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2026/10/10

ヤナギハナガサの花でおしっこするキアゲハ夏型♀【ハイスピード動画】

 

前回の記事:▶ ヤナギハナガサの花蜜を吸い飛び回るキアゲハ夏型♀【FHD動画&ハイスピード動画】 


2026年9月上旬・午後12:00頃・くもり 

家庭菜園の花壇に咲いたヤナギハナガサ(別名サンジャクバーベナ)の群落でキアゲハ(Papilio machaon hippocrates)の夏型♀が花蜜を吸っていました。 
花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮影を何度も繰り返していたら、排泄する瞬間が偶然撮れていました。 

口吻を伸ばして吸蜜しながら、腹端から白濁した液体を後方に勢い良くピュっと放出しました。 
キアゲハの成虫は固形物を食べずに摂取しないで花蜜を吸うだけですから、排泄物は液体です。 
これをおしっこ(小便)と呼んで良いのか、正確には糞(液状便)と呼ぶべきなのか、悩ましいところです。 

キアゲハ成虫の脱糞シーンと言えば、羽化直後の蛹便排泄しか見たことがありませんでした。 

関連記事(8年前の撮影)▶  


今回、キアゲハ♀が花からなかなか飛んでくれなくても我慢して撮り続けた甲斐がありました。 
排泄する前兆が分からないので、狙って撮れるものではありません。 
とにかく愚直にたくさん撮り続ければ、いつか幸運の女神が微笑んでくれて、何か面白い瞬間が撮れること(ご褒美)がたまにあるのです。 
ハイスピード動画撮影の魅力の一つは、こうした偶然の副産物にあります。 


【アフィリエイト】 



【考察】
ChatGPTに色々と訊いてみました。
余談のQ4に対する回答が特に面白くて(興味深い)、勉強になりました。

Q1: キアゲハなどの昆虫の成虫が腹端から液体を排泄した場合、おしっことか小便、尿と記述してもよいのか? 液状便と書くのが正しいか? あくまでも腎臓でろ過した排泄物だけが尿と呼べるのか?

A1: はい。昆虫については「尿」と「液状便」を哺乳類とまったく同じ感覚で区別すると、少し不正確になります。

キアゲハのような昆虫の腹端から液体が出た場合、それだけを見て「尿」と断定するのは避けたほうがよいです。昆虫には脊椎動物の腎臓に相当する器官はなく、主な窒素性排泄器官はマルピーギ管です。

昆虫の排泄物は大まかに、

  • 消化管由来の糞
  • マルピーギ管から消化管内へ排出される窒素性老廃物など
  • 水分や無機イオンなど

が最終的に後腸から一緒に排出されます。

したがって、腹端から出た液体が「マルピーギ管で作られた排泄液だけ」という単純なものとは限りません。特に成虫では、羽化直後などにかなり液状の排泄物を出すことがあります。

そのため観察記録なら、

「腹端から液状の排泄物を排出した」

あるいは、より簡潔に

「液状の排泄物をした」

とするのが安全です。

「液状便」も間違いではありませんが、「便」という語は消化管内容物としての糞便を強く連想させます。観察したのが透明または淡黄色の液体で、固形物を伴っていないなら、「液状の排泄物」のほうが中立的です。

では「尿」と呼ぶのは間違いか

必ずしもそうではありません。

生理学的には、動物の窒素性老廃物を排出する液体を広い意味で「尿」と呼ぶことがあります。昆虫についても英語では urine や uric acid excretion などの表現が見られます。

ただし、昆虫の排泄系は脊椎動物とはかなり違います。昆虫ではマルピーギ管が血リンパから老廃物を取り込み、それを消化管へ送り、後腸で水やイオンを再吸収したうえで、糞とともに体外へ出す仕組みです。

つまり、

「腎臓で濾過されたものだけが尿である」

という定義にする必要はありません。そもそも「尿」は腎臓という特定の器官によって作られるものに限定される用語ではありません。

ただ、野外観察で腹端から液体が出たという事実だけを記録する場合には、「尿」と同定してしまわず「液状の排泄物」と書くのが最も無難です。

キアゲハについてなら、もし今回見たのが「捕獲・刺激した成虫が腹端から勢いよく透明な液体を出した」というような現象であれば、これは単なる通常の排泄とは別に、成虫が捕獲されたときにする排泄行動として考える必要があります。その場合は、何が排出されているのかをもう少し絞り込めます。


Q2: キアゲハが訪花吸蜜中に自発的に液状の排泄物を腹端から勢い良く放出したのです。


A2: それなら、「液状便」よりも「液状の排泄物」と記述するのがよいと思います。

特に「訪花吸蜜中に、自発的に、腹端から勢いよく放出した」という状況なら、観察記録としては次のように書くのが正確です。

キアゲハ成虫が訪花吸蜜中、腹端から液状の排泄物を勢いよく放出した。

「排尿した」と書くことも完全に不適切とは言えませんが、この観察だけからそれを「尿」と同定するのは避けたほうがよいでしょう。

理由は、昆虫ではマルピーギ管の排泄物が後腸に送られ、そこで水分などが再吸収された後、糞と同じ排出口から体外へ排出されるためです。したがって、脊椎動物のように「尿路から尿だけを排出する」という明瞭な区別がありません。

また、今回のように「勢いよく」放出したという点は面白いところです。吸蜜中の蝶では、摂取した液体が多い場合に余分な水分を比較的速やかに排出することがあります。そのため、見た目がほぼ透明な液体であっても、それだけで「尿」と判断する必要はありません。

もし実際に「透明な水滴を一滴ずつではなく、腹端からピュッと噴射した」という感じだったのであれば、これは単なる「液状便」と呼ぶより、過剰な水分を含む液状排泄物の排出として記録するのが適切だと思います。


Q3: その排泄物が完全に透明なら、花蜜に含まれる余分な水分を排泄したのだろうと思うのですが、今回は少し白濁した液体でした。したがって、尿酸が少し含まれていそうです。


A3: その推測はかなり筋が通っています。ただし、「白濁していたから尿酸が含まれている」とまでは観察だけから断定しないほうがよいです。

昆虫の窒素排泄では、主に尿酸が重要です。尿酸は水への溶解度が低いため、昆虫では尿酸そのもの、あるいは尿酸塩を含む微細な結晶や懸濁物として排出されることがあります。そのため、排泄液が透明ではなく白っぽく見えることは十分に考えられます。

今回の観察を整理すると、

  • 訪花吸蜜中
  • 自発的に腹端から放出
  • 勢いよく液体を排出
  • 完全な透明液ではなく、やや白濁
  • 固形の糞便として観察されたわけではない

なので、記録としては

キアゲハは吸蜜中、腹端からやや白濁した液状の排泄物を勢いよく放出した。

くらいが最も観察事実に忠実でしょう。

そして解釈を付けるなら、

この液状排泄物には、過剰な水分とともに尿酸などの窒素性排泄物が含まれていた可能性がある。

とするのがよいと思います。

なお、ここで面白いのは「尿酸が含まれているなら白濁する」という点です。尿酸は水に非常に溶けにくいので、かなり薄い溶液として存在するというより、微細な尿酸または尿酸塩の粒子が懸濁して白濁していた可能性もあります。

したがって、今回の「少し白濁した液体」という観察は、単なる余分な水分の排出だけではなく、水分と窒素性排泄物を含む昆虫の液状排泄物だった可能性を考える材料にはなります。ただし、尿酸の存在を確認するには化学分析が必要です。


Q4: アゲハチョウ科の中には夏に大量の水を飲んでミネラル成分を摂取したり体を冷やしたりする種類がいる。(吸水中に余分な水分を腹端から排泄する。)ところがキアゲハではこの行動を一度も見たことがない。理由は解明されているか?


A4: はい。しかも、この点についてはかなり直接的な研究があります。結論からいうと、キアゲハが他の日本産アゲハ類ほどpuddlingをしない理由について、研究者は一つの有力な仮説を提示していますが、まだ完全に解明されたわけではありません。

2015年のInoueらの研究は、日本産のPapilio属8種を比較しています。その中でキアゲハ Papilio machaon は、野外でもpuddlingが特に少なく、実験でも他種とはっきり違いました。さらに重要なのは、著者ら自身が「キアゲハは日本産Papilio類の中で唯一、幼虫がセリ科 Apiaceae を食べる種である」ことに注目している点です。(PubMed Central (PMC))

面白いのは「成虫の好み」の問題ではないこと

別の実験では、日本産Papilio類のpuddlingはNa+によって誘発されることが確認されています。キアゲハもNa+を感知する能力そのものを失っているわけではありません。(スプリンガーリンク)

実際、研究ではキアゲハについても実験的なpuddlingが観察されています。ただし、野外での頻度は非常に低く、実験でも反応する個体が少なかったのです。

さらに2015年の研究では、

  • 139個体のPapilioから尿を採取
  • そのうちキアゲハではほとんどの個体が採尿実験を拒否
  • 実際に尿を採取できたキアゲハはわずか5個体
  • キアゲハの尿量も他種より少なかった

という結果になっています。(PubMed Central (PMC))

これは、質問にある「キアゲハでは大量に水を飲んで腹端から盛んに排水する姿を見ない」という観察とかなりよく符合します。

著者らが考えた理由

研究者が注目したのが、幼虫期の食草です。

キアゲハは日本産のPapilio類では例外的にセリ科植物を主な食草とします。そして、植物の葉は一般にNa+よりK+を多く含みます。

この研究では、puddlingには単にNa+を補給するだけでなく、

「幼虫期に植物から取り込んだ過剰なK+を成虫が排出する」

という役割もあることが示されています。雄ではNa+を吸収する一方、K+を排出していました。(PubMed)

したがって著者らの仮説は、おおむねこうです。

キアゲハの食草であるセリ科植物から摂取するミネラル組成が他のPapilio類と異なるため、成虫になったときにpuddlingによってNa+を補給したりK+を排出したりする必要性が相対的に低いのではないか。

実際、論文では「キアゲハがpuddlingをあまりしないこと」と「セリ科食草であること」の関係を明示的に仮説として提示しています。ただし、食草のミネラル組成だけで種間差を完全には説明できておらず、著者らも確定的な因果関係とはしていません。(PubMed Central (PMC))

そして、今回の観察は少し興味深いです

今回あなたが観察した、

「吸蜜中のキアゲハが腹端から、やや白濁した液体を勢いよく排出した」

という現象は、通常のpuddlingとは逆方向の行動です。

puddlingでは、

「水を飲む」
↓
「ミネラルを取り込む」
↓
「同時に余分な水分やK+などを排出する」

という現象が起こります。実際、日本産Papilio類では、puddling中に吸水と排泄が同時に起こることが知られています。(PubMed Central (PMC))

したがって、キアゲハがpuddlingをしないからといって、「成虫は水を大量に飲んだときに排水できない」という意味ではありません。

今回の観察はむしろ、

「キアゲハも吸水量が多くなれば、腹端からかなり大量の液体を排出できる。ただし、そもそも野外で他のPapilio類のようなpuddlingをする動機が弱い」

という可能性と整合します。

なお、あなたが最初に述べた「体を冷やす」というpuddlingの機能については、今回見つかった日本産Papilio類の研究では主としてNa+の補給とK+の排出が調べられており、キアゲハが「冷却目的でpuddlingしない」ことまで実証した研究ではありません。ここは分けて考えたほうがよいです。

特に興味深いのは、キアゲハがセリ科植物を食べることとpuddling頻度の低さを結びつけたこの論文が、まさに「なぜキアゲハだけこんなにpuddlingしないのか」という疑問を研究者自身が持って行った研究だという点です。今回のあなたの野外観察は、この既知の種差とかなり一致しています。



2026/10/04

橋の欄干で日光浴する越冬明けのルリタテハ

 

2025年4月中旬・午後14:20頃・晴れ 

山麓の谷に架かる水路橋の手摺に越冬明けのルリタテハ(Kaniska canace no-japonicum)が留まっていました。 
私が知らずに近づいたら飛び立ったものの、すぐに再着陸。 
ルリタテハの性別を私には見分けられませんが、縄張りを張って♀を待ち伏せしている♂なのかな? 

翅を開閉しながら日光浴しています。 
きれいな翅表がしっかり見えずに残念でした。 
ルリタテハはとても敏感な蝶で、私が少しでも動いてアングルを変えようとすると、すぐに逃げてしまうのです。
顔と翅裏しか見せてくれないというのも、それはそれで珍しいアングルです。 
口吻を伸ばして手摺の表面を舐めている訳ではありませんでした。 
昆虫は6本脚なのに、タテハチョウ科の成虫は脚が4本しかないように見えます。 
前脚が退化しているからです。

2026/10/01

モンシロチョウ♀♂の交尾と連結飛翔【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2025年6月下旬・午後12:25頃・くもり 

田園地帯の農道で交尾中のモンシロチョウ♀♂(Pieris rapae)を見つけました。 
連結したまま飛び回り、ようやく畦道の草むらに留まったところを撮影しました。 

モンシロチョウの♀♂ペアは、互いに反対向きでオモダカの葉に乗っています。 
左側の個体Lは翅をしっかり閉じていますが、翅裏の黄色みが強いので♀と分かります。 
右側の個体Rは♂で、自分の翅は半開きにして、♀の閉じた翅を挟み込んでいます。
♂Rは前翅表の黒い斑紋が少し見えていて、そこでも♂と見分けられます。 

オモダカの葉から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:17〜)
帽子を投げつけて強制的に飛び立たせました。 
さらにスロー再生でリプレイすると、先に飛び立ったのは♂Rでした。 
続けて♀Lも羽ばたいて飛び立ちました。 
高く飛び上がると今度は♀Lが主導権を握り、♂を引きずるように連れて左へ飛び去りました。 
このタイプの連結飛翔は、←♀+♂と記述できます。 

意外にもモンシロチョウの連結飛翔は初見でした。
交尾器を連結したまま緊急避難で飛び立った直後に飛翔の主導権を握る個体が交代する蝶の事例を観察したのは今回が初めてです。 
♀♂ペアのうち、どちらかが主導権を握って他方はそれに身を委ねないと、天敵から素早く逃げられません。
それどころか、互いに逆向きに飛ぼうとして交尾器が引き千切られてしまいます。

2026/09/26

林縁で日光浴するクロアゲハ♀の飛び立ち【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2025年5月下旬・午後15:25頃・晴れ 

平地の林内で下草にクロアゲハ♀(Papilio protenor)が留まっていました。 
私が近づいたら飛び立ち、日の当たる林縁へ向かいました。
(動画はここから。) 

クロアゲハ♀に追いつくと、翅を全開にしてヤマグワの葉に留まり、日光浴していました。 
翅表にビロード状の性標がないので、♀と見分けられます。  

次は少し飛んで、シダ(種名不詳)の葉に留まり直しました。 
今度は全開にした翅の裏面が見えるようになりました。 


クロアゲハ♀がヤマグワの葉から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:33〜) 
翅を全開にした状態から、力強く羽ばたいて飛び去る様子を、横から撮りました。 


【考察】 
そもそもクロアゲハ♀がなぜこの林内にいたのか、気になります。 
林内に蜜源植物は咲いておらず、産卵行動もしていませんでした。 
幼虫の食樹植物はサンショウやキハダなどミカン科植物らしいのですが、サンショウの灌木をこの林内で見かけたことがありません。 
この林内にキハダの木が自生していると最近知ったので、クロアゲハ♀もキハダに産卵しに来たのかもしれません。


【追記】
YouTubeの動画に、阿多儀允さんから次のコメントを頂きました。
黒条がはっきりしているのでクロアゲハに見えますね
確かにご指摘の通りなので、カラスアゲハ♀から訂正します。


2026/09/20

ニラの花から花へ飛び回り吸蜜するヒメアカタテハ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年8月下旬・午前11:30頃・くもり 

道端に咲いたニラの群落で、ヒメアカタテハ(Vanessa cardui)が訪花していました。 
意外にもこの組み合わせは初見です。 
半開きの翅を開閉しながら口吻を伸ばして花蜜を吸っています。

ヒメアカタテハがニラの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:40〜) 

コアオハナムグリ(Gametis jucunda)も一緒に訪花していましたが、互いに没交渉でした。

2026/09/17

食草を探して飛び回りウスバサイシンの葉に産卵するヒメギフチョウ♀

 

2026年4月下旬・午前11:10頃・晴れ 

里山の細い山道でヒメギフチョウ♀(Small Luehdorfia)が低く忙しなく飛び回っていました。 
ウスバサイシンなど幼虫の食草を探しているのでしょう。 
メインの林道へ合流する地点の手前で、日当たりの良い場所でした。 

下草に点々と生えたウスバサイシンに何度も舞い戻ってきて、触角や脚で葉に触れて吟味しています。 
腹端を曲げて葉裏に産卵したかどうか、肝心の腹端が隠れて見えませんでした。 
過去に撮った産卵動画ではもっと時間をかけていたので、今回はなぜか産卵してない気がします。 
ウスバサイシンの葉をめくって卵の有無を確認すべきでしたね。 

関連記事(13、18年前の撮影)▶  

山道の法面にはカタクリの花が咲いていたのに、ヒメギフチョウ♀は吸蜜せずに飛び続けています。 


※ ヒメギフチョウ♀の飛ぶ動きがあまりにも速いので、等倍速の映像は割愛し、全編1/5倍速のスローモーションに加工しました。 
必死で流し撮りを試みた映像は手ブレがひどく、そのままでは見てられません。 


【考察】
今のところ、私がヒメギフチョウを見かけるのは、いつも里山の低い地点ばかりです。 
春に羽化したギフチョウやヒメギフチョウは、配偶行動のために山頂や尾根に集まるらしいのですけど、私はまだ一度もヒメギフチョウの求愛や交尾を観察できたことがありません。 
春山の山頂や尾根まで登る回数をもっと増やさないといけません。 
(長い冬の後の春は私の体力が落ちているのと、残雪の雪崩がちょっと怖いのです。)

地球温暖化が進むと、北方系のヒメギフチョウはますます見られなくなるだろうと予想しています。
シカが今まで越冬できなかった雪国(豪雪地帯)にまでこれから分布を広げると、ヒメギフチョウの食草であるウスバサイシンを含めてあらゆる下草を食べ尽くされてしまう、という恐ろしい懸念もあります。

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2026/09/14

マメグンバイナズナに産卵した後で砂利道で休むモンシロチョウ♀

 



2026年6月中旬・午前10:45頃・くもり 

田園地帯の農道で草丈高く育ったマメグンバイナズナにモンシロチョウ♀(Pieris rapae)が訪花していました。 
よく見ると、花蜜が目的ではなく、卵を産み付けていました。 
(前回の記事と同じ撮影日ですが別個体です。)

少し飛び回ると、すぐ横の砂利道に着陸しました。 
このとき口吻を伸ばして小石の表面を舐めているような気がしたのですけど、どうですかね? 
蝶の♀がミネラル摂取するのは珍しいので、私の願望から片方の触角を口吻と見間違えたのかもしれません。 
しかし口吻を縮めているのなら、口元にゼンマイ状の口吻があるはずなのに、見えません。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。

2026/09/11

ユウマダラエダシャク♀(蛾)は夕方にならないと上手く飛べないのか?

 

2025年5月中旬・午後15:10頃・くもり 

河畔林の林床でユウマダラエダシャク♀(Abraxas miranda miranda)が落ち着きなく羽ばたきながら歩き回っていました。 
Abraxas属には近縁種が多数いて見分けるのが難しいのです。
この個体は羽ばたきを止めたときに、前翅前縁中央にある灰色の斑紋の中に黒い輪状の紋が無かったので、ユウマダラエダシャクと判明しました。 
腹部が太いので、卵巣の発達した♀のようです。 

下草や細い落枝などに羽ばたきながらよじ登っても、上手く飛び立てません。 
短距離を低く飛ぶだけで、すぐに着地してしまいます。 


【考察】 
今回観察したユウマダラエダシャク♀は、羽化直後で飛ぶ力がまだないのでしょうか? 
「夕斑枝尺(蛾)」という和名の通り薄明薄暮性らしいので、 明るい昼間は眩しくて本格的に飛ぶ気がないのかな? 
もしかして、身重の♀はあまり飛び回らずに、静止したまま性フェロモンを放出して、誘引された♂と交尾するのかもしれません。 
あるいは、交尾後の♀がニシキギ科の食樹植物を探索していたのかもしれません。 
映像には写っていませんが、例えばツルマサキだったら、河畔林のどこかに自生していそうです。

2026/08/26

ブタナの花蜜を吸い飛び回るキアゲハ♀春型【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年6月中旬・午後12:50頃・くもり 

里山の山頂広場に咲いた帰化植物ブタナ(ヨーロッパ原産の外来種)の群落で春型のキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が忙しなく訪花していました。 
ともに普通種ですが、意外にもこの組み合わせは初見です。 
カメラのピントを合わせるのが難しい…。

花から花へ忙しなく飛び回り、吸蜜中も翅を翅を小刻みに羽ばたかせています。 
ブタナの細長い茎の天辺にある頭花に留まると、キアゲハの体重でも茎がしなって姿勢を崩すので、羽ばたき続けることでバランスを保っているのです。 

キアゲハ♀がブタナの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:26〜) 
翅表が全体的に暗色ではないので、まだ春型です。 
腹端を横から見た形状から、♀と判明。 


街なかならともかく、本来は生物多様性が高いはずの里山でも帰化植物のブタナが占有しているという事実は深刻です。 
山頂広場をヒトが草刈りで撹乱しているので、在来種の植物は育ちにくく、この結果は自業自得です。 
キク科のブタナは綿毛(冠毛)を使った風散布で種子の分布を広げます。 
こんな山頂まで平地からブタナの種子が飛んで来るでしょうか? 
台風だったら、あり得るかなぁ?
まさか誰かが「殺風景で寂しいから黄色い花を咲かそう」と、無神経な「善意」でブタナの種を撒いたのかな?と疑ってしまいます。
平地から飛んだ種子が山頂まで一気に辿り着くのは難しそうだと思ったのですが、山道に沿って毎年少しずつ標高を上げたのかもしれません。

森昭彦『帰化&外来植物 見分け方マニュアル950種』でブタナについて調べると、ブタナが孕む外来種問題のジレンマを筆者は喝破しておられました。
・草刈りしても根が残れば再生する
・なかなか手ごわい相手である。(中略)蜜源植物でもあるため、ハチなどの昆虫は嬉々として集まり(中略)、地元の生物多様性を、植物界の多様性を打ち砕く本種が支えているのもまた事実。
(p628〜629より引用)


関連動画(訪花昆虫などをまとめたプレイリスト)▶  ブタナに来る生き物たち


2026/08/23

サツキツツジ(華宝)の花蜜を吸うカラスアゲハ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2025年6月中旬・午前11:35頃・くもり 

郊外の住宅地で民家の狭い庭の植え込みに咲いたサツキツツジ(サツキ)でカラスアゲハ♀(Papilio dehaanii dehaanii)が忙しなく訪花していました。 
半開きの翅を小刻みに羽ばたきながら、口吻を差し込んで吸蜜しています。 

花弁が濃いピンクと白色(薄いピンク)という2種類の品種が並んで咲いていて、カラスアゲハ♀は分け隔てなく両方訪れていました。 
今回は花色による選好性を示さなかったことになります。 

花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:42〜)
スローモーションにすると、カラスアゲハ♀の優雅な羽ばたきを堪能できます。


※ 撮れた動画素材の順番を編集で入れ替えました。


私は園芸植物に疎いので、このツツジの仲間についてPerplexity AIに訊いてみました。 
Q: 庭に咲いているツツジの仲間で、花弁が波打っている種類(品種)の名前は? 花弁の色はピンクと白。 
A: おそらく、サツキ(サツキツツジ)の品種 「華宝(かほう)」 です。花弁がひだ状に大きく波打つ「波打ち咲き」で、紅色・白色のほか、絞りや覆輪など花色の変化があります。 候補 華宝(かほう) 大輪で、花弁が強く波打つ代表的な品種。ピンク~紅色、白、絞り、覆輪などがあります。 


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2026/08/17

マメグンバイナズナの葉に次々と産卵するモンシロチョウ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年6月中旬・午前10:25頃・くもり 

田んぼの農道に点在するアブラナ科の帰化植物マメグンバイナズナの群落でモンシロチョウ♀(Pieris rapae)が飛び回っていました。 
白くて小さな花も咲いていますが、モンシロチョウ♀は吸蜜目的で訪花を繰り返しているのではありません。 
卵をひと粒ずつあちこちの食草に産みつけています。 
この農道にはシロツメクサの花が咲いているものの、モンシロチョウ♀は見向きもしないでマメグンバイナズナに産卵を繰り返しています。 

モンシロチョウ♀が食草の茎にしがみついても葉が細いので、腹端を葉裏に上手く擦りつけられないでいます。 
腹端を曲げても葉裏を探り当てにくいようです。 
しがみついている茎が細くて産卵姿勢が安定しないのも問題です。 
蝶はすぐにバランスを崩してぐらぐら動いてしまい、そよ風が吹いただけでも揺れています。 

食草の探索飛翔および産卵行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:34〜) 
この♀個体は、産卵に失敗した卵を腹端に付着したまま飛び回っていることに気づきました。 


軍配のような円盤状の実をつけるペンペン草と言えばグンバイナズナしか私は知りませんでした。
念のために『帰化&外来植物 見分け方マニュアル950種』という図鑑を紐解いてみると、何種類もあることが分かりました。(p399 〜401)
今回の種類は、葉の基部が茎を抱かず、茎に毛が生えておらず、葉に深い切れ込みがないことなどから、マメグンバイナズナのようです。
ちなみに、アブラナ科植物の果実は角果(蒴果の一種)に分類されるそうです。
グンバイナズナの果実に見られる翼は、種子の風散布に寄与する可能性があるとは言え、翼果とは言えないのだそうです。(Perplexity AIより)


【考察】 
モンシロチョウ♀はアブラナ科の植物に産卵します。
食草となった植物側も様々な対抗策を進化させているはずです。 
孵化した幼虫(いわゆる青虫)の食害を阻害する防御策についてはよく調べられていますが、成虫♀に産卵されにくくする進化もありそうです。 
同じアブラナ科でもキャベツのような幅の広い葉とは違って、マメグンバイナズナの葉は細長く、そのせいで明らかにモンシロチョウ♀は産卵しにくく手間取っていました。 
また、葉の表面をワックスなどでコーティングして卵が付着しにくくしているのかもしれません。

植物の表面は、つるつるとしたロウ状の油性物質を分泌し、軟毛に覆われていて、昆虫の卵や幼虫や蛹は植物の表面に付着するのがなかなか難しい。これらは植物の物理的防衛メカニズムだが、昆虫はこれらの物理的防衛メカニズムを突破する必要がある。(中公新書 p121より引用)

関連記事(5、10、12年前の撮影)▶ 



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2026/08/09

飛べ!ギンボシリンガ【蛾:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2025年6月上旬・午後13:50頃・くもり 

里山の山道の横で見慣れない蛾を見つけました。 
タニウツギっぽい幼木(樹種不明)の葉表に乗ってじっとしています。 
保護色どころか、かなり目立っています。 
白地に描かれたオレンジ色の模様が、黒で縁取られています。 
なかなかセンスの良いデザインですね。 

電子版の図鑑『くらべてわかる蛾 1704種』を眺めると、絵合わせでかんたんに名前が判明しました。 
コブガ科のギンボシリンガ(Ariolica argentea)です。 

本種のホスト(食樹植物)はミツバツツジとのことで、タニウツギは無関係でした。 
そもそもミツバツツジは東日本に自生していませんから、おそらく当地ではツツジ科の別の植物を食べて育つのでしょう。 

飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:08〜) 
私が長靴を履いた右足で軽く蹴って下生えを揺らすと、ギンボシリンガは準備運動なしで慌てて飛び去りました。 

2026/08/05

ハルジオンの花で吸蜜するダイミョウセセリ

 

2026年5月中旬・午後12:55頃・晴れ 

里山で山腹をトラバースする人通りの少ない林道に咲いたハルジオンの群落でダイミョウセセリ(Daimio tethys)が訪花していました。 
翅を全開のまま吸蜜しています。 
後翅に白い斑紋がなくて真っ黒なダイミョウセセリは関東型と呼ばれるらしいのですが、山形県をフィールドとする私は、他の型を見たことがありません。

関連記事(13年前の撮影)▶ ハルジオンの花蜜を吸うダイミョウセセリ 


舌状花がピンクではなく白っぽいのでヒメジョオンと迷いました。
念のために茎が中空であることからハルジオンと確認しました。 
他の識別点もチェックすると、蕾は下向きに垂れ下がっていますし、葉は茎を少し抱いています。 
花が咲く時期に根生葉(長楕円形またはへら形)が残るという特徴もハルジオンにはあるのですが、今回はそこまで見ていません。 


この後に同一個体のダイミョウセセリが少し飛んで、近くに咲いていたタニウツギにも正当訪花しました。
しかし蜜量が少なかったのか、私がカメラを向ける前に飛び去ってしまいました。

2026/07/28

セイヨウタンポポの花蜜を吸う春型のキアゲハ♀

 

2025年5月中旬・午後13:00頃・くもり 

農道の道端に咲いたセイヨウタンポポの群落で春型のキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が訪花していました。 
共に普通種なのに、意外にもこの組み合わせは初見です。 

翅に傷一つないきれいな状態でした。 
おそらく羽化直後なのでしょう。 
その翅を半開きのまま吸蜜しています。 
腹端の形状から性別は♀と判明。 
一緒に咲いているヒメオドリコソウの花には見向きもしませんでした。

途中からセイヨウミツバチ(Apis mellifera)のワーカー♀が右隣りの花に飛来して、採餌していました。

2026/07/24

シダエダシャク(蛾)と春風

 

2026年5月上旬・午後14:40頃・くもり 

線路の土手(砕石バラスト)に生えた雑草の茎に地味な蛾がしがみついていました。 
この茎は赤くて棘が生えているので、キイチゴ類のようです。 
前翅を後翅に重ねて三角の翅形で留まっている蛾を写真に撮ってGoogleレンズで画像認識してもらうと、たちどころに名前が判明しました。 
シダエダシャク(Petrophora chlorosata)の食草は、山菜として有名なシダ植物のワラビらしく、キイチゴは無関係でした。 

シダエダシャクが強い春風に翅が煽られて、地面に吹き飛ばされました。 
自発的に飛んだ(飛び降りた)と言えるかどうか、微妙です。 
地上で半開きの翅を上下に動かしています。 
翅をたたむと、触角が翅の下に隠れて見えなくなりました。 
翅が周囲の落ち葉と同じ薄茶色なので、じっとしていると紛らわしいです。 
見事な隠蔽擬態ですね。 

隣の田んぼ(刈田)でキジ♂が縄張り宣言の母衣打ち♪する鳴き声が聞こえます。

2026/07/20

池畔の泥を舐めてミネラル摂取するダイミョウセセリ♂

 

2026年5月中旬・午後12:15頃・晴れ 

山中にあるモリアオガエル繁殖池で、関東型のダイミョウセセリ♂(Daimio tethys)が、岸辺に堆積したスギの落葉落枝の上に留まっていました。 
翅を全開にしたまま黒い口吻を伸ばして、泥で汚れた落葉落枝の表面を舐めています。 
ダイミョウセセリの飲水行動は初見です。
(ダイミョウセセリは)各種の花を訪れるほか、吸水や獣糞での吸汁も行う。(フィールドガイド『日本のチョウ』p280より引用)

 多くの蝶では、♂が性成熟のためにミネラル摂取するのですが、ダイミョウセセリではどうなのでしょう? 
図鑑で性別の見分け方を調べると、
♂♀で色彩・斑紋はほぼ同様だが、♀の翅形はやや丸い、♂の後脚の脛節に長い毛束がある、♂の腹部は細く、♀はやや太く、腹端に毛が密生する。(フィールドガイド『日本のチョウ』p280より引用)
とのことでした。 
しかし今回の映像では、いずれの形質も隠れて見えません。 
後半にようやくダイミョウセセリが向きを変えてカメラに対して正対してくれたときに腹部をよく見ると、「♀は腹端が太く毛が密生」という特徴が当てはまらなかったので、どうやら♂のようです。 

長時間泥を舐めてミネラル摂取する蝶の中には、余分な水分をときどき排出したり、尿をかけてミネラル成分を溶かしてから吸い戻しをしたりする種類が知られています。
今回のダイミョウセセリ♂が吸水中に排尿しているかどうか、残念ながら腹端がよく見えませんでした。 

撮影中は気づかなかったのですけど、微小のハエ類(複数種、種名不詳)が辺りを徘徊したり、翅を開閉・誇示したりしています。 
微小なハエが歩いて近づいたり飛来して左翅に留まったりしても、ダイミョウセセリ♂はほとんど気にしませんでした。 
ビクッと翅を閉じかけても、しばらくすると全開に戻りました。 

ダイミョウセセリ♂は一心不乱に舐め続け、一向に飛び立とうとしません。 
自発的に飛び立つまで撮り続けるつもりだったのですが、さすがに痺れを切らしました。 
ズームアウトしてから歩いて蝶に近づき、強制的に飛び立たせました。 
飛翔能力は正常だったので、「飛べないダイミョウセセリが池の岸辺に不時着していた」という解釈を排除できます。

池ではモリアオガエルやアマガエルがひっそりと鳴いていました♪ 


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2026/07/16

モモブトスカシバの飛び立ち【蛾:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年6月下旬・午後12:05頃・晴れ 

畑に隣接する二次林の林縁で見慣れない毛深い蛾を見つけました。 
植物の葉の上で翅を閉じて静止しています。 
全体的に地味な色なのですが、体毛や鱗粉に白っぽい毛が混じっている他、触角の中間部が水色になっているのが目を引きました。 

絵合わせで初めはルリオオモモブトスカシバかと思いました。 
ところが分布が九州となっている上に、成虫の出現時期が夏となっています。 
昨今の地球温暖化で南方系の蛾が山形県にまで分布を広げている(北進)のでしょうか? 
タイワンモモブトスカシバは更に南方系なので、さすがに論外でしょう。 
ようやくモモブトスカシバ(Macroscelesia japona)に落ち着きました。 
触角の中間部の水色が決め手となりました。 

モモブトスカシバが飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:12〜) 
私が帽子を投げつけたら、準備運動しなくても直ちに飛んで逃げました。 
スカシバガ科(透かし羽蛾)の一種なのですが、スーパースローでも羽ばたきが早すぎて、鱗粉が落ちて透明になっている翅を確認できませんでした。 
毛深い後脚の空気抵抗が大きいのが見て取れます。 
天敵から逃げる際に不利な形質がどうして♀でも♂でも進化したのか、気になります。 
性フェロモンを放出するヘアペンシルのような役割があるのでしょうか? 
ヘアペンシル仮説にしても性淘汰のハンディキャップ仮説にしても、♂だけに見られる形質なら分かるのですが、♀も毛深いのが不思議でなりません。
むしろ飛翔を安定化するなどプラスの機能があるのかな?
脚の毛を除去したら飛行に影響があるのかどうか、調べてみるのも面白そうです。
訪花するハナバチ類♀の後脚にある花粉籠に似せたベーツ擬態ではないかという説を読んだこともあります。

今回の個体が留まっていた葉の植物名を調べるのを忘れてしまいましたが、食草とは無関係でした。 
モモブトスカシバ幼虫の食餌植物として、ウリ科のアマチャズルが報告されていて、虫こぶ(虫えい)を形成するらしい。 
私はアマチャヅルという地味な蔓植物を知らなかったので、フィールドに自生しているかどうか調べていません。 
(山形県にも普通に分布しているらしい。)
他のウリ科植物として、キカラスウリなら近くに自生しています。 
畑の栽培植物なら、カボチャやキュウリ、ズッキーニなどもあり得るでしょうか? 
ChatGPTに質問してみたら、ウリ科の作物を食害するスカシバガ科の害虫はいないらしい。
スカシバガ科幼虫は、多くの種が「穿孔性」です。 一方、ウリ科作物の多くは一年生の柔らかいつる植物であり、毎年植え替えられるため、スカシバガ類にとっては必ずしも適した生活史ではありません。そのため、ウリ科を利用する種はいても、農業害虫として大発生する例は比較的少ないと考えられています。


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擬態する蛾スカシバガ (月刊むし・ブックス 3) 

(モモブトスカシバの)幼虫はアマチャヅルの茎に潜って虫えいを造り、その中で終令幼虫の状態で越冬し、蛹化する。(中略)アマチャヅルは暗い林床に多いが、成虫は開けた環境を飛翔したり、白色系の花を訪れる。 (p137〜139より引用)

長らく未知だったモモブトスカシバのホストをどうやって突き止めたのか、という苦労話のコラムが面白かったです。 

2026/07/12

ベニシジミ♀♂の激しい求愛飛翔【ハイスピード動画】

 

2026年6月下旬・午前11:30頃・晴れ 

田んぼの農道で2頭のベニシジミ(Lycaena phlaeas daimio)が激しくもつれ合うように低く飛び回っていました。 
とんでもなく動きが速いので、初めから240-fpsのハイスピード動画で撮影してみました。 
固定焦点になりますが、1/8倍速のスローモーションで長く記録することができました。 
初夏の陽射しが強いので、ハイスピード動画の撮影をするにはうってつけの条件です。 
激しく乱舞する蝶の影が地面にくっきり落ちています。 

これが求愛飛翔なのか同性間の縄張り争いなのか正しく解釈するためには、ベニシジミの性別を見分ける必要があります。 
ゼフィルス(ミドリシジミ族)と同様に、♂同士が誤認求愛した結果、激しい卍巴飛翔になっているのかもしれません。 

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ベニシジミには、翅表の斑紋が赤っぽい春型と黒っぽい夏型という季節型があります。 
6月下旬という初夏の時期は、ちょうど春型から夏型への移行期になります。 
同一個体で翅の赤い鱗粉が剥げ落ちて春型から夏型に変わるのではなく、新しく羽化してくる夏型の個体は生まれつき翅表の鱗粉が黒っぽいのです。

今回のベニシジミは、サイズにやや大小の差があるペアでした。 
傾向としては、♀>♂らしい。(大きさだけで性別を決めつけるのは危険) 
森上信夫『虫のオスとメス、見分けられますか?』という本でベニシジミについて調べると、(シジミチョウ科の)雌雄の識別点は前脚の跗節なのだそうです。 (p20より) 
しかし、それは採集した標本で見比べたり静止している状態で接写しないと使えません。 
翅頂の角度が尖っているか丸みを帯びているかで性別を見分ける方法も図鑑に書いてありました。
しかし今回のように2頭が激しく飛び回っている状態では、羽ばたく翅の角度が刻々と変化するので、スーパースローでも見比べることが不可能です。

映像で行動をじっくり観察した結果、翅表の紅色が鮮やかな大型個体は春型♀で、色褪せた(黒っぽい)小型個体は夏型♂だろう、と推測することができました。 

2頭のベニシジミは、ときどき互いの翅が触れ合いそうなぐらい、ぶつかるように飛んでいました。 
早く交尾したい♂は、♀の前に回り込んで飛び、着陸を促しているのでしょう。 
一方、♀が♂の求愛を嫌がって逃げ回っているようには見えません。 
ただし、風のせいで♀の逃避行動が分かりにくくなった可能性もあります。
♀が本気で嫌がっているのなら、着陸して草むらに隠れたり、明確な交尾拒否姿勢を♂に見せつけるはずです。
♀は求愛する♂を焦らすように飛び続け、♂のスタミナ(持久力)を試しているのかもしれません。 
手前に飛来したモンシロチョウ(Pieris rapae)が高速で横切っても、求愛行動に夢中のベニシジミ♀♂は見向きもしません。 (@0:29〜)

途中から風が吹いたようで、ベニシジミが全力で羽ばたいても前進できず、風下にどんどん流されていきます。 
(周囲の草も風で揺れています。)
農道を離れて横の畦道や水田の方へ飛んでいきました。 
田んぼの水面の上を低く飛び続けます。 
うっかり着水してしまったら、蝶にとっては危険です。(溺れるリスク) 
なんとか飛び続けて田んぼから畦道を経て農道に戻ることができました。 

残念ながら今回も交尾まで見届けられませんでした。 
結局ベニシジミ♂の必死な求愛は成就せず、やがて♂は諦めて♀から離れて行きました。 
空中で飛びながら♀が交尾拒否の合図を♂に出していたのかどうか、私にはよく分かりませんでした。 
性フェロモンも関与しているとなると、嗅覚の鈍いヒトがベニシジミの配偶行動を読み解くのは難しくなります。





【考察】 
スーパースローでじっくり見ると、ゼフィルスのような卍巴飛翔ではありませんでした。
今回のペアの飛翔高度は低空に終始していました。
蝶の縄張り争いでは、高く舞い上がることが多いはずです。
初めのうち、ベニシジミ♂は♀の進路を塞ぐように前方に位置して飛んでいました。
羽ばたく翅の模様を見せつけて、自分が同種の♂であることを♀にアピールしているのでしょう。
(このとき♂が性フェロモンを分泌しているかもしれません。)
♀が高度を下げて地面近くになると、♂は♀の上を飛ぶようになり、上から押さえつけるような(着陸を促す)位置取りになりました。

鈴木芳人. ベニシジミ雌の交尾回避行動. 蝶と蛾, 1978, 29.3: 129-138.
という古い文献をPerplexity AIに紹介してもらったのですが、JstageでPDFファイルをダウンロードして読んでみると、筆者が丹念に観察した焦点は求愛飛翔ではありませんでした。 
約50年前の当時はハイスピード動画などという文明の利器はありませんから、留まった状態のベニシジミ♀へ♂がアプローチする様子を主に観察しています。 

参考ブログ:ベニシジミの求愛行動(4月2日)by 探蝶逍遥記 


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2026/07/08

オオバクロモジの葉から飛び立つツマトビシロエダシャク【蛾:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年5月下旬・午後13:25頃・くもり 

里山の急斜面をつづら折れで登る細い山道の横で見慣れない蛾がオオバクロモジの葉の表に留まっていました。 
翅を広げてぺたんと静止しています。 
背景が緑の葉だと、クリーム色の翅がよく目立ちます。 

絵合わせではミミモンエダシャクかと思ったのですけど、よく見ると違います。 
写真に撮ってGoogleレンズ(画像認識AI)で調べてもらうと、ツマトビシロエダシャク(Spilopera debilis)と判明。 

幼虫の食餌植物はクロモジではなく、タニウツギなのだそうです。 
タニウツギは辺りにたくさん自生しているので、納得しました。 

ツマトビシロエダシャクが飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:09〜) 
帽子を投げつけたら、準備運動なしで慌てて飛び去りました。 

実は初見ではなく、すでに蛾像を撮影済みだったのに、20年前なので全く覚えていませんでした。
すっきりしたデザインの蛾ですね。
 

2026/07/04

ハルジオンの花蜜を吸うキオビトビノメイガ(蛾)

 

2026年5月下旬・午後13:55頃・晴れ

里山の山腹をトラバースする林道に咲いたハルジオンの群落でキオビトビノメイガ(Pyrausta mutuurai)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 


とても小さな蛾ですけど、翅の模様のデザインが美しくて好きな種の一つです。
翅を全開にしたまま口吻を伸ばして中心部の筒状花から吸蜜していました。 
背後にクロマルハナバチ♀?(またはベーツ擬態のハナアブ)が飛来しても、この小蛾は気にせず吸蜜を続けています。 

私が動画を撮りながら近づいたら、キオビトビノメイガはハルジオンの花から飛び立ちました。 
高速の羽ばたきによって翅のオレンジ色の斑紋がチラチラと明滅して見えます。
雑草が一面に蔓延る林道を低空で飛んでから、カキドオシの葉の上に留まりました。 
触角を前脚で拭ったり、前脚を口で舐めたりして、身だしなみを整えています。


【考察】
小蛾の中では結構メジャーな種なのに、キオビトビノメイガ幼虫の食餌植物はまだ解明されていないそうです。
最新科学技術を使ってどのようにアプローチすれば良いでしょうか?
ChatGPTにアイデアをもちかけて相談してみました。

Q: 昆虫の中には、幼虫時代の食餌植物がいまだに分かっていない種がいる。採集した成虫を試料とし、DNAバーコーディングによって消化管内に残った微量な餌の種類を突き止めることはできないか? 変態の時期に消化管内の餌は完全に分解されてしまうだろうか?

A: 結論から言うと、ほとんどの完全変態昆虫では、この方法は期待できません。理由は、幼虫から成虫への変態の過程で消化管の内容物がほぼ失われるためです。

もう少し詳しく説明します。

完全変態昆虫(チョウ目、コウチュウ目、ハエ目、ハチ目など)では、終齢幼虫が蛹になる前に**摂食を停止し、消化管内の内容物を排出(gut purge)**することが一般的です。その後、蛹期には消化管を含む多くの組織が大規模に再編成されます。

このため、

  • 幼虫が最後に食べた植物組織

  • 植物DNA

  • 葉緑体DNA

などが成虫までそのまま残る可能性は極めて低いと考えられます。

したがって、成虫の消化管から「幼虫時代の食草」をDNAバーコーディングで特定することは、通常は困難です。

一方、不完全変態昆虫(バッタ類、カメムシ類など)では話が少し違います。幼虫(若虫)と成虫の間で消化管が完全に作り替えられるわけではないので、羽化直後であれば若虫時代の餌が残っている可能性はあります。しかし時間が経って成虫が摂食を始めれば、当然その情報は失われます。


では未知の食草はどう調べているのか?

現在では、いくつかの方法が用いられています。

1. 幼虫を探してDNAバーコーディングする(最も確実)

未知の幼虫を採集し、成虫とDNAバーコードを比較して同種であることを確認します。

これは近年非常によく行われています。


2. 幼虫そのものをDNAメタバーコーディングする

幼虫の消化管内容を解析し、食べた植物を同定します。

こちらは現在かなり一般的な手法です。


3. 成虫が産卵した植物を調べる

雌を飼育して産卵させ、

  • どの植物に産卵するか

  • 孵化幼虫が実際に食べるか

を確認します。


4. 野外で植物表面の卵や幼虫を探す

地道ですが、今でも非常に重要な方法です。


ただし、成虫から食草を推定できる特殊な場合もある

完全変態昆虫でも、

  • 成虫が羽化直後でまだ排便していない

  • 成虫が幼虫時代の巣や材の中で羽化する

ような場合には、体表や直腸付近に幼虫時代の残留物が残っている可能性はゼロではありません。

また、成虫ではなく

  • 蛹殻

  • 幼虫の糞(フラス)

  • 巣材

から植物DNAを検出できる例は報告されています。


むしろ有望なのは「腸内細菌」や「安定同位体」

近年は植物DNAだけでなく、

  • 腸内微生物叢

  • 安定同位体比(炭素・窒素など)

から幼虫時代の栄養源や生活環境を推定する研究も進んでいます。

これらは食草を種レベルまで特定することは難しいものの、「針葉樹由来か広葉樹由来か」「C3植物かC4植物か」といった情報を与えてくれることがあります。


つまり、ご提案の「採集した成虫から幼虫時代の食草をDNAバーコーディングで特定する」という発想は非常に魅力的ですが、完全変態昆虫では変態前の消化管内容がほぼ失われるため、現状では一般的な方法にはなっていません。

ただし、この発想自体は研究者も以前から検討しており、その延長として現在は幼虫の糞(フラス)のDNAメタバーコーディングや、**環境DNA(eDNA)**を利用した手法などが発展しています。特にフラスは、幼虫を直接採集できなくても食草を高い精度で推定できるため、未知の食草を解明する有力なアプローチとして期待されています。

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