2020/06/20

交尾中のオオヒラタシデムシ♀♂が別れるまで



2019年8月中旬・午後15:30〜15:38・晴れ


▼前回の記事
交尾中のオオヒラタシデムシ♂が♀の触角を噛んで引っ張る性癖について

堤防上の細い砂利道で交尾しているオオヒラタシデムシ♀♂(Necrophila japonica)を見つけました。
前回の記事と同じ日にほぼ同じ場所で別の♀♂ペアaを続けざまに撮りました。

♀の背後からマウントした♂が♀の右触角に噛みついてグイグイ引っ張り、♀の体勢をしっかり保定しています。
触角を強く引っ張られた♀は首を右に曲げたままじっとしていますが、大顎を開閉しています。
(我々はどうしても♀を見て「苦しげな体勢」とか「DV(性的虐待)だ!」などと擬人化しがちですが、これがオオヒラタシデムシの交尾法なのです。)
交尾中の♂が♀の胸部を触角でやさしく撫でているのは宥めの信号を送っているのでしょう。

採寸代わりに1円玉を並べて置いてみました。
背面ではなく横から撮ると、♂が腹端を強く屈曲して♀に交尾器を結合している様子が見えました。

やがて、♀が交尾中の♂を背負ったまま前に歩き始めました。
立ち止まると♀は身繕いを始めました。
前脚の先を交互に舐めています。
♀はますます落ち着きがなくなり、ギクシャクと方向転換した拍子に♂の交尾器が外れました。
♂は慌てて再交尾を試みます。
マウントした姿勢で左右にガタガタ揺さぶっているのは、♀が♂を振り落とそうとしている交尾拒否行動なのか、それとも♂が交尾器を挿入する角度を調節しているのでしょうか?
♀の抵抗がますます大きくなると、遂に♂が諦めて♀の触角を口から離し、ペアを解消しました。

交尾直後の♂が一目散に走り去った姿には笑ってしまいました。
交尾を済ませると配偶者♀にはもはや未練は無いようで、♂は♀を残したままスタコラサッサと逃げていきます。
♀はしばらく路上で身繕いしてから、道端の草むらへ逃げ込みました。
空はよく晴れているのですが、現場が河畔林の小径なので、砂利道に落ちた木漏れ日がチラチラと動きます。

本種の交尾を最後まで見届けることができたのは今回が初めてです。
出歯亀(=私)に交尾をずっと撮られているのを嫌がって中断してしまった可能性もありますかね?
次に機会があれば、♀♂の出会いから交尾を始めるまでの過程(求愛行動)を観察してみたいものです。
交尾の所要時間はどのくらいなのでしょう?




ノスリを2羽でモビングするハシボソガラス(冬の野鳥)



2020年1月上旬・午後13:20頃

川沿いの住宅地でノスリButeo japonicus)と
ハシボソガラスCorvus corone)が喧嘩していました。

逃げてきた1羽のノスリが民家の屋根の八木式アンテナに止まりました。
追いかけてきた2羽のハシボソガラスが、ノスリの頭上から代わる代わる蹴りつけるような素振りをして嫌がらせをしています。
カラスが繁殖開始するには未だ少し時季が早いと思うのですが、既につがいを形成した♀♂ペアが縄張りから天敵の猛禽類を追い払っているのでしょう。

カラスにモビング(擬攻撃)されたノスリは、アンテナからまた飛び立つと逃げ出しました。
この間、鳴き声は聞き取れませんでした。

※ 音量を強制的に上げるために、動画編集時に音声を正規化しています。

ノスリは車道の上空を低く飛んで渡ると、近くに立つ電柱の天辺にフワリと止まりました。
なぜかカラスはもう追いかけて来ません。
逃げたノスリをハシボソガラスが見失ったとは思えないので、深追いしなかったのには何か理由があるはずです。
ノスリが横断した車道がカラスの縄張りの境界線になっているのかな?

モビングからの飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
飛んでいるノスリを注意深く見ると、左翼の後縁の羽毛(初列風切)が抜け落ちています。
換羽からの回復期間が私には分からないのですが、この特徴は個体識別に使えそうです。
だとすれば、昨年の春から夏にかけて近くの河畔林で営巣していたノスリ親鳥(性別不明)の可能性が高そうです。


▼関連記事(半年前の6月中旬に撮影)
初列風切羽を一部欠いたノスリの帆翔(野鳥)

ノスリも留鳥として真冬の川辺りで元気に暮らしていることが分かり、嬉しい出会いでした。
実は直前にこのノスリは、暖冬で雪が溶けた河川敷の枯草地から飛び立ったので、野ネズミなどを狩っていたと思われます。(動画撮影が間に合わず残念)


▼関連記事(7年前に別の地域で撮影)
ノスリの狩り・捕食と飛翔(冬の野鳥)




つづく→電柱から飛び立ち屋根に止まるノスリ(冬の野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】




2020/06/19

川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その1:♂同士の喧嘩



2020年1月上旬・午後14:55頃・くもり

冬の川に集結したオナガガモ♀♂(Anas acuta)はあまりにも大群なので、求愛行動を観察したくても、どの個体に注目すべきか目移りしてしまいます。
しばらく眺めていると、複数の♂に囲まれて追い回されている地味な♀に注目すれば良いことが分かりました。

この動画では、川面を遊泳する1羽の♀に計8羽の♂が取り囲みながら並走し、求愛誇示を繰り返してしています。
この状態を「囲い込み」と呼ぶそうです。

『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇 』という本(ポピュラー・サイエンス・シリーズ)に収められた、福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』がとても参考になりました。


囲い込み行動はオナガガモだけにみられるもので、他種のカモ類は行いません。オナガガモが多数飛来した水辺で、1〜2月ごろに注意深く観察していると、数羽以上の♂が一羽の♀を囲むようにして、追いかけながら泳いでいく光景がよくみられます。(中略)「囲い込み」が始まると、集まったメンバーはほとんど入れ替わることなく続けられます。その周囲に浮かんでいるカモたちは、この集団にほとんど関心を示さず、この一団だけがまとまって群れの中を移動して行くので、よく目立ちます。そしてこの集団の♂たちが、♀に対して求愛のディスプレイを繰り返し行います。(p27より引用)

囲い込む♂同士で頻繁に牽制しあい、嘴でつついて激しく攻撃しています。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。
その後に等倍速でリプレイ。

♀の前に居た1羽の♂aが横のライバル♂bを急に嘴でつついて攻撃し、追い払いました。(@0:11)
やられた方も珍しく反撃し、大喧嘩になりました。
ライバル♂bが堪らず逃げ、♀から少し離れました。
喧嘩直後の♂2羽はともに尾羽根を左右に振りました。
続けて勝者♂aが川面で水浴びを始めました。(儀式的水浴びに続けて転移性羽ばたき)

その隙をついて別の♂cが♀に向き直ると接近し、首を伸ばして求愛しました。(漁夫の利?@1:03)
怒った♂aはライバル♂cの右脇腹を嘴で激しくつつき、そのまま相手を嘴でグーッと押し続けました。(@1:13)
どうやら今のところ♂aが最も喧嘩に強く、♀の一番近くの位置を死守しているようです。
ところが、せっかく♂aの優位性が決まりかけたのに、急に群れが一斉に飛び立ちました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、初めに♀が飛び立ち、♂も慌てて後を追って飛び去ったことが分かりました。
撮影に集中していた私は、群れがどうして急に飛び立ったのか理由が分かりませんでした。
川岸の通行人に警戒したのかと思ったのですが、その後も囲み込み求愛からの飛翔という行動を川のあちこちで何度も観察したので、どうやら♀が自発的に飛び去ったのだろうと分かりました。
本にもそのように書いてありました。(下線を引いたのは私しぐま)


 オナガガモの代表的なディスプレイには、つぎのものがあります。ただし多くの場合、一つのディスプレイは単独で行われることはなく、組み合わせられたり、一連の行動として行われます。
a あご上げ ― 攻撃と逃避の入り交じった気分を示すもので、♂・♀共に幼鳥時から行われる、生活するうえでの基本的なディスプレイです。
b げっぷ ― ♀にマウントしようとする意図が込められていて、♀の後方に近づいた♂がよく行います。嘴を引き、上げた頭を下げるときに「ピュー」という笛声を出します。
c 水はね鳴き ― 「げっぷ」のときよりも、♀から離れた位置で行われ、しかも、♀に対してどの方向からも行われます。前方に伸ばした嘴を引き寄せるときに嘴の先で水をはね上げ、頸(くび)が突き上げられたときに笛声を出します。
d そり縮み ― 「水はね鳴き」の後に続いて行われる、セットになったディスプレイです。オナガガモやコガモでは、引き上げられた尾の側面にある、下尾筒(かびとう)のクリーム色の羽部分が視覚的に強調されます。このディスプレイの後、目当ての♀のほうに嘴を向けます。
また、このようなディスプレイがみられる水辺では、「囲い込み」の一団が、♀を追って飛び立ち、飛行する光景もみられます。よく観察すると、♂たちは飛びながら、頸(くび)を動かしたり、胸をそらしていて、飛行時用に変形した前記の求愛ディスプレイをしていることがわかります。 (同書p27〜29より引用)

飛翔シーンのスローモーションを見直しても、♂が♀に求愛ディスプレイし続けていたかどうかまでは分かりませんでした。
飛び去る群れをしっかり流し撮りする必要がありそうです。
ビデオカメラも発達していない時代にここまで詳細に一連の求愛行動を記録した専門家(研究者)の観察眼に感服します。
大群の喧騒のせいで、求愛時の鳴き声(笛声)を聞き取ることはできませんでした。
オナガガモ観察歴の浅い私には、本に書いてあるほど細かい求愛行動はとても未だ見分けられません。
それでも野外でオナガガモの求愛行動が少しずつ分かってくると面白くなってきました。

♂にしつこくつきまとわれている♀が嫌がって(?)飛んで逃げても、♂は即座に飛び立ち一斉に追尾します。
どうしても擬人化したりヒトの心情を勝手に投影したりしがちですが、♀が本当に♂の求愛(セクハラ?)を嫌がっているかどうかは分かりません。
♀は交尾相手を決めるために何度も飛んで逃げて、付いて来れない♂を篩いふるい落としているのかもしれません。(♀による♂の品定め)

つづく→川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その2:喧嘩に負けた♂が♀に八つ当たり




2020/06/18

雪化粧した川岸に集まるカワウの群れ(冬の野鳥)



2020年1月上旬・午前11:25頃・晴れ

今年は暖冬ですが、真冬にカワウPhalacrocorax carbo hanedae)の群れを見るのは初めてです。
本当に留鳥なのかと実は疑っていたのですが、冬の雪国でもカワウは元気に暮らしているようです。
定点観察のポイントに来てみると、川岸はきれいに雪化粧していました。
川の右岸の倒木に5羽のカワウが休んでいて、もう1羽が川面を遊泳しています。
更にもう1羽が新たに飛来し、川に着水しました。
そのまま右岸の空いた倒木に跳び乗ると、羽繕いを始めました。(@0:33)
この時点でカワウは計7羽。

画面奥の下流から川面を泳いできた別のカワウが近くで休んでいたカルガモを嘴でつつく素振りをすると(牽制)、カルガモは慌てて逃げて行きました。(@0:45)
そのまま川面を遡上してきた個体が右岸で倒木に上陸を試みたものの、先客と小競り合いになりました。(@1:28)
先客を追い払って止まり木を横取りしたのが、とても珍しく思いました。(先住者効果が働かなかった例)


▼関連記事
止まり木の空席を巡りカワウ同士で小競り合い(冬の野鳥)

倒木を横取りしたのは、胸が白い若鳥でした。
負けた個体も若鳥のような気がするのですが、正面を向いてくれませんでした。
倒木を追い出された個体は、川面を下流へ移動します。

次に川面を泳いで横断する個体を撮っていたら、対岸にもカワウ4羽の群れが休んでいました。
私が定点観察に通っているこの流域で、左岸にもカワウのコロニー(止まり木、休息場)が形成されていたのは初めてです。(私が今まで不覚にも気づかなかっただけ?)
川岸に並べられたコンクリートブロックに上陸したり倒木に止まって休んでいました。
そのうちの1羽が翼を大きく広げて羽根を乾かし始めました。

この日カワウを計12羽もカウントできたのは、過去最高の個体数でした。
カワウの他にはいつものようにカルガモの群れが集まっていました。
(別種の黒い鴨も少数混じっていましたが、遠くて見分けられません。)


カワウ8@右岸
カワウ5@左岸

オナガガモ(冬の野鳥)のラブコメ:♂aを追い払う♀に求愛する♂b



2020年1月上旬・午後15:15頃・くもり


▼前回の記事
川岸で配偶者♀を一途にガードするオナガガモ♂(冬の野鳥)

川岸にオナガガモ♀♂(Anas acuta)の群れが休んでいます。
水際に居た1羽の♀aが突然、目の前の♂aの尾羽根を嘴でつついて追い払ったので驚きました。
「邪魔だよ、どいてどいて」
♀から♂への攻撃はこれまで記憶にありません。
♂を追い払った♀は、コンクリート護岸に並んでいる群れの間に割り込みました。
背後から♀aに攻撃された♂aは反撃しませんでした。
不意をつかれて慌てて逃げた♂aは、少し離れたところで尾羽根を左右に震わせました。

そんな勝気な♀aを見て魅力的に感じる♂bが近くに居ました。

恋人と喧嘩別れしたときが求愛のチャンスだ!と思ったのかもしれません。
♀aとの間に別の♀が2羽並んでいたのに、それには目もくれず、♂bは回り込むとコンクリート護岸に佇む♀aの右横に割り込みました。
♂bは首をしゃくり上げるように伸ばして左横の♀aに見せつけました。(求愛誇示)
その後はしつこい求愛をしませんでした。
♀aも♂bに気があるのか分かりませんが、少なくとも攻撃はしませんでした。
すでにつがい形成したカップルなのかもしれません。

それまで岸でぼーっと立っていた♂aが歩き出すと、目の前の♀dに接近して嘴で軽く牽制しました。
なんとなく、この♂aは求愛下手な若い個体なのかな?と勝手に想像してしまいます。

オナガガモの大群が居ると、どの個体を観察しようかと目移りしてしまいます。
実は群れの中でもさりげない恋愛ドラマが絶えず繰り広げられているようで、注意して観察するとなかなか面白いです。
脚輪を付けて個体標識すれば、きっと更に面白くなりそうです。



つづく→川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その1:♂同士の喧嘩

2020/06/17

食草アキノノゲシの株に群がるホソバセダカモクメ(蛾)幼虫



2019年10月上旬・午前11:15



平地の農道と林縁に挟まれて育ったアキノノゲシの群落でホソバセダカモクメCucullia fraterna)の幼虫が群がっていました。

アキノノゲシは本種幼虫の好きな食草の一つですが、花後の一株にこれほど多く(6匹?)の個体が群がっているのを見つけたのは初めてです。
細かく分岐した茎のあちこちに発育状態(齢数)が様々の幼虫が分散していました。
おそらくタイワンヒゲナガアブラムシUroleucon formosanum)と思われる赤いアブラムシのコロニーもアキノノゲシの茎や果柄にびっしり群がっています。

どうしてこれをわざわざ動画で記録したかと言うと、以前ホソバセダカモクメ幼虫が単独でアキノノゲシの茎にしがみついていた時に、奇妙な足踏み運動をしていたからです。


▼関連記事
ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫:謎の足踏み運動

大きく育った幼虫の複数個体が食草の同じ株で競合しないように、振動による信号を発しているのではないかと大胆な仮説を立てました。
しかし今回見つけた幼虫は、食草の同じ株に複数個体が集まっているのに1匹も足踏み運動をしていませんでした。
したがって、謎の行動は「足踏み運動」ではなくて、風で激しく揺れる茎から滑り落ちないように胸脚で茎を握り直していたのだろうと思い直しました。


この株に注目して定点観察に通うつもりだったのですが、数日後には農道沿いの雑草がきれいに草刈りされてしまいました。
今季は他にもホソバセダカモクメ若齢幼虫の飼育を試みたら、採取してきた食草アキノノゲシが農薬(殺虫剤)に汚染されていたらしく、幼虫が全滅してしまったという事件もありました。
ホソバセダカモクメ幼虫の暮らしについてじっくり本格的に調べるのなら、やはり自分で食草を栽培するところから始めないといけないようです。(レタスの無農薬栽培など)


不思議なことに、同じ時期(秋)にノゲシ属のオニノゲシをいくら見て回っても、ホソバセダカモクメの幼虫は見つかりません。
(アキノノゲシはレタスと同じアキノノゲシ属。)
オニノゲシの実でも食前にトレンチ行動をするかどうか興味があるので、飼育下で試してみたいと思います。

▼関連記事
ホソバセダカモクメ(蛾)幼虫のトレンチ行動を接写
オニノゲシの葉を食すホソバセダカモクメ(蛾)幼虫


写真には5匹のホソバセダカモクメ幼虫が写っています。

繁殖期にメタセコイア樹冠でさえずる♪アオゲラ♂(冬の野鳥)



2020年1月中旬・午後12:05頃・くもり

昼過ぎに何者かが甲高い声でキョン、キョン、キョン…♪と鳴き続けていました。
かなり遠くまで響き渡る大きな鳴き声です。
誰か子供(ヒト)が笛を吹いて悪戯しているのかと思ったぐらいです。
気になって探し回ると、平地で民家の庭に聳え立つメタセコイア(=アケボノスギ)の梢で啄木鳥が鳴いていました。
なんとなく猛禽類かと予想したのですが、聞き覚えのない謎の鳴き声の主は意外にもアオゲラ♂(Picus awokera awokera)でした。
しかし私は啄木鳥のこんな鳴き方は聞いたことがありません。
縄張り宣言は、嘴で幹を激しく叩くドラミングのはずです。


▼関連記事(7年前の撮影では♀がキョッキョッ♪と鳴いていました。)
アオゲラ♀の木登りと鳴き声♪【冬の野鳥】

手元にある鳥の図鑑で何冊か調べ回ると、繁殖期に特有の囀りさえずりだとわかりました。


(アオゲラの)鳴き声は、キョッキョッ。飛翔時にケレケレケレと鳴くこともある。繁殖期には口笛のようなピョーピョーピョーという声も発する。wikipediaより引用)

高木清和『フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』でアオゲラのさえずりを調べると、

さえずり:ピュー、ピュウー、ピュウー、コロロロロロローン(さえずりと枯木をたたく音がまじる)/ピヨー、ピヨー(通る声)(p46より引用)


高野伸二『山渓カラー名鑑:日本の野鳥』でアオゲラを調べると、

声:主として繁殖期に「ピョー、ピョー、ピョー」と、笛のような大きな声で鳴く。(中略)飛び立つ時には「ケレレレ」と鳴くことが多い。(p368より引用)


鳴く合間に、黒っぽくて細長い固形の糞を排泄しました。(@0:25)

背景が曇り空の逆光のため、肝心のアオゲラの色姿がはっきり見えません。
私がそっと回り込んで順光から撮ろうとしたら、この辺りを縄張りとするヒヨドリHypsipetes amaurotis)が飛来してアオゲラを追い払ってしまいました。
図鑑の記述とは異なり、アオゲラ♂が飛び去るときにケレレレ♪と鳴くことはありませんでした。(@0:49)

アオゲラ♂と入れ替わるように飛来したヒヨドリが、少し下の小枝に止まりました。
メタセコイアは針葉樹なのに冬には落葉します。

※ 動画編集時に彩度を少し上げています。
また、音声を正規化して音量を強制的に上げました。




アオゲラ♂の囀りさえずりを声紋解析してみる


上の映像では定時(正午)に鳴り響く街のサイレン♪が耳障りで、声紋解析の邪魔でした。
9日後の1月下旬・午前9:04に同じ場所で再びアオゲラ♂が繰り返し鳴いていました。
おそらく前回と同一個体なのでしょう。
このときは物陰の死角になっていて鳴く姿を撮れなかったものの、窓ガラス越しに鳴き声だけでもハンディカムの動画で記録しました。
正規化した音声をブログ限定で公開しておきます。



オリジナルの動画ファイルから音声を抽出してから鳴いている部分だけを適当に切り取り、スペクトログラムを描いてみました。
今回混じっているノイズは、ハンディカム内部の動作音や私の鼻息などです。

犬の飼い主は皆さんご存知のように、街のサイレン♪や救急車、パトカーのサイレンが鳴る度に競い合うように(つられて)イヌはアォーン♪と遠吠えをします。
もしかするとアオゲラ♂もそうなのかと思ったのですが、静かな朝にも囀っていたので、サイレンの音とは関係ないことが分かりました。




2020/06/16

カワラハハコの花蜜を吸うムモントックリバチ?



2019年9月下旬・午後14:00頃・晴れ

河原に咲いたカワラハハコの群落でベニシジミLycaena phlaeas daimio)夏型の吸蜜シーンを撮っていたら、小さな狩蜂も近くの花に飛来しました。

フタスジスズバチと迷ったものの、ムモントックリバチEumenes rubronotatus rubronotatus)だと思うのですが、どうでしょうか。
2つの頭花で少しずつ吸蜜しただけで、すぐに飛び去ってしまいました。
短い出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

狩蜂を見失ってしまったのが残念です。


ムモントックリバチ?+ベニシジミ夏型@カワラハハコ訪花吸蜜
ベニシジミ夏型@カワラハハコ訪花吸蜜

樹上にノスリ(野鳥)の古巣を見に行く



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#23


▼前回の記事
営巣地の上空を鳴きながら飛ぶ2羽のノスリ(野鳥)

2019年8月中旬・午後

6月下旬以降、営巣地周辺でノスリButeo japonicus)の姿を全く見かけなくなりました。
巣内での動きもありません。
ノスリの繁殖期が完全に終わり雛が間違いなく巣立った頃を見計らって、ルビコン川を渡り、営巣木の現地調査に向かいました。
(それまで私はずっと、神経質な親鳥に遠慮して、川を挟んで対岸から観察するようにしていました。)

ガサガサと薮を掻き分けながら営巣地の河畔林を調べても、警戒声を発するノスリは居ませんでした。
やがて、川のすぐ裏に生えた柳(種名不詳)の大木の樹上に大きな鳥の巣を見つけました。
周囲の位置関係を考えると、これがノスリの雛が巣立った後の古巣のようです。
親鳥がよく止まって周囲を監視していたポプラの巨木も営巣木(柳)の近くに聳え立っていました。

対岸から望遠で観察しているときには、営巣木はニセアカシアなのかと思い込んでいました。
実際にはニセアカシアに囲まれた柳の大木でした。
柳は根元から二股に別れて、2本の幹が伸びています。
フジ(藤)の太い蔓が柳の幹に巻きついて伸びていました。
フジ以外にも営巣木に巻き付いて葉を茂らせ、ノスリの巣を対岸から覆い隠していた謎の蔓植物は、どうやらツルウメモドキだったようです。
蔓にツルウメモドキの未熟な青い実がなっていました。
柳に隣接して、ヤマグワ(桑)の灌木が柳の半分くらいの高さまで伸びて葉を茂らせていました。

巣が架けられた太い枝の又の部分に小さな樹洞が開いています。
古巣の巣材にはクモの巣が張られていて、空巣になってから日数が経っていることを物語っています。
親鳥は多数の枯れ枝や小枝を集めて巣を作ったようです。
猛禽類はカラスよりも太い枝を集めて巣材に使うのではないかと勝手に予想していたのですが、そんなことはなくて少し意外でした。

文献を読むと、猛禽類の親鳥は巣材とは別に、防虫効果のある針葉樹の枝葉を持ち込むらしいです。
しかしノスリの巣を下から見上げた限りでは、針葉樹の枝葉は全く見えませんでした。

また、ノスリの巣の下に雛の吐き出したペリットや食べ残し、糞などは見つけられませんでした。
雛の巣立ちから日数が経ち過ぎてしまい、スカベンジャー昆虫に食べ尽くされてしまったのでしょう。

営巣木に登って古巣をしっかり調べたかったのですが、まずはロープを使った安全な木登りを習得しなければいけません。
あるいは、ドローンを飛ばして空撮する方が手っ取り早いかもしれません。
しかしドローンを買ったりレンタルしたとしても、枝が複雑に生い茂った林内で狙い通りに飛ばせるのか、無事に回収できるのか、自信がありません。(かなり練習が必要でしょう)

営巣木の胸高直径を測るのを忘れてしまいました。

シリーズ完。




翌シーズンも観察するつもりで楽しみにしていたのですが、残念ながら親鳥は営巣してくれませんでした。
春先またはノスリの営巣初期に行われた河畔林の伐採作業が原因と思われます。
詳細は伏せますが、外来植物ニセアカシアの駆除(巻き枯らし)という大義名分があるようです。
私としても怒りのやり場が無く、複雑な心境です。
環境保全および生態学的に何が正解か、私も勉強不足でなかなか難しい問題です。




幸い営巣木のヤナギやポプラの大木は切られずに済んだので、そのまま残してくれるならまだ希望はあります。
ニセアカシアが優占していた河畔林がこれから長い年月をかけて柳やハンノキなどの在来種に置き換わるはずです。
もしも今後数年がかりで河畔林をきれいさっぱり皆伐して、河川敷を小綺麗な公園に改造するための土木工事(治水工事?)をするのなら、ノスリの繁殖は絶望的です。
生態系においてノスリは食物連鎖ピラミッドの最上位に位置しています。
それまで天敵として野ネズミの大発生を抑えていたノスリが居なくなれば、営巣地の裏にある広大な農地は大変困ったことになると予想されます。

(ただし、野ネズミの捕食者はノスリだけではありません。)



2020/06/15

コンクリート護岸を徘徊するジガバチ♀



2019年9月下旬・午後13:50・晴れ

河原のコンクリート護岸でジガバチの一種♀を見つけました。
歩行徘徊と短い低空飛行を繰り返しています。
正面を一瞬向いたときに顔が黒かったので♀と判明。

炎天下で熱々になったコンクリート護岸に獲物となるイモムシが居るはずがないので、探餌徘徊というよりも営巣地の探索中なのかな?
だとすれば借坑性のミカドジガバチ?
(しかし私は恥ずかしながら、どうしてもミカドジガバチを見分けられません…。サトジガバチやヤマジガバチとの違いが分からないのです。)




川面を泳ぐホシハジロ♂(冬の野鳥)



2020年1月上旬・午後13:35頃・くもり

ホシハジロ♂(Aythya ferina)が1羽で川面を上流へ遡っていました。
赤い目が印象的です。
近くに♀は見当たりませんでした。

実は川面でホシハジロがカワウとすれ違ったのですが、互いに知らん顔でした。
(岸の茂みに隠れがちでいまいちの映像だったので、編集でカット。)
体格は当然、カワウ>>ホシハジロ♂。


▼関連記事(1ヶ月前に池で撮影)
池で遊泳するホシハジロ♀♂(冬の野鳥)




2020/06/14

ミゾソバに訪花する謎のハナバチ【名前を教えて】



2019年8月下旬・午後14:20頃・くもり

平地の道端に咲いたミゾソバの群落で小型の見慣れないハナバチが忙しなく訪花していました。

あまりにも蜂が素早く花から花へと飛び回る上に、風が絶え間なく吹いてミゾソバが揺れるので、なかなかピントがしっかり合いません。
それでも1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、少しはましな映像になりました。

なんとなくハキリバチ科の一種ではないかと思ったのですが、腹部下面にスコパが見えませんでした。(雄蜂♂なのかな?)
後脚にも花粉籠のような構造は無さそうです。(花粉籠があったとしても空荷の状態でした。)
動画を見てこのハナバチの名前が分かる方がもしいらっしゃいましたら、コメントで教えてください。
大まかな科だけでも知りたいところです。




営巣地の上空を鳴きながら飛ぶ2羽のノスリ(野鳥)



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#22



▼前回の記事
樹上の巣で羽ばたき練習するノスリの雛(野鳥)

2019年6月下旬・午後12:40頃・くもり

梅雨のため定点観察の間隔が開いてしまいました。
8日ぶりに様子を見に来ると、2羽のノスリButeo japonicus)が営巣地の上空を旋回していました。
羽ばたきと滑翔を繰り返しています。
飛びながらたまにピーェ、ピーェ♪と甲高い声で鳴いています(@2:09)。

※ 鳴き声の音量を強制的に上げるために、動画編集時に音量を正規化しています。

逆光のため翼下面の模様がほとんど見えなかったのですが、1羽が偵察するように私の頭上を飛んでくれたときは奇跡的にしっかり撮れました。
風切羽に欠損は無いものの、尾羽根の真ん中の羽根が欠損した個体と尾羽根が無傷の個体が飛んでいます。
私は未だノスリの性別や年齢をしっかり見分けられません。
それでもなんとかノスリのフィールドガイドと見比べると、脛に模様が無く、喉線も無いことから♂成鳥は除外できると思います。
最近、初列風切羽を一部欠いた個体が営巣地上空を飛んでいたのですが、今回はなぜかその特徴をもつ個体が見当たりませんでした。


▼関連記事
初列風切羽を一部欠いたノスリの帆翔(野鳥)

換羽がわずか8日で進行して初列風切羽がきれいに回復するとは思えないので、以前とは別個体の2羽が飛んでいることになります。
したがって、親鳥が飛んでいるだけでなく、巣立った幼鳥も縄張り内で飛行練習しているのではないかと推測しました。(例えば今回の2羽は、親鳥♀と幼鳥1の組み合わせ)

ちょっと面白いと思ったのは、高速で飛来したツバメがノスリに近づきそうになったら慌てて角度を変えた(ように見えた)ことです。(@2:28)
ツバメが猛禽に対して果敢にモビングしたのなら面白いのですが、映像では2種の遠近感や高度差がよく分かりません。


夏にノスリが飛ぶ姿を見たのはこの日が最後になりました。
独学での観察を記録しても中途半端であやふやな点だらけですが、とにかく我慢して継続することが大切です。






↑【おまけの動画】
同じ日に撮った巣の様子です。(午後12:35および16:18頃)
巣の周囲に枝葉がますます茂って覆い隠され、巣内に動きは見られませんでした。
個人的な記録としてブログ限定で公開しておきます。

つづく→#23:樹上にノスリ(野鳥)の古巣を見つけた!






その後は定点観察に通っても、巣内に動きはありませんでした。
(個人的な記録として、ブログ限定で公開しておきます。)



↑ノスリ古巣@6月下旬




↑ノスリ古巣@7月中旬




↑ノスリ古巣@7月下旬



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