2015年9月上旬
ジョロウグモ♀♂の定点観察#3
このジョロウグモ(Nephila clavata)♀は亜成体だと後に判明するのですが、撮影時には成体♀かと思い込んでいました。
♂の求愛が成就する瞬間を見届けたくて、交接前ガードを続ける♂の行動を10倍速の微速度撮影で監視してみました。
♂が網を弾く行動は♀への求愛またはライバル♂を威嚇・牽制する意味がありそうです。
網をパトロールした後は、脚先を舐めて身繕いしています。
♂がパトロールを繰り返したり♀とは逆の上を向いて警戒したりしているのは何故か、次回でようやく謎が解けました。
つづく→#4:ジョロウグモ(蜘蛛)亜成体♀を巡り争う2匹の♂
2015年7月下旬
キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#6
未だ梅雨なので、この日は朝から雨が降っています。
晴天時よりも在巣のキアシナガバチ♀(Polistes rothneyi)個体数は多いです。(計8匹)
雨が降るとワーカー♀も外役に出られず、巣に留まって雨宿りしているのでしょう。
巣の目の前で透明ビニール傘を振ると総員警戒姿勢、臨戦態勢になりました。
一斉に翅を半開きにして細かく震わせるものの、いきなり飛びかかってくることはありませんでした。
黒い傘だと一層危険だったかもしれません。
しばらくすると、少し落ち着いてきました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#7:キアシナガバチ♀雨天時の排水行動
2015年8月上旬・夜20:58:20
交差点で点滅信号や水銀灯の周りをコウモリが飛び回っています。
灯火に引き寄せられる夜蛾を捕食しに来たようですが、狩りの瞬間を撮るにはよほどの幸運が必要そうです。
(愚直に長撮りするしかないのかな?)
街中なので、普通種のアブラコウモリかもしれません。
バットディテクターがあれば超音波の鳴き声からコウモリの種類を聞き分けられるそうなので、手に入れたいものです。
赤外線の暗視モードで撮ったのですけど、明かりが眩しくてあまり暗視の意味が無いようです。
2015年9月中旬
郊外の住宅地の道端に生えたニラの群落でフタモンアシナガバチ♂(Polistes chinensis antennalis)が訪花していました。
雄蜂の特徴である白っぽい頭楯とカールした触角がチラッと見えます。
群飛というほどの規模ではありませんが、複数個体が飛び回っていました。
訪花している同種の♂だけでなく、他種の蜂にも誰かれ構わず飛び付くのを目撃しています(誤認交尾)。
2015年9月上旬
ジョロウグモ♀♂の定点観察#2
窓の外に張られた網にジョロウグモ(Nephila clavata)♀亜成体とα♂成体が同居しています。
α♂はライバル♂から♀をガードしつつ交接のチャンスを待っている(交接前ガード)はずですが、♀から離れ再び活発に網を徘徊し始めました。
♀の下部に小さなクモが見えるのですけど、α♂も追い払ったりせず黙認しています。(別種の居候クモなのかな?)
パトロールを終えたα♂が♀の少し上で落ち着きました(下向きに占座)。
その場でα♂が網を爪先で頻りに弾く行動を始めました。(@2:15〜)
これは♀への求愛行動なのでしょうか?(近づいて交接する前に♀の攻撃衝動を宥めるための信号?)
しかし♀の琴線に触れなかったようで、全くの無反応でつれない様子。(このとき♀は脱皮前の亜成体だったと後に判明します。)
α♂にズームインすると、身繕いではなく辺りの網から糸屑を掻き寄せて食べているようにも見えます。(@2:38〜)
網を壊しながら(?)♀に接近するものの、♀が嫌がって歩脚を動かし、♂は退散しました。
すぐにまた同じ恋のアプローチを繰り返すα♂に対して、♀は歩脚で牽制しています。
なぜかα♂が上を向いて網を移動し画角から消えました。(@7:40)
後で思うとライバルのβ♂が上から侵入してα♂はそれを撃退に向かったのかもしれませんが、撮影時の私は未だ気づいていません。
しばらくすると、α♂が♀の近くに戻ってきました。(@7:45)
♀の斜め後方で下向きに占座し、漸く落ち着きました。
しかしまたα♂がピクピク動き始めました。
網に振動を与えるのは、必ずしも♀への求愛ではなく、ライバル♂に対して威嚇の信号を送っているような気がしてきました。
α♂が再び網の上部へパトロールに向かいました。
♀の近くに戻ってくると、爪先で網を弾いています。
向きを変えながら(横向き→上向き)糸をかき鳴らしています。
♂が落ち着きなくパトロールを繰り返すのは、別の♂が来たと♀に思わせて交接するチャンスを上げようとする作戦なのか?と妄想を逞しくして見ていました。
♂が♀を口説き落とすために網を弾いて一体どのような音色を奏でているのか、マイクを使って録音してみたいものです。(具体的にどう設置すればよいか分かりませんが)
求愛信号と威嚇信号の音色やリズムはどう違うのか、非常に興味があります。
落ち着きのないα♂とは対照的に亜成体♀はその間、知らぬ顔で静止しています。(全く無反応)
※ ガラス窓越しに撮ったやや不鮮明な映像に対して、動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#3:ジョロウグモ(蜘蛛)の交接前ガード【10倍速映像】
【追記】
『自然の観察事典21:網をはるクモ観察事典』p20によれば、
(ジョロウグモの)♀が脱皮して成体になるのは、9月の上旬すぎです。それまでは、♂は結婚したくてもできません。成体になるまえの♀の生殖孔は、皮ふでおおわれ、交接できないようにふさがっています。
2015年7月中旬・午後17:50
キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#5
同じ日の16:00頃から雷雨(夕立)が降りました。
雨が上がってからキアシナガバチ(Polistes rothneyi)の様子をまた見に行くと、昼間より在巣の蜂が増えていました。
巣盤からはみ出して巣柄の上のトウカエデの枝に掴まっている♀個体もいます。
トウカエデの枝葉が生い茂っているおかげで大雨の後でも巣は濡れていないようです。
したがって、期待した排水行動は見られませんでした。
夕暮れ時の木陰は光量不足なので赤外線の暗視カメラで撮ると、蜂は未だ寝静まってはおらず、各自が化粧(身繕い)しています。
暗がりで♀同士が口づけを交わし栄養交換していました。
この場合、食事というよりも社会的な挨拶の意味合いがありそうです。
ちなみにこの日の公式な日没時刻は19:02。
つづく→#6:ビニール傘を警戒する巣上のキアシナガバチ♀
2015年9月中旬
山麓の道端、ガードレール沿いに咲いたカワラハハコの群落でベニシジミ(Lycaena phlaeas daimio)が訪花していました。
翅は半開きのまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。
ようやく飛んだかと思うと、隣の花に移動して一心不乱に吸蜜を続けます。
2015年7月中旬
キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#4
この日、在巣のキアシナガバチ(Polistes rothneyi)成虫は最大♀5匹でした。
育房を点検して回ったり各々が身繕いしている中、ときどき♀同士でキスを交わし栄養交換しています。
別のワーカーが空荷で帰巣すると、他の♀が一斉に殺到し、給餌をねだり栄養交換しています。
おそらく外で舐めてきた花蜜(またはアブラムシの甘露など)を仲間に分け与えているのでしょう。
今のところ、成虫間でギスギスした優位行動は見られません。
逆に言うと、どれが創設女王か見分けられません。
つづく→#5:夕刻の巣で♀同士キスするキアシナガバチ【暗視映像】
2015年9月上旬
ジョロウグモ♀♂の定点観察#1
窓の外に張られた網にジョロウグモ(Nephila clavata)♀が静止していました。
ここで店開きして、室内の照明に誘引される虫を網で捕らえる捕食戦略なのでしょう。
(この♀の発育ステージは最終脱皮前の亜成体であることが後に判明します。)
さて、♀と同居している♂の不思議な行動が気になりました。
逆光のため網や糸がほとんど見えないのですが、♂は網の中を活発に歩き回りながら脚にへばり付いた粘着糸を舐めて身繕いしているようです。
ときどき明らかに糸屑を食べている様子も観察出来ました。
それとも網に付着した超微小の昆虫を捕食しているのでしょうか?
造網性クモが網を取り壊す際に糸のタンパク質を再利用(リサイクル)するため糸を食べてしまうのは珍しくありません。
今回の場合は♀が作った網なので、♂が勝手に網を取り壊して主に怒られないのか心配になります。
♀は♂の振る舞いを振動で認識しているはずなのに、網の中央で下向きに占座したまま無反応でした(黙認)。
♂は♀に代わって網のメンテナンスをしているのかとも思ったのですが、食べ残しや目に見える大きさのゴミを網に放置していますから違いますね。
ジョロウグモの網は蹄形円網の前後に糸を不規則に張り巡らせた三重構造になっています。
この撮影アングルでは遠近感が不明で、♂が食べている(取り壊している?)網が主網なのか補助網なのかいまいち分かりません。
回り込んで横から観察できないのがもどかしいです。
♀の元に戻った♂が♀の前方から近づくと、邪険に追い払われました。(@3:29)
慌てて逃げた♂は♀の上で下向きに占座しました。(ライバル♂から♀を守る配偶者ガード)
繁殖期のジョロウグモ♂が♀の網に居候して何を食べているのか今まで分からず、不思議でした。(♂の捕食シーンを見たことがありません。)
♀と交接することで頭がいっぱいの成体♂は繁殖期の間は絶食しているのか?と思ったりもしたのですが、ようやく謎が解けました。
『自然の観察事典21:網をはるクモ観察事典』p20によると、
(ジョロウグモの)♀の網の上で、♂は、♀が成体になるのをじっとまちます。ときには、それは1ヶ月近くにもなります。そのあいだ♂は、まったく食事をとりません。なかには、ちゃっかりと♀の食べ残しをとるものもいます。でも多くの♂たちは、のまずくわずの状態で、ほかの♂が網にはいってくるのをふせぎます。
※ ガラス窓越しに撮ったやや不鮮明な映像に対して動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#2:ジョロウグモ(蜘蛛)亜成体♀をガードするα♂:求愛とパトロール
2015年7月中旬・気温33.5℃、湿度45%
キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#3
植木鉢の下に敷く水皿(直径20cm)が外に放置され、雨水が溜まっています。
猛暑の昼下がり、その水を飲みにキアシナガバチ(Polistes rothneyi)のワーカー♀がせっせと通っていました。
帰巣する蜂を追いかけると、在巣の蜂は計6匹。
一番大型の創設女王と思われる♀が巣盤の天井で休息、身繕いしています。
吸水してきた蜂が紙製の巣盤に水を吐き戻してわざと濡らし、気化熱で巣を冷やそうとしています。
気温が高すぎると卵や蜂の子(幼虫)の発育に悪影響があるのでしょう。
ヒトが打ち水をするのと同じです。
風があるため不快指数はそれほどでもなく、体感で蒸し暑さはありませんでした。
営巣地は建物の北側なので、午後の苛烈な直射日光は射しません。
もし更に暑くなれば、次は散水と扇風行動を組み合わせるはずですが、それは見られませんでした。
ところで、巣を濡らしてもカビが生えたりしないのは何か工夫があるのでしょうか?
巣から僅か数メートル離れた位置にある水盤の横で待ち構えていると、おそらく同一個体の蜂がまた水を飲みに飛来しました。
皿の縁に止まると、水面まで降りて飲み始めます。
水中にはボウフラが浮いています。
トウカエデの葉の付き方は互生ではなく対生です。
樹皮が特徴的で縦に剥がれていきます。
つづく→#4:キアシナガバチ♀成虫間の栄養交換
2015年9月上旬
飼育中のノコギリクワガタ♀(Prosopocoilus inclinatus)に市販の昆虫ゼリーを与えたら貪り食い始めました。
ゼリーを固定する専用ホルダーが見当たりません。
剥き出しの状態では容器の側面が滑るので自力ではよじ登れません。
手助けしてゼリーの上に乗せてやりました。
ようやく口器がゼリー表面に届くと、口吻を一杯に伸ばして舐め始めました。
頭をゼリーに突っ込んでいるため、口器の動きが見えなくなりました。
足や触角がかすかに動くだけで、あまり面白くありません。
下に方眼紙を敷くと、体長は34mm以上ありそうです。
ノコギリクワガタ♀にしてはかなり大型の個体のようです。
(図鑑では体長♀25〜35mm:大顎の先端より腹端までの長さ)
2015年7月中旬・深夜00:24〜00:30
キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#2
蒸し暑い深夜に引っ越し巣の様子を見に行きました。
初めは赤外線の暗視カメラで撮ると、前日の昼間よりも多い10匹以上ものキアシナガバチ(Polistes rothneyi)成虫が折り重なるように寝ていました。
蜂球のように巣盤をぎっしり覆い尽くしています。
育房内の卵や幼虫への保温効果がありそうですけど(抱卵)、春ならともかく夏は逆に暑くなり過ぎないか心配です。
サーモグラフィカメラでアシナガバチの蜂球を見てみたら面白いかもしれません。
蜂の触角が少し動いただけで、赤外線を照射しても気づかずにぐっすり寝ています。
腹部をヒクヒクさせているのは腹式呼吸かな?
次に白色LEDを点灯しても、蜂はすぐには起きません。
巣盤の下面に止まっている個体は寝るときに体の向きを揃えてる印象を受けました。
女王が寝る位置は決まっているのか否か、個体識別して調べたら面白そうです。
巣の手前の二股になった幹にキマワリ(Plesiophthalmus nigrocyaneus)が止まっていました。
眩しい光で覚醒した蜂がそろそろ警戒し始めました。
一匹が身動きすると連鎖反応でコロニー全体が覚醒します。(これぞまさしく一斉蜂起!)
キアシナガバチは夜間飛べないようなので攻撃される心配は無いはずですが、これ以上の撮影は危険と怖気づいて撤退しました。
キマワリも光を嫌って幹の陰に隠れてしまいました。
つづく→#3:巣の冷却水を飲みに通うキアシナガバチ♀