ラベル 鳴き声 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 鳴き声 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024/04/27

電線で鳴く♪キジバト♂の綱渡り(野鳥)

 

2023年8月上旬・午前11:40頃・晴れ 

郊外の団地でキジバト♂(Streptopelia orientalis)が電線に後ろ向きで止まって鳴いていました。 
カメラを向けると、振り返って横目で私を見ています。 
警戒を解くと羽繕いをしてから、前を向いて再び鳴き始めました。 
後ろ姿なので、デデポポー♪と鳴く声量が小さく、リップシンクロも確認できませんでした。 
鳴くリズムに合わせて、尾羽を上下しています。 

鳴き止むと、電線上で数歩横に歩いてから、かゆい頭を右足で掻きました。 
再び鳴き始めたものの、スズメやカワラヒワの鳴く声♪の方が大きいですね。 

私がしつこく撮っているので嫌気が差したのか、キジバト♂は電線上をどんどん右に移動し始めました。 
初めは横歩きだったのに、綱渡りのように歩くようになりました。 
通常の歩行時と同じく、首を前後に振りながら綱渡りしています。 

最後はパタパタと羽ばたいて右へ飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

日本の野鳥さえずり・地鳴き図鑑』を紐解いてキジバトの鳴き声を調べると、
電線やアンテナにとまってデデーポッポと繰り返して鳴き、パタパタパタと飛び立っては翼を広げたまま帆翔する独特のなわばり行動をする。(p8より引用)
今回は飛び去ったキジバトを見失ってしまい、縄張り行動の帆翔をしたかどうか不明です。 
普通に逃げただけのような気がします。

キジバトの囀りさえずりを声紋解析してみる?

2024/04/21

二次林内で虫を捕り脱糞するハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年8月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地にハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が現れるようになりました。 

シーン0:8/3・午後16:45・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン1:8/1・午後13:51(@0:03〜) 
昼下がりに飛来したハシブトガラスが、巣穴Rの真上に張り出した灌木(樹種はミズキ?)の細い幹に止まって辺りをキョロキョロと見回しています。 
やがて少し上の枝に飛び移り、尾羽根の先しか見えなくなりました。 


シーン2:8/1・午後14:03(@0:46〜) 
奥の林床から飛び上がり、林縁の細い灌木に止まりました。 
しばらくすると、左へ飛び去りました。 

正直に言うと、やや遠くて動画ではカラスの種類を見分けられないのですが、林内に来るのはjungle crow(ハシブトガラス)だと思われます。 
(一方ハシボソガラスは平地を好む。) 
やがてトレイルカメラの死角から、カーカー♪と澄んだ鳴き声が聞こえてきました。(@1:02〜) 
確かにこれはハシブトガラスの鳴き声です。 


シーン3:8/1・午後14:09(@1:11〜) 
1羽のカラスが林縁で太い木質の蔓に止まっていました。 
止まり木で嘴を開けっ放しにしているのは、暑さに喘いでいるのでしょう。 
(旧機種のトレイルカメラは、なぜか動画モードで気温データが取得できないのが残念です。) 

太い蔓を少し登ると、尾羽をピョコピョコ上下させながらカーカー♪と澄んだ声で鳴きました。 
この鳴き方の特徴はハシブトガラスです。 
嘴が細く見えるのですけど、ハシブトガラスの幼鳥なのかな? 
次は尾羽を持ち上げながら蔓の上から脱糞したようです。(@1:34〜) 

どうやら別種の小鳥がハシブトガラスの左上で飛び回っています。 (カラスへのモビング?)
黒っぽく見えるのでヒヨドリかな? 
樹上にある鳥の巣をカラスが狙っているのかと思いきや、ハシブトガラスは左下の林床に飛び降りてしまいました。
トコトコ歩いて二次林内を左へ。 
ハシボソガラスに比べてハシブトガラスは両足を揃えて跳んで移動するホッピングが得意とされているのですが、両足を交互に前へ出すテクテク歩行(ウォーキング)もやるので、歩き方だけからカラスの種類を見分けることは困難です。 

関連記事(5年前の撮影)▶ ホッピングで道を渡るハシブトガラス(野鳥) 


シーン4:8/4・午前9:45・晴れ・気温32℃(@2:11〜) 
3日後は午前中からハシブトガラスが登場しました。 
なぜか右下の木漏れ日が特に眩しくなっています。 

右から林床をトコトコ歩いて来たカラスが、手前の細い灌木(枯枝)にひょいと飛び乗りました。 
その枯枝に居た何か虫をパクっと捕食しました。(@2:30〜) 
獲物を咥えたまま、地面に飛び降りてカメラの死角に消えました。 
狩りのシーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:44〜) 
スローで見直しても、残念ながら獲物の正体(昆虫?)を見極められませんでした。 


シーン5:8/4・午前9:45・(@3:40〜) 
別アングルに設置した広角の監視カメラで続きが撮れていました。 
奥の林床で、何か餌を足で押さえつけながら啄んでいます。 
さっき狩った虫をここまで運んできて、食べているのかもしれません。 
食後はホッピングで林床を右へ移動し、朽ちた切株の上にヒョイと飛び乗ると、辺りを見回しましています。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


2024/04/15

林床のヘビに対してモビングするシジュウカラなど小鳥の群れ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年7月下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っていると、ある日に大事件が勃発しました。 

シーン0:7/22・午後14:10頃・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
古いトレイルカメラの変な癖で、これ以降はなぜかフルカラーで録画してくれなくなります。


シーン1:7/25・午前9:40頃・晴れ(@0:03〜) 
二次林に多くの小鳥が集まり、耳障りな警戒声を発しながら忙しなく飛び回っています。 
何事かと思って動画をよく見直すと、アナグマの巣穴Rから2匹のヘビ(種名不詳)がニョロニョロと外に這い出て来ました! 
林床の地面を手前に向かってゆっくり蛇行します。 
ヘビの動きが緩慢で分かりにくいので、5倍速の早回し映像でリプレイします。(@1:03〜1:15) 

そもそも林内で2匹のヘビが一緒にいること自体が珍しいです。
(私はこれまで単独行動のヘビしか見たことがありません。) 
アナグマ家族が転出した後の空き巣にヘビの群れが住みついたというよりも、よく出入りしている野ネズミ(ノネズミ)の匂いを嗅ぎ取って巣穴に潜り込んでいたのでしょう(探餌行動)。 

アオダイショウElaphe climacophora)など木登りが得意なヘビは鳥の巣を襲い、卵や雛鳥を捕食しますから、野鳥の天敵です。 
したがって、天敵のヘビを見つけると野鳥は特有の警戒声を発して仲間を呼び寄せ、騒ぎ立てます。 
これはモビング(擬攻撃)と呼ばれる行動です。 
鳥たちは警戒して集まるだけで、ヘビを嘴でつつくなど直接的な攻撃をすることは一度もありませんでした。 
安全な樹上から地面のヘビを見下ろして鳴き騒ぎ、止まり木から止まり木へ忙しなく飛び移っています。 
縄張りからヘビが居なくなるまで、森に住む鳥たちは協力して、その動向を見張るのです。 
野鳥にしてみれば、自分たちの巣やねぐらをヘビにこっそり奇襲されるのが一番困ります。
ヘビに対して直接攻撃しなくても、「そこに居るのは知ってるぞ!」としつこくアピールするだけで抑止効果があります。 

動画内でジャージャー♪と耳障りな声で何度も鳴いているのは、シジュウカラがヘビに対して発する典型的な警戒声です。 (※ おまけの動画を参照) 
ヘビに対するモビングに参加する鳥の群れは同種だけとは限らず、異種の鳥も集まってくるのが特徴です。 
つまり、各種の鳥が発する「ヘビがいるぞ! 集まれ! 気をつけろ!」という種固有の警戒声を他種の鳥も理解した上で適切に振る舞っていることになります。
今回集まってきた小鳥はシジュウカラParus minor minor)がメインのようですが、白黒映像では種類をしっかり見分けられません。 

関連記事(同所でほぼ同時期の撮影)▶ 


他にはヒヨドリHypsipetes amaurotis)やカラス類が鳴き騒ぐ声が聞こえるものの、姿は写っていません。 
ヘビに対する鳥の集団モビング行動を実際に観察したのはこれが初めてで、とても感動しました。
フルカラーで録画できなかったのが、つくづく残念です…。 


シーン2:7/25・午後12:40頃・晴れ・気温32℃(@1:17〜) 
約3時間後の暑い昼下がりにトレイルカメラが再び起動すると、森はすっかり静まり返っていました。 
ヘビに集団モビングしていた鳥たちは既に解散したようです。

1羽の猛禽(種名不詳)が飛来したようで、林縁の低い灌木に止まってキョロキョロと辺りを見回しています。(画面の赤丸) 
私にはモノクロ映像から猛禽の種類を見分けられなくて残念ですが、後日にもまた登場します。(映像公開予定) 

やがて、ヘビ(種名不詳)が1匹アナグマが掘った古い巣穴Rlから外に這い出てきたのでびっくりました。 
どうやら、さっき鳥たちに集団モビングされて逃げ出した蛇のうち1匹がいつの間にか戻ってきたようです。 
ヘビは変温動物の爬虫類ですから、ヘビが単独でいくら活発に動き回ってもトレイルカメラのセンサーは反応しません。
温血動物(恒温動物)の鳥や哺乳類と同時に現れたときにしかヘビの行動は記録されないことになります。 
(実際、このヘビが木から降りるシーンは撮れていませんでした。)

等倍速ではヘビの動きが緩慢で分かりにくいので、まずは5倍速の早回し映像でご覧ください。(@1:17〜1:30) 
セットの広場を蛇行して横切ると、林縁に生えた細い灌木(樹種不明)をスルスルとよじ登り始めました。 
樹上に鳥の巣を探して求めているのかな? 
木登りする蛇を見るのは、これが2回目です。 
関連記事(11年前の撮影)▶ アオダイショウの木登り 


こんなに低い止まり木にじっとして居る猛禽を見るのは、珍しい気がします。
この猛禽はおそらく、カラスの大群にモビング(擬攻撃)されて林内に逃げ込み、ほとぼりが冷めるまで身を潜めているのでしょう。 
枝葉が鬱蒼と生い茂った二次林の低層に隠れると、上空を飛ぶカラスの目からは見えなくなるようです。
この猛禽が近くで動き回るヘビに飛びかかって捕食しないのが不思議でした。 
おそらくヘビは猛禽の死角に入り、見えてないようです。
それともカラスに追われる身の猛禽にしてみれば、ヘビを狩るどころではないのかもしれません。 (下手に動くとカラスに居場所がばれてしまう。)
あるいは、ニホンマムシGloydius blomhoffii)など危険な毒蛇を忌避しているのかな? 
もし森の小鳥たちがこの猛禽を見つけたら、ヘビに対するのとは別の鳴き方で警戒声を発して猛禽への激しいモビングを始めるはずですが、まだ誰にも見つかっていません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳥の鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


 

↑【おまけの動画】
『【永久保存版】シジュウカラ語を一撃で理解できる最強の動画』by ゆる言語学ラジオ 

シジュウカラの言語研究で名を挙げた鈴木俊貴先生が一般人にも分かりやすく直々に解説してくれています。 
シジュウカラがジャージャー♪と鳴くのは、「天敵の蛇だ!」という意味です。 
これを聞くと仲間の鳥は(シジュウカラに限らず)一斉に集まって地上のヘビを探します。 
ちなみに、シジュウカラの雛は親鳥の警戒声「蛇だ!(ジャージャー♪)」を聞くと巣内から慌てて飛び出すらしい。 
これは学習によらない本能行動なのだそうです。 


【アフィリエイト】 


2024/04/14

夏の夜に延々と追いかけっこや取っ組み合いをして遊ぶニホンアナグマの幼獣3頭【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年7月下旬〜8月上旬 

旧営巣地に戻って来たニホンアナグマMeles anakuma)の幼獣3頭が、元気いっぱいで互いに追いかけっこしたり格闘遊びしたりしてはしゃぎ回る微笑ましい様子をまとめました。 
疲れを知らぬ 724+29+803 


シーン0:7/22・午後13:19・晴れ・気温38℃?(@0:00〜) 
シーン1:7/22・午後14:07・晴れ・(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 


シーン2:7/24・午後20:00(@0:07〜) 
2頭の幼獣が奥の二次林内で駆け回り、取っ組み合いを始めました。 
右下に居た別個体の幼獣も参戦しようと駆け出したら、暗闇で細い灌木に頭から衝突しました。(@0:51〜) 
ぶつかった立木がしばらく左右に揺れています。 
慌てていたのかもしれませんが、 夜行性でもアナグマは目が悪いことを示しています。 
灌木の隙間をすり抜けられると思ったのかな?  
鈍臭い幼獣は幸い脳震盪を起こすこともなく、無事だったようです。 


シーン3:7/29・午前4:13・(@1:07〜)日の出時刻は午前4:36。 
5日後の夜明け前にも幼獣が3頭だけで旧営巣地に来て遊び呆けていました。 
地面の匂いを嗅いでいる別個体の尻に突進してわざとぶつかり、喧嘩を仕掛けました。 
それをきっかけに3頭が急に荒ぶり始め、1頭がもんどり打って巣穴Rに転がり落ちました。 
その際にマルバゴマキの樹冠に伸びている長い蔓にぶつかって、上の枝葉が激しく揺れました。 


シーン4:7/29・午前4:15・気温28℃?(@2:07〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 


シーン5:7/29・午前4:16(@2:57〜) 
2頭の幼獣が激しい追いかけっこをしている途中で、もつれ合うように巣口Lに転がり落ちました。(@3:30〜、@3:48〜) 
格闘中に互いに甘噛みしているのか、短い唸り声♪も聞こえます。 


シーン6:7/29・午前4:18(@3:58〜) 
幼獣2頭が左で格闘遊びをしている間、別個体が巣口Lから顔を出してその様子を伺っています。

辺りは未だ真っ暗ですけど、目覚めたヒグラシ♂(Tanna japonensis)が林内でカナカナカナ…♪と鳴き始めました。 (@4:38〜) 
時刻は午前4:19。(日の出時刻の17分前) 


シーン7:7/29・午前4:17(@4:48〜) 
別アングルの広角カメラでも撮れていました。 
2頭が対峙して、ひたすら格闘遊びを繰り広げています。 


シーン8:7/29・午前4:19(@5:24〜) 
巣口Lを半ば塞ぐように生えた木の根を甘噛みしたり、はしゃいで跳びはねたり、幼獣が独り遊びしていました。 
巣穴Lから外に出てきた別個体が左へ行くと、それを追いかけて対決が始まりました。 
ガゥッ♪と吠える声が聞こえました。 


シーン8:7/29・午前4:22(@6:05〜) 
巣口R付近で幼獣3頭がはしゃぎ回っていると、左から4頭目の成獣が登場しました。 
成獣は落ち着いていて、幼獣が「遊ぼう遊ぼう!」と挑発するように目の前で飛び跳ねても、遊びには付き合いません。 
腹面に乳首が見えたので、母親♀のようです。 
カメラを振り返ったときに、左右の目が不均等であることが確認できました。(右目<左目) 
母親♀が近くに居た幼獣を毛繕いしてやろうと試みるも、元気いっぱいの幼獣は逃げてしまいました。 


シーン9:7/29・午前4:22(@7:03〜) 
別アングルの監視カメラでも撮れていました。 
巣口Lを点検していた母親♀が振り返って左に行くと、出迎えた幼獣2頭が♀にまとわりついて遊びに誘います。 
仲間との追いかけっこで逃げてきた幼獣が入巣Lしたものの、すぐに出巣Lしました。 


シーン10:7/29・午前4:23(@7:40〜) 
腕白盛りの幼獣2頭が疲れを知らず、はしゃぎ回っています。 
獣道に泰然と佇んでいた母親♀に突進しても、成獣はうんざりしたような顔で(?)、誘いに乗りません。 
母子の群れは獣道を右上奥へ立ち去りました。 
元気が有り余っている幼獣は、無駄に走って何度も往復しています。 


シーン11:7/29・午前4:24(@8:27〜) 
しばらくすると、幼獣2頭が追いかけっこしながら獣道から駆け戻ってきて、巣穴Lに入りました。 
少し休んでから、幼獣2頭ともまた外に出てきて走り去りました。 


シーン12:8/3・午後19:24・(@9:01〜) 
5日後の晩にも、同様の光景が見られました。 
ニホンアナグマの幼獣だけが3頭現れ、林内でふざけて追いかけっこしています。 
母親♀の姿は見えませんが、おそらく近くで採食しているはずです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


【考察】 
この巣穴で今季アナグマ♀から生まれた同腹の兄弟姉妹は4頭いたはずなのに、最近は3頭しか見かけません。 
まさか3頭が結託して仲間外れにしているのでしょうか?
それとも残りの幼獣1頭は死亡したのか?と心配になります。 
来季のヘルパー候補♂はあまり幼獣同士では遊ばずに母親とべったりなのかもしれない、と想像したものの、母親♀が旧営巣地に現れたときも同行していませんでした。 
前回の記事で紹介したように、足りない幼獣1頭は家族群からはぐれて迷子になったのか、それとも独り遊びが好きな個体なのかもしれません。(親離れや独立が早い個体?) 


2024/03/29

一時帰還した巣穴の近くで昼間に活動するニホンアナグマの母子【トレイルカメラ】探餌徘徊、幼獣の格闘遊び、相互毛繕いなど

 



2023年7月上旬 

旧営巣地に戻ってきたニホンアナグマMeles anakuma)家族の映像記録の続きです。 
夜行性だと思っていたアナグマが明るい昼間にこれほど活発に活動するとは意外でした。
幼獣が元気一杯なのは、どの種類の動物でも同じようです。

シーン1:7/9・午前6:25・晴れ(@0:00〜) 
晴れた朝ですが、前夜の雨で濡れたレンズがまだ少し曇っています。 
旧機種トレイルカメラの映像がなぜか急にフルカラーに戻りました。 

多数のアナグマ個体が奥の二次林で採餌していました。 
巣穴Rのアクセストレンチに1頭が残っているだけです。 
5倍速の早回し映像でご覧ください。 


シーン2:7/9・午前6:26・晴れ(@0:12〜) 
アナグマ家族群の全個体が林内をゆっくり歩きながら採餌活動しています。 


シーン3:7/9・午前6:29・晴れ(@0:24〜) 
ようやくレンズの曇りが乾き、画面がすっきり見やすくなりました。 
アナグマの♀成獣は褐色で、幼獣の体毛は白っぽく見えます。 

4頭の幼獣が先を争うように巣穴Rに入りかけました。 
何か危険が迫っている訳ではなく、はしゃぎ回っているだけのようです(遊び)。 
先頭を切って実際に入巣Rしたのは母親♀でした。 

幼獣は疲れて巣内で寝るのかと思いきや、未だ遊び足りないようです。 
広場に残った幼獣2頭が取っ組み合いの格闘遊びを始めました。 
巣内Rに入っていた幼獣個体も再び外に出て参戦。 


シーン4:7/9・午前6:32・晴れ・気温22℃(@1:24〜) 
別アングルに設置した監視カメラの映像に切り替えます。 
東から差し込む朝日が逆光になっています。 

巣口Lの周囲で3頭の幼獣が遊んでいます。 
しばらくすると、母親♀が左からノソノソと歩いて登場しました。 
獣道を辿って右上奥の灌木林へ向かいます。 
幼獣4頭も♀について歩きます。 

道中で1匹の幼獣が立木(樹種不明)に前脚を掛けながら立ち上がり、幹の匂いを嗅ぎました。(@2:07〜) 
何の目的がある行動なのか分かりませんが、アナグマは幼獣の時期から後脚で起立できることが分かりました。 

幼獣たちは遠くへは行かず、セットに駆け戻ってきました。 


シーン5:7/9・午前6:33・晴れ・気温24℃(@2:24〜) 
新機種のトレイルカメラなのに、昼間の連続撮影でなぜかモノクロ映像に戻ってしまいました。 (初めての症状で原因不明です。) 

幼獣が巣穴Lに出入りを繰り返しています。 
広場で2匹の幼獣が互いに突進して、ぶつかり稽古のように遊び始めました。 
突進すると見せかけてフェイントをかけたり、挑発するように横にピョンピョン跳ねたりと、微笑ましい遊びです。 
喧嘩の鳴き声は発していませんでした。 

母親♀が独りで採食に出かけた間、4頭の幼獣はセットで留守番しているようです。


シーン6:7/9・午前6:34・晴れ・気温26℃(@3:08〜) 
モノクロからフルカラーの映像へと自然に戻りました。 
これ以降、モノクロとフルカラーを交互に繰り返す謎の症状が発生します。 
直射日光がレンズに当たると眩しすぎて発症するのかな? 
気温の測定値が短時間で不自然に上昇したのも、カメラ本体に直射日光が当たったせいでしょう。(異常値とみなします) 

母親♀に呼ばれたのか、広場で遊んでいた幼獣2頭が獣道を辿って右上奥へ走り出しました。 
しばらくすると、画面の左下から幼獣1頭が登場しました。 
最後までセットに残っていた個体のようです。 
巣口Lをピョンと飛び越えると、仲間の後を追って獣道を駆け去りました。 


シーン7:7/9・午前6:36・晴れ・(@3:38〜) 
幼獣4兄弟(姉妹)が獣道からセットに戻ってきていました。 
その後から母親♀が獣道を歩いて来ると、幼獣が嬉しそうに出迎えて♀にまとわりつきます。 
既に離乳しているのか、母親♀を横から見ても腹面の乳首があまり目立たなくなっている気がします。 
親子全員が左に消えました。 


シーン8:7/9・午前6:40・晴れ・(@4:11〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
幼獣4頭はバラバラになり、各自が林床の地面を掘り返して採餌の真似事をしているようです。 
母親♀は巣口Rから離れ、独りで左奥の林内へ入って行きました。 


シーン9:7/9・午前6:44・晴れ・(@5:11〜) 
幼獣は3頭しか写っていません。 
そのうちの1頭が後ろ向きで巣穴Rの奥に引っ込みました。 
しばらくするとまた巣口Rに顔を出しました。 

別の幼獣2頭が広場で頭を突き合わせながら探餌徘徊しています。 
軽く突進して相手を牽制し、小競り合いが始まりました。 
軽い取っ組み合いで巣口Rの窪地に転がり落ちても、平気で起き上がります。 


シーン10:7/9・午前6:50・晴れ・(@6:11〜) 
ようやく幼獣4頭の全個体を確認できました。 
(母親♀は採餌に出かけていて留守です。) 
各自があちこちで採餌活動しています。 
幼獣の個体識別はできていませんが、幼獣にも個性がありそうです。 
例えば、いつも♀のそばに居たがる幼獣個体は将来のヘルパー候補♂なのかな? 

林縁で取っ組み合いの格闘遊びが勃発しました。 
巣穴Rへの出入りを繰り返して遊んでいます。 


シーン11:7/9・午前6:59・晴れ・(@7:11〜) 
いつの間にか母親♀がセットに戻って来ていました。 
巣口Rで1匹の幼獣と♀が相互毛繕いで挨拶しています。 

成獣が横を向いた際に、腹面に乳首が見えました。(@7:44〜) 
これでようやく成獣が母親♀であることが確定しました。 
それまでは、ヘルパー♂かもしれないという疑念を除外できませんでした。 

幼獣は♀に授乳を求めることはなくなり、完全に離乳したようです。 

 【アフィリエイト】



シーン12:7/9・午前7:44・晴れ・(@8:11〜) 
巣口R付近に母子全員が勢揃いしていました。
林縁の広場で寄り添い、相互毛繕いを始めました。 

ヘルパー♂の姿を全く見かけないのですけど、一体どこに居るのでしょう? 
幼獣が乳離れすると、ヘルパー♂はお役御免で追放されるのでしょうか?
この旧営巣地から転出した先の巣穴がどこにあるのか、私はまだ突き止められていません。 
アナグマ母子も懐かしの巣穴に一時帰還しただけで、本格的に再転入するつもりはないようです。 

やがて母親♀は仰向けになり、自分で毛繕いを始めました。 

幼獣2頭が相次いで巣穴Rに駆け込みました。 
巣外に残ったメンバーはのんびり過ごしてしています。 


シーン13:7/9・午前7:45・晴れ・(@9:11〜) 
親子で相互毛繕いしたり、体を掻いたりしています。 
幼獣の中には、巣穴Rへの出入りを繰り返したり、地面を前足で掻いて採餌の真似事をする個体もいます。 


シーン14:7/9・午前7:47・晴れ・(@10:11〜) 
幼獣1頭だけが母親♀の後をついて右へ立ち去りました。 
他の幼獣3頭はセットに残り、各自が探餌に励んでいます。 


シーン15:7/9・午前7:50・晴れ・(@11:11〜) 
採食に出かけていた母子がセットに帰ってきていました。 
幼獣が母親♀に向かって突進して甘えています。 
母子の順に巣穴Rに入りました。 
他の幼獣3頭の姿が見えません。 


シーン16:7/9・午前7:58・晴れ・気温24℃(@11:22〜) 
別アングルに設置した監視カメラの映像に切り替えます。 
新機種なのに、なぜか白黒映像です。 

母親♀が左の巣口R付近で仰向けになり自分で毛繕いしています。(乳首が見える) 
そこへ幼獣が近寄ると、対他毛繕いしてやります。 


シーン17:7/9・午前7:59・晴れ・気温26℃(@11:41〜) 
母親♀が獣道を辿って右上奥へ向かいました。 
旧営巣地からあまり遠くへは行かず、林内で独り採餌活動をしています。 
幼獣3頭はセットに留まり、おとなしく留守番しています。 
親の躾が行き届いているのか幼獣の本能なのか分かりませんが、勝手に動き回って林内で迷子にならない点に感心します。 


シーン18:7/9・午前8:01・晴れ・気温27℃(@12:41〜) 
再び母子の群れが勢揃いしました。 
幼獣のある個体が立木に前脚を掛けて立ち上がり、幹の匂いを嗅ぎました。(@13:10〜) 
続けて幼獣同士の格闘遊びが始まり、キャン♪と軽く吠えました。 
まるで避難訓練のように、幼獣たちは巣穴Lへの出入りを繰り返して遊んでいます。 
巣口Lをピョンと跳び越える様もかわいいですね。 
最後は4頭の兄弟姉妹が連れ立って左の死角へ行きました。 
「そして誰もいなくなった」 


シーン19:7/9・午前8:02・くもり・(@13:41〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
母親♀の周囲で4頭の幼獣が元気いっぱいではしゃぎ回っています。 
たまに♀が近くの幼獣に対他毛繕いしてやります。 
幼獣の中に黒っぽい個体がいますが、巣穴に出入りした際に黒土で汚れてしまったのでしょうか。 


シーン20:7/9・午前8:03・くもり・(@14:41〜) 
右から左へ母親♀が横切ります。(乳首が見える) 
営巣地に散乱する長い落枝をアナグマが踏むと落枝が動くので、逆に落枝に注目することで死角にいるアナグマの動きを想像することが出来ます。 


シーン21:7/9・午前8:04・くもり・(@15:21〜) 
♀が奥の二次林へ入り、採食しています。 
幼獣からはぐれないように、セットからあまり遠くには行かないようにしているようです。 
幼獣4頭も各自が地面を嗅ぎ回り前足で掻いて餌を探します。 

細長い立木に前脚を掛けて立ち上がる幼獣がいました。(@16:00〜) 
今回この行動を何度も見かけるのですが、特定の幼獣個体の癖なのか、何の目的があるのか、知りたいところです。 

そこへ別の幼獣個体がやって来て、幼獣同士の取っ組み合い(兄弟喧嘩)が始まりました。 
相手に噛み付いて組み伏せているものの、鳴き声は聞き取れません。 


シーン22:7/9・午前8:05・くもり・(@16:21〜) 
元気があり余っている幼獣2頭が巣穴R付近でひたすら格闘遊びを繰り広げています。 
その一方で、いつも母親♀について歩きたい甘えん坊の幼獣が1頭います。 
親の採餌法をよく見て覚えようとする勉強熱心な個体なのかもしれません。 
幼獣の性別が関係しているのかな? 


シーン23:7/9・午前8:08・くもり・(@17:20〜) 
各々がばらばらに活動しています。 
林縁の灌木の根本で虫でも見つけたのか、重点的に匂いを嗅いでいる幼獣がいます。 


シーン24:7/9・午前8:08・くもり・気温25℃(@18:21〜) 
別アングルの監視映像に切り替えました。 
幼獣1匹が巣口Lの近くで地面の窪みに顔を突っ込んで餌を探しています。 


シーン25:7/9・午前8:09・くもり(@19:20〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 散発的に幼獣同士で小競り合いが始まります。 
奥の農地からトラクターの騒音が聞こますけど、アナグマ家族は気にしていません。 

前脚を立木に掛けて起立する幼獣がいました。(@x:xx〜) 


シーン26:7/9・午前8:12・くもり・気温25℃(@20:20〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
幼獣1匹が右下隅から登場し、アクセストレンチLの落葉に鼻面を突っ込んで穴を掘りながら餌を探しています。 




2024/03/28

ヤマザクラの樹上で果実を食べるニホンザルの群れ

 

2023年7月上旬・午後13:30頃・晴れ 

里山の登山道を登り始めて間もない地点で野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れと遭遇しました。 
山中で猿の鳴き声が近づいてくるとその場に立ち止まって神経を集中し、揺れている木がないかどうか探します。 
すると大抵、樹上にニホンザルを見つけることが出来ます。 

葉の生い茂ったヤマザクラの樹上に登り降りして、果実を摘み食いしています。 
ヤマザクラの実は完熟すると黒くなるのですが、ニホンザルは半熟の赤い実も食べるようです。 

関連記事(11年前の撮影)▶ ニホンザルが群れでヤマザクラの果実を採食 


山麓で土木工事する重機の騒音がうるさいのに、ニホンザルは全く気にしていません。 
しかし、カメラに撮られていることに気づくと警戒し、枝葉の影に隠れたり木から降りたりしてしまいます。 
工事の騒音が止まると、近くの草むらからナキイナゴ♂(Mongolotettix japonicus)が鳴く声♪が聞こえました。 

関連記事(15年前の撮影)▶ ナキイナゴ♂の鳴き声♪


ヤマザクラの果実に含まれる堅い種子を噛む音がカリカリ♪と聞こえたのですが、葉の生い茂る樹上でサルの姿を見失ってしまい、動画で記録できませんでした。 
撮影アングルを求めて私が右往左往すると、ニアミスしそうになった個体が悲鳴を上げて逃げてしまいます。 
猿害問題の対策として、ニホンザルの群れが山から麓に降りてくる度にロケット花火を打って追い払っています。 
警戒心が強いのはそのためでしょう。 
一方、私のことを認識している群れは、山中で出会ってもあまり恐れずにリラックスして自分たちの行動を続けてくれます。 


数時間後に私が同じ山道を戻ってくると、ニホンザルの残した糞が点々と残されていました。(計3個) 
糞をほぐして調べれば、未消化のヤマザクラ種子が含まれているかも知れません。 
猿の採食時に噛み砕かれずに果肉と一緒に飲み込まれた種子は糞と一緒に排泄され、ヤマザクラの種子は遠くに散布されることになります。 


【アフィリエイト】 

2024/03/27

夜の渓谷で鼻息を荒らげて威嚇するニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶ 雪崩に埋もれた渓谷を深夜に連れ立って渡る2頭のニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】 

里山の渓谷(沢の源流部)が厳冬期に雪崩で埋もれ、そこを野生動物が恐る恐る渡っていました。 
春以降も引き続き定点観察したかったのですけど、トレイルカメラの台数が足りなくなり、泣く泣く引き払いました。 
他所のプロジェクトがようやく一段落ついたので、夏の渓谷を無人センサーカメラで監視することにしました。 
夏には切り立った崖を登り降りして沢を渡る野生動物の足跡や蹄跡が地面に残っています。(フィールドサイン)

 

冒頭のシーンは明るい昼間に撮れた現場の様子なのですが、ひどいモアレが生じてしまいました。
こんな症状は初めてです。
古いトレイルカメラを騙し騙し使い続けてきたので、いよいよ寿命なのかも知れません。
カメラを設置しながら試写したつもりなのですけど、夏の日差しが眩しすぎてカメラの液晶画面がよく見えず、ろくに確認できていませんでした。
こういうときの対処法として、液晶画面を覆う日除け(液晶サンシェード)を後に自作することになります。
幸い、夜の暗視映像には影響を及ぼしませんでした。


2023年7月上旬・午後21:25頃 

真っ暗な晩にトレイルカメラが起動すると、沢の流れる水音に混じってフシュ、フシュ♪と聞き馴染みのある音が渓谷の対岸から何度も鳴り響きました。 
ニホンカモシカCapricornis crispus)が対岸に現れたようで、立ち止まって何度も鼻息を荒らげているようです。 
しかし、威嚇の対象が不明です。 
まさかトレイルカメラの存在に気づいて警戒し、威嚇しているのでしょうか? 
あるいは夜の獣道で他の野生動物と遭遇したのかもしれません。
残念ながらトレイルカメラの旧機種は赤外線の光量が弱くて対岸までほとんど届かず、暗視映像ではカモシカの2つの目が点のように白く光っているだけです(赤丸@0:05)。 
動画編集時に試しに自動色調補正してもカモシカの姿は見えてこなかったので、その処理はキャンセルしました。 
それでも熱源の動きを検知するセンサーの感度には感心します。
カモシカが此岸に向かって渓谷を渡ってくれるかと期待したものの、そのまま90秒間の録画時間が終わってしまいました。 

ひょっとすると、同じ日の昼過ぎ(午後13:20〜13:40; 約8時間前)に私とつづら折れの山道で遭遇した♂と同一個体という可能性があります。 
明るい日中に出会ったときには、鼻息を荒らげて私に対して威嚇することは一度もありませんでした。

 関連記事(同日の撮影)▶  


※ カモシカの鼻息威嚇が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


【追記】
渓谷の深さの計り方。
沢の源流部で深い渓谷を渡るために、ヒトも野生動物も両岸の切り立った険しい崖を登り降りしなければいけません。
有蹄類のニホンカモシカが渡る場合は、「義経の鵯越の逆落し」のような迫力のある動画がトレイルカメラで撮れるのではないかと期待しています。
ところで、渓谷の深さをどうやったら測れるでしょうか?
長いロープを使うなど色々と考えてみたのですが、携帯したGPSで標高の表示をリアルタイムで見ながら実際に渡ってみると、両岸と谷底の高低差はわずか4〜5mでした。
私の個人的な体感としては10m以上ありそうだったのに、拍子抜けしました。   




【アフィリエイト】

2024/03/21

手まり咲きの白いアジサイの花で振動集粉♪するクロマルハナバチ♀

 

2023年7月上旬・午後16:55頃・くもり 

郊外の住宅地で民家の庭に植栽された白い手まり咲きのアジサイ(紫陽花)クロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
ガクアジサイから変化し、花序が球形ですべて装飾花となったアジサイは、「手まり咲き」と呼ばれる。(wikipedia:アジサイより引用)

クロマルハナバチ♀がアジサイの白い装飾花の奥に潜り込んでしまい、採餌シーンがしっかり観察できません。 
断続的にプーン♪という羽音が聞こえるということは、振動集粉をしているようです。 
実際には羽ばたかずに、胸部の飛翔筋を高速で激しく収縮させています。 
全身を細かく震わせて雄しべの葯から花粉を揺すって落とし、自らの体毛に付着した花粉を効率よく集める採餌法です。 
後脚の花粉籠には白い花粉団子を集めています。 
最後に蜂が飛び去る羽音はブーン♪という重低音で、振動集粉よりも周波数が低く聞こえます。 
つまり、飛翔時の羽ばたきよりも高速で飛翔筋を伸縮させて振動集粉していることが分かります。

※ 振動集粉の音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


関連記事(7、11年前の撮影)▶  
エゾアジサイの花で採餌するトラマルハナバチ♀ 


クロマルハナバチ♀の振動集粉を声紋解析してみる

いつものように、オリジナルの動画ファイルから音声パートをWAVファイルとして抽出してから、振動集粉および羽ばたく羽音を切り出し、それぞれスペクトログラムを描いてみました。 
遠くでニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)が絶え間なく鳴いていますし、私が手に持ったカメラからギシギシときしむ音を立ててしまったので、ピンクノイズが多いです。 
音程の違いだけでも可視化したかったのですが、説得力のあるきれいなスペクトログラムを得られませんでした。

振動集粉のスペクトログラム(2回分)

 
羽音のスペクトログラム


【アフィリエイト】 

2024/03/02

巣外で幼獣を世話するようになったニホンアナグマのヘルパー♂:6/14一夜の育児行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族がとある一夜(6/14)に巣外で過ごす様子をまとめました。 
既に報告済みの部分は除外した残りの行動です。 
別アングルに設置した新旧2台の自動撮影カメラで監視しています。 
トレイルカメラ2台分の監視映像を見直すのは大変ですけど、互いに補完し合えるので、アナグマの行動を正しく解釈できるようになります。


シーン1:6/14・午前3:50・気温18℃(@0:00〜) 
手前の巣穴Lに出入りしたアナグマが、巣外で体を掻き、左へ立ち去りました。 
この個体が♀なのかヘルパー♂なのか、識別ができていません。 
外出した個体は体中が泥だらけなので、なんとなくヘルパー♂のような気がするのですけど、定かではありません。 
深夜(日の出前)の行動はこれが最後でした。 
日の出時刻は午前4:13。 

採餌のために外出した個体が帰巣するシーンが撮れていないのが気がかりです。 
技術的な問題でトレイルカメラが撮り損ねているだけなら良いのですが、私の知らない別の出入り口がどこかにあるのでしょうか? 



シーン2:6/2・午後18:12:・気温19℃(@0:29〜) 
アナグマは明るい昼間、巣内で寝ています。 
日の入り時刻は午後19:06。 
日によって状況は変わるようですが、この日6/14は巣穴Lの居室に子育て中の母子が陣取り、ヘルパー♂は巣穴Rに住んでいたようです。 
夕方に薄暗くなると、目覚めた成獣2頭(母親とヘルパー♂)が巣外に出て相互毛繕いするのが、1日の始まりのルーチンであることが分かってきました。 

夕方の挨拶が済むと、♀は巣穴Lに戻りました。 
巣外に残った個体は、体の痒い部分を掻きむしったり毛繕いしたりしています。 
このとき腹面に乳首がなくて股間に睾丸が見えたので、ヘルパー♂(1歳仔♂)と判明。(@1:19〜) 

やがて巣穴Lから後ろ向きで再び外に出てきた♀は、幼獣1頭の首筋を咥えていました。 
幼獣を巣口Lに残したまま、♀はヘルパー♂と再び相互毛繕い。 
その間に巣口Lの幼獣は中に戻ってしまったようです。 
しばらくすると、♀は再び入巣L。 
ヘルパー♂が仰向けの大股開きで毛繕いしてくれるので、睾丸だけでなく陰茎も見えました。(@2:46〜) 
再び出巣Lした♀と相互毛繕い。 
♀の腹面には横から見ても乳首が目立ちます。 

巣口Lから自力で登って来た幼獣に気を取られて♀が振り返ると、ヘルパー♂は♀の背後から尻の匂いを嗅ぎました。(@3:22〜) 
初めて見る行動ですが、イヌはよくやります。
アナグマの場合は、臭腺や肛門腺の匂いを確認しているのでしょう。 

♀は巣口Lから1頭の幼獣の首筋を咥えてアクセストレンチに引きずり出しました。 


シーン3:6/14・午後18:18・(@3:57〜) 
成獣♀♂ペア(というか親子)と幼獣1頭が巣外で一緒になり、仲睦まじく相互毛繕いしています。 
♀が巣穴Lに戻ると、巣外に残ったヘルパー♂が幼獣の毛皮を舐め始めました。(@4:06〜) 
ヘルパー♂から幼獣への対他毛繕い(直接的な育児行動)を見るのは初めてかもしれません。
幼獣がある程度育つまでは、ヘルパー♂が幼獣に触れたり近づいたりするのを♀が禁じていたのではないかという気がしています。
(観察歴の浅い私の個体識別が不完全だっただけで、これまでもやっていた可能性はあります。)

巣外でしばらく幼獣の尻を舐めてやってから、ヘルパー♂は自分が先導して幼獣を巣穴Rへ誘導しました。 
幼獣がヘルパー♂の居る方へ向かって進もうとするものの、巣口Rが深いので踏み留まっています。 
勇気を出して脚を踏み出したら巣口Rの断崖をずり落ちそうになり、おまけに灌木の細い根っこが首に挟まってしまいました。 
進退窮まった幼獣はケケケケ♪というような遭難声♪を発しました。(@6:24〜) 
それを聞いたヘルパー♂が右から戻って来ました。 
同時に♀が左の巣穴Lから心配そうに顔を出しました。 
もがいていた幼獣が巣口Rに転がり落ちてしまいました。 
それを見た♀が慌てて左の巣口Lから駆け寄り、巣口Rで幼獣を舐めてやって安心させました。 
♀が突進してくると、ヘルパー♂は右に退散してしまいました。 
♀に怒られると思って、怯えたように見えます。
擬人化すると、「幼獣が悲鳴を上げたのは俺のせいじゃない。俺は悪くない!悪くない!」とヘルパー♂は慌てて言い訳してそうです。 

やがてヘルパー♂が戻ってくると、3頭(♀とヘルパー♂と幼獣)が一緒になって相互毛繕いを始めました。 
成獣2頭の間に幼獣が割り込もうとしたりして、微笑ましい光景です。 
急に♀が怒ってヘルパー♂に軽く攻撃しました。(@7:31〜) 
ヘルパー♂から♀への対他毛繕いがしつこかったのか、それとも幼獣に構うヘルパー♂を♀が追い払ったのか、カメラのアングルがいまいちでよく分かりませんでした。
いずれにしても、子育て中の母親♀の機嫌を取るのは難しいようです。 
ヘルパー♂はすごすごと林縁に退散して、バツが悪そうに自分の体を掻いています。 
ほとぼりが冷めてから再び広場の母子に近づこうとしたものの、♀に軽く牽制されてしまいました。(@8:00〜) 

ところがすぐ後に別アングルのカメラに切り替わると(@8:10〜)、♀の方からヘルパー♂に歩み寄って仲直りの相互毛繕いを始めました。 
互いに毛皮を舐めたり甘噛みしたりしています。 
なんとも仲睦まじい一家団欒の光景です。 
アナグマの♂が若いヘルパー(1歳仔の息子♂)だという予備知識がなければ、疑いもなく一夫一妻制だと思うはずです。

幼獣の世話をヘルパー♂に任せた♀が手前の巣穴Lに入りかけると、(@8:57〜) ヘルパー♂が急に何かに警戒して(驚いて?)、奥の巣穴Rの方に駆け出しました。 
♀の発した唸り声♪(怒声? 警戒声?)を聞いて、咄嗟に巣穴Rへ逃げ込もうとしたようです。
このとき咄嗟に幼獣を守ろうとしないで広場に置き去りにした点が興味深く思いました。 
今回は幸い、何事もありませんでした。 
しかし、危機に際して幼い兄弟姉妹を見殺しにしかねないヘルパー♂の不作為は注目に値します。 
アナグマにも嫉妬からくるカイン・コンプレックスがあるとしたら、ヘルパー制度はそもそも成り立たないはずです。
ヘルパー♂と幼獣が異父兄弟だとすると、血縁度が0.25と低いため、ヘルパー♂が幼獣を守るという利他的行動のメリットが乏しいと説明可能です。 
嗅覚が鋭いアナグマは家族内で互いに体臭を嗅いだだけで個体識別できたり、血縁度まで分かってしまうのでしょうか? 
あるいは、母親♀が怒るので、ヘルパー♂は幼獣を救助するどころか下手に手を出せないのかな? 
例えば、ヘルパー♂が巣内から幼獣を咥えて外に連れ出す行動を私は一度も見たことがありません。(母親♀が許さないのでしょう。) 

やがて幼獣は自力でアクセストレンチを下って母親の後を追うように入巣Lしました。 
 一度ヘルパー♂は巣穴Lに戻りかけたのですが、中を覗き込んだだけで、巣外の広場に戻りました。 
ひたすら毛繕いと体掻きを続けています。 

巣外に独り残されたヘルパー♂は巣口Rに向かいました。 
この後、ヘルパー♂は独りで巣穴Rの拡張工事を始めました。 

関連記事()▶  


シーン4:6/14・午後18:52・気温22℃(@9:45〜) 
穴掘り作業が一段落したのか、それとも重労働で疲れた(飽きた)のか、ヘルパー♂が広場で仰向けになり、毛繕いしています。 
赤外線の暗視動画はモノクロなので分かりづらいのですけど、おそらく全身黒土で汚れているようです。 
腹面に乳首が見えず、股間に陰茎および睾丸があることから♂と分かります。(@9:55〜) 
長々と時間をかけて毛づくろいすると、ようやくヘルパー♂は営巣地を離れて獣道を左に立ち去りました。(@11:40〜) 
空腹になって採餌に出かけたのかもしれません。 
あるいは、体の泥汚れを落とすために、近くの小川や田んぼへ水浴びしに行ったのではないかと予想しました。
もしかしてアナグマは泥汚れも気にならず、水浴行動をやらないのかな?
アナグマが頻繁に体を掻いているということは、吸血性の体外寄生虫に悩まされていることを意味します。
砂浴びをする鳥のように、アナグマも穴を掘って土を全身に浴びることで体外寄生虫を少しでも駆除しようとしているのかもしれません。

ヘルパー♂の帰巣シーンは撮れていません。


シーン5:6/14・午後19:20・気温21℃(@11:46〜) 
巣穴Lから♀が外に出てきました。 
巣外で独り身だしなみを整えると、1頭の幼獣を外に連れ出して毛繕いを始めました。 
更にもう2頭の幼獣も巣口Lから自力でアクセストレンチの傾斜を登って来ます。 
巣外に出た幼獣は計3頭になりました。 

今回も4頭の幼獣を同時に外出させるシーンが一度もなかった点が興味深いです。 
どうやら、この母親♀は幼獣を3+1頭の2組に分けて育児をしているようです。 
授乳・睡眠のリズムが1頭だけ違うのでしょうか。
アナグマの♀には普通3対6個の乳首があるはずですけど、ひょっとするとこの♀個体は乳の出が悪くて、4頭の幼獣を同時に授乳できないのかもしれません。
来季のヘルパー♂候補に特別な帝王学を授けるために、他の兄弟姉妹と分けて育てているとしたら面白いですね。(素人の勝手な妄想です) 
次のヘルパー候補の幼獣♂の子育てはヘルパー♂に任せていたりして…と素人が勝手に妄想してみました。
この問題を解明するには、映像から幼獣を個体識別しないといけません。
しかし幼獣の性別を見分けるのも私には難し過ぎて、とても無理です。 

後半になるとトレイルカメラの電池が消耗して、断片的な短い映像しか撮れなくなりました。 
それでも熱源を動体検知する度に健気に起動して、短いながらも録画してくれます。 

午後19:25にカメラの電池が完全に切れて、撮影終了。 
最後の画面には2頭の幼獣だけが写っていて、♀は不在に見えます。 
左の死角にいるのか、それとも巣穴Lに戻って残りの幼獣の世話をしているのか、不明です。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


アナグマは巣外で過ごすほとんどの時間を毛繕いと体掻きに費やしています。 
体中が痒い原因は、巣内で吸血性の体外寄生虫(ノミやダニなど)が蔓延しているのではないか?と心配になります。 
ただし、疥癬のように体毛がどんどん抜ける症状は見ていません。
余談ですが、設置したトレイルカメラの電池を交換するために、定期的に現場入りする必要があります。 
撮れた動画をその場でチェックするのに長時間かかるため、私はアナグマ営巣地(セット)の林床に直に座り込んで作業していました。 
梅雨時は蒸し暑いので、長ズボンではなく短パンを履いていました。 
ヤブ蚊は意外と気にならないのですが、帰宅すると、鼠径部がひどく痒くなりました。 
おそらく私が気づかない間に何か吸血性の虫が私の脚を這い登って短パンの隙間から潜り込み、私の無防備な股間を刺したり噛んだりしたのでしょう。 
皮膚科を受診するまでもなく、まめに入浴して鼠径部を清潔に保ったら自然に治癒しました。
患部を掻き毟りたくなる衝動を必死に我慢するのが大変でした。
これに懲りた私は、アナグマ営巣地で地面に直接座るのを止めました。 
必ず折り畳み椅子を持参して、それに座るようにしています。 
長ズボンを履いていたら鼠径部の虫さされを防げたかもしれませんが、夏は耐え難い暑さで熱中症になりそうです。 
営巣地の森に踏み込む前に虫除けスプレーを予め全身に噴霧するかどうか迷いました。
嗅覚の鋭いアナグマが虫除けスプレーの異臭を嫌がるのではないかと心配で、今季は一度も使わず我慢しました。 
こういう細かいノウハウはアナグマ関連の文献を読んでも書いてないため、自分で失敗しながら工夫するしかありません。 
お恥ずかしい裏話ですが、せっかくですのでブログに記録しておきます。 




【アフィリエイト】



 

↑【おまけの動画】 
兄弟を助けたくなる条件とは?利他行動を定式化した「ハミルトン則」【血縁淘汰2】#64 by ゆる生態学ラジオ 

ラジオ形式にこだわっているチャンネルのため、この難解なトピックを図表を使わずにトークだけで解説しようとチャレンジしています。 
(私にはとても無理です。)

2024/02/27

ニホンアナグマのヘルパー♂は母親♀と相互毛繕いするだけで育児を手伝わない:6/13一夜の諸活動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬

新旧2台のトレイルカメラで別アングルからニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を監視しています。 
母親♀がとある一夜(6/13)に巣外で幼獣4頭の世話をする様子をまとめました。 
この日はヘルパー♂も登場します。

夜のアナグマは巣外に出て2つの巣穴LRをうろうろと行き来しています。 
巣内でつながっているはずなのに、なんでそんなことをするのか不思議です。
日によって状況は変わりますが、6/13の時点では、巣穴Rは母子が暮らす育児部屋として使われていて、巣穴Lにはヘルパー♂が住んでいると映像から推測できました。 
巣穴の内部構造を素人がどうやって確かめたらよいか分かりません。 
非破壊検査の地中レーダー探査とかやれば、中に住むアナグマに影響を与えずに巣穴の構造を知ることができるのかな?

梅雨の時期なので、断続的に雨が降ります。 
巣外のアナグマはときどき身震いして濡れた毛皮の水気を切るだけで、雨をほとんど気にせずに活動しています。(同じ日の雨夜に幼獣を外に連れ出す動画はこちら。) 

夜行性のアナグマは明るい昼間は巣内で寝て、夕方に暗くなってから巣外活動を再開します。
(日の入り時刻は午後19:05) 

午後18:06〜・気温23℃(@2:38〜) 
久しぶりに成獣2頭(母親♀とヘルパー♂)が同時に巣外に出て、挨拶代わりの相互毛繕いをし始めました。 
日没前の林床は薄暗いですが、辛うじて自然光下で撮影できました。 
乳首または陰茎が見えないと個体識別できないのがつらいところです。 
なんとなく、巣穴Lに近い方がヘルパー♂で、巣穴Rに近い方が♀ではないかという気がします。 
途中から、巣口Rに計4頭の幼獣たちが出て来ました。(@4:38〜) 
巣口Rのアクセストレンチは傾斜が急すぎて、幼獣はまだ自力では登れないようです。 
幼獣が勝手に外に出れないように作られてあるのでしょうか? 
それとも逆に、幼獣にとってバリアフリーとなるように巣口Rのアクセストレンチをなだらかにする工事をこれからするのかな? 

ヘルパー♂との相互毛繕いを終えた♀が巣口Rに戻って、幼獣の毛皮を舐めてやります。 
巣口Rに戻った成獣の腹面にようやく乳首が見えたので、私の予想通り♀と判明しました。(@5:24〜) 
ヘルパー♂は一旦、巣穴Lに戻りました。(@5:30〜) 

母親♀は独りで奥の林縁に座り、仰向けで毛繕いしています。 
巣口Rからようやく幼獣が1匹ずつ外に登ってきて、母親の元へ辿り着きました。 
幼獣は邪魔な落枝を乗り越えるのに苦労しています。 
♀は労をねぎらうように幼獣の体を舐めてやります。 
♀が前から来た幼獣とすれ違う際に跨いで尻を軽く擦り付けました。(アロマーキング@9:20〜) 
勝手に巣穴Lに入ってしまった幼獣の首筋を咥えて外に連れ戻しています。 
再び幼獣にアロマーキング(@11:04〜)。 
ようやく全ての幼獣を巣穴Rに連れ戻すと、♀は独りで巣穴Lへ入りました。 

再びヘルパー♂と♀の成獣2頭だけが巣外に出てきました。(@12:13〜) 
アクセストレンチLに仲良く並んで座り、相互毛繕いを始めました。 
アナグマの社会にヘルパー制度があると知らないでこの光景を見たら、一夫一妻制で仲の良い♀♂つがいだなと思ってしまいますね。 
春の交尾期の様子を観察すると、アナグマが一夫一妻制でないのは私でも分かります。
もう相当暗くなったのに、新機種のトレイルカメラがなぜか赤外線の暗視モードに切り替わってくれません。 
仕方がないので、動画編集時に強引に明るく加工しました。 
画質が粗くなるのは仕方がありません。 
別アングルに設置した旧機種では暗視モードで録画できています。 

ようやく♀が別れて入巣Rしました。 
ヘルパー♂だけが巣外に残り、痒い体を掻いたり自分で毛繕いしたり、のんびり過ごしています。 
しばらくすると、ヘルパー♂も入巣Lしました。 
すぐにまた出巣Lしました。 
実はこの後で、ヘルパー♂は巣口Rを掘り広げる工事を始めました。 

すっかり暗くなると(晩に)、巣口Rから母子が外に出て来ました。 
♀から幼獣へ対他毛繕い。


ヘルパー♂が育児(幼獣への対他毛繕いなど)を直接的に手伝っている様子を私はこれまで一度も見たことがありません。 
(個体識別が不完全なせいで見落としているのかと不安になります。)
むしろヘルパー♂であっても幼獣には触れるのも近づくのも母親♀が決して許さず神経質に守っているのかもしれません。 
真っ暗な巣内ではヘルパー♂も育児を分担しているのかな?
ファイバースコープを巣内に突っ込んで観察してみたいのですが、育児期間中に下手なことはしない方が良さそうです。
ヘルパー♂が♀に餌を持ってきて給餌する様子も見たことがありません。
ヘルパー♂が用心棒としての役目を果たしている様子も見たことありませんが、営巣地の周辺に排尿マーキングして歩くだけでも、縄張り防衛になっているのかもしれません。
何が言いたいかというと、アナグマのヘルパー♂は穴掘り以外で♀の育児をほとんどヘルプしていないのに、果たしてヘルパーと呼んで良いのかどうか疑問になってきました。
ヘルパー♂の貢献度に個体差があるのかな?(年によって違うのか?)



※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 




2024/02/26

梅雨の深夜に幼獣2頭を外に連れ出すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

シーン1:6/13・午前3:38・雨天・気温20℃(@0:00〜) 
雨が降りしきる深夜未明にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣外から手前の巣穴Lに入ると、2頭の幼獣を外に連れ出しました。 
そのまま巣口Lで幼獣たちの毛繕いをしてやっています。 
残る2頭の幼獣は巣内Lでおとなしく寝ているのでしょう。


シーン2:6/13・午前3:40・(@0:51〜) 
巣外で♀が身震いしたり地面を掘ってミミズなどの餌を探したりしている間に、幼獣2頭が自力でアクセストレンチを登ってきます。 
出迎えた♀は幼獣を咥えたり前足で転がしたりして、手元に引き寄せ、排泄物で汚れた尻の辺りを重点的に舐めてやります。 


シーン3:6/13・午前3:42・(@1:51〜) 
♀が幼獣を誘導して少しずつ右へ移動します。 
その途中で♀が幼獣の上に軽く座って尻を擦りつけ、匂い付けしたようです。(アロマーキング@2:12) 
♀は林床の地面や落葉の匂いを嗅ぎ回り、自分の食べる餌を探しているようです。 


シーン4:6/13・午前3:42・(@2:51〜) 
別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラによる広角の映像で同じシーンを振り返ります。 
後半♀は幼獣を連れて左へ探餌徘徊に行きました。 


シーン5:6/13・午前3:43・(@2:55〜) 
新機種トレイルカメラの映像に戻ります。 
♀が林床で探餌徘徊している間に、幼獣2頭は♀の周囲をうろついています。 
子連れなので遠出はしないで、巣口Lの周囲に留まっています。 
幼獣は空腹ではないようで、♀の乳首に吸い付くことはありませんでした。 
深夜でも気温が充分に高いので、幼獣が雨に長時間濡れても低体温症になる心配はないようです。 
むしろ水浴代わりのシャワーになって、体毛の汚れが落ちるのかもしれません。 


シーン6:6/13・午前3:44・(@3:07〜) 
♀が率先して奥の巣穴Rに入りました。 
2頭の幼獣もその後をついて行きますが、入巣Rまで見届けられませんでした。 


シーン7:6/13・午前3:44・(@3:38〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
カメラの電池が消耗していて、断片的な映像しか撮れなくなりました。 
♀が右の巣穴Rに入った後は、幼獣2頭だけが巣外に取り残されています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/25

ニホンアナグマ♀に叱られてもめげずに巣口を外から掘り広げるヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬・午後18:55頃・(日の入り時刻は午後19:05) 

日没直前の夕刻なのに鬱蒼とした二次林の中はもうすっかり暗くなり、トレイルカメラは赤外線の暗視モードで起動しました。 
右側の巣口Rは実は更に左右2つの入口(RrとRl)に別れています。 

ニホンアナグマMeles anakuma)のヘルパー♂が巣外に出て、右側の巣口Rrを前脚で掘り広げていました。 
ところが、穴掘り作業中に巣穴Rlの中から母親♀が吠えながら飛び出してきて、ヘルパー♂を撃退してしまいました。 
母親から(理不尽に)ガミガミ叱られたヘルパー♂(1歳仔の息子♂)はすごすごと林縁広場に戻って座り、巣口Rlの♀と互いに見つめ合っています。 
♀も巣外に飛び出してヘルパー♂を遠くまで追い払うほど怒ってはいないようです。 

重労働の穴掘り作業はヘルパー♂が分担するというのが定説なので、とても意外な展開でした。 
ヘルパー♂を危険な侵入者(テンやキツネなどの天敵)と誤認したのでしょうか? 
単に♀は寝起きで機嫌が悪かったのかな?
近くの田畑で昼間ずっと農作業しているトラクター?の騒音や振動が営巣地(セット)まで響いているのがストレスなのかもしれません。 

♀が巣穴Rlに引っ込むと、ヘルパー♂は懲りずに巣口Rrの拡張工事を再開しました。 
左右の前脚を交互に使って後ろに土を掻き出しながら後退するので、結果的にアクセストレンチ(傾斜のついた溝と排土の小山)が形成されます。 

穴掘り作業を止めたヘルパー♂は、二次林の中へゆっくり入って行きました。 
おそらく疲れて空腹になり、採食に出かけたようです。 

※ 登場したアナグマ2頭の性別は、外見の特徴からではなく、行動から推定しました。 
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


この営巣地は♀が毎年子育てする場所です。
4頭の幼獣が順調に育つと子供部屋や巣口が狭くなるのでしょう。
子育てで忙しい♀がヘルパー♂に掘り広げてもらいたかったのは、そっちの穴(Rr)ではなかったのかもしれません。
ヘルパー♂の仕事ぶりに♀が不満を持ったとして、巣穴の拡張プランをヘルパー♂に細かく具体的に指示するなんてことはあるのでしょうか?
アナグマにそんな高度なコミュニケーション能力があるとは思えません。
(♀が自ら手本を示すしかない気がします。)
ヘルパーを務めるのは1歳仔(性成熟する前の若い♂)ですから、♀より腕力は多少あっても造巣経験が浅いままでヘルパーを卒業(巣立ち)してしまいます。
翌年は1歳下の弟が次のヘルパーを務めることになります。
代々の若いヘルパー♂たちが気分任せで行きあたりばったりに(または本能に従って)穴を掘るだけで、 うまいこと造巣できるのが不思議です。


ランダムに記事を読む