2025/06/28

アナグマの空き巣に幼獣を連れて引っ越しする野ネズミ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月上旬・午前0:25頃 

シーン0:5/30・午前11:27・晴れ・気温30℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)がある平地の二次林をトレイルカメラで見張っています。 


シーン1:6/7・午前0:27・気温15℃(@0:04〜) 
深夜に1匹の野ネズミ(ノネズミ)がアナグマの巣穴Rから外に出てきて、林床を右へ駆け出しました。 
しばらくすると野ネズミが右から戻って来て、巣穴Rに駆け込みました。 
なぜかその後も野ネズミは何度も往復しています。 

その間、コウモリが飛来し、セットの上空を飛び回っていました。 
コウモリが飛翔中に発するエコロケーションのための超音波は、種類にもよりますが20kHz~100kHz程度の周波数帯です。 
一方、野ネズミの中でもアカネズミやヒメネズミは、コミュニケーションや警戒、求愛などの際に20kHz~50kHz程度の超音波を発することが知られています。 
ネズミ類の可聴域は一般的に「200Hz~68kHz」とされていて、最も聴感度が高いのは「20kHz~50kHz」の範囲です。 
したがって、野ネズミはコウモリの発する超音波を充分聞き取ることが可能だと考えられています。 

さて、野ネズミは一体何のために往復していたのでしょう? 
映像を1.5倍に拡大した上で、1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:50〜) 
巣穴Rから右に向かう際、野ネズミは空荷でした。 
逆に右から巣穴Rに向かう際、野ネズミは口に何か咥えて運んでいるようです。 
秋なら野ネズミは越冬に備えて餌を巣穴に貯食しますが、撮影時期が6月上旬なので、産まれた幼獣を咥えて新しい巣穴へ引っ越しているのではないかと推測してみました。 
もしも引っ越しの場合、幼獣を咥えて運ぶのは母親♀の担当で、野ネズミの♂は子育てには一切関与しないそうです。 
実は前年にも別な場所に設置したトレイルカメラで野ネズミの引越しらしき行動が撮れていました。 



しかし、Perplexity AIに相談してみると、4月や6月でも野ネズミ(アカネズミやヒメネズミ)は餌を貯食する可能性があり、幼獣をつれた引越行動とは言い切れないのだそうです。 
また、巣材の搬入など別な可能性もあります。 
つまり、野ネズミが何を運んでいたのか映像で口元をしっかり確認しない限り、正しく解釈することはできません。 
問題は、私が使っているトレイルカメラが撮る動画のフレームレートが25fpsと低いことです。 
野生動物の動きが早いとぶれてしまい、スロー再生してもしっかり見えないのが不満です。 
フレームレート60fpsの暗視動画が撮れる最高級の機種(2020 Browning パトリオットなど)もあるらしいのですが、値段が10倍もするのでは、手軽に導入することができません。

子連れで夜逃げをする野ネズミとコウモリが超音波で鳴き交わしていたら面白いのですが、バットディテクターを導入して調べてみたいものです。


つづく→

山林の泥水溜まりで餌を探すクロツグミ?【野鳥:トレイルカメラ】

 


2024年6月上旬〜中旬

シーン0:6/7・午後13:14・くもり(@0:00〜) 
シーン0:6/7・午後13:40・くもり(@0:03〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山林の中にある湿地帯で、野生動物や野鳥が来る水場となっている泥水溜りを2台の自動撮影カメラ(旧機種)で見張っています。 
水溜りを近くから狙うカメラは、フクロウを重点的に撮影するために、夜間のみ(薄明薄暮を含む)監視するようにタイマー設定しました。 


シーン1:6/8・午後12:35(@0:07〜) 
昼下がりに謎の鳥が左上のホオノキ樹上から飛来して、泥水溜まりの対岸に着陸しました。 
遠い上にカラーで撮れなかった(旧機種のトレイルカメラに特有の症状)ので、鳥の種類を見分けられません。 
常連の鳥だとすると、クロツグミTurdus cardis)かもしれません。 
泥水溜りで水を飲んだり浴びたりすることもないので、獲物を捕りに来たようです。 

1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:20〜) 
水溜りの中央部ではなく岸辺付近をクロツグミ?が歩き回っていました。 


シーン2:6/16・午後18:20・(@0:33〜)日の入り時刻は午後19:07。 
夕方に、地味な鳥が浅い泥水溜りの中洲に来ていました。 
クロツグミ♀かな?と思うものの、自信がありません。 

水際に走り寄ると、素早く嘴を水面に突っ込みました。 
アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)のオタマジャクシを狙って逃げられたのでしょうか? 
水溜りの中には入らず、岸の泥濘をピョンピョン跳んで(ホッピング)、左の死角に移動してしまいました。 

1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:53〜) 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2025/06/27

初期巣で抱卵するコガタスズメバチの創設女王と謎のエントツドロバチ♀

 

2024年5月下旬・午前11:15頃 

某山寺の境内に木造の小さな祠があり、その軒下で毎年のようにコガタスズメバチが営巣しています。 
今季も様子を見に来たら、コガタスズメバチVespa analis insularis)の初期巣が作りかけで見つかりました。 
まだ巣盤は小さくて1層しか作られていません。
六角形の育房は6室?で、そのうち2室の中には白い卵が産み付けられていました。 
巣盤を丸く覆う外皮も天井から作り始めたばかりで、巣盤は剥き出しの状態です。 

昼間でも薄暗い軒下で、創設女王が初期巣の天井部に乗って抱卵していました。 
腹式呼吸の激しい収縮運動が見えます。 
巣盤を吊り下げる巣柄に体を巻き付けながら(カーリング)巣盤の上に乗って、自分の体温を卵に伝えて温めているのです。 
昆虫は一般に変温動物と思われがちですが、抱卵する女王蜂は胸部の飛翔筋を活発に収縮させて(羽そのものは動かさず)発熱しているそうです。 
抱卵中の創設女王をサーモグラフィカメラで撮り、本当に発熱しているのかどうか確かめてみたいものです。
鳥は卵殻が丈夫なので、孵化するまで母親♀が卵の上に座って温めることが可能です(抱卵)。
一方スズメバチの卵や幼虫は柔らかいので、潰れないように、育房の薄い巣材を通して女王蜂♀が体温を伝えて温める点が鳥の抱卵や抱雛とは異なります。

関連記事(14年前の撮影)▶ ホオナガスズメバチ女王の抱卵


余談ですが、コガタスズメバチ初期巣の少し右奥の天井裏の板にヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)の卵鞘が付着しているのが写真に写っていました。
撮影中は気づかず、ピンぼけでよく見えませんが、形状がそっくりです。 



右奥の天井裏に、ヤマトゴキブリの卵鞘が産み付けられている?



祠の梁の下面には、過去にコガタスズメバチが営巣と駆除を繰り返した古巣の跡が多数残っています。(写真なし)






同じ祠の反対側の軒下で、さらに興味深い発見がありました。 
そこにもコガタスズメバチの初期巣が作りかけられていて、同様に抱卵(カーリング)している蜂がいたのですが、どうも普通のコガタスズメバチではありません。 
日陰の軒下はあまりにも暗いので動画には撮れず、ストロボを焚いて写真に撮ってみました。
真っ黒な蜂で、腹部にオレンジ色の横縞が1本だけあります。
まるでエントツドロバチ♀(別名オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)のようです。
エントツドロバチは幼虫や前蛹で越冬し、春になると成虫が羽化してきます。
5月下旬にエントツドロバチ♀が活動していても、おかしくありません。

しかし、エントツドロバチは名前の通り泥を巣材として煙突状の泥巣を作り上げますから、コガタスズメバチがパルプで作った初期巣を乗っ取る理由がありません。
たまたま軒下に侵入して、隠れ家として過ごしているだけかもしれません。
エントツドロバチだとしたら、初期巣の主であるコガタスズメバチ創設女王と喧嘩にならないのが不思議です。
謎の黒い蜂に少し動いてもらって、全身像をしっかり撮りたかったのですが、脚立がないと手が届かない高所に初期巣が架けられていました。 

コガタスズメバチが作る育房の平均的なサイズは、直径が約5~7mmです。
写真で育房と比べると、謎の黒い蜂の体長は育房4~5個分以上に見積もられ、25mm前後と推定されます。
エントツドロバチ♀の体長は約16~19.5mmであり、コガタスズメバチ創設女王(25~28mm)より明らかに小さいです。

コガタスズメバチの創設女王で、このような黒化変異の個体は知られていないそうです。
しかし同属のヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)は、体色の個体変異が大きいらしく、

腹部の斑紋には個体変異があって、黒化の程度が強いものから、綺麗な黄色と赤と黒のしましま模様の個体まで変異します。

黒化の程度が強い個体では、肩の部分(前胸背板と中胸背板前部)と胸部後半部がほぼ黒色で、腹部末端3節も全て黒色です。腹部前半部の黒帯も拡大し、腹部全体で黄色の筋が3本+腹部前半に若干の赤褐色部となります。
参考サイト:スズメバチ事典:ヒメスズメバチ より引用

今回は蜂の側面しか写真が撮れなかったのですが、もしかするとヒメスズメバチ創設女王の黒化変異かもしれません。
ヒメスズメバチの可能性を検討してみましょう。
ヒメスズメバチの創設女王が、木造家屋の軒下など開放空間に初期巣を吊り下げることは極めて稀で、ほとんどは土中や閉鎖空間に営巣します。
また、ヒメスズメバチの営巣開始時期は5月下旬~6月で、他のスズメバチより遅いです。
写真に写った謎の黒い蜂(推定された体長〜25mm)は、ヒメスズメバチ創設女王(平均的な体長は30~35mm)にしては小さすぎます。

以上から、エントツドロバチやヒメスズメバチの可能性は除外され、おそらくコガタスズメバチ創設女王の黒化変異というきわめて珍しい事例だろうと思われます。
定点観察に通いたかったのですが、残念ながらその後に初期巣が駆除されてしまい、謎は未解明のまま残りました。
(※ 追記参照)

謎の黒い蜂の正体について、いつものようにPerplexityとブレインストーミングしました。


※【追記】
17日後の6月上旬に現場の祠を再訪すると、初期巣の2つとも外皮が完成していました。
コガタスズメバチの初期巣に特有の細長い円筒状の巣口が下向きに伸びていました。
蜂の出入りを観察する時間がなかったので、初期巣の写真だけ撮って帰りました。

その後も定点観察したかったのですが、誰かが巣を駆除してしまいました。

コガタスズメバチ初期巣a@祠軒下

コガタスズメバチ初期巣b@祠軒下

ここで重要なポイントは、17日前に謎のエントツドロバチ?が抱卵していた初期巣bも作ったのはコガタスズメバチと判明したことです。
つまり、ヒメスズメバチ黒化変異の創設女王である可能性は否定できました。
ヒメスズメバチの初期巣は、解放空間に吊り下げるレアケースでも、このような逆向きのフラスコ状(徳利状)にはなりません。
やはり、コガタスズメバチ創設女王の黒化変異が作ったようです。




【アフィリエイト】 
・『スズメバチ類の比較行動学』 カーリング行動@p44 
・『スズメバチはなぜ刺すか』 北海道大学図書刊行会 p192 




鼻息を荒らげながら山林を走り去るニホンカモシカ

 

2024年6月上旬・午後13:55頃・くもり 

私が里山で林道を静かに歩いていると、横のスギ植林地から鋭い鼻息が聞こえました。 
立ち止まって周囲を探すと、ニホンカモシカCapricornis crispus)が藪の影に隠れて私を見ていました。 
カメラを向けた途端に横向きだったカモシカが後ろ向きになり、走って逃げ出しました。 
フシュ、フシュ♪と鼻息を荒らげて威嚇を繰り返しながら、山林を下って行きます。 

逃走シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:10〜)

2025/06/26

山中の浅い泥水溜りで泳ぐアズマヒキガエル幼生の群れ

 

2024年6月上旬・午後13:25頃・くもり 

山林の湿地帯にある泥水溜りが野生動物や野鳥の通う水場になっているので、トレイルカメラで監視しています。 

浅い水溜りの中で、多数の黒いオタマジャクシが蠢いていました。 
アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生でしょう。 
水溜りが干上がりかけていてオタマジャクシには絶体絶命のピンチのように見えます。
しかし、これから梅雨の時期ですし、山からの湧き水が出る地形らしくて、浅い水溜りながらも年間を通して干上がることはありません。 

水場に来る捕食者にしてみれば獲物を食べ放題のはずですけど、ヒキガエルの幼生はブフォトキシンという強力な毒で身を守っているのだそうです。 

しかし意外なことに(定説に反して)、一部の鳥は平気で捕食しています。
それらの(例外的な)鳥はブフォトキシンに対して耐性があるのか、それともヒキガエル幼生の毒が実はそれほど強くないのでしょうか?





ナワシロイチゴの花蜜を吸うコマルハナバチの雄蜂♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年6月上旬・午前11:20頃・晴れ 

山麓の道端に咲いたナワシロイチゴコマルハナバチBombus ardens)の雄蜂♂がせわしなく訪花していました。 
口吻を伸ばして吸蜜しています。
この組み合わせは初見です。 

私のフィールドでこの時期に見かけるきれいな黄色(レモン色)のマルハナバチは、コマルハナバチ♂と決まっています。 
腹部は明るい黄色と黒の横縞模様ですが、腹端(特に腹面)の体毛だけ茶褐色です。 
コマルハナバチ(Bombus ardens)は、日本産マルハナバチの中で最も早く雄蜂♂が羽化する種類です。 

この個体は雄蜂♂なので、花粉を集めることはありませんし、後脚に花粉籠はありません。 
雄蜂♂に毒針はありませんから、怖がる必要はありません。 
複数個体を撮影しました。 

ナワシロイチゴの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:45〜)

2025/06/25

アナグマの空き巣を鳴きながらうろつき、巣穴の内見と匂い付けするホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月上旬 

シーン0:5/30・午前10:57・晴れ・気温29℃(@0:00〜) 
シーン0:5/30・午前11:27・晴れ・気温30℃(@0:04〜) 
明るい日中に平地の二次林でたまたま撮れた現場の様子です。 
死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで見張っています。 


シーン1:6/6・午後21:13・気温17℃(@0:07〜) 
晩に♀♂ペアと思われる2頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が一緒に来ていました。 
先頭個体♀が巣口Lを点検してから身震いしました。 
その間、後続個体♂が巣穴Rに顔を突っ込んで内検しています。 
♂が巣外に出て左へ向かい、巣口Lで♀と合流しました。 

耳を澄ませると、タヌキが小声でクゥーン♪と甲高く鳴く声が何度も聞こえます。 


シーン2:6/6・午後21:12・気温16℃(@0:24〜) 
別アングルでの監視カメラで続きが撮れていました。 
タヌキの♀♂ペアが左から相次いで来ました。 
まず先頭個体♀が匂いを嗅いでから入巣L。 
次に後続個体♂が巣口Lの左手前のマルバゴマギ灌木の根元に生えた下草に通りすがりに排尿マーキングしました。 
右後脚を上げて小便したので♂と判明。 
匂い付けしてから♀に続いて入巣L。 
何度もクゥーン♪と甲高く鳴いていました。 



シーン2:6/6・午後21:14・(@0:40〜) 
約1分後にタヌキの♀♂ペアが巣穴Lから外に出てきていました。 
身震いしてから2頭が連れ立って獣道を左へ戻ります。 

何度もクゥーン♪と鳴きながら、セットをうろつき、ようやく左奥へ立ち去りました。 


シーン3:6/6・午後21:14・(@1:29〜) 
別アングルの監視カメラの映像に戻ります。 
タヌキ♀が巣口Rを点検中に、パートナーの♂が巣口Rに自生するマルバゴマギ灌木の根元に排尿マーキングしていました。 
♂も巣口Rの匂いを嗅いで点検している間に、先行する♀がさっさと左へ立ち去ってしまいます。 


※ タヌキの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
セットをうろつきながらタヌキは何度もクゥーン♪と甲高く鳴いていますが、口を動かさないので、♀♂どちらの個体が発しているのか見分けられませんでした。 
繁殖期(交尾期)の過ぎた初夏にもタヌキが頻繁に鳴くとは知りませんでした。 
この鳴き声には一体どういう意味があるのでしょう? 

6月上旬という時期は、ホンドタヌキが出産するにはやや遅いらしいのですが、このペアは出産する巣穴を探しているのですかね? 
それとも、今季産まれた幼獣を連れて引っ越してくる巣穴を物色しているのかもしれません。 
最近ではニホンアナグマもこの旧営巣地に出没するようになったので、小便で匂い付けして縄張りを宣言することを忘れません。

巣穴Lの奥には「いざりタヌキ」の餓死した死骸が転がっていると予想しているのですが、他のタヌキが出入りするようになったので、どうやら腐敗が収まったようです。 



果樹園で狩りを試みるも失敗続きのノスリ(野鳥)

 

2024年5月下旬・午後16:00頃・晴れ 

リンゴを栽培している山麓の果樹園の手前が原っぱ(草地)になっています。 
その原っぱに立つ電柱の天辺にノスリButeo japonicus)が止まっていました。 
奥のリンゴ園では農夫が果樹の剪定作業をしていたのですが、ノスリもヒトもお互い気にしていません。 

ノスリの顔の周囲で小さな黒い虫がまとわりつくように飛び回っているのは、眼球の水分に誘引されたメマトイのようです。 
ノスリは嫌がって顔を激しく振り、しつこいメマトイを追い払おうとしています。 

急にノスリが手前に向かって飛び立ちました。 
(手前の車道をちょうど車が通り過ぎたタイミングで飛び立ちました。) 
てっきりカメラで撮影する私に対して威嚇しに来たのかと思いきや、原っぱをかすめるように一瞬だけ舞い降りて、そのまま右に飛び続けました。

ノスリの行方を一瞬見失ったのですが、近くに立つ物置小屋のトタン屋根の端に止まり直していました。 
どうやら原っぱで獲物を狩るのに失敗したようです。 
ノスリは新しい止まり場から体をねじって原っぱを見下ろし、獲物を待ち伏せしています。 
しばらくすると、ようやくトタン屋根の上でしっかり左に向き直り、眼光鋭く原っぱを見つめています。 
よほど魅力的な(気になる)獲物が原っぱに隠れているのでしょう。 

しばらくすると、遂にノスリは左下の原っぱに再び飛び降りました。 
こんな至近距離で狩りが見れるなんて千載一遇のチャンスです。 
興奮を抑えつつ流し撮りしたのに、こんなときに限って手前の車道を車が連続して通り過ぎるので、狩りの決定的瞬間をしっかり撮れませんでした。 
撮影を邪魔された私は思わず舌打ちしそうになりましたが、もしかすると車が通過する度に驚いた獲物が原っぱで逃げ出し、それをノスリが待ち伏せしていたのかもしれません。 
あるいは逆に、ノスリに狙われていることを知った獲物が草むらに隠れつつノスリとの我慢比べになっていたのかもしれません(下手に動いたら殺られる)。
つまり、車が通りかかった瞬間にノスリが気を取られて集中力が削がれ、その隙を逃さずに獲物が全力で逃げ出したのかもしれません。

原っぱに着地したノスリは、脚の脛を覆う羽毛が厚く、脚がとても太く見えます。 
どうやら今回も獲物を捕り損ねたようで、ノスリは足元を凝視しています。 

諦めたノスリは右奥へ羽ばたきながら低空で飛び去りました。 
このとき鉤爪に獲物は掴んでいませんでした。 
元の止まり場(物置小屋の屋根や電柱)には戻らず、どこかに飛び去ってしまいました。 
飛び去る際に、奥のリンゴ園の手前に張り巡らされた電気柵にノスリが突っ込むのではないかとヒヤヒヤしたのですが、無事に回避して感電事故を免れました。 
(この時期はまだ電気柵に通電していないかもしれません。)

高所で待ち伏せするノスリが獲物に襲いかかる瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:17〜) 
これほど至近距離から襲撃シーンを撮れて感動しました。 

二回連続で狩りに失敗したということは、経験の浅い幼鳥・若鳥なのでしょうか?
私はノスリで成鳥と幼鳥の見分け方を知らなかったのですが、この機会に調べてみました。
すると意外にも、この個体は成鳥でした。
虹彩が暗褐色で、蝋膜ろうまく(嘴の基部)が明瞭な黄色、羽衣のコントラストがしっかりしていることなどが根拠です。

【参考サイト】ノスリで妄想してみたこと・・・ by medaichiのブログ:大阪南港野鳥園ウェブサイト管理人室


原っぱでノスリが狙っていた獲物の正体が最後まで分かりませんでした。
野ネズミが昼間から活動していたのか、それともカエルや昆虫だったのかもしれません。

2025/06/24

カシワ幼木の葉裏を調べるヒメスズメバチの創設女王

 

2024年6月上旬・午後12:25頃・くもり 

里山の細い林道を登っていると、法面に自生するカシワ幼木に大型のヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis pulchra)が来ていました。 
この時期はまだワーカー♀ではなく、越冬明けの創設女王です。
 
カシワ幼木の若葉の裏にしがみついて、何か物色しているようです。 
ヒメスズメバチはアシナガバチを専門に狩ることで有名ですが、カシワの葉裏にアシナガバチの巣はありませんでした。 
名前が似ているアカメガシワ(トウダイグサ科)には花外蜜腺がありますけど、カシワ(ブナ科)の木にはありません。 
おそらくカシワの樹液が微量ながらも滲み出ていて、それを舐めにヒメスズメバチ創設女王が来たのではないかと推測しました。 

やがてヒメスズメバチ創設女王は、カシワの赤みを帯びた葉表によじ登ると、ヴーン♪と重低音の羽音を立ててどこかに飛び去りました。 

ちなみに、カシワ幼木の葉が赤みを帯びているのは、展葉直後の若葉に見られる自然な現象です。 
春の強烈な紫外線から葉を守るため、アントシアニンなどの赤い色素が若葉には多く含まれています。 


※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

雨夜に山道をうろつく野ネズミ#2【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月上旬 

シーン0:5/24・午後12:03(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
里山の林道でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場ltrを自動センサーカメラで監視しています。 
スギの落葉が敷き詰められた林道を挟んで、画面の手前(カメラの背後)がスギ植林地、画面の奥が雑木林になっています。 
基本的に画面の右から左に向かって登る山道なのですが、溜め糞場ltrのある区間は平坦な地形です。 

二夜連続で登場した野ネズミ(ノネズミ)の様子を以下にまとめました。 


シーン1:6/3・午前0:08・雨天(@0:04〜) 
雨が降る深夜に野ネズミがタヌキの溜め糞ltrから右へ離れて行きました。 


シーン2:6/4・午後21:55(@0:18〜) 
翌日の晩にも野ネズミが現れました。 
ピョンピョン跳ねるように左奥の茂みへ立ち去りました。 


※ 雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2025/06/23

山中の水溜りで夜な夜な水浴するフクロウ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月上旬〜中旬

シーン0:6/7・午後13:14・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:6/7・午後13:40・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
山林で湧き水が年中溜まっている浅い水溜りを2台の自動撮影カメラで見張っています。 

フクロウStrix uralensis)が夜な夜な水場で水浴するシーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/10・午前1:22(@0:07〜) 
深夜にフクロウが浅い水溜まりの中に足だけ浸かっていました。 
やがて、羽ばたきながらピョンと対岸に上陸しました。 
嘴で胸元の羽毛を整えています。 


シーン2:6/10・午前1:22(@1:07〜) 
広角で湿地帯を見張る別の監視カメラでも同時に撮れていました。
水溜りで足浴しながら、周囲をキョロキョロと見回しています。 
やがて手前の岸にピョンと上陸して、羽繕いを開始。 


シーン3:6/10・午前1:53(@2:07〜) 
フクロウが水溜まりに顔を浸けて左右に振っていました。 
洗顔の後は、中洲にピョンと上陸しました。 

やがて左端の水溜まりに入り直したのですが、左手前に聳え立つホオノキ大木の陰に隠れてしまいました。 
怪しいトレイルカメラの存在に気づいていて、隠し撮りされるのが嫌なのでしょうか? 


シーン4:6/10・午前1:54(@3:05〜) 
広角の別アングルで続きが撮れていました。 
フクロウが水溜りの中で翼を羽ばたいてバシャバシャと激しく水浴しています。 
左の岸に歩いて上陸しました。 


シーン5:6/10・午後22:13(@4:05〜) 
夜行性のフクロウは明るい昼間にはどこかで寝ていて、晩になると再び水場に現れました。 
左の死角の水溜まりで隠れるように水浴していました。 
ちらっと振り返ってカメラ目線になりました。 


シーン6:6/10・午後22:22(@5:05〜) 
広角のアングルに切り替えます。 
2台のトレイルカメラが同時に起動すると、照射される赤外線も2倍になり、遠くまで明るくしっかり見えます。 

警戒を解いたフクロウがおもむろに水溜りへ入ると、行水を始めました。 
泥水で顔を洗い、羽根にも水を跳ね上げています。 


シーン7:6/10・午後22:23(@6:05〜) 
中洲に立っていたフクロウが手前の水溜まりに入水し、身を浸しました。 
洗顔を繰り返しています。 
我々ヒトは手を使って顔を洗いますが、鳥であるフクロウは翼を使わず、水面に顔を浸して左右に激しく降るだけです。 


シーン8:6/10・午後22:25(@7:05〜) 
フクロウが引き続き、泥水溜まりで水浴しています。 
監視カメラの近くで本格的な水浴シーンをしっかり披露してくれました。 

中洲にピョンと跳んで戻ると、羽繕いなどはしないで周囲を警戒しています。 

やがて右上奥へ飛び立ちました。(@7:40〜) 
フクロウの羽根は飛翔時の静音性が抜群に優れているとの評判ですが、意外にも羽ばたく音がしっかり聞こえました。 
水で濡れたまま飛んだからでしょう。 


シーン9:6/11・午前3:27(@7:44〜) 
翌日の未明にフクロウがまた水場の岸辺に登場。 
水溜りに入って身を浸すと、今回は洗顔しただけでした。 

ときどき水中で足踏みしているのは、水底の泥を足で掘って深くしているのかな? 


シーン10:6/11・午前3:27(@8:44〜) 
広角の別アングルでも同時に撮れていました。 
水溜りで洗顔を洗っただけで、辺りを警戒しています。 


シーン11:6/11・午前3:30(@9:44〜) 
水溜まりの手前に佇むフクロウが振り返り、カメラ目線で見つめています。 
警戒を解くと入水して水浴開始。 
その動きに反応して、もう1台の監視カメラが起動しました。 


シーン12:6/11・午前3:31(@10:44〜) 
水溜まりで行水するフクロウの後ろ姿が写っていました。 
まず洗顔してから、ようやく本格的な水浴を始めました。 
水面で羽ばたくようにして、羽根に水をかけています。 

対岸に上陸すると、何度も顔を振って水気を切ります。 


シーン13:6/11・午後20:10(@11:44〜) 
同じ日の晩にフクロウが水場に再登場。 
浅い水溜りの中をジャバジャバと奥へ渡渉しています。 
周囲を警戒してから、ようやく水面に顔を付けて洗い始めました。 


シーン14:6/11・午後20:12(@12:44〜) 
引き続き、水浴しています。 
泥水溜りのやや深いところで身を屈め、水に浸っています。 
ようやく、本格的な水浴を始めました。 

すっきりしたフクロウは、対岸に飛び移ると、身震いしただけで羽繕いをしません。 


シーン15:6/11・午後20:36(@13:44〜) 
約25分後、フクロウがカメラ目線で水溜りの中に浸かっていました。 
足で水底を掘って深くすると、更に身を深く水に浸します。 

ところで、対岸の左で1組の小さな目が白く光っているのですが、この小動物の正体は何でしょう? 
野ネズミが天敵とニアミスして動けないのかもしれません。 
少しでも動いたら物音でフクロウに気づかれ、狩られる危険性があります。 
謎の小動物は瞬きもしないので、野ネズミではなくカエルかな? 


シーン16:6/11・午後20:38(@14:44〜) 
フクロウは右を向いて本格的な水浴行動を始めました。 
振り向いて中洲にピョンと飛び乗り、身震いしてから左上に飛び去りました。 
謎の小動物は至近距離でもフクロウに気づかれず、九死に一生を得ました。 


シーン17:6/12・午後21:11(@15:29〜) 
翌日も晩にフクロウが水溜まりの左端で水浴に来ていました。 

監視カメラを固定したホオノキの樹上に別個体のフクロウが着地したのか、コツン♪と鈍い物音がしました。 
水溜まりに浸っていたフクロウはすかさず樹上を見上げました。 

コウモリが飛来しても、フクロウは全く気にしていません。 


シーン18:6/12・午後21:12(@16:29〜) 
いつの間にかフクロウは水溜まりの中洲に上陸していました。 
バサバサと羽ばたくと、右上へ飛び去りました。 

しばらくすると、フクロウが此岸の右に音もなくふわりと着陸しました。(@16:45〜) 
フクロウが水場に飛来する瞬間を初めて撮れました。 
同一個体が戻ってきたとは考えにくいので、順番待ちしていたつがいのパートナーが飛来したのでしょうか? 
観察歴の浅い私には、フクロウの個体識別が出来ません。 


シーン19:6/12・午後21:33(@16:50〜) 
画面左端の死角(手前のホオノキ幹の陰)でフクロウが水浴を始めたようです。 
身震いすると対岸にピョンと上陸して、再び身を震わせ羽根の水気を切ります。 


シーン20:6/12・午後22:24(@17:50〜) 
左端の死角に隠れてフクロウが水浴びしています。 


シーン21:6/14・午後19:53(@18:02〜) 
2日後に晩に、水浴を済ませてから対岸に上陸したフクロウの後ろ姿が写っていました。 
水浴後に珍しく羽繕いをしています。 
足の鉤爪で顎の下を器用に掻いたり、身震いしたりしています。 


シーン22:6/14・午後20:10(@19:02〜) 
中洲に降り立ったフクロウが、振り返って監視カメラを凝視。 
左死角の水溜まりに入水すると、行水を開始。 
対岸に上陸したところで録画終了。 



※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 水浴の水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
フクロウがこれほど頻繁に水浴するとは知りませんでした。
雛にせっせと獲物を運んでいる時期ですから、狩りをする度に獲物の血を洗い流すのでしょうか?
この水場は浅い泥水でしかも止水ですから、我々の感覚では体の汚れが落ちるとは思えないのですけど、フクロウは繰り返し水浴に通ってきます。

フクロウの個体識別ができていないので、同一個体が何度も通っているのか、♀♂つがいが交互に水浴しているのか分かりません。
2羽のフクロウが同時に水浴することはありませんでした。

小宮輝之(監修)『鳥の落としもの&足あと図鑑』という本を読んでいたら、粉綿羽ふんめんうのことを学びました。
これはハト、サギ、フクロウのなかまの鳥のからだにある先端が粉末になる羽毛で、そのほかの鳥の尾脂腺からの分泌物と同じく、羽づくろいの際に使われます。くずして羽にぬりつけることでよごれをつきにくくし、防水効果もあるとか。(中略)鳥によっては(水浴び後に)粉綿羽で水がよごれることもあります。 (p143より引用)
しかし私が現場検証しても、フクロウが頻繁に行水した泥水溜りの水面に粉が浮いているのを見たことがありません。




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山道で見つけたコアオマイマイカブリを素手で捕獲すると…

 

2024年5月下旬・午後13:25頃・くもり 

里山の急斜面をつづら折れで登っていると、細い山道をコアオマイマイカブリDamaster blaptoides babaianus)がせかせかと横断していました。 
生きたマイマイカブリを実際に目にしたのはこれが2度目です。 
初回は動画に撮り損ねて悔しい思いをしたので、今回は興奮を抑えつつ動画に撮りながら手掴みで捕獲してみました。 
私の手に噛み付いて反撃することはありませんでした。 
カメラに見せていたら、すぐに逃げ出そうとします。 

後で知ったことなのですが、マイマイカブリを手掴みするのはよろしくないようです。 
・触ると(マイマイカブリは)尾部から臭い液を放出し、目に入ると炎症を起こすので注意が必要。 (『くらべてわかる甲虫1062種』p13より引用)

・(マイマイカブリは)危険を感じると尾部からメタクリル酸とエタクリル酸を主成分とし、強い酸臭のある液体を噴射する。この液体は刺激が強く、手はともかく目に入ると大変な痛みを感じ、炎症を起こす。後方だけでなく上方にも噴射できるので、むやみに手で抑えつけたり顔を近づけたりしないよう注意が必要である。(wikipediaより引用)

確かに私の手の指に少し異臭が残りましたが、水ぶくれや火傷の症状などは全くありませんでした。 
液体をかけられたという感覚は全くなかったので、おそらく無色透明な少量の液体だったのでしょう。 
動画で記録しても、残念ながら匂いは伝わりません。


関連記事(2年前の撮影)▶  



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2025/06/22

旧営巣地を昼も夜もうろつくニホンアナグマ:6月上旬〜中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月上旬〜中旬 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を見張る自動撮影カメラに写ったアナグマの登場シーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/7・午後23:52・気温15℃(@0:00〜) 
深夜にセットをアナグマがうろついています。 
後ろ姿の股間に立派な睾丸が見えたので、♂と判明しました。 
左に歩きながら巣口Lの手前で尻を擦りつけ、匂い付けしました。(縄張り宣言のスクワットマーキング) 


シーン2:6/9・午前10:42・気温21℃・晴れ(@0:18〜) 
2日後の日中に獣道を右からやって来て左に立ち去りました。 


シーン3:6/11・午前10:16・晴れ・気温24℃(@0:28〜) 
さらに2日後の日中に、アナグマが身震いしてから、巣穴Rに入りました。 
長らく空き巣状態だったのですが、遂に引っ越して(住み着いて)くれるかな? 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


動画を編集したときには、♂のシーンをまとめたつもりだったのですが、改めて見直すとシーン2と3に登場した個体の性別がいまいち自信ありません。(♀っぽい?) 


タヌキの溜め糞場がある林道にクロツグミ♂が登場【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年6月上旬・午後16:35頃 

里山の林道にホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場ltrを自動撮影カメラで見張っていると、夕方に真っ黒な鳥が来ていました。 
この地点でクロツグミ♂(Turdus cardis)が写ったのは初めてです。 

溜め糞に集まる糞虫などを捕食するかと期待したのですが、ホッピングで右へ遠ざかってしまいました。 



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

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