ラベル 鳴き声 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 鳴き声 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024/03/02

巣外で幼獣を世話するようになったニホンアナグマのヘルパー♂:6/14一夜の育児行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族がとある一夜(6/14)に巣外で過ごす様子をまとめました。 
既に報告済みの部分は除外した残りの行動です。 
別アングルに設置した新旧2台の自動撮影カメラで監視しています。 
トレイルカメラ2台分の監視映像を見直すのは大変ですけど、互いに補完し合えるので、アナグマの行動を正しく解釈できるようになります。


シーン1:6/14・午前3:50・気温18℃(@0:00〜) 
手前の巣穴Lに出入りしたアナグマが、巣外で体を掻き、左へ立ち去りました。 
この個体が♀なのかヘルパー♂なのか、識別ができていません。 
外出した個体は体中が泥だらけなので、なんとなくヘルパー♂のような気がするのですけど、定かではありません。 
深夜(日の出前)の行動はこれが最後でした。 
日の出時刻は午前4:13。 

採餌のために外出した個体が帰巣するシーンが撮れていないのが気がかりです。 
技術的な問題でトレイルカメラが撮り損ねているだけなら良いのですが、私の知らない別の出入り口がどこかにあるのでしょうか? 



シーン2:6/2・午後18:12:・気温19℃(@0:29〜) 
アナグマは明るい昼間、巣内で寝ています。 
日の入り時刻は午後19:06。 
日によって状況は変わるようですが、この日6/14は巣穴Lの居室に子育て中の母子が陣取り、ヘルパー♂は巣穴Rに住んでいたようです。 
夕方に薄暗くなると、目覚めた成獣2頭(母親とヘルパー♂)が巣外に出て相互毛繕いするのが、1日の始まりのルーチンであることが分かってきました。 

夕方の挨拶が済むと、♀は巣穴Lに戻りました。 
巣外に残った個体は、体の痒い部分を掻きむしったり毛繕いしたりしています。 
このとき腹面に乳首がなくて股間に睾丸が見えたので、ヘルパー♂(1歳仔♂)と判明。(@1:19〜) 

やがて巣穴Lから後ろ向きで再び外に出てきた♀は、幼獣1頭の首筋を咥えていました。 
幼獣を巣口Lに残したまま、♀はヘルパー♂と再び相互毛繕い。 
その間に巣口Lの幼獣は中に戻ってしまったようです。 
しばらくすると、♀は再び入巣L。 
ヘルパー♂が仰向けの大股開きで毛繕いしてくれるので、睾丸だけでなく陰茎も見えました。(@2:46〜) 
再び出巣Lした♀と相互毛繕い。 
♀の腹面には横から見ても乳首が目立ちます。 

巣口Lから自力で登って来た幼獣に気を取られて♀が振り返ると、ヘルパー♂は♀の背後から尻の匂いを嗅ぎました。(@3:22〜) 
初めて見る行動ですが、イヌはよくやります。
アナグマの場合は、臭腺や肛門腺の匂いを確認しているのでしょう。 

♀は巣口Lから1頭の幼獣の首筋を咥えてアクセストレンチに引きずり出しました。 


シーン3:6/14・午後18:18・(@3:57〜) 
成獣♀♂ペア(というか親子)と幼獣1頭が巣外で一緒になり、仲睦まじく相互毛繕いしています。 
♀が巣穴Lに戻ると、巣外に残ったヘルパー♂が幼獣の毛皮を舐め始めました。(@4:06〜) 
ヘルパー♂から幼獣への対他毛繕い(直接的な育児行動)を見るのは初めてかもしれません。
幼獣がある程度育つまでは、ヘルパー♂が幼獣に触れたり近づいたりするのを♀が禁じていたのではないかという気がしています。
(観察歴の浅い私の個体識別が不完全だっただけで、これまでもやっていた可能性はあります。)

巣外でしばらく幼獣の尻を舐めてやってから、ヘルパー♂は自分が先導して幼獣を巣穴Rへ誘導しました。 
幼獣がヘルパー♂の居る方へ向かって進もうとするものの、巣口Rが深いので踏み留まっています。 
勇気を出して脚を踏み出したら巣口Rの断崖をずり落ちそうになり、おまけに灌木の細い根っこが首に挟まってしまいました。 
進退窮まった幼獣はケケケケ♪というような遭難声♪を発しました。(@6:24〜) 
それを聞いたヘルパー♂が右から戻って来ました。 
同時に♀が左の巣穴Lから心配そうに顔を出しました。 
もがいていた幼獣が巣口Rに転がり落ちてしまいました。 
それを見た♀が慌てて左の巣口Lから駆け寄り、巣口Rで幼獣を舐めてやって安心させました。 
♀が突進してくると、ヘルパー♂は右に退散してしまいました。 
♀に怒られると思って、怯えたように見えます。
擬人化すると、「幼獣が悲鳴を上げたのは俺のせいじゃない。俺は悪くない!悪くない!」とヘルパー♂は慌てて言い訳してそうです。 

やがてヘルパー♂が戻ってくると、3頭(♀とヘルパー♂と幼獣)が一緒になって相互毛繕いを始めました。 
成獣2頭の間に幼獣が割り込もうとしたりして、微笑ましい光景です。 
急に♀が怒ってヘルパー♂に軽く攻撃しました。(@7:31〜) 
ヘルパー♂から♀への対他毛繕いがしつこかったのか、それとも幼獣に構うヘルパー♂を♀が追い払ったのか、カメラのアングルがいまいちでよく分かりませんでした。
いずれにしても、子育て中の母親♀の機嫌を取るのは難しいようです。 
ヘルパー♂はすごすごと林縁に退散して、バツが悪そうに自分の体を掻いています。 
ほとぼりが冷めてから再び広場の母子に近づこうとしたものの、♀に軽く牽制されてしまいました。(@8:00〜) 

ところがすぐ後に別アングルのカメラに切り替わると(@8:10〜)、♀の方からヘルパー♂に歩み寄って仲直りの相互毛繕いを始めました。 
互いに毛皮を舐めたり甘噛みしたりしています。 
なんとも仲睦まじい一家団欒の光景です。 
アナグマの♂が若いヘルパー(1歳仔の息子♂)だという予備知識がなければ、疑いもなく一夫一妻制だと思うはずです。

幼獣の世話をヘルパー♂に任せた♀が手前の巣穴Lに入りかけると、(@8:57〜) ヘルパー♂が急に何かに警戒して(驚いて?)、奥の巣穴Rの方に駆け出しました。 
♀の発した唸り声♪(怒声? 警戒声?)を聞いて、咄嗟に巣穴Rへ逃げ込もうとしたようです。
このとき咄嗟に幼獣を守ろうとしないで広場に置き去りにした点が興味深く思いました。 
今回は幸い、何事もありませんでした。 
しかし、危機に際して幼い兄弟姉妹を見殺しにしかねないヘルパー♂の不作為は注目に値します。 
アナグマにも嫉妬からくるカイン・コンプレックスがあるとしたら、ヘルパー制度はそもそも成り立たないはずです。
ヘルパー♂と幼獣が異父兄弟だとすると、血縁度が0.25と低いため、ヘルパー♂が幼獣を守るという利他的行動のメリットが乏しいと説明可能です。 
嗅覚が鋭いアナグマは家族内で互いに体臭を嗅いだだけで個体識別できたり、血縁度まで分かってしまうのでしょうか? 
あるいは、母親♀が怒るので、ヘルパー♂は幼獣を救助するどころか下手に手を出せないのかな? 
例えば、ヘルパー♂が巣内から幼獣を咥えて外に連れ出す行動を私は一度も見たことがありません。(母親♀が許さないのでしょう。) 

やがて幼獣は自力でアクセストレンチを下って母親の後を追うように入巣Lしました。 
 一度ヘルパー♂は巣穴Lに戻りかけたのですが、中を覗き込んだだけで、巣外の広場に戻りました。 
ひたすら毛繕いと体掻きを続けています。 

巣外に独り残されたヘルパー♂は巣口Rに向かいました。 
この後、ヘルパー♂は独りで巣穴Rの拡張工事を始めました。 

関連記事()▶  


シーン4:6/14・午後18:52・気温22℃(@9:45〜) 
穴掘り作業が一段落したのか、それとも重労働で疲れた(飽きた)のか、ヘルパー♂が広場で仰向けになり、毛繕いしています。 
赤外線の暗視動画はモノクロなので分かりづらいのですけど、おそらく全身黒土で汚れているようです。 
腹面に乳首が見えず、股間に陰茎および睾丸があることから♂と分かります。(@9:55〜) 
長々と時間をかけて毛づくろいすると、ようやくヘルパー♂は営巣地を離れて獣道を左に立ち去りました。(@11:40〜) 
空腹になって採餌に出かけたのかもしれません。 
あるいは、体の泥汚れを落とすために、近くの小川や田んぼへ水浴びしに行ったのではないかと予想しました。
もしかしてアナグマは泥汚れも気にならず、水浴行動をやらないのかな?
アナグマが頻繁に体を掻いているということは、吸血性の体外寄生虫に悩まされていることを意味します。
砂浴びをする鳥のように、アナグマも穴を掘って土を全身に浴びることで体外寄生虫を少しでも駆除しようとしているのかもしれません。

ヘルパー♂の帰巣シーンは撮れていません。


シーン5:6/14・午後19:20・気温21℃(@11:46〜) 
巣穴Lから♀が外に出てきました。 
巣外で独り身だしなみを整えると、1頭の幼獣を外に連れ出して毛繕いを始めました。 
更にもう2頭の幼獣も巣口Lから自力でアクセストレンチの傾斜を登って来ます。 
巣外に出た幼獣は計3頭になりました。 

今回も4頭の幼獣を同時に外出させるシーンが一度もなかった点が興味深いです。 
どうやら、この母親♀は幼獣を3+1頭の2組に分けて育児をしているようです。 
授乳・睡眠のリズムが1頭だけ違うのでしょうか。
アナグマの♀には普通3対6個の乳首があるはずですけど、ひょっとするとこの♀個体は乳の出が悪くて、4頭の幼獣を同時に授乳できないのかもしれません。
来季のヘルパー♂候補に特別な帝王学を授けるために、他の兄弟姉妹と分けて育てているとしたら面白いですね。(素人の勝手な妄想です) 
次のヘルパー候補の幼獣♂の子育てはヘルパー♂に任せていたりして…と素人が勝手に妄想してみました。
この問題を解明するには、映像から幼獣を個体識別しないといけません。
しかし幼獣の性別を見分けるのも私には難し過ぎて、とても無理です。 

後半になるとトレイルカメラの電池が消耗して、断片的な短い映像しか撮れなくなりました。 
それでも熱源を動体検知する度に健気に起動して、短いながらも録画してくれます。 

午後19:25にカメラの電池が完全に切れて、撮影終了。 
最後の画面には2頭の幼獣だけが写っていて、♀は不在に見えます。 
左の死角にいるのか、それとも巣穴Lに戻って残りの幼獣の世話をしているのか、不明です。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


アナグマは巣外で過ごすほとんどの時間を毛繕いと体掻きに費やしています。 
体中が痒い原因は、巣内で吸血性の体外寄生虫(ノミやダニなど)が蔓延しているのではないか?と心配になります。 
ただし、疥癬のように体毛がどんどん抜ける症状は見ていません。
余談ですが、設置したトレイルカメラの電池を交換するために、定期的に現場入りする必要があります。 
撮れた動画をその場でチェックするのに長時間かかるため、私はアナグマ営巣地(セット)の林床に直に座り込んで作業していました。 
梅雨時は蒸し暑いので、長ズボンではなく短パンを履いていました。 
ヤブ蚊は意外と気にならないのですが、帰宅すると、股間がひどく痒くなりました。 
おそらく私が気づかない間に何か吸血性の虫が私の脚を這い登って短パンの隙間から潜り込み、私の無防備な股間を刺したり噛んだりしたのでしょう。 
皮膚科を受診するまでもなく、まめに入浴して股間を清潔に保ったら自然に治癒しました。
患部を掻き毟りたくなる衝動を必死に我慢するのが大変でした。
これに懲りた私は、アナグマ営巣地で地面に直接座るのを止めました。 
必ず折り畳み椅子を持参して、それに座るようにしています。 
長ズボンを履いていたら股間の虫さされを防げたかもしれませんが、夏は耐え難い暑さで熱中症になりそうです。 
営巣地の森に踏み込む前に虫除けスプレーを予め全身に噴霧するかどうか迷いました。
嗅覚の鋭いアナグマが虫除けスプレーの異臭を嫌がるのではないかと心配で、今季は一度も使わず我慢しました。 
こういう細かいノウハウはアナグマ関連の文献を読んでも書いてないため、自分で失敗しながら工夫するしかありません。 
お恥ずかしい裏話ですが、せっかくですのでブログに記録しておきます。 




【アフィリエイト】



 

↑【おまけの動画】 
兄弟を助けたくなる条件とは?利他行動を定式化した「ハミルトン則」【血縁淘汰2】#64 by ゆる生態学ラジオ 

ラジオ形式にこだわっているチャンネルのため、この難解なトピックを図表を使わずにトークだけで解説しようとチャレンジしています。 
(私にはとても無理です。)

2024/02/27

ニホンアナグマのヘルパー♂は母親♀と相互毛繕いするだけで育児を手伝わない:6/13一夜の諸活動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬

新旧2台のトレイルカメラで別アングルからニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を監視しています。 
母親♀がとある一夜(6/13)に巣外で幼獣4頭の世話をする様子をまとめました。 
この日はヘルパー♂も登場します。

夜のアナグマは巣外に出て2つの巣穴LRをうろうろと行き来しています。 
巣内でつながっているはずなのに、なんでそんなことをするのか不思議です。
日によって状況は変わりますが、6/13の時点では、巣穴Rは母子が暮らす育児部屋として使われていて、巣穴Lにはヘルパー♂が住んでいると映像から推測できました。 
巣穴の内部構造を素人がどうやって確かめたらよいか分かりません。 
非破壊検査の地中レーダー探査とかやれば、中に住むアナグマに影響を与えずに巣穴の構造を知ることができるのかな?

梅雨の時期なので、断続的に雨が降ります。 
巣外のアナグマはときどき身震いして濡れた毛皮の水気を切るだけで、雨をほとんど気にせずに活動しています。(同じ日の雨夜に幼獣を外に連れ出す動画はこちら。) 

夜行性のアナグマは明るい昼間は巣内で寝て、夕方に暗くなってから巣外活動を再開します。
(日の入り時刻は午後19:05) 

午後18:06〜・気温23℃(@2:38〜) 
久しぶりに成獣2頭(母親♀とヘルパー♂)が同時に巣外に出て、挨拶代わりの相互毛繕いをし始めました。 
日没前の林床は薄暗いですが、辛うじて自然光下で撮影できました。 
乳首または陰茎が見えないと個体識別できないのがつらいところです。 
なんとなく、巣穴Lに近い方がヘルパー♂で、巣穴Rに近い方が♀ではないかという気がします。 
途中から、巣口Rに計4頭の幼獣たちが出て来ました。(@4:38〜) 
巣口Rのアクセストレンチは傾斜が急すぎて、幼獣はまだ自力では登れないようです。 
幼獣が勝手に外に出れないように作られてあるのでしょうか? 
それとも逆に、幼獣にとってバリアフリーとなるように巣口Rのアクセストレンチをなだらかにする工事をこれからするのかな? 

ヘルパー♂との相互毛繕いを終えた♀が巣口Rに戻って、幼獣の毛皮を舐めてやります。 
巣口Rに戻った成獣の腹面にようやく乳首が見えたので、私の予想通り♀と判明しました。(@5:24〜) 
ヘルパー♂は一旦、巣穴Lに戻りました。(@5:30〜) 

母親♀は独りで奥の林縁に座り、仰向けで毛繕いしています。 
巣口Rからようやく幼獣が1匹ずつ外に登ってきて、母親の元へ辿り着きました。 
幼獣は邪魔な落枝を乗り越えるのに苦労しています。 
♀は労をねぎらうように幼獣の体を舐めてやります。 
♀が前から来た幼獣とすれ違う際に跨いで尻を軽く擦り付けました。(アロマーキング@9:20〜) 
勝手に巣穴Lに入ってしまった幼獣の首筋を咥えて外に連れ戻しています。 
再び幼獣にアロマーキング(@11:04〜)。 
ようやく全ての幼獣を巣穴Rに連れ戻すと、♀は独りで巣穴Lへ入りました。 

再びヘルパー♂と♀の成獣2頭だけが巣外に出てきました。(@12:13〜) 
アクセストレンチLに仲良く並んで座り、相互毛繕いを始めました。 
アナグマの社会にヘルパー制度があると知らないでこの光景を見たら、一夫一妻制で仲の良い♀♂つがいだなと思ってしまいますね。 
春の交尾期の様子を観察すると、アナグマが一夫一妻制でないのは私でも分かります。
もう相当暗くなったのに、新機種のトレイルカメラがなぜか赤外線の暗視モードに切り替わってくれません。 
仕方がないので、動画編集時に強引に明るく加工しました。 
画質が粗くなるのは仕方がありません。 
別アングルに設置した旧機種では暗視モードで録画できています。 

ようやく♀が別れて入巣Rしました。 
ヘルパー♂だけが巣外に残り、痒い体を掻いたり自分で毛繕いしたり、のんびり過ごしています。 
しばらくすると、ヘルパー♂も入巣Lしました。 
すぐにまた出巣Lしました。 
実はこの後で、ヘルパー♂は巣口Rを掘り広げる工事を始めました。 

すっかり暗くなると(晩に)、巣口Rから母子が外に出て来ました。 
♀から幼獣へ対他毛繕い。


ヘルパー♂が育児(幼獣への対他毛繕いなど)を直接的に手伝っている様子を私はこれまで一度も見たことがありません。 
(個体識別が不完全なせいで見落としているのかと不安になります。)
むしろヘルパー♂であっても幼獣には触れるのも近づくのも母親♀が決して許さず神経質に守っているのかもしれません。 
真っ暗な巣内ではヘルパー♂も育児を分担しているのかな?
ファイバースコープを巣内に突っ込んで観察してみたいのですが、育児期間中に下手なことはしない方が良さそうです。
ヘルパー♂が♀に餌を持ってきて給餌する様子も見たことがありません。
ヘルパー♂が用心棒としての役目を果たしている様子も見たことありませんが、営巣地の周辺に排尿マーキングして歩くだけでも、縄張り防衛になっているのかもしれません。
何が言いたいかというと、アナグマのヘルパー♂は穴掘り以外で♀の育児をほとんどヘルプしていないのに、果たしてヘルパーと呼んで良いのかどうか疑問になってきました。
ヘルパー♂の貢献度に個体差があるのかな?(年によって違うのか?)



※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 




2024/02/26

梅雨の深夜に幼獣2頭を外に連れ出すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

シーン1:6/13・午前3:38・雨天・気温20℃(@0:00〜) 
雨が降りしきる深夜未明にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣外から手前の巣穴Lに入ると、2頭の幼獣を外に連れ出しました。 
そのまま巣口Lで幼獣たちの毛繕いをしてやっています。 
残る2頭の幼獣は巣内Lでおとなしく寝ているのでしょう。


シーン2:6/13・午前3:40・(@0:51〜) 
巣外で♀が身震いしたり地面を掘ってミミズなどの餌を探したりしている間に、幼獣2頭が自力でアクセストレンチを登ってきます。 
出迎えた♀は幼獣を咥えたり前足で転がしたりして、手元に引き寄せ、排泄物で汚れた尻の辺りを重点的に舐めてやります。 


シーン3:6/13・午前3:42・(@1:51〜) 
♀が幼獣を誘導して少しずつ右へ移動します。 
その途中で♀が幼獣の上に軽く座って尻を擦りつけ、匂い付けしたようです。(アロマーキング@2:12) 
♀は林床の地面や落葉の匂いを嗅ぎ回り、自分の食べる餌を探しているようです。 


シーン4:6/13・午前3:42・(@2:51〜) 
別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラによる広角の映像で同じシーンを振り返ります。 
後半♀は幼獣を連れて左へ探餌徘徊に行きました。 


シーン5:6/13・午前3:43・(@2:55〜) 
新機種トレイルカメラの映像に戻ります。 
♀が林床で探餌徘徊している間に、幼獣2頭は♀の周囲をうろついています。 
子連れなので遠出はしないで、巣口Lの周囲に留まっています。 
幼獣は空腹ではないようで、♀の乳首に吸い付くことはありませんでした。 
深夜でも気温が充分に高いので、幼獣が雨に長時間濡れても低体温症になる心配はないようです。 
むしろ水浴代わりのシャワーになって、体毛の汚れが落ちるのかもしれません。 


シーン6:6/13・午前3:44・(@3:07〜) 
♀が率先して奥の巣穴Rに入りました。 
2頭の幼獣もその後をついて行きますが、入巣Rまで見届けられませんでした。 


シーン7:6/13・午前3:44・(@3:38〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
カメラの電池が消耗していて、断片的な映像しか撮れなくなりました。 
♀が右の巣穴Rに入った後は、幼獣2頭だけが巣外に取り残されています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/25

ニホンアナグマ♀に叱られてもめげずに巣口を外から掘り広げるヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬・午後18:55頃・(日の入り時刻は午後19:05) 

日没直前の夕刻なのに鬱蒼とした二次林の中はもうすっかり暗くなり、トレイルカメラは赤外線の暗視モードで起動しました。 
右側の巣口Rは実は更に左右2つの入口(RrとRl)に別れています。 

ニホンアナグマMeles anakuma)のヘルパー♂が巣外に出て、右側の巣口Rrを前脚で掘り広げていました。 
ところが、穴掘り作業中に巣穴Rlの中から母親♀が吠えながら飛び出してきて、ヘルパー♂を撃退してしまいました。 
母親から(理不尽に)ガミガミ叱られたヘルパー♂(1歳仔の息子♂)はすごすごと林縁広場に戻って座り、巣口Rlの♀と互いに見つめ合っています。 
♀も巣外に飛び出してヘルパー♂を遠くまで追い払うほど怒ってはいないようです。 

重労働の穴掘り作業はヘルパー♂が分担するというのが定説なので、とても意外な展開でした。 
ヘルパー♂を危険な侵入者(テンやキツネなどの天敵)と誤認したのでしょうか? 
単に♀は寝起きで機嫌が悪かったのかな?
近くの田畑で昼間ずっと農作業しているトラクター?の騒音や振動が営巣地(セット)まで響いているのがストレスなのかもしれません。 

♀が巣穴Rlに引っ込むと、ヘルパー♂は懲りずに巣口Rrの拡張工事を再開しました。 
左右の前脚を交互に使って後ろに土を掻き出しながら後退するので、結果的にアクセストレンチ(傾斜のついた溝と排土の小山)が形成されます。 

穴掘り作業を止めたヘルパー♂は、二次林の中へゆっくり入って行きました。 
おそらく疲れて空腹になり、採食に出かけたようです。 

※ 登場したアナグマ2頭の性別は、外見の特徴からではなく、行動から推定しました。 
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


この営巣地は♀が毎年子育てする場所です。
4頭の幼獣が順調に育つと子供部屋や巣口が狭くなるのでしょう。
子育てで忙しい♀がヘルパー♂に掘り広げてもらいたかったのは、そっちの穴(Rr)ではなかったのかもしれません。
ヘルパー♂の仕事ぶりに♀が不満を持ったとして、巣穴の拡張プランをヘルパー♂に細かく具体的に指示するなんてことはあるのでしょうか?
アナグマにそんな高度なコミュニケーション能力があるとは思えません。
(♀が自ら手本を示すしかない気がします。)
ヘルパーを務めるのは1歳仔(性成熟する前の若い♂)ですから、♀より腕力は多少あっても造巣経験が浅いままでヘルパーを卒業(巣立ち)してしまいます。
翌年は1歳下の弟が次のヘルパーを務めることになります。
代々の若いヘルパー♂たちが気分任せで行きあたりばったりに(または本能に従って)穴を掘るだけで、 うまいこと造巣できるのが不思議です。


2024/02/24

巣外で幼獣の世話をするニホンアナグマ♀:6/12一夜の育児行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀がとある一夜(6/12)に巣外で幼獣4頭の世話をする様子をまとめました。 
巣外での授乳シーンは既に別の動画にまとめたので、それ以外の育児行動です。(対他毛繕いなど) 
新旧のトレイルカメラ2台で別アングルから営巣地(セット)を監視しています。

母親♀は幼獣の首根っこを咥えて1頭ずつ巣外に引きずり出すと、排泄物(幼獣の糞尿)で汚れた毛皮を丁寧に舐めてやります。 
幼獣は未だ巣外で排泄できないので、下の世話は母親♀の仕事です。 

巣穴付近で幼獣を遊ばせている間に、♀は自分の痒い体を掻いたり毛繕いしたりしています。 
複数の幼獣同士でくんずほぐれつしている時などに、幼獣の鳴き声がかすかに聞こえるときがあります。 

幼獣全員を巣内に戻してから、♀は独りで巣穴を離れて外出します。 
縄張りを巡回して採餌するのでしょう。
その間、幼獣は巣内でおとなしく留守番している(寝ている?)ことに感心します。 
幼獣だけで勝手に巣外に出てくることはありません。

♀はなぜか幼獣を3+1頭の2組に分けて育児しているようです。 
授乳や育児の負担を軽減するためにそうしているのか、幼獣1頭の体調が悪くて巣内で寝ているのか、不明です。 
幼獣の性別によって2群に分けて育児しているのだとしたら面白いのですが、私にはとても見分けられません。
例えばヘルパー候補の♂を幼獣の時期から選んで他の兄弟姉妹とは別に育てている(帝王学?を教えている)としたら、面白い話です。

アナグマは主に夜行性で、明るい昼間は巣内で寝ています。 
日が暮れると活動を始め、明け方まで断続的に巣外で過ごします。 

ヘルパー♂の存在感が薄くて、何をしているのか不明です。 
(観察歴が浅い私は、アナグマの個体識別にいまいち自信がありません…。) 
この時期の母親♀は乳首の有無ではっきり見分けられます。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/20

晴れた夜でも雨夜でも幼獣を連れて隣の巣穴に引っ越すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年6月中旬

ニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma) 

シーン1・6/11・午前2:23・(@0:00〜) 
♀が手前の巣穴Lに入り、しばらくすると後ろ向きで外に出て来ました。 
幼獣が自力で歩けるようになったと思っていたのに、久しぶりに母親♀が幼獣aを咥えて巣外に引きずり出しました。
逃げ回ろうとする幼獣を咥えるのも大変そうですし、重く育った幼獣を引きずって歩くのも重労働です。 

2つの巣口LRの中間地点に母子が座って、♀が幼獣aの毛皮を舐めてやります(対他毛繕い)。 
成獣の腹面に乳首が見えることから、母親♀と見分けられます。 
(左右の目の大きさや首筋の白斑の有無では、見る角度によって個体識別が難しいことがあります。) 


シーン2・6/11・午前2:23・(@0:46〜) 
幼獣aの搬出シーンが別アングル(広角)の旧機種トレイルカメラでも録画されていました。 
アクセストレンチはなかなかの急斜面であることが見て取れます。 
地上でしばらく毛繕いしてやってから、幼獣aの首筋を再び咥えて右側の巣穴へ運び込みました。 
1頭目の幼獣を巣穴LからRへ引っ越ししたことになります。 (L➔R)


シーン3・6/11・午前2:27・(@1:47〜) 
戻ってきた♀が手前の巣穴Lに入りました。 
前回と同じく、後退しながら2頭目の幼獣bを巣穴Lの外に連れ出します。 
首根っこの皮を噛まれた幼獣はおとなしく引きずられて運ばれます。 
今回は幼獣を地面に下ろして休憩・毛繕いしないで、一気に奥の巣穴Rへ運びました。 


シーン4・6/11・午前2:27・(@2:32〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 


シーン5・6/11・午前2:29・(@3:15〜) 
巣穴Lに戻ってきた♀が後ろ向きで3頭目の幼獣cを外に引きずり出しました。 
今回も奥の巣穴Rへ休憩無しで一気に運びます。 


シーン6・6/11・午前2:29・(@3:51〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 
幼獣cを巣穴Rに搬入した♀が再び出巣Rする様子まで録画されていました。 


シーン7・6/11・午前2:30・(@4:31〜) 
最後の幼獣dは(仲間が居なくて寂しくなって?)巣口Lで待機していました。 
迎えに来た母親♀は、外に引きずり出した幼獣dを巣口LRの中間地点で下ろして、毛皮を舐めてやります。 
幼獣dは空腹ではなかったらしく、♀の乳首に吸いつこうとしません。 
覚束ない足取りで地面を歩き回ろうとしますが、それを母親が前足で制して転がし、毛繕いしてやします。 
巣外での対他毛繕いは、1頭目と4頭目の幼獣に対してのみ行いました。 


シーン8・6/11・午前2:30・(@5:00〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
身震いしてから左の巣穴Lに戻った♀が、巣口Lから4頭目の幼獣dを外に連れ出します。 
巣口LRの中間地点で幼獣dを下ろして、時間をかけて丁寧に毛皮を舐めてやります。 


シーン9・6/11・午前2:33・(@5:46〜) 
♀が先導して右の巣穴Rに戻り、幼獣dを誘い込みます。 
幼獣dは自力で歩いて入巣Rできましたが、巣口Rを塞ぐように露出している細い木の根っこを乗り越えるのに難儀しています。 

これで計4頭の幼獣a-dの引っ越し(L➔R)が無事に完了しました。 
 幼獣全員の引っ越しが完了したかどうか、新居に連れてくるのを忘れた幼獣がいないかどうか、母親♀はどうやって知るのでしょう? 
四つ子を育てる母親は、巣穴に同居する幼獣の個体数を1から4まで数えることができるのでしょうか? 
(羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、…zzz) 
それとも、4頭の幼獣それぞれに固有な体臭や鳴き声で識別しているのですかね? 


シーン9からシーン10の間に、逆に巣穴RからLへ幼獣を引っ越し(R➔L)したはずなのに、なぜか撮れていません。 
地中では2つの巣穴がつながっているのではないか?という気がします。 


シーン10・6/13・午前3:50(@6:13〜) 
2日後には雨が降りしきる深夜に幼獣の引っ越し作業?を始めました。 
手前の巣穴Lに戻った♀が幼獣を外に連れ出しました。 


シーン11・6/13・午前3:48(@6:50〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
旧機種のトレイルカメラは、時刻を正確に合わせても、すぐに狂い始めてしまいます。 


シーン12・6/13・午前3:50(@7:00〜) 
2頭の幼獣を巣穴Lの外に連れ出していました。 
幼獣はケケケッ♪と小声で鳴きながら、覚束ない足取りで歩き回ります。 

♀は幼獣1頭の毛繕いをしてやってから、首筋を咥えて奥の巣穴Rへ運びます。 
その間に、もう1匹の幼獣はアクセストレンチをずるずると滑り降りて手前の巣穴Lに戻ってしまいました。 


シーン13・6/13・午前3:50(@7:49〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 


シーン14・6/13・午前3:52(@7:58〜) 
左の巣穴Lに戻った♀が後ろ向きで幼獣を咥えて外に引きずり出します。 
カメラの電池が消耗してきて、断片的な暗視映像しか撮れなくなりました。 


シーン15・6/13・午前3:52(@8:07〜) 
巣口Lで待っていた幼獣を♀が咥えて外に運び出しました。 
大きく育った幼獣はとても重そうで、途中で地面に下ろして尻の辺りを舐めてやります。 
足元をうろつく幼獣に♀が跨って自分の尻を擦り付け、アロマーキング(臭腺・肛門腺による匂い付け)をしました。 
雨の降る中を幼獣は奥の巣穴Rへ自力で歩いて行きました。 


シーン16・6/13・午前3:52(@9:08〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラの広角映像に切り替えます。 


※ 鳴き声や雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
画面に表示される気温はすべて異常値です。(暗視動画の連続撮影によるカメラ本体の過熱)


我々ヒトの感覚では、雨が降る日にわざわざ乳幼児を外に連れ出す母親の気がしれません。 
幼獣が濡れて風邪を引いてしまうかもしれませんし、毛皮が泥だらけになってしまって、それをきれいに拭いてやるのも大変そうです。 
しかしアナグマ♀は雨を全く気にせず、スパルタ育児です。 
雨夜という新しい環境刺激に幼獣を早く慣らしてやりたいのでしょう。 
定期的に1頭ずつ巣外に連れ出して健康状態をチェックし、糞尿で汚れた毛皮を舐めてやる作業は雨天決行の必要があるようです。
梅雨の時期ですから、雨が止む日まで待ってられないのでしょう。

隣接する2つの巣穴の間で日によって行ったり来たり(L⇔R)引っ越しを繰り返しているようですが、ワンオペ育児の♀が4頭の幼獣を順番に漏れなく巣外に連れ出すために、引っ越しのていを取っているだけだと思います。 
実はトンネル内で2つの巣穴は連結しているのではないかと私は疑っています。
もしも梅雨の大雨で巣穴が浸水したら、幼獣を連れて行く避難先(別の巣穴)をアナグマ♀は用意しているのでしょうか?


2024/02/19

夜の営巣地に近づく野生動物に吠えかかって追い払い幼獣を守るニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬

シーン1・6/11・午後19:41・(@0:00〜) 
右の巣穴Rから親子で外に出てきたニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を跨いで追い越す際に軽く座って尻を擦り付けました。 
臭腺や肛門腺で幼獣の背中に匂い付けしているのでしょう。(アロマーキング) 

成獣が振り返ってカメラ目線になると、左右の目の大きさが異なる(右目<左目)♀だと分かります。 
♀は幼獣の毛皮を舐めてやりますが、幼獣は空腹ではないようで♀の乳首に吸いつこうとはしません。 

♀が急に身を屈めて右の方を警戒し始めました。 
幼獣をぴょんと飛び越えて右に突進すると、やがて右の林内からガガガッ、ギャギャギャッ♪と激しく吠えて威嚇する鳴き声が聞こえてきました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

アナグマの営巣地に近づいてきた他の野生動物を追い払ったのでしょう。 
♀がこれほど激しい剣幕で追い払ったということは、謎の侵入者は、ホンドタヌキやホンドギツネ、ホンドテン、イエネコなどの捕食者が候補として考えられます。 
(ヘルパー以外のアナグマ♂とニアミスしたのかもしれません。) 

巣外に取り残された幼獣は、激しい喧嘩(威嚇)の鳴き声を聞くと、争いの元から慌てて少し遠ざかり、地面に身を伏せました。(警戒のフリーズ行動) 
咄嗟に巣内Rに駆け戻って避難するだけの身体能力はまだ発達していないようです。 


シーン2・6/11・午後19:43・(@1:00〜) 
約45秒後に右から♀が意気揚々と営巣地(セット)に戻って来ました。 
巣口Rで母子が無事に再会すると、♀は出迎えてくれた幼獣に対他毛繕いしてやります。 
その後は残りの幼獣3頭も巣口Rに出てきました。 
幼獣への対他毛繕いの合間に、母親♀は自分の体の痒い部分を後足で掻きました。 



これまで2回ほど、夜の巣外に単独で放置された幼獣を観察してきました。 
関連記事()▶ 

もしかすると、その原因は今回のように、縄張り侵入者を撃退しに行ったから母親♀が一時的に不在だったのかもしれません。
だとすれば、ネグレクト(育児放棄)どころか幼獣を守るための行動なので、納得です。 
幼ない我が子たちを守るとなったら♀は巣穴に籠城するどころか、積極的に攻撃に転じて天敵を追い払うことが分かり、驚きました。
つまり将棋の穴熊戦法は比喩として正しくない(アナグマの実態に即していない)ようです。
まるで穴に籠もった熊のようだ、という意味の戦法らしいです。
最近ではヘルパー♂の存在感が薄くて、何をしているのか疑問になってきました。


2024/02/18

ニホンアナグマの欠伸とくしゃみ♪【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣地(セット)で欠伸とくしゃみをしたシーンをまとめてみました。 

シーン1・6/11・午前2:15(@0:00〜) 
アナグマ♀が身震いしてからアクセストレンチに座り込み、欠伸をしました。 
腹面に乳首が見えたので、母親♀と分かります。 

手前の巣穴Lに入るかと思いきや、幼獣を迎えに行ったようです。 
軽い唸り声♪のような鳴き声がかすかに聞こえました。 
巣口Lに1頭の幼獣の姿がちらっと写りました。 

ちなみに、6/11から東北地方南部が梅雨入り宣言しました。 


シーン2・6/16・午前4:45(@0:38〜)日の出時刻は午前4:13。 
雨が激しく降りしきる早朝に巣外に出てきたアナグマが、2つの巣口RとLを行ったり来たりしながら、交互に点検しています。 
巣口Rに顔を突っ込みながら、くしゃみをしました。(@1:13〜) 
巣口Rから立ち去る際にもくしゃみ?をしました。(@1:29〜) 
2回目は怒りの鳴き声のようにも聞こえます。 
この個体が♀なのかヘルパー♂なのか、私には見分けられませんでした。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


余談ですが、梅雨入りして大雨が降り続くと巣内へ泥水が浸水するのではないかと心配です。 
巣内から掘り出した土を捨てるため、巣口から外に向かってアクセストレンチと呼ばれるなだらかな坂が作られています。 
大雨が降ったら、アクセストレンチから雨水が巣内にどんどん流れ込むはずです。 
せっかく集めた大量の巣材(寝床)も、雨で濡れてしまったらカビが生えたりして不衛生・不快になるでしょう。 
水浸しにならないように巣内の構造に何か工夫が施されているのでしょうか?(排水対策) 
我々ヒトが雨天時に野外でキャンプする際には、テントの周囲には必ず排水溝を掘ります。 
私がアナグマなら、例えば以下のような対策を考えます。
  • アクセストレンチに直行するような溝を巣口に掘る。
  • 巣穴のトンネルは巣口から斜め下に一旦深く掘り進めてから少し上向きに角度を変えて上がった位置に居住区を作る。
  • 本当に豪雨が降ったら巣口を中から閉じる。
 


【アフィリエイト】 

2024/02/17

夜の巣外に独り放置されたニホンアナグマの幼獣が母親を呼ぶ鳴き声♪【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

前回の記事では、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) が4頭の幼獣を巣穴の外に連れ出して授乳したり対他毛繕いしたり、引率して夜の森を探索に連れて行ったりと、一夜(6/10)で盛り沢山の出来事を紹介しました。
同じ日の夜に事件が起きました。

 6/10・午後23:02
画面手前の巣口Lから伸びるアクセストレンチ上に幼獣が1頭だけ取り残されています。 
迷子の幼獣が覚束ない足取りでうろつきながらケッケッケッ♪、ケケケ…♪と断続的に鳴き続けています。
母親♀を呼んでいるのでしょう。 
4日前、夜の巣外に20分間放置された幼獣個体は全く鳴き声を発しなかったのと対照的です。 



迷子になった幼獣が鳴かないのは天敵の捕食者(キツネ、テン、フクロウなど)を呼び寄せないための適応だろうという私の推測に対して、あっさり反例が出てきてしまいました。 
この4日間で幼獣の歩行能力が格段に上がりましたが、それと同時に大声で鳴けるように成長したのでしょうか? 
幼獣の個性(寂しがり屋)なのかもしれません。
自力でなんとか歩けるはずなのに、迷子の幼獣がアクセストレンチを辿って帰巣Lすることはありませんでした。

ついさっきまで巣外で幼獣2頭に授乳していた♀は一体どこに行ったのでしょうか? 
さてはネグレクト(育児放棄)か?と心配になります。 
実はこの直後に撮れた映像では、母親が無事に合流して幼獣を舐めてやっていました。(対他毛繕い) 
その様子は、こちらのシーン7をご覧ください。 
アナグマの営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで別のアングルから監視しているのですが、それでも撮れていない死角があって、時々やきもきさせられます。 

※ 幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
※ 画面に表示されている気温は異常値です。 


2024/02/16

授乳期の幼獣4頭を連れて夜の林内を遠足するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) が巣外で幼獣4頭と過ごしています。
ある一夜の様子をまとめました。
私の見る限り、ヘルパー♂は子育てに関与せず、母親♀独りで幼獣4頭の世話をしています。 
(ヘルパー♂の個体識別がしっかりできてないかもしれない、という不安が私には常につきまといます。)

シーン1:6/10・午後18:56・気温23℃・日の入り時刻は午後19:04。 
日没直前の夕方から♀が巣外活動を始めました。 
2つの巣口LRの中間地点で佇んでいます。 
身震いしてから手前の巣穴Lに入りました。 


シーン2:6/10・午後18:56(@0:18〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラが起動したときには、なぜか暗視モードではなく自然光下での撮影になっていました。 
ほぼ真っ暗で何も見えませんが、強引に明るく加工すると、♀が巣穴Lに出入りしていました。 
巣口Lで周囲を警戒しています。 


シーン3:6/10・午後19:21・気温23℃(@0:34〜) 
♀が1頭の幼獣を巣L外のアクセストレンチに連れ出していました。 
自分で毛繕いしてから、前足で幼獣を引き寄せ、尻の辺りを舐めてやります。 
続けてもう2頭の幼獣が続々と自力で巣外に這い出てきました。 
♀が自分の体を掻くために仰向けになると、近くにいた幼獣2頭が乳首に吸い付こうと集まってきます。 


シーン4:6/10・午後19:26・気温23℃(@1:34〜) 
計4頭の幼獣が覚束ない足取りで巣外をうろついています。 
そのうち1頭の上に♀が軽く座ったのは、アロマーキング(臭腺による匂い付け)の行動でしょうか?(@1:59〜) 
ところが、別個体の幼獣が♀の股の間をくぐったときには、アロマーキングしませんでした。 


シーン5:6/10・午後19:25(@2:34〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像で見ると、♀は林床で餌を探しながら、幼獣を引き連れて少しずつ右奥の林縁に移動していることが分かります。 
幼獣たちを営巣地(セット)周辺の環境に少しずつ慣らしているようです。 
幼獣3頭は♀について歩くのですけど、残る1頭の幼獣が巣口Lに取り残されたままです。 
ようやく自力で♀の元へ向かいました。 


シーン6:6/10・午後19:25(@3:22〜) 
もしかすると♀は幼獣4頭を引き連れてそのまま別の巣穴へ引っ越しするのではないか?と思ったのですが、しばらくするとアナグマ母子の群れはセットに戻ってきました。 
♀は4頭の幼獣を引率して巣口Lに帰ろうとしています。 


シーン7:6/10・午後19:33・気温27℃(@3:22〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
幼獣4頭が互いにもつれ合うように遊んでいる間に、♀が後ろ向きで入巣Lしました。 
直後に巣内から幼獣を呼ぶ鳴き声を発しました。(ジェジェジェビーム♪@4:39〜) 
それを聞いたからと言って、幼獣たちはおとなしく従って自発的に帰巣する訳ではありませんでした。 


シーン8:6/10・午後19:35・(@4:46〜) 
再び巣外に出てきた♀が1頭の幼獣を捕まえて首筋を咥えると、引きずるようにアクセストレンチを後退し、強引に巣穴Lへ連れ戻しました。 
この行動は初見です。 
幼獣がもっと小さかった頃は、幼獣の首筋を咥えた♀が頭から入巣していました。 

遊び足りない幼獣3頭はまだ広場に残ったままです。 


シーン9:6/10・午後19:36・(@5:05〜) 
♀が左の巣穴Lから顔を出すと、辺りを見渡してからすぐ巣内に引っ込みました。 
カメラ目線になった時に右目が左目よりも少し小さいので、♀と分かります。 


シーン10:6/10・午後19:36・(@5:20〜) 
♀が巣口Lから顔だけだして辺りを見渡し、迷子の幼獣がいないか確認しています。 
その後は出巣Lして左に向かいます。 


シーン11:6/10・午後19:42・(@5:51〜) 
採餌のため、♀単独で二次林内を右に向かいます。 


シーン12:6/10・午後21:56・気温20℃(@5:51〜) 
採食から戻ってきた♀が巣口Lで身震いしてから入巣L。 


シーン13:6/10・午後21:55(@6:20〜) 
同じ帰巣Lシーンを別アングルの広角ショットでご覧ください。 


シーン14:6/10・午後21:57(@6:33〜) 
巣口Lに出て来た2頭の幼獣に♀が対他毛繕いしてやっています。 
そのまま一緒に入巣Lしました。 


シーン15:6/10・午後22:59(@6:44〜) 
巣穴Lから伸びるアクセストレンチに座って自分の体を掻いている♀の方へ幼獣1頭が登って行きます。 
♀が出迎えて幼獣の体を舐めてやっている間に、 次の幼獣が巣口Lから登ってきました。 


シーン16:6/10・午後23:18・気温23℃(@7:08〜) 
単独で出巣Lした♀が身震いしてから、獣道を左へ向かいました。 
その様子を別アングルの広角ショットでもご覧ください。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/14

巣外で4頭の幼獣に授乳するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

もはやニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が幼獣の首筋を咥えて連れ出さなくても、幼獣は自力でなんとか歩いて巣外に出てこれるようになりました。 
これまで♀は幼獣を1頭ずつ巣外に連れ出して毛繕いしてやっていましたが、巣外で複数の幼獣にまとめて授乳するようになりました。 

気温の表示はほとんどが異常値です。 
暗視動画を連続撮影すると、トレイルカメラ自体が熱くなるせいです。


シーン1・6/10・午後19:22・(@0:00〜) 
手前の巣穴Lから出て外の地面に座った母親♀の乳首に幼獣2頭が吸い付いていましたが、じきに離れました。 
♀は授乳しながら自分の体を左の前足と後足で掻きました。 
もう1頭の幼獣が巣口Lから自力でアクセストレンチを登り、母親のもとになんとか辿り着こうとしています。 


シーン2・6/10・午後19:24・(@1:00〜) 
計4頭の幼獣が母親にまとわりついていました。 
♀が仰向けになって体を掻いたり毛繕いしたりすると、腹面に乳房が張っていることが分かります。 
仰向けになった♀の乳首に幼獣が吸い付く決定的瞬間が撮れました。(@1:40〜) 
アナグマ♀の授乳シーンは初見です。 
♀は自分の身だしなみを整えるのに忙しくて、結構手荒に幼獣を扱っています。 


シーン3・6/10・午後19:23・(@2:00〜) 
別アングルで設置した旧機種のトレイルカメラでも授乳シーンが同時に撮れていました。 


シーン4・6/10・午後21:58・(@3:00〜) 
約2時間半後、アクセストレンチに座って待つ♀の元に巣口Lから幼獣が登ってきます。 
♀が迎えに行って、幼獣の尻を舐めてやりました。(対他毛繕い) 
幼獣は♀の腹の下に潜り込み、母乳を飲んでいるようです。 

他の幼獣がキャンキャン♪鳴き騒ぐので、様子を見に♀は巣穴Lに戻りました。 
母親の乳首に吸い付いていた幼獣も、一緒に引きずられるように入巣L。 


シーン5・6/10・午後22:57・気温19℃(@3:47〜) 
約1時間後、♀が巣口Lで幼獣が出てくるのを待ち受けています。 
糞尿で汚れた尻の辺りを中心に丹念に舐めてやります。 
幼獣を仰向けにひっくり返して、腹面を舐めるのも忘れません。 


シーン6・6/10・午後23:00・(@4:47〜) 
♀がアクセストレンチに移動して自分の体で痒い部分を左後足で掻いています。 
幼獣が覚束ない足取りで巣口Lからアクセストレンチを登って来ると、そのまま♀の腹の下に潜り込み母乳を飲み始めました。 
続いて2頭目の幼獣が巣穴Lから外に出てきました。 


シーン7・6/10・午後23:03・(@5:47〜) 
カメラの起動が遅れ、母子の合流シーンを撮り損ねてしまいました。 
♀が幼獣を跨いだ直後に軽く座って尻を幼獣に擦り付けました。(アロマーキング@5:50〜) 

その後♀は地面に座り込んで自分の体をボリボリと右後足で掻いています。 
近くをうろついていた幼獣が♀の乳首に吸い付きました。 


シーン8・6/10・午後23:02・(@6:47〜) 
別アングルで撮れた映像に切り替えます。 
巣穴Lの周囲に生えたマルバゴマキ灌木の茂みに隠れてアナグマ家族の姿がよく見えないので、5倍速の早回し映像でお届けします。 
暗視動画で見ると、母親♀の目の大きさが左右で少し違うことが分かります。(右目<左目) 

シーン9・6/11・午前1:54・(@6:59〜) 
日付が変わった6/11は、東北地方南部で梅雨入りが宣言された日です。 
撮れた映像では雨は降っていませんでした。

アクセストレンチに座り込んだ♀の乳首に腹を空かせた3頭の幼獣が殺到しています。 
仰向けで授乳しながら♀は幼獣に対他毛繕いしたり、自分の毛繕いをしたりしています。 

残る1頭の幼獣はどうしているのか、安否が少し心配になります。 


シーン10・6/11・午前1:53・(@7:59〜) 
別アングルで同時に撮れていた映像に切り替えます。 


 シーン11・6/11・午前1:55・(@8:59〜) 
新機種トレイルカメラの暗視映像に戻ります。 
♀と幼獣3頭が組んず解れつしながら、ひたすら授乳と対他毛繕いを続けています。 


シーン12・6/11・午前1:55・(@9:59〜) 
別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラで同時に撮れていた映像に切り替えます。 
アナグマ母子の姿が周囲の灌木の茂みに隠れてよく見えないので、5倍速の早回し映像に加工しました。 


シーン13・6/11・午前1:57・(@10:11〜) 
新機種トレイルカメラの映像に戻りました。 
幼獣2頭が母親にまとわりついています。 

手前の巣口Lからもう1匹の幼獣がアクセストレンチを登ってきました。 
この幼獣は、いつの間にか左の死角から巣口Lに転がり落ちてしまったようです。 
それとも巣L内でずっと寝ていた幼獣個体がようやく目覚めて(空腹に耐えかねて)外に出てきたのかな?
(別アングルの映像を見ると謎が解けました。)


シーン14・6/11・午前1:57・(@11:11〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン15・6/11・午前1:58・(@11:23〜) 
アクセストレンチをよちよち登ってきた幼獣が兄弟姉妹の体を乗り越えようとしたら、滑ってコテンと横転してしまいました。(@11:38〜) 
幼獣の一挙手一投足がなんともかわいらしいですね。
転んだ幼獣個体も鳴き声ひとつ上げず、なんとか兄弟姉妹をかきわけて、母親の乳首に吸い付くことが出来ました。(@12:00〜) 
その体を♀が丹念に舐めてやっています。 


シーン16・6/11・午前1:57・(@12:23〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 

 幼獣1頭がアクセストレンチから巣口Lに転がり落ちた(滑り落ちた)ものの、自力でなんとか這い上がります。 


シーン17・6/11・午前1:59・(@12:35〜) 
♀は3頭の幼獣に同時に授乳しながら、対他毛繕いしてやっています。 


シーン18・6/11・午前1:59・(@13:35〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン19・6/11・午前2:00・(@13:47〜) 
トレイルカメラ新機種の映像に戻ります。 
幼獣3頭を巣外に放置したまま、母親は先にさっさと帰巣Lしてしまいました。(@14:35〜) 
残された幼獣が自力で入巣Lするまで見届けられなかったのが残念です。
幼獣がもう自力で歩けるほど成長したので、♀が幼獣を咥えて運ばなくなったことが分かります。 


シーン20・6/11・午前2:00・(@14:47〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン21・6/11・午後23:15・(@14:59〜) 
昼間は寝て、同じ日の晩遅くに再び授乳シーンが撮れていました。 
今度は右の巣穴Rの近くの地面で、♀が幼獣1頭に対して授乳および対他毛繕いをしています。 
カメラの電池が消耗して、断片的な映像しか撮れなくなりました。 


シーン22・6/12・午前0:57・(@15:07〜) 
日付が変わった深夜にも、巣穴Rの近くの地面で♀が幼獣1頭に対して授乳および対他毛繕いをしていました。 


シーン23・6/12・午前1:01・(@15:20〜) 
右の巣穴Rの入口付近で、♀が幼獣2頭に対して授乳および対他毛繕いをしています。 


シーン24・6/12・午後23:53:・(@15:34〜) 
明るい日中は巣内で寝て、同じ日の晩遅くに再び授乳シーンが撮れていました。 
幼獣3頭を引き連れて♀が巣穴Lの外に出てきました。 
♀はアクセストレンチに放尿マーキングした匂いを嗅いでから、その横の地面に座り込みました。 
アクセストレンチをゆっくり登ってきた幼獣が♀に追いつくと、舐めてやります。 
幼獣の1匹は♀の腹の下に潜り込んで乳首を吸おうとしています。 


シーン25・6/16・午後18:24・(@16:34〜)日の入り時刻は午後19:06。 
4日後、日没前なのに早くも母子全員が巣穴Rの外に出て来ました。 
幼獣4頭が同時に外出するのは初見です。 
実はそれまで同時に3頭の幼獣しか巣外で見かけなかったので、残る1頭は死んでしまったのではないかと心配していました。 
幼獣4頭の無事が確認できて一安心。 
ヘルパー♂の姿が見えませんが、母子勢揃いの微笑ましい光景でした。 

母親♀は近づいてきた順に幼獣の体を舐めてやります。 
♀は自らコテンと寝転び、横臥で自分の体を掻きました。 
そのまま仰向けになると、幼獣に授乳を始めました。 
一方、1頭の幼獣が巣口Rに取り残されたまま、アクセストレンチを登れないでいます。 
発育が少し遅れた個体なのでしょうか? 


シーン26・6/16・午後18:25・(@17:34〜) 
巣口Rに取り残されたままの幼獣個体がいます。 
巣口Rから伸びるアクセストレンチには多数の落枝や蔓が転がっていて、体の小さな幼獣にとってはかなり歩きにくそうです。 
歩行能力が比較的高い幼獣個体は、奥の灌木林へ探検に出かけます。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

ニホンアナグマ♀の乳首の数をネット検索で調べても、いまいち正確な情報が得られませんでした。
アナグマ – おもしろ哺乳動物大百科 83 食肉目 イタチ科 というサイトによると、乳頭数は3対です。 
ただし、このまとめサイトでは、ニホンアナグマとヨーロッパアナグマを一緒くたに扱っています。

ヨーロッパアナグマ はオスメスともに3対の乳首があるが、メスのほうがより発達している。 (wikipediaより引用)


熊谷さとし『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』という入門書のp205で乳頭式の定義を記してあったのですが、ニホンアナグマの乳頭式については記述がありませんでした。

ニホンアナグマ♀の乳頭が3対あるとすると、最大で6頭の幼獣を同時に授乳することができます。
私が観察しているアナグマ♀は4頭の幼獣を出産し、育てています。
成獣の個体識別も覚束ないのに幼獣の個体識別は難しすぎて私にはとても無理です。
もしかすると、この♀は幼獣を3頭+1頭と2グループに分けて別の時間帯に授乳しているような気がします。
4頭の幼獣を同時に授乳するのは肉体的な負担が大きいからでしょう。
幼獣1頭を巣外にしばらく放置した事件がきっかけで、授乳リズムが1頭だけずれたのかもしれません。
あるいは幼獣を性別によって育て分けているのだとしたら、より一層興味深いです。

熊谷さとし氏の著作では、ニホンアナグマのヘルパーは若い♀が務めると書いてあります。

 子別れの際、成長した子どもを全部追い出さず、1頭だけ残して翌年の子どもの世話をさせる、ということもある。
 キツネやオオカミ、イノシシ、ヨーロッパアナグマなど、多くの動物に見られる行動で、ヘルパー制度と呼ばれている。
 (中略)動物のヘルパーは、妊娠中の母親にエサを運んできたり、子どもの遊び相手をしたり、さらに♀のヘルパーは、母親に代わって弟や妹たちにお乳をやることもあるという。
 この制度は、母親の子育ての負担を軽減し、目配りが行き届くために、より子どもたちの安全が守られ、またヘルパー自身が親になったときの訓練にもなる、という素晴らしい制度なのだ。
 もっとも、この制度には経済力が優先する。(中略)「確実にエサが確保される」という食べものが豊かな場所でなければ、このような行動を観察することはできない。
 俺が観察している(ニホン)アナグマのファミリーは、毎年ではないけれど、この制度を導入している。 (熊谷さとし『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』(2006)p204より引用)

手元にあるもう1冊の本、熊谷さとし『日本の野生動物 2―身近に体験! タヌキを調べよう』(2006)によると、
 アナグマもほんとうは、秋になるとタヌキのように「子別れ」をして、子どもは親からはなれるはずなのだが、母親は♀を1頭だけ手もとにのこし、翌年の子どもの世話をさせることがある。(中略)ヘルパーは子守ばかりでなく、妊娠中の母親に食べものを運ぶこともする。
ヘルパー制度は、母親の子そだてを楽にして、子どもの安全を守るほか、ヘルパーに子どもが生まれたときの子そだての訓練にもなる。(p25より引用)

私が観察しているニホンアナグマでは、ヘルパーが妊娠中の母親に食べものを運ぶ行動は一度も見られませんでした。(トレイルカメラが撮り漏らしたのかもしれません。)

もしも母親♀だけでなくヘルパー♀(1歳仔の娘)も幼獣に授乳できるとなると、私が撮った動画の解釈は大幅に再検討する必要があります。
しかし、妊娠・出産していないヘルパー♀の乳腺が発達して授乳が可能になることは生理的にあり得るのでしょうか?(調べてみると、動物でも想像妊娠はあるらしい。)
ニホンアナグマのヘルパーは若い♂(1歳仔の息子)であるというのが最近の研究結果らしいので、この点で熊谷さとし氏の古い?見解はひとまず忘れることにします。
混乱の原因は、若い時期のアナグマは体型に分かりやすい性差がないことにあります。
私も股間の陰茎を見て初めてヘルパーが♂だと分かりました。
逆に♂がヘルパーだとすると、「自分が子育てするときのための訓練になる」という説明はできなくなります。




2024/02/09

ニホンアナグマ♀が未だ歩けない幼獣を夜の巣外に放置したのは躾のためかネグレクトか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 ・6/6・午後22:18〜22:41

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) の育児放棄という衝撃映像が撮れました。
トレイルカメラの電池が消耗しているために、細切れの映像になっています。 

母親♀が幼獣の首根っこ(というか今回は頭皮?)を咥えて、手前の巣穴Lから外へ引きずり出しました。 
いつものように巣口LRの中間地点に幼獣を下ろすと、その毛皮を念入りに舐め始めました(対他毛繕い)。 
小声でウキャキャキャキャ…♪という鳴き声が聞こえるのは、幼獣が発しているようです。 
ただし、画面に写っている幼獣の鳴き声とは限らず、巣内で待っている残りの幼獣3頭が鳴いている可能性もあります。 
※ 幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

次にトレイルカメラが起動したときには、なぜか母親♀の姿はなく、巣口Lから奥に伸びるアクセストレンチ上に幼獣が放置されていました。 
母親♀は一体どこに行ったのでしょうか?
野生動物の母親♀が育児放棄するとは驚きました。
巣外に放置された幼獣は未だ自力で歩けません。 
辺りをキョロキョロ見ているだけで、おとなしくじっとしています。 

このときの外気温は不明ですが、添い寝して温めてやらないと低体温症になるのではないか?と心配になります。 
夜の森でもしも肉食性のホンドテンやホンドギツネ、フクロウ※などに見つかったら、アナグマの捨て子は獲物として捕食されてしまうはずです。 
※ 近くのスギ防風林で昼間にフクロウの鳴き声を聞いています。@2024年3月上旬

育児放棄からの死亡も一種の子殺しと考えられますが、そんなことになったら、きわめて異例です。
アナグマ家族の食糧事情が急に悪化して母親の乳の出が悪くなり、口減らしのための子殺しが必要になったのか?などと良からぬことを考えてしまいます。

母親と一緒のときは甘えて鳴いていたのに、巣外に放置された幼獣は母親を呼ぶ声を全く発しなくなったのが意外です。 
下手に鳴いたら天敵の捕食者を呼び寄せてしまいますから、母親とはぐれて独りになっても鳴かないように本能でプログラムされているのかもしれません。
(ところが、わずか4日後に反例が出てきてしまいました。
その後も幼獣が腹這いのまま身動きする度にトレイルカメラのセンサーが反応して、短時間だけ録画してくれます。 

しばらくすると、幼獣は自力で這って向きを変えました(カメラに対して正面から横向きに)。(@1:05〜) 
覚束ない足取りで必死に匍匐前進しているようです。 
巣穴Lの方から嗅ぎ慣れた匂いがするはずなのに、幼獣は巣口Lには向かって行きませんでした。
ヘルパー♂が予め掘ったアクセストレンチと呼ばれる溝に沿って緩斜面を下れば入巣Lできるはずなのに、迷子の幼獣はアクセストレンチから横に逸れてしまいました。 

ようやく母親♀が巣穴Lの外に出て来たので安心しました。(@1:21〜) 
巣口Lで幼獣を見つけると、体を舐めてやります。 
幼獣は嬉しそうに鳴きました。 
♀の乳首にすぐ吸い付かなかったので、空腹ではなかったようです。

未だ歩けない幼獣を20分間も巣外に独り放置していた理由は何でしょう?
 幼獣4頭の子育てでてんてこ舞いの母親♀が何かのきっかけで巣穴に戻ったきり、巣外に出した幼獣1頭の存在をうっかり忘れてしまったのでしょうか? (過失)
育児経験の浅い若い♀なのかもしれませんが、根拠はありません。 
それとも、巣内で何か酷い悪さをしたやんちゃな幼獣に対してしつけやお仕置きのために(罰として)巣外にしばらく放置したのでしょうか? 
それなら、初めに幼獣に対して対他毛繕いしてやらない気がします。
幼獣の自立心を養うためなのかな?
我々ヒトが乳幼児に対してこんな子育てをすると、昔ならともかく今時はネグレクトの罪で通報され親が罰せられます。
しかし、アナグマの子育てにヒトの価値観で口出ししても仕方がありません。 
こういうときにヘルパー♂がどこで何をしているのか、気になります。

迷子になっていた幼獣を巣穴にすぐ連れ戻すかと思いきや、母親♀はその場で自分の体を掻いています。 
母子が身を寄せ合っています。 
母親♀の腹面に乳首が見えました。 
元気を取り戻した幼獣は、巣穴Lの方へ歩こうとしています。 
♀が立ち上がって身震いしたものの、すぐにまた幼獣の傍らに座りました。 

残念ながら記録された映像はここまでです。
母親が幼獣を巣穴Lに連れ戻すまで見届けられませんでした。
深夜(午後23:38)にカメラが起動したときには巣外にアナグマ母子の姿はなく、小雨が降っていました。(その映像は割愛) 


2024/02/07

白鳥の北帰行(冬の野鳥)

 

2023年3月下旬・午前9:10頃・晴れ 

雪解けが進む田園地帯で数日前まで採食していたコハクチョウの大群が忽然と居なくなっていました。 
田んぼの餌(落ち穂など)を食べ尽くして、餌場を変えたのでしょうか? 

刈田の上空から白鳥の鳴き声がするので見上げると、白鳥の群れが見事なV字編隊を組んで北に飛び去るところでした。 
群れの個体数を数えてみると、計20羽と大きな群れでした。 
ちょうど私の頭上を通り過ぎたので、飛び去る白鳥を見送るために動画を撮りながら振り返りました。 (白鳥が旋回した訳ではありません。) 
北へ向かって飛び去ったので、日本での越冬を無事に終えた白鳥がシベリアなど北の繁殖地へ帰るところなのかもしれません。 

飛びながら散発的に鳴き交わしています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
鳴き声を声紋解析すれば、オオハクチョウかコハクチョウか識別できるかな? 
渡りの際に2種の白鳥が混群の状態で編隊飛行することは無いと思われますが、どうやって確かめたら良いでしょうか?

2024/02/05

幼獣を巣外に連れ出して念入りに毛繕いしてやるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】下の世話

 



2023年6月上旬

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を巣の外に連れ出して対他毛繕いする様子をまとめました。 


シーン1:6/5・午後22:33・(@0:00〜) 
晩に♀が奥の巣口Rから1頭の幼獣を外に連れ出していました。 
母親♀が幼獣の肛門の辺りを重点的に舐めてやっています。 
幼獣の間は糞尿を垂れ流しなのでしょう。 
幼獣がキュンキュン♪(またはキャンキャン♪)と鳴く声がかすかに聞こえます。 
幼獣は自力では未だ歩けず、なんとか這い回ろうとするだけでした。 
母親♀が方向転換した際に、腹に乳首が見えました。

もっと長く撮りたかったのに、残念ながらトレイルカメラの電池が消耗していて、録画が途中で打ち切られてしまいました。 
この後も細切れの映像になります。 


シーン2:6/6・午後22:12・(@0:26〜) 
翌日も晩に母親♀が巣口LRの中間地点に幼獣を置いて、尻の辺りを重点的に汚れた毛皮を舐めてやっています。(対他毛繕い) 
幼獣を隣の巣穴へ運ぶ途中で休憩してるのかな? 

低音でグルルル…♪と鳴く声が聞こえました。(@0:36〜) 
これは母親♀が発している声だと思います。 
素人の耳には、繁殖期に聞いた♂の求愛声(ジェジェジェビーム)と似ている気がします。 

幼獣が母親の腹の下に正面から潜り込もうとしているのは、授乳目当てなのでしょう。 
なんとか四足で立っていた幼獣がコテンと横に転びました。(@0:48〜) 
母親♀は幼獣の首筋を咥えて運ぶと手前の巣口Lから伸びるアクセストレンチに置いて、幼獣の毛皮を念入りに舐めています。 
幼獣の奇妙な鳴き声(カエルみたい?)がときどき聞こえます。 


シーン3:6/8・午後18:53・(@1:20〜)日の入り時刻は午後19:03。 
2日後の日没前の夕方。
アナグマが手前の巣穴Lから外に出てきました。 
薄暮の撮影は赤外線の暗視モードではないため消費電力が少なくて、動画を長く撮れるのは助かります。 
アナグマは巣口Lの匂いを嗅ぎ回ってから、また巣穴Lに戻りました。 
しばらくすると、アクセストレンチを後退しながら幼獣1頭を咥えて外に引きずり出しました。 
この個体は♀ではなくヘルパー♂のような気もするのですけど、個体識別に自信がありません。 

巣口LRの中間地点で幼獣を地面に置くと、汚れた毛皮をていねいに舐めてやります。 
その合間に♀自身が痒い体を自分の足で掻きました。 
母親♀が前脚を使って結構手荒に幼獣を転がしたり向きを変えたりしながら、対他毛繕いを続けます。 
幼獣はほとんど為されるがままで、おとなしくしています。 
母親の腹の下に潜り込んで乳首を探したり、巣穴の方へ歩いて戻ろうとしたりするときがあります。 


シーン4:6/8・午後21:22・(@4:07〜) 
暗くなった晩に起動したときには、いつの間にか再び♀が幼獣を外に出していました。 
幼獣に対他毛繕いをする様子が4秒間だけ写っていました。 


シーン5:6/9・午後14:30・気温19℃(@4:11〜) 
翌日の真昼間に別アングルで設置してある新機種のトレイルカメラが起動しました。 
明るい昼間なのに、なぜか暗視モードで起動しました。

林縁の広場に座っている♀が幼獣を連れていました。 
覚束ない足取りで動き回る幼獣を♀は前足で倒して毛繕いしています。 
しまいには、幼獣の首根っこを咥えて連れ戻し、二次林の奥へ運んで行きました。 
幼獣を連れてどこか別の巣穴へ引っ越すのかと思いきや、途中で座って幼獣に対他毛繕いしています。 
フルカラーで撮れなかったのが残念です。 
夜だけでなく明るい昼間も♀は幼獣を外に連れ出して毛皮を舐めてやることが分かりました。

次にカメラが起動したときには、♀が幼獣を咥えて右の巣穴へ帰巣Rするところでした。 
本格的な引っ越しではなくて一安心。

今度は正常のフルカラー録画に戻っていました。 
新機種のトレイルカメラは風揺れなどの誤作動で無駄撮りすることは少なく、電池の持ちが良いものの、旧機種よりも撮り漏らしが多い印象です。 
トレードオフの関係にあるので、センサーの感度の閾値をどう設定するか、悩ましいところです。 

※ 幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
以前、母親♀は頻繁に幼獣を運んで2つの巣穴L⇔巣穴Rを交互に引っ越しを繰り返していました。
次第に巣穴LRの中間地点に幼獣を下ろして過ごす時間が長くなりました。
別の巣穴へ引っ越すのが目的で幼獣を巣外に連れ出すのではなく、幼獣への毛繕いが目的であることがはっきりしてきました。
おそらく、いわゆる「下の世話」(排泄後のケア)なのでしょう。
幼獣は便意や尿意を催しても、未だ自力で巣外に出て排泄することができません。
幼獣を地上(巣外)の環境刺激に少しずつ慣らす目的もあるはずです。


ランダムに記事を読む