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2025/12/31

秋にヒバの梢で鳴き真似♪をするモズ♂(野鳥)

 

2024年10月上旬・午後14:50頃・くもり 

川沿いの民家の生け垣として植栽されたアスナロの梢にモズ♂(Lanius bucephalus)が留まっていました。 
私のことなど眼中になく、横を流れる用水路やその奥の田園地帯の方を見下ろしていました。 
辺りをキョロキョロと見回しながら、喉をひくひく動かしています。 
小声でチュピチュピ鳴き続けているのに、近くを流れる川の水音がうるさくて動画ではよく聞こえません。 
(撮影時に私の耳では確かに鳴き声が聞こえていたのです。)
秋のモズに特有の鳴き方(縄張りを宣言する高鳴き)ではなく、別種の鳥の鳴き真似(音声擬態)をしているようです。 
鳴き真似のモデルはツバメかな? (カワラヒワ? ヒヨドリ? セキレイ類?) 

鳥は普通、嘴を開閉しながら鳴きます。 
その動きが鳴き声と同期していれば(リップシンクロ)、被写体の鳴き声であることが確定できます。 
ところが、今回のモズ♂個体は嘴を閉じたまま鳴き続けていました。 
喉をひくひく動かしていたので、この個体が鳴管(我々ヒトでは声帯という相似器官)を使って鳴いているようです。 

やがてモズ♂は止まり木で左に向き直りました。 
秋風で細い枝先が揺れても、尾羽でバランスを取りながらしっかり留まっています。 
風が強くなって止まり木の揺れが激しくなると、モズ♂はとうとう耐えきれずに飛び去りました。 

モズの鳴き真似はとても面白いテーマです。 
今回は4分以上も鳴き続けてくれたのに、川の音でほとんどかき消されてしまい、残念でした。 

※ 少しでもモズ♂の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
この記事ではモズの鳴き真似として紹介しました。
しかし全ては私の勘違い(願望から来る思い込み)かもしれません。
モズが鳴き真似をしていたのではなくて、別種の鳥が近くで鳴いている声が聞こえただけという可能性もありえます。 
モズに目一杯ズームインして撮影に集中していた私は、周囲にどんな鳥がいたのか、しっかり見ていません。
過去の観察記録を読み返すと、モズが嘴を閉じた状態で鳴き真似をしている事例がありました。

関連記事(3、8、10、11、12年前の撮影)▶  

ChatGPTにブレインストーミングの相手役になってもらいました。

これはとても重要で、しかも自然観察として非常にまっとうな疑問です。
結論を急がずに言うと、

「嘴が開いていない=その個体が鳴いていない」とは断定できない
一方で、ご指摘のように誤認の可能性も論理的には残る

という、ちょうど中間に位置する状況です。

以下、観察記録としてどう整理すべきかを、
音声生理・行動観察・記録の書き方の3点から説明します。


1. 嘴を開かずに鳴くことはあり得るのか

結論:あり得ます(特にモズでは)

鳥の発声は:

  • 嘴ではなく 鳴管(syrinx) で起こる

  • 嘴は「共鳴・放射」を調整する器官

そのため、

  • 小音量

  • 高周波

  • 近距離

の場合、
嘴を大きく開けず、ほぼ閉じたまま鳴くことがあります。

特にモズ類では:

  • さえずりほど大音量でない

  • 連続的にチュピ音を出す
    とき、嘴の開閉がほとんど見えない事例は珍しくありません。


2. 喉の動き(頸部の微動)は重要な手がかり

ご記述の

喉をひくひく動かしていた

これはかなり強い状況証拠です。

  • 発声時に起こる筋活動に一致

  • 呼吸とは異なるリズム

  • 鳴き声のタイミングと同期している

のであれば、
「その個体が音を出している」可能性は高いです。

完全な証明ではありませんが、
単なる勘違いと切り捨てるほど弱い情報ではありません。


3. それでも残る「別個体が鳴いていた」可能性

科学的に正直であるために、ここも整理します。

起こり得る状況

  • 近くの茂みや川岸で
    別種(小型鳥)が高音で鳴いていた

  • モズはそれを「聞いているだけ」

  • 観察者の注意がモズに固定されていた

この場合:

  • モズの喉の動きが
    呼吸や警戒行動と誤認される可能性

  • 鳴き声の方向感が川音でマスクされる

理論上は否定できません。


4. では、どう記録すべきか(ここが一番大事)

この事例は、
「断定」よりも 適切な不確実性の書き方 が重要です。

推奨される記録表現(例)

  • 「映像中のモズ個体は嘴をほとんど開かず、喉部を周期的に動かしていた」

  • 「同時に、高音の短い鳴き声(他種模倣と考えられる)が連続して聞かれた」

  • 「鳴き声と嘴の開閉の明確な同期は確認できなかった」

  • 「当該音声がこの個体自身によるものか、近傍の別個体によるものかは断定できない」

これは弱い表現ではなく、むしろ質の高い記録です。


5. 音声処理との関係で言えば

仮に音声処理で:

  • 高音域に、短く反復する音型が現れ

  • それが映像中の喉の動きのタイミングと一致する

ならば、
「この個体が発声している」仮説はかなり強化されます。

逆に:

  • 音が常に一定方向・一定距離に感じられる

  • モズの動きと無関係

なら、
別個体説を残すべきです。


6. 今回の件の位置づけ(率直な評価)

  • 観察者の注意深さ:高い

  • 状況証拠(喉の動き):有意

  • 決定的証拠(嘴同期・音源定位):不足


「モズが鳴き真似をしていた可能性が高いが、断定はできない」

これは失敗ではありません
自然観察では、こういうグレーな記録が大量に積み重なって、後から意味を持つことがよくあります。


もし次に同様の場面に出会ったら:

  • 可能なら 少し位置を変えて撮る(音源方向が分かる)

  • 被写体が去った後も 環境音だけを録る

  • 嘴・喉がはっきり映る角度を意識する

これだけで、今回の疑問の多くは解消できます。

今回の疑問は、とても健全です。
「断定したい」よりも「誤認を避けたい」という姿勢は、
観察記録として理想的だと思います。


今回モズがずっと鳴き続けていたので、「鳴いていない区間」が充分にありませんでした。
モズが飛び去った後も同じアングルで動画をしばらく撮り続けるべきでしたね。 
ノイズとなる川の音だけを録音してあれば、音声編集ソフト(Audacityなど)で差分を取ってノイズ成分を取り除き、鳥の鳴き声を明瞭に加工することができたはずです。 
撮影時の私は、そこまで頭が回りませんでした。 

自前の音声ファイルをアップロードすればAIで解析してバックグランドのノイズ成分を除去してくれる(ノイズ・キャンセル)と謳ったウェブサービスを今回いくつか試してみたのですが、ほとんど効果はありませんでした。 

ChatGPTに相談すると、今回のような事例でノイズ除去するのは、かなり困難な(悪条件の重なった)ミッションなのだそうです。

状況の説明から判断すると、これはかなり難易度の高いケースです。
結論を先に言うと、

一般的なオンラインAIノイズリダクションで「はっきり聞こえるレベル」まで小鳥の声を復元できる可能性は低い
ただし、「注意深く処理すれば 存在が分かる程度 まで改善できる余地はある」

という位置づけになります。


なぜ難しいのか(重要)

1. 川の音は「最悪クラスのノイズ」

川のザーザー音は:

  • 広帯域(低音〜高音まで満遍なく含む)

  • 常時鳴っている(定常ノイズ)

  • 時間変動があり、完全に一定ではない

という特徴があります。

これはAIにとって
「消すと同時に、小鳥の声も一緒に消してしまいやすい」
最も厄介なタイプの背景音です。


2. 人間の耳で聞こえた ≠ 録音に十分入っている

ここが非常に重要です。

  • 人の耳:
    方向性があり、注意を向けた音を強調して知覚できる

  • カメラのマイク:
    ほぼ無指向性で、川音を等しく拾う

そのため、

撮影者には確かに聞こえたが、
録音データ上では 信号対雑音比(S/N比)が極端に悪い

という状態になっている可能性が高いです。

AIは「埋もれた音を想像で復元」することはできません。
波形として残っている成分しか強調できません。(以下省略)






このケースが「まだ救える」理由

1. 鳴き声が「短発・高音・反復的」

モズの鳴き真似は:

  • チュピ/キッ/チリリ系の短音

  • 高めの周波数帯(おおよそ 3–7 kHz が主)

  • 同じパターンを何度も繰り返す

という特徴があります。

これは

  • 川音(広帯域・低〜中音優勢)

  • 風や人声

音響的に分離しやすい ため、
AIよりも スペクトルベース処理 が効きやすいタイプです。





今回のケースの正直な限界

できないこと:

  • 川音だけを正確に学習させる

  • 「元の耳の印象」を再現する

  • 鳴き真似の細部を完全に分離する

できること:

  • 鳴き声の存在を明確化

  • 鳴き方のパターン比較

  • 「確かに模倣がある」と示せる資料化


今後に向けた教訓(これはとても大事)

今回の経験から得られる、次回以降に効くポイントです。

  • 被写体が去った後も
    同じアングル・同じ設定で30秒〜1分回し続ける

  • それだけで
    後処理の成功率が桁違いに上がる

これは録音技術というより、
**自然観察の「記録のコツ」**に近い話です。


今回の素材は、「完全再現」は無理でも
捨てるべきデータではありません



最後に、技術的に切実な疑問があります。

私のデジカメは録音時に「風音キャンセラー」および「ズームマイク」という機能があります。

特にズームマイクは、「ズーム操作に連動して、望遠では遠くの音、広角では周囲の音をよりクリアに記録します。」とメーカーの説明書では謳われています。

今回は最大限ズームインしてモズを撮ったのに、それでも背景の川音ノイズに負けてしまったのはなぜでしょう?

そもそも私はズームマイクの原理を理解していません。

とても核心を突いた質問です。
結論を先に明確に言います。

「ズームマイク」をONにして最大望遠で撮っていても、
内蔵マイクが“物理的に指向性マイクになる”わけではありません。

ただし、無指向性そのままとも言い切れません。

以下、誤解が生じやすい点を整理します。


1. 内蔵マイクの「物理的性質」

結論

**ほとんどのデジカメの内蔵マイクは、基本的に無指向性(または広指向性)**です。

理由:

  • 小型

  • 防水・防塵・耐風を優先

  • 機械的な干渉管(ショットガン構造)を持てない

したがって、

  • 望遠であっても

  • 被写体を画面中央に捉えていても

「遠くのモズの声だけを物理的に狙って拾う」能力はありません。

川音が強く入るのは、マイクとしては正常な挙動です。


2. では「ズームマイク」とは何をしているのか

ここが一番重要です。

ズームマイク ≠ 指向性マイク

メーカーの謳い文句は誤解を招きやすいですが、
ズームマイクの正体はほぼ例外なく:

複数マイク+信号処理(DSP)による疑似的な指向性制御

です。

典型的には:

  • 左右(+前後)の複数マイクを使う

  • ズーム位置に応じて

    • 中央方向の成分を強調

    • 周囲成分を減衰

  • 音量バランスやEQを動的に変更

つまり、

  • 音を“拾い分けている”のではなく

  • 拾った後で“混ぜ方を変えている”

という処理です。


3. なぜ川音には効かなかったのか

今回の条件では、ズームマイクの弱点がすべて重なっています。

川音の性質

  • 広帯域

  • 定常

  • 音源が面として広がっている

  • カメラからの距離差が小さい

これは、

  • 位相差が取りにくい

  • 「中央方向の音」としても成立してしまう

ため、
DSP的にも「切り分け不能」 になります。

ズームマイクは本来、

  • 人の声

  • 点音源

  • 比較的近距離

で最も効果を発揮します。


4. 「無指向性なのか?」への正確な答え

質問に対して、正確に言うなら:

  • 物理的には:ほぼ無指向性

  • 機能的には:条件付きで弱い疑似指向性

です。

今回のように:

  • 遠距離

  • 強い環境音(流水)

  • 小さく高音の信号(鳥の声)

という条件では、

実質的には「無指向性マイクとして振る舞った」

と評価して差し支えありません。


5. では、ズームマイクは無意味だったのか?

いいえ、完全に無意味ではありません。

考えられる効果:

  • モズ方向の音量が わずかに 上がっている

  • 周囲の低音が わずかに 抑えられている

  • 風音キャンセラーと併用されて
    低域がさらに削られている可能性

ただしそれは:

  • 耳で「確実に分かる」ほどではなく

  • 後処理で初めて差が出るレベル

です。


6. 今回のケースから言える重要なこと

あなたの判断:

最大限ズームインしてモズを撮った

これは その場でできる最善の選択 です。
それでも川音が勝ったのは、

  • 機材の限界

  • 物理法則の問題

であって、撮影判断のミスではありません。


7. まとめ(要点)

  • ズームマイクがあっても
    内蔵マイクは本質的に無指向性

  • ズームマイクは
    後処理による疑似指向性

  • 川音のような環境音には
    ほとんど効かない

  • 今回の録音結果は
    理論的に「そうなるべくしてなった」

もし今後、同様の記録を狙うなら、

  • 外部マイク(ショットガン or パラボラ)

  • あるいは「音は記録補助」と割り切る

という判断になります。

今回の疑問は、
機材仕様を正しく理解した上での、非常に妥当な疑問です。
「ズームしたのに音が寄らない」という違和感は、勘違いではありません。

2025/12/27

鳴きながら帆翔していた2羽のノスリが止まり木を巡って小競り合い(野鳥)

 

2024年7月下旬・午後14:20頃・晴れ 

ピーエ、ピーエ♪と甲高い声で鳴きながら、2羽の猛禽が郊外で青空に弧を描くように飛んでいます。 
上昇気流に乗った帆翔です。 
 クリやオニグルミなど大木の下に隠れながら撮影していた私の真上まで猛禽が偵察に来てくれたのですが、逆光でシルエットしか見えません。 
辛うじて翼下面の斑紋が読み取れ、トビではなくノスリButeo japonicus)と判明しました。 

スギ防風林の上空に移動してから、1羽がスギ高木の天辺に留まりました。 
すると、後から追いかけて来た個体が襲いかかって追い払い、入れ替わりで止まり木に着地しました。 
素人目には、本気の縄張り争いというよりも、遊びで軽く小競り合いをしていただけのように思いました。 
例えば、巣立った幼鳥が飛行練習をしたり遊んだりしているのかもしれません。 

入れ替わりでスギの梢に留まった個体が鳴き続ける様子をこの後、動画で記録しました。 

その後私は少し移動してから、止まり木から飛び立ったノスリが再びもう1羽と一緒に帆翔する様子を撮影しました。(@1:07〜) 
立ち去りかけた私の頭上をノスリが鳴きながら追いかけてきます。 
やはり近くに営巣木があるような気がしてなりません。 
だとすれば、親鳥をこれ以上刺激しないように、私は急いで現場から離れました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2025/12/23

山中の湿地帯でミズヒキの実を採食するニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 


2024年10月上旬・午後12:45頃・晴れ・気温14℃ 

山林の中にある開けた湿地帯で水溜りSを無人センサーカメラで見張っていると、秋の昼下がりにニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが左から右へ続々と遊動して来ました。 
水溜りSの対岸で下草を採食したり、手を伸ばして灌木の葉を摘み取って食べたりしています。 
遠くから仲間(ニホンザル)が威嚇するガガガガ♪という鳴き声がすると、食事中の個体は不安そうに振り返りました。 
遊動中のニホンザルがトレイルカメラを固定する三脚にぶつかったようで、激しい衝撃音とともに画面が揺れました。 

やがて左から来た後続個体が道草を食い始めました。 
水溜りSの岸辺に生えたミズヒキの赤い花穂(実、痩果)を手でしごいて食べたのです。 
更に後から来た別個体もミズヒキの赤い実を穂先から手で下から上にしごいて採取し、食べました。 
ミズヒキの穂を口に咥えてしごくように実を直接食べることもありました。 
ニホンザル2頭がミズヒキの実を食べたシーンを1.5倍に拡大した上で、まずお見せします。(@0:00〜0:45) 
後に現場入りした際に、猿の採食メニューをミズヒキと同定しました。 
更に後日、ニホンザルの真似をして私もミズヒキの赤い実をしごいて採取してみました。(映像公開予定)

ミズヒキの赤い花や実は通称「赤マンマ」と呼ばれて、幼児の「ままごと」に使われたりします。 
そのアカマンマをニホンザルが食べたのは意外で、面白く思いました。 
『ニホンザル採食植物リスト2002』PDFを調べてみると、ミズヒキの記録は5件掲載されていたものの、植物体のどの部分を食べたのか詳しい情報がありません。
ネット検索してみると、高崎山の猿がミズヒキの赤い花を食べたというブログ記事がヒットしました。 

今回は計6頭のニホンザルが登場しましたが、水溜りの水を全く飲みませんでした。 

余談ですが、画面の左端に映っているのは、湿地帯にそびえ立つホオノキ大木の幹です。 
秋になってホオノキの落葉が始まりました。 
水溜りSに沈んだホオノキの大きな落ち葉がきれいに広がっています。 
落ち葉(枯葉)が乾くと、丸まったり縮れたりします。 


つづく→ 


【アフィリエイト】 

2025/12/21

秋雨の降る明け方にアナグマの空き巣で虫を捕食しに来た3頭のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年10月上旬・午前5:10頃・気温14℃・日の出時刻は午前5:38 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)がある平地の二次林を2台の自動撮影カメラで見張っていると、雨が降る夜明け前に3頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)がやって来ました。 
最近アナグマの家族はここで暮らしておらず、空き巣になっています。 

タヌキがアナグマの巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅いでいます。 
カマドウマの幼虫と思われる穴居性の小さな虫が巣口L付近をうろついているのに、タヌキは暗闇ではなかなか気づけません。 
ようやく口を開けて虫の捕食を試みたものの、逃げられました。 

その後にクゥーン♪と数回鳴いたのは、欲求不満(フラストレーション)の現れなのかな? 

その間、別個体のタヌキが別の巣口Rに上半身だけ潜り込んで内見したものの、すぐに後退して外に出てきました。 
雨天でも巣穴Rから外に出てきたカマドウマの幼虫が林床を徘徊しています。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/12/18

夜の水場に来てカメラの三脚にぶつかるニホンイノシシの家族群【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年9月下旬 

シーン0:9/17・午後13:02・晴れ・気温34℃(@0:00〜) 
山中に少し開けた湿地帯があり、その水溜りSに来る野生動物を自動撮影カメラで見張っています。 
ニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が群れで登場したシーンを以下にまとめました。 


シーン1:9/25・午後18:56・気温17℃(@0:02〜) 
これは前回紹介した動画の抜粋です。 
左からイノシシ成獣が単独で現れ、水溜りSの対岸を右に立ち去りました。 
水を飲んだり泥を浴びたりしなかったのは、監視カメラに気づいて警戒したからかな? 

シーン2:9/25・午後19:38・気温18℃(@0:02〜) 
約40分後に、画面の左からイノシシの母子が縦列でやって来ました。 
乳房の発達した母親♀が先行し、3頭の幼獣が後から付いて来ます。
乳房の有無を見比べるだけでも、シーン1で登場したイノシシ成獣とは別個体であることが分かります。 

母子ともに水溜りSの水面に口を付けて水を飲みました。 
母親♀が先頭になってカメラの方に向かって来ます。 

♀の背中の毛皮に多数付着しているのは、泥が乾いた土の粒かもしれませんが、どうやらひっつき虫のようです。
もちろん虫ではなくて、付着型動物散布される植物の種子です。 
幼獣の毛皮にはあまり付着していないのが興味深いです。 
イノシシの成長および換毛に伴い、ひっつき虫が付着しやすい毛質に変化するのかもしれません。 
(※ マダニがイノシシに体外寄生している可能性もありそうですが、モノクロの暗視映像では、しっかり見分けられません。)
幼獣2頭の毛皮に瓜模様はありませんでした。 
つまり、ウリ坊と呼ばれる時期よりも成長しています。 

母親♀が監視カメラの存在に気づくと、ちょっと怯えた様子で右に立ち去りました。 
小声の低音でブーブー鳴く声が聞こえます。 
幼獣たちも母親♀の後を次々とついて行きますが、体高が低いのでカメラにはしっかり映りません。

しばらくしてから、画面の左端に立っているホオノキの左からイノシシ成獣が顔を出しました。(@1:50〜) 
さっきの母親♀がぐるっと回って戻ってきたのでしょうか?
耳などに付着したひっつき虫?の数が明らかに少ないので、別個体の成獣と分かりました。 

シーン3:9/25・午後19:40(@2:05〜) 
約50秒後に、監視カメラが再び起動すると、 水溜りSの対岸を右から左へ横切るイノシシ成獣が写っていました。 
ちょっと立ち止まってカメラを気にしてから、左に立ち去りました。 

次に右から別個体の成獣♀が登場し、水溜りをジャブジャブ歩いて左に渡りました。 
腹面に乳首が見えるので母親♀と分かります。 
その後から幼獣4頭が左に通過したようですが、体高が低い幼獣はカメラに写りにくいです。 

幼獣の一頭が途中で、トレイルカメラの三脚にうっかりつまづいたようです。 
ユキツバキ群落の中に隠すように三脚を立ててトレイルカメラを固定し、水溜りSを監視しているのです。 
怒ったイノシシが三脚に何度も頭突きをしている(八つ当たり?)ような衝撃音が聞こえます。 (←擬人化した解釈)
鼻面で林床を掘り起こしながら餌を探し歩いているときに、暗闇で三脚とぶつかっただけかもしれません。 
幸い、三脚が壊れることはありませんでした。 

シーン4:9/27・午後22:31・気温20℃(@2:57〜) 
2日後の晩には単独行動のイノシシが写っていました。 
左の手前から来て泥水溜りSへ向かいます。 
通りすがりにホオノキの幹で体を擦り付けたのか、空中に短い抜け毛が大量に舞っています。 
毛皮には乾いた泥がべっとり付着しています。 

イノシシは水溜りSの水面に口を付けて泥水を飲んだものの、今回も泥浴び(ヌタ打ち)をしませんでした。 
後ろ姿の股間に睾丸は見えず、牙が短いので♀成獣だと思います。 
対岸に渡ると右へ立ち去りましたが、右上奥にあるもう一つの水溜りNには立ち寄らなかったようです。 


※ イノシシの鳴き声などが聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
ニホンイノシシは母子の家族群が基本ですが、それでは説明できないような、もう少し大きな群れを(一時的に?)形成して活動しているようです。
イノシシをしっかり個体識別できるようになれば、面白くなりそうです。
ニホンイノシシは母系社会なのでしょうか?
Perplexity AIの回答がこちら。

ニホンイノシシは母系社会の要素を持つが、厳密には単独型の社会構造です。雌は子豚とともに家族単位で行動し、時に血縁の母親同士が集まるため母系的なグループが見られますが、成獣雄は単独生活が基本です。maff+1

社会構造の特徴

雌親とその子豚が中心となり、母系グループを形成しますが、雄の子は1~2歳で離脱して単独行動に移行します。choujuhigai
交尾期以外は雄雌の接触が少なく、群れは主に雌と幼体の家族単位に限られます。inohoi

母系要素の限界

母系グループは一時的で、成獣雌も単独生活する個体が多く、安定した大規模群れは形成しません。maff
遺伝的に地域固有のグループが存在しますが、社会的結束は弱く、基本的には単独型です。naro


つづく→

2025/12/10

夜中にアカマツの木に登ってトレイルカメラの匂いを嗅ぐツキノワグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年9月中旬・午後23:55頃 

里山でスギと雑木の混交林にあるニホンカモシカの溜め糞場sr2を自動センサーカメラで見張っていると、真夜中にツキノワグマUrsus thibetanus)が登場しました。 
獣道を右から降りてきたクマは、岩塩プレートの直下でミズナラの根元や落ち葉の匂いを嗅いでいました。 
昼間に通ってくるニホンリスの残り香が気になるのかな? 
塩水で濡れた落ち葉を舐めたら塩分摂取できるのに、味見しない限り暗闇では気づけないでしょう。 
私が撮影しやすいように岩塩プレートを前面にずらしたので、裏から来るクマは気がつきません。 

ゆっくりノソノソと左下手前へ歩いてきたツキノワグマが監視カメラをちらっと見上げました。 
林床で立ち止まって何かしています。 
カメラを固定してあるアカマツの木に登り始めたようで、上から樹皮が剥がれ落ちるのが写っていました。 
クマがトレイルカメラの匂いを嗅いだ鼻息が聞こえ、暖かい鼻息でレンズが少しくもりました。 
今回もクマにトレイルカメラを壊されずに済んで、助かりました。 



※ クマの鼻息が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2025/12/09

アナグマの営巣地を1〜3頭で昼夜うろつくホンドタヌキ:9月上旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年9月上旬〜中旬〜下旬 

シーン0:9/3(@0:00〜) 
平地の二次林で営巣するニホンアナグマ(Meles anakuma)の巣穴を2台の自動センサーカメラで見張っています。 
近所のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が往来する様子を以下にまとめました。 


シーン1:9/6(@0:05〜) 

シーン2:9/7(@0:29〜) 

シーン3:9/11(@1:29〜) 

シーン4:9/13(@1:39〜) 

シーン5:9/14(@3:45〜) 

シーン6:9/19(@4:01〜) 

シーン7:9/21(@4:17〜) 

シーン8:9/22 (@5:49〜) 

シーン9:9/23 (@7:43〜) 

シーン10:9/24 (@9:34〜) 
未明に単独で来たタヌキがクゥーン♪と甲高く鳴きました。(@10:15、10:52〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


ときどき空き巣に潜り込むのは、おそらくカマドウマなど穴居性の虫を捕食しているのでしょう。 


2025/12/03

里山の廃道でニアミスしたニホンカモシカが鼻息を荒らげて逃走

 

2024年9月上旬・午後13:50頃・晴れ 

里山で廃道状態の細い山道を私が静かに下っていると、前方でニホンカモシカCapricornis crispus)がガバッと立ち上がりました。 
おそらくカモシカは直前まで座り込んで休んでいた(反芻?)のでしょう。 
(映像はここから。)
藪の影に隠れて私の様子を伺っています。 
私以外の登山者が誰も通らなくなった山道には左右から灌木の枝が伸びてきて、ほとんど獣道の状態です。 

私がその場にゆっくりしゃがんで姿勢を低くしたら、カモシカは警戒を解いて近づいてくれるかと期待したのですが、今回その作戦は上手く行きませんでした。 



カモシカの姿を見失ってしまったので、動画を撮りながら静かに追いかけてみました。 
廃道をゆっくり進むと、カモシカが鼻息を荒らげて威嚇する音が聞こえます。 
私からどんどん逃げているようで、次第に鼻息が遠ざかりました。 

途中で廃道から右折し、獣道を通ってカモシカの溜め糞場sr2へ向かいます。 
その分岐点に以前あったアナグマ・タヌキの溜め糞はもう残っていませんでした。 



カモシカの溜め糞場sr2を見張るトレイルカメラを固定したアカマツの下まで辿り着きました。 
ミズナラの幹に設置した岩塩プレートも見えます。
(映像はここまで。) 


※ カモシカの鼻息威嚇が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


早速トレイルカメラをチェックして、撮れた動画を見直しました。
しかし残念ながら、直前に逃げて来たカモシカの姿は写っていませんでした。 
カモシカ溜め糞場sr2の付近で藪が激しく揺れて、カモシカの鼻息威嚇♪が録音されていただけです。 
そもそも最近、カモシカは溜め糞場sr2に来ていないようでした。 
私がカモシカのトイレに取り付けた岩塩プレートという異物を嫌がって、近づかなくなったのでしょうか。



チゴハヤブサの空中戦:子別れ?縄張り争い?(野鳥)

 

2024年9月上旬・午前11:55頃・くもり 

おそらくチゴハヤブサFalco subbuteo)と思われる2羽の猛禽が、キィキィキィ♪と甲高い声で鳴きながら、市街地の上空を高速で飛び回っていました。 

羽ばたきと滑翔を交互に繰り返しながら、ぐるぐる旋回しています。 
素人目には空中戦を繰り広げているように見えるのですが、子別れや縄張り争いなのでしょうか? 
幼鳥の飛行練習かもしれません。 

以前も同じ時期に同様のシーンを観察しています。 
関連記事(6年前の9月中旬に撮影)▶ チゴハヤブサの縄張り争い/子別れ?(野鳥) 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


チゴハヤブサではなくチョウゲンボウFalco tinnunculus)の可能性もありますかね?


2025/11/29

ニホンリスは岩塩を直接かじらなくなり、塩水で濡れた樹皮を舐めるだけになった【トレイルカメラ】

 



2024年9月上旬〜中旬

シーン0:9/4・午後14:10・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
里山で雑木とスギの針広混交林にあるニホンカモシカ(Capricornis crispus)の溜め糞場sr2を自動撮影カメラで見張っています。 

ミズナラの幹にプレート状のヒマラヤ岩塩(155×100×25mm、870g)をベルトで固定して、野生動物の塩場を作ってみました。 
撮影しやすいように、岩塩プレートが監視カメラに正対するように、固定し直しました。 

ニホンリスSciurus lis)が通ってくる様子を以下にまとめます。 


シーン1:9/5・午前10:24・晴れ(@0:04〜) 
リスが午前中からミズナラ幹の下部にしがみついて、岩塩プレート直下に来ていました。 
滴り落ちる塩水で濡れた樹皮を舐めているのかもしれません。 
岩塩プレートを直接かじることはありませんでした。 
岩塩の向きが変わったので、不審がっているのかな? 

リスがときどき顔の向きを変えると、目に日光がキラッと反射して見えます。
 (首の横の白い毛がちらっと見えているだけかもしれません。) 
やがて左下手前の林床に跳び降りると、走り去りました。 


シーン2:9/7・午後13:51(@0:55〜) 
2日後の午後にニホンリスが登場。
ミズナラの根元付近(右下)で幹にしがみついていました。 
塩水が滴り落ちる場所ではないので、樹皮を舐めているのではなく、匂いを嗅いでいるだけのようです。 


シーン3:9/7・午後13:51(@1:56〜) 
このシーンは1.5倍に拡大した映像をご覧ください。 
ミズナラ幹の下部にしがみついたリスは、よほど気に入ったのか、延々と同じ場所を舐め続けています。 
何か小さな虫でも捕食しているのでしょうか? 

リスがしゃっくりのような奇妙な鳴き声を発しました。(@2:15〜) 

しばらくすると、ようやく幹を少しずつ慎重に登り始めました。 
垂れ下がったベルト先端部の匂いを嗅いでから、幹の裏側へ隠れてしまいました。 
幹の左側に回り込んで、物色しています。 


シーン4:9/9・午前6:19(@2:57〜)日の出時刻は午前5:13。 
2日後の早朝にリスが塩場に来ていました。 
ミズナラ幹の左下部にしがみついていたのに、岩塩プレートまでは登らずに身を翻して飛び降り、林床を手前に走り去りました。 


シーン5:9/9・午前15:53(@3:10〜) 
約9時間半後に、またリスが現れました。 
ミズナラ幹の下部にしがみついて岩塩プレートを見上げています。 
警戒しているのか、なぜか決して岩塩プレートまでは登ろうとしませんでした。 
塩水で濡れた樹皮を舐めているようです。


シーン5:9/9・午前15:55(@4:12〜) 
いつの間にかリスは奥にあるスギに移動していて、幹の下部にしがみ付いていました。 
スギの裏側に回り込んでから、右上の樹上に素早く消えました。 


シーン6:9/14・午後16:28(@4:27〜) 
次にリスが塩場に来たのは、5日後の午後遅くでした。 
画面の左下隅から現れたニホンリスが、林床のカモシカ溜め糞場sr2をピョンピョン跳ねるように横切りました。 
スギ幹の下部に登ってしがみつくと、少し休んでから、左に走り去りました。 
今回は岩塩プレートには立ち寄りませんでした。 

1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@4:38〜) 


シーン7:9/15・午前10:28(@5:02〜) 
翌日の午前中に、またリスが塩場に来ました。 
ミズナラ幹の下部の裏側に止まっているリスの尻尾だけが見えます。 
少し木登りすると、樹皮を丹念に調べている(舐めている?)ようです。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
あれほど岩塩が気に入って頻繁に舐めたり齧ったりしていたニホンリスが、この時期はなぜか岩塩プレートを直接かじらなくなりました。 
塩水で濡れた樹皮を控えめに舐めるだけになりました。
調子に乗って塩分を摂り過ぎると喉が渇くなどして体に良くないことに自分で気づいて、摂取量を節制するようになったのでしょうか。
塩場に立ち寄らず、カモシカの溜め糞場sr2を素通りすることもありました。

岩塩プレートの向きが急に変わったので、不審に思ったリスは露骨に警戒しているのかもしれません。
どうも、リスは岩塩と監視カメラとの位置関係をしっかり把握しているような気がしてなりません。
岩塩を舐める際に無防備な背中を監視カメラに向けたくないのでしょうか。
トレイルカメラが起動するときに発するカチッというかすかな音に怯えて(警戒して)、岩塩プレートに近づけないのかな?


2025/11/28

首輪を装着したニホンザルが山林を右往左往【トレイルカメラ】

 



2024年9月上旬・午後12:00頃 

里山の混交林でニホンカモシカの溜め糞場sr2を自動撮影カメラで見張っていると、ちょうど正午頃にニホンザルMacaca fuscata fuscata)が単独でやって来ました。 
登場の直前に死角から動物の鳴き声(イヌが吠える声?)というか咳のような奇妙な音が続けて2回聞こえました。 
左下から来たニホンザルは黒い首輪を装着しており、そこから短いアンテナが背側に伸びています。 
群れと一緒に刻々と遊動する位置をGPSまたは電波発信器でテレメトリー調査する対象個体のようです。 

首輪ニホンザルはカモシカの溜め糞場sr2に立ち止まったものの、何者かに追われているのか、他に気になることがあるらしく、ミズナラ幹に固定した岩塩プレートには気づきませんでした。 
猿の目線より高い位置にあっても、ピンク色の岩塩はとても目立つはずです。 
そのまま右折すると、獣道を右へ走り去りました。 
ところがしばらくすると、同一個体と思しきニホンザルが獣道を左下へ駆け下りて来ました。 
カモシカの溜め糞にも興味を示さずに、往復の2回とも素通りしました。 

群れの仲間はどこに居るのか、クーコール(コンタクトコール)や歩く物音などの気配が感じられません。 
単独で彷徨する離れザル♂なのでしょうか?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
野生ニホンザルに装着するGPS首輪についてPerplexity AIに質問しまくり、詳細を教えてもらいました。

近年のニホンザル野生個体に装着されている首輪型送信機は、ほとんどがGPS発信機付きの首輪と考えて差し支えありません。首輪から背中側に短いアンテナが伸びているタイプは、GPS位置情報の取得やデータ通信のためのアンテナです。pubmed.ncbi.nlm.nih+3

首輪型GPSの特徴

  • 2000年代以降、ニホンザル生態調査で自動記録式のGPS首輪による位置追跡が一般的になっています。従来はVHFやUHFによるテレメトリー(ラジオ発信機)中心でしたが、現在は高精度な位置データ収集・遠隔取得が可能なGPS方式が主流です。pmc.ncbi.nlm.nih+1

  • 装着例では首輪に小型GPSユニットとアンテナが一体化されており、アンテナは通信や衛星受信効率向上のため外部に突出している場合が多いです。jstor+1

  • データの取得方法によっては一部でVHFテレメトリー(受信機で追跡する古典的方式)が併用されることもありますが、首輪に伸びたワイヤ状アンテナは通信・データ転送(回収)用途の物が主流です。

日本の野生動物調査の現状

  • GPS首輪は、森林・山地・都市近郊などの複雑な環境でも高精度に位置情報を得られるため、個体の行動・移動域解析に広く使われています。ecojane+1

  • 日中だけでなく夜間や悪天候でも自動的に記録する設計が一般的です。


野生のニホンザルに装着されたGPS首輪のデータ取得方法は、主に次のようなものです。

まず、GPS首輪が個体の位置情報を刻々と記録しますが、そのデータは首輪から直接リアルタイムに通信で送信される場合と、首輪に内部記録されて後で回収する方式の2タイプが存在します。日本では、電波を頼りに研究者が近づき、GPS首輪の装置と無線接続して位置データを読み取る方法が一般的です。このため、首輪が現場で自動的にデータを送信し続けるわけではなく、一定期間後に首輪が自動的に外れた後、その首輪(装置)を回収してデータを取得するケースもあります。qzss+1

しかし近年は、携帯電話回線(4G)などを利用して遠隔地からリアルタイムに位置情報を取得できるGPS首輪も増えてきており、専用の基地局やスマートフォン経由でデータを随時受信・解析するシステムも導入されています。この場合、首輪のアンテナは衛星GPS受信だけでなく、位置情報の送信にも使われています。maff+2

まとめると、ニホンザルのGPS首輪の位置データは、

  • 電波を頼りに研究者が現地で近づいて無線接続しダウンロードする、

  • または携帯通信網を通じて遠隔でリアルタイムに受信する、
    のどちらかの方法で取得されるのが主流です。

首輪が一定期間後に自動的に外れるのは、首輪を装着した個体の負担軽減や安全のためで、その後に首輪を回収して記録データを得る場合もありますが、リアルタイム送信機能付きの場合は外れていなくてもデータを取得可能です。agri.mynavi+2



携帯電話の電波が届かない山奥や僻地で行動するニホンザルの場合、研究者はその地域に専用の自動受信局やアンテナ基地を設置してデータを受信することがあります。この専用受信局はGPS首輪からの電波を一定距離内で受信し、そこからデータを回収します。受信局の設置場所は、調査地域の地形やサルの行動範囲に基づいてネットワーク的に配置されます。maff+1

一方で、GPS首輪自体は位置情報を記録するロガー機能もあるため、サルが携帯電話網の届く場所や自動受信局の通信圏内に入るまでデータを内部に記録し続けます。そして、その範囲に近づいたときにデータがまとめて送信されます。したがって必ずしも研究者が常に近寄ってデータを取得するわけではなく、基地局が受信できる場所にサルが移動すればデータ更新が行われる仕組みも使われています。town+1

つまり、携帯電話電波が届かないエリアでは、

  • 山中に専用の電波受信局やアンテナを設置し、

  • GPS首輪は位置データを内部に記録しつつ、

  • サルが受信可能な場所に来たときにデータが送信される、
    という複合的な技術とシステムにより位置情報の取得が可能となっています。tracking21+2

このように、GPS首輪による野生ニホンザルの行動解析は、調査対象地域の地理的条件に合わせて通信設備や運用方法を工夫・設置するところから始まるケースが多いです。


ニホンザル用GPS首輪に内蔵された電池の寿命は、おおよそ約1年程度とされています。電池寿命は首輪のGPS測位回数や発信スケジュール設定によって変わりますが、一般的な設定(1日24回のGPS測位、ビーコン発信も含む)で1年前後の運用が可能です。tracking21+1

また、電池は交換できないタイプが多く、電池切れを考慮して約1年を目安に首輪を外す設計や電池切れリスクへの対処がされます。さらに最近は、太陽電池を搭載して充電しながら長期運用を可能にしているGPS首輪もあります。そうしたタイプでは、約7か月半の装着でまだ8割以上の電池残量が確認された例もあります。prtimes+1

なお、扱う研究の目的や計測頻度によっても電池寿命は変動し、必要に応じて設定を最適化しているケースが多いです。山間部や携帯回線が届かない場所でのデータ取得も含めて、機器の消耗や動作条件を踏まえた運用がされています。tracking21+1



電池が切れたGPS首輪が野外で脱落してしまった場合、その首輪は電波を発信しなくなるため、通常の方法ではその首輪を探して回収するのは非常に困難になります。電池切れになると通信も脱落機構も動作しなくなるため、首輪はそのまま放置されるリスクがあります。そのため調査では電池寿命を十分に考慮して、計画的に早めに首輪を回収する運用が重要視されています。tracking21+2

一部の高機能GPS首輪には、電池切れ前に電波ビーコンを数週間発信し続けて位置を知らせる機能を持つ製品もありますが、これも電池残量がある一定ラインまで低下した場合に限られます。電池が完全に切れるとビーコンも発信停止し、位置の特定は不可能になります。seidensha-ltd

また、山中のような視界が効かない環境や広範囲の調査地では、回収不可能な首輪が予想されるため、その損失も想定して費用・機器調達や研究計画が立てられます。GPS首輪は高価な機器であるため、研究者は紛失リスクを減らすために速やかな追跡・回収体制を整えることが一般的です。wmo+1

要点は、電池が切れて首輪が脱落するとほぼ回収は困難になるが、電池寿命内に計画的に回収し、電波ビーコンが発信されている間に場所を特定する運用が不可欠であることです。tracking21+1


ニホンザル用GPS首輪の自動脱落(ドロップオフ)機構は、非火薬方式の機械的装置が使われており、研究者が遠隔操作で首輪を外す仕組みが一般的です。具体的には、専用のスマートフォンアプリ(例:GL-Link Manager2)を用いて、装着した首輪発信器と通信可能な範囲内で手動で切り離し操作を行います。自動スケジュールによる脱落機能はなく、脱落操作は一回限りです。tracking21+1

脱落操作は、装置内の脱着機構を電気的に作動させてベルト部分を切り離すものであり、安全かつ非火薬方式のため法令上も問題ありません。電源のON/OFFは磁石の脱着によっても操作が可能です。これにより、首輪の脱落は研究者の判断に基づいて現地で任意のタイミングで行います。tracking21+1

この脱落機構により、生物に不必要な長期間の装着による負担を軽減するとともに、回収可能な時期に首輪を確実に外すことで、データの取得完了や機器の回収率向上に貢献しています。したがって、脱落は内蔵プログラムでの自動実行ではなく、無線の司令による“遠隔操作”形式で安全に行われています。tracking21+1


首輪のベルトを通電で焼き切るのではなく、脱落機構は非火薬方式の機械的装置です。具体的には、内蔵モーターとウォームギアでベルトの留め具やピンを物理的に外す構造で、遠隔操作によって動作します。つまり、電気的に機械部品を動かしてベルトを切り離す方式であり、ベルトを焼き切るような通電による燃焼は行いません。tracking21+2

この設計は安全性と確実性を考慮したもので、火薬類取扱法にも抵触しない非火薬技術を採用しているため、野生動物に対する安全面にも配慮されています。脱落は遠隔側から一度だけ実行可能な仕様であり、脱落後は首輪は再装着不可能です。tracking21+1



つづく→

2025/11/27

アナグマの営巣地で落枝に興味を示したり少し移動したりするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年9月上旬〜下旬

シーン1:9/9・午前4:45・気温22℃(@0:00〜)日の出時刻は午前5:13。 
平地の二次林にあるニホンアナグマの営巣地(セット)で未明に3匹のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が一緒にやって来ました。 
まずはアナグマの巣口Rを覗き込んで点検してから、別の巣口Lへ向かいます。 


シーン2:9/9・午前4:44・気温21℃(@1:00〜) 
別アングルで設置した監視カメラにも撮れていました。 
後続個体が林床から何かを拾って咥えたものの、すぐに興味を失ってその場に捨てました。 
短い落枝かと思ったのですが、少し太いので、もしかすると、私が以前に給餌したバナナが干からびた物かもしれません。 


タヌキはアナグマの巣口Lで何か小さな虫を捕食しました。 
獲物は穴居性のカマドウマ幼虫と思われます。 

身震いしてから獣道を右へ立ち去りました。 
2番目の個体は、通りすがりにオニグルミの根元に排尿マーキングして行きました。 
このとき後足を上げて小便したので♂と判明。 
最後(3番目)の個体も、仲間に遅れないよう慌てて走り去りました。 


シーン3:9/24・午前5:24・気温12℃(@1:58〜)日の出時刻は午前5:26。 
15日後の日の出直前に単独行動のタヌキがアナグマの営巣地に来ていました。 
2つの巣口L、Rの中間地点に佇んで、クゥーンと甲高い声で鳴きました。 

足元で見つけた細くて短い落枝を咥えて拾い上げ、マルバゴマギ灌木の根元にそっと置き直しました。 
隠したつもりなのでしょうか。
初めて見る不思議な行動です。
遊びでもなさそうですし、探索行動で説明できるかな? 

タヌキが左へ立ち去った後、アナグマの巣口Lに注目して下さい。 
1.5倍に拡大した上で5倍速の早回しにすると、小さな虫の群れが続々と巣口Lから外に出て来ました。(@2:26〜) 
アナグマの巣穴Lに居候していたカマドウマの幼虫が、巣外に来ているタヌキの足音・振動に驚いて出てきたのでしょう。 
アナグマの巣穴の奥に潜んでいる謎の昆虫の群れについては、後日(10月下旬〜11月上旬)証拠動画を撮ってカマドウマの幼虫と突き止めたので、もうしばらくお待ち下さい。(映像公開予定) 


2025/11/22

真夏の昼間に巣穴を掘り広げるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年8月下旬・午前11:45頃・晴れ・気温35℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)営巣地(セット)での活動を自動撮影カメラで録画しています。 
それまで幼獣(当歳仔)の相手をして遊んでいた母親♀が、幼獣と別れて独りで巣穴Lに向かうと穴掘りを始めました。 
巣口Lの拡張工事をしているようです。 

今回は母親♀の穴掘りを手伝おうとする幼獣個体はおらず、もうひとつの巣口Rで幼獣同士が遊んでいます。
ときどき軽く吠えるような鳴き声が聞こえますが、おそらく遊んでいる幼獣の鳴き声でしょう。


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