たりませんでした。 
もしかして糞の上に産卵するのかと思ってその後もしばらく溜め糞の観察を続けたのですが、サッポロヒゲナガハナアブ♀が溜め糞の上に着陸することはありませんでした。
糞に集まる他のハエなどのライバル(先客)に遠慮しているのでしょうか?
 
関連記事(2、3年前の撮影)▶ 
蜂に擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀がニラを訪花 
アカザカズラの花蜜を舐めるサッポロヒゲナガハナアブ♀

2021/11/24

尺取虫(蛾)の植物擬態がバレたら…

 

 2021年8月下旬・午前10:05頃・晴れ
前回の記事:▶ クマイチゴの葉を食べる尺取虫(蛾)【名前を教えて】

クマイチゴの葉を食害していた尺取虫(シャクガ科の幼虫)が急に立ち上がりました。 
何事かと思えば、コアシナガバチPolistes snelleni)のワーカー♀が獲物を求めて隣の葉を徘徊していました。 
緑色の尺取虫は葉縁に腹脚だけで直立し、全身をピンと真っ直ぐに伸ばしています。 
どうやら葉柄や小枝、蔓など周囲の植物に擬態しているようです。 
風でブラブラ揺れているのもまたリアルですね。 
見事な擬態が奏功し、天敵のコアシナガバチ♀は尺取虫の存在には気づかずに飛び去りました。 

危機が去るとシャクトリムシは直ちに警戒を解くと尺取り運動で移動し、隣の葉の下に隠れました。 
私が茂みを掻き分けて探すと、尺取虫は再び葉縁でまっすぐ伸びて静止していました。 
近くを通りかかったアリ(種名不詳)も、尺取虫には気づいてないようです。 
ただし、アリは視覚で獲物を探す生き物ではないので、触角で触れない限り尺取虫に気づかないでしょうし、擬態は通用しないはずです。

擬態を見破った私が尺取虫の頭部に指で触れると嫌がり、上半身をムチのように激しく振って抵抗(威嚇)しました。 
つまり擬死状態とは違うようです。 
それでも私がしつこく触れると、尺取虫は弾けるように葉縁から落ちて逃げのびました。 
植物擬態だけでなく、二段構え、三段構えで天敵に備えていることが分かりました。
尺取虫の緊急避難を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
飼育するために採集しようかと考えていたのに、草むらで見失ってしまいました。

2021/10/11

路上で身繕いし落ち葉を舐めるアカウシアブ♂

 

2021年7月下旬・午前8:30頃・晴れ 

里山の峠道でアカウシアブ♂(Tabanus chrysurus)を発見。 
初めは日陰に居たのに、少し飛んで日向の路上に出て来ました。 
路上に散乱している紫色の落花はクズです。 
アカウシアブはスズメバチにそっくりなベーツ型擬態の好例で、出会う度に一瞬ドキッとします。 
交尾相手の♀をいち早く見つけるために♂の複眼は非常に発達していて、左右の複眼が頭頂で接しています。 
頭部のほぼ全体を占めるほど巨大な複眼です。 
♂は♀と違って吸血しませんから、刺される心配はありません。

炎天下で焼け付くように熱い舗装路を歩き回りながら、アカウシアブ♂は前脚の先を小刻みに上下させて路面に触れています。 
路面が耐え難いほど熱いのなら他の脚も同様にバタバタ動かして冷ますはずですが、前脚だけで路面を軽く叩いていました。 
前足の触覚で何か(餌?)を探索する行動なのでしょう。 

立ち止まると身繕いを始めました。 
左右の後脚を持ち上げて腹部を擦っています。 
クロアリのワーカー♀が近づいて来ると、アカウシアブ♂は嫌がって飛び立ちました。 
少し離れた路肩の白線上に着地したものの、すぐにまた飛びました。 

枯葉に覆われた日陰の路肩に移動すると、落ち葉の表面を舐めているようです。 
ミネラルを摂取しているのかな? 
立ち止まると黒くて太い口吻を前足で拭いました。  
関連記事(6年前の撮影)▶ 路上のアカウシアブ♀

2021/08/14

樹冠で鳴き真似♪するモズ♂(野鳥)

 

2016年6月中旬・午前5:55頃・晴れ 

池の近くで立ち枯れしたハンノキの梢に早朝からモズ♂(Lanius bucephalus)が止まっていました。 
どうも違う種類の鳥の鳴き真似をしてるようです。 
モデルとなった鳥の種類が私には分からず、動画をお蔵入りにしていました。 
どなたか聞き分けられる達人がいらっしゃいましたら教えて下さい。 

周囲のヨシ原ではオオヨシキリ♂(Acrocephalus orientalis)が大声で囀りさえずりの鳴き声を発していました。 
しかし、オオヨシキリの鳴き真似ではないようです。

▼関連記事:5年前の撮影@同一個体♂ :ハンノキで高鳴き♪するモズ♂(野鳥)

2021/08/01

電柱に止まって日光浴するアブ♂【名前を教えて】マルハナバチに擬態?

 

2021年5月下旬・午後17:10頃・晴れ 

ノボリフジ(ルピナス)の花が咲き乱れる大群落の横に立つコンクリート電柱の側面に見慣れないアブ(種名不詳)が止まっていました。 
ルピナスへの訪花シーンを期待したものの、ひたすら日光浴しているだけでした。 
蔦の葉に覆われた電柱のコンクリートが露出した面に静止して夕日を浴びています。 
飛び立つ瞬間をハイスピード動画で記録したかったのですが、失敗しました。 

このアブの名前をご存知の方がいらっしゃいましたら教えて下さい。 
大きく発達した左右の複眼が中央で接していることから、♂のようです。 
触角の根元は白いです。 
過去に出会った虫の中ではチャイロオオイシアブと似てるかな?と思って調べ直すと、どうも違うようです。 
トラマルハナバチにベーツ擬態しているのですかね? 
『札幌の昆虫』という図鑑には「マルハナバチに擬態したハナアブ類」をまとめたページがあるのですけど、これと似た種類は載っていませんでした。

2021/06/30

ノスリの鳴き真似♪をするカケス(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後16:35頃・晴れ 

カケスGarrulus glandarius)が山麓の果樹園の方からゆっくりとした奇妙な飛び方で飛来しました。 
てっきり求愛ディスプレイのための特殊の飛び方なのかと思ったのですが、飛翔シーンを動画に撮り損ねたのは残念です。 
『フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』でカケスを調べると「飛翔はふわふわと直線的。」と書いてあったので、これが普通の飛び方なのかもしれません。 

落葉樹(おそらく樹種はオニグルミ?)の枝に止まったカケスが甲高くピーエ♪と鳴いたので驚きました。(@0:07〜0:09) 
カケスの鳴き声と言えばジェージェー♪という濁声ですが、他種の鳥の鳴き真似をすることも知られています。 
今回はおそらくノスリButeo japonicus)の鳴き真似だと思います。 
嘴の動きと鳴き声が同期したので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。 
三重県総合博物館のホームページによると
カケスはしゃがれた声で「ジャー」とか「ジェーイ」と鳴きます。カケスの英語名の「Jay」は、鳴き声そのものです。また、他の鳥や動物の鳴き声を真似することが得意で、ノスリやサシバなどの鳥や、ネコの鳴き声、さらには「おーい」という人の声なども真似たりします。
後ろを向いていたのに下からカメラを向けている私に気づいたようで、二声しか鳴いてくれませんでした。 
近くの針葉樹の高木(カラマツ?)の茂みに逃げ込んだカケスを私は見失ってしまいました。 (撮影はここまで。) 
最後はジェージェー♪と警戒声を発して飛び去りました。 

カケスの鳴き真似を実際に観察できたのは初めてで、とても嬉しい収穫でした。 
声紋解析してみたいのですが、近くを流れる用水路の水音がピンクノイズとなり、きれいな声紋が得られませんでした。 

動画ではホオジロ♂?(自信なし)の囀りさえずりも聞こえますけど、カケスとリップシンクロしないので、これは近くで本当にホオジロ♂?が鳴いているのでしょう。 
今回のカケスは鳴き真似をしたことで周囲に「嘘をついた」ことになります。 
他の小鳥が怖がって縄張りに近寄らない効果がありそうだ、と思いつきました。(虎の威を借る狐) 
しかし大型の猛禽であるノスリは小鳥を狩るのは得意でないので、ノスリの鳴き声を聞いた小鳥が果たして本当に怖がるかどうか疑問です。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

 
比較のために、ノスリが実際にピーェ、ピーェ♪と繰り返し鳴いている動画を載せておきます。 
このとき周囲の小鳥(オオヨシキリなど)は囀りを止めたりパニックになって逃げ出したりすることはありませんでした。


【追記】
ピッキオ『鳥のおもしろ私生活:森の野鳥観察図鑑』でカケスを調べると、
まねた相手がいなくなってからも、その声を自分の鳴き声のレパートリーとしてもち続ける。(p66より引用)


2021/06/27

ツバメとカワラヒワの鳴き真似♪をするモズ♂(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後15:40頃・晴れ 

田畑に灌漑する用水路沿いの落葉灌木(おそらくオニグルミ)にモズ♂(Lanius bucephalus)が止まって尾羽を上下に振り立てながら賑やかに鳴いていました。 
しかしよく耳を澄ますと、モズらしくない奇妙な鳴き声です。 
 ※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

撮影中はヒバリの囀りを真似しているのかと思ったのですが、動画で何度も聞き直すとカワラヒワ♂(Carduelis sinica)の鳴き真似でしょう。 
前半はツバメHirundo rustica)の鳴き真似と思われます。 
もしかするとムクドリの鳴き真似も混じっていますかね? 
絶対音感の無い私は鳥の鳴き声の聞きなしも苦手なので、間違いなどありましたらコメントお願いします。 

このとき、鳴き真似のモデルとなった種類の鳥はモズ♂の周囲におらず、反応を見れなかったのは残念です。
 
【追記】
大庭照代『鳴き真似の世界:鳥類の音響擬態』という総説を読むと、
 残念だが日本では私の知っている限り、またモズを丁寧に観察する人々の間でも、モデルの鳥がモズの鳴き真似に誘い出される様子は観察されていない。 (『擬態―だましあいの進化論〈2〉脊椎動物の擬態・化学擬態』p109より引用)

私が想像するに、♀に対する求愛歌(囀り)として鳴き真似のレパートリーを誇示するように熱唱していたと思うのですが、実際に近くでモズ♀が聞いていたのかどうか不明です。  
鳴き真似中のモズ♂は腹話術のように嘴をしっかり閉じているので、ほとんどリップシンクロしていません。(嘴の動きと鳴き声がほとんど一致しない。) 
百舌鳥はその名の通り鳴き真似の名手で、一流の腹話術師でもあることが分かりました。 

モズ♂の鳴き真似を声紋解析してみたいのですが、風切り音と私の背後を流れる用水路の水音がピンクノイズとなってきれいな声紋が得られそうにありません。 

最後にモズ♂は白い糞をポトリと1滴排泄すると止まり木の枝で方向転換し、飛び去りました。
▼関連記事(5〜8年前の撮影) 
モズ♂の鳴き真似♪と虫捕食、ペリット嘔吐【野鳥】 
モズ♂(野鳥)の鳴き真似♪を声紋解析してみる 
電線で鳴き真似♪を練習するモズ♂(野鳥) 
モズ♂(野鳥)がオオヨシキリの鳴き真似?

2021/02/04

ヒメジョオンの花蜜を吸うウラナミシジミ♂

 

2020年10月中旬・午後13:50頃・晴れ 

里山を抜ける峠道の道端に咲いたヒメジョオンウラナミシジミ♂(Lampides boeticus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
口吻を伸ばして吸蜜しながら、閉じた翅を互いにゆっくり擦り合わせています(自己擬態行動)。  
吸蜜後は少し飛んで手前のクズの葉表に移動しました。 
翅を半開きにして日光浴しながら交尾相手の♀を待ち伏せしているのでしょう。 (♀に翅表の青を誇示?) 
…と思いきや、クズの蔓を伝い歩きして死角に隠れてしまいました。 


 

2021/01/11

マツムラハラブトハナアブ♀の身繕い【ベイツ型擬態】

 

2020年9月下旬・午前11:30頃・晴れ 

里山の林道脇に材木(縦半分に切られた丸太)が放置されていて、そこに蜂のような昆虫が飛来し、周囲を飛び回り始めました。 
てっきり借坑性の蜂が営巣地を探索中(穴があったら入りたい)なのかと思いきや、材木に止まった姿をよく見ると、マツムラハラブトハナアブ♀(Mallota rubripes)でした。 
おそらくオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)をモデルとした見事なベイツ型擬態です。 
多少は虫を知ってるつもりの私もすっかり騙されました。 
オオマルハナバチと本当に激似です。 

マツムラハラブトハナアブ♀は、木のベンチの上で化粧を始めました。 
左右の複眼が接していないことから♀と判明。 
後脚同士を擦り合わせたり、腹背を掻いたり、翅を脚で擦ったりしています。 
更に、前脚同士を擦り合わせたり、前脚で顔を拭ったりしています。 
身繕いを念入りに済ませるとベンチから飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

実はこの直前に私はベンチに腰掛けて休み、おやつに持参したリンゴの皮を剥いて食べようとしていたところでした。 
マツムラハラブトハナアブ♀は食べかけのリンゴに興味を示しませんでした。

2020/12/08

オオイタドリに訪花するオオトラカミキリの飛翔

 

2020年8月下旬・午前9:10頃・晴れ 

堤防路沿いに咲いたオオイタドリの群落でオオトラカミキリXylotrechus villioni)が訪花していました。 
スズメバチにベーツ型擬態しているのか、黄色と黒の縞模様をした憧れのカミキリムシです。 
今回が嬉しい初見です。 
後食行動で花蜜や花粉を食べに来たのかと思ったのですが、映像をよく見直すと、吸蜜はしていないようです。 
ネット検索しても本種の後食メニューについて情報を得られませんでした。 
オオイタドリの花穂を落ち着き無く歩き回っているので、飛行移動中にたまたま立ち寄った(不時着?)だけなのかもしれません。 

慌てたように翅を広げて飛び立つと、横に生えているススキの茎に止まり、登り降りしています。 
どんどん茎を上に登ると花が咲き始めたススキの穂から再び飛び去り、行方を見失いました。 
飛び立ちのシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

オオトラカミキリ♀はモミの木に産卵するそうです。 
確かに、現場の近所で農家の庭にモミの大木を見た記憶がうっすらと…? (要確認) 

※ 動画編集時に今回はコントラストではなく彩度を少し上げました。 
夏の日差しが強過ぎるため、いつものようにコントラストを上げると影が黒く潰れてしまうのです。

 

2020/08/27

ノイバラの花を舐めるフタガタハラブトハナアブ♀



2020年6月上旬・午前10:55頃

ノイバラの群落でフタガタハラブトハナアブ♀(Mallota eristaliformis)が訪花していました。
口吻を伸縮させてノイバラの花蜜や花粉を舐めています。
左右の複眼が接していないので♀ですね。
顔を正面からしっかり見せてくれなかったものの、「カオグロ」オオモモブトハナアブではありません。

本種はマルハナバチにベイツ型擬態したハナアブ類のひとつと考えられています。
『札幌の昆虫』という図鑑p214〜215では、「マルハナバチに擬態するハナアブの仲間」として見開き2頁を丸々割いて標本写真および生態写真を掲載しています。


フタガタハラブトハナアブの場合で擬態のモデルとなったマルハナバチを考えると、体毛が全体的に黄色ですから、当地ではクロマルハナバチ♂またはコマルハナバチ♂が考えられます。
しかし♀に比べて雄蜂♂の出現期は短い上に、雄蜂♂は敵を刺す毒針を持ちません。
ですから、鳥などの捕食者側にこれを忌避する学習が果たして成立するのか、私は疑問です。
つまり、我々マニアックな虫好きが勝手に「マルハナバチと似ている」と言っているだけかもしれず、本当にベイツ型擬態なのかどうか実験的な検証が必要だと思います。
例えば、体毛が黄色ではなくもっと茶色になればトラマルハナバチ♀と似るかもしれませんが、ヒトと鳥類では色覚も微妙に違います。


▼関連記事(8年前の撮影)
化粧するフタガタハラブトハナアブ♀



ランダムに記事を読む