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2025/10/05

ニホンミツバチ♀の分蜂群を誘引する不思議な蘭植物キンリョウヘン

 

2024年5月下旬・午後12:45頃・晴れ? 

山麓にある古い木造家屋の床下に昔から何年間もニホンミツバチApis cerana japonica)が自然営巣しています。 
久々に定点観察に来てみると、この日も多数のワーカー♀が活発に飛び回り、床下にある巣に出入りしていました。 

家屋の手前に養蜂用の空の巣箱が2つ置かれていました。 
ちょうどニホンミツバチが分蜂する時期なので、巣箱に引っ越してくる分蜂群を捕獲したい養蜂家がいるのでしょう。 
分蜂群を効果的に誘引するために、それぞれの巣箱の近くにキンリョウヘンという蘭の鉢植えが計3つ置かれていました。 
キンリョウヘンの花は、なぜかニホンミツバチの集合フェロモンを分泌しているのだそうです。 
ただし、我々ヒトの鼻には無臭です。
キンリョウヘンの花は、ニホンミツバチの「集合フェロモン」と非常によく似た化学物質(3-ヒドロキシオクタン酸:3-HOAA と 10-ヒドロキシデセン酸:10-HDA)を分泌します。
これは一種の化学擬態であり、フェロモンで誘引したミツバチによって授粉してもらおうというのが、キンリョウヘンの送粉戦略です。 
本やテレビなどで知っていましたが、実際に見学するのは初めてです。 
確かにニホンミツバチのワーカー♀が多数集まっていました。 

意外にも、キンリョウヘンの花で吸蜜したり花粉を集めたりする個体はいませんでした。 
キンリョウヘンの花自体には蜜がないため、ミツバチが花に留まって採餌する行動は見られないのだそうです。
キンリョウヘンの花は「背面摩擦送粉」という仕組みで受粉します。
ミツバチが花に入ると、背中に花粉塊(蘭特有の「ポリニア」)が付着し、別の花に移動することで運ばれた花粉と授粉します。
花粉塊が付着する部位は蜂自身の足先が届かず、身繕い動作(グルーミング)でも取り外しがほぼ不可能な場所です。
つまり、蜂は背中についたキンリョウヘンの花粉塊を自力で後脚の花粉籠に移し替えて花粉団子として巣に持ち帰ることはできません。
ミツバチ側にとっては花蜜や花粉という報酬がない「騙し」の仕組みですが、植物側は効率的に送粉してもらうことができます。


ニホンミツバチの偵察部隊に巣箱の入口を見つけてもらいやすくして巣箱へスムーズに誘導するために、キンリョウヘンの花の置き方が工夫されていることが分かりました。 
なぜか右よりも左の巣箱の方が蜂の出入りが多いです。 

巣箱の内部から歩いて巣口に出てきた蜂が、口にオレンジ色の小さな塊を咥えていて、外に捨てました。 
巣箱の内部を清掃しているということは、偵察部隊が巣箱を内見して気に入り、これから女王を連れて分蜂群が引っ越してくる前兆かもしれません。 

一番興味深かったのは、巣箱の手前の地面で複数のニホンミツバチ♀が団子状に集まって格闘していたことです。 
キンリョウヘンの放つ強烈な匂い(フェロモン)に酩酊したのでしょうか?
かの有名な、天敵のスズメバチを熱殺する蜂球なのかと思い接写しても、ニホンミツバチ同士の争いでした。 
ちなみに、スズメバチvsニホンミツバチの死闘が繰り広げられるのは秋です。
もしかしてこれが仮集結した分蜂蜂球の出来始め(形成初期)なのでしょうか? 
しかしよく見ると、1匹の個体を取り囲んで集団リンチしています。 
相手にしがみついて噛み付いたり、腹端の毒針で刺そうとしたりしていました。 
近所にある別々のコロニーから集まって来た斥候の蜂同士が、引越し先の巣箱を巡って争っているのかもしれません。 
襲われている個体はほぼ無抵抗で、相手を振りほどこうと必死に羽ばたきながら歩いて逃げようとしています。 
熱殺蜂球とは異なり、喧嘩が終わって蜂の団子が解散しても、死亡個体が地面に残されることはありませんでした。 

残念ながら、ニホンミツバチの分蜂群が実際に新しい巣箱へ引っ越しする様子を観察することはできませんでした。 
女王も含めた分蜂群が巣箱に引っ越しする日はなかなか予想できないので、無人のカメラを設置して何日も愚直に監視する必要がありそうです。


【考察】
キンリョウヘンの誘引成分は女王蜂のフェロモンやローヤルゼリー成分に近いため、働き蜂(ワーカー♀)だけでなく結婚飛行に飛び立った雄蜂♂を集める力もあるのだそうです。
しかし今回、新しい巣箱やキンリョウヘンに来ていたのはニホンミツバチのワーカー♀だけで、雄蜂♂はいませんでした。

 この記事を書くための調べ物をする上で、いつものようにPerplexity AIとの問答が役立ちました。
(今回は試しにPDFファイルにまとめてみました。)

私が一番知りたいのは、キンリョウヘンの鉢植えの近くの地面でニホンミツバチが団子状になっていた行動についてです。

菅原道夫『ミツバチ学:ニホンミツバチの研究を通し科学することの楽しさを伝える』 という本のPart3(p83-130)で、ニホンミツバチの特性の1つであるランに誘引される現象とその研究の現状を詳しく解説しています。
しかし読み返しても、私の疑問は解決しませんでした。

Perplexityの見解では、
集合フェロモンに誘引されたミツバチは、巣箱やその周辺で一時的に密集することがあります。これは新しい巣箱への入居前や、女王蜂を待つ間などによく見られる行動です [18] [19] 。
特に分蜂時や新しい環境下では、偵察蜂や一部の働き蜂が地面や巣箱の周囲で「仮集結」することがあり、これが団子状に見えることがあります [19] 。

また、「異なるコロニーから来たニホンミツバチの偵察部隊が巣箱を巡って激しい闘争を繰り広げることがあるのか?」という私の疑問に対して、Perplexityは否定的でした。
異なるコロニーの偵察蜂が鉢合わせた場合
偵察蜂同士が同じ巣箱やキンリョウヘンの周辺で出会うことはありますが、基本的には激しい争いは起きません。
偵察蜂はあくまで「下見」役であり、候補地を確認したら自分の群れに戻り、情報を伝達します。その後、分蜂群全体が入居を決定するかどうかが決まります [27] [28] 。
もし複数の分蜂群が同時に同じ巣箱を目指して集まった場合、最終的にはどちらか一方の群れが入居し、もう一方は別の場所を探すことが多いです。まれに両群が同時に入ろうとし、巣箱の入り口付近で一時的に小競り合いが起きることもありますが、致命的な争いには発展しません。

しかし私はどうもPerplexityの説明に納得できません。
佐々木正己『ニホンミツバチ: 北限のApis cerana』という書籍を読むと、次のような記述があったからです。
ニホンミツバチがオオスズメバチの襲来を察知して対処するときの反応をも化学擬態しているとする小野・佐藤(1997)の説は、誘引された蜂が(キンリョウヘンの)花弁をかじる不思議な行動を見事に説明する (p160より引用) 

蜂球に包まれた(キンリョウヘンの)花は熱とかじり行動でぼろぼろにはなるが、受粉は高率で保証される。そして開花時期が、まさに分蜂の季節と一致しているのである。 

私が観察した小規模な蜂球やニホンミツバチ同士の闘争行動は、これで説明できるのではないか?と思いつきました。
つまり、キンリョウヘンの化学擬態によってニホンミツバチの熱殺蜂球が誤って発動されてしまったのではないでしょうか?
この仮説なら、必ずしも他のコロニーから来た蜂との喧嘩とは限りません。(同じコロニー内の同士討ちかも)


佐々木正己『ニホンミツバチ: 北限のApis cerana』や小野・佐藤(1997)の説に基づき、「キンリョウヘンの化学擬態によってニホンミツバチの熱殺蜂球が誤って発動される」可能性について検討すると、十分に合理的な解釈といえます。

化学擬態による誤作動と観察事例

  • キンリョウヘンは、ニホンミツバチの集合フェロモンだけでなく、オオスズメバチ襲来時の危険(外敵や警戒)フェロモンまで部分的に化学擬態していると分析されています。scienceteam.jst

  • 花弁をかじったり、他個体にまとわりついたりする「異常な蜂球状行動」は、本来天敵襲来時の防御反応として発動されるべき集団行動が、化学信号によって誤誘導された結果と説明できます。38qa+1

行動の特徴

  • 通常の熱殺蜂球はオオスズメバチなど天敵が存在し、巣の防衛で発動します。その際はミツバチ死骸・負傷者が見られます。tamagawa+1

  • キンリョウヘンの場合は死骸が残らないため、攻撃性の弱い「誤発動型蜂球」や小規模衝突として観察されます。38qa

  • 花弁をかじる不思議な行動も、外敵がいないにも関わらず警戒・排除スイッチが入り、集団で花(=誤認天敵)を攻撃しようとする防衛行動の名残と考えられます。scienceteam.jst

生態・進化的解釈

  • キンリョウヘンのフェロモン成分が、ミツバチに「危険」や「集合」だけでなく「攻撃・防御」反応まで誤誘導する化学擬態であるとの学術的指摘があり、進化的視点からも特異な利用例とされています。38qa+1

  • 現場で観察された小規模蜂球や花弁へのかじり行動は、こうした「擬態シグナル誤認による行動発動」の一環として解釈してよい根拠があります。


結論
キンリョウヘンの化学擬態が、ニホンミツバチの本来の熱殺蜂球・警戒防衛行動まで誤発動させてしまうことは、最新の学術的知見にも一致します。観察された小規模蜂球や花弁かじりは、擬態による誤認誘導現象として十分説明できます。scienceteam.jst+1


手強い相手でしたが、ついにPerplexity AIを説き伏せることができました。
(Perplexityは誤解していますが、キンリョウヘンの花弁をミツバチがかじった行動を私自身は観察していません。)
もちろん、AIを論破したからと言ってそれが科学的に真理だとは限りません。
私は未だ1例しか観察していませんし、解明していくのはこれからです。
 

映像を見直すと、微小なアリ(種名不詳)がキンリョウヘンに訪花しているようですが、ニホンミツバチの観察に集中していた私は、アリのことなど眼中にありませんでした。 
今後の課題です。


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2025/10/01

オオバギボウシの花で採餌するクロマルハナバチ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午前10:25頃・くもり 

郊外で道端の花壇にずらりと咲いたオオバギボウシの大群落でオオバギボウシオオマルハナバチBombus hypocrita)のワーカー♀がせっせと訪花していました。 
毎回、正当訪花を繰り返して吸蜜・集粉しています。 

後脚の花粉籠が空荷の個体と、橙色の花粉団子を付けている個体がいました。 
花筒に潜り込んで吸蜜すると、腹面が雄しべに触れてオオバギボウシの花粉が付着します。 
次の花に潜り込むと、その花粉が雌しべに授粉するのです。 
雌しべの先端部が上向きに湾曲しているのは、そのためです。
クロマルハナバチはときどき毛繕いして体毛に付いた花粉を後脚の花粉籠に移します。
花蜜ととも花粉団子を巣に持ち帰り、幼虫の餌にするのです。 

関連記事(11年前の撮影)▶ オオバギボウシに訪花するクロマルハナバチ♀ 

ギボウシの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:07〜) 
複数個体を撮影。 

ちなみに、花壇の奥に見えているのはアスパラガス畑です。


※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2025/09/26

アズマモグラの腐乱死骸を食べ尽くすウジ虫

 

2024年7月上旬・午前10:40頃・晴れ 

山麓の遊歩道で小動物の腐乱死体を見つけました。 
死骸の前足に鋭い爪が発達していることから、おそらくアズマモグラMogera imaizumii)だろうと推測しました。 
腐敗と生物分解が進み、毛皮はもはや残っていません。 
皮膚も溶けかけたような状態です。 
 
なぜか頭部が失われた死骸には夥しい数の白い蛆虫(ハエの老熟幼虫)が蠢いていて、腐肉や内臓をほぼ食べ尽くしたようです。 
モグラの背骨と肋骨が見えます。 
小さな骨片が散乱しているのは、虫が運び去ろうとしたのかな?

小さなハエ(種名不詳)の成虫や微小な赤アリ(種名不詳)も腐乱死体に群がっていました。 
 死臭に誘引されたエンマムシの仲間が画面の上部から歩いて来て、そのまま死骸の下に潜り込みました。 

現場は地面がアスファルトではなくコンクリートで舗装されていました。 
動物の死骸を食べてくれる掃除屋たち(シデムシなど)は普通、死骸を見つけたら迅速に地中に埋めるはずですが、ここでは固いコンクリートに阻まれたようです。 
夏の舗装路に放置された死骸はあっという間に干からびてしまう(乾燥ミイラ化)ことが多いのですけど、今回はなんとか生物分解されたようです。 
あと数日できれいに白骨化するはずです。


【追記】
このは No.1 食べるって楽しい!』というナチュラリスト向けのムック本(季刊?)を読んでいたら、今泉忠明『モグラたちの地中生活』と題した章があり、モグラの天敵について詳しく書いてありました。
彼らの天敵は、フクロウやオコジョ、イイズナ、キツネ、アナグマ、ノスリなどかなり多い。オコジョやイイズナは穴に侵入してモグラを襲う。アナグマやキツネはトンネルを掘り開き、ノスリはトンネル内で採食中のモグラを地表から攻撃する。フクロウのペリット()にモグラの毛や顎の骨などが含まれていることがあるのだが、どのように地中のモグラを捕らえるのか長く謎だった。モグラは夜間、地上でバッタやコオロギなどを食べており、このときに狙われる (p35より引用)
アナグマがモグラを捕食するとは初耳で、とても意外でした。
下線部についても知りませんでした。
休耕地などにトレイルカメラを設置したら、モグラが地表で採食するシーンをいつか撮れるかな?


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2025/09/25

里山で獣糞に群がるセンチコガネ、ムネアカオオアリ♀とハエ

2024年6月下旬 

里山にあるニホンカモシカの溜め糞場sr2の定点観察をするために、ほぼ廃道の細い山道を登ってくると、獣道との交差点に新たな溜め糞場が作られていました。 
6月下旬に初めて見つけたときは、未消化の種子が含まれていました。 
小枝の先でつついて匂いを嗅ぐと、強い刺激臭がしました。 
初めて嗅ぐ匂いでしたが、これが本で読んだ「アナグマの糞に特有の黄土色の絵の具の匂い」なのかな? 
アナグマも木の実を食べて種子散布に寄与することがあるそうです。

現場では気づかなかったのですが、撮った写真にスジアカハシリグモDolomedes silvicola)が写っていました。
溜め糞に集まって来る虫を狩るために待ち伏せしていたのか、あるいはたまたま通りかかっただけかもしれません。


スジアカハシリグモが溜め糞に来ていました。




ホンドタヌキの溜め糞場にしては、残された糞が軟便(下痢便)でした。 
アナグマとタヌキの2種類が同じ溜め糞場を共有している可能性も充分あり得ます。
溜め糞場に通ってくるタヌキがたまたま腹を下していた可能性もあるので、トレイルカメラでしっかり突き止めたいところです。
しかし、周囲に太い立木が無くてトレイルカメラを設置しにくかったので諦めました。 
(本気で調べるなら三脚を立ててでも設置すべきなのですが、他のプロジェクトで使っているトレイルカメラをこっちに回す余裕がなくて後回し。)


 

2024年7月上旬・午前10:55頃・くもり 

約1週間後(7月上旬)に現場を再訪すると、今回も黒っぽい軟便が枯れたササの葉の上に残されていました。 
これだけ見るとアナグマの溜め糞かな?と思うのですが、カメラを右にパンすると固形の黒い糞塊(やや古い)も残されていて、タヌキの溜め糞っぽいです。 

うんちレストランの常連客である、センチコガネPhelotrupes laevistriatus)、ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀、キンバエ(種名不詳)が1匹ずつ来ていました。 
小型の地味なハエ類も数種類来ていましたが、真面目に検討していません。  

センチコガネが糞塊に潜り込もうとしたところで、カメラの電池が切れてしまいました。






後日に定点観察すると、この地点の溜め糞は消失しました。
ここで排便しなくなったようです。


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2025/09/13

ナンテンの花粉を集めて回るクマバチ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午後14:40頃・晴れ 

田園地帯の農道と民家の庭との境界に植栽されたナンテンキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
耳を澄ますと、重低音の羽音がかすかに聞こえます。 

関連記事(2年前の撮影)▶ ナンテンの花で採餌するクマバチ♀


蜂の動きがあまりにも忙しないので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@0:23〜) 
訪花中の蜂が触れると、ナンテンの白い花弁が次々と散ってしまいます。 
吸蜜するクマバチ♀をよく見ると、後脚の花粉籠に薄っすらと黄色い花粉団子を付けていました。 
飛びながら空中で後脚を互いに擦り合わせています。 
体毛に付着した花粉をまとめて、花粉籠に移しているのです。 
後脚の花粉籠に黄色い花粉団子がうっすらと付着しています。 
花粉籠があることと、顔の頭楯が黒いことからも、♀と分かります。

ところで、ナンテンの若葉や茎は夏でも赤いのですね。

2025/09/11

軒下の巣に外被を増築するコガタスズメバチ♀と巣口を守る門衛:7月上旬

 



2024年7月上旬・午後12:00頃 

軒下に吊り下げられたコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣で、1匹のワーカー♀aが新たに外皮を付け足していました。
多数のワーカーが巣材としてそれぞれ好みの地点から色々な樹皮のパルプを集めてくる結果、外被に美しいマーブル模様が現れます。
設計図もないのに、巣全体はほぼ球形を保ったまま少しずつ大きくなります。
外被の外側に巣材を追加して拡大するだけでなく、巣の内側から少しずつ外被を削り取って内部空間を広くしながら、巣盤や育房を作る巣材として再利用しています。
つまり外被の厚さはほぼ一定で、数層の断熱材になっています。
パルプという軽くて丈夫な天然巣材を使って見事に建築する様を観察する度に感嘆してしまいます。

ワーカーの間にも分業があるようで、外皮上をパトロールしているだけの個体♀bもいます。
また別の♀cが門衛として巣口の奥から外界を見張り、帰巣した個体を誰何すいかしています。 

♀aが持っていた巣材のパルプを使い切ると、巣内に戻りました。
♀aの造巣作業が終わるのを待っていたように、待機していた♀bは外被に新しく出来たポケット状の空間を点検しています。
作りたての外被がしっかり乾くまで、自分がポケット内に潜り込んで居座り、外被ポケットが潰れないようにしているのかもしれません。
あるいは、ポケット内は気化熱でひんやり涼しいのかもしれません。


つづく→

2025/08/30

朽ちた切株を調べて営巣適地を探すムネアカオオアリの新女王

 

2024年6月下旬・午後12:50頃・くもり 


山中に設置したトレイルカメラで、野生のニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が木の切株に体を擦り付けているように見えたので、現場検証してみました。 
スギの朽ちた切株で、苔むしています。 
イノシシの体毛や泥汚れなどは付着していませんでした。 

その切り株でうろついているムネアカオオアリCamponotus obscuripes)を発見。 
かなり大型の個体なので、ワーカー♀ではなく女王アリのようです。 (採寸するのを忘れました。) 
結婚飛行を済ませた新女王は水から翅を切り落とし、営巣に適した場所を探し始めます。 
アリハンドブック』でムネアカオオアリを調べると、
・平野部では、5〜6月に結婚飛行を行うが、山地では結婚飛行の時期が遅くなり、8月まで見られる。(p69より引用)


関連記事(2、14年前の撮影)▶  


こうした女王アリを採集して石膏でできたアリの巣観察キットで飼育すれば、ムネアカオオアリのコロニーが発展する様子を自宅で観察できるのですが、忙しくて余力がありません。 


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2025/08/26

シロツメクサの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月下旬・午後16:20頃・晴れ 

田園地帯の農道に咲いたシロツメクサの群落でオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が訪花していました。 
口吻を差し込んで吸蜜し、ついでに花粉を集めているようです。 
後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けています。 

やや小型の個体でしたが、この時期に活動しているのはワーカー♀ではなく、創設女王と思われます。 
しかし複数個体を見かけたので、暖冬の後の今季はワーカー♀が例年よりも早く羽化して活動しているのかな? 

平地性のクロマルハナバチと山地性のオオマルハナバチは、標高によって大まかに棲み分けていると言われています。 
現場は山麓に近い里なので、オオマルハナバチの活動分布域の境界(標高の下限)かもしれません。 

シロツメクサの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:56〜) 


2025/08/20

ヒョウタンボクの花で穿孔盗蜜するクマバチ♀

 

2024年6月中旬・午後14:00頃・晴れ 

河畔林に咲いていたキンギンボク(別名ヒョウタンボク)のマント群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく訪花していました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@0:08〜)、花筒に潜り込む正当訪花をしないで穿孔盗蜜を繰り返していました。 

キンギンボクの萎れかけた白い花筒の根元を外側から噛んで小さな穴を開け、そこから口吻を差し込んで花蜜を吸っています。 
正当訪花する昆虫と違って花筒の中にある雄しべにも雌しべにも触れませんから、クマバチはキンギンボクの授粉に一切関与しないことになります。 
集粉しませんから、クマバチ♀の花粉籠は空荷です。
キンギンボクの群落で他の花にも根元に盗蜜痕が残っています。


関連記事(4年前の撮影)▶ キンギンボクの花で穿孔盗蜜するクマバチ♀

2025/08/16

他のアシナガバチが作った初期巣を襲って幼虫を捕食するフタモンアシナガバチ創設女王

 

2024年5月中旬・午後12:15頃・くもり 

堤防路の道端で、水平に倒伏したヨモギの枯れた茎から下向きにアシナガバチの初期巣が作られていました。 
フタモンアシナガバチ♀(Polistes chinensis antennalis)が巣盤の下側にぶら下がり、何か作業しています。 
この時期はまだワーカー♀が羽化しておらず、単独営巣期の創設女王と思われます。 

やがて女王が体を反らせてくれたので口元が見え、獲物を噛みほぐして肉団子を作っていたことが分かりました。 
帰巣直後の女王が、これから巣内の幼虫に給餌するのでしょうか。 
翅を半開きにしたのは私に対する警戒姿勢かと思いきや、肉団子を咥えたまま、意外にもフタモンアシナガバチの創設女王はどこかに飛び去りました。 
幼虫を育房から引き出して殺したり捕食しただけなら、死んだり病気になったり寄生された幼虫個体を自分の巣から取り除いたのだと説明できます。 (必要悪な子殺し
しかし、肉団子に加工して持ち去ったとなると、他のアシナガバチの巣を襲って、幼虫を捕食したことになります。 
肉団子を自分の巣に持ち帰って、幼虫に給餌するのでしょう。 

ヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis pulchra)はアシナガバチ類の巣を襲って幼虫や蛹を捕食します。 
しかし、アシナガバチ同士で巣内の幼虫や蛹を捕食するシーンを見たのはこれが初めてです。 
もし同種間なら共食いしたことになりますが、巣の主が不在のときに襲撃したので獲物の種類が分からず、共食いとは言い切れません。 

フタモンアシナガバチ創設女王が襲った巣の種類を検討してみましょう。
巣が大きくなれば、アシナガバチの種類によって巣の形が違ってくるのですが、小さな初期巣の段階では見分けることが困難です。 
幼虫が紡いだ繭の色でアシナガバチの種類を絞り込めることがあるのですけど(黄色い繭ならヤマトアシナガバチまたはキボシアシナガバチ)、この巣では繭はまだ作られていませんでした。 
営巣地の環境から、フタモンアシナガバチの巣であってもおかしくないのですが、別種の可能性も残ります。

フタモンアシナガバチの創設女王が飛び去った直後に、巣盤の育房を苦労して接写してみました。 
動画を一時停止して育房を数えると26室で、5月中旬の女王単独営巣期にしてはかなり多い部類になります。 
育房内に卵や幼虫は全く残っていませんでした。 
繭もまだ作られていません。 
もしヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis pulchra)に襲われた直後なら、巣の育房壁が汚らしく乱暴に食い千切られているはずです。 
しかし、今回の初期巣の構造は無傷でした。 

気になるのは、アシナガバチの巣盤の天井部や巣柄にアリ除けとしてタール状の物質が塗布されて黒光りしているはずなのに、この巣は白っぽいことです。
もしも今年に作られた初期巣ではなく、前の年に作られた古巣が冬を越して残っていただけとなると、解釈を大幅に検討し直す必要があります。 
例えば前年に羽化できなかった幼虫の死骸が干からびたまま育房内に残っていて、それを女王が捕食したのでしょうか。
そんな餌が残っていれば、堤防をくまなくパトロールしているアリが見過ごすはずがありません。
当地は雪国(多雪地帯)なので、冬を越した古巣だとしたら、深い雪の下に埋もれた圧力で変形しているはずです。
 (異常な暖冬だったから雪に埋もれて潰されなかった?) 
ちなみに、アシナガバチは前年の古巣を再利用することはありません。 

育房数が26室というのは5月中旬の初期巣にしてはかなり多いのですが、暖冬で春の訪れが早く、越冬明けの女王が巣を作り始めたのも早かったと考えれば、なんとか説明できそうです。 
巣の主である創設女王が不在(または死んだ)の間に、この巣を見つけたフタモンアシナガバチ創設女王が襲撃して巣内の幼虫を次々に捕食して全滅させたのでしょう。 
女王の単独営巣期は巣を防衛するワーカー♀が不在なので、女王の留守中に幼虫が捕食されるリスクがどうしても高くなります。 
なるべく目立たない場所に営巣した女王が、食うか食われるかの仁義なき生存競争に勝ち残るのでしょう。 
たとえ初期巣が襲われて幼虫が全滅しても、創設女王が存命なら別の場所で新たに初期巣を作り直し、遅れてまた産卵します。 


いつものように、動画の解釈についてPerplexity AIと相談しながら記事を書きました。

アシナガバチ同士であっても、自分たちの巣や生活圏を守るために他個体や他の女王が作った巣を襲撃し、幼虫を捕食することが報告されています。これは縄張り争いの一環として、相手の資源や将来の個体数を減らす競争戦略の一つと考えられます。

具体的には、餌資源が不足するときや巣の数が密集してしまう場合に、女王や働きバチが他のアシナガバチの巣を襲い、その中の幼虫を捕食する行動が観察されています。 (Perplexityの回答より一部引用)

2025/08/10

軒下の巣に飛んで帰るコガタスズメバチ♀:6月下旬

 


2024年6月下旬・午後13:40頃・くもり 

民家の軒下に作られたコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣をこっそり定点観察しています。 

拡張工事を施された外皮にマーブル模様が現れました。 
これは、複数個体のワーカー♀が造巣作業に従事していることを意味します。 
各個体がそれぞれお気に入りの地点から巣材の樹皮を集めてくるため、外皮の色がまちまちになるのです。 

巣を見上げて動画で記録していると、1匹のワーカー♀が帰巣しました。 
スロー再生しても、巣材や肉団子を搬入したかどうか不明です。 


※ 動画編集時に色調補正を施しています。 
雨上がりで、昼間なのにかなり薄暗いです。 
いつもの自動色調補正では不自然な色合いになるので、手作業でlift, gamma, gainエフェクトの各パラメータを適当にいじりました。 


2025/08/06

スギの樹洞に営巣するクロクサアリのコロニー

 

2023年5月上旬・午前12:10頃・晴れ 

奇妙な樹形をしたスギの大木が里山の登山道の横に、聳え立っていました。 
根元で分岐した3本の幹がそのまま真っ直ぐに伸びています。(株立ち) 
屋久杉ほどではありませんが、なかなか風格のある古木です。 
胸高直径を測るべきでしたね。 

太い幹の下部に樹洞が開いていました。 
クマが冬眠するには、まだ小さ過ぎる樹洞です。 
樹洞の中でクロクサアリLasius fuji)のコロニーが営巣しているようです。 
無数のワーカー♀が活動していました。 


2023年6月中旬・午前9:45頃・晴れ 
翌月も通りすがりに定点観察しました。 
樹洞の内部は暗くて、動画では底まで撮影することが出来ません。 
強力な照明か、ナイトビジョン(暗視)のビデオカメラを用意する必要がありそうです。

つづく→ 


以下の写真は、撮影日がまちまちです。

2025/08/02

白藤の花で休むクマバチ♂を手に乗せてみる

 

2024年5月上旬・午後16:45頃・晴れ 

某お屋敷のブロック塀からシロバナヤマフジ(シラフジ、白藤)の花穂が垂れ下がっていました。 
季節の風物詩として、キムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)の訪花シーンを撮ろうとしたのですが、白い蝶形花にしがみついたまま動きません。 

関連記事(8年前の撮影)▶ 白藤の花蜜を吸うクマバチ♂ 


複眼が大きく発達し、頭楯が白いことから、クマバチの性別は雄蜂♂と分かります。 
ハチ(有剣類)の毒針は♀の産卵管が変形したものですから、毒針をもたない雄蜂♂を素手で触れても刺される心配がなく、全く安全です。 

もしや死んでいるのかと思って指先で軽く触れてみたら、ようやく緩慢に動き始めました。 
クマバチの雄蜂♂は日中はひたすら停空飛翔(ホバリング)で縄張りを張り、交尾相手の♀を待ち構えています。 
そのため、夕方にはもう疲れ切って寝ていた(休んでいた)のでしょう。 

 私が指を差し出すと、クマバチ♂は弱々しく羽ばたきながら、しがみついてきました。 
そのまま手乗りさせると、おとなしく静止してくれたので、じっくり観察できました。 
ハナバチ類の雄蜂♂は訪花しても採餌しません(花蜜や花粉を巣に持ち帰らない)から、後脚に花粉籠はありません。 
しかし、よく見ると、前脚に黄色っぽい毛が密生していますね。 
何か特別な役割があるのでしょうか? 
例えば、交尾の際に♀をしっかり抱きかかえるため? 

最後に、クマバチ♂は重低音の羽音を響かせて、私の手から飛び去りました。 
近くでは別個体のクマバチがブンブンと羽音♪を立てながら白藤に忙しなく訪花していました。 


関連記事(8年前の撮影)▶ クマバチ♂は手に乗せても刺さない

2025/07/23

ウツギの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王

 

2024年6月上旬・午前10:55頃・くもり 

川沿いに咲いたウツギの花でオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が訪花していました。 
この時期はまだ創設女王のはずですが、体格が小型の個体なので、早く羽化したワーカー♀なのかな?

関連記事(10年前の撮影)▶ ウツギの花で採餌するオオマルハナバチ♀ 

正当訪花を繰り返して吸蜜しています。 
ウツギの雄しべの葯は黄色で、まだ花粉がありそうなのに、オオマルハナバチ♀の後脚の花粉籠はほぼ空荷でした。 

近くでオオヨシキリ♂の囀りさえずりが聞こえます。♪

2025/07/19

軒下の巣に出入りし外皮を増築するコガタスズメバチ♀:6月中旬

 



2024年6月中旬・午後14:20頃 

民家の軒下に作られたコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣を久しぶりに定点観察に来ると、本種の初期巣に特有の細長い巣口はすでに撤去済みでした。 
ワーカー♀が羽化したことがわかります。 
丸い巣の底(下面)に歪な形の巣口が開いていました。 

初ワーカー♀が外皮の造巣作業に従事していました。 
パルプの巣材を薄く引き伸ばしながら、外皮の縁に付け足しています。 
少なくとももう1匹(創設女王? 2匹目のワーカー♀?)が巣に出入りしていました。 

しばらくすると、別個体の♀が帰巣しました。 
外皮にいきなり着陸してから巣口に潜り込みました。 
このとき巣材や肉団子など何か口に咥えていたかどうか、真下から見上げるアングルでは不明です。 

巣内から出てきたコガタスズメバチ♀が巣口から外界を覗き、周囲を警戒しています。 
そのまま飛び立って外役に出かけたので、門衛ではありませんでした。 
それと入れ替わるように、外皮の造巣作業を終えた♀個体が入巣。 


2025/07/15

ヤマホタルブクロの花筒に潜り込んで採餌するスミゾメハキリバチ♀

 

2024年6月中旬・午後12:45頃・晴れ 

民家の花壇に咲いたホタルブクロに蜂が忙しなく訪花していました。 
萼片の形状(基部が反り返る)からヤマホタルブクロ(別名ホンドホタルブクロ)のようです。 
花弁の色は赤紫でした。 

釣鐘状の花筒から外に飛び出してきた蜂を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみて(@0:20〜)ようやく、ムナカタハキリバチ(別名スミゾメハキリバチ)♀(Megachile willughbiella sumizome)と分かりました。 
正当訪花で釣鐘状の花筒に潜り込むと、中でしばらく吸蜜・集粉していたようです。 
花筒の内部にいる蜂の影が花弁を通して透けて見えることはなかったのですが、蜂が動き回ると花弁がベコベコと動いたような気がしました。 

次の花を探してホバリング(停空飛翔)しているスミゾメハキリバチ♀の腹面を見ると、スコパは赤褐色でした。 
これは本種のスコパ本来の毛の色ですし、ホタルブクロの花粉は白いはずなので、今回のスミゾメハキリバチ♀は花粉をほとんど集めれなかったようです。 
ホタルブクロは雄性先熟らしいのですが、今回は雄しべの葯の花粉が既に枯渇していたのかもしれません。 
だとすると、次の花筒に潜り込まずにスミゾメハキリバチ♀がヤマホタルブクロの群落から飛び去ってしまったのも納得です。 

関連ブログ ▶ ~ ホタルブクロに 来たハチ ~ by 「足立直義の丹沢・大山山麓だより」 
スミゾメハキリバチ♀のスコパに白い花粉が大量に付着した見事な写真が掲載されていました。 
今回の私の観察だけでは分からなかったのですが、スミゾメハキリバチ♀はホタルブクロに訪花する常連客で、送粉者として働いているようです。 

ホタルブクロの花粉の色について、Perplexity AIを宥めすかしながら相当しつこく問い合わせて、ようやく役に立つ情報が得られました。 
実際にホタルブクロの花筒を裂いてみて内部構造を観察したり、雄しべの葯に触れて花粉の色を確認したかったのですけど、他人様の庭に勝手に侵入できませんから、諦めました。
野生のホタルブクロ群落なら好きなだけ調べられるのですけど、野山で見つけたことがありません。

実は、別種のハキリバチ?らしい小型のハナバチもヤマホタルブクロの花壇で忙しなく飛び回っていたのですが、ピントが合わなかったので編集でカットしました。

釣鐘状の花筒をもつ植物は、有能な送粉者を選別するために進化したのですが、そうなると締め出された蜂は必ずや穿孔盗蜜で対抗します。
ホタルブクロの花で盗蜜する蜂(おそらくクマバチと予想)を観察したくて、長年注意して見て回っているのですが、いまだに出会えません。
もしかして、ホタルブクロは盗蜜行動をさせないような仕組みを対抗進化させているのでしょうか?
そのような絶え間ない軍拡競争が進行中だとしたら、面白い話です。
ホタルブクロの花筒は太いので、日本の昆虫はほとんどの種が(太っちょのクマバチですら?)自由に出入りできそうです。
だとすれば、わざわざ穿孔盗蜜する必要はありませんね。
とりあえず、ホタルブクロの花筒の根元に盗蜜痕があるかどうか、調べてみないといけません。

2025/07/11

ナワシロイチゴの花から花へ飛び回り採餌するクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年6月上旬・午前11:25頃・くもり 

山麓の道端に咲いたナワシロイチゴの群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
口吻を伸ばして吸蜜しているクマバチ♀をよく見ると、後脚の花粉籠は空荷でした。 

ナワシロイチゴの花に離着陸する瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:25〜) 


関連記事(10、11年前の撮影)▶  

2025/07/09

ノアザミの花で採餌するコハナバチ♀の一種?

 

2024年6月上旬・午前11:30・くもり 

水田の農道に咲いたノアザミの群落で見慣れないハナバチが訪花していました。 
ノアザミの雄しべの先端から白い花粉が吹き出しています。 
ハナバチが口吻を伸ばして吸蜜しながらノアザミの頭花を歩き回ると、必然的に雄しべの花粉が蜂の体毛に付着します。 
顔の毛や前脚にノアザミの白い花粉が大量に付着していたのに、後脚の花粉籠はまだ空荷でした。 
ミツバチ科だと思ったのですけど、ハキリバチ科の可能性もありますかね? 
腹部下面にスコパの有無を確認できませんでした。 

マクロモードでカメラのレンズをそっと近づけながら接写しても、蜂は逃げませんでした。 
飛び立つとやや高音の羽音を立て、同じ頭花にすぐ舞い戻ってきます。 
再び飛び立つと、ホバリングしてから手前の頭花に着陸しました。 

蜂が居なくなった後でノアザミの総苞片に触れると、粘り気があることを確認しました。 
農道の奥の水田では田植えが終わっていました。
はじめは筒状花から雄しべが現れて、昆虫などが花を刺激すると、接触運動により雄しべから花粉が湧き出てきて、昆虫に花粉を与える[9][10][8]。雄しべが引っ込むと、続いて雌しべが現れて、花粉をつけた昆虫の媒介によって受粉する[8]。頭花の外側にある総苞は緑色の球形で、総苞片は反り返らず、直立して先端は鋭いとげになり、粘液を出して背面はよく粘る[7][5][6]。(wikipedia:ノアザミより引用)
関連記事()▶ 第8話「アザミの花粉放出の巧妙な仕掛け」 


さて、このハナバチの種類(和名)は何でしょうか? 
腹部には黒と茶色の横縞模様。
胸背は黒くてつるつるしています。 
剥げたのか、それとも元々胸背には毛が生えないのか、不明です。 
胸部の辺縁部には白っぽい毛が密生しています。 
オオマルハナバチ♀ほど毛深くありません。 
関連記事(同所同時期の撮影)▶ ノアザミの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王 
伸ばした口吻は真っ黒。
後脚だけでなく中脚にも茶色の毛が密生していて、花粉籠が複数あるように見える。

この件でPerplexity AIに相談してみたところ、画像認識もやった挙句にコハナバチ科の一種ではないか?と言われました。 
現在のAI技術は、質問に虫の写真を添付しても、分類学者が作った検索表に従って細部の特徴を検討して種を同定してくれる訳ではありません。 
ただ画像検索で似た写真をインターネット上で探しているだけなので、注意が必要です。 
AIが学習できるほど充分な数の写真データがインターネット上に蓄積されていれば(メジャーな種なら)、その方法(画像認識)でも上手く行くのですが、コハナバチ?のようなマイナーな種類の虫だとあまりあてになりません。 
あいにく私はコハナバチについて疎いので、今回の回答がAI特有のハルシネーション(自信満々の知ったかぶり)かどうかも判断できません。 
ハナバチに詳しい人にぜひ判定してもらいたいところです。
コハナバチ科の中には、ヒトの汗を好んで舐める蜂がいるらしいのですが、今回の個体は私の汗ばんだ手を舐めに来ませんでした。


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2025/07/03

ノアザミの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王

 

2024年6月上旬・午後16:05頃・晴れ 

水田の農道に沿って咲いたノアザミの群落で オオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が訪花していました。 
後脚の花粉籠はまだ空荷でしたが、口吻を伸ばして吸蜜して回る蜂の顔に白い花粉が大量に付着しています。 

襟元(胸部前縁)にオオマルハナバチ特有の白帯があるかどうか、ノアザミの白い花粉で汚れているために分かりにくくなっています。 
しかし腹部T2に太い白帯が目立つので、クロマルハナバチではなくオオマルハナバチだろうと判断しました。  
オオマルハナバチとノアザミの組み合わせは初見です。 
この時期は未だぎりぎりワーカー♀が羽化していないはずですし、かなり大型の個体ですから、越冬後の創設女王♀なのでしょう。 

 大まかな傾向として、クロマルハナバチは平地性でオオマルハナバチは山地性と棲み分けています。 
撮影地は平地なのに、オオマルハナバチの創設女王が活動していたのでちょっと意外でした。 
この女王蜂は平地で営巣しているのでしょうか?
花から飛び去った蜂を見失ってしまい、巣の位置を突き止められませんでした。


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2025/07/01

営巣適地を探して里山の笹薮を飛び回り、休んで化粧するオオスズメバチ創設女王

 

2024年6月上旬・午後12:25頃・くもり 

里山の林道を登っていると、ヴーン♪という重低音の羽音が響きました。 
この羽音はもしや…と辺りを探すと案の定、オオスズメバチ♀(Vespa mandarinia japonica)が低空でゆっくり飛び回っています。 
この時期はまだワーカー♀が羽化しておらず、越冬後の創設女王が安全な営巣適地を探索しているようです。 

関連記事(同じ山系で1ヶ月前の撮影)▶ 営巣適地を探して春の山林を飛び回るオオスズメバチ創設女王 


山道の横に自生する笹薮にオオスズメバチが飛び込んだので私が回り込むと、地面の枯葉の下に潜り込もうとしていました。 
オオスズメバチの女王は、野ネズミの古巣を利用して、自分の巣穴を作るのだそうです。 
しかし、この個体は地中には潜り込まず、枯葉の上で触角を前脚で拭っています。 
蜂の胸部小楯板に橙色の斑紋がしっかり見えたので、オオスズメバチで間違いありません。 
化粧の後は再び離陸して低空で飛び回り、笹薮の中を物色しているようです。 

実は数年前も現場近くの笹薮で、オオスズメバチのコロニーが営巣していました。 
当地のオオスズメバチは笹薮の中に好んで巣穴を掘るのかもしれません。 



登山客が山道を外れて山菜を勝手に採らないようにロープが張られているので、オオスズメバチの女王様を追いかけることができず、見失いました。 


※ 蜂の重低音の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

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