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2025/04/11

路上でアリを次々と狩り、捕食後に残渣を吐き捨てるニワハンミョウ

 

2024年4月下旬・午後13:05頃・くもり 

山間部の田園地帯で舗装された農道をニワハンミョウCicindela japana)が何匹も走り回っていました。 
どの個体を観察すべきか目移りしてしまうのですが、とりあえず選んだ個体を動画に撮り続けると、複数個体の捕食シーンが撮れました。 

頭楯と大顎の色から、おそらく♀だと思います。(♂なら白いはず)
大顎を開閉しながら路上に佇んでいたニワハンミョウ♀が急に方向転換したり走り出したりするので、見失いそうになります。 
歩く方向はまちまち(ランダム・ウォーク)で、♀の場合は獲物を探し歩いているようです(探餌行動)。 

路肩に駆け込むと、逃げる獲物を素早く狩りました。 
枯草の茂みが邪魔でよく見えなかったのですが、狩った獲物の正体は黒いアリのワーカー♀だったようです。 
種名は不詳ですが、ごく普通種のクロヤマアリまたはクロオオアリと思われます。 
アリジゴクのように獲物を待ち伏せするのではなく、敏捷に逃げるアリを積極的に追いかけて狩るとは驚きです。
参考サイト:アリを捕らえたニワハンミョウ@海野和男デジタル昆虫記 

ニワハンミョウが鋭い鋸歯のある大顎を左右に大きく開閉して獲物を咀嚼している間にも、あちこち忙しなく動き回ります。 
獲物を噛み砕いて固形物として飲み込むのではなく、獲物の体液を吸汁しているだけでした。 
ハンミョウの場合、この食事法を体外消化と呼んで良いのかどうか、AIで調べても分かりませんでした。 
獲物を咥えたまま、ときどき硬い路面に打ち付けているのは、獲物を噛んで丸めながら咥え直しているのか、それともアリを押し潰して殺し、滲み出る体液を吸汁しているのかもしれません(広い意味で咀嚼行動、道具使用)。 

餌食となったアリはニワハンミョウの牙に噛まれたまま暴れていますが、蟻酸による反撃がハンミョウに全く効かないのは不思議です。 
ニワハンミョウに襲われてもアリはしばらく生きていて、必死に暴れています。 
つまりニワハンミョウは、蟻酸による反撃を封じるために仕留めたアリを即死させている訳ではありません。 
ニワハンミョウが噛みついているのはアリの急所の頭部ではなく胸部?でした。 
アリが大顎で反撃したくても届きません。 

狩りおよび捕食シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:15〜)
狩ったアリをしばらく噛みしめて体液を吸い尽くすと、消化できないクチクラの残渣を吐き捨てました。(@8:15〜) 
そして次の獲物を探しに行きます。 

路上でアリをくちゃくちゃ噛みながら佇んでいる個体♀a(鞘翅が赤色っぽい)に対して、同種の別個体♂b(鞘翅が緑色っぽい)が交尾しようと襲いかかることがありました。 
鞘翅の色が違いますけど、同種のニワハンミョウです。 
スロー再生すると、♀aは急いで羽ばたいて飛び去っていました。(@2:44〜) 
私はニワハンミョウの性別判定がいまいち覚束ないのですが、ハンミョウの成虫同士で獲物を強奪する行動があるとは思えないので、♀♂の求愛および交尾拒否だと解釈しました。 

その後もかなり粘ったのですが、なぜかアリ狩りの動画が撮れなくなりました。 
いきなり最初に撮れたビギナーズラックの動画のクォリティーを越えることができません。 
ニワハンミョウがこの農道で獲物のアリを狩り尽くしてしまったのでしょうか? 
満腹したらもう狩りはしなくなり、配偶行動に切り替えるのかな? 
もしかすると、アリを狩るのに適した時間帯があって、それを過ぎると獲物のアリが巣外で活動しなくなるのかもしれません。 

次はニワハンミョウ♀♂の配偶行動に注目します。 
つづく→ 


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2025/04/08

花が咲いたボケの枝先で巣作りに適した場所を探すセグロアシナガバチ創設女王

 

2024年4月中旬・午後14:30頃・晴れ 

道端で赤い花が咲き始めたボケ(木瓜)の灌木にセグロアシナガバチ♀(Polistes jokahamae)が訪花していました。 
この時期はワーカー♀ではなく、越冬から目覚めた創設女王ですね。 
吸蜜していたようですが、しっかり接写する前に化粧(身繕い)してから飛び立ってしまいました。 

女王蜂は少し飛んだだけで、その後は緑の若葉が芽吹いたボケの枝先を丹念に調べていました。 
ボケの枝葉にはまだイモムシ類が居ないので、獲物を探索する狩りモードではなさそうです。 
どうやら女王蜂が初期巣を作り始める場所を探しているのだと分かりました。 
クロアリ(種名不詳)が往来する枝先は嫌がってすぐに離れます。 
アシナガバチにとって最大の天敵はアリだからです。 

別の枝先では緑色のクモとニアミスしたのですが、クモの方がセグロアシナガバチ♀を怖がって葉裏に隠れてしまいました。 
クモの正体は初めハナグモかと思ったのですが、おそらくサツマノミダマシNeoscona scylloides)のようです。 
造網性のクモですから、徘徊性のクモのように獲物を待ち伏せしていた訳ではありません。 




2025/04/07

化粧してから落ち葉の下に隠れて休むオオマルハナバチ創設女王

 

2024年4月中旬・午後12:35頃・晴れ 

里山で稜線上の山道を縦走していると、オオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)を見つけました。 
この時期だとワーカー♀ではなく、越冬から目覚めた創設女王が独りで営巣適地を探索しているのです。 

枯葉の上に乗った女王蜂は、長い口吻を出し入れしながら身繕いを始めました。 
後脚にある空荷の花粉籠がよく見えます。 
手前の落枝が撮影の邪魔(目障り)なので、私が動画を撮りながら横に少しずれようとしたら、落ち葉を踏む音に警戒した蜂は落ち葉の下に潜り込んでしまいました。 
そこが営巣地の入口なのかと思ったのですが、オオマルハナバチ女王の静止した脚の先端だけ覗いて見えているので、ただ隠れただけのようです。 




山登りで標高が上がると、平地性のクロマルハナバチから山地性のオオマルハナバチへと優占種が見事に(図鑑に書いてある通りに)交代する様子が分かります。 
両種が混棲するエリアもあります。

2025/04/05

ボケの開花を待ち切れずに赤いつぼみで採餌を試みるセイヨウミツバチ♀【ハイスピード動画】

 



2024年4月中旬・午後14:25頃・晴れ 

赤い花を咲かせるボケ(木瓜)の品種に訪花するセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀を240-fpsのハイスピード動画で撮っていたら、興味深い行動が撮れました。 
花だけでなく、未開花のつぼみにも訪れて念入りに調べていたのです。 
後脚の花粉籠は空荷の個体でした。 
セイヨウミツバチ♀は前脚で顔や触角を拭って身繕いすると、ようやく諦めて蕾から飛び去りました。 

セイヨウミツバチ♀は、まだ固く閉じている花弁をこじ開けて侵入しようとしているのでしょうか。 
それとも蕾に穿孔して、蜜腺から直接盗蜜しようとしているのかもしれません。 
ボケの花がまったく咲いていない蕾だけの時期ならともかく、同じボケの木で花がすでに多数咲いているのに、どうして蕾に執着するのか、理解に苦しみます。 
開花直前の蕾は花蜜が最も豊富なのでしょうか。 
ボケは鳥媒花と言われていて、花にも蕾にも虫を誘引する芳香はありません。 (少なくとも私の嗅覚では無臭)
ミツバチを誘引するフェロモンに分子構造がたまたま似ている未知の化学物質をボケの蕾が密かに分泌しているとしたら、面白い話です。

ちなみに、ミツバチと入れ替わりで別種のハナバチが飛来しました。 
触角が長く、頭楯が白い蜂です。 
なんとなくツツハナバチですかね?(当てずっぽうのボケをかましてみました。)

2025/04/02

花が咲いたボケの灌木で営巣適地を探して飛ぶフタモンアシナガバチ創設女王

 

2024年4月中旬・午後14:20頃・晴れ 

山麓の道端に咲いたボケ(木瓜)の赤い花にフタモンアシナガバチ♀(Polistes chinensis antennalis)が訪花していました。 
この時期はワーカー♀ではなく、越冬明けの創設女王です。 
ミツバチと一緒に吸蜜していたようなので慌ててカメラを向けたら、警戒して逃げられてしまいました。 


花から飛び立った後も、フタモンアシナガバチの創設女王はボケの枝の茂みを丹念に調べるようにゆっくり飛び回っています。 
飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:11〜) 
アシナガバチの獲物となるイモムシ類はまだボケの木に居ないはずなので、探餌飛翔というよりも、営巣に適した場所を探索しているのでしょう。 
実は別種のアシナガバチの創設女王も、ボケの枝に巣を作り始めようかと物色しているところでした。



2025/03/29

オオヤマザクラの花で採餌するクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後15:30頃・晴れおよび午前10:35頃・くもり 

民家の裏庭に植栽された桜の老木で濃いピンクの花が満開に咲いていました。 
見慣れたソメイヨシノとは明らかに異なる品種で、花と同時に若葉も開いています。 
サクラハンドブック』で調べてみると、どうやらオオヤマザクラのようです。(p12-13) 

桜の木の下に立つと、蜂の羽音がブンブン♪聞こえます。 
羽音の主を探すと、キムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく訪花していました。 
吸蜜するクマバチ♀の後脚を見ると、花粉籠はまだ空荷でした。 

オオヤマザクラの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:49〜) 
クマバチの羽ばたきで桜の花弁があおられていますが、映像ではストロボ効果で羽ばたきが止まって見えます。 

花から飛び立ったクマバチ♀は、次の花を見定めるように手前でホバリング(停空飛翔)しながら、左右の脚を擦り合わせています。 
体に付着した花粉をまとめて、後脚の花粉籠に移しているのです。

ミツバチ♀の群れも一緒に採餌していたのですが、あまりにも動きが忙しなくて動画にうまく撮れませんでした。 

3日後にも定点観察すると、風が吹く度に花弁がどんどん散って葉桜になりました。 


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2025/03/26

鳥媒花のボケで採餌するセイヨウミツバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後14:20頃・晴れ 

山麓の農村部で道端に植栽されたボケ(木瓜)の赤い花にセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が何匹も集まって訪花していました。 
早春に咲くボケは典型的な鳥媒花のはずなのに、昆虫の送粉者が訪花していたことに驚愕し、とても興奮しました。 
関連記事(4、5年前の撮影)▶  

後脚の花粉籠が空荷の個体もいれば、黄色い花粉団子を付けて運んでいる個体もいます。 
のどかな農村部は静かなので、耳を澄ますと蜂が飛び回る羽音がかすかに聞こえます。 
キジ♂がケンケーン♪と母衣打ちする鳴き声もかすかに聞こえました。 

ときどき2匹のミツバチが同じボケの花でニアミスすることがありました。 
どうやら同じコロニーから来た仲間のようで、1/5倍速のスローモーションでリプレイしても小競り合いや占有行動は見られませんでした。 

ボケの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:22〜) 
訪花の合間に空中でホバリングしながら左右の脚を擦り合わせています。 
体毛に付着した花粉を身繕いでまとめて、後脚の花粉籠に移すのです。 


【考察】
この時期の虫撮り動画で一番興奮した大事件です。
図鑑や送粉生態学の教科書に書かれている「ボケは典型的な鳥媒花である」という定説に対する反例が撮れました。 
ミツバチの視覚に赤色はあまり見えていないはずなので、花弁が赤い品種のボケに訪花しているのは、とても意外です。 
撮影後にボケの花を直接嗅いでみて、芳香がないことを確認しました。 
セイヨウミツバチが新たな蜜源植物を学習によって開拓しつつあるのでしょうか? 
それともボケが鳥だけでなく昆虫も誘引するように進化しつつあるのでしょうか? 
急速に進行する温暖化の影響でフェノロジー(花暦・生物季節学)が撹乱され植物と送粉者の結びつきが失われると、両者にとって死活問題です。
何かしら進化・適応しない種は、滅亡するしかありません。 
特定の種類の送粉者に依存してしまっている植物は、リスクヘッジする(送粉者の多様性を高める)方向に進化しないと、絶滅のリスクが高いでしょう。
生物の進化スピードでは対応できないほど、人類によってもたらされた地球温暖化のスピードが急激過ぎる点が大問題なのです。

そもそも鳥媒花と虫媒花は排他的な関係ではないのかもしれません。
教科書では分かりやすく伝えるために「ボケは鳥媒花」と言い切っていただけで、実際は鳥が訪花することも虫が訪花することもあるのでしょう(確率が高いか低いかの問題)。




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2025/03/03

早春のハクモクレン樹上にメジロのペアとコガタスズメバチの古巣(野鳥)

 



2024年2月中旬・午後15:30頃・晴れ 

民家の庭木のハクモクレンの樹上で見つけた コガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣を定点観察に来ました。 
見上げて撮影を始めたら、メジロZosterops japonicus)の♀♂ペアが近くの横枝に止まっていることに気づきました。 
小声で鳴き交わしながら♪枝から枝へピョンピョン飛び移り、最後は相次いで飛び去りました。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


前回もここでメジロを見かけた(単独個体)ので、もしかすると、半壊した(くり抜かれた)コガタスズメバチの古巣をメジロ♀♂が樹洞のように夜のねぐらとして使っているのかもしれない、という仮説を思いつきました。 
スズメバチの古巣を再利用してスズメなどの鳥が営巣する事例があったそうです。 

関連ニュース記事(2013年・朝日新聞)▶ スズメバチの巣、スズメが再利用 宮城・南三陸 



その仮説を検証するために暗視カメラで夜に撮影したかったのですが、冬の寒い夜に出かける根性がなくてグズグズと先延ばしにしていたら、機会を逸してしまいました。 
その後も(昼間に)ときどき定点観察を続けていたら、3月下旬にはコガタスズメバチの古巣が撤去されてしまいました。 


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2025/02/22

エゾタンポポに訪花して吸蜜するフタモンアシナガバチ創設女王

 

2023年4月下旬・午前10:45・晴れ 

早春の田んぼの農道に咲いたエゾタンポポの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)の創設女王が訪花していました。 
筒状花に頭を突っ込んで吸蜜する蜂の胸部や脚、頭部はべっとりと黄色い花粉にまみれていました。 
アシナガバチがもし次もタンポポに訪花すれば、雌しべと雄しべに触れてタンポポの授粉を助けていることになります。 
しかし、蜂がどこに飛び去ったのか、見失ってしまいました。 


フタモンアシナガバチが飛び去った直後に、タンポポの頭花をめくって裏側の総苞片を調べ、普通種のセイヨウタンポポではなくエゾタンポポであることを確認しました。 
嬉しいことに、この区画はなぜか外来種セイヨウタンポポではなく在来種ばかりです。 



実は11日前にもまったく同じ場所で撮影していました。 
まさか同一個体の女王蜂がお気に入りの蜜源群落に通っているのだとしたら面白いのですが、それを調べるには個体識別のマーキング(標識)をする必要があります。

2025/01/29

ハクモクレンの樹上で半壊したコガタスズメバチの古巣は鳥のしわざ?

 



2024年1月下旬・午後15:30頃・晴れ 

道端で落葉したハクモクレンの樹上で見つけたコガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣を定点観察しています。 
野鳥が外皮を横からつついたらしく、半分が壊されていました。 
中身がほとんどくり抜かれ、最上段の巣盤だけが残っていました。 厳冬期で餌がなくなり、飢えた鳥が蜂の子の死骸を捕食したのでしょう。 
強風が吹いて古巣が激しく揺れ、隣の枝に繰り返しぶつかって壊れたという可能性は、この場合は考えられません。

西日が当たって、露出した巣盤が午前中よりもよく見えるようになりました。 (以下の写真は同じ日の午前中に撮影)
ちなみに、撮影のため私が営巣木のハクモクレンに近づいたら、1羽のメジロZosterops japonicus)が飛んで逃げました。 
スズメバチの古巣をつついて壊したのがメジロの仕業とは考えにくいのですが、近くの庭木ナンテンで赤い実を採食していたのかな? 



2025/01/21

早春の尾根道で営巣地を探して飛び回り、野ネズミの巣穴に潜り込むクロマルハナバチ創設女王

 

2023年4月中旬・午後13:00頃・晴れ 

降雪量の少ない暖冬だったために、里山の尾根道に登っても残雪はほとんどありませんでした。 
雪の溶けた尾根道を低空で飛び回っていたクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が、灌木の根元に開いた小さな穴に潜り込みました。 
早春の時期は、越冬明けの創設女王が営巣地を探索しているのです。 
野ネズミの古い巣穴を見つけると、中に潜り込んで内見します。 
もし気に入れば、そこで自分の巣を作り始めます。 
「穴があったら入りたい」 女王蜂の探索飛翔を1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

山地なので、クロマルハナバチではなくオオマルハナバチBombus hypocrita)の創設女王♀かもしれません。 
あまりにも忙しなく飛び回るので、充分にズームインして見分けることができませんでした。 

女王蜂が巣穴の外に出てくるまで粘って待ちたかったのですが、撮影中に巣穴の位置を見失ってしまいました。

2025/01/09

狩ったコモリグモ♀(蜘蛛)を運搬中に身繕いするクロクモバチの一種♀

 

2023年10月上旬・午後12:35頃・くもり 

農村部の舗装された農道を私がてくてく歩いていると、牛舎の横の路上をうろつく真っ黒な蜂を見つけました。 
狩ったばかりのクモの横でうろついていたので、クモバチ科(旧称:ベッコウバチ科)の♀だろうとすぐに分かりました。 

蜂は路上で立ち止まると、触角を前脚で拭って化粧しました。 
閉じた翅を細かく震わせています。 
狩りに成功したクモバチ♀は 、獲物を運搬中に私が近づいたので、警戒して獲物を一時的に放棄してしまったようです。 

まず、路上で横倒しのまま放置された獲物を検討しましょう。
コモリグモ科の一種(種名不詳)でした。 
既にクモバチ♀の毒針によって麻痺していて、全く動きません。 
クモの写真を見直すと腹部下面に外雌器があり、♀成体と判明。
クモバチの種類によっては、獲物を狩った直後に運搬しやすいように歩脚を根元から切り落とす者がいるのですが、この獲物では歩脚の欠損はありません。 







蜂は全身真っ黒で、翅も腹背も黒色でした。
以上の情報からクロクモバチの仲間(Priocnemis属)ではないかと蜂の種類を絞り込めたのですが、それ以上は採集して標本を精査しないと分かりません。 





さてこの後、私はどうすべきかが問題です。 
その場にじっと動かずに獲物に注目して動画を撮り続ければ、いずれクロクモバチ♀が取り戻しに来て運搬を再開し、地中に巣穴を掘って貯食・産卵するまで観察できたはずです。 
クモバチの種類によって獲物の運搬法や造巣法も違うので、そこも観察ポイントです。 

クモバチ♀が毒針を刺して獲物を狩る行動を私はまだ実際に見たことがありません。 
『ファーブル昆虫記』にも詳しく書かれてあるように、運搬中の獲物をピンセットなどで摘んで動かなくすると、狩蜂♀は獲物が麻酔から覚めて抵抗したと勘違いして再び毒針を刺して麻酔し直すのだそうです。 
いつかその実演をしようとピンセットを常に持ち歩いていたのですが、ザックの奥深くにしまい込んでいました。 
カメラの電池も動画撮影中に切れてしまいました。
己の準備不足を呪いながらカメラの電池を交換したりピンセットを取り出すのにもたついている間に、クロクモバチ♀はどこかに行ってしまい、見失いました。 
巣穴をどこに掘るべきか、獲物を置いて偵察に出かけたのかもしれません。
経験豊富な蜂屋さんなら、ピンセットを使わなくても咄嗟に指で獲物のコモリグモを押さえつけたかもしれません。
しかし、素手でうっかりクモバチ♀に刺されるとひどく痛むらしいと聞いていた私は、そこまでの覚悟や根性がありませんでした。 

久しぶりにクモバチ(狩蜂)と出会えてとても嬉しかったのですが、あまりにも久々すぎて観察のコツを忘れてしまい、どっちつかずの撮影になってしまいました。 
先を急ぐ他の用事があった私は、逃げた蜂が戻ってくるまで待てませんでした。 

2025/01/05

ブラックベリーの花で採餌するツヤハナバチの一種♀

 

2023年6月上旬・午前10:50頃・晴れ 

民家の裏庭に咲いたブラックベリー(=セイヨウヤブイチゴ)の生け垣で微小なハナバチが忙しなく訪花していました。 
ヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)などの仲間ではないかと思うのですが、どうでしょうか。 
後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を付けて持ち運んでいることから、♀と分かります。 
1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

この後、私は他の訪花昆虫に目移りしてしまい、ツヤハナバチ♀をじっくり撮影できませんでした。 


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2025/01/03

ママコナの花で吸蜜中のミドリヒョウモン♀を追い払うアリ【ハイスピード動画】

 



2023年8月下旬・午前11:05頃・晴れ 

低山の尾根道に咲いたママコナの群落でミドリヒョウモン♀(Argynnis paphia)の吸蜜シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみたら、ちょっと面白い事件が起きていました。 
近づいてきたクロアリ(種名不詳)のワーカー♀がミドリヒョウモン♀の足(右中脚跗節)に噛み付いて、ママコナの花から追い払ったのです。
蜜源植物を防衛する占有行動でしょうか。
アリに足先を噛まれたミドリヒョウモン♀は、驚いて飛び去りました。

2024/12/31

ホンドタヌキの営巣地で見つけたオオモンクロクモバチ

 

2023年7月中旬・午後14:45頃・晴れ 

雑草が繁茂する休耕地にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地を久しぶりに見に来たものの、巣口にタヌキ幼獣の姿はなく、タヌキの気配を感じられませんでした。 
子育て中はなるべく巣穴に近づかないようにしていたのですが、最後に見たのは6月上旬です。


巣口から伸びる溝(アクセストレンチ?)の土が白っぽく乾いています。 
その地面でオオモンクロクモバチAnoplius samariensis)が翅を小刻みに開閉しながら身繕い(化粧)していました。 
本種の性別の見分け方を私は知りません。 
もし♀ならば、草むらで獲物のクモを狩ったり、裸地に巣坑を掘るかと期待したのですが、すぐに飛び去ってしまいました。 
オオモンクロクモバチが飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、背後からクロアリ(種名不詳)に奇襲され、驚いて飛び立ったことが分かりました。 

近くの森からニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)の斉唱♪がかすかに聞こえます。

2024/12/27

シロバナヤマフジの花蜜を吸い藤棚を飛び回るクマバチ♂【ハイスピード動画】

 


2023年5月上旬・午後15:20頃・晴れ


民家の藤棚に咲いたシロバナヤマフジ(シラフジ、白藤)の群落でキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)の雄蜂♂が訪花していました。 
240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。 
マメ科シロバナヤマフジの蝶形花で正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。 
訪花の合間に飛んだ際に、顔の頭楯が白く、複眼が大きく発達していることから、雄蜂♂と分かりました。 

栄養補給を済ませた雄蜂♂は蜜源植物の近くでホバリング(停空飛翔)して空中に縄張りを構え、交尾相手の♀を待ち構えます。 
そこまでは本に書いてある通りで、理屈として分かるのですが、同じ藤棚でクマバチ♀も忙しなく訪花していたのに、なぜか求愛・交尾行動は一度も見られませんでした。 


空中で停飛(ホバリング)している雄蜂♂は、早い者勝ちで♀を獲得するために、周囲で動く物に対しては反射的に何でも飛びつく習性があるぐらいです。
したがって、藤棚で訪花を繰り返しているクマバチ♀の存在に気付いていないはずがありません。


クマバチは同種の仲間を個体識別したうえで「この♀は脈なしだ(以前に交尾拒否された?)」という判断を雄蜂♂が下しているとしか思えません。

 ※ 動画編集時に逆光補正処理を施してあります。 


関連記事(同所で7年前の撮影)▶ 白藤の花蜜を吸うクマバチ♂



【追記】
ときどき復習しないと私も忘れそうになるのですが、クマバチはミツバチ科に属しているものの、ミツバチのような真社会性ハチではなく亜社会性のハチです。
つまりクマバチの♀は女王蜂と働き蜂のようなカーストに分かれておらず、単独または少数の♀が共同で採餌と育児を行います。
したがって、交尾の様式も異なります。
ミツバチのように新女王蜂と雄蜂♂が結婚飛行で交尾するのではなく、ホバリングで縄張りを占有するクマバチ♂は同種の♀であれば誰でも交尾可能ということになります。
また、クマバチの雄蜂♂は♀と交尾してもミツバチ♂のように即死することはなく、何度でも交尾可能なのだそうです。
しかし、クマバチ♀の交尾拒否行動については、あまりよく分かっていないらしい。
キムネクマバチの♀が雄蜂♂を誘引する物質(性フェロモン)を分泌していることは、行動観察などから確認されています。
クマバチ属の一部の種では、♀が分泌する性フェロモンの成分が特定されていて、主に炭化水素やエステルといった化合物の混合物で構成されていたそうです。
しかし、日本産のキムネクマバチでは♀の性フェロモンの実態は化学的に同定されていないらしい。
そうと分かれば、訪花中のクマバチ♀に対して雄蜂♂が求愛しない理由も簡単に説明できそうです。
(交尾する気がない♀は、性フェロモンを分泌していない。交尾する♂を♀が選り好みしている?)


以上、この追記部分は、AIのGeminiに質問しまくった回答を自分なりにまとめました。
ダブルチェックしても情報の出所が不明な点(肝心の性フェロモンについて)もあり、AIに特有の知ったかぶり(ハルシネーション)なのかもしれませんが、一応ここにまとめておきます。

2024/12/23

イモカタバミの花で採餌し飛び回るハキリバチの一種♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月中旬・午後15:15頃・晴れ 

民家の軒下の花壇に咲いたイモカタバミの群落でが訪花していました。 
正当訪花を繰り返して吸蜜しています。 
腹面のスコパが橙色の花粉で汚れています。 
採餌の合間に身繕いして、体に付着した花粉をスコパに移しています。

イモカタバミの花から飛び立つ瞬間の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:56〜) 


関連記事(4か月前、4年前の撮影)▶  

2024/12/19

アジサイの花で採餌して飛び回るクロマルハナバチ♀の群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月中旬・午前10:00頃・くもり 

道端の花壇に咲いたアジサイ(紫陽花)の群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは意外にも初見です。 

関連記事(7、11年前の撮影)▶  


アジサイの花序を歩き回るクロマルハナバチ♀の体表には白い花粉が付着しており、後脚の花粉籠に薄茶色の花粉団子を大量に付けて運んでいる個体もいます。 
振動集粉するかと期待したのですが、耳を澄ましてもその羽音は聞き取れませんでした。 
アジサイの花をよく見ると、雄しべの葯には花粉がほとんど枯渇していました。 
もう既にハナバチたちがほとんど集粉し尽くした後なのでしょう。 

紫陽花の花から蜂が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:10〜) 
集粉してから飛び立つと、腹面の体毛に付着した花粉を足で掻き落とし、空中で両脚を擦り合わせて花粉籠に移します。 

2匹のクロマルハナバチ♀がアジサイの花序でニアミスするシーンもたまたま撮れていました。
先客が飛んで逃げたものの、舞い戻ってきてライバルを追い払いました。 
同じコロニーから来た仲間ではないのかな?

複数個体を撮影。 
小さなミツバチ?も訪花していたようですが、撮り損ねました。

2024/11/28

落葉したハクモクレンの樹上に見つけたコガタスズメバチの古巣



2023年12月下旬・午後15:10頃・くもり 

やや郊外の住宅地で、落葉した庭木の樹上にコガタスズメバチVespa analis insularis)の丸い古巣がぶら下がっているのを見つけました。 
冬芽(つぼみ)の特徴から、営巣木の樹種はおそらくハクモクレンだと思われます。
(春に咲いた白い花で確認できました。) 
ちなみに、ハクモクレンの隣にはシダレザクラが植栽されています。 

気温の低いこの時期(初冬)はコガタスズメバチのコロニーがとっくに解散した後ですから、落ち着いて古巣をじっくり観察することができます。
巣口があったと思われる面の外皮が削ぎ落とされたように壊されていて、中の巣盤の構造がよく分かります。
おそらく蜂の子を捕食した野鳥の仕業だと予想されます。


現場では気づかなかったのですが、撮った写真を拡大すると、興味深い発見がありました。
巣内の巣盤の下に何か謎の昆虫が潜り込んで隠れていたのです。
コガタスズメバチの新女王が古巣で越冬している可能性もありますが、謎の虫は体型が扁平です。
おそらくコガタスズメバチと同居していたゴキブリの一種(ヤマトゴキブリ?)ではないかと予想しています。

関連記事(3、8年前の撮影)▶ 



 

2023年12月下旬・午後14:40頃・晴れ 

2日後に晴れたので、古巣の動画を撮りに出かけました。 
完全に落葉したハクモクレンの枝先に吊り下げられたコガタスズメバチの古巣が風に揺れています。
雨や雪が降ると巣の外皮の上面は濡れる訳ですが、日陰では薄氷のまま溶けずに残っていました。

古巣を下から見上げると、育房の白い繭キャップが破れています。
これはコガタスズメバチの成虫が羽化した痕跡です。
巣盤の隙間に潜んでいた謎の虫の姿は居なくなっていました。
外皮の破損(鳥による食害?)が前回よりも明らかに拡大しているので、今後もときどき定点観察に通うことにします。


現場は交通量の多い車道(子供の通学路)の道端です。
スズメバチの巣が駆除されずに無事にコロニーが解散するまで営巣を全うできたのが奇跡です。
私も夏に何度も横を歩いて通り過ぎていたのに、樹上に生い茂った葉が散るまではコガタスズメバチの巣の存在に全く気づきませんでした。
コガタスズメバチのコロニーは通行人を刺したりしないで、ひっそりと暮らしていたようです。
ヒトとコガタスズメバチが「知らぬが仏」で共存できているという実例がまたひとつ増えました。
夏に大きくなる巣を放っておいても刺傷事故は起きなかった、ということです。
少なくとも当地(雪国の街なか)では、このぐらいの巣(コロニー)の大きさが限界で、これ以上は大きくなれないと分かってきました。
蜂嫌いの人々がすぐ感情的に反論してくるのが予想できるので、観察に基づいた私の主張は注意深く限定され、安易な一般論にしてないことにご注意下さい。
過去にスズメバチに刺された経験があり、次に刺されたらアナフィラキシー・ショックで死ぬと恐れている人は、エピペンを常に携帯していれば安心できます。

庭木のハクモクレンにコガタスズメバチが巣を構えたことで、周囲の様々な昆虫を日々大量に狩って捕食したはずですから、庭や家庭菜園に発生する害虫の数の抑制に貢献してくれたはずです。
益虫、天敵農薬生物的防除生態系サービスなどと様々な言い方に変えても、社会性のスズメバチ類を殲滅してはいけない理由を一般の人になかなか分かってもらえません。
生態系ピラミッド(食物連鎖)の上位に位置する捕食者が絶滅してしばらくすると、初めてその役割やありがたみが身にしみることになります。
ニホンオオカミを安易に絶滅させたせいで現代の山林でニホンシカなどが爆発的に増え、生態系に破壊的な打撃を与えています
年々悪化するシカ問題への対応(駆除や防除など)に未来永劫膨大なコストがかかり、日本経済への負担となっています。
これを教訓として、スズメバチ問題にも活かしてもらいたいものです。




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2024/11/12

イモカタバミの花で採餌して飛び回るニホンミツバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月中旬・午後15:10頃・晴れ 

街なかの猫の額ほどの庭に咲いたイモカタバミの群落でニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。 
意外にもこの組み合わせは初見です。 


ニホンミツバチ♀はイモカタバミに正当訪花を繰り返して吸蜜・集粉しています。 
後脚の花粉籠に付けて運んでいる橙色の花粉団子はまだ少量だけでした。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:24〜)

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