2023/05/27

若いニホンザルはオニグルミの落果を拾って皮を剥いても硬い殻を割れない【種子散布】

 

2022年10月下旬・午後16:30頃・くもり 

山麓のスギ林の林縁で若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)がねぐら入りする直前まで採食しています。 
地面から黒くて丸い物体を次々に拾い上げました。 
どうやらオニグルミの果実が熟して落ち、辺りにいくつも転がっているようです。 
実際に、オニグルミの大木がスギ林に隣接する土手のあちこちに自生していました。 

ニホンザルはオニグルミの落果を拾うと、黒い果皮を手や口を使って器用に剥がしています。
ここまではヒトのクルミ拾いと似ています。 

関連記事(同年同時期の撮影:ヒトの採食行動)▶ オニグルミの落果を採集(クルミ拾い) 

オニグルミの果皮にはタンニンが多く含まれますから、渋くて不味いはずなのに、果皮を口にしても猿は平気な顔をしています。 
果皮を剥いて中から硬い堅果を取り出しても、非力な若猿には歯が立ちません。 
しばらく弄んでから食べられないと分かると、オニグルミの堅果をポイッと捨ててしまいます。 
その間も遊動していますから、オニグルミの落果を拾った地点から捨てた地点まで数メートル運びました。 
つまり、ニホンザルはオニグルミ種子の分散に貢献したことになります。 
オニグルミの母樹から遠ざかる方向に移動したのか、逆に近づいてしまったのか、は偶然に左右されます(ニホンザルの気分次第)。
もし猿がスギ林の中に持ち込んでからクルミ堅果を捨ててしまうと、日照量の少ないスギ林床でオニグルミの実生が育つのは絶望的です。

オニグルミの主な種子散布者は野ネズミやリスで、彼らが堅果を貯食する習性を利用しています。
野ネズミやリスに拾われて地中に隠されたクルミ堅果のほとんどは冬の間に食べられてしまいますが、ごく一部の食べ忘れられたクルミ堅果から芽が出て種子散布に成功します。 
つまり持ちつ持たれつの共生関係にあります。
一方、ニホンザルに対してオニグルミは何も報酬を与えていません。 
一時の好奇心が満たされたこと自体が報酬なのでしょう。

今回クルミを拾ったニホンザルは、好奇心旺盛な若い個体ばかりだったのがポイントかもしれません。 
年を取って経験を積むと、オニグルミの落果は拾う価値が無いと学習するはずです。 
それでも暇つぶしや遊びとしてクルミを拾い続けるかな? 
知能の高いニホンザルの好奇心を刺激する(拾いたくてたまらない)形状にクルミの果実が進化したら面白いですね。(猿の好奇心と遊び心を利用した種子散布) 

【追記】
私は知らなかったのですが、ニホンザルの成獣の一部はオニグルミの堅果を歯で噛んで割ることができるようになるそうです。
参考:野⽣ニホンザルのオニグルミ採⾷⾏動を観察
―採⾷技術とそのバリエーション―(無料PDFファイル

クルミ拾いに飽きると、腕白盛りの若いニホンザルたちは林縁で追いかけっこしたり、スギの枝葉に跳びついてブランコ遊びをしたり、スギの木に登ったり降りたり、遊びながらスギ林の奥へ遊動して行きます。 
猿の鳴き声が杉林からひっきりなしに響き渡ります。 
ニホンザルの群れは、このスギ植林地で一夜を過ごすようです。 

※ 映像があまりにも暗過ぎるパートは、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。








↑【おまけの動画】 
“Monkeys Use Stones to Crack Open Nuts” by National Geographic 

当地のニホンザルがもしもクルミの硬い殻を石で叩き割って中身を食べることを覚えたら(道具使用、石器使用)、今度はオニグルミの種子散布者から種子捕食者になります。 
日本のカラスが投げ落としによるクルミ割りをマスターしたのですから、ニホンザルがクルミ堅果を割れるようになっても不思議ではありません。
ヒトが石を使ってクルミの殻を叩き割るお手本を見せたら、すぐに学習するんじゃないかな?

カラマツの木の下で逃げる虫を捕食するシジュウカラ♀【野鳥:トレイルカメラ】

 



2022年10月下旬・午前10:40頃 

冒頭のシーンは明るい昼間に撮った現場の様子です。 
泥汚れの付いたカラマツの樹の下に山盛りのドングリ(ミズナラの堅果)を給餌してあります。 

その餌場を自動センサーカメラで監視していると、午前中にシジュウカラ♀(Parus minor minor)が来ていました。 
給餌場に残っていたドングリには興味を示さず、カラマツの幹の根元付近に止まっていました。 
前回は樹皮を剥がして持ち去ったのですが、今回は微小の虫を狩ろうとしている様子です。 
地面に落ちて林床を逃げ回る虫を追いかけて、見事シジュウカラ♀は捕食に成功しました。 
最後は獲物を咥えて飛び去りました。 
捕食シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

シギゾウムシの老熟幼虫がドングリの堅果から脱出していたのかもしれませんが、それならすぐ地中に潜って蛹化するはずです。 
シギゾウムシの幼虫は足が退化しているので、木に登るはずはありません。 
スローモーションで見直すと、幹に止まっていたシジュウカラ♀が給餌場付近の地面に居た虫を見つけて飛び降りたようにも見えます。
それなら獲物の正体がシギゾウムシ幼虫でもおかしくありません。

※ 画面全体がピンク色に点滅して見苦しいので、動画編集時に自動色調補正を施しています。

2023/05/26

秋の夜にスギ林道でトレイルカメラに写った人魂の正体は蜘蛛の粘球?【暗視映像】

 

2022年10月下旬・午後17:50頃・気温14℃ (日の入り時刻は午後16:56) 

晩のスギ林道を野ネズミ(ノネズミ)が横切り、監視カメラが起動しました。 
野ネズミよりも気になる怪奇現象?が赤外線の暗視映像に撮れていました。 
画面の左端で、人魂のように光って動いている塊は何でしょうか? 

なんとなく、クモの糸の粘球ではないかと思います。 
後半は複数の粘球が付いた1本の糸が風に吹かれているように見えます。 
小雨が降り始めて、水滴がクモの糸に付着したのかもしれません。 
それにしても、これほど大きな粘球を作る造網性のクモがいるのでしょうか? 
まさかナゲナワグモ…? 
造網を始めたクモが枠糸を吹き流しているのだとして、吹き流しの糸の先端部には重りとして粘球をつけるのかな? 


前回撮れたのも秋(10月中旬)だったのは偶然でしょうか? 
季節の風物詩のように毎年写る現象なら、もう少し真面目に調べる価値があるかもしれません。 (追記参照)

今回の場合は明らかに、恒温動物の野ネズミが動いたことが原因でカメラのセンサーが熱源を動体検知して起動しました。
その前後にも謎の巨大粘球がカメラの前をぶらぶら動いていたはずなのに、それは録画されていないということは、巨大粘球自体は熱を帯びていないことになります。
もし人魂が冷光ではなく炎のように発火する現象だとすれば、熱を発しているはずなので、単独でもトレイルカメラのセンサーが反応して録画されているはずです。

海外の洞窟内で光るグローワームを連想したのですが、もし日本の里山に居たら大発見かも?と妄想・ロマンが捗ります。
(ニュージーランドとオーストラリアに生息する)ヒカリキノコバエ属の幼虫は捕食活動に発光を用いており、粘着性の高い糸へユスリカ等の飛行昆虫を誘き寄せている。(wikipediaより引用)



※【追記】

実は同じ地点で夏にも同様の現象が撮れていました。

したがって、秋だけの怪奇現象ではありません。

関連記事(2ヶ月前の撮影)▶ 夏の夜にスギ林道でトレイルカメラに写った人魂の正体は蜘蛛の粘球?【暗視映像】 



↑【おまけの動画】
"Glow Worms Trap Insects With Bioluminescent 'Fishing Lines'🪱 Into The Wild New Zealand " by Smithsonian Channel

クルマバナの花蜜を吸うウラギンヒョウモン

 

2022年10月下旬・午前11:25頃・晴れ 

休耕田に咲いたクルマバナの群落でウラギンヒョウモンFabriciana adippe)が訪花していました。 
半開きの翅を開閉しながら吸蜜していたのに、後半は翅を閉じてしまいました。

2023/05/25

ローアングルのトレイルカメラに写るニホンカモシカは大迫力!【暗視映像】

 

2022年10月下旬

山林でカラマツの下のドングリ給餌場をトレイルカメラで見張っていると、ニホンカモシカCapricornis crispus)が登場しました。 
この地点で撮れたのは初めてです。 


シーン1:10/21・午後16:02・(日の入り時刻は午後16:57) 
夕方にやって来たカモシカがいきなり正面から至近距離で写りました。 
カメラがローアングル過ぎて、残念ながらカモシカの顔が写っていません。 
カメラ自体に興味があるというよりも、カメラを固定したシナノキの幹にゴシゴシと顔を擦りつけて眼下腺マーキングしたようです。(角研ぎの可能性は?) 

獣道を右に立ち去る際にカモシカの鼻面と横顔がドアップでちらっと写りました。 
数匹の吸血性ブヨ?がカモシカにつきまとうように飛び回っています。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
音声を正規化して音量を強制的に上げました。 


シーン2:10/27・午前5:25・(@0:29〜) 
6日後の未明にカモシカが再び登場。 (ちなみに、日の出時刻は午前5:56。) 
同一個体かどうか不明です。
おそらく水溜りのある林道から法面を登ってきたのでしょう。 
カラマツの下で立ち止まり、泥汚れが付いて樹脂が滴り落ちている幹の匂いを嗅いでいました。 
前脚の副蹄がよく見えます。 
頭を下げて地面の匂いを嗅ぎ、右に向き直ったものの、ドングリを山盛りに置いた餌場には全く興味を示しませんでした。 
カモシカは木の実(堅果)を食べません。(食べられません) 

私が折ってしまった幼木の枝先に興味を示し、濡れた鼻面を近づけて頻りに匂いを嗅いでいます。 
私の手の残り香が気になるのかな? 
トレイルカメラを正面から凝視しても、全く警戒しません。 

録画が一度切れてから14秒後に再起動しました。 
後脚しか写ってませんが、雑木林の斜面をトラバースするように獣道を右へ立ち去りました。 




タヌキの溜め糞に群がるハクサンベッコウバエ♀♂の諸活動【10倍速映像】

 

2022年10月下旬・午後14:55頃・くもり 

山林の斜面をトラバースする小径にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場dの横に三脚を立てて微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 
10分間長撮りしてみても、つい先程獣糞に潜り込んだヨツボシモンシデムシは二度と表に現れませんでした。 
糞塊がモコモコと上下に動かなかったということは、中に糞虫は潜んでいないようです。 

下痢便状のタヌキの糞にはハクサンベッコウバエNeuroctena analis)が群がっていました。 
獣糞上で待ち伏せしていた♂が飛来した♀に飛びつき、カップルが成立しました。 
交尾は早い者勝ちのようです。 
体格は♀<♂で♂同士の熾烈な♀獲得闘争があるはずなのに、交尾が始まると横恋慕したり強奪したりすることはありませんでした。 

左上にある枯れ葉の上でもハクサンベッコウバエ♀♂が交尾しています。 
他には獣糞を吸汁したり身繕いしたりしています。 

途中から(@0:30〜)画面の右下に居座っているハクサンベッコウバエ(♂?)に注目すると、溜め糞上を徘徊する微小なクロアリ(種名不詳)を追い回しました。 
さすがに誤認求愛ではないはずですが、占有行動なのかな?

現場はスギ植林地と雑木林の境界で、かなり薄暗い林床でした。 
動画編集時に自動色調補正したら、暗い映像が劇的に改善しました。 
副作用として、ハクサンベッコウの体色が少しどぎつく強調されてしまったかもしれません。 

次に機会があれば、ハクサンベッコウの配偶行動を微速度撮影ではなくリアルタイムで動画撮影するつもりです。

2023/05/24

秋の河畔林で夜な夜な餌を探し歩く野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月下旬〜11月上旬 

秋の河畔林でタヌキの溜め糞場rvを自動センサーカメラで再び監視するようになると、夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が林床を探餌徘徊する様子が頻繁に写ります。 


シーン0:10/20・午後15:22・(@0:00〜) 
明るい昼間に撮った現場の様子です。 
林床には落ち葉が散乱していますが、画面の左下にホンドタヌキの溜め糞が黒々と残っています。 
方角は画面の左が北で、東に川が南北に流れています。 


シーン1:10/25・午後21:11・(@0:05〜) 
画面の下から野ネズミが登場しました。 
林床をウロチョロと徘徊するものの、溜め糞場には近寄りません。


シーン2:10/26・午前4:03・(@0:26〜) 
ニセアカシアの根元から手前に野ネズミが出てきました。 
溜め糞場rvに到達する手前で立ち止まり、何か(種子?)を採食したようです。 


シーン3:10/31・午前4:26・(@0:53〜) 
タヌキの溜め糞場rvの全体が画角に収まるように、カメラの設置アングルを改善しました。 
画面の上と下に少し離れて2カ所に溜め糞があります。 
2つの溜め糞を区別する時には、溜め糞E、Wと東西の方角で示すことにします。 

左のニセアカシアの根元から野ネズミが登場。 
林床に転がっている落枝に飛び乗り、それを伝って川の方へ立ち去りました。 
…と思いきや、すぐに引き返して来ました。 
画面の下に消えてからすぐに右下から別の落枝を伝い歩いて再登場。 
溜め糞場には訪れず、右へ消えました。 


シーン4:10/31・午後20:55・(@1:20〜) 
左のニセアカシア根際から左にチョロチョロ移動。 
ニセアカシアの背後を左から回り込んで左上より再登場。 
次は落枝を伝って下に高速で移動します。 
溜め糞Wの近くを徘徊するものの、溜め糞自体には興味がなさそうです。 
(むしろ、溜め糞に触れるとビクッと忌避するような素振りに見えました。) 


シーン5:10/31・午後21:31・(@2:09〜) 
野ネズミは2つの溜め糞E、Wの間を突っ切って林床を南へ移動。 

てっきり野ネズミは、タヌキの溜め糞に含まれる未消化の種子を夜な夜な食べにくるのかと思っていました。 
しかし意外にも、そのような採食行動(種子食)はほとんど見られません。 
野ネズミは植物の種子に限らず、昆虫や土壌生物も食べるのだそうです。 
溜め糞を食べて育ったハエの幼虫(ウジ虫)は、蛹化のために分散して落ち葉の下や地中に潜ったはずです。 
野ネズミはたとえ溜め糞自体に興味が無くても、その周囲で繰り返し探餌徘徊するということは、例えばハエの蛹などを探して捕食しているのかもしれません。 


シーン6:10/31・午後21:36・(@2:59〜) 
野ネズミが画面の下から登場。 
林床の右に転がっている短い落枝を伝ってから南へ移動。


シーン7:11/1・午前3:29・(@3:11〜) 
左の落枝を伝って下から登場。 
途中でニセアカシアの根元に寄り道してから、上に(東へ)駆け抜けました。 


シーン8:11/2・午後19:05・(@3:27〜) 
左に見えるニセアカシアの根元に登場下のネズミが左上に消えました。 
溜め糞は落ち葉に覆われつつあります。 

上から見下ろすように撮った映像では林床に落枝が転がっているように見えます。 
しかし現場検証すると、実際には落枝の両端以外は地面から橋のように浮いていました。 
野ネズミは高速道路として落枝を利用しています。


シーン9:11/3・午前2:23・(@3:45〜) 
ニセアカシアの根際に登場。 
溜め糞Wにピョンと近づいたものの、すぐに離れました。
チョロチョロと画面の上(東)に移動して消えました。 


シーン10:11/3・午前3:28・(@4:15〜) 
左の落枝を伝い歩いて下から上に移動。 
ニセアカシア根際の隙間をあちこち探索したり、落ち葉の下に鼻面を突っ込んだりして、餌が無いか嗅ぎ回っています。 
立ち止まって毛繕いしてから東に消えました。 


シーン11:11/4・午前1:02・(@5:13〜) 
左上のニセアカシア根際に登場した野ネズミが左下に移動。 


シーン12:11/4・午後20:11・(@5:28〜) 
野ネズミが下から登場すると、右の落枝の辺りを少し徘徊しただけで、すぐに下へ消えました。 
しばらくすると、右から戻って来ました。 
右の落枝を伝って下へ駆け抜けました。 


シーン13:11/4・午後21:34・(@5:51〜) 
右の落枝の辺りをウロチョロしています。 
次は右端のエリアを探索。 


シーン14:11/5・午前2:41・(@6:40〜) 
右の落枝を伝って下から登場した野ネズミが右へ移動。 


シーン15:11/5・午前2:43・(@6:51〜)
前回と同じルートを辿りました。 


シーン16:11/6・午前4:38・(@7:06〜) 
左のニセアカシア根元に登場。 
左の落枝に乗ると、伝い歩いて東へ西へ往復しています。 
ニセアカシアの根際でしばし静止してから、左上に消えました。 


シーン17:11/6・午後18:14・(@7:53〜) 
珍しく右(南)から登場すると、右の落枝を伝って下へ(西へ)移動。 


シーン18:11/7・午前4:32・(@8:13〜) 
左上にちらっと登場しただけで、すぐに戻りました。 


シーン19:11/9・午前3:01・(@8:20〜) 
下(西)から登場した野ネズミが、左の落枝を伝って東へ高速移動。 


シーン20:11/9・午前4:33・(@8:33〜) 
西から登場すると、左の落枝を伝い歩いて東へ移動。 
前回と全く同じルートでした。 
途中で落枝から外れて横のニセアカシア根際に立ち寄るのも同じです。 


※ 後半の暗い映像は動画編集時に自動色調補正を施しています。 


携帯電話の電波塔から遠くの電柱へ飛ぶノスリ(野鳥)

 

2022年10月下旬・午前11:15頃・くもり 

刈田の農道を歩く私の上空を追い越した猛禽が携帯電話の電波塔に止まりました。 
電波塔の天辺ではなく、少し下のケーブルの束に止まっていました。 
しばらくすると、電柱を登るための足場ボルトにひょいと飛び移りました。 
周囲に広がる田んぼの稲刈りは完全に完了しており、猛禽は刈田に潜む獲物を眼光鋭く探しています。 
しつこくカメラを向ける私を嫌ったのか、やがて猛禽は足場ボルトを蹴ると力強く飛び出しました。 
羽ばたきと滑空を交互に繰り返して私の頭上近くを飛び越えると、遠くの車道沿いに立つ電柱の天辺にフワリと着陸しました。 

飛び去る様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@1:30〜)、翼の下面の特徴的な斑紋からノスリButeo japonicus)と判明。 
この斑紋が見易いように、スローの飛翔シーンでは動画編集時に逆光補正を施しています。

2023/05/23

塒入りする前に排便するニホンザル♀♂

 

2022年10月下旬・午後16:30頃・くもり 

夕方の山麓で野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れと遭遇しました。 
画面左の山側から右の谷側に向かって群れ全体は少しずつ遊動しています。 
ニホンザル♀♂の排便シーンが撮れました。 
映像の画質が粗いのは、かなり薄暗いからです。 

ニホンザルは遊動中に便意を催したら、所構わず排便します。
決まった場所に溜め糞をしたり、糞便で縄張りを匂い付けしたりすることはありません。

シーン1: 
里山から下りて来た若い♀がコンクリートの舗装路を走り去ります。 
途中で座り込むと、地面に尻を付けたまま脱糞しました。 
排便後に土手を駆け下り、スギの植林地に向かいました。 


シーン2: (@0:30〜) 
発情した成獣♂が舗装路の端で立ち止まり、スギ林を見下ろしながら排便しました。 
ズームインすると薄暗いせいでカメラのAFピントが合わず残念でした。 
脱糞後は走って土手を下り、スギ林に入りました。 
すると猿の群れが興奮して激しく鳴き騒ぐ声♪がスギ林から辺りに響き渡りました。 

※ 後半は動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


その後も山から降りてきたニホンザルが続々と杉林に入っていきます。(映像公開予定)
鬱蒼としたスギ林のどこに隠れているのか全く見えませんが、ニホンザルの群れはここで一夜を過ごすようです(集団ねぐら)。 
塒入りする前に排便を済ませておく習性があるのでしょうか?

動画撮影直後に、ニホンザルが排便したばかりのほやほやの糞を写真に撮りました。
もしもフィールドでこの状態の糞を見つけた場合、我々素人にはニホンザルの糞と見抜くのは難しいですね。

山道の笹薮で群飛するオオスズメバチ♂(探雌飛翔?)

 

2022年10月下旬・午前11:20頃・晴れ 

私が里山の山道を登っていると、横の笹薮でオオスズメバチVespa mandarinia japonica)がブンブン飛び回っていました。 
林道上の砂利に着陸した個体にズームインすると、触角の長い雄蜂♂でした。 
激しく腹式呼吸をしながら日光浴しています。 
右に向きを変えてから飛び立ちました。 
離陸の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:38〜0:50) 
秋晴れで日差しが強いので、飛び去る影も美しく写っていました。 

多数のオオスズメバチが忙しなく飛び回るので、どこに注目してズームインすべきか目移りしてしまいます。 
どうやら林道脇にぎっしり生い茂った笹薮の下にオオスズメバチの地中巣がありそうな気がします。 
何者か(ツキノワグマやハチクマなど)に巣を襲われた後で、コロニー全体が興奮しているのでしょうか? 
だとしたら危険なので、一刻も早くこの場を離れるべきです。 
ちなみに、この山道は最近きれいに整備され、道の両脇から伸びていた邪魔な灌木が伐採されていました。

群飛の様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@1:20〜)、営巣地に出入りする外役ワーカー♀の動きには見えませんでした。 
どうやら雄蜂♂が笹藪の方を向いて、交尾相手の新女王が出てくるのを待機しているようです。 
笹藪の横の林道に着陸しかけた♂が上空を飛ぶ別個体の動きに反応して急発進し、慌てて追尾していました。 
スズメバチの交尾は早い者勝ちですから、焦った♂同士の誤認求愛と追いかけっこによって群飛が発生しているのはないかと思います。 
ただし、飛び回っている個体が全て♂かどうか映像では見極められませんでした。 

オオスズメバチ♂の群飛(探雌飛翔)をハイスピード動画でも記録したかったのですが、1匹がこちらに向かって飛んできたので、恐れをなして慌ててその場を離脱しました。 
本当に雄蜂♂だけなら刺される心配は無用ですが、オオスズメバチ♀には痛い目にあっているので用心するに越したことはありません。
もう少し粘ったら、オオスズメバチの交尾が観察できたかもしれません。 
営巣地と思しき笹藪からもう少し離れて安全な距離から撮影したくても、林道の幅が狭いので無理でした。 

※ 蜂の重低音の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


オオスズメバチの配偶行動の研究で学位を取った小野正人『スズメバチの科学』によると、
地中に営巣し地表に開口した巣門周辺で認められる本種(オオスズメバチ:しぐま註)の配偶行動は(1)巣門から外へ発散されている揮発性の集合フェロモンによる野外雄蜂♂の多数誘引と、(2)その巣から離巣しカースト特異的な性フェロモンを分泌している新女王蜂と被誘引雄蜂♂との交尾という2段階で成り立っている (p111より引用) 

今回私が観察したのは、まさに(1) の段階ではないかと思います。

私の鼻では現場でフェロモンの匂いを全く嗅ぎ取れませんでした(無臭)。

・特に 注目されるのは、集合フェロモンが働き蜂からも分泌されている点である。(同書p111より引用)

・集合フェロモンにより巣の周りに雄蜂♂を集めて堂々と交尾を行う戦略は同所性の他5種には認められない。

・実際に雄蜂♂の交尾行動を解発する機能をもつ新女王蜂に特異的な性フェロモンに関しては同属内で種間交差活性があることも明らかにされている。すなわち、雄蜂♂と新女王蜂の異種間の掛け合わせ実験において、すべての組合せで雄蜂♂は異種の新女王蜂にさえも交尾行動を起こす(同書p112より引用)


対スズメバチ専用の高価な防護服を持っていない私が笹薮にズカズカと踏み込んで調べるのは自殺行為です。 
コロニーが解散する初冬になったら(根雪が積もる前に)現場を再訪して、笹藪の奥にオオスズメバチの巣の有無を調べるつもりでした。 
ところが、携帯していたGPSがこの日に限ってなぜか不調で、位置情報を正確に記録してくれませんでした。 
できればオオスズメバチの巣を発掘調査したかったのに、残念ながら二度と行けなくなりました。(幻の営巣地) 

関連記事(13年前の撮影)▶  

2023/05/22

スギ林道の溜め糞に含まれる種子を探す野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月下旬 

自動撮影カメラで見張っているスギ林道に登場した野ネズミ(ノネズミ)の記録です。 
気温が遂に5℃を切り、かなり寒いはずなのに、野ネズミは未だ元気に活動しています。 
同じ日の深夜未明に3回も撮れていました。 


シーン1:10/25・午前0:36・気温5℃ 
赤外線の暗視映像が白飛び気味になってしまいました。 
タヌキの溜め糞場sにしばし滞在しているのは、獣糞に含まれる未消化の種子を探してるのかな? 
植物の種子散布の成功率に野ネズミも影響しているはずなのですけど、本に書いてあるほど頻繁には溜め糞場には来ません。
最近はタヌキがあまり排便しに来なくなってしまったので、種子の供給があまり無いようです。
最後は画面の左下に移動して消えました。 


シーン2:10/25・午前2:56・気温3℃ 
2時間20分後に野ネズミが再登場。 
スギの木の根元でアナグマの溜め糞場に立ち寄ってから、下草の生い茂る道端で餌を探しています。 
最後はスギの木の裏側に回り込んで姿を消しました。 

しばらくすると、いつの間にか林道の中央に戻ってきていました。 
スギの落ち葉に覆われた林道をそのままチョロチョロと右へ移動して行きます。 

この地点で野ネズミは神出鬼没ですが、画面の右下隅の辺りに野ネズミの巣穴があることが後に判明します。 



オニグルミの落果を採集(クルミ拾い)

 

2022年10月下旬・午後16:25頃・晴れ 

川沿いの堤防の下の遊歩道を歩いていると、オニグルミの木から熟して落ちた果実(落果)が落ち葉に混じって散乱していました。 
落果の多くはカラカラに干からびていました。 
シワシワの果皮が残っていてもパリパリに乾燥していたので、かんたんに剥がして中の殻果が得られます。 
初めは落果を足で軽く踏んで路上で転がすようにして果皮を剥いていたのですが、だんだん面倒になり、手で果皮を剥がすようになりました。 
果皮に大量のタンニンを含んでいるので手が真っ黒になりますが、後で手を洗えば平気です。
こうして採集したばかりの核(殻果)の表面が真っ黒に汚れているのもタンニンが付着しているからです。 
きれいに水洗いすれば、「胡桃の実」らしくなります。 
後で思えば、最後にカメラを上にパンして、落葉したオニグルミの木も写すべきでしたね。 

大量に拾い集めたオニグルミの堅果をバンダナに包んで持ち帰りました。 
クルミの実は先端が鋭く尖っているので、ビニール袋に入れると薄いビニールをすぐに突き破ってしまいます。 
丸々とした栽培品種のクルミとは異なり、野生のクルミは痩せていて、両端が尖っています。 
硬い殻を割って中の美味しい種子(子葉)を自分で食べても良いのですが、野ネズミやニホンリスなど野生動物への給餌実験に使うことにします。 


河畔林でオニグルミの落果が大量に残っているということは、貯食する野生動物の生息数が少ないのかな?と思ったりしました。
しかしクルミを採集中に、堅果の殻に残された古い食痕を見つけました。 (写真掲載予定)


【追記】
私は勉強不足でオニグルミしか知らなかったのですが、今季拾い集めた大量のクルミ堅果の中に、ヒメグルミも少し混じっていたようです。
てっきり出来損ないのオニグルミかと思い込んでいました。
それから、カシグルミという木も街なかやフィールドで少数ながら見つけることができました。
カシグルミはテウチグルミと言う別名の通り、その堅果の殻は薄く、ヒトの手でも容易に割ることができるのだそうです。
今まで私は全て「オニグルミ」と決めつけていたのですが、もっと精度を上げて見ていくようにします。
ちなみにサワグルミという種類については、私は未だ縁がありません。

参考サイト:樹の散歩道「クルミいろいろ 何やら名前がややこしい

2023/05/21

秋になり河畔林の溜め糞場を再び利用するようになったホントタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月下旬

河畔林の溜め糞場rvにタヌキが来なくなったので、夏の間はトレイルカメラを撤去していました。 
ところが秋になって久しぶりに様子を見に来たら、溜め糞場が復活していました。 
そこで再び監視カメラを設置することにしました。 
こうした溜め糞場の季節消長は、タヌキ自身の生活リズムの変化を反映しているのだと思うのですけど、トレイルカメラの存在をタヌキが嫌がっている可能性もあります。 


シーン0:10/20 
冒頭のシーンは明るい昼間に撮った現場の様子です。 
久しぶりでカメラの固定角度を少し失敗してしまったのですが、ニセアカシアの立木に囲まれた地面に黒々とした溜め糞が残されています。 
河畔林の奥(画面上部)には右から左に流れている川面が、茂みの隙間から見えています。 


シーン1:10/21・午前5:32・(@0:05〜) 
明け方に現れたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が溜め糞場rvには立ち寄らず、川沿いの獣道を左へ(上流へ)歩き去りました。 
途中でちょっと立ち止まって川の方を見やりました。 
ちなみに、この日の日の出時刻は午前5:50。 


シーン2:10/23・午前4:02・(@0:18〜) 
2日後の未明にタヌキがまた登場。 
カメラの起動が遅れてしまい、溜め糞場rvから藪を通り過ぎて奥の獣道へ行く後ろ姿が写っているだけでした。 
溜め糞の匂いを嗅いだり排便したりしないで素通りしたはずです。 
川沿いを上流へ(左奥に)向かいました。 


シーン3:10/24・午前2:04・(@0:25〜) 
翌日の深夜に登場したタヌキは溜め糞場rvの右で立ち止まり、藪を透かして川の様子を窺っていました。 
川沿いの獣道へ立ち去りかけたものの、再び溜め糞場に戻ってくると、三度目の正直でようやく排便してくれました。 
トレイルカメラに対する警戒をやっと解いてくれたのでしょうか? 
タヌキはイヌ科なのに、イヌとは違って排泄直後に後足で地面を掻いて自分の糞に土をかけることはありません。 
溜め糞は近所のタヌキ同士で匂いによるコミュニケーションをとるために同じ場所に排便するものなので、隠さずに堂々と残しておくのです。 


シーン4:10/26・午前4:05・(@1:20〜) 
監視カメラが起動した時には、溜め糞場rvで北を向いたタヌキがカメラ目線で脱糞しているところでした。 
健康そうな固形便を大量に排泄すると、左に立ち去りました。 
我々ヒトの衛生感覚とは違い、タヌキは排便中に古い糞を足で踏んでしまっても、気にしないようです。 
その後で獣道を歩き回る足跡に自分たちの糞便臭が付くはずですが、匂い付けとして好都合なのでしょう。 


シーン5:10/26・午前4:30・(@1:49〜) 
約25分後に、おそらく別個体と思われるタヌキが溜め糞場で排便していました。 
左に立ち去る際に小声で「クゥーン♪」と鳴きました。 (ヘッドフォン推奨)
近くにつがいのパートナーが待っているのかな?


シーン6:10/27・午後23:15・(@2:03〜) 
翌日の深夜、左奥の獣道から2頭のホンドタヌキが連れ立って溜め糞場rvに登場しました。 
今回は溜め糞の匂いを嗅いだだけで立ち去りました。 
画角外ですが手前の少し離れた位置にも実は溜め糞があるので、そこで排便したかもしれません。 


ブラックベリーの花で日光浴する初夏のキタテハ

 

2022年6月中旬・午前10:20頃・晴れ 

民家の庭で生垣として植栽されたブラックベリー(=セイヨウヤブイチゴ)キタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。 
吸蜜シーンを撮りたかったのに、ズームインしたときには口吻を縮めていました。 
翅を広げて日光浴しています。 
その後は蜂など他の訪花昆虫に私が気を取られている間に、キタテハは飛び去ってしまいました。 

今季もそろそろブラックベリーの花が咲くので、定点観察でキタテハの吸蜜シーンを撮るのが宿題です。

ランダムに記事を読む

  • 夜の水場に飛来するコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】05/01/2022 - 0 Comments
  • 川面で羽繕い後に潜水するカイツブリ(野鳥)01/11/2019 - 0 Comments
  • オオアワダチソウを訪花するモンシロチョウの羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】23/11/2017 - 0 Comments
  • ススキの穂から飛び立つカシラダカ【野鳥】16/02/2014 - 0 Comments
  • 川沿いの獣道を夜にペアで歩く隻眼のハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】27/09/2022 - 0 Comments