2026/01/14
ノアザミの花蜜を吸うウラギンヒョウモン♂
2026/01/10
クズの花蜜を吸いに集まるウラナミシジミ
2026/01/08
交尾したまま飛ぶツマグロヒョウモン♀♂【FHD動画&ハイスピード動画】連結飛翔
交尾しながら飛ぶときに♂が飛ぶか、♀が飛ぶかは種によって一定していて、属や科についても通則がある。(中略)Donzel (1837)は「交尾中の飛翔形式は一つの属のすべての種類について一定しており、従って属の限界を決定する重要な特徴となり得る」と強調しており、後世これはDonzel説と言われている。 (p88〜89より引用)
要点だけ先にまとめます。
**Donzel説(交尾中の飛翔様式が属や科で一定し、分類形質になり得る)**は、
現代では基本的に支持されていません。現在の鱗翅目分類・系統学では、分類形質として扱われていないのが実情です。
最近の本でこの話題がほとんど出てこないのは、研究史的価値はあるが、実証的裏付けに乏しいと判断されているためです。
以下、理由を整理します。
1. Donzel説が生まれた背景(19世紀)
Donzel(1837)の主張は、
当時は
形態形質が限られていた
行動も「種に固有で安定したもの」と考えられがちだった
交尾中に
♂が牽引する
♀が主に飛翔する
という違いが目立ちやすく、繰り返し観察されるため、→「これは属レベルで固定した形質ではないか」と解釈された
という、自然史的帰納に基づく説でした。
2. 現代的な評価:なぜ支持されないか
(1) 行動形質は可塑性が高い
その後の観察・実験研究により、
交尾飛翔の主導個体は
種
個体サイズ
性比
攪乱(捕食者・人為的刺激)
飛翔時点(交尾初期か後期か)
によって変化し得ることが分かってきました。
👉 「常に一定」という前提が崩れた。
(2) 系統と一致しない(ホモプラシー)
近代以降の系統研究(形態+分子)では、
交尾中飛翔様式は
近縁種間でも異なることがある
離れた系統で似た様式が独立に現れる
→ 収斂(ホモプラシー)が強い行動形質と理解されています。
これは分類形質としては致命的です。
(3) 分類学の主軸が変わった
20世紀後半以降:
Genitalia(交尾器)
翅脈
幼虫形態
分子系統(DNA)
が分類の中核となり、
👉 一時的・状況依存的な行動形質は切り捨てられた
という流れがあります。
3. なぜ最近の本で扱われないのか
あなたの感じている通りで、
現代のチョウの生態・行動学の本では
交尾中飛翔は「逸話的事実」
または「逃避行動の一形態」
として触れられる程度分類学的意義には触れられないか、完全に省略される
理由は単純で、
分類に使えないことが分かってしまったため
です。
4. 現在の位置づけ(総括)
Donzel説は現在では:
❌ 分類学的通則 → 否定的
⭕ 行動進化・性行動の歴史的仮説 → 研究史的価値あり
⭕ 種ごとの傾向を記述する補助情報 → 限定的に有用
という位置づけです。
結論
Donzel説は
「当時としては鋭い観察に基づく仮説だったが、
現代の科学的基準では支持されていない」
と評価するのが最も妥当です。古い図鑑がこの説を紹介しているのは、
1970年代当時でもすでにやや古典的だが完全には否定されていなかった名残と考えてよいでしょう。
その定説はどうも眉唾のような気がしてきました。交尾中の♀♂ペアはとても無防備なので、互いに逆を向いて見張りを分担し、360°油断なく見張っているはずです。物を投げつけたり敵が襲ってきたりした場合、それを先に見つけた個体が性別に関係なく逃避行動を開始するのが自然ではないでしょうか?主導権を握って羽ばたく個体が離陸直後に切り替わる♀♂ペアを私は今まで一度も見たことがありません。つまり、試行回数(観察サンプル数)を充分に増やせば、連結飛翔のタイプはチョウの種類に関係なく半々の確率に落ち着くのではないかと私は予想しています。スローモーションで動画が手軽に撮れる時代が来る前に、昔の先人たちが少ないサンプル数の直接観察から早まった結論に達したのではないか?と私は密かに疑っています。物を投げつけて交尾ペアを飛び立たせた場合は、どちらの方向からどこを目がけて物を投げたのか(♀♂どちらが先に危険に気づくか)も、記録しておく必要がありそうです。交尾中の♀♂ペアが自発的に飛んだ場合でも、上空を別のお邪魔虫や鳥がどの方向から飛来したのか、などの条件によって連結飛翔の結果が影響されそうです。
2026/01/06
モンシロチョウの婚活会場となった花咲くゴーヤ畑で♀に求愛した♂が振られる(交尾拒否)
ゴーヤ(Momordica charantia)の葉は、掌状に深く裂けた独特の形状を持ち、植物学的に記述すると「掌状複葉(palmately compound)または掌状深裂葉(palmately deeply lobed)」で、通常5–7裂片からなり、各裂片の縁に粗い鋸歯(serrate)が並ぶのが標準です。 品種により葉の大きさや裂け込みの深さが異なり、小葉型から鋭く伸びたものまで多様ですが、共通して深いローブと鋸歯縁が識別点です。巻きひげと対生する傾向があります。ゴーヤの果実は収穫した後なのか、10月上旬にはほとんど残っていませんでした。
2026/01/02
カメバヒキオコシの花蜜を吸うクロホウジャク(蛾)のホバリング【FHD動画&ハイスピード動画】
2025/12/31
トレイルカメラのザトウムシ対策で粘着トラップを試してみる(その4)マダラカマドウマやツノアオカメムシなども捕捉
前回(シリーズその1)と同じく、 ヒメマダラエダシャク(Abraxas niphonibia)らしき蛾の幼虫も1匹だけ下側の粘着テープに捕らえられ死んでいました。 イラガ(Monema flavescens)の古い繭もミズキ灌木の幹に付着したまま残っていましたが、今回の本題とは関係ありません。
2025/12/30
ナワシロイチゴの葉裏に隠れたキタキチョウ♀に求愛する♂(交尾拒否)
2025/12/28
ニラの花蜜を吸うウラナミシジミ♂
2025/12/18
ヒャクニチソウ(オレンジ)の花蜜を吸い飛び回るツマグロヒョウモン♂【FHD動画&ハイスピード動画】
2025/12/16
ムラサキツメクサの花蜜を吸い日光浴するウラナミシジミ♀
2025/12/12
クサネムの花で吸蜜するキタキチョウ
2025/12/10
リョウブの花で見張りクマバチを縄張りから追い払うキアゲハ夏型♂
2025/12/07
場違いなウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の謎
ウスムラサキイラガの幼虫は、コナラ(ブナ科)、ウメ(バラ科)、ヤナギ類(ヤナギ科)など多食性(安田守『イモムシハンドブック2』p35より引用)
2025/11/22
イヌトウバナの花蜜を吸うスジグロシロチョウ夏型♂
2025/11/12
マミガサキアザミの花蜜を吸うクロアゲハ♂
・♂は後翅表の前縁に横長の白斑があり、飛翔時に目立つ。・樹木が茂ったやや日当たりの悪い場所を好む。(フィールドガイド『日本のチョウ』p55より引用)
2025/11/08
イタヤカエデ幼木の葉から飛び去るオナガアゲハ
2025/10/31
ヒトの汗や皮脂を吸汁するコミスジ:ミネラル摂取
各種の花を訪れるほか、路上で吸水したり、腐果・樹液・獣糞に集まるほか、人の汗もよく吸う。(p212より引用)
2025/10/23
アオバセセリの飛び立ち
2025/10/21
ミズナラ幼木の葉から葉に飛び回り産卵するムラサキシジミ♀【FHD動画&ハイスピード動画】
産卵条件の未成立
ムラサキシジミは新芽や柔らかい葉柄基部を好むため、ミズナラの新芽が適度に展開していない場合は産卵を見送ることが多い。7月中旬はミズナラ新梢の成長期が過ぎて葉が硬化していることが多く、産卵に適する状態ではない可能性が高い。実際、観察例では「近くに新芽が控えていない枝では探索のみで去る」行動が確認されている。
成熟段階と時期の問題
ムラサキシジミは多化性で、7月個体群の一部は羽化直後でまだ成熟期に達していない雌が多い。産卵器官が完全に成熟する前は、産卵行動の探索だけを繰り返すことがある。そのため、見かけ上「産卵探索のようで産卵しない」行動が頻発する。気温が高い時期は交尾や体内卵形成が遅れる場合もある。
(3)南方性のチョウの分布拡大について。
ムラサキシジミ(Narathura japonica)はもともと九州・四国・本州中部以南の暖地性樹林性シジミチョウだが、近年では明確に北方へ分布を拡大しており、山形県での記録も珍しいながら定着しつつあるとされる。nacsj+4
山形県での記録
山形県では2010年代以降に複数の観察が報告されており、山形市や鶴岡市など県内各地で確認例がある。特に2015年には山形市で雌の採集記録が報告され、これが「温暖化に伴う北進例」として全国的に注目された。従来、ムラサキシジミの分布北限は宮城県南部付近とされていたが、現在は山形県内にも不定期に出現している。nanyodoshoten+3
北進と温暖化の関係
日本全体でみると本種は1990年代以降に急速に北上しており、その要因として地球温暖化による冬季気温上昇が主要因と考えられている。越冬は成虫で行うため、厳しい寒さが続く地域では生存が難しかったが、近年は冬季の最低気温が上昇し、北方でも越冬可能になったとみられる。また、寄生蜂などの天敵が分布北限では未到達であり、これが繁殖成功率を高めているという研究結果もある。kpu+3
まとめ
山形県でのムラサキシジミ記録はまだ多くはないが、2010年代以降しばしば確認されるようになった。
その要因は、温暖化による冬の気温上昇と寄生者不在による生存率上昇が主と考えられている。
現状では散発的な発生段階だが、今後定着が進む可能性が高い。
したがって、山形県での出現はかつては稀であったが、 近年の地球温暖化と気候緩和の影響を受けた北進個体群の一部であるとみるのが妥当である。
ムラサキシジミの学名については、Narathura japonica (Murray, 1875) が現在の日本国内の分類体系(たとえば日本鱗翅学会・日本チョウ類保全協会など)で主に採用されているが、Arhopala japonica (Murray, 1875) も依然として国際的な文献では通用しており、両者は**同じ種を指すシノニム(異名)**である。digital-museum.hiroshima-u+4
分類学的経緯
もともとMurrayが1875年に発表したときはArhopala japonicaとして記載され、その後、Arhopala属を細分する見解の中でNarathura属が独立され、日本の研究者によって本種がNarathura属に移された。両属の区別点は翅脈や♂交尾器などに基づくとされるが、明確な形態的境界がないため、近年もどちらの属に置くかは研究者の体系によって異なる。pteron-world
命名上の優先順位
両方とも同じ記載者Murrayおよび同年(1875)であるため、国際動物命名規約(ICZN)上では「記載時の原属名」――すなわちArhopala――が名義上の原組み合わせとして優先されるが、実際の「有効名(valid combination)」としては分類体系で採用される属名に従う。そのため、分岐学的にNarathuraを独立属と認める場合にはNarathura japonicaが有効名となり、そうでない体系ではArhopala japonicaが使用される。mizumoto-koen.blogspot+1
現行の整理
日本鱗翅学会や広島大学デジタル博物館など国内主要機関では Narathura japonica (Murray, 1875) を採用。wikipedia+1
海外のデータベース(EoL, GBIF, LepIndexなど)では Arhopala japonica (Murray, 1875) が主流。sugisaka.sakura+1
結論として、どちらも正しいが、属の扱いが異なるだけで同一種を指す。命名規約上の原記載は Arhopala japonica、しかし日本国内の現行標準は Narathura japonica である。