2024/12/21

雪山でスギの木の下にある塒を単独で訪れたニホンカモシカの幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月中旬 

シーン1:1/9・午後13:12・くもり・気温13℃(@0:00〜) 
里山の斜面に植林されたスギ林で、ニホンカモシカCapricornis crispus)のねぐらを自動センサーカメラで監視しています。 
画面の手前から右上奥に向かって斜面が下っています。 
記録的な暖冬ですけど、また少し雪が積もりました。 


シーン2:1/11・午後22:03・気温-4℃(@0:04〜) 
ある晩遅くに、左からカモシカの幼獣が単独で現れました。 
体高が低く、角が短いので、幼獣と分かります。 

カモシカ幼獣は、スギの根元に自生する極細の落葉灌木(樹種不明)の枝先の匂いを嗅いだだけで、眼下腺マーキングをしませんでした。 
そもそも私は、カモシカの幼獣が眼下腺を擦り付けて縄張りを匂い付けする行動を見たことがないかもしれません。 
幼獣が成長して眼下腺マーキングを始めた途端に、縄張り内の他個体から攻撃されたり排斥されてしまうのでしょうか? 

この個体も塒で寝ないで、そのまま奥へ立ち去りました。 
遠くで白い目が光ったので、カモシカ幼獣が振り返ったようです。 

実はここに来る約6分20秒前まで、約20~30m離れた地点にあるカモシカの溜め糞場sr2にニホンカモシカの母子が来ていました。 

時系列的に、そこから幼獣だけが塒まで登って来たのでしょう。 
一緒に居た母親♀は幼獣の近くにいるはずですが、監視カメラに写りませんでした。 


シーン3:1/16・午前6:34・気温-7℃(@0:58〜)日の出時刻は午前6:50。 
ここから先は、おまけの映像です。 
5日後の夜明け前に、雪がしんしんと里山(低山)に降り続く様子(軽い吹雪)をお届けします。 
新機種のトレイルカメラでも悪天候(風雪)による誤作動があるようです。 
斜めに倒れかけたスギ幼木の枝葉にたっぷり冠雪しています。 
新雪の雪面に野生動物の足跡は残されていません。 



ヤブツルアズキの葉に乗って日光浴するウラナミシジミ♂

 

2023年9月中旬・午後16:00頃・晴れ 

民家の裏庭に蔓延るヤブツルアズキの群落でウラナミシジミ♂(Lampides boeticus)が蔓の先の小葉に止まっていました。 
翅を半開きにしてまま日光浴しています。 
マメ科植物はウラナミシジミの食草ですから、産卵に来る♀を待ち伏せて交尾しようとしているのかもしれません。(縄張り占有行動?) 
しばらくすると、翅を閉じてしまいました。 
暑くなった(体温が上がり過ぎた)のかな?


つづく→ウラナミシジミ♂の探雌飛翔とヤブツルアズキの花から飛んで逃げる♀【ハイスピード動画】

2024/12/20

雪で埋もれたニホンアナグマの越冬用巣穴に立ち寄る真冬のホンドギツネ【トレイルカメラ】

 



2024年1月中旬・午前6:35・気温-1℃・日の出時刻は午前6:50 

ニホンアナグマMeles anakuma)が越冬している営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っていると、早朝にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が登場しました。 
暖冬ですが、ようやくまた新雪が積もりました。 
一面の銀世界だと、夜明け前でも充分に明るいです。 

新雪の積もった落葉樹林内をキツネが単独でラッセルしながら右奥からやって来ました。 
わざわざ寄り道して回り込むと、雪で埋もれたアナグマの巣口Rの匂いを嗅いでから左へ立ち去りました。 
もう一つの巣口Lには興味を示さなかったということは、そちらにはアナグマが住んでいないのでしょうか? 



雪国の落葉樹林で採餌するエナガの群れ(冬の野鳥)

 



2023年12月下旬・午後13:15頃・晴れ 

平地の落葉した二次林でエナガAegithalos caudatus)の群れと遭遇しました。 
私がじっとしていると、ジュリリ、ジュリリ♪と鳴き交わしながら私の周囲に近寄ってきました。 
エナガはヒトをあまり恐れず好奇心旺盛な印象があります。
どの個体を撮るべきか目移りしてしまいました。 

落葉灌木に登って枝先や枯れ蔓をあちこちつついて虫を食べているようです。 
ついに地上に下りてきた個体は、枯れた藪を覗いて餌を探し、雪面の落枝をついばみました。 
実は、少数のシジュウカラと混群を(一時的に?)形成して一緒に採餌行動していました。 

2024/12/19

霧のたちこめる深夜に雪山でニホンカモシカの溜め糞場を通り過ぎるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年1月中旬 


シーン1:1/9・午後14:01・くもり・気温11℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
雪が積もった里山で、スギの木の下にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2をトレイルカメラで見張っています。 
周囲はスギと雑木(ミズナラやアカマツ、ハリギリなど)の混交林です。 
画面の左下から右上に向かって山の緩斜面になっています。 
奥には巨大な倒木(落葉性広葉樹)が見えます。 
スギ樹上からの落雪により雪面は荒れていて、落葉落枝も散乱しています。 
カモシカが残した複数の糞塊は、雪で埋もれてしまって見えません。 


シーン2:1/18・午後23:55・気温1℃(@0:03〜) 
夜霧の立ち込める深夜に、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で現れました。 
右から緩斜面を降りて来て、雪に埋もれた倒木を跨いで乗り越え、カモシカの溜め糞場sr2の匂いを嗅いでから左に立ち去りました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


元々ここはタヌキの溜め糞場なのかもしれない、という可能性を思いつきました。 
しかしトレイルカメラによる監視を続けたり、夏に現場検証したりすると、それは否定できました。 


つづく→

アジサイの花で採餌して飛び回るクロマルハナバチ♀の群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月中旬・午前10:00頃・くもり 

道端の花壇に咲いたアジサイ(紫陽花)の群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは意外にも初見です。 

関連記事(7、11年前の撮影)▶  


アジサイの花序を歩き回るクロマルハナバチ♀の体表には白い花粉が付着しており、後脚の花粉籠に薄茶色の花粉団子を大量に付けて運んでいる個体もいます。 
振動集粉するかと期待したのですが、耳を澄ましてもその羽音は聞き取れませんでした。 
アジサイの花をよく見ると、雄しべの葯には花粉がほとんど枯渇していました。 
もう既にハナバチたちがほとんど集粉し尽くした後なのでしょう。 

紫陽花の花から蜂が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:10〜) 
集粉してから飛び立つと、腹面の体毛に付着した花粉を足で掻き落とし、空中で両脚を擦り合わせて花粉籠に移します。 

2匹のクロマルハナバチ♀がアジサイの花序でニアミスするシーンもたまたま撮れていました。
先客が飛んで逃げたものの、舞い戻ってきてライバルを追い払いました。 
同じコロニーから来た仲間ではないのかな?

複数個体を撮影。 
小さなミツバチ?も訪花していたようですが、撮り損ねました。

2024/12/18

雪山の溜め糞場に来て雪面の匂いを嗅ぎ灌木に眼下腺マーキングするニホンカモシカの母子【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月中旬 

シーン1:1/9・午後14:01・くもり・気温11℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
雪が積もった里山で、スギの木の下に見つけたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2をトレイルカメラで見張ることにしました。 
周囲はスギと雑木(ミズナラやアカマツ、ハリギリなど)の混交林です。 
画面の左下から右上に向かって山の緩斜面になっています。 
奥には巨大な倒木(落葉性広葉樹)が見えます。
スギ樹上からの落雪により雪面は荒れていて、落葉落枝も散乱しています。 
カモシカの残した複数の糞塊は、雪で埋もれてしまって見えません。 


シーン2:1/11・午後21:56・気温-4℃(@0:03〜) 
晩に左奥から登場したカモシカ成獣が、細い落葉灌木の幹に顔の眼下腺をゴシゴシと擦り付けてマーキング(匂い付け)しています。 
左から幼獣が登場して成獣に寄り添いました。(@0:13〜) 
したがって、この2頭は親子(母子)と分かりました。 

母親♀は早々に左へ立ち去りました。 
残った幼獣は、雪に埋もれた溜め糞場sr2の匂いを頻りに嗅ぎ回っています。 
幼獣が頭を下げると、短い角が見えました。 


シーン3:1/11・午後21:57(@1:03〜) 
結局、長居した幼獣も溜め糞場sr2では排泄しないで、立ち去ってしまいました。 
母親の後を付いていったのかと思いきや、幼獣は単独で少し離れた地点の塒に向かいました。(つづく) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
前季から見張っていた溜め糞場sr1にはカモシカが来なくなってしまったので、全く別の地点にある溜め糞場sr2にトレイルカメラを設置し直すことにしました。 
実は私が監視カメラを設置する前にスコップでスギ立木や倒木の下の雪を掘り返してカモシカの糞塊を確認したので、溜め糞場sr2を荒らしてしまったことになります。 
(雪を埋め戻したつもりですが、それでも不自然でした。) 
次にカモシカが来るまでに新雪が積もれば私の狼藉は隠蔽されたのかもしれませんが、暖冬で雪は降りませんでした。 
せっかく溜め糞場sr2に来てくれたニホンカモシカの母子は異変を感じて警戒し、ここでは排便しなかったのかもしれません。 




雪面に風散布されたオオウバユリの種子

2023年12月下旬・午後・晴れ 

平地の落葉した二次林を歩き回ると、雪に覆われた林床でオオウバユリが枯れていました。
その株の真下の雪面に種子が散乱していました。 
開裂した蒴果から翼の付いた種子が風散布された好例です。
地面よりも雪面に落ちたオオウバユリ種子の方がよく目立ちます。 
親株の根元から各種子への距離を測定してグラフに描けば、風散布の立派なデータになりそうです。

関連記事(3年前の撮影)▶ オオウバユリ種子の風散布を実演してみる


植物学の用語で理解が曖昧なまま使っているものを、この機会に復習してみました。 
百科事典や植物図鑑の解説で用語の定義を読むだけではなかなか頭に入らないので、AIのGeminiに質問してみました。 
たちどころに専門的な回答が自動生成されて、とても勉強になりました。
ただし、回答をダブルチェックする必要があります。
さらに疑問があれば、AIと質疑応答を重ねて自学自習を深めることが出来ます。
なかなかすごい性能です。
調べ物をする際に誰もインターネットを検索しなくなる(誰もググらなくなる)時代がすぐそこまで来ていることを実感します。
私はベンチャー起業のGoogleが興隆して検索の覇者へと登り詰める過程をつぶさに目撃してきました。
そのGoogleが危機感を覚えて、Geminiの開発・改良に死物狂いで全力を注いでいるのも納得です。



Q: オオウバユリの実が翼果ではなく蒴果とされているのはなぜか? 
翼果のように見えるのは収斂進化なのか? 


A: Gemini1.5の回答
オオウバユリの実が翼果ではなく蒴果と分類される理由、そして翼果のように見える理由について、詳しく解説していきます。 
オオウバユリの実が蒴果である理由 
蒴果とは、複数の種子を含む果実が成熟すると裂開し、種子を散布するタイプの果実です。オオウバユリの実は、この蒴果に分類されます。 
  • 構造: オオウバユリの実は、複数の室に分かれており、各室に多数の種子が詰まっています。成熟すると、これらの室が裂開し、種子が外に飛び出す構造をしています。 
  • 種子の特徴: オオウバユリの種子は、比較的大きく、扁平な形をしています。種子の周囲には、薄い翼状の構造が見られます。この翼状の構造は、風によって種子を遠くに運ぶための適応と考えられています。 
翼果との違い 
翼果とは、果皮の一部が薄く広がって翼状になり、風によって種子を遠くに運ぶための適応が見られる果実です。カエデの種などが代表的な例です。 
オオウバユリの種子も翼状の構造を持っていますが、果実全体が裂開するという点が、翼果とは大きく異なります。翼果は、果実全体が一つのもので、種子が翼と一緒に風に乗って飛んでいきます。 
翼果のように見える理由:収斂進化の可能性 
オオウバユリの種子が翼状の構造を持つにも関わらず、蒴果に分類されるのは、収斂進化が考えられるためです。 
  • 収斂進化: 異なる系統の生物が、同じような環境に適応する過程で、似たような形質を獲得することを収斂進化といいます。 
  • 風散布への適応: オオウバユリとカエデのように、異なる種類の植物が、どちらも種子を風によって遠くに運ぶという同じ環境への適応として、翼状の構造を獲得したと考えられます。 つまり、オオウバユリの種子の翼状の構造は、カエデの翼果と似た機能を果たしていますが、その構造が進化してきた過程は異なる、というわけです。 
まとめ 
オオウバユリの実は、その構造から蒴果に分類されます。種子の翼状の構造は、風散布のための適応であり、カエデの翼果との類似性は収斂進化の結果と考えられます。 
ポイント: 
  • 蒴果:複数の種子を含む果実が裂開する 
  • 翼果:果実全体が翼状になり、種子が翼と一緒に飛ぶ 
  • 収斂進化:異なる系統の生物が、同じような環境に適応して似た形質を獲得する
オオウバユリの実は、植物の多様な進化の過程を垣間見せてくれる興味深い例と言えるでしょう。



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初冬に山麓の歩道を遊動するニホンザル♀♂の群れ

 

2023年12月中旬・午後15:10頃・くもり 

山麓で遭遇した野生ニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れが、コンクリートで舗装された歩道を次々に遊動して行きます。 
歩き去る後ろ姿にズームインすると、発情した成獣♂は顔も臀部や睾丸も紅潮していてよく目立ちます。 
歩いたり走ったりすると、赤くて大きな睾丸が揺れてよく目立ち、いかにも♀にとってセックスアピールになっていそうです。 
秋から冬にかけて、ニホンザルの繁殖期(発情期)です。
一方、若い♂の睾丸は白いままでした。 
若い♀の尻は赤くありません。(未発情) 

老若男女で構成されたニホンザルの群れは、この日のねぐらとなるスギ林を目指して、三々五々遊動しているようです。 
私も静かにゆっくり猿の群れを追いかけながら、動画を撮りました。 
撮影する私の横を迂回して通り過ぎたり、振り返りながら早足で逃げる個体は、私を警戒しているようです。

2024/12/17

冬眠の合間に巣穴の外で毛繕いする雪国のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月中旬・午後17:55頃・気温-3℃・日の入り時刻は午後16:42 

雪が積もった平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っていると、ある晩に1頭のアナグマが短い冬眠から目覚めて巣の外に出てきていました。 
上を向いて風の匂いを嗅いでから毛繕いを始めました。 
巣口R周辺の匂いをしきりに嗅ぎ回っているものの、一歩も動きませんでした。 
巣内Rに戻るまで見届けられず、残念でした。 

暖冬で積雪量が少なく、地面があちこちで露出しています。
アナグマの越冬行動に暖冬がどのような影響を及ぼすのか、何年も継続して観察する必要があります。

ウラギンスジヒョウモン♂同士の誤認求愛?

 




2023年7月中旬・午前11:55頃・晴れ(強風) 

民家の裏庭に咲いたオレガノ(別名ハナハッカ)で花蜜を吸っているウラギンスジヒョウモン♂a(Argyronome laodice japonica)を動画に撮っていると、同種の別個体♂bが飛来し、訪花中の個体♂aも直ちに飛び去りました。 

何が起きたのか、1/10倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:07〜) 
酷い風揺れを我慢しながら撮影したのですが、スローモーションに加工すれば、それなりに見れる動画になります。 
まず、2頭とも翅表に黒い性斑(性標)がある♂でした。 
♂aは迎撃のために飛び立ったのでしょうか? 
 蜜源植物を巡る縄張り争いがあるのかな? 
しかし、手前で訪花していたキタテハ♀(Polygonia c-aureum)夏型に対してウラギンスジヒョウモン♂は全く興味を示しませんでした。 
したがって、同種の♂同士の誤認求愛だろうと思われます。 
ウラギンスジヒョウモン♀がオレガノの花に来たら求愛交尾しようと♂は待ち伏せしていたのでしょう。 

直後にオオフタオビドロバチAnterhynchium flavomarginatum)もオレガノの花壇から飛び去りました。

2024/12/16

ホンドタヌキが厳冬期の雪山で食べ歩きする謎の餌【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月中旬

シーン1:1/9・午後12:38・晴れ(@0:00〜) 
雪の積もった里山でスギ植林地に残されたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動撮影カメラで監視しています。 
林床の雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 
画面の手前から奥に向かって斜面を見上げるアングルです。 


シーン2:1/12・午前2:22(@0:06〜) 
♀♂ペアと思われるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が別々の方向からやって来ました。 
雪面は凍結しているようで、タヌキが歩き回っても足が潜りません。
渓谷がある右上から来た個体は、歩きながら何か餌を咀嚼していました。 
何度も餌を雪面に落とすのですが、その度に咥え直して食べ続けます。 
パートナーも空腹のはずなのに、分け前を要求しませんでした。 

1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:37〜) 
謎の餌は何か小さくて丸い物体です。
歯応えのある固い物のようですが、凍っているのかもしれません。 
野ネズミなどの獲物を捕食したようには見えません。 
空腹のあまり、まさかタヌキが拾った松ぼっくりを噛んでいるのでしょうか? 
近くに自生するカラマツの球果が思い浮かびましたが、全く美味そうではありません。 
(現場付近にアカマツは生えていません。) 


イネの二番穂

2023年10月上旬・午後・晴れ 

稲刈り後の田んぼ(刈田)で刈株から青々とイネの葉が再生し、しかも穂まで実っていることに気づきました。
私が子供の頃は二番穂というものを見た記憶がないので、ちょっと感動しました。 
山形県は北国ですから、水田は一毛作です。 
しかし最近は稲の品種改良が進んだせいか、温暖化の影響なのか、稲刈りが昔よりも早く終わり、山形県でも秋のうちに二番穂が出るようになったようです。
(それとも、昔から二番穂は生えていたのに、私に知識がなくて見過ごしていただけかな?) 

この二番穂を収穫して何かに活用できたら、SDGsの観点からも良いはずです。 
しかし山形県の二番穂は量が少な過ぎて、わざわざ手間隙かけて収穫して飼料やバイオマス燃料として利用するコストが回収できないのかもしれません。 

おそらく種子食性の野鳥や野生動物が田んぼの二番穂を食べに来ているはずです。 
例えば、渡来した白鳥の群れが刈田で採食しているのは、一番穂や二番穂の落ち穂拾いです。 

ところがしばらくすると、二番穂が出た刈田の区画は、冬が来る前に再び耕耘されてしまいました。 
翌年の春になったら田んぼに水を入れる前にどうせまた耕すのに、二度手間(トラクターの燃料費の無駄)ではないのかと、不思議でした。 
AIのGeminiに質問してみると、色々と教えてもらえて勉強になりました。 
二番穂にはイネの害虫などが潜んでいる可能性があるため、緑肥として土壌に漉き込んでしまうのだそうです。(土壌改良) 
イネ農家としては、二番穂が出ると土壌の養分が無駄に吸い取られてしまうから、二番穂を早く土にすき込んで根絶やしにしたいのかもしれません。 

稲孫、穭(ひつじ・ひつち・ひづち)は、稲刈りをした後の株に再生した稲。 いわば、稲の蘖(ひこばえ)である。 学術的には「再生イネ」という。 一般には二番穂とも呼ばれる。(中略) 稲の生殖細胞の減数分裂の際の気温が約18-20℃を下回ると不稔となることがある[3]。そのため温帯では成長しても穂が出ずに枯死してしまうか、不稔で中身が空のことが多い[1]。(wikipediaより引用)


イネ科の雑草でも草刈りされた後にたくましく再生しますから、別に珍しい現象ではないのですけど、 私にとって「再生イネ」を見るのは新鮮でした。

「二番穂」という用語をかろうじて知っていたぐらいで、他の呼び方は知りませんでした。



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稲の多年草化栽培

雪国の森で根回り穴を覗き込んで虫を探すシジュウカラ♀(冬の野鳥)探餌行動

 

2023年12月下旬・午後13:20頃・晴れ 

平地の落葉した二次林で小鳥の混群と遭遇しました。 
初めは樹上で採食していたのですが、私がじっとしていたら次第に警戒を解いてくれたのか、地上(雪面)でも採食するようになりました。 
1羽のシジュウカラ♀(Parus minor minor)に注目すると、灌木の根本の周りで雪が丸く溶けた穴(根回り穴)を次々と覗き込んでいました。 
根回り穴の内部は周囲よりも気温が少し高くて暖かく、寒風もあまり吹き込まないので、越冬する虫が集まっているのかもしれません。 
それを知っているシジュウカラが、獲物となる虫を探索しているのでしょう。 
短い登場シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
胸にある黒いネクタイのような斑紋が細いので、♀と判明。

実は、エナガの群れと少数のシジュウカラが混群を形成しているようでした。 
私はどうしても寄りの絵で各個体の行動を録画したくなるので、引きの絵(広角)で混群全体の動向を記録できないことが多いのです。


【追記】
「冬に雪が積もった森で木の根元の周りだけ雪が丸く溶けた穴」を指す用語として、これまで私は「ツリーホール」を使ってきました。
AIのGeminiに相談すると、ツリーホールは樹洞と誤解されやすいので、「根開き」や「根回り穴」と呼ぶのが一般的と教えてもらいました。

根回り穴の中に越冬昆虫やクモが多く潜んでいるのかどうか、実際に調べてみるのも面白そうです。


2024/12/15

雪山の塒で小便するニホンカモシカ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月中旬 

シーン1:1/9・午後13:12・くもり・気温13℃(@0:00〜) 
里山の斜面に植林されたスギ林で、ニホンカモシカCapricornis crispus)のねぐらをトレイルカメラで見張っています。 
画面の手前から右上奥に向かって斜面が下っています。
記録的な暖冬ですが、また少し雪が積もりました。 


シーン2:1/12・午前3:00頃・気温-4℃(@0:04〜) 
深夜に左から登場したカモシカ成獣の後ろ姿が写っていました。 
スギ立木の方を向いて立ち止まったので、いつものように眼下腺マーキングするのかと思いきや、股間から小便を排泄していました! 
放尿中の滴が光って見えます。 
地面が雪で覆われているためか、放尿音は聞き取れませんでした。 

小便をしただけで、同時に脱糞はしませんでした。 
カモシカがねぐらに排尿するとは意外でした。 
小便によるマーキング(匂い付け)も一種の縄張り宣言だと思うのですが、眼下腺マーキングとどのように使い分けをしているのですかね? 
今回の個体が、以前この塒で寝たニホンカモシカと同一個体とは限りません。
もし別個体なら、塒の主に対してかなり挑発的なマーキング行為ではないでしょうか。(〇〇参上! 〇〇見参!)
この塒から約20〜30m離れた地点に、カモシカの溜め糞場sr2があり、そこで小便跡も見つけています。

用を足したカモシカ♂は、塒の地面(雪面)の匂いを嗅ぐと、振り返ってカメラ目線になりました。 
今回もねぐらで寝てくれず、左にゆっくり立ち去りました。 


1.5倍に拡大した上で、排尿シーンをリプレイしてみましょう。(@1:07〜) 
後ろ姿で排尿するカモシカの股間をじっくり見ても、外性器が見えません。 
がに股で少しだけ腰を落として排尿したので、おそらく♂だろうと推測できます。 
角が細いので、まだ若い個体のようです。 
カモシカ♀および幼獣の排尿シーンを私はまだ見たことがありません。 

関連記事(1、2、10年前の撮影)▶  


落合啓二『カモシカの生活誌:十八歳の夏、僕は初めてアオシシに出会った』によると、
♂は後ろ足を開き気味にし腰を少し低くしておしっこをするが、♀はお尻が地面に着くくらいまで腰をおとす。これが典型的なおしっこスタイルである。(p46〜47より引用)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 排尿声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


ユキツバキの熟した蒴果から種子を取る(雪椿)

 



2023年9月下旬・午後12:40頃・くもり 

里山で細い山道に沿って自生するユキツバキの群落を定点観察しています。 
秋も深まり果実の表面が赤く色づき始めましたが、未熟な果実は硬いままです。 
茶色に完熟した蒴果を1個だけ見つけました。 
既に開裂しかけた蒴果の中には種子が2個含まれていて、今にも零れ落ちそうです。 
ヤブツバキの種子は、主に重力散布で分布を広げると考えられているそうです。 
2個の種子が互いに密着した状態で、果皮から一緒に外れました。 
動画を撮りながら片手で種子の癒着を剥がそうとしたら、手元が狂って大事な種子をうっかり1個落としてしまい、林床で見失いました。 
(種子散布に私も少し貢献したことになります。) 
手元に残った1個のユキツバキ種子の歪な形状をお見せします。 
そのまま種子を採集して資料用に持ち帰りました。 

ヤブツバキなどツバキ属の実に産卵・寄生するツバキシギゾウムシを長年探しているのですが、私は未だ見つけたことがありません。 
そもそもツバキシギゾウムシは寒冷な雪国には分布しないのでしょうか。 
山形県はツバキシギゾウムシの分布域の北限に近いのだそうです。 
ツバキシギゾウムシ♀が産卵した痕跡を調べたかったのですが、ユキツバキの群落を見渡しても、そもそも果実がほとんど見つかりません。 
春にはあれほど多数の花が咲いていたのに、ユキツバキの結実率はとても低いようです。 
ユキツバキの花は鳥媒花でもあり虫媒花でもあると考えられるので、雪国の春でも送粉者の数が少ないとは考えにくいです。

Newton special issue 植物の世界 第1号 ナチュラルヒストリーへの招待』という本でユキツバキの生活史を特集した章を読むと、
林内の群落では、ユキツバキの着実率(花が果実になる割合)はきわめて低く、成熟した果実はまれにしかみられない。しかし、林のへりや伐採跡地など日のよくあたる条件下では花が多く咲くため、果実も比較的多くつく。(中略)  種子が成熟するころには、種子の中身を食べる甲虫であるツバキシギゾウムシ(Curculio camelliae)や落下した果実の果皮を破って中の種子を食べる動物などがおり、被害を受ける。 (p40より引用)
ユキツバキの種子散布には重力散布だけでなく貯食型の動物散布も関与するのではないか?と個人的に推測しています。 
ユキツバキの分布は、重力散布だけでは説明できないからです。
重力散布や水散布だけでは、ユキツバキの分布は標高が下がる一方です。
ところが、ユキツバキの群落は山中の谷だけでなく尾根にも見られます。(人為的な植栽の結果かもしれません)
動物散布を証明するために、ユキツバキの種子を拾い集めて野外の地表にまとめて放置して齧歯類や野鳥が捕食したり貯食のために持ち去るかどうか、トレイルカメラで監視する計画を立てています。 
ところがユキツバキの種子を給餌実験に充分な数だけ集めるのがとても大変なことが分かりました。 
これほど結実率が低いユキツバキは、絶滅に向かっているのでしょうか? 
挿し木でも増やせるそうですが、遺伝子多様性の低いクローンになってしまいます。
野ネズミの巣穴を発掘調査したり野生動物の糞分析をした際に、ユキツバキの種子が含まれているかどうか、注意して見ていくのも面白そうです。

新潟雪椿研究会による『ユキツバキの果実・種子』と題したPDF資料がインターネット上に公開されていました。
こうした平均値などの統計処理をできるぐらい多数の種子をフィールドで集めるのは、かなり大変そうです。
ユキツバキの種子から椿油を採油したら、希少価値から高級品になりそうです。

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