2022/10/01

山中の水場に夜な夜な飛来するコウモリ(その4)【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶ 水場に着水する前にホバリングする夜行性コウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年7月上旬 

山中の泉を自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で監視すると、夜行性コウモリ(種名不詳)が頻繁に写ります。 
夜の池に飛来したコウモリが着水して水面に波紋が広がる瞬間に何をしているのか?、という昨季からの疑問を解き明かしたくて、しつこく撮影しています。 
水を飲んでいるのか、水浴びなのか、はたまた捕食行動なのか、気になります。 
この時期には4夜連続で飛来しました。 

シーン1:7/6・午後20:24・気温20℃ 
この日に飛来したのは、なぜか1回だけでした。 

シーン2:7/7・午後19:26・気温20℃ (@0:07) 

シーン3:7/7・午後20:08・気温20℃ (@0:25) 

シーン4:7/7・午後22:47・気温19℃ (@1:02) 

シーン5:7/8・午後19:29・気温19℃ (@1:10) 

シーン6:7/8・午後19:47・気温20℃ (@1:21) 
2頭のコウモリが続けて飛来し、池の上スレスレを代わる代わる何度も飛び回っています。 
同じコロニー出身のコウモリなのでしょうか? 
昼間のねぐらがどこにあるのか、どうやったら突き止められるでしょう? 
コロニーには夥しい数のコウモリが集結しているはずですが、一晩で多数の個体が水を飲むために代わる代わる池に飛来するのかな? 

シーン7:7/8・午後20:00・気温21℃ (@2:02) 

シーン8:7/9・午後19:54・気温20℃ (@2:12) 
此岸のカメラのすぐ上に被さるように、クモまたはザトウムシの仲間が静止しています。
(近過ぎて正体不明) 
コウモリの行動はいつも通りで、此岸のザトウムシ?を狙って狩ることはありませんでした。


シーン9:7/9・午後20:17・気温21℃ (@2:30) 

シーン10:7/9・午後20:44・気温22℃ (@2:48) 

シーン11:7/9・午後21:12・気温20℃ (@3:06) 
画面右上にザトウムシ?の歩脚の一部がどアップで映っています。 

シーン12:7/9・午後21:59・気温20℃ (@3:34) 

シーン13:7/9・午後22:10・気温20℃ (@3:42) 


依然として、捕食説を裏付ける決定的な証拠映像は撮れていません。 
お気に入りの着水地点が特定の何箇所かに決まっているようなので、飲水行動(または水浴)ではないかという個人的な予想は今のところ変わりません。 

この後、トレイルカメラの電源部が遂に故障して動かなくなってしまいました。 
カメラの防水パッキンが不良品だったのかもしれませんが、雨季でしかも常に湿度が高い水場という過酷な撮影環境なので、電池ボックスに水が入ってしまったようです。 
トレイルカメラを買い直すにしても、ここで自動撮影を続けるには雨よけのハウジングを自作する必要がありそうです。 
せっかく新しい機種を導入したのに、残念ながら短期間しか運用できませんでした。 
今後は旧型のトレイルカメラに戻して調査を続けます。 
(防水性能は旧機種の方が堅牢でした。) 

夜の池に飛来したコウモリが着水した瞬間に何をしているのか、という昨季からの素朴な疑問を解き明かしたいのですけど、トレイルカメラの暗視動画ではフレームレートが足りなくて結局よく分かりません。 
コウモリの飛翔が速過ぎて、説得力のある映像が撮れないのです。 
コウモリが口で着水しているのか足で着水しているのかも、はっきりしません。
無人撮影を諦めて夜に現地入りし、飛来するコウモリのストロボ写真をバシバシと徹夜で大量に撮るしかないか…と愚直な作戦を考えました。 
ところが、この水場には昼も夜もツキノワグマが頻繁に出没していることがトレイルカメラの記録で判明し、「無理だ!」と怖気づいてしまいました。 
財力があればテクノロジーを駆使した万全のクマよけ対策を現地に構築するのも可能ですけど、ちょっと現実的ではありません。 

つづく→

モクゲンジの花蜜を吸うモンシロチョウ♂【HD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午前11:15頃・晴れ 

農村部の民家の裏庭に植栽されたモクゲンジモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が訪花していました。 
翅を半開き、またはしっかり閉じた状態で吸蜜しています。 

モンシロチョウ♂が花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:44〜) 
飛来したクズハキリバチ♂に驚いて慌てて逃げ出しました。 
少し飛んだだけで隣の小枝のモクゲンジの花に着陸。 

複数個体を撮影。


2022/09/30

春の川で水浴するハシボソガラス(野鳥)

 

2022年4月下旬・午後13:30頃・晴れ 

春の河原でハシボソガラスCorvus corone)が水浴びを繰り返していました。 
動画の冒頭では濡れたカラスが中州で身震いし、羽の水気を切っています。 
足で顔を掻きました。 
頭部の羽毛が逆立っていて、ハシブトガラスと迷うのですが、嘴があまり太くないのでハシボソガラスと判断しました。
(もし間違っていたら、ご指摘願います。) 

川の浅瀬に入水すると、水飛沫を上げて行水しました。 
雪解け水で冷たいはずですが、よく晴れているので気持ち良さそうです。
再び中州に上陸すると身震いし、飛び立ちました。 
飛び去ったカラスを流し撮りしたら、近くの橋の橋脚に止まりました。
しかし、途中で別個体と入れ替わった疑惑があるので、その映像は割愛しました。
今回、水浴の合間に羽繕いをしませんでした。 

トリアシショウマの花から飛び立つヨツスジハナカミキリ

 

2022年7月中旬・午後14:10頃・晴れ 

つづら折れの細い山道に沿って咲いたトリアシショウマの群落でヨツスジハナカミキリLeptura ochraceofasciata)が訪花していました。 
花蜜や花粉を食べているようです。 

この組み合わせは初見ですが、マクロモードで接写すると、すぐに飛んで逃げてしまいました。 鞘翅をパカッと広げて少し飛び、隣の花穂へ移動します。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

※ ブーン♪という羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。




2022/09/29

夜の河畔林でローアングルから撮影した野ネズミの活動【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶  夜の河畔林で高低2アングルから撮影したアカネズミの採食行動【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年7月上旬〜中旬 

河畔林のタヌキ溜め糞場rvをローアングルのトレイルカメラ(自動撮影カメラ)でしつこく監視しています。 
夜な夜な餌を探し歩く夜行性野ネズミ(ノネズミ)の活動をまとめました。 
画面の右下隅に黒々と写っているのが、黒土と化した古い溜め糞です。 
最近はもうタヌキがやって来なくなり、糞の供給も途絶えました。
野ネズミは古い溜め糞そのものには近寄りませんでした。 

シーン1:7/6・午後20:06 (@0:00) 
林床に転がっている落枝に跳び乗り、右に伝い歩きしています。 


シーン2:7/8・午後19:58 (@0:08) 
画面左端から登場し、林床の草むらを右上へチョロチョロ移動すると、落枝を乗り越えて奥へ消えました。 


シーン3:7/14・午前00:12 (@0:34) 
落枝の奥を右から左へ移動しました。 
奥の林床をウロチョロしています。 


シーン4:7/14・午後22:00 (@0:55) 
画面の左上奥で野ネズミの白く光る目が動いているものの、姿を現してはくれませんでした。
むしろ、トレイルカメラが小さな熱源を敏感に動体検知できる能力に感心します。 


シーン5:7/15・午前00:32 (@1:09) 
画面右下隅に居た野ネズミが林床を奥に走り、落枝に跳び乗ると左に伝って駆け抜けました。 

後半はカメラのバッテリーが消耗したせいで、撮影が中断しがちになりました。 
それでも指示通りの撮影を可能な限り続けてくれるトレイルカメラが健気です。 



クルマバナの花で採餌するクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午前11:30頃・晴れ

農村部の休耕田に見慣れないピンクの花が群落をなして咲いていました。 
花の形状が唇形花ですし、茎に触れると断面が四角形であることから、シソ科のようです。 
後で調べてみると、どうやらクルマバナのようです。
様々な昆虫がクルマバナに訪花していた中で、優占種はクロマルハナバチBombus ignitus)でした。 
多数のワーカー♀がブンブン♪と羽音を立てて忙しなく飛び回っています。 
ピンクの唇形花に正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。 
後脚の花粉籠に白い花粉団子を満載した個体がいました。 

複数個体が訪花中にニアミスしても喧嘩にはならず、各々が採餌に忙しいようです。 
同じ巣(コロニー)から来たメンバーなのかな? 

クルマバナの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:04〜) 
茎の回りに輪生する花に蜂は回りながら効率よく訪花しています。 
蜂が回る向きに右利き左利きの個体差があるのかどうか、興味があります。 
左回りが多い印象を受けたのですが、どうでしょうか?

2022/09/28

母衣打ち♪の前にのんびり欠伸したり羽繕いするキジ♂(野鳥)

 

2022年6月中旬・午後15:30頃・晴れ 

水田の横の休耕地(原っぱ)に佇むキジ♂(Phasianus versicolor)を発見。 
周囲を見渡しながら、のんびり寛いでいます。 
ときどき嘴を大きく開けて欠伸(@0:41、1:14)をしてから身震いしました。 
私の方を見ても、気にしない様子です。 
やがて羽繕いを始めました。 
首を曲げて嘴で左肩や胸の羽毛を整えています。 
隣の縄張りから別個体♂が母衣ほろ打ち♪する鳴き声が聞こえた途端に、動きを止めて鳴き声に聞き入っています。 
すぐに対抗して母衣打ちをやり返すかと思いきや、再び欠伸をしました。 

最後にようやく気分が盛り上がったようで、ケンケーン♪と絶叫しながらドドドドと力強い羽音を立てました。(母衣打ち@2:18) 
縄張り宣言の母衣打ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:31) 
キジ♂が母衣打ちを繰り返す時間の間隔を測るとほぼ一定ですし、見るからに鳴きたい気分が盛り上がってくるのが分かります。
どのような体内時計で測っているのか(至近メカニズム)、いつも不思議に思います。
心拍数なのか、それともテストステロンの血中濃度が定期的に上昇するのかな?

それまで一歩も動かなかったキジ♂が休耕田を歩き回って採食を始めました。 

イッシキイシアブ♀♂の交尾と連結飛翔【HD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午後12:00頃・晴れ 

里山の山道を登り始めてすぐ、ハルニレ灌木の葉の上で交尾している虻の♀♂ペアを見つけました。 
♂が♀に飛びついて交尾を始めた直後だったような気もしますが、記憶が定かではありません。 
反向型交尾をするムシヒキアブ科の仲間だと思うのですが、見た目が性的二型です。 
手前の個体♂は胸背に黄金色の体毛が密生しています。 
一方、奥の個体♀は全身真っ黒で、レモン色の平均棍が目立ちます。 

日当たりの良いハルニレ葉上で交尾器を連結したまま手前の♂が羽ばたきながら後退し、腹端を高々と持ち上げました。 
続いて尾繋がりの状態で♂が軽くホバリングし、すぐに着地しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
交尾器の結合角度を調節したのでしょうか? 
あるいは私に警戒した♂が♀を連れて逃げようとしたのかな? 
動画を撮りながらしゃがんで、♂の顔正面を記録しておきます。 

次に、連結飛翔の瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮影してみました。(@0:52〜) 
お邪魔虫の私が虻の目の前で左手を振ると、手前の♂が先に反応し、飛び立ちました。 
続けて♀も羽ばたいて離陸しかけたものの、ハルニレの葉の上で無様にひっくり返りました。
焦って暴れる♀を尾繋がり状態のままで強引に牽引して♂が逃げるように連れ去りました。 
もしも逆に♀の正面で私が手を振ったら、先に気づいた♀が♂を引き連れて飛び去ったでしょうか? 
それとも常に♂が主導権を握って先に飛び立つのでしょうか?
蝶では交尾時の連結飛翔で♀♂どちらが主導権を握るか、種によって大体決まっているのだそうです。
蝶の♀♂ペアが逆向きに連結したまま同時に羽ばたくと相殺してどちらにも進めませんし、結合部が外れてしまいます。
したがって、 ♀♂どちらが主導権を握って飛ぶか予め取り決め(遺伝的プログラム)をしておく必要があるのでしょう。
こういう素朴な疑問に対して、コツコツと動画を撮り貯めれば面白いかもしれません。

さて、この虻の名前は何でしょう? 
ムシヒキアブ図鑑」サイトで絵合わせしてみると、イッシキイシアブ♀♂(Choerades isshikii)だろうと判明しました。 
近縁種のコムライシアブと迷ったのですけど、コムライシアブは♀♂ともに胸背部が伏せた金黄色毛に覆われるそうです。 
イッシキイシアブ♀♂の交尾写真は、画像掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂・改」にも投稿されていました。

2022/09/27

川沿いの獣道を夜にペアで歩く隻眼のハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶ 右目が失明したハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年7月上旬〜中旬

コンクリート・ブロックで護岸された川沿いの獣道を自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で監視していると、ハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が1頭または2頭連続で通りかかりました。 
画角内で立ち止まるか歩行速度を緩めてくれないとカメラの起動が間に合わないので、1匹しか写らなかった日は先頭個体が通過したのを撮り損ねた可能性が高いと考えています。 
過去には最大3頭が行動を共にしていたので、家族群から子別れした後なのかな? 
毎回左から右に(川沿いを下流に)通過しており、逆に歩かないのも不思議です。
逆コースはどこか別の獣道を歩いていることになります。

シーン1:7/9・午後21:43 
カメラの起動が遅れ、冒頭からすぐに画面右上隅に消えました。 
右に走り去るハクビシンの長い尻尾だけが写っています。 


シーン2:7/10・午後21:22 (@0:06) 
画面左で光って見えるケヤキの葉の下からハクビシンがおずおずと登場しました。 
初めからカメラを見上げて警戒しています。 
2頭が縦列になって右に移動しました。 
後続の個体は右目の光が失われていて、失明しているようです。

野生動物と言えども、土(泥)の道よりも乾いたコンクリート護岸の方が歩きやすくて好きなようです。 
緩斜面のトラバースも苦にしません。 


シーン3:7/11・午後21:28 (@0:30) 
ハクビシンが登場する直前にガタッ♪と音がして、カメラの画角が少しずれました。 
カメラが動くほどの強風は吹いていなかったので、トレイルカメラを設置してあるニセアカシアの木にハクビシンが登った可能性もありそうです。 

2頭のハクビシンが約30秒の間隔を開けて獣道を右に移動しました。 
右目を失明した個体が後ろをついて歩いていました。(@0:41)

実はシーン3は、ツキノワグマが通過してから2時間15分後でした。
熊の匂い(残り香)をハクビシンが気にする素振りは見せませんでした。



シーン4:7/13・午前00:31  (@0:57)
両目が健常な先頭個体が左から右へ足早に通過しました。 
しばらくすると、右から同一個体が引き返して来ました。 
遅れている後続の個体(右目を失明)を待って出迎えます。 
2頭は鼻を一瞬突き合わせて挨拶してから、一緒に右へ歩き去りました。 

隻眼の個体はやはり若干ハンディキャップがあるのか、いつもパートナーの後から遅れてやって来ます。
隻眼という分かりやすい特徴があると私でも個体識別ができるようになり、観察がますます楽しくなります。
次は性別を知りたくなるのですが、なかなか外性器を見せてくれません。


モクゲンジの花蜜を吸うオオハキリバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午前11:20頃および午後16:00頃・晴れ 

山麓の農村部の裏庭に咲いたモクゲンジに多数のオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が訪花していました。 
花から花へ忙しなく飛び回って吸蜜しています。 
顔色やスコパが見えなくても、腹端が丸ければ雄蜂♂と分かります。 

オオハキリバチ♂がモクゲンジの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:07〜)

似た種類のクズハキリバチ♂も訪花していました。

↑【おまけの動画】 
実は6年前(2016年7月上旬)にも同所でハキリバチの訪花シーンを撮影していました。 
夕方の薄暗いときに撮ったので、映像もいまいちで蜂の種類も見分けられませんでした。 
お蔵入りしていた動画をブログ限定で公開します。 

当時は花の名前が分かりませんでした。 
今回は晴れていて、花の黄色がきれいに撮れました。 
改めて樹種を調べ直します。 
「庭木図鑑植木ペディア」サイトにて、黄色い花が咲く樹木で夏に咲く花を画像検索したら、ムクロジ科のモクゲンジと判明。 
全く聞いたことのない名前で、日本語らしくありません。 
名前の由来を調べてみました。
ムクロジ(ムクロジ科の別植物)の中国名である木患子を誤ってモクゲンジにあてたため、木患子の日本語読みであるモクゲンジになったという。(小学館『日本大百科全書』より引用)

6年越しの宿題を解決できて、すっきりしました。

【追記】
2022年8月下旬

同じ場所のモクゲンジが奇妙な形の果実をつけました。
これはまだ未熟果です。
(モクゲンジの)果実は長さ4〜5cmのホオズキ状にふくらんだ果(さくか)で,熟すると3裂開し,径約7mmの黒色球形の3個の種子を出す。(平凡社『世界大百科事典』より引用)
9月上旬:隙間から茶色の種子がはみ出て見えるようになった。

9月中旬になると、果皮が褐色に色づき、完全に熟したようです。
葉は未だ緑色のままです。




2023年4月下旬
春に芽吹いたモクゲンジの若葉は赤みがかっていました。

2022/09/26

河畔林の林床で採食するスズメの謎【野鳥:トレイルカメラ】

 

2022年7月中旬

河畔林に残されたタヌキの溜め糞場rvをローアングルのトレイルカメラ(自動撮影カメラ)で監視していると、珍しくスズメPasser montanus)が写っていました。 
しかも同じ日の午前中に3回も登場しました。
スズメはシナントロープの代表格で、野鳥なのに人家の周囲でもっぱら暮らしています。 
人家を離れた河畔林内で見るスズメの行動は、とても新鮮でした。 
河原で水浴しに来たついでに河畔林に立ち寄ったのかな?
▼関連記事(ほぼ同時期の撮影)
近縁種で森や林を好むニュウナイスズメPasser rutilans)という別種がいるらしいのですが、動画に登場する個体は黒い頬斑があるので、ニュウナイスズメではありません。
先入観に捕らわれた我々が知らないだけで、スズメも林内で活動しているのかもしれませんね。
ただし、さすがに林内で営巣するスズメを見かけたことはありません。

シーン1:午前5:11(日の出時刻は午前4:25) 
下草の生い茂る林床に降り立ったスズメの成鳥が何かを啄みました。
スズメがこんな藪の中で採食するとは意外でした。 

最近ホンドタヌキはこの溜め糞場rvを全く利用しておらず、新鮮な糞はありません。 
画面の右下隅に古い糞が写っています。 
スズメは古い溜め糞に近寄らなかったので、「溜め糞に集まる虫をスズメが捕食したり、糞に含まれる未消化の種子を採食した」という訳ではありません。 


シーン2:午前5:21 
10分後に再びスズメの成鳥が登場。 
林床に転がっている落枝を伝い歩き、奥に飛び降りて姿が見えなくなりました。 


シーン3:午前10:27 
日が高く昇った時間帯にもスズメの成鳥が再登場。 
前回と同じく落枝を伝い歩き、奥の林床に飛び降りました。 
最後は向こう側に飛び去りました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
古い機種のトレイルカメラを騙し騙し使っているのですが、特に日中の撮影で問題が生じます。 
夜が明けると赤外線の暗視モードから切り替わるはずなのに、画面全体にピンク色のフィルターが掛かったままになっていて、しかもピンクが点滅するのです。 
あまりにも見苦しいので、動画編集時に自動色調補正を施してなるべく修正しました。 
ほとんどモノクロ映像になってしまいますが、植物の緑がうっすらと見えます。

シシガシラの葉から飛び立つヒョウモンエダシャク♀(蛾)

 

2022年7月中旬・午後12:00頃・晴れ 

里山の山道を息を切らして登っていると、シシガシラという羊歯の栄養葉の上にヒョウモンエダシャク♀(Arichanna gaschkevitchii gaschkevitchii)が翅を広げたまま休んでいました。 
触角の形状から♀と分かります。 (※ 追記2参照)
見つけた時にはやや斜めから見下ろすアングルだったので、背側からしっかり撮ろうと私がそっと横に移動したら、警戒して飛び立ってしまいました。 
気温が充分に高かったのか、準備運動もしないでいきなり飛び立ちました。 
山道を下って飛び去る様子を名残惜しく見送りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

ところで、このシダの種類は何でしょう? 
私のフィールドではよく見かけるのですが、勉強不足で名前を知りません。 
羊歯の図鑑を持ってないので、まず入門用の1冊を買い求めないといけません。

【追記】
早速『シダハンドブック』を買って調べたところ、この1回羽状のシダはシシガシラと判明しました。

【追記2】
ヒョウモンエダシャク♂の触角は羽毛状です。
撮影:2006年6月下旬@山麓のログキャビンの外壁(灯火下)。


【追記3】
ヒョウモンエダシャク成虫の体には捕食者対策としてグラヤノトキシンI(旧名アセボトキシン)という有毒物質が蓄積しているそうです。
幼虫の食樹がアセビなどのツツジ科で、その葉に含まれている毒を解毒するのではなく体内に貯め込むのです。
いつか幼虫を探して飼育してみたいものです。

ツツジ類の花蜜や花粉を集めるハナバチ類も中毒にならないのは、いつも不思議に思っていました。
グラヤノトキシンは電位依存性ナトリウムチャンネルのアゴニストです。
耐性がある昆虫のナトリウムチャンネルは、グラヤノトキシンと結合しにくいよう分子進化しているのですかね?
アミノ酸配列を哺乳類と比較すればすぐに分かるはずです。

2022/09/25

夜の池で頭だけ水で洗うツキノワグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月上旬・午後23:00頃・気温20℃

前回の記事:▶ 山中の水場をじゃぶじゃぶ横断するツキノワグマ【トレイルカメラ】

自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で監視している山中の泉に深夜ツキノワグマUrsus thibetanus)がまた現れました。 
対岸の林道を右から左へ歩き去ると思いきや、水場に立ち寄りました。 
2時間前に来た同一個体が戻って来たのでしょうか? 
私は未だ個体識別できないので、別個体かどうか不明です。
関連記事 ▶ 夜に水場を調べに来たツキノワグマ【トレイルカメラ:暗視映像】
赤外線の暗視カメラで熊の両目が白く爛々と光っています。 
カメラの存在に気づいて警戒しているのか、対岸の草むらの匂いを慎重に嗅いでいます。
左岸から池の上に張り出したイロハカエデの枝の匂いを嗅いだ際に、胸に月の輪がちらっと見えました。 
個体識別の鍵となりますが、この水場に登場するツキノワグマは滅多に見せてくれません。
ツキノワグマは全身黒色の体毛で覆われていて、胸部に三日月型の白毛の斑紋を持つものが多い。斑紋には個体差があり、現在生息調査などに使用されているカメラトラップ(自動撮影装置)などでは、この斑紋の違いから個体識別が行われているほどである。なかには「ミナグロ」と猟師たちに呼ばれる斑紋のない全身黒色の個体もいる。そうかと思えば、(中略)全身白色の個体(アルビノ)も、まれにではあるが現れることがある。 (田口洋美『ヤマケイ新書 クマ問題を考える 野生動物生息域拡大期のリテラシー』より引用)
途中で画面が一瞬だけ光ったのは、遠くの稲妻かもしれません。(@0:46) 
雷鳴は聞こえず、熊は全く気にする素振りを示しませんでした。 

用心深いツキノワグマはようやく右前足を池の水に漬け、水面の匂いを嗅ぎました。 
左前足も水に漬け、落枝などを爪で軽く掻き寄せています。 
鼻面を水面に付けた際に水を飲んだのでしょうか? 
左岸の岸辺に密集している黒いオタマジャクシを捕食したら面白いのですが、暗闇ではおそらく見えていないはずです。
この個体はなぜか岸辺に留まったままで、入水・水浴する様子がありません。 

次に見せた行動に私はびっくりしました。 
左前足で掬った水を頭にかけてゴシゴシ擦り始めたのです。 
再び左前足で水を掬い、頭の毛を濡らしました。 
この個体は左利きなのかと思いきや、次は右の前足で水を掬って洗髪しました。 
最後にもう一度、左の前足で掬った水で頭を濡らし、ゴシゴシ擦りました。 
ブルブルと身震いして濡れた毛皮の水気を切ると、後退りで左岸に戻り、林道を左に立ち去りました。 

結局、この個体は頭を水で濡らしただけで、入水・水浴しませんでした。 
ツキノワグマの水浴行動に個体差(バリエーション)があるとは知りませんでした。 
水が嫌いな(怖い)個体なのかな? 
この浅い池の底には腐った落ち葉や泥が堆積しています。 
そのため、熊が入水して歩き回り水底のヘドロをかき混ぜると、メタンガスが湧き上がってドブ臭いのです。 
その悪臭を嫌う個体がいても不思議ではありません。 
熊も「今夜はお風呂に浸かる気になれないし、頭を洗うだけにしよう」などと日によって気紛れなのかもしれません。 
「頭を水で冷やしたい」だけだったのかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 
水の音が聞き取れるように音声も正規化して音量を上げています。 

画面の下に表示される気温のデータがわずか2分半で20℃から29℃へと急上昇しています。 
山火事でも無い限り、深夜の外気温がこれほど急上昇するはずがありません。 
暗視動画を連続で撮影すると、トレイルカメラ自体がかなり発熱してしまうのです。 
信頼できるデータとして、撮影開始時の測定値を採用しました。




↓【おまけの動画】 
ネットニュースで話題になった動物園のツキノワグマです。 
熊がホースを使い「自分で水浴び」しています。

トリアシショウマの花蜜を吸うマエグロコシホソハバチ

 

2022年7月中旬・午後14:10頃・晴れ 

つづら折れの細い山道に沿って咲いたトリアシショウマの群落で見慣れないハバチが訪花していました。 
翅を半開きで白い花穂を歩き回りながら吸蜜しています。 
初めはてっきりアシナガバチの仲間かと思ったのですが、よく見ると腰の太いハバチでした。
背側から見ると、コアシナガバチPolistes snelleni)のワーカー♀にそっくりです。 
横から見ると、腹部側面に黄色の点が左右1対あるのはフタモンアシナガバチの特徴を誇張したように見えます。 
見事なベーツ擬態ですね。 
頭楯が黄色いのは雄蜂♂だから(…とは限らない?)でしょうか。 

薄緑色の尺取虫(シャクガ科の幼虫:種名不詳)も多数訪花していて、おそらくトリアシショウマの花を食べているのでしょう。 
糸を吐いて花穂からぶら下がっている尺取虫もいました。 
他には瑠璃色のハムシ(種名不詳)も花に多数群がっています。 
尺取虫やハムシとニアミスしても、ハバチは全く無関心で花蜜を舐め続けています。 

ハバチが近づくと摂食中のヒメトラハナムグリLasiotrichius succinctus)が後脚を高々と上げて、ハバチを牽制しました。(軽い威嚇、占有行動) 

ハバチがトリアシショウマの花穂から飛び立つまで待てず、同定のために採集を優先しました。 

いつもお世話になっている「蜂が好き」掲示板にて問い合わせたところ、青蜂@管理人さんよりマエグロコシホソハバチTenthredo analis)とご教示いただきました。


ヒメトラハナムグリvsハバチ

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