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2018/10/24

水田を鳥害から守る鳥追いカイト(フクロウ型の凧)



2018年8月中旬

夏の水田に見慣れない物体が出現しました。
フクロウの絵柄をプリントした(擬態)、結構大きな凧(カイト)が朝の風に揺れていました。
長い釣り竿(?)を田んぼに突き刺し、その先に凧を糸で繋いでいます。

これから水田に稲穂が実る季節になると、これを食害するスズメなどが現れます。
害鳥を追い払うために案山子かかしの改良版を農家が試しに設置したのでしょう。
フクロウは猛禽類ですから、小鳥が本能的に怖がると期待した鳥害対策グッズのようです。
風が吹くと凧は自然に動くので、馴れが生じにくい(防鳥効果が持続する)のでしょうか?
ネット通販でも同じ商品や類似商品を見つけました。
私の素人考えでは、もっと高く飛ばした方が広範囲に効果がありそうな気がするのですけど、開発者が実験的に検討した結果この高さが最適なのでしょうか。

商品をたくさん買ってもらいたいから竿や糸を短くしてるのかな?と邪推してしまいます。
この田んぼを高所から見下ろす撮影ポイントがあれば、鳥追い効果の有無をいつか検証してみたいものです。
(ドローンは長時間飛ばせませんし、ドローンの存在自体が「鳥追い」になってしまうでしょう。)

カイトに小型の監視カメラを取り付けて飛ばしたら面白そうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


鳥追いカイト梟(フクロウ:野鳥)@水田
鳥追いカイト梟(フクロウ:野鳥)@水田


【追記】
藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によると、
外国では、凧が鳥を追い払うためによく用いられています。(中略)アドバルーンの下に凧をぶら下げて、畑の上に揚げるという試みもなされています。これは、上空を旋回するワシタカをまねたものと考えることができるかもしれません。(中略)私たちは、ダイズを加害するキジバトに対して凧(ゲイラカイト)の効果を調べたことがあります。その結果は、マネキンよりは劣るものの、相当高い効果が得られました。p150-151より引用)


2018/10/06

後翅を擦り合わせるウスイロオナガシジミ



2018年7月中旬

里山の林道脇の雑木の葉表に乗ってウスイロオナガシジミAntigius butleri)が休んでいました。
閉じた翅を互いにゆっくり擦り合わせて後翅の尾状突起を触角のように動かしています。
鳥類などの天敵は急所の頭部を狙ってくるので、身体の前後を誤認させる自己擬態で身を守っているそうです。
舞台となった葉の樹種はおそらくハルニレではないかと思います。

てっきりミズイロオナガシジミかと思ったのですが、帰宅後に調べてみると実は初見のゼフィルスでした。

▼関連記事(9年前の撮影)
ミズイロオナガシジミ
飛び立ちのハイスピード動画など、もっとじっくり撮るべきでしたね。


ウスイロオナガシジミ:翅裏@ハルニレ?葉上
ウスイロオナガシジミ:翅表@ハルニレ?葉上

2018/06/10

キンケハラナガツチバチ♂は捕まえると腹端のトゲで刺そうとするが痛くない



2017年11月中旬

8年前にキンケハラナガツチバチ♂(Megacampsomeris prismatica)を初めて撮影したブログ記事で、私は次のように書きました。

♂なので毒針はもちませんが、腹端に刺が3本生えていて捕まえるとこれでチクチク刺してくるのだそうです。
今度見つけたら試してみよう。

セイタカアワダチソウに訪花していた♂雄蜂を見つたので、長年の懸案だったテーマを実験してみましょう。
持っていたビニール袋を使ってキンケハラナガツチバチ♂を生け捕りにしました。
♀と比べて♂の大顎は貧弱なのか、ビニール袋を食い破れません。



家に持ち帰り、袋からハチを取り出しました。
右翅と脚を指で摘んだ状態で保定すると、長い腹部を曲げて腹端にある3本の鋭い突起で刺そうとしてきました。
しかし全く痛みはなく、こけ脅しでした。
腹端トゲの材質が柔らかく、いくら指に突き立てても皮膚を貫通して出血するほど刺さりません。
これは以前、キンケハラナガツチバチ♂標本の腹端トゲに触れた時も感じたことで、だからこそ私は恐怖心を抱かずに生きた雄蜂で実験できたのです。

つまり同種(あるいは近縁種)の♀による刺針行動を♂が擬態しているのでしょう。(刺針行動擬態と勝手に呼ぶことにします。)
もし鳥などの捕食者がキンケハラナガツチバチ♀の毒針に刺された経験があれば、雄蜂♂が痛くなくても刺す素振りをするだけでその恐怖の記憶が蘇り、捕まえた雄蜂を咄嗟に離してしまうことは有り得そうです。
比較対象として、キンケハラナガツチバチ♀の毒針を使った刺針行動も動画に撮ってみたいものです。
ちなみに、腹部が黄色と黒の縞模様なのは多くのハチ類に共通したミューラー型擬態です。



♂に特有の腹端トゲの正式名称を知らないのですが(ご存知の方は教えて下さい)、もしかすると♀と交尾する際に何か重要な役割があるのかもしれません。

例えばトンボの♂は腹端には把握器があり、♀の首根っこを掴んで尾繋がり状態になるのが交尾への第一歩です。
しかしキンケハラナガツチバチ♂の腹端トゲは動きません。

あるいは♂同士が争うときに、この三叉棘を武器として使うのでしょうか?
3本のトゲの物理的な強度をもう少し上げて刺す武器として進化させるのは難しくない(明らかに生存に有利)と思うのですが、武器としてなまくらな状態のままなのは何故でしょう?

繭から羽化脱出するときに普通の蜂は大顎で食い破るのですが、キンケハラナガツチバチ♂はこのトゲを使って繭を内側から破いたり引き裂いたりするのかな? 
しかしこの仮説は、♂にしか無い理由を説明できるでしょうか?
ツチバチの♂成虫は♀よりも腹部が長いので、繭の段階から性的二形があったりして?
ツリアブ科の中にはハナバチや狩蜂の巣内に労働寄生して育つものがいます。
そのようなツリアブは蛹の頭頂部に生えている鋭い突起を使って寄主♀が(泥などで)巣を封じた隔壁を中から破って外に脱出してから羽化するのです。
▼関連記事 
竹筒トラップに寄生したエゾクロツリアブ?の羽化

♀の毒針は産卵管が変化したもので伸縮自在です。
一方♂の腹端トゲ(三叉矛)は、腹端のクチクラが棘状に変形した構造で、伸縮しません。

余談ですが、顔を接写してみるとキンケハラナガツチバチ♂の大顎は左右非対称でした。
左の大顎だけが開閉しています。
どの個体もそうなら、機能的にどんな意味があるのでしょうね?
実は腹端トゲに刺されるよりも、大顎に噛まれたくなかったので、今回の実験では翅を摘んだのでした。
(実は噛まれても痛くないのかな?)


キンケハラナガツチバチ♂@捕獲+刺針行動擬態
キンケハラナガツチバチ♂@捕獲+刺針行動擬態
キンケハラナガツチバチ♂@捕獲+刺針行動擬態

2017/11/20

ハチに擬態したシロスジナガハナアブ♀は捕獲すると刺す真似をするか?



2017年7月下旬

室内で虫の羽音が聞こえるので振り返ると、窓際をシロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が飛び回っていました。
いつの間にか室内に侵入したようです。
本種はハチにベイツ型擬態している例として考えられています。
擬態のモデルとなった蜂は、なんとなくコアシナガバチPolistes snelleni)ではないかと個人的には考えています。

とりあえずプラスチック容器で捕獲

ベイツ型擬態のシロスジナガハナアブ:腰に白い部分がありハチの細い腰を彷彿とさせる。一定の場所を占有し、近づく虫や人を駆逐するような行動をとることがある。飛び方や羽音もハチに似て、一瞬たじろぐ。 (wikipedia「擬態」の項目で写真の説明より引用)


7年前に初めてこのアブを撮ったときに、面白い話を教えてもらいました。
▼関連記事
シロスジナガハナアブ♀の身繕い
本種のベーツ擬態は外見だけにとどまらず、捕まえると尾端を押し付けるようにしてまるでハチが刺すような真似をするのだそうです。


ずっと気になっていたので、この機会に早速、実験してみました。
捕獲したアブをビニール袋に移してから炭酸ガスで麻酔し、指で翅をつまみました。
本種はハナアブの仲間で吸血性ではありませんから、口器で指を刺される心配はない…はずです。

▼関連記事
シロスジナガハナアブがドクダミに訪花
汗を舐めるシロスジナガハナアブ♀

麻酔から醒めるとアブは逃れようと必死に暴れ始めます。
確かにときどき腹部を屈曲させています。
ハチが腹端の毒針で刺す行動に似ていなくもありません。
しかし意外にも、それほど頻繁にはやりませんでした。

ハンディカムで動画に撮りながらだと片手しか保定に使えないので、苦労しました。(三脚を使えば良かった…。)
翅ではなくてアブの足を摘んだ方が良かったかもしれません。
ときどき胸部の飛翔筋を高速振動させる音がビー♪と響きます。
やがて疲れたのか諦めたのか、あまり暴れなくなりました。

果たしてこれが本当に「行動の擬態」と呼べるのかどうか、疑い深い私は未だ信じきれません。
ハチ類の一部が狩蜂に進化する過程で腹部にくびれが生まれ、そのおかげで♀の腹端にある毒針で刺す動きに自由度が生まれたと考えられています。
シロスジナガハナアブが腹部を深く屈曲させるにはアシナガバチの前伸腹節のような腰のくびれが足りないように思います。

▼関連記事
キアシナガバチの刺針攻撃:♂♀比較
翅をつままれたら脚と腹部ぐらいしか自由に動かせませんから、どんなハナアブでも腹部を繰り返し屈曲しそうな気がします。
比較対象として、蜂に擬態していないハナアブではどうなのか、検討する必要がありますね。
もし蜂にベーツ擬態するアブだけが腹部をハチのように曲げるのなら、確かにハチが毒針で刺す真似をしている行動擬態と言えそうです。
そんなに難しく考えなくても、腹部を少し屈曲することで「刺すハチ」に似た外見と相まって鳥などの天敵や捕食者に恐怖の記憶が蘇ってたじろがせる効果があれば、それで充分なのかもしれません。

例えば、何らかの方法でシロスジナガハナアブの腹部を屈曲できないようにすると鳥に捕食されてしまう率が上がるのか、調べれば良さそうです。(言うは易く行うは難し)
これを実証しようとすると、擬態モデルのハチに刺された経験のある鳥を準備するところから大変そうです。


【参考図書】
上田恵介・有田豊『黄色と黒はハチ模様:ハチに擬態する昆虫類』 (『擬態:だましあいの進化論〈1〉昆虫の擬態』p62-71に収録) によると、

クロスズメバチの巣を好んで襲うハチクマは例外にして、鳥がスズメバチやアシナガバチを食べている場面を見かけることは滅多にない。毒針を持つ蜂を、鳥が避けるのは、一般的な傾向である。とすると、針はないが、ハチの姿をまねることで、鳥に襲われないようにして生存価を高める擬態形質が進化しうる。(p62より引用) 

”虻蜂取らず”はアブの戦略 
針を持たないのにハチの姿をまねている昆虫というと、まず双翅目のアブ類が挙げられる。(p62より) 
こうしたハチ擬態はどのようにして進化してきたのだろう。人が見て”そっくりである”ということと、その昆虫がモデルであるハチに本当に擬態しているのかどうかは別の問題である。これはその擬態種の形態を進化させた淘汰圧がなにかによって異なってくる。(p69より)
ハチ擬態をする昆虫の野外での生態はまだよく調べられていないし、実際にこうした擬態が捕食者にどの程度の効果があるのかもよくわかっていない。(p71より) 


以下は標本の写真。




2017/10/18

ネムノキの実で見つけたホソヘリカメムシ幼虫



2016年10月上旬

堤防に生えたネムノキの灌木に実がなっていました。
その豆果でホソヘリカメムシRiptortus pedestris)の幼虫を発見。
本種の幼虫期はクロアリにベイツ型擬態していることで有名です。
それまで成虫しか見たことがなかった私にとって、嬉しい出会いでした。

食草はマメ科植物の子実とのこと。
ネムノキ(マメ科)の実を吸汁しているのかどうか、口器の状態が気になるところです。
いかにも硬そうな鞘を貫き通して種子から吸汁出来るのかな?
マクロレンズで口器を接写したくても、夕刻の木陰は非常に薄暗くて無理でした。
そこで豆果ごとそっと採集して、残光で少し明るい地面に置き、接写してみました。
ホソヘリカメムシ幼虫は警戒しているのか、実の裏面に回り込んで隠れてしまいます。
その実をゆっくりめくってみると、豆果を下りて地上を逃げ出しました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



撮影後に採集して持ち帰りました。
忙しくてほったらかしにしていたら、なんと容器内でいつの間にか脱皮していました!
抜け殻は食べておらず、無傷で残っていました。
(よく考えると、カメムシの口器は咀嚼できないので当然ですね。)
脱皮後も成虫ではなく、未だアリに似た幼虫でした。
何齢幼虫なのかは、不明です。
栄養状態が悪いまま死んでしまったと思われ、反省。

wikipediaの情報によれば、

幼虫はふだんは分散して暮らしているが、脱皮の直前に集まり、脱皮集団を作る[8]。幼虫は1齢から5齢までで20から30日を経過し、次には羽化して成虫になる[9]。


背面
側面
側面
腹面。口器が面白い
後脚腿節の斑紋が面白い
ホソヘリカメムシ幼虫:脱皮殻@方眼紙
ホソヘリカメムシ幼虫:脱皮殻(側面)@方眼紙

2016/11/01

飛んで木に隠れるゴイサギ幼鳥(野鳥)



2016年7月下旬

ゴイサギNycticorax nycticorax)の幼鳥を2羽、溜池で見つけました。

左の個体が少しだけ飛んで浮島の近くへ移動しました。
ススキの茂みから隠し撮りしている私に気づいて警戒し、茂みの死角に隠れたのかもしれません。
すぐにまた飛び立つと、池の畔で立ち枯れしたハンノキの枝に着陸しました。
足は黄色いものの羽の模様は見事な保護色(カモフラージュ)になっていて、動かなければ絶対に気づかれないでしょう。
ときどき首を伸ばし、警戒姿勢の片鱗を見せてくれました。
せっかくの擬態をすぐに止めてしまう幼鳥は、飽きっぽいのでしょうか。
何かに驚いて首を伸ばすのだと思うのですけど、警戒の対象がよく分かりません。
列車の通過音と踏切の音を聞いて首をわずかに伸ばしかけるものの、擬態を強めることはありませんでした。
おそらく卵の時期から聞き慣れた騒音なのでしょう。
樹上の幼鳥は羽繕いを始めました。
調子に乗って撮り続けていると、しつこいパパラッチを嫌ったのか急に飛び立ち、溜池の岸辺に広がるヨシ原に降り立ち姿を消しました。
飛翔能力があり、巣立ち後の幼鳥ですね。
『日本動物大百科3:鳥類I』p41によると
(ゴイサギは)幼鳥羽から成鳥羽になるまでに2年かかり、そのあいだは中間的な羽色で、換羽ごとに少しずつ成鳥羽に近づく。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2016/08/13

オオマルハナバチに擬態したマツムラハラブトハナアブ♀?【名前を教えて】



2016年6月上旬

山麓の農村部の民家の花壇に咲いたキリンソウの群落で、オオマルハナバチにベイツ型擬態したハナアブが訪花していました。
花粉や花蜜を舐めています。


手元にある図鑑『札幌の昆虫』p214-215でマルハナバチに擬態するハナアブの仲間を調べてみると、素人目にはトゲミケハラブトハナアブ♀(Mallota tricolor)が一番似ています。
一方、「ハナアブの世界」サイトに掲載された標本写真を見比べると、マツムラハラブトハナアブ♀(Mallota rubripes)が一番似ている気がします。
今回は採集できなかったので標本はありませんが、もし間違っていたらご指摘願います。
ハラブトハナアブ属の一種(Mallota sp.)としておいた方が無難でしょうか。



【追記】
中公新書:鈴木紀之『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く 』によると、
アブの仲間で擬態のうまさを網羅的に比較した研究では、アブの体サイズが小さいほど擬態が不完全になっていく傾向が見出されました。天敵はどちらかというと体の大きなアブを狙います。体が大きい分だけエサとしての栄養分が多く含まれているからです。そのため、体の大きなアブはできるだけ蜂に姿を似せて天敵からの攻撃を未然に回避する必要があります。一方で、体の小さなアブはそもそも天敵からの攻撃をそれほど受けないので、ハチに似せていく方向に働く圧力がそこまで強く生じません。天敵にしてみれば、エサの候補となりにくい小さい種類はアブであろうがハチであろうがどちらでも構わないため、そもそも識別しようとしないのです。この研究は、天敵からの圧力が弱い種類ほど不完全な擬態が維持されやすいことを示唆しています。 (p218より引用)





2016/06/15

モズ♂(野鳥)がオオヨシキリの鳴き真似?



2016年5月上旬・早朝6:36

土手に生えた灌木のてっぺんにモズ♂(Lanius bucephalus)が止まって鳴いています。
横の湿地帯でもオオヨシキリAcrocephalus arundinaceus orientalis)が頻りに囀っているのですけど、もしかして、このモズもオオヨシキリの鳴き真似をしてますかね?
特に後半の鳴き声がモズの嘴の動きと一致しなくなった(リップシンクロしない)ので、私の気のせいかな?
指向性の高い集音マイクを使って録音しないと分かりませんね。


百舌鳥が飛び立った直後に近くでキジ♂が縄張り宣言で絶叫しました。



【追記】
あまり詳しくないのですが、もしかすると「ぐぜり」という鳴き方なのかもしれません。
『マルチメディア鳥類図鑑』によると、

ぐぜり:サブソングともいう。はっきりとしたさえずりではなく、くちばしを完全には開かずに、つぶやくような鳴き方。地鳴きやさえずりのフレーズをおりまぜる。モズなどは、ほかの種類の鳥の鳴き声をおりこむ。


千葉県立中央博物館のサイト「音の標本箱」によれば、
ぐぜりとは、若鳥がさえずりを学習する過程で鳴く不完全なさえずり(サブソング subsong) のこと。
同種や異種の鳴きまねなどを取り混ぜてグチュグチュ取り留めなく鳴くこともあります。
春先には、前年にさえずっていた成鳥もぐぜりながら練習をして、正しいさえずりを歌うようになります。

もっとはっきりオオヨシキリなど数種類の鳴き真似をしたモズを2年前に撮っています。

▼関連記事
モズ♂(野鳥)の鳴き真似♪を声紋解析してみる




2016/06/10

ミズキを訪花するジョウザンメバエ♀?



2016年5月中旬

沢に生えたミズキの高木でジョウザンメバエConops flavipes)が訪花していました。
翅を半開きにしたまま集合花の上を歩き回り、口吻を伸ばして花蜜や花粉を舐めています。

一瞬ハチかと思ったら、ベーツ擬態したハエでした。
全体が黒く、腹部に黄色の横縞が3本入っています。
翅の前半部が黒っぽく、顔(頭楯?)が白い。
見慣れないハエでしたが、手元の図鑑『札幌の昆虫』をめくってみると、p193のジョウザンメバエが似ていると思いました。
p216のニトベナガハナアブにも似ていて悩ましいのですけど、触角の形状が異なるので除外。
「ジョウザンメバエ」でインターネット検索した交尾写真(リンク12)を見ると、素人目には複眼の形状で性別判定できない種類のようです。
口吻の形状に性差があるのかな?
真っ直ぐ長い口吻を持つ個体がマウントしているので♂なのでしょう。(そんな特殊化した形状の口吻は吸蜜専門?)
一方、私が撮った個体の口吻はよく見るハエ型の舐める口器でした。(ということは♀?)
♀は卵巣の発達にタンパク質が必要なので、花粉を摂取できるように舐める口器なのかな?(ド素人の勝手な予想です)
それとも全く違う種ですかね?
もし間違っていたらご指摘ください。
未採集、未採寸。



2016/05/19

瀕死のクリストフコトラカミキリ



2016年4月下旬

郊外の路上で美しいカミキリムシがひっくり返っていました。
黄色と黒の模様で蜂っぽく、なかなか見事なベーツ擬態です。
腰に一対の黄紋があるので、フタモンアシナガバチにしては変だな?と一瞬騙されかけました。
見たことのないカミキリムシなので帰ってから調べてみると、クリストフコトラカミキリPlagionotus christophi)と判明。
接写するために静かな場所に持って行きました。
地面に置くとアリが集ってくるので、望遠レンズを台として横倒しで置きました。
死骸かと思いきや、摘み上げると弱々しく脚を動かしました。
顔を見ると、大顎があまり発達しない種類のようです。
ときどき脚がぴくぴくと動くだけで、死にかけています。
飛んでいるときに車に衝突されたのでしょうか?



2015/10/27

捕獲してもコアシナガバチ♂は刺さない



2015年8月中旬

コアシナガバチ♂(Polistes snelleni)がクズの葉に乗って身繕いしています。
顔が白く触角の先がカールしているので雄蜂で間違いありません。
飛び立った先で捕獲しました。

雄蜂は毒針を持たないため、素手で翅を摘んで持っても刺されません。
腹部の動きは♀が毒針で刺す動きと同じで、これは♀に擬態したブラフと表現できるかもしれません。
華奢な大顎で噛まれても痛くありません。
全くの無害で無闇に恐れる必要はないことがお分かりいただけるでしょう。
(もちろん、相手が♀だったら私もこんな無茶はしません。)

以下は標本写真。


腹端には毒針の代わりに毛が生えていました。

2015/03/23

眼状紋を見せつけ威嚇するクスサン♂♀(蛾)【暗視動画】



2014年10月上旬・深夜4時頃

キャンプ場のトイレの外壁(外灯付近)に多数のクスサンSaturnia japonica japonica)♂が止まっていました。
触角が羽毛状なので、♂と判ります。
2番目に登場する個体はログハウスの丸太の隙間に頭を突っ込んでいるため、触角がよく見えません。
腹部が膨満していて、いかにも卵が詰まっていそうなので♀なのかな?
他に確認できたのは全て♂でした。

翅を指先で軽く叩くと翅をゆっくりと広げ、隠れていた後翅の眼状紋を誇示します。
計4頭の個体(♂3♀1)で繰り返し、赤外線の暗視カメラで撮影してみました。
しかし、暗い夜に視覚に頼る威嚇は身を守る作戦として意味が無いのではないか?という気もしてきました。
途中で白色LEDの照明に切り替えて、翅色の個体差を記録します。

最後の♂個体は交差点で街灯の下の白線に乗っていました。
翅に触れて刺激すると暴れるも、体温が低くて飛び立てません。


2015/03/12

電線で鳴き真似♪を練習するモズ♂(野鳥)



2014年5月中旬・朝(午前06:53)

モズ♂(Lanius bucephalus)が住宅街の電線に止まって鳴いていました。
小声でチュルチュル〜♪となにやら鳴き真似しているのですけど、遠くてよく聞き取れません。
(ヘッドフォンを着用し最大ボリュームでお聞き下さい。)

何という種類の鳥の鳴き声を真似しているのか、聞き分けられる方がいらっしゃいましたら是非教えて下さい。
後半から始めた(@0:23〜)キョッキョッキョッ♪と鳴く縄張り宣言(?)は静かな住宅街によく響き渡ります。

最後も小声でキリリリリ…♪とカワラヒワ?の鳴き真似をしながら飛び去りました。
この個体は未だ鳴き真似に自信がなくて練習しているのでしょうか?

▼関連記事
モズ♂(野鳥)の鳴き真似♪を声紋解析してみる


2015/01/26

クスサン(蛾)は離陸前に準備運動が必要【暗視動画】



2014年10月上旬

山麓のキャンプ場で深夜未明に(4:01 am)クスサン♂(Saturnia japonica japonica)がログハウスの外壁に止まっていました。
後翅の眼状紋で威嚇する行動を赤外線の暗視動画に撮ろうとして指で触れたら、翅を広げた瞬間に落下しました。
しつこく刺激すると羽ばたいて暴れるも飛び立つ力がありません。
胸部の飛翔筋を激しく震わせて体温を上げてからでないと、体重の重いクスサンは飛び立てないのです。(準備運動が必要。)
捕食者に襲われてもすぐに飛んで逃げることが生理的に不可能なため、眼状紋による威嚇で自衛してなんとか時間を稼ぐしかないのでしょう。
すぐには飛べないため眼状紋による威嚇を発達させたのか、それとも逆に、眼状紋による自衛が有効であったために大型化が進んだのか、どちらですかね?

途中からビデオカメラを赤外線LEDから白色LEDの照明による通常撮影モードに切り替えました。(蛾の色が分かるようになります)
ようやく離陸すると、蛍光灯に向かってまっしぐらに飛んで行きました。(走光性
バサバサと羽音を立てて灯火の周りを飛び回ります。
温度計を忘れたので、気温は不明です。


2015/01/02

クスサン♂(蛾)眼状紋による威嚇【暗視映像】



2014年9月中旬

郊外の大通りで夜(20:54 pm)、クスサン♂(Saturnia japonica japonica)が街灯下の歩道に止まっていました。
触角が羽毛状なので性別は♂です。
赤外線の暗視ビデオカメラで撮りながら翅に触れると、後翅を広げて眼状紋を見せ威嚇します。
しつこく触って刺激を続けると羽ばたいて暴れるも、大型の蛾は気温が低いとすぐには飛び立てません。
準備運動で体温を充分に上げてからでないと飛び上がれないのです。

すぐには逃げられないため眼状紋による威嚇を発達させたのではないかな?
それとも逆に、眼状紋による自衛が有効であったために大型化が進んだのかな?



2014/12/24

クロヒカゲの眼状紋はオオスズメバチ♀に通用するか?【ハイスピード動画】



2014年9月上旬

里山の雑木林で1匹のオオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀がコナラの樹液を吸っていました。
蜂が飛び立つ瞬間を引きの絵で記録するつもりで240-fpsのハイスピード動画に撮り始めたら、ちょっとしたドラマが始まりました。

幹の下から一頭のクロヒカゲLethe diana)が登って来ました。
少しずつ樹液スポットに近づいて来ます。
正面から対峙し睨み合い。
クロヒカゲは翅裏の眼状紋を見せつけ威嚇しているつもりなのでしょうか?
意外にオオスズメバチも多少たじろいでいる印象を受けました(警戒姿勢)。
日本のスズメバチは天敵であるヒトの黒髪や黒い目玉を目掛けて襲い掛かってくることが知られています。

クロヒカゲも万一襲われた時に眼状紋へ攻撃の矛先を逸らして致命傷を避けようとする戦略なのかもしれません。
やがて警戒を解くとオオスズメバチは吸汁を再開。
神経戦に痺れを切らしたオオスズメバチが歩いてクロヒカゲに詰め寄りました。(占有行動)
その迫力に負けたクロヒカゲは飛んで逃げ、幹の背後に回り込みました。
目障りなお邪魔虫を追い払ったオオスズメバチは満足気に身繕いすると、木を登り下りしています。
負けたとは言え、最強のスズメバチに立ち向かっていく強気の蝶がいることに驚きました。

クロヒカゲにしてみれば、ライバルを追い払えなくても口吻を伸ばして樹液に届く距離までなんとか近づければ良い訳です。
眼状紋の有無に関わらず、蝶や蛾の成虫をスズメバチ類が狩って獲物にする例を見聞きしたことはありません。
翅がかさばる割に肉団子になる部分(飛翔筋)の割合が少ないので、わざわざ狩る気にならないのでしょう。
したがって、眼状紋の擬態が対スズメバチの自衛戦術として効果があるのかどうか、不明です。

この続きをスローモーションでお見せしても映像的にあまり面白くないので割愛しましたが、実はつづきの未公開映像があります。
クロヒカゲが未練がましくまた飛来して幹の下方に止まりました。
オオスズメバチが油断なく見下ろしている間にクロヒカゲは歩いて幹を登り、別の樹液スポットを見つけて平和に吸汁を始めましたとさ。
めでたしめでたし。


2014/12/03

汗を舐めるシロスジナガハナアブ♀



2014年8月下旬


▼前回の記事
シロスジナガハナアブ♀の探索飛翔

私が山道で休んでいると、シロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が飛来しました。
やがて私のザックに降り立ち、汗の滲み込んだベルト部分を舐め始めました。
汗に含まれるミネラルを摂取(塩分補給)しているのでしょう。
左右の複眼が離れているので、性別は♀ですね。
それまで探索飛翔していたのは、汗の匂いに誘引されたようです。
近寄ってきたクロアリを嫌って飛び立ち、ホバリング(停空飛翔)を披露してくれました。
飛び回ると意外に重低音の羽音が鳴り響きます。
ザックのいつもほぼ同じ場所に着地します。
不思議なことに私の体や服には寄って来ず、汗ばんだ腕を差し出してもその手に乗りませんでした。
警戒しているのか、それとも新鮮な汗は惹き寄せる匂いが足りないのかな?(濃縮・熟成が必要?)【※追記を参照のこと】

このハナアブは見た目がアシナガバチやスズメバチにそっくり(ベイツ型擬態)なだけでなく、捕獲すると蜂のように刺す真似をする(行動擬態)そうです。
捕虫網が無いと採集できず今回も確かめられませんでした。
実は近くをキイロスズメバチが盛んに行き来しています。
擬態のモデルかもしれないキイロスズメバチとシロスジナガハナアブ♀は互いに没交渉でした。(追記2を参照)


【追記】
私は山中でも虫除けスプレーや制汗剤、香水などを使う習慣がありません。
ひとつ心当たりがあるのは、私が夏に使っている冷涼系ボディソープにメントール(ハッカ油の成分)が含まれていることです。
虫除け効果が知られているため、ハナアブも私の汗を直接摂取しに来るのは忌避したのかもしれません。


【追記2】
上田恵介・有田豊『黄色と黒はハチ模様:ハチに擬態する昆虫類』 (『擬態:だましあいの進化論〈1〉昆虫の擬態』p62-71に収録) によると、
”虻蜂取らず”はアブの戦略 
針を持たないのにハチの姿をまねている昆虫というと、まず双翅目のアブ類が挙げられる。(p62より引用) 
 ところで、モデル種であるハチ類は、自分とよく似たアブ類をどう見ているのであろう。自分と同じハチの仲間と見ているのか、それともいくら模様が似ていても、ハエと同じただの双翅目と認識しているのであろうか。これについて、コガタスズメバチVespa analisがスズキナガハナアブSpilomyia suzukiiを捕らえた報告がある。(p63より)


2014/12/02

シロスジナガハナアブ♀の探索飛翔



2014年8月下旬

山道の休憩所にシロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が飛来しました。
見る度にアシナガバチにそっくりだと思います。
ベーツ型擬態の代表格ですね。
初めは地面で身繕いしていたのですが、休憩所の床やベンチなどを小刻みに飛び回り何かを探索しているようです。
この虻の行き先を追うと…。

▼つづく
汗を舐めるシロスジナガハナアブ♀


2014/11/09

ミズナラ樹液酒場で身繕いするアカウシアブ♀



2014年8月中旬

里山の雑木林で樹液が滲むミズナラの幹で見つけたアカウシアブ♀(Tabanus chrysurus)。
撮り始めたら警戒してすぐに飛び立ってしまいました。
幹の陰に回りこむと、前脚の先を擦り合わせてお化粧。(口吻も拭っているようです。)
一瞬キイロスズメバチやモンスズメバチ等と見間違うほど見事なベイツ型擬態でした。



2014/07/14

ヒレハリソウの花蜜を吸うベッコウハナアブ



2014年6月上旬

山麓に咲いたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でベッコウハナアブ♀(Volucella jeddona)が訪花していました。

ベッコウハナアブ(標本写真はこちら@ハナアブ写真集サイト)はおそらくトラマルハナバチにベーツ擬態しているのでしょう。
しかし、このとき一緒に訪花していたのはクロマルハナバチとコマルハナバチで(映像公開予定)、トラマルハナバチは来ていませんでした。



【追記】
『マルハナバチの謎〈下巻〉 (ハリフマンの昆虫ウオッチング・社会性昆虫記)』p37によると、
ベッコウハナアブの一種で、マルハナバチに形や色など外見が似ているだけではなく、飛びかたも、羽音も、体にちょっと触れれば仰向けになってあしを上にあげるところまで似ています。(中略)体の形や色はもちろんのこと、住む地域の変化による色の変化さえ、このベッコウハナアブの成虫はマルハナバチに似ている。
特に下線部の行動擬態に興味が湧いたので、日本産ベッコウハナアブ類でも見られるかどうか、いつか生け捕りにして試してみたいものです。



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