2021/05/01

冠雪したハナミズキの樹上で赤い実を食べるヒヨドリの群れ【HD動画&ハイスピード動画】(冬の野鳥)

 

2021年1月上旬・午後12:15頃・小雪 

大雪が降った翌日、ハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)の並木道でヒヨドリHypsipetes amaurotis)の群れが騒々しく鳴き交わしながら集まって赤い実を食べていました。 
真っ赤に熟した果実が冠雪した枝に残っていて、非常によく目立ちます。 
ハナミズキの熟果をヒヨドリはひと粒ずつ啄んで丸呑みします。 
ヒヨドリはハナミズキの枝についている赤い熟果を嘴で挟むと首をクイッと捻って摘果します。 
このときたまに赤い熟果を落としてしまうことがありました。 
果実の質によって意図的に取捨選択していたら面白いのですが、ただのうっかりミスかもしれません。 
例えば、嘴で摘んだ感触が固すぎると未熟と判断しているのかな? 

ヒヨドリの群れは同じハナミズキの樹でも互いに離れた枝で採食していました。 
餌は豊富なので、互いに喧嘩になることはありませんでした。 

ハナミズキの街路樹に離合集散するヒヨドリの羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:42〜) 
ヒヨドリが飛び立つと反動で枝から落雪する様も絵になります。 
飛来して着陸するシーンの羽ばたきも見応えがあります。 
枝の手前でホバリング(停空飛翔)を披露することもありました。 

(ハチドリと違って)中小型のからだの鳥には、ホバリングはかなり難しいのですが、全長28cmという体格で、短時間ながら自力でホバリングができる鳥がいます。ヒヨドリです。ハチドリと同じく花のみつを好むこの鳥は、意外に器用だったりするのです。 (小宮輝之『鳥の食べもの&とり方・食べ方図鑑』p54より引用)

最後は赤い実を嘴に咥えたまま飛び去る個体が撮れていました。 

▼関連記事(2年前の秋に撮影:落葉前の紅葉シーズン) 
ハナミズキの赤い実を採食するヒヨドリの群れ(野鳥)


ヒヨドリの群れが居なくなってから現場検証すると、ハナミズキ樹下の歩道には大量の落果が散乱していました。 
それに混じっておそらく鳥の糞らしき落とし物もありました。 
赤い実を食べた鳥の糞には未消化の種子が混じっているはずで、野鳥はハナミズキの種子散布に貢献しています。 

ハナミズキの落果と茶色い糞@雪道

ちなみに、ハナミズキと並んで少し離れたところに植栽された別種の落葉性街路樹にはオレンジ色〜朱色の実を大量に付けていたのに、ヒヨドリは全く食べませんでした。
樹種不明ですが、花が咲くまで通って調査中です。
実の付き方はピラカンサと似てたのですが、落葉樹なので違います。

ちなみに、ピラカンサという和名の木はなくて、ピラカンサ属の総称なのだそうです。
カマツカやウメモドキなどと迷ったのですが、5月中旬に現場を再訪すると白い花と羽状複葉の若葉からナナカマドと樹種が判明しました。

収穫後のリンゴ園で交尾するニホンザル♀♂

 

2020年12月上旬・午後12:00頃・くもり 

収穫が終わった山麓のリンゴ園で野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを観察していると交尾が始まりました。 
冬はニホンザルの発情期で、発情した成熟個体は顔や尻、外性器が赤くなります。
▼関連記事(5年前、岩山で撮影) 
ニホンザル♂を毛繕いする発情♀(求愛・誘惑・前戯) 
野生ニホンザルの交尾
落葉したリンゴの木の下で若い♂が座り込んで何かを食べています。 
左から現れた♀が♂に近づくと、左手を♂の背中に掛けました(プレゼンティング)。 
2頭はスルリと体勢を入れ替えると、♀の背後に回り込んだ♂がマウントして交尾を始めました。 
♂がマウンティングしながら腰をスラストすると、♀は♂を振り返って顔を仰ぎ見ます。 
同時に♀は片手を伸ばして♂の顔や肩の毛を掴みました。 
擬人化すると♀が♂を払いのけるような仕草に見えますが、♀の方から♂を誘惑してますし交尾の度に見られるので、これもニホンザル♀特有の性行動なのでしょう。 
マウントした♂は歯を剥き出しにして叫び、興奮状態です。 
右手で♀の腰を何度も叩きました。 
 交尾時間は短くてすぐに離れましたが、♂の陰茎の状態は確認できませんでした。 
♀の外性器に♂の精液が付着しているかどうかも私には見えませんでした。 
※岩合光昭『スノーモンキー』という写真集のp102に「♀の尻に白く精液がかたまっている」と題した生態写真が掲載されていました。
交尾後の♀♂カップルは少し離れると、落ちていた熟柿?や下草を食べ始めました。 

少し休んだ後で再び交尾しました。 
今度は♂が♀を追いかけて2回目の交尾が始まりました。 
(猿の個体識別が出来ていませんし、私が♀から一瞬目を離してしまったので、♂が別個体の♀に交尾を挑んだ可能性も否定できません。同じ♀♂ペアの交尾と思って話を続けます。) 
2回目の交尾は周囲に障害物がなく、しっかりと一部始終を動画に記録することが出来ました。 
マウントされた♀が振り返って♂を仰ぎ見たときに顔の紅潮がやや薄く乳首が胸に見えなかったので、未経産の若い♀のようです。 
♀♂間の交尾ではなく♂同士の順位行動なのか?と迷ったのですが、マウントされた個体の股間を見ると睾丸が無いので♀で間違いないと思います。
交尾後の♀♂ペアは隣りに座り、餌を頬張った口をモグモグさせています。 

小休止後に3回目の交尾が始まりました。 
今回も♀が交尾を求めました(プレゼンティング)。 
♂を腰に乗せたまま♀が歩き回ります。 
♀にマウントしている♂はよく見ると、足裏を♀の脹脛に乗せていました。 
そうしないと♂は陰茎が届かず♀に挿入できないのかな? 
 交尾が済むと、♀が♂の毛繕いを始めました。 
♀の方が♂にずいぶん惚れてる印象です。 
♂は採食しながら♀の毛繕いを受け、やがて寝そべりました。 

 交尾を繰り返す♀♂ペアの手前でそれまで無心で下草を採食していた経産♀bがおもむろに立ち上がると、仲睦まじく後戯の毛繕いを続けているペアに歩み寄りました。 
パートナー♂に毛繕いしていた若い♀aが怖がって♂の背後に隠れました。 
年齢も群れ内の序列(力関係)も♀a<♀bのようです。 
今度は経産♀bが♂の毛繕いをはじめました。 
♀aは♀bを恐れて逃げてしまいました。 
♀bは若い♂を横取りして交尾を求めているのでしょうか? (母親が息子にただスキンシップしているだけかもしれません。) 
しかし別個体♀cが通りかかると、♀bに毛繕いを受けていた♂は♀cの尻を追いかけ始めました。 
ニホンザルは乱婚ですから、♂が新しい♀と次々に交尾してもおかしくはありません。 
♀bが振られた格好になりましたが、♀bと♀cは同じぐらいの年格好(ベテランの経産婦)に見えます。 
♂が♀cを追いかけたのは♀bから離れるための口実で、実はお気に入りのパートナー♀aを探しに行ったのかもしれません。 

数分後、リンゴ園の端で再び交尾するニホンザルがいました。 
個体識別できていませんが、さっきと同じ♀♂ペアが場所を変えて逢瀬をくり返しているのかもしれません。 
ビニールハウスの骨組みの下に座って何かを食べていた♂の元へ左から♀が近づいてきました。 
♀が♂にプレゼンティングし、すかさず交尾開始。
残念ながら今回は周囲に障害物が多くて、しっかりと観察できませんでした。 

※ 猿の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


小田英智・津田堅之介『ニホンザル観察事典 (自然の観察事典31) 』という本によると、
・発情した♀は、おしりを赤くはれあがらせ、「ウニャー、イヨウー」と切なげに鳴きつづけます。そして、♂が♀にさそわれると、体にふれてみたり、目をのぞきこんだりして、相手を確かめます。  ♀の申しでを♂がうけいれると、やがて交尾がはじまります。よつんばいになった♀の腰に、♂が後ろから馬のりをするようにして、交尾がおこなわれます。そう、力の順位をしめすマウンティングとおなじ姿勢です。 
・♂と♀は、その日一日はいっしょにいて、何度か交尾をおこないます。(p34〜35より引用
今回、♂を誘う♀の鳴き声は聞き取れませんでした。 しかし毎回♀が♂に近づいて交尾をせがんでいました。 
♂が♀にマウントしている間、♀は必ず背後の♂を振り返ってアイコンタクトを求め、片手で顔や体の毛を掴んでいました。 
水原洋城『ニホンザル行動論ノート』という本で「性と社会」と題した章を読み返すと、性行動に慣れたおとなの♀は♂の顔をふり仰ぎながら右手をのばして♂の腰のあたりを掴んで引っ張り、自分の体に密着させようとする、との記述がありました。(p38より)
交尾中の♂は尾を上げ下げしています。 
マウントした♂が興奮したように叫ぶ♪のが絶頂を迎えたしるしなのでしょう。
♂の陰茎?

2021/04/30

小雪が降る川で水浴びするキンクロハジロ♂(冬の野鳥)

 

2021年1月上旬・午後13:10頃・小雪 

様々な種類のカモ類が活動している川の中央部で、1羽の キンクロハジロ♂(Aythya fuligula)が延々と水浴および羽繕いをくり返していました。 
本種の水浴行動は初見です。 
街中から捨てられた(除雪)大量の雪が流れる川の水は、身を切るような冷たさの雪解け水なのに、冬鳥のカモ類は平気で水浴びしたり潜水したりしています。 
初めは2羽のキンクロハジロ♂が川面で並んでいたのですが、途中からもう1羽のキンクロハジロ♂は水浴せずに離れて行ってしまいました。 
行水と羽繕いをひたすら繰り返すキンクロハジロ♂が異種のカモ類と川面でニアミスしても、互いに無関心でした。 
後半、画面の右上から登場した1羽のカルガモAnas zonorhyncha)が川面で水浴を始めました。(@4:06〜) 
同じ水浴行動でもキンクロハジロ♂との微妙な違いが面白いです。 
カルガモが短い水浴の直後に伸び上がりながら羽ばたいて羽根の水気を切りました。 
それまでキンクロハジロ♂は一度もやらなかったのに、カルガモにつられたかのように川面で羽ばたいて羽根の水気を切りました。 
最後は引きの絵にすると、川岸はすっかり雪化粧しています。

水浴を終えて次の行動に移行するまで見届けたかったのですが、カメラを構える腕が疲れてしまったので撮影終了。

ノボリフジの青い花で採餌するハキリバチの一種♀b【名前を教えて】マメコバチ♀?

 

2020年5月下旬・午後14:00頃・晴れ 

原っぱに咲いたノボリフジ(別名ルピナス)の群落でハキリバチ科の仲間が忙しなく訪花していました。 
なんとなく当てずっぽうで、マメコバチ♀(Osmia cornifrons)ですかね? (もし間違っていたらご指摘願います。) 
着陸した重みで蝶形花が自然に下がり、雄しべの先が蜂の腹面を擦ります。 
口吻を伸ばして吸蜜するのと同時に、腹面のスコパ(集粉毛)に花粉が集められるのです。 
採餌行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
いかにも蝶形花の構造と攻略法を熟知していて、ミツバチよりも無駄のない採餌法です。 
クマバチ♀と並んでこのハキリバチ♀(マメコバチ?)がルピナスの授粉を担う送粉者の本命と思います。

2021/04/29

雪が降った日にダイサギがいつもの冬塒に集まらなくなった謎(冬の野鳥)

 

 2020年12月中旬・午後16:39〜16:55・くもり(日の入り時刻は16:21)
前回の記事:▶ 日没後に1羽ずつ集団塒に帰るダイサギの俯瞰映像(冬の野鳥)
雪が降った日の夕方に、ダイサギArdea alba)の冬塒を見にまたやって来ました。 
冠雪したヒマラヤスギ樹上で白鷺が休む姿が撮れたらフォトジェニックだろうと思ったからです。 
もう一つ興味があるのは、塒入り行動に対する冠雪の影響です。 
例えば餌場の水辺に白鷺の模型(デコイ)を置いておくと、多数の白鷺が誘引されるように飛来するという実験結果が知られています。
集団塒の樹上のあちこちに白い雪塊が積もっていると、飛来した白鷺は先着の仲間が多く集まっていると勘違いするでしょうか? 
逆に、そこら中の樹々が冠雪していると景色が一変して、どこが集団塒かダイサギは混乱してしまうかもしれません。 

ちょうど日没時に現場入りし、少し離れた所でダイサギの飛来を待ち受けることにしました。 
雪は止んでいるのでじっと待ち続けると、一番乗りの個体が飛来しました。 
ところが上空で旋回しただけで、塒入せずに飛び去ってしまいました。 
仲間が不在なので別の塒に向かったのでしょうか? 
それとも空を見上げてカメラを向けている私を警戒して逃げたのかもしれません。 

しばらく待つと、とっぷりと日が暮れた10分後にもう1羽が飛来しました。 
さっきのダイサギと同一個体が戻って来たという可能性も考えられます。 
ヒマラヤスギの右に聳え立つモミの樹上に一度着陸しました。 
その後、木から木へ飛び移りました。 
珍しく低い枝に移動したということは、高い枝は寒風が厳しいのかな? 
ここで欲を出した私が撮影アングルを求めて横に移動すると、ダイサギは警戒したのか飛び去ってしまいました。 
痛恨のミスです…。 
楽観的に考えれば、充分に離れている私の存在などダイサギの眼中に無いのかもしれません。 
その証拠に(?)、私の頭上を飛び越える際に警戒声や怒り(苛立ち)の鳴き声などは発しませんでした。 
冠雪した枝に降り立ったものの仲間が不在と気づいた途端に心細くなり、急いで別の塒に向かったのかもしれません。 
ダイサギはただでさえ警戒心が強いので、仲間が居ないと不安で警戒心が高まるのでしょう。 

私の体も凍えてきたので観察を打ち切りました。 
手袋をしていても手の指がかじかんで、カメラの誤操作が増えてしまいます。 
もっと辛抱強く待てば遅い時刻にダイサギが塒入りしたかどうか、不明です。 

今回どうしてダイサギは塒入りしてくれなかったのでしょう? 
厳しい雪の日には別の集団塒に集まって寝るのかな? 
この冬は積雪が多いためか、川で採餌するダイサギの個体数が例年より少ない気がしています。 
周辺地域に生息するダイサギの個体数が少なくなれば、日が暮れて集団塒に集まって来るダイサギが減るのも当然です。 
ダイサギ個体群の多くがもっと餌の豊富な地域(暖地)に移動・南下してしまったとすると、ここにはもう戻ってこないかもしれません。 

フィールドで生き物の観察はなかなか思い通りに行きません。 
次回はダイサギを怖がらせないよう少し工夫して撮影することにします。 
撮影用のブラインドを張ってその中から隠し撮りするのがベストだと重々承知しているのですが、この現場ではどうしてもブラインドを張れる場所が無いのです。 


収穫後のリンゴ園で落果を拾い食いするニホンザルの群れ

 

2020年12月上旬・午後12:00頃・くもり
前回の記事:▶ 初冬のリンゴ園で下草のクローバーを採食するニホンザルの群れ
山麓のリンゴ園に侵入した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れは、地面に落ちている果実を稀に見つけると喜んで食べていました。 
2頭の記録映像をまとめました。 
もしかすると連日のようにこのリンゴ園に通って落果を食べていたのかもしれません。

シーン1: 
右から歩いて来た♀成獣が地面の匂いを嗅いだと思ったら、リンゴの落果を見つけました。 
(四足歩行の際に乳首が見えたので、♀と分かります) 
その場に座り込んでリンゴを食べ始めました。 
ところが落果を完食する前に惜しげもなく捨てて、遊動を再開。 
リンゴは食べ飽きているのか、たまたま味が気に入らなかったのでしょうか。 
少し移動すると、下草のクローバーを手で毟って採食し始めました。 

シーン2: 
右から走ってきた若い個体がリンゴの樹の下で立ち止まり、地面に落ちていた落果を食べ始めました。 
地面に落果を置いたまま姿勢を低くしてコソコソと食べている(犬食い)ので、初めは採食メニューが不明でした。 
しばらくすると、ようやくリンゴの赤い果実を両手で持ち上げて見せてくれました。 
落果にかぶりつくと、口からリンゴの果汁が滴り落ちます。 
ときどきリンゴの果皮と種子を口から吐き出しているようです。 
リンゴを食べる合間に下草のクローバー(おそらくシロツメクサ)も口に運んで味変しています。 
食べながらも周囲の動向を油断なく警戒しています。 
私の目を恐れているのではなく、群れの他個体に見つからないように警戒しているような気がしてきました。 
若くて弱い猿は、成獣(群れ内で上位の個体)に餌を強奪されることが多いのでしょう。 
幸い、他個体には気づかれずにリンゴを味わっています。 

※ 周囲の群れの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


このリンゴ園では収穫前にどのような猿害対策をしているのか知りませんが、敷地の周囲に電気柵を張り巡らしているリンゴ園が多いです。 
収穫が終わると電気柵も撤収し、ニホンザルが再び山からリンゴ園に侵入できるようになったのでしょう。
商品価値のない落果なら猿に食べられても惜しくないのでしょうが、リンゴ園に落果を放置しておくのは餌付けと同じことです。 
ニホンザルなど野生動物の群れを誘引することになり、鳥獣害対策は元の木阿弥になります。 
野生ニホンザルによる食害に困っているのなら、リンゴの味を覚えさせてはいけません。 
年がら年中、電気柵に通電するのはコストが見合わないのでしょう。
面倒でもリンゴの落果をまとめて深く掘った穴に埋めるか、頑丈なコンポスト容器に入れて堆肥にするのが地道な猿害対策として大切だと思います。
ただし前回の記事で紹介したように、リンゴ園の下草のクローバーも野生ニホンザルにとっては魅力的な餌資源であることが分かったので、難しい問題です。
「猿害対策の王道としては下草のクローバーも秋には刈り取るべき」と提案したいところなのですが、それは現実的ではないでしょう。


【追記】
電気柵による対策が進んだ結果、私はまだ野生のニホンザルが収穫前のリンゴの木に登って果実を採食する様子を実際に観察したことがありません。

辻大和『与えるサルと食べるシカ: つながりの生態学』によれば、ニホンザルが加害する作物には地域差があるのだそうです。
山形県では被害の大きな作物として、リンゴとスモモが挙げられていました。(p202 図110より)

 

2021/04/28

たくましく餌を探す雪国のスズメ(冬の野鳥)

 

2020年12月中旬・午後14:30頃・雪 

除雪された堤防路で2羽のスズメPasser montanus)が餌を探していました。 
路肩にどかした雪塊の表面が土で汚れているので、一緒に草の種子がわずかに付着してるのでしょう。 
スズメは川沿いで寒風に吹かれても、断熱効果を高めるために羽根を精一杯膨らませてていて、いわゆる「ふくら雀」の状態です。 
雪国ではごくありふれた光景ですが、暖地住まいの視聴者にとってはエキゾチックかもしれません。 
それにしても、雪国のスズメが逞しく日々の餌を探して越冬できるのは改めて考えると驚異的です。

イソギクの花を舐めるヒラタアブの一種♂【名前を教えて】

 

2020年12月上旬・午後13:35頃・晴れ 

道端の花壇?に咲いたイソギクの群落でヒラタアブの一種も訪花していました。 
口吻を伸縮させて花粉や花蜜を舐めています。 
私には見慣れない種類で、腹部には橙色と銀色のきれいな横縞がありました。 
左右の複眼が接していたので♂のようです。 

どなたかこのハナアブの名前が分かる方がいらっしゃいましたら、是非教えてください。

2021/04/27

川で水浴びするマガモ♀♂の群れ(冬の野鳥)

 

2020年11月中旬・午後15:25頃・くもり 

夕刻の川でマガモ♀♂(Anas platyrhynchos)の群れが求愛行動を繰り広げる中、水浴びしている個体が居ました。 
まず画面中央で地味な♀が水浴を始め、次に画面右端で♂2羽が相次いで水浴を始めました。 
何度も首を勢いよく水中に突っ込んで背中に川の水をかけています。 
♀は水浴直後にその場で翼を羽ばたきながら伸び上がって濡れた羽根の水気を切りました。 

水浴行動が求愛誇示(ディスプレー)の一環である可能性もありそうですけど、それならもっと頻繁にやる気がします。 

マガモ♀♂の水浴シーンが一気に見れたのは今回が初めてでした。 
 過去に撮ったマガモの水浴シーンはこちらです。

初冬のリンゴ園で下草のクローバーを採食するニホンザルの群れ

 

2020年12月上旬・午前11:40頃・くもり 

里山から降りてきた野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが山麓のリンゴ園に次々と侵入してきました。 
食用果実の収穫は既に終わっていて、リンゴの樹々は完全に落葉していました。 
収穫後のリンゴ園で一体何を食べに来たのかと不思議に思って観察すると、意外にも主に下草を採食していました。 
緑の草本植物を片手で次々にむしり取って口に運んでいます。 
下草にはイネ科の雑草やオオバコ、ヨモギなどが見えるものの、採食メニューは初め不明でした。 
私に撮られていることに気づくと猿は食事中に背を向けたり木陰に隠れてしまうのです。 

私が唯一見分けられた採食メニューは、おそらくシロツメクサと思われるクローバーの葉です。 
マメ科のクローバーは土壌を改良する効果もありますし、カバープランツとして積極的に植えているリンゴ園が多いのだそうです。 
全ての雑草を目の敵にして除草剤を撒くよりもクローバーでリンゴ園の林床を被覆する方が、リンゴの害虫を捕食する天敵昆虫の密度が高まる、という一石二鳥の効果も期待されています。 
春にリンゴの花の受粉を助けてくれるハナバチ類を養うためには、年間を通して下草に花が咲いていることが必要です。
考えてみると、クローバー畑ほど栄養豊富な植物群落は初冬の山林には生えていませんから、ニホンザルの群れが里のリンゴ園に通ってくるのも当然ですね。
食後に猿が糞を残してくれれば、リンゴ園の肥料になります。

冒頭シーンではオオバコの葉も食べた気がします。 
猿は明らかに緑の草を選り好みしており、リンゴの落ち葉を拾い食いすることは全くありませんでした。 

登場する個体の多くは胸にピンクの長い乳首があるので経産♀ですね。 

繁殖期が始まったせいか、ときどき群れのニホンザル同士で喧嘩が勃発します。 
近くで悲鳴♪が上がっても、採食中の個体は気にしませんでした。 

※ ニホンザルの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 




2021/04/26

雪の日に川の護岸で採食するホオジロ♂(冬の野鳥)

 

2020年12月中旬・午後14:30頃・雪

雪が降りしきる午後、街なかを流れる川でホオジロ♂(Emberiza cioide)がそそり立つコンクリート護岸を横に移動(トラバース)しながら採食していました。 
コンクリート護岸の急斜面は枯れ草と緑色のコケ(蘚類)で覆われていて、ホオジロ♂は草の実(種子)を必死で探して食べているようです。 
イネ科の枯れ草を繰り返し嘴で咥えています。 
パッチ状に残った雪の下に埋もれた枯れ草も啄んでいました。 
コンクリート護岸上に生えたコケも啄んでいましたが、コケそのものを食べたのか、それともコケに紛れ込んでいた草の種子を食べたのか、定かではありません。 
映像を見る限り、越冬昆虫を見つけ出して捕食しているようには見えませんでした。 

最後は何か物音に驚いて、上流に飛び去りました。

寄主アカタテハの蛹から羽化した寄生蜂の群れ【名前を教えて】

 

アカタテハの飼育記録#14 


今季はカラムシの群落で見つけたアカタテハVanessa indica)の垂蛹を計4頭採集し、室内で飼育してきました。 
そのうち3頭a-cは無事に成虫が羽化したものの、残る1頭dは蛹の時点で異常でした。 
しつこく蛹をつまんだりしても全く無反応だったので、体内寄生されているだろうと予想しました。
▼前回の記事(24日前の撮影) 
アカタテハ蛹の体内寄生チェック

2020年11月中旬・午後 

被寄生アカタテハ垂蛹dを密閉容器(直径10cm、高さ8cmの円筒容器)に隔離して放置していたところ、ようやく予想通り微小な寄生蜂の成虫が多数羽化していました。 
羽化の前兆が全く分からなかったので、その瞬間を動画に記録できなかったのが心残りです。 
寄主のアカタテハ垂蛹に黒くて丸い穴が一つ開いています(脱出孔)。 

寄生蜂はかなり微小で全身が黒光りしていて、脚だけが黄土色。 
素人目にはずんぐりむっくりの体型に見えます。 
触角もコマユバチと比べて短いようです。 
腹面から接写しても腹端に産卵管も見えないのが不思議です。(♂だから?) 

寄主の蛹に産卵する殺傷型内部捕食性多寄生蜂のようです。 
可能性は低いものの、高次寄生蜂(寄生蜂に寄生する蜂)かもしれません。 
寄生蜂の終齢幼虫が寄主の外に脱出して繭を紡ぐことはしなかったので、コマユバチ科ではありません。 (寄主アカタテハの蛹を解剖したら内部に寄生バチの繭が多数残されているのかな?) 

表面が汚れている透明プラスチック容器越しに撮ったので、やや不鮮明な映像です。 
(予め容器の蓋を外して代わりに薄いサランラップを張っておくべきでした。) 
立ち止まって身繕いしている個体がいました。 
しかし容器内を飛び回る個体は見当たりませんでした。 

昼行性なので当然ながら正の走光性があり、照明(白色LEDのUSBリングライト)の光に向かって画面の左上に進みます。 
その結果、明るい照明に向いた容器壁面に寄生蜂は集結していました。 
円筒容器をくるくる回すと、寄生蜂は光が射す方向に歩いて移動し、再集合します。(走光性の実演) 
このとき交尾している♀♂ペアが居たのに気づきませんでした。(@1:40:画面中央) 

森昭彦『イモムシのふしぎ:ちいさなカラダに隠された進化の工夫と驚愕の生命科学』という本でアカタテハについて調べると、
 アカタテハは寄生率がとても高く、4齢から終齢に育ったころ、ちいさなハチの子が20〜30匹もでてくる。(p170-171より引用)
残念ながら寄生蜂の名前(学名)を正確に記されていませんでした。 
ただし、今回私が観察した寄生蜂はアカタテハの幼虫ではなく蛹から成虫が出てきたので、この本の記述とも違いますね。 

寄生蜂の種類を同定してもらうために、容器内に多数残された寄生蜂の死骸を接写して写真を掲載する予定です。 
(動画の整理で忙しく、なかなか手が回りません…。) 
肉眼では黒色に見えたのですが、写真を撮るためにストロボを焚くと体表が金属光沢の緑色(構造色のメタリックグリーン)に輝くようです。
少なくとも羽化した個体数と性比ぐらいはしっかり調べるつもりです。 
寄生蜂の成虫の翅脈を接写すれば、ヒメバチ科かコマユバチ科か簡単に見分けられるのだそうです。 

今のところ何の根拠もありませんが、素人のあてずっぽうでコガネコバチ科のアオムシコバチ(Pteromalus puparum)の仲間かな?と勝手に予想してみました。 
ただしアオムシコバチの寄主はシロチョウ科およびアゲハチョウ科と書いてあり(『狩蜂生態図鑑』p148)、タテハチョウ科は含まれていなかったので、おそらく別種と思われます。 (※追記参照)
そもそもアカタテハの幼虫はいわゆる「アオムシ型」ではありません。 

Information Station of Parasitoid Waspsサイトで寄主から検索しても、アカタテハは今のところ登録されていませんでした。 

※【追記】
英語版Wikipediaではオーストラリアに産するタテハチョウ科のVanessa iteaに蛹寄生する蜂の一例としてアオムシコバチ(Pteromalus puparum)が上げられていました。
どうやら寄主選択性が低く、タテハチョウ科にも寄生できるようです。

シリーズ完。

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