2012/06/23

ホオジロの♂♀つがい【野鳥】




2012年5月中旬

ホオジロEmberiza cioidesが2羽並んで枝に止まっていました。
つがいなのかな?
帰ってから鳥の図鑑でホオジロを調べると、顔の色が褐色でぼんやりした模様なのが♀(右下の個体)で、顔が白黒はっきりした縞模様なのが♂(左上の個体)らしい。






トビの旋回飛翔【野鳥】



2012年5月中旬

田んぼの上空を滑空旋回するトビMilvus migransの勇姿です。

コンドルが飛んどる。
トビが飛びます。







2012/06/22

アラカワオドリバエ♂♀の婚姻贈呈と交尾



2012年5月中旬


林道を歩いていると、交尾中のハエが連結したまま飛んで目の前を横切りました。
追いかけると幸い近くの木の枝に着陸してくれました。
オドリバエの仲間のようです。
求愛給餌婚姻贈呈で有名なオドリバエの配偶行動を初めて観察できて感動しました♪(♂が♀に求愛するシーンを見てないので、♀が自力で狩りを行い捕食していたところに♂が交尾を迫った可能性を否定できませんけど。
オドリバエは捕食性だが、求愛給餌の習性があるオドリバエの♀は自ら獲物を捕らない。(『ハエ学:多様な生活と謎を探る』第2章「結婚の贈り物をするハエ」p27より)

求愛給餌とは
動物が求愛またはつがい維持期間中において相手に食物を与える行動.(中略)オドリバエ科Empis, Hilara属や,ガガンボモドキの一種では配偶行動において雄は雌に適当な餌を与え,雌がその餌を摂食中に交尾を行う.雌はある程度以上の餌を与えられた場合しか交尾を許さず,また餌の大きさと交尾時間の長さとは比例する.この場合の餌は雌の卵形成に直接の影響を及ぼし,ナプシャルギフト(nuptial gift婚姻贈呈)と呼ばれることもある.
(『岩波生物学辞典』より)※

♂に抱えられた♀は獲物をくるくると脚で回し、夢中で吸汁しています。♀は獲物の体のあちこちに口器を繰り返し突き刺しているようです。
獲物も双翅目のようで、二枚の前翅と平均棍が見えました。オドリバエとほぼ同じ体長で食べ応えがありそうです(立派な婚姻贈呈
♀を背後から中脚と後脚で抱え込んだ♂は枝にぶら下がって交尾しています。
♂は前脚と中脚で枝に掴まり、♀および獲物の全体重を支えています。
♀は♂に完全に身を任せ、手元の獲物に集中しています。

せっかくなので交尾器の結合部を接写したいところです。
しかし、そよ風が止まず激しく揺れるので残念ながら断念。
後半、一瞬見えた結合部はヒクヒクしていました。

♀および獲物の全体重を♂が支える。

♀が獲物に口吻を突き刺して吸汁

獲物の翅脈

♂の複眼は大きく頭頂部で左右が接する

餌を食べ終わったら♀はすぐに♂から離れるかどうか観察したかったのですが、初めての今回は同定を優先して逃げられないうちにカップルを採集しました。
交尾中のオドリバエを一網打尽に採集する際に交尾器の連結が外れ、私には干からびた標本の性別が分からなくなってしまいました。


オドリバエsp_a:側面+右翅

オドリバエsp_a:胸背


オドリバエsp_b:側面+左翅

オドリバエsp_b:胸背

オドリバエsp_b:側面

オドリバエsp_b:腹端側面(交尾器?)

オドリバエsp_b:右翅

オドリバエsp_b:背面
オドリバエは種類が多くて「オドリバエ科の絵解き検索」(PDF)を眺めても初めての私にはとても太刀打ちできません。

いつもお世話になっている「一寸のハエにも五分の大和魂」掲示板にて写真鑑定してもらったところ、三枝豊平さんより以下の回答を頂きました。
これはRhamphomyia (Vockerothempis) arakawae Matsumura, 1915の交尾中のものです.本亜属の配偶行動は私はこれまで観察したことがなかったので興味深く見せてもらいました.本亜属の♀の腹端部はPolyblepharisにみられるような細長くなっていないので,交尾器の結合状態は興味があるのですが,残念ながら画像では♀の翅で隠れてみえません.


並べてみるとアラカワオドリバエの♂は自分とほぼ大きさの獲物を狩って♀への贈り物としたようです。






吸汁された獲物は干からびて、脚が一本破損しています。

求愛餌はケバエ科Bibio属の1種とご教示頂きました。

獲物の死骸



獲物・側面


獲物の右翅の翅脈

獲物の顔
【追記】
三枝豊平さんより以下のコメントを頂きました。

なお,引用されている岩波の生物学辞典の記事は,一部に誤解を招く部分があります.
引用文ではnuptial giftを婚姻贈呈としていますが,これは求愛餌でしょう.行動そのものは求愛給餌行動,求愛餌を送ることが婚姻贈呈でしょう.また,「雌はある程度以上の餌を与えられた場合しか交尾を許さず,」もこのような場合があるかもしれませんが,求愛餌の大小で交尾が決まるとも思えません.♂は極端に小さいような求愛餌を通常は携えません.



2012/06/21

クマバチ♂の占有飛行【ハイスピード動画】




2012年5月下旬

林道入り口のあちこちで占有飛行していたクマバチ(キムネクマバチ;Xylocopa appendiculata circumvolans)♂をハイスピード動画(220 fps)に撮ってみました。
カメラの仕様で撮り始めると固定焦点ですが、意外にうまく撮れてました。
スローモーションでご覧ください。


通りかかった♀と交尾しようと、♂が油断なくホバリングしながら待ち伏せしています。
他の虫が飛来してもすかさず急旋回して迎撃するのはご愛嬌。
誤認に気づくとほぼ同じ場所に戻って来て哨戒ホバリングを続けます。
まさに縄張りの占有行動と言えます。
…と解説しておきながら、私は未だクマバチの交尾を観察したことがありません。


青空を背景にすると逆光で蜂の体色は分からなくなりますけど(シルエットのみ)、羽ばたき自体は見易くなります。

クマバチ♂による迎撃シーンを撮るにはある程度引きの絵にしないといけませんが、小さな虫は見えなくなってしまうジレンマがあります。
逆にズームするとクマバチ♂の素早い急旋回を追尾できなくなります(画角から見失ってしまう)。
どないしたらえーねん?
(広角レンズや魚眼レンズを使えばよいのかな?)

映像ではクマバチの羽ばたきがゆっくり見えています。
特に撮影中カメラの液晶画面で見ると顕著です。
しかし、たかだか約1/7倍速のスローモーションで高速の羽ばたきを捉えられるはずがない…気がします。(※)
映像のトリックというか錯視ではないかと思います。
扇風機のファンがゆっくり逆回転して見える現象と似ている気がするのですけど、この錯視はどう理解すれば良いのでしょうね?
どなたかご存知の方は教えてください。

※ クマバチの羽ばたき周波数は約200Hzとされているので(参考ブログ)、毎秒220コマ(220 fps)のハイスピード動画で個々の羽ばたきを捉えられても不思議ではないのかな?
うーむ、中途半端な理解なので混乱してきました…。

2012/06/20

オオハエトリ♀に鏡を見せてみた



2012年5月中旬

庭で見つけた体長13mmのオオハエトリ♀。
見るからに♀だと思いますが、外雌器を未確認なので成体かどうか不明です。

目の前に手鏡を置いて鏡像を見せると一体どんな反応を示すでしょうか?
鏡像を認識するまで鏡の角度を色々と変えてみます。
突然、オオハエトリ♀は驚いたように第一脚の両脚を同時に振り上げながら退却しました。
ハエトリグモ科においてこの万歳行動は威嚇誇示と考えられています。
しつこく追いかけて鏡を見せると、対決を避けるように横を向いてしまいました。
どうも鏡像を見たくないようです。

実験を繰り返すと、ようやく再び鏡像反応が見られました。
早足で鏡に接近していたオオハエトリ♀が、急に飛び退きました。
威嚇姿勢は示さず、左の第一脚をかすかに上下しています(タップ)。
向きを変えて退散。

やがて、鏡の裏に回り込んだり体の向きを変えて退散したり、と逃避行動が多くなります。

同一個体で実験を繰り返す度にハエトリグモは学習して?逃げ腰になるようです。
初めて鏡像を見せたときが最も顕著な反応を示します。
(実はこの撮影開始前にも一回試しています。)
したがって、鏡像反応の実験および撮影は一発勝負と考えた方が良さそうです。

以前試した繁殖期のネコハエトリ♂と比べると、オオハエトリ♀は決して好戦的ではないという印象。
関連記事→「ネコハエトリ♂に鏡を見せてみた

実際にオオハエトリ♀同士が出会っても闘争に発展することは無さそうです。
おそらく性差による違いだと思います。
簡単で面白い実験なので、次はオオハエトリ♂およびネコハエトリ♀でも鏡像反応を調べてみるつもりです。







2012/06/19

羽化直後のドロバチヤドリニクバエが翅を伸ばす【微速度撮影case2-3】




スズバチ泥巣の飼育記録

2012年5月中旬・室温21℃

スズバチの泥巣に寄生していたドロバチヤドリニクバエの成虫が早朝にまた羽化してきました。
飼育の経緯を記した記事はこちら→「スズバチの泥巣に寄生したドロバチヤドリニクバエの羽化

泥巣の上に落ち着くと、しわくちゃの翅芽を伸ばし始めます。
「のびのびと羽を伸ばす」という慣用句を映像化した5倍速の早回しをご覧ください。
いざ伸び始めると前翅は一気に伸展します。

本来は寄主の泥巣からの脱出に使われる前頭嚢が風船のように激しく伸縮を繰り返しています。
ハエが、蛹から羽化する際に、嚢状の額嚢を出したり引っ込めたりして囲蛹殻を破って出てくるが、羽化して体が硬くなると額嚢は額嚢線という痕跡を残すのみになってしまう。(『ハエ学:多様な生活と謎を探る』第1章「ハエとはなにか」p3-4より)
平均棍を覆う白い覆弁(胸弁、鱗弁、膜弁)もやはりシワクチャの状態から徐々に伸びた…ような気がします。
身繕いのついでに伸びた翅を後脚で弾く行動が羽化直後に毎回必ず見られます。



2日後にまた新たに羽化して来ました。室温21℃
早朝から午前中に羽化する傾向があるようです。
今回は後ろ姿のアングル。
長撮りした映像を同じく5倍速に早回ししてあります。

前回の微速度撮影よりもうまく撮れるようになりました。
「習うより慣れろ」ですね。


(つづく→「スズバチ♀の羽化と泥巣からの脱出」

2012/06/18

アオサギの羽繕い【野鳥】



2012年5月上旬

湿地帯というか河畔林でアオサギArdea cinerea jouyiを発見。
珍しく地上(木の根元)に立って念入りに羽繕いしています。
やがてこちらを警戒するように、長い首を伸ばして辺りを見渡しています。
ようやく安心したようで、羽繕いを再開。

欲を出してこっそり近づこうとしたら、バサバサと飛び去ってしまいました。(映像なし)
うーん、野鳥が相手だと難しいのー。






2012/06/17

オオシモフリコメツキの跳ね起き運動【ハイスピード動画】




2012年5月中旬

(コメツキムシを)平らな場所で仰向けにしておくと、胸-腹の関節を曲げ、胸を地面にたたきつけて跳びはね、腹を下にした姿勢に戻ることができる。この時はっきりとパチンという音を立てる。(wikipediaより)


前日に採集した一匹のオオシモフリコメツキActenicerus orientalis(体長18mm)を使い、仰向け状態から跳ね起きる様子をハイスピード動画(220 fps)に撮ってみました。
ユニークな起き上がり法をスローモーションでお楽しみ下さい。
ハイスピード・モードにて音声が録音されない(無音)のはカメラの仕様です。
跳ね起きる際のパチンと言う音はHD動画で別撮りしました。
オオシモフリコメツキの跳ね起き機構と声紋解析♪【HD動画】

コメツキムシをただ単に仰向けに置いただけではピントを合わせる間もなく即座に跳び上がってしまいます。
仰向けで指で軽く紙にしばらく押し付けるようにして、跳ね起き運動を連続で何度もやらせ虫を疲れさせてから撮りました。
オオシモフリコメツキはしばらく擬死状態となり、息を吹きかけると復活します。
仰向け時は触角を腹面に沿わせています。
触角が動き始めるのが覚醒した徴のようです。
跳ね起きる寸前には脚も揃えて気をつけ姿勢になります。

どのくらい高く跳べるか、測定してみればよかったですね。
クルクルと宙を待って仰向け状態に落ちてしまった場合はもう一度跳び直します。
遠くにうまく落ちれば、そのまま歩いて逃げ出します。
撮影後にコメツキムシは窓から解放してやりました。




体長18mm

擬死@側面

擬死@腹面



ツマキチョウの三角関係と配偶者ガード



2012年5月中旬

路傍のスミレにひらひらと訪花するツマキチョウ♂(Anthocharis scolymus)を撮ろうと悪戦苦闘していたら、同種の♂♀ペアがたまたま近くに飛来しました。
吸蜜していた♂もすぐに飛び立ち、三つ巴になって乱舞が始まりました。
すぐにペアが成立したらしく、♀を射止めたα♂は木の葉に止まり交尾を始めました。

あぶれたβ♂が未練がましく辺りを飛び回り、♀に繰り返しアタックするも時既に遅し。
まさにお邪魔虫ですね。
背後からβ♂が接近する度に葉上のツマキチョウは翅を広げて追い払います。
現場ではシロチョウ科♀に特有の交尾拒否行動かと思いました。

(交尾拒否の意思表示として腹端を持ち上げているかどうか見ようと、撮りながら必死にアングル移動しています。)

ところが映像を見直すと、葉上で(交尾しながら)翅を広げた個体も黄色い翅先(ツマキチョウ)が透けて見えることから♂と判明。
したがって♀による交尾拒否ではなく、どうやら♂による配偶者ガードの行動のようです。
翅を広げて♀をライバル♂から隠しているのかもしれません。
♀による交尾拒否行動の有無は残念ながらよく見えませんでした。
交尾の結合角度が90°というのは蝶にしては珍しいと思いました。
初めだけかな?

ペアが止まった木の葉の樹種は不明ですが、明らかにツマキチョウ幼虫の食草(タネツケバナなどのアブラナ科)ではありません。
つまり、♀が産卵目的で止まったのではないようです。

※ 実は、3頭目が♀というのは特徴を実際に確認した訳ではなくて、他の♂2頭が示した一連の行動から私が判断した解釈です。



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