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2025/07/19

軒下の巣に出入りし外皮を増築するコガタスズメバチ♀:6月中旬

 



2024年6月中旬・午後14:20頃 

民家の軒下に作られたコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣を久しぶりに定点観察に来ると、本種の初期巣に特有の細長い巣口はすでに撤去済みでした。 
ワーカー♀が羽化したことがわかります。 
丸い巣の底(下面)に歪な形の巣口が開いていました。 

初ワーカー♀が外皮の造巣作業に従事していました。 
パルプの巣材を薄く引き伸ばしながら、外皮の縁に付け足しています。 
少なくとももう1匹(創設女王? 2匹目のワーカー♀?)が巣に出入りしていました。 

しばらくすると、別個体の♀が帰巣しました。 
外皮にいきなり着陸してから巣口に潜り込みました。 
このとき巣材や肉団子など何か口に咥えていたかどうか、真下から見上げるアングルでは不明です。 

巣内から出てきたコガタスズメバチ♀が巣口から外界を覗き、周囲を警戒しています。 
そのまま飛び立って外役に出かけたので、門衛ではありませんでした。 
それと入れ替わるように、外皮の造巣作業を終えた♀個体が入巣。 


つづく→

2025/07/15

ヤマホタルブクロの花筒に潜り込んで採餌するスミゾメハキリバチ♀

 

2024年6月中旬・午後12:45頃・晴れ 

民家の花壇に咲いたホタルブクロに蜂が忙しなく訪花していました。 
萼片の形状(基部が反り返る)からヤマホタルブクロ(別名ホンドホタルブクロ)のようです。 
花弁の色は赤紫でした。 

釣鐘状の花筒から外に飛び出してきた蜂を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみて(@0:20〜)ようやく、ムナカタハキリバチ(別名スミゾメハキリバチ)♀(Megachile willughbiella sumizome)と分かりました。 
正当訪花で釣鐘状の花筒に潜り込むと、中でしばらく吸蜜・集粉していたようです。 
花筒の内部にいる蜂の影が花弁を通して透けて見えることはなかったのですが、蜂が動き回ると花弁がベコベコと動いたような気がしました。 

次の花を探してホバリング(停空飛翔)しているスミゾメハキリバチ♀の腹面を見ると、スコパは赤褐色でした。 
これは本種のスコパ本来の毛の色ですし、ホタルブクロの花粉は白いはずなので、今回のスミゾメハキリバチ♀は花粉をほとんど集めれなかったようです。 
ホタルブクロは雄性先熟らしいのですが、今回は雄しべの葯の花粉が既に枯渇していたのかもしれません。 
だとすると、次の花筒に潜り込まずにスミゾメハキリバチ♀がヤマホタルブクロの群落から飛び去ってしまったのも納得です。 

関連ブログ ▶ ~ ホタルブクロに 来たハチ ~ by 「足立直義の丹沢・大山山麓だより」 
スミゾメハキリバチ♀のスコパに白い花粉が大量に付着した見事な写真が掲載されていました。 
今回の私の観察だけでは分からなかったのですが、スミゾメハキリバチ♀はホタルブクロに訪花する常連客で、送粉者として働いているようです。 

ホタルブクロの花粉の色について、Perplexity AIを宥めすかしながら相当しつこく問い合わせて、ようやく役に立つ情報が得られました。 
実際にホタルブクロの花筒を裂いてみて内部構造を観察したり、雄しべの葯に触れて花粉の色を確認したかったのですけど、他人様の庭に勝手に侵入できませんから、諦めました。

実は、別種のハキリバチ?らしい小型のハナバチもヤマホタルブクロの花壇で忙しなく飛び回っていたのですが、ピントが合わなかったので編集でカットしました。

釣鐘状の花筒をもつ植物は、有能な送粉者を選別するために進化したのですが、そうなると締め出された蜂は必ずや穿孔盗蜜で対抗します。
ホタルブクロの花で盗蜜する蜂(おそらくクマバチと予想)を観察したくて、長年注意して見て回っているのですが、いまだに出会えません。
もしかして、ホタルブクロは盗蜜行動をさせないような仕組みを対抗進化させているのでしょうか?
そのような絶え間ない軍拡競争が進行中だとしたら、面白い話です。
ホタルブクロの花筒は太いので、日本の昆虫はほとんどの種が(太っちょのクマバチですら?)自由に出入りできそうです。
だとすれば、わざわざ穿孔盗蜜する必要はありませんね。
とりあえず、ホタルブクロの花筒の根元に盗蜜痕があるかどうか、調べてみないといけません。

2025/07/11

ナワシロイチゴの花から花へ飛び回り採餌するクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年6月上旬・午前11:25頃・くもり 

山麓の道端に咲いたナワシロイチゴの群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
口吻を伸ばして吸蜜しているクマバチ♀をよく見ると、後脚の花粉籠は空荷でした。 

ナワシロイチゴの花に離着陸する瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:25〜) 


関連記事(10、11年前の撮影)▶  

2025/07/09

ノアザミの花で採餌するコハナバチ♀の一種?

 

2024年6月上旬・午前11:30・くもり 

水田の農道に咲いたノアザミの群落で見慣れないハナバチが訪花していました。 
ノアザミの雄しべの先端から白い花粉が吹き出しています。 
ハナバチが口吻を伸ばして吸蜜しながらノアザミの頭花を歩き回ると、必然的に雄しべの花粉が蜂の体毛に付着します。 
顔の毛や前脚にノアザミの白い花粉が大量に付着していたのに、後脚の花粉籠はまだ空荷でした。 
ミツバチ科だと思ったのですけど、ハキリバチ科の可能性もありますかね? 
腹部下面にスコパの有無を確認できませんでした。 

マクロモードでカメラのレンズをそっと近づけながら接写しても、蜂は逃げませんでした。 
飛び立つとやや高音の羽音を立て、同じ頭花にすぐ舞い戻ってきます。 
再び飛び立つと、ホバリングしてから手前の頭花に着陸しました。 

蜂が居なくなった後でノアザミの総苞片に触れると、粘り気があることを確認しました。 
農道の奥の水田では田植えが終わっていました。
はじめは筒状花から雄しべが現れて、昆虫などが花を刺激すると、接触運動により雄しべから花粉が湧き出てきて、昆虫に花粉を与える[9][10][8]。雄しべが引っ込むと、続いて雌しべが現れて、花粉をつけた昆虫の媒介によって受粉する[8]。頭花の外側にある総苞は緑色の球形で、総苞片は反り返らず、直立して先端は鋭いとげになり、粘液を出して背面はよく粘る[7][5][6]。(wikipedia:ノアザミより引用)
関連記事()▶ 第8話「アザミの花粉放出の巧妙な仕掛け」 


さて、このハナバチの種類(和名)は何でしょうか? 
腹部には黒と茶色の横縞模様。
胸背は黒くてつるつるしています。 
剥げたのか、それとも元々胸背には毛が生えないのか、不明です。 
胸部の辺縁部には白っぽい毛が密生しています。 
オオマルハナバチ♀ほど毛深くありません。 
関連記事(同所同時期の撮影)▶ ノアザミの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王 
伸ばした口吻は真っ黒。
後脚だけでなく中脚にも茶色の毛が密生していて、花粉籠が複数あるように見える。

この件でPerplexity AIに相談してみたところ、画像認識もやった挙句にコハナバチ科の一種ではないか?と言われました。 
現在のAI技術は、質問に虫の写真を添付しても、分類学者が作った検索表に従って細部の特徴を検討して種を同定してくれる訳ではありません。 
ただ画像検索で似た写真をインターネット上で探しているだけなので、注意が必要です。 
AIが学習できるほど充分な数の写真データがインターネット上に蓄積されていれば(メジャーな種なら)、その方法(画像認識)でも上手く行くのですが、コハナバチ?のようなマイナーな種類の虫だとあまりあてになりません。 
あいにく私はコハナバチについて疎いので、今回の回答がAI特有のハルシネーション(自信満々の知ったかぶり)かどうかも判断できません。 
ハナバチに詳しい人にぜひ判定してもらいたいところです。
コハナバチ科の中には、ヒトの汗を好んで舐める蜂がいるらしいのですが、今回の個体は私の汗ばんだ手を舐めに来ませんでした。


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2025/07/03

ノアザミの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王

 

2024年6月上旬・午後16:05頃・晴れ 

水田の農道に沿って咲いたノアザミの群落で オオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が訪花していました。 
後脚の花粉籠はまだ空荷でしたが、口吻を伸ばして吸蜜して回る蜂の顔に白い花粉が大量に付着しています。 

襟元(胸部前縁)にオオマルハナバチ特有の白帯があるかどうか、ノアザミの白い花粉で汚れているために分かりにくくなっています。 
しかし腹部T2に太い白帯が目立つので、クロマルハナバチではなくオオマルハナバチだろうと判断しました。  
オオマルハナバチとノアザミの組み合わせは初見です。 
この時期は未だぎりぎりワーカー♀が羽化していないはずですし、かなり大型の個体ですから、越冬後の創設女王♀なのでしょう。 

 大まかな傾向として、クロマルハナバチは平地性でオオマルハナバチは山地性と棲み分けています。 
撮影地は平地なのに、オオマルハナバチの創設女王が活動していたのでちょっと意外でした。 
この女王蜂は平地で営巣しているのでしょうか?
花から飛び去った蜂を見失ってしまい、巣の位置を突き止められませんでした。


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2025/07/01

営巣適地を探して里山の笹薮を飛び回り、休んで化粧するオオスズメバチ創設女王

 

2024年6月上旬・午後12:25頃・くもり 

里山の林道を登っていると、ヴーン♪という重低音の羽音が響きました。 
この羽音はもしや…と辺りを探すと案の定、オオスズメバチ♀(Vespa mandarinia japonica)が低空でゆっくり飛び回っています。 
この時期はまだワーカー♀が羽化しておらず、越冬後の創設女王が安全な営巣適地を探索しているようです。 

関連記事(同じ山系で1ヶ月前の撮影)▶ 営巣適地を探して春の山林を飛び回るオオスズメバチ創設女王 


山道の横に自生する笹薮にオオスズメバチが飛び込んだので私が回り込むと、地面の枯葉の下に潜り込もうとしていました。 
オオスズメバチの女王は、野ネズミの古巣を利用して、自分の巣穴を作るのだそうです。 
しかし、この個体は地中には潜り込まず、枯葉の上で触角を前脚で拭っています。 
蜂の胸部小楯板に橙色の斑紋がしっかり見えたので、オオスズメバチで間違いありません。 
化粧の後は再び離陸して低空で飛び回り、笹薮の中を物色しているようです。 

実は数年前も現場近くの笹薮で、オオスズメバチのコロニーが営巣していました。 
当地のオオスズメバチは笹薮の中に好んで巣穴を掘るのかもしれません。 



登山客が山道を外れて山菜を勝手に採らないようにロープが張られているので、オオスズメバチの女王様を追いかけることができず、見失いました。 


※ 蜂の重低音の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2025/06/27

初期巣で抱卵するコガタスズメバチの創設女王と謎のエントツドロバチ♀

 

2024年5月下旬・午前11:15頃 

某山寺の境内に木造の小さな祠があり、その軒下で毎年のようにコガタスズメバチが営巣しています。 
今季も様子を見に来たら、コガタスズメバチVespa analis insularis)の初期巣が作りかけで見つかりました。 
まだ巣盤は小さくて1層しか作られていません。
六角形の育房は6室?で、そのうち2室の中には白い卵が産み付けられていました。 
巣盤を丸く覆う外皮も天井から作り始めたばかりで、巣盤は剥き出しの状態です。 

昼間でも薄暗い軒下で、創設女王が初期巣の天井部に乗って抱卵していました。 
腹式呼吸の激しい収縮運動が見えます。 
巣盤を吊り下げる巣柄に体を巻き付けながら(カーリング)巣盤の上に乗って、自分の体温を卵に伝えて温めているのです。 
昆虫は一般に変温動物と思われがちですが、抱卵する女王蜂は胸部の飛翔筋を活発に収縮させて(羽そのものは動かさず)発熱しているそうです。 
抱卵中の創設女王をサーモグラフィカメラで撮り、本当に発熱しているのかどうか確かめてみたいものです。
鳥は卵殻が丈夫なので、孵化するまで母親♀が卵の上に座って温めることが可能です(抱卵)。
一方スズメバチの卵や幼虫は柔らかいので、潰れないように、育房の薄い巣材を通して女王蜂♀が体温を伝えて温める点が鳥の抱卵や抱雛とは異なります。

関連記事(14年前の撮影)▶ ホオナガスズメバチ女王の抱卵


余談ですが、コガタスズメバチ初期巣の少し右奥の天井裏の板にヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)の卵鞘が付着しているのが写真に写っていました。
撮影中は気づかず、ピンぼけでよく見えませんが、形状がそっくりです。 



右奥の天井裏に、ヤマトゴキブリの卵鞘が産み付けられている?



祠の梁の下面には、過去にコガタスズメバチが営巣と駆除を繰り返した古巣の跡が多数残っています。(写真なし)






同じ祠の反対側の軒下で、さらに興味深い発見がありました。 
そこにもコガタスズメバチの初期巣が作りかけられていて、同様に抱卵(カーリング)している蜂がいたのですが、どうも普通のコガタスズメバチではありません。 
日陰の軒下はあまりにも暗いので動画には撮れず、ストロボを焚いて写真に撮ってみました。
真っ黒な蜂で、腹部にオレンジ色の横縞が1本だけあります。
まるでエントツドロバチ♀(別名オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)のようです。
エントツドロバチは幼虫や前蛹で越冬し、春になると成虫が羽化してきます。
5月下旬にエントツドロバチ♀が活動していても、おかしくありません。

しかし、エントツドロバチは名前の通り泥を巣材として煙突状の泥巣を作り上げますから、コガタスズメバチがパルプで作った初期巣を乗っ取る理由がありません。
たまたま軒下に侵入して、隠れ家として過ごしているだけかもしれません。
エントツドロバチだとしたら、初期巣の主であるコガタスズメバチ創設女王と喧嘩にならないのが不思議です。
謎の黒い蜂に少し動いてもらって、全身像をしっかり撮りたかったのですが、脚立がないと手が届かない高所に初期巣が架けられていました。 

コガタスズメバチが作る育房の平均的なサイズは、直径が約5~7mmです。
写真で育房と比べると、謎の黒い蜂の体長は育房4~5個分以上に見積もられ、25mm前後と推定されます。
エントツドロバチ♀の体長は約16~19.5mmであり、コガタスズメバチ創設女王(25~28mm)より明らかに小さいです。

コガタスズメバチの創設女王で、このような黒化変異の個体は知られていないそうです。
しかし同属のヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)は、体色の個体変異が大きいらしく、

腹部の斑紋には個体変異があって、黒化の程度が強いものから、綺麗な黄色と赤と黒のしましま模様の個体まで変異します。

黒化の程度が強い個体では、肩の部分(前胸背板と中胸背板前部)と胸部後半部がほぼ黒色で、腹部末端3節も全て黒色です。腹部前半部の黒帯も拡大し、腹部全体で黄色の筋が3本+腹部前半に若干の赤褐色部となります。
参考サイト:スズメバチ事典:ヒメスズメバチ より引用

今回は蜂の側面しか写真が撮れなかったのですが、もしかするとヒメスズメバチ創設女王の黒化変異かもしれません。
ヒメスズメバチの可能性を検討してみましょう。
ヒメスズメバチの創設女王が、木造家屋の軒下など開放空間に初期巣を吊り下げることは極めて稀で、ほとんどは土中や閉鎖空間に営巣します。
また、ヒメスズメバチの営巣開始時期は5月下旬~6月で、他のスズメバチより遅いです。
写真に写った謎の黒い蜂(推定された体長〜25mm)は、ヒメスズメバチ創設女王(平均的な体長は30~35mm)にしては小さすぎます。

以上から、エントツドロバチやヒメスズメバチの可能性は除外され、おそらくコガタスズメバチ創設女王の黒化変異というきわめて珍しい事例だろうと思われます。
定点観察に通いたかったのですが、残念ながらその後に初期巣が駆除されてしまい、謎は未解明のまま残りました。
(※ 追記参照)

謎の黒い蜂の正体について、いつものようにPerplexityとブレインストーミングしました。


※【追記】
17日後の6月上旬に現場の祠を再訪すると、初期巣の2つとも外皮が完成していました。
コガタスズメバチの初期巣に特有の細長い円筒状の巣口が下向きに伸びていました。
蜂の出入りを観察する時間がなかったので、初期巣の写真だけ撮って帰りました。

その後も定点観察したかったのですが、誰かが巣を駆除してしまいました。

コガタスズメバチ初期巣a@祠軒下

コガタスズメバチ初期巣b@祠軒下

ここで重要なポイントは、17日前に謎のエントツドロバチ?が抱卵していた初期巣bも作ったのはコガタスズメバチと判明したことです。
つまり、ヒメスズメバチ黒化変異の創設女王である可能性は否定できました。
ヒメスズメバチの初期巣は、解放空間に吊り下げるレアケースでも、このような逆向きのフラスコ状(徳利状)にはなりません。
やはり、コガタスズメバチ創設女王の黒化変異が作ったようです。




【アフィリエイト】 
・『スズメバチ類の比較行動学』 カーリング行動@p44 
・『スズメバチはなぜ刺すか』 北海道大学図書刊行会 p192 




2025/06/26

ナワシロイチゴの花蜜を吸うコマルハナバチの雄蜂♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年6月上旬・午前11:20頃・晴れ 

山麓の道端に咲いたナワシロイチゴコマルハナバチBombus ardens)の雄蜂♂がせわしなく訪花していました。 
口吻を伸ばして吸蜜しています。
この組み合わせは初見です。 

私のフィールドでこの時期に見かけるきれいな黄色(レモン色)のマルハナバチは、コマルハナバチ♂と決まっています。 
腹部は明るい黄色と黒の横縞模様ですが、腹端(特に腹面)の体毛だけ茶褐色です。 
コマルハナバチ(Bombus ardens)は、日本産マルハナバチの中で最も早く雄蜂♂が羽化する種類です。 

この個体は雄蜂♂なので、花粉を集めることはありませんし、後脚に花粉籠はありません。 
雄蜂♂に毒針はありませんから、怖がる必要はありません。 
複数個体を撮影しました。 

ナワシロイチゴの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:45〜)

2025/06/24

カシワ幼木の葉裏を調べるヒメスズメバチの創設女王

 

2024年6月上旬・午後12:25頃・くもり 

里山の細い林道を登っていると、法面に自生するカシワ幼木に大型のヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis pulchra)が来ていました。 
この時期はまだワーカー♀ではなく、越冬明けの創設女王です。
 
カシワ幼木の若葉の裏にしがみついて、何か物色しているようです。 
ヒメスズメバチはアシナガバチを専門に狩ることで有名ですが、カシワの葉裏にアシナガバチの巣はありませんでした。 
名前が似ているアカメガシワ(トウダイグサ科)には花外蜜腺がありますけど、カシワ(ブナ科)の木にはありません。 
おそらくカシワの樹液が微量ながらも滲み出ていて、それを舐めにヒメスズメバチ創設女王が来たのではないかと推測しました。 

やがてヒメスズメバチ創設女王は、カシワの赤みを帯びた葉表によじ登ると、ヴーン♪と重低音の羽音を立ててどこかに飛び去りました。 

ちなみに、カシワ幼木の葉が赤みを帯びているのは、展葉直後の若葉に見られる自然な現象です。 
春の強烈な紫外線から葉を守るため、アントシアニンなどの赤い色素が若葉には多く含まれています。 


※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2025/06/21

コガタスズメバチ創設女王が軒下で初期巣を作る様子【10倍速映像】

 



2024年5月下旬 

民家の軒下に単独で営巣を始めたコガタスズメバチVespa analis insularis)創設女王♀の活動を微速度撮影してみました。 
トレイルカメラとかタイムラプス専用のカメラもあるのですけど、今回の初期巣はかなり高所に架けられているため、巣の近くに監視カメラを設置することが出来ません。 
仕方がないので、軒下(初期巣の真下)に三脚を据えて、真上を向けて初期巣に望遠レンズでズームインし、10倍速で微速度撮影しました。 
毎回カメラのバッテリーを使い切るまで長撮りします。 
斜め下から初期巣を見上げるアングルを確保できれば、巣口が細長く下向きに形成される様子を記録できたのですが、残念ながら現場周辺の立地的な事情があって、どうしても真下からしか撮影できませんでした。 
おまけに3日間しか撮影できていません。 
色々と中途半端ですけど、創設女王の行動レパートリーを一通り記録することが出来ました。 

動画の撮影開始時刻を元にして、時刻を秒単位で画面内に表示するように編集で工夫しました。 
撮れた動画のほとんどの時間は何も起こらず退屈なので、編集でカットします。 


シーン1:5/26・午前11:19〜午後12:45(@0:00〜1:56) 
巣内で創設女王が何をしているのか、暗くてよく見えませんが、育房内を点検して回っているようです。 
幼虫が卵から孵化しているのかどうか、映像からは分かりませんでした。 
巣内に篭もった女王が巣盤の裏側(上側)に隠れてしまうことがあります。 
巣盤の天井部で巣柄を抱くように体をカールさせ、育房内の卵を自分の体温で温めることで、孵化を早めるのだそうです。(抱卵行動) 
別の場所で撮ったコガタスズメバチの抱卵行動を観察できたので、映像を公開する予定です。 

ときどき女王は巣から飛び去り、おそらく花蜜を吸うなどして食事をしてくるのでしょう。 
巣材として木の樹皮を噛みほぐしたパルプを集めてくることもあります。 
巣材の団子を持ち帰った創設女王は、作りかけの外皮の縁に巣材を薄く伸ばしながら追加していきます。 

コガタスズメバチの創設女王は1層の巣盤を作って育房内に産卵すると、巣盤を覆うように球状の外皮を上から作ります。 
次に、外皮の下側にある出入り口(巣口)を細長く下向きに伸ばしていきます。 
初期巣が逆さまの徳利みたいな形になるのが、コガタスズメバチの特徴です。 


シーン2:5/27・午前11:04〜午後12:35(@1:57〜3:50) 
前日よりも外皮底の開口部が小さくなっています。 
その結果、女王の巣内活動を観察できなくなりました。
創設女王は、帰巣→外皮増設→出巣のルーチンを何度も繰り返しています。 
煙突状の巣口を下向きに細長く伸ばしているようです。 


シーン3:5/29・午前11:05〜午後12:18(@3:51〜4:03) 
この日は帰巣→出巣を1回ずつしか録画できていませんでした。 
どうやら造巣行動をやらなくなったようです。 
この日で撮影を打ち切りました。 


巣作りが一段落した後、創設女王は幼虫にせっせと給餌して育てるはずです。 
やがてワーカー♀が無事に羽化すると、細長い煙突状の巣口を取り壊します。 
その様子も微速度撮影で記録したかったのですが、どうしても定点カメラを長期間設置する場所を確保できず、諦めました。 


2025/06/18

軒下の初期巣から飛び去るコガタスズメバチの創設女王

 

2024年5月下旬・午後15:00頃

民家の軒下にコガタスズメバチVespa analis insularis)の初期巣を見つけました。 
毎年チェックしていたのですが、11年ぶりに営巣してくれました。
この日、女王蜂は不在でした。 

関連記事(まとめ)▶ 軒下に営巣したコガタスズメバチの定点観察(2013年)
ストロボなし
ストロボあり。六角形の育房内に白い卵?幼虫?
11年前に営巣した古巣の残骸の隣に営巣開始。

  
2024年5月下旬・午後15:50頃

3日後に定点観察しに来ると、軒下の初期巣は順調に大きくなり、外皮の開口部が塞がりつつあります。 
創設女王が巣の外皮を下向きに増設しているようでしたが、ストロボ写真を優先したら、動画をほとんど撮れずに女王が飛び去ってしまいました。 
女王様の飛び立ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

北向きなので、夕方になるとかなり薄暗い映像になってしまいます。 
高所に作られた巣なので、地上から見上げてカメラの内蔵ストロボを焚いても、フラッシュ光があまり届きません。 

コガタスズメバチ創設女王が巣作りをする様子を微速度撮影できないか、方法を考えます。 


2025/06/15

バラ(アンジェラ)の花粉を集めるスミゾメハキリバチ♀

 

2024年5月下旬・午後14:05頃・晴れ 

民家の玄関先に植栽されたピンクの薔薇の花に真っ黒なムナカタハキリバチ(別名スミゾメハキリバチ)♀(Megachile willughbiella sumizome)が訪花していました。 

私は園芸植物にまるで疎いので、このバラを画像認識で調べてもらうと、おそらくアンジェラという半八重の品種だろうと教えてもらいました。 

スミゾメハキリバチ♀は小型の個体という印象です。 
吸蜜ではなく、集粉に専念しているようです。 
バラの花でときどき回転集粉を行いましたが、振動集粉の音は聞こえませんでした。 
腹面のスコパは茶色(赤褐色)の毛が密生しています。 
バラの花粉は黄色のはずですが、スコパに付着しているようには見えません。 
雄しべの葯を見ても、花粉が枯渇していて少なそうです。 
そもそも八重咲きの花は雄しべが花弁にホメオティック変異した品種なので、半八重では通常よりも雄しべの数が少なくなっています。 

スミゾメハキリバチ♀は羽音を立てて次のバラの花へ飛んで移動します。 
訪花中になぜか蜂が腹部を海老反りにすることがありました。 
腹面のスコパが雄しべに触れなくなるので、集粉するには逆効果のはずです。 
近くで撮影している私に対して威嚇・警戒しているのかな?  

※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


バラハキリバチのように、スミゾメハキリバチも巣材としてバラの葉を切り抜くことがあるのでしょうか? 
動画を見直しても、ハキリバチに葉を丸くくり抜かれた跡は写っていません。 



Perplexity AIに質問しても、スミゾメハキリバチが利用する巣材の植物について報告がないらしい。 
ただし、スミゾメハキリバチの原亜種であるムナカタハキリバチ(Megachile willughbiella)だとヨーロッパでよく調べられていて、バラの葉を切り抜いて巣材にすることがあるそうです。 
(バラの葉だけを巣材にするのではなく、植物種をあまり選り好みしないらしい。)

ちなみに最近、ムナカタハキリバチの全ゲノムが解読されたそうです。
CROWLEY, Liam M., et al. The genome sequence of Willughby’s leafcutter bee, Megachile willughbiella (Kirby, 1802). Wellcome Open Research, 2024, 9: 164.
次にスミゾメハキリバチのゲノムも解読して比較すれば、亜種の違い(黒化した体色)がどのように進化したのか突き止められそうですね。 




2025/06/07

ベニカナメモチ(レッドロビン)の花で採餌するセイヨウミツバチ♀

 

2024年5月中旬・午後12:20頃・くもり 

道端の生垣として植栽されたベニカナメモチ(=レッドロビン)セイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

白い花で吸蜜する蜂をよく見ると、後脚の花粉籠に少量の花粉団子を付けています。 
やがて、蜂は生垣の奥に潜り込んでしまいました。

2025/06/05

春の草むらで身繕いして飛ぶモンスズメバチ創設女王(腹部斑紋の変異個体)

 

2024年5月上旬・午後15:45・晴れ 

郊外の道端の草むら(花壇?)でモンスズメバチ♀(Vespa crabro flavofasciata)を見つけました。 
この時期はまだワーカー♀(働き蜂)が羽化しておらず、越冬明けの創設女王が単独行動しています。 
単子葉の園芸植物(種名不詳)の葉にしがみついてよじ登ろうとするものの、つるつる滑って登りにくそうです。 

葉を登り切って体勢が水平に安定すると、身繕いを始めました。
触角や複眼を前脚で拭い、その脚を舐めています。 
左右の後脚の先を互いに擦り合わせました。 
化粧を済ませた女王蜂はどこかに飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:01〜) 

さて、このスズメバチの種類は何でしょう? 
初めはてっきりコガタスズメバチかと思ったのですが、肩(前胸背板)が赤褐色な点に違和感を覚えました。 
じっくり検討してみましょう。 
小楯板は真っ黒で、オオスズメバチのような茶色い斑紋はありません。 
単眼の周囲は黒色。 
モンスズメバチなら腹部にある黄色と黒の横縞模様が波打っているはずなのに、この個体では直線状です。 
頭楯の突起は2つでした。 (コガタスズメバチなら突起は3つ。)
同定する際にどの形質を優先して判定基準にすればよいのか、正式な検索表をもたない素人には分かりません。
例えば、「コガタスズメバチで肩が赤褐色の変異個体」である可能性を排除できるでしょうか?
Perplexity AIに相談してみると、モンスズメバチの創設女王で腹部の横縞模様がまっすぐな変異個体と判明しました。 
モンスズメバチでは結構よくある変異パターンらしいのですけど、私は初めて見ました。

いつも思うのですが、生物学の発展のために、あらゆる生物種の正式な検索表を誰でも自由に閲覧参照できるように分類学者は整備して欲しいものです。 (検索表だけ著作権を解除して、インターネット上のアーカイブをパブリックドメイン化)
女王蜂は次世代を残す使命があるので、一般的にひどく臆病です。 
下手に敵と戦うと反撃されて負傷するリスクがありますから、女王蜂は常に争いを避けます。
つまり、女王バチの戦略は「逃げるが勝ち」です。 
女王蜂の方からヒトを本気で襲ってくることもありませんし(自分の巣を守るために威嚇することはあります)、素手で強く握りしめたりしない限り、毒針で刺される心配もありません。 
たとえスズメバチ類であっても、毒針を持たない雄蜂♂の次に女王蜂は安全です。 
時期的に女王蜂だと確信できれば、リラックスして観察・撮影することができます。

2025/06/01

サイハイランの花で採餌するミヤママルハナバチ創設女王

 

前回の記事:▶ サイハイランの花 


2024年5月下旬・午前11:30頃・くもり 

二次林の林床に点在するサイハイランの小群落でミヤママルハナバチ♀(Bombus honshuensis honshuensis)が忙しなく訪花していました。 
この時期はワーカー♀(働き蜂)ではなく、越冬明けの創設女王が単独で採餌もしています。

訪花シーンがあまりにも忙しないので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:34〜)
正当訪花した蜂が顔を突っ込んで口吻を伸ばし、花蜜を吸っています。
ラン科に特有の花粉塊(濃い黄色)が蜂の両肩の辺り(正確には前脚の根元)にいくつも付着しています。 
後脚の花粉籠にも花粉団子が少量付いていました。
つまり、ミヤママルハナバチはサイハイランの授粉を助けていることが分かりました。

帰巣してもサイハイランの花粉塊は蜂の両肩に付けたまま落とさないのか(気づいていない?)興味がありました。
しかし、その場でしばらく待っても同一個体の蜂は戻ってきてくれませんでした。

初めはこの蜂をトラマルハナバチかと思ったのですが、よく見ると体毛が黄色いミヤママルハナバチでした。 
私にとってレアな(希少で珍しい)マルハナバチになります。
 「平地にミヤママルハナバチが居るはずがない」、という思い込みから、まじめに検討しないで「トラマルハナバチに違いない」、と決めつけた誤同定が実は多いかもしれません。(自戒を込めて) 

ミヤママルハナバチという同定に自信がもてなかった私は、いつものようにPerplexity AIに相談したところ、とても有益なブレインストーミングになりました。
AIによる画像認識でもミヤママルハナバチという判定でした。
マルハナバチで創設女王の採餌する範囲は、ワーカー♀よりも狭いのが一般的らしい。 
最寄りの裏山は直線距離で1.7kmもあります。
本来ミヤママルハナバチの分布は山地性なのに、今回の個体は珍しく平地で営巣していることになります。 

せっかくサイハイランの花が咲いたのに、各株の根元から出た大きな葉は黄変していることが多いです。
サイハイランはスプリング・エフェメラルのような生活史ではないので、二次林の林床という環境では日照不足で葉が枯れかけているだけでしょう。
初夏以降の雑木林は樹冠に葉が生い茂る結果、昼間でも暗くなり、日照不足で昆虫の蜜源となる花はほとんど咲かなくなります。
したがって、後日マルハナバチの姿を林床で見かけることもありませんでした。
近くにあるはずの営巣地を突き止められなかったのが残念です。


【参考文献】
 島田真彦・北村俊平 2021.サイハイランの有効な送粉者の特定―マルハナバチ 2 種の採餌行動の比較―.日本生態学会第 68 回全国大会講演要旨集,P1-067. 


学会の公式サイトでいつまで要旨が保存・公開してもらえるのか分かりません。
自分の研究ではないので申し訳ないのですが、以下に転載させてもらいます。
この成果はその後、学術論文として正式に発表されたのかな?

サイハイランの有効な送粉者の特定ーマルハナバチ2種の採餌行動の比較ー
A comparison of two pollinators: Bombus ssp. on orchid Cremastra variabilis
*島田真彦, 北村俊平(石川県立大学)
*Shimada MASAHIKO, shumpei KITAMURA(Ishikawa Pref. Univ.)

ラン科の多くは昆虫の訪花頻度が低く、送粉者を直接観察することは難しい。本研究ではサイハイランの開花期間を通してカメラトラップによる送粉者調査を実施した。また、訪花が撮影されたマルハナバチ2種の訪花行動を詳細に分析し、花粉塊の付着との関係を検討した。2020年5月19日~6月16日に金沢大学角間里山ゾーンの広葉樹二次林で、サイハイラン26花序382花を対象としてカメラトラップによる送粉者調査を実施した。カメラトラップにはLtl-Acorn6210を使用し、センサーが訪花昆虫を感知した際、60秒の動画を撮影する設定とした。また、直接観察により4日間隔で花粉塊の状態を記録した。撮影回数の上位種の訪花行動をHovering、Landing、Searching、Feedingに分類した。また花粉塊の付着に関連する行動として、Feeding時にハチの体が花内部の蕊柱の上下どちらに位置するかを判別した。2020年10月に対象花序の結果数を調査した。572カメラ日の観察から5科16種の昆虫が記録され、撮影回数の上位種はコマルハナバチ(20回)とトラマルハナバチ(11回)だった。採餌位置が判別不明な個花での採餌を除いて、前者は蕊柱の上からのFeedingはなく(0%、N=76)、花粉塊の付着は無かった。一方、後者は高頻度で蕊柱の下からのFeedingを行い、(84%、N=34)、3花序では花粉塊の付着も見られた。結果率は1.3%(3花序5果実)で、いずれも花粉塊が付着したトラマルハナバチが訪花していた。カメラトラップを用いた撮影記録に基づく花粉塊の付着、および放課後(原文ママ:正しくは訪花後?)の結果状況から、本調査地ではトラマルハナバチのみがサイハイランの有効な送粉者として機能していると示唆された。

要旨だけでも専門家の研究方法が垣間見れて勉強になりました。





2025/05/28

ホウチャクソウの花で採餌するヒゲナガハナバチの一種♀?【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午後12:40頃・くもり 

里山の中腹にある樹林帯をトラバースする林道に沿って咲いたホウチャクソウの群落で訪花するハナバチ♀を見つけました。 
後脚の花粉籠に橙色の花粉を付けて運んでいます。 
したがって、ハキリバチ科ではなくミツバチ科の♀です。 
 過去の観察例ではトラマルハナバチ♀がホウチャクソウに訪花していたのですが、今回のハチはマルハナバチほど毛深くありません。 

関連記事(6,8,16年前の撮影)▶  


ホウチャクソウに忙しなく正当訪花を繰り返し、花蜜を吸っています。 
隣に咲いたカキドオシの花には見向きもしません。 
採餌の合間にホウチャクソウの白い花筒の開口部にぶら下がったまま身繕いし、体に付着した花粉をまとめて後脚の花粉籠に移しました。 
化粧が済むと、再び正当訪花でホウチャクソウの花の奥に潜り込みました。 

訪花シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:44〜)
暗くなりますが、固定焦点のスローモーションでじっくり観察できます。

薄暗い林床なのでカメラのAFがなかなか被写体に合焦してくれず、焦りました。 

さて、この謎のハナバチの名前は何でしょう?
素人目にはスジボソフトハナバチ♀と似てるかな?とも思ったのですが、スジボソフトハナバチの出現時期は5月下旬からとされています。
2024年の冬は異常な暖冬少雪で、春の訪れも例年より早かったのですが、それにしても山形県の雪国で5月上旬にスジボソフトハナバチを見るのはかなり異例です。
また、スジボソフトハナバチなら胸背の毛色がもっと明るい茶色のはずです。
今回の個体の胸背はもっと暗くて白味がかった黄土色でした。
ツルンとした黒い腹部には白い横縞が3本あります。(腹部上部の4本目は中央で途切れている)

今回は動画撮影を優先したので、蜂の採集も出来ず、鮮明なストロボ写真も撮れませんでした。
動画だけから蜂を同定するのは難しいです。 
私としては、シロスジヒゲナガハナバチ♀(Eucera spurcatipes)やニッポンヒゲナガハナバチ♀(Eucera nipponensis)など、ヒゲナガハナバチ属の一種Eucera sp.)ではないかと推測しています。 
もし間違っていたら、ご指摘願います。

謎のハナバチを同定するためにGoogleレンズ(画像検索)やPerplexity AIを使って問い合わせてみたのですが、マイナーな種類のハナバチではAIが学習するデータがまだ充分に揃っていないという印象です。
その場合はAIの性能の向上を待っていても仕方なくて、日本全国の研究者やナチュラリストが寄って集って粛々と蜂の記録をインターネット上に蓄積するしかありません。


2025/05/24

ベニサラサドウダンの花蜜を吸うキイロスズメバチ創設女王

 

2024年5月上旬・午後16:20・晴れ 

郊外の農園(クリ園?)を囲む生垣でベニサラサドウダンの真っ赤な花が咲いていました。 
そこでキイロスズメバチ♀(Vespa simillima xanthoptera)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
この時期はまだワーカー♀ではなく、越冬明けの創設女王が単独で活動しています。 

ベニサラサドウダンの下向きに咲いた花にしがみつき、正当訪花を繰り返して吸蜜していました。 
なぜか女王の顔は花粉で汚れていないので、送粉者としての働きはなさそうです。 
すでにハナバチ類が昼間の早い時間帯に花粉を集めた後なのかな?

参考ブログ: ベニサラサドウダン 紅花&花の中の観察 by 里山コスモスブログさん


耳を澄ますと、飛び回るキイロスズメバチの羽音がかすかに聞こえます。 
隣接する花には伝い歩きで移動していました。 
夕日を浴びてきれいに撮れましたが、蜂が日陰に入ると、かなり薄暗いです。 

黒いアリ(種名不詳)のワーカー♀も訪花していましたが、キイロスズメバチとニアミスすることはありませんでした。

 

2025/05/22

ミズナラの幼木に出来たナラメリンゴフシ【虫こぶ】

2024年5月上旬

里山の細い林道の脇に自生するミズナラ幼木の群落で白いピンポン玉のような物が目に付きました。
ナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)の両性世代がナラ類の芽に形成した虫こぶらしい。
細い枝の分岐点で大きく膨らんだ虫こぶの表面はまだ黄緑色で、少しだけ赤く色づき始めていました。

以前もミズナラに寄生しているのを見つけています。

関連記事(8年前の撮影)▶ ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】#1 
定点観察した連載記事#1〜#6。


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2025/05/20

営巣適地を探して春の山林を飛び回るオオスズメバチ創設女王

 

2024年5月上旬・午後14:15頃・くもり 

里山の斜面で林床に居た巨大な蜂が重低音の羽音を立てて飛び去りました。 
無事に越冬できたオオスズメバチVespa mandarinia japonica)の創設女王が単独で、巣作りに適した場所を探し回っているようです。 
オオスズメバチは野ネズミの古巣などを再利用して、地中に営巣します。 
つまりこの時期のオオスズメバチ創設女王は、「穴があったら入りたい」という状態になります。


※ 羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


2025/05/12

ツクバネウツギの花で採餌するハキリバチの一種♀

 

2024年5月上旬・午前11:25頃・くもり 

里山の林道を登っていたら、道端に咲いたツクバネウツギにハキリバチの仲間♀(種名不詳)が訪花していました。 
腹部下面にオレンジ色のスコパ(花粉を集める花粉刷毛、花粉ブラシ)が見えたので、ハキリバチ科の♀と分かります。 
 ハキリバチとツクバネウツギの組み合わせは初見です。 
(過去に同属の園芸品種アベリアでは訪花していました。) 

関連記事(3、7年前の撮影)▶  


今回のハキリバチ♀は、ツクバネウツギの花筒にちょっと正当訪花しただけで、すぐに飛び去ってしまいました。 
一瞬の登場シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
頭部および胸背に白い花粉が大量に付着しています。 

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