2023/04/29

雨夜に里山の斜面を駆け上がるヒミズ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年10月中旬・午後22:45頃 

林床にシシガシラが生い茂る雑木林の斜面を自動撮影カメラで監視していると、小雨がポツポツ降る夜に謎の黒い小動物が右上の斜面をジグザグに駆け上がりました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:27〜) 

赤外線の暗視映像で目が白く光って見えないということは、目が退化しているヒミズUrotrichus talpoides)の仲間でしょうか。 
現場は標高が高くない低山なので、ヒメヒミズではなくヒミズだと思います。 
野ネズミの後ろ姿だから目が写ってないだけ?とも思いましたが、野ネズミの体色はこれほど黒々と写りませんし、もっと軽やかにピョンピョン跳ぶように走るはずです。 
映像の小動物はいかにも短足で必死に走り回っています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。
落ち葉の下に浅い溝のようなものを掘って生活している[1]。夜間には地表を歩き、半地中生活をしている。夜になると地上を徘徊することもあるが、日光が照る所には出てこない。「日見ず」という和名もここに由来する。 (wikipedia:ヒミズより引用)


コンクリート支柱の天辺から獲物を探し、交互に離着陸するチョウゲンボウ♀♂(野鳥)

 

2022年10月中旬・午後13:35頃・くもり時々晴れ 

秋になるとチョウゲンボウFalco tinnunculus)をよく見かけるようになります。 (冬鳥?)
郊外でコンクリート支柱の天辺に止まっているチョウゲンボウ♀を発見。 
これは電柱ではなく、球場の周囲にネットを張るために立てられた支柱です。 
近くで聞こえる小鳥の鳴き声♪(ツバメ? カワラヒワ? ハクセキレイ?)は天敵の猛禽に対する警戒声なのかな? 

やがて♀の右背後から音もなく♂が飛来し、♀の隣の水平支柱(太いアルミパイプ)に並んで止まりました。 
パートナーの登場に♀は別に驚く素振りを見せませんでした。 
♂は周囲の刈田で狩りをしていたはずですが空荷で、♀に求愛給餌することもありませんでした。 

ちなみに、チョウゲンボウの性別は頭部の色で容易に見分けられます(♀は茶色で♂は灰色)。 
体格はやや♀>♂。 

チョウゲンボウ♀♂は高い止まり場からキョロキョロ見渡しながら頭部をよく上下に動かし、周囲に広がる刈田(稲刈りが済んだ田んぼ)に獲物(小動物や虫など)が居ないか眼光鋭く探しています。 

♂は狭い止まり場でときどき方向転換しています。 
♂は顔が痒くなったら、片足を交互に持ち上げてボリボリと掻きました。(@3:42〜、5:15〜) 
近くを小さな昆虫が左を飛ぶと、♂が素早く振り返って見ました。 
♀はどっしり構えているのに、♂はとにかく落ち着きがない印象を受けました。 
♂が止まった水平の支柱は安定が悪くて止まりにくいのかもしれません。 
それとも♂の方が空腹なのかな?

やがて右の♀が支柱の天辺から飛び立ちました。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@5:41〜) 
直後に等倍速でリプレイ。 
首をねじって振り返り、右を見ていた♀が右へ飛び去りました。 
♂はその場に居残り、♀に釣られて飛び立つことはありませんでした。 

しばらくすると♀が空荷で舞い戻り、元の止まり場にフワリと着地しました。(@6:15〜) 
隣の♂は無反応。 
狩りから戻った♀は直後に嘴を足元のコンクリート支柱に擦り付けました。 
これは私の想像ですが、近くで虫を狩った♀が食後に嘴を掃除したような気がします。
ハヤブサと異なり、捕らえた獲物は周囲が安全ならばその場で食べる。 (wikipedia:チョウゲンボウより引用)
しばらく経つと、今度は♂が前方に飛び去りました。(@8:04〜) 
隣の♀はビクッとしたものの、♂に釣られて飛び立つことはありませんでした。 

止まり場に残った♀が脱糞しました。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@8:34〜) 
直後に等倍速でリプレイ。 尾羽根を持ち上げ、少量の白い液状便を勢い良く排泄しています。 
ここはお気に入りの止まり場所らしく、白い糞で汚れています。 
私の経験則では、鳥が止まり木で脱糞したら飛び立つ前兆(離陸前の軽量化)なのに、この♀は飛んでくれません。

この後、横の刈田の上空を高速飛翔していた♂を見つけて、急いでカメラを右に振ったのですが撮り損ねました。 

♀♂つがいで一緒に居るチョウゲンボウをこれほど長時間観察できたのは初めてです。


支柱に仲良く並んで止まったチョウゲンボウの♀♂ペアは小声で鳴き交わしているように見えたのですが、私が長撮りしている間、鳴き声は聞き取れませんでした(鳴かなかった?)。 


♂@顔掻き
♂@顔掻き

2023/04/28

給餌場のドングリを全て持ち去った後も残り物が無いか何度も確認しに戻る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月中旬 

シーン1:10/15・午後20:15 
昼間寝ていた夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が晩に活動を再開しました。 
カラマツの幹の背後から現れ、右下に斜面を駆け下りました。 
動きが早くてスロー再生してもぼやけるのですが、このときドングリは運んでいないと思います。 


シーン2:10/15・午後22:11 (@0:14〜) 
約2時間後に野ネズミがまた登場しました。 
シシガシラの群落に覆われた右上の斜面をチョロチョロと徘徊して食べ物を探しています。 白く光る目が暗闇の林床にチラチラと明滅して見えます。 

カラマツの根元にドングリ(ミズナラの堅果)を並べて置いた給餌場に野ネズミはもう来なくなりました。 
前日までに餌場から全てのドングリを持ち去って貯食したことを自分で覚えているのでしょう。 


シーン3:10/16・午前4:04 (@1:15〜) 
日付が変わった未明に野ネズミが再登場。 
カラマツの背後を通って左に走り去り、しばらくするとまた左のエリアに戻って来ました。


シーン4:10/16・午前4:05・ (@1:33〜) 
今度は右の斜面をうろついて食べ物を探しています。 
落ち葉の下からドングリを(偶然?)見つけ、それをまた改めて埋め直したようです。 


シーン5:10/16・午後20:48 (@1:52〜) 
久しぶりに野ネズミが給餌場に来ていました。 
しばらく居座って食べ残しをチェックしています。 
ドングリがもう残っていないと分かると、空荷で左下に立ち去りました。 


シーン6:10/16・午後23:59 (@2:21〜) 
約4時間後にまた野ネズミが給餌場に戻ってきていました。 
未練がましくドングリの残骸(食べ残し)の匂いを嗅いでから、空荷で斜面を左下に駆け下りました。 


餌場にドングリが無くなると、野ネズミの登場頻度が激減しました。
監視カメラに写った野ネズミの個体識別を出来ていませんが、なんとなく同一個体の行動ではないかと思っています。 
カラマツの木の下に信じられないぐらい大量のドングリがあった(宝の山!)という強烈な成功体験が忘れられないのでしょう。 
探餌徘徊の合間にときどき餌場に戻って来ては、残り物や忘れ物が無いかしつこく確認しています。 
野ネズミの優れた長期記憶がしっかり働いていることを目の当たりにしました。 
逆に、過去の成功に囚われ過ぎても無駄なので、徐々に忘却することが必要でしょう。 

※ 暗い映像は動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。


【追記】
10/18に現場検証すると、給餌場にドングリの食べ残しがありました。



また、給餌場から転がり落ちたドングリが2個、斜面の少し下に転がっていました。
野ネズミはこれを暗闇で見つけられなかったようです。

ムラサキカタバミの花蜜を吸うウラナミシジミ♀

 

2022年9月下旬・午後15:25頃・晴れ 

堤防路の花壇に咲いたムラサキカタバミウラナミシジミ♀(Lampides boeticus)が訪花していました。 
翅を半開きの状態で吸蜜しています。 
翅表の黒色部が青よりも広いので、♀と判明。 
開花前の蕾にも未練がましく訪れたものの、吸蜜できずに飛び去りました。 

 西日が強く照りつけ、白飛び気味の映像になってしまいました。

2023/04/27

車が近くを通り過ぎても逃げずに採食を続けるニホンカモシカ♂(左耳欠け)

 



2022年10月中旬・午後14:50頃・晴れ 

山麓にある廃業した旧果樹園で左耳に切れ目のあるニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)が下草のシロツメクサを採食していると、横の車道をときどき車が登って来ます。 
近づいて来る車のエンジン音を聞く度にカモシカ♂はビクッと驚いて逃げ腰になるものの、走り出さずに踏み留まって採食を続けます。 
人里の生活音にすっかり慣れた個体のようです。 

地域住民もニホンカモシカに対しては優しく見守っている(黙認)ということは、野生のカモシカが畑の農作物を食い荒らすことは無いのでしょう。 
猿害対策の電気柵で囲んであれば充分に防除できているのかな? 
一方、里に下りてくるニホンザルの群れに対しては空気銃や爆竹など強硬手段で山に追い払っています。 (映像公開予定)

タヌキの溜め糞場で婚活するベッコウバエ♀♂の群れ(交尾、翅紋誇示、誤認求愛、交尾拒否)

 

2022年10月中旬・午後15:00頃・晴れ 

ニセアカシア河畔林の木の下にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場rvに久しぶりに来てみると、溜め糞が復活していました! 
一時期はトレイルカメラを設置して監視していたのですが、他のプロジェクトのためカメラを撤去し、それと共に私の足も遠のいていました。 
ヒトの気配が無くなったのでタヌキが警戒を解いてくれ、ここにまた通い始めたのでしょうか。 
やはりタヌキたちもトレイルカメラの存在に気づいて嫌がっていたのでしょうか?
この点については結論が出ておらず、私の気にし過ぎかもしれません。
溜め糞の消長には環境の季節変化やタヌキ側の事情もありそうです。

木漏れ日に照らされたタヌキの糞にベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)の大群が群がっていました。 
私が下手に近づくと皆一斉に逃げてしまうので、まずは少し離れたところから望遠マクロで撮影します。 
黒々としたタヌキの糞塊が2箇所に残されていて、その1つにベッコウバエが集まっています。 
冒頭シーンで数えると22匹ものベッコウバエが来ていました。 
ベッコウバエの性別は腹部の色で容易に見分けられ、♀は黒光りしていて♂は黄金色の毛が密生しています。 

糞塊の表面にまぶされている白いフレーク状の欠片は植物の種子ではなく、ベッコウバエの卵です。 
大量に産み付けられていました。 

交尾中の♀♂ペアにズームインしてみると、体格は♂>♀でした。 
横から見ると腹部の色の性差がよく分かります。 
体格の性的二型は、♀を巡って♂同士の闘争行動があることを示唆しています。 
♂が♀に背後から乗ってマウントしているものの、交尾器は結合していませんでした。(交尾中ではない) 
おそらく♂は♀が産卵するまでライバル♂と浮気されないように交尾後ガード(配偶者ガード)しているのでしょう。 
♂にマウントされた♀はひたすら獣糞を吸汁しています。 

次はあぶれ♂の行動に注目してみましょう。 
獣糞の上を歩き回りながら翅を小刻みに開閉して翅紋を誇示しているのは求愛行動なのでしょうか。 
あぶれ♂は手当たり次第に周囲のベッコウバエに飛びついています。 
♂が♂に飛びつくのは同性愛的な誤認求愛ではなく、一種のマウンティング(優劣行動)や縄張り占有行動なのかもしれません。 
獣糞を吸汁したり身繕いしたりしている単独♀にあぶれ♂が飛びついても、なぜかすぐに別れました。 
このとき単独♀は翅を動かしておらず、交尾拒否の意思表示をどう示したのか分かりませんでした。 
単独♀が腹端を下に屈曲させていたので、産卵中だったのかな? 
あぶれ♂は交尾中(交尾後ガード中)の♀♂ペアにも飛びついて♀を強奪しようとしています。 
しかし交尾中の♂が脚を横に突き出して「来るなよ」とあぶれ♂を牽制するので、諦めました。 
あぶれ♂は苛々と翅紋誇示しながら溜め糞上を徘徊しています。 

今回はベッコウバエの他に糞虫などは見つかりませんでした。
(少なくとも獣糞の表面には居らず) 
糞塊の中をほじくってしっかり探すべきでしたね。

2023/04/26

カモシカが眼下腺マーキングしたスギ落枝の匂いを嗅ぐ雨夜のニホンイノシシ♂

 



2022年10月中旬・午前4:09頃・気温12℃ 

里山のスギ林道に設置したトレイルカメラにニホンイノシシ♂(Sus scrofa leucomystax)が久しぶりに写りました。 
小雨がぱらつく夜明け前に林道を単独で右から登場すると、溜め糞場sで立ち止まりました。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマMeles anakuma)の糞便臭に気づいたようです。 

それよりも道端から目の前に突き出たスギの落枝にイノシシは興味を示し、鼻面を近づけて匂いを嗅いでいます。 
複数個体のニホンカモシカが最近この落枝の先端部に代わる代わる眼下腺を擦り付けてマーキングして行きます。 


カモシカよりも体高が低いイノシシは、落枝の先端には届きません。 
それでも嗅覚の鋭いイノシシはカモシカが10.5時間前(前日の夕方)に匂い付けした残り香を嗅ぎ取ったようです。 
少し迂回するように左へ立ち去りました。 

ここは野生動物が縄張り宣言で三種三様に匂い付けするホットスポットになっています。
タヌキ・アナグマの溜め糞やカモシカのマーキング跡に対抗するようにイノシシが縄張りを主張したり何らかのマーキングしたりする行動は見られませんでした。 

この個体は口から牙が少し覗いています。 
この牙のサイズは♂ですかね?(イノシシの観察歴が浅い私は、いまいち自信がありません) 
横から見る限り、下腹部に乳首はありません。 
後ろを向いてくれなかったので、股間の外性器は確認できませんでした。 



カラマツの樹皮を剥がして持ち去るシジュウカラの謎【野鳥:トレイルカメラ】

 

2022年10月下旬・午前10:20頃 

雑木林の林床で午前中にシジュウカラParus minor minor)がカラマツの根元を覗き込んでいました。 
このアングルではシジュウカラの性別を見分けられません。 
私が給餌したドングリは野ネズミが全て持ち去った後で、食べ残ししかありません。 
そんなドングリ餌場にシジュウカラは興味を示しませんでした。 
ドングリ(ミズナラ堅果)を中から食い荒らして育ったシギゾウムシの幼虫が蛹化するためドングリの外に脱出していたかもしれませんが、それも地中に潜り込みますし、おそらく野ネズミが見つけ次第捕食してしまったはずです。 

泥汚れの付いたカラマツの幹をシジュウカラがついばんでいるのは、微小のアブラムシなどを捕食しているのでしょうか? 
根元で強く湾曲したカラマツの幹から樹皮?の欠片を毟り取って左に飛び去りました。 
巣材集めにしては季節外れです。 
寒くなって越冬の準備で巣内に断熱材が必要なのかな? 
しかしスギの樹皮とは異なり、カラマツの樹皮はフワフワの繊維質ではないので、鳥の巣材に向いてるとは思えません。 
クモ♀(蜘蛛)が樹皮に産み付けた卵嚢を捕食した可能性もありそうです。  (追記参照)

※ 古い機種のトレイルカメラで明るい昼間に動画を撮ると、画面全体がピンク色に染まって点滅します。 
見苦しいので動画編集時に自動色調補正を施しました。

冒頭のシーンは明るい日中に撮った現場の状況です。
餌場に置いたドングリが見えます。
設置直後だけは昼間でもフルカラー(総天然色)で正常に写るのが不思議で腹立たしいです。 



【追記】
約2週間後に現場検証してみると、カラマツの根元付近の樹皮に小さなパッチ状のクモの巣(網)らしき構造物が幾つか付着していました。
これはヒラタグモUroctea compactilis)のコロニーですかね?





2023/04/25

夜中のドングリ餌場でザトウムシとニアミスした野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月中旬 

シーン1:10/14・午前1:50 
カラマツの根元にドングリを置いた餌場に野ネズミ(ノネズミ)が来ています。 
次に持ち去るミズナラ堅果を選んでいる間に、ザトウムシの一種が餌場に向かって斜面を下から長い歩脚でえっちらおっちら登って来ました。 
ザトウムシが餌場にやって来たのは、ただの偶然でしょう。
暗闇で野ネズミと鉢合わせしたザトウムシは、慌てて左下へ逃げて行きました。 
野ネズミはドングリを咥えて右へ走り去りました。 

ドングリの方がザトウムシよりも栄養価が高そうですし、この場面で野ネズミがドングリを優先するのは理解できます。 
もしもドングリ餌場と関係のない場所でニアミスした場合、野ネズミはザトウムシを捕食(しようと)するのですかね? 
夜の森でザトウムシを狩る天敵がいるのかどうか、興味があります。 
天敵として脊椎動物(哺乳類・爬虫類・鳥類)・他の節足動物(昆虫・クモ・サソリ・ムカデなど)・扁形動物などが知られ[50][51][52][15]、あらゆる生物群(細菌・真菌・原生動物・条虫・吸虫・ハリガネムシ・ハチ・ダニなど)の病原体や寄生生物に宿主ともされる[53]。(wikipedia:ザトウムシより引用)

関連記事 ▶  
夜の雑木林で斜面を歩くザトウムシをコウモリが襲う?【トレイルカメラ:暗視映像】 
夜の泉に飛来するコウモリは岸のザトウムシを捕食するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

ザトウムシは危険が迫ると歩脚を自切して逃げたり臭腺から忌避物質を分泌する仕組みを進化させたということは、捕食圧が高いはずです。


シーン2:10/15・午後18:16 (@0:22〜) 
翌日も同じ場所でザトウムシが夜に登場しました。 
左からやって来て餌場を横切り、斜面を右へトラバースして行きます。 
そもそもザトウムシは変温動物のはずですから、このときトレイルカメラがなぜ起動したのか不明です。 
恒温動物の野ネズミは画角内に来ていません。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。

ザトウムシは結構好きなので、いつかしっかり調べてみたいものです。
月面探査とか火星探査用のロボットにザトウムシ型のロボットを採用してくれないかな〜と勝手にロマンを抱いています。


鳴いていたミンミンゼミ♂♪が木の電柱から飛び去るまで

 

2022年8月下旬・午前8:55頃・晴れ 

山麓の農村部の道端に昔ながらの懐かしい木製の電柱が立っていました。 
今は電柱としてではなく、外灯(LEDではなく未だ蛍光灯)の支柱として使われています。 
その木製電柱の側面に止まったミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)が、腹部を伸縮させながら大声で元気いっぱい鳴いていました。 
私が動画に撮り始めたらすぐに鳴き止んで自発的に飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

「セミが飛び去る瞬間にオシッコをシャッと出す」 決定的瞬間を捉えた写真はセミの本に必ず載っています。
私もそれをハイスピード動画で記録したいのですが、一度も成功したことがありません。 
今回の♂個体も排尿しませんでした。 
木製電柱(死んだ樹木)からセミは樹液を吸えませんから、オシッコが出なくても不思議ではありません。 
私はこれまで鳴いているセミを長撮りして、自発的に飛び去る様子を撮影していました。 
セミを驚かせて飛び立たせないとオシッコを排泄しないのかな?(緊急避難のための軽量化)
独りでセミを撮影しながら驚かせるのは、三脚を使わないと難しそうです。

2023/04/24

果樹園のシロツメクサを食べに来たニホンカモシカ♂(左耳欠け)

 

2022年10月中旬・午後15:00頃・晴れ 

山麓にあったリンゴ園が廃業して、果樹が全て伐採されてしまいました。 
ただの原っぱとなった旧リンゴ園でニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)が独りでのんびりと下草を食んでいます。 

頭を上げた際に口元からぶら下がる茎の先端にクローバー状の葉が付いていたので、採食メニューはシロツメクサと判明しました。
葉も茎も一緒に食べています。 
せっかく咥えた餌を口からボロボロこぼしてもカモシカは気にしません。 
平田貞雄『ニホンカモシカ・ミミの一生』にはミミと名付けた飼育個体♀に与えた餌について詳細に記録してあるのですが、シロツメクサについてはなぜか調べていないようです。 
給餌テストを3〜7回繰り返しても全く食べなかった植物のリスト(表2:p48)にアカツメクサが含まれていました。 

リンゴ園の下草にはシロツメクサに混じってオオバコやメヒシバも生えています。 
カモシカがオオバコも食べたかどうか、はっきり確かめられませんでした。(食べてない気がします)

カモシカ♂は原っぱをあちこち移動しながら頭を下げて下草を延々と食べ続けています。 
原っぱの奥には枯れ草が大量にありますが、カモシカは生のクローバー葉が好きなようです。 
冬に備えて栄養をしっかり蓄えないといけません。

このニホンカモシカ個体の胴体の左右どちらにも黒斑模様はありませんでした。 
頭部をよく見ると、角の形状は正常でしたが、左耳に切れ目がありました。 
特に後ろから見ると、耳介が左右非対称に欠けていることがよく分かります。 
これほど明確な特徴があれば、私にも個体識別できます。 
山中に設置したトレイルカメラに写ったことはありません。
過去の記録を遡って調べてみると、左耳が欠けた個体は他に1例いましたが、耳の裂け方が全然違います。 
耳介の裂傷が自然に再生するはずはありませんから、別個体と判明。 
今回の個体の方が耳の裂け方が軽微でした。
関連記事(9年前の撮影)▶ ニホンカモシカ(左耳裂け右角欠け)との再会
カモシカは気になる物音がする方向に耳を向けるだけでなく、ハエなど顔にたかる虫を追い払うためにも耳をよく動かします。 
この♂個体は裂けた左耳も正常に動かすことができました。 
むしろ左耳の方がよく動いています。
耳を動かす筋肉は根元にありますから、耳介の先端部が裂けていても動きには問題ないのでしょう。 

採食中に後ろ向きになった際、股間に揺れる睾丸がしっかり見えたので♂と判明。 
白い毛が密生しています。 
真横から見たときに下腹部にある黒い小さな突起が陰茎なのでしょうか? 
デベソなのかもしれませんし、排尿シーンを見ないと確かめようがありません。 
 

食餌の合間に左後脚を持ち上げ、左耳の後ろを蹄で器用に掻きました。(@4:49〜) 
たまに短い尻尾を左右に素早く動かしているのは、どういう意味があるのでしょう?
尻尾で吸血性昆虫を追い払っているようには見えません。
素人目には、機嫌が良いことを示す感情表現のように見えます。

順光の西日を浴びてベストコンディションでの撮影に恵まれました。 
まるで放牧された牛を見ているようです。
ニホンカモシカはウシ科ですから、やはり似ていますね。
狩猟の対象であるカモシカの家畜化を試みた日本人はかつていたはずです。
しかし、山で単独生活を送り群れを作らないカモシカは縄張り意識も高く、集団生活を強いられるとストレスに耐えられないのでしょう。

初めはカモシカを驚かせないように、慎重に近づいて撮影していたのですが、後半はすっかり慣れてくれて、私が丸見えの状態で結構近づいてもあまり逃げませんでした。 
山中で出会う野生カモシカは警戒心が強く、実はこの日も私は撮影に四苦八苦しました。(映像公開予定
ところが、麓に下山したら白昼堂々と採食する図太いカモシカと遭遇して拍子抜けしました。 
随分と人馴れしている個体のようです。


これほど長々と撮影したのは、この機会に排便シーンが撮れないかと期待したからです。 
しかし延べ30分近く観察しても、カモシカ♂は採食中に脱糞しませんでした。(見落としただけかも?) 

 ※ 演出のために、撮影した映像素材の順番を順不同に入れ替えました。 





飛び去って電柱の天辺に止まり直し羽繕いするトビ(野鳥)

 

2022年10月上旬・午前10:10頃・くもり 

郊外の農村部を私が気づかずに歩いているとトビMilvus migrans)が溜池エリアの隅に立つ電柱から飛んで逃げました。 
羽ばたきと滑空を交互に繰り返しながら、トウモロコシ畑や田んぼを飛び越えて遠ざかります。 
上昇するのではなく、裏山の方へ向かってほぼ水平に飛び去りました。 
鳴き声は聞き取れませんでした。 
逆光で翼下面の模様が分かりにくかったのですが、ノスリではなくトビでした。 
当地で見かけるのはノスリが多く、トビはレアです。 

優雅に右旋回しながらトビは電柱の天辺に着地しました。 
首をねじって右肩の辺りの羽毛を嘴で整えています。(羽繕い) 

※ 翼の下面の斑紋が見えるように、冒頭シーンだけ逆光補正しました。 
いつものように動画編集時に手ブレ補正すると、余白の多い飛翔シーンは副作用で却って不自然になるので、前半はそのまま。

2023/04/23

ホンドテンが野ネズミを狩ろうとやって来た?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月中旬・午後21:20頃 

カラマツの根元にドングリを山盛りに置いた餌場をトレイルカメラで見張っていると、野ネズミが1個ずつ持ち去る合間に突然、ホンドテンMartes melampus melampus)が現れました。 
雑木林の斜面を駆け上がると、カラマツの根元(右下)で立ち止まり、辺りの様子をうかがっています。 
再び斜面を駆け上がって姿を消しました。 
短い登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:09〜) 
 ※ スローパートは動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

この夏にテンを目撃した山中の水場から直線距離で数十mしか離れてませんから、監視カメラに写ったことは不思議ではありません。 

関連記事(同年の撮影)▶  

テンは雑食性とされていますが、食べる果実は堅果ではなく液果のようです。 
したがって、今回のホンドテンもドングリ(ミズナラの堅果)を置いた給餌場の匂いには反応しませんでした。
おそらく50分前に通った野ネズミの残り香を嗅ぎ取ったのでしょう。
 
食性は雑食性で、動物質のものはネズミやリス、鳥、爬虫類、両生類、昆虫類、ムカデなど。植物質のものはヤマグワやマタタビ、サクラ、ヤマブドウ、コクワ(サルナシ)などの実[3][7]。(wikipedia:ホンドテンより引用)
テンは甘い果実類が大好物である。(中略)カキだけではなくビワ、アケビ、マタタビ、ヤマブドウ、クワ、ミカンなどの実もよく食べる。(平凡社『日本動物大百科1:哺乳類I』p136より引用)
テンは野ネズミを狩る天敵です。 
私が山中に給餌場を設置したことで野ネズミが数分おきに通うようになり、その物音をホンドテンが聞きつけてやって来たのかもしれません。 
テンが立ち止まって横を向いた際に口に獲物を咥えていませんでしたから、ドングリの運搬・貯食作業中の野ネズミは狩られずになんとか逃げ延びたようです。
エゾクロテンの糞を調べると、(中略)動物質の出現率が圧倒的に高く、全体の約85%を占める。とくにヤチネズミやアカネズミなどの野ネズミ類の出現率が動物質の約90%を占める。これとは逆に、近畿地方のニホンテンは、年間を通じて植物質が87%を占め、その80%が果実であるという報告がある。(同書p137−138より引用)
今泉吉晴『がんばれひめねずみ』は子供向けの絵本ですが、テンに襲われそうになったヒメネズミがドングリを咥えたまま必死で逃げて行く姿が表紙になっています。
本文でもテンがヒメネズミの巣箱を襲うシーンが描かれていました。

天敵とのニアミスに怯えた野ネズミは、警戒してしばらくドングリ餌場に来なくなってしまいました。 
どこか安全な隠れ家や巣穴に潜伏しているのでしょう。
7時間20分間もの長い外出自粛でほとぼりが覚めると、夜明け前に餌場通いを再開しました。 
やはりテンの餌食とならず無事だったようで、一安心。 

野生動物に給餌をすると、予想しないような連鎖反応が起きます。 
給餌行為はヒトの勝手な都合で特定の野生動物に依怙贔屓えこひいきをしている訳ですが、自然界は一人勝ちを許しません。 
急に増えた餌資源を巡って争いが起きますし、今回のように捕食者を呼び寄せることもあります。 
ここで堅果給餌プロジェクトを続けると後日、野ネズミが別の天敵にあわや狩られそうになる危機一髪のシーンが監視カメラに写っていました。(映像公開予定) 
私は給餌場で巻き起こるドラマをあくまでもドライに観察し、何が起きても興味津々で記録するだけです。 
ドングリをせっせと持ち去り貯食する野ネズミやリスに愛着を持って可愛い名前をつけたりするタイプの人は、狩りのシーンを目の当たりにして精神的ショックを受けたり、「私が給餌したせいで…」と罪悪感を抱いたりするかもしれません。(←別にそういう人を揶揄したり非難したりする訳ではありません。) 
野生動物に給餌するならそういう覚悟も必要ですよ、と言う話です。 



【追記】
野生ホンドテンの糞内容物調査をした楠井晴雄・楠井陽子『テンが運ぶ温帯林の樹木種子』によると、(『種子散布―助けあいの進化論〈2〉動物たちがつくる森』p37-50に収録)
動物性食物については(中略)、哺乳類ではほとんどがノネズミ類で、食忠類(ヒミズ、ミズラモグラ)も含まれていた。(p39-40より引用)

実はこの場所でノネズミ以外にヒミズも出没しています。

テンの動物性食物の食性を見てみると、哺乳類への依存度も高く、その多くがノネズミ類であった。テンがノネズミ類を多く採食することによって、それらノネズミ類が貯蔵した堅果類はそのまま地中に残される可能性も高いのではないだろうか。したがって間接的にテンは堅果類の散布に対しても補助的な役割を担っていることが推察される。(p48-49より引用)

下線部についてはとても新鮮な見方でした。 



キタキチョウ♂の叶わぬ恋?:キカラスウリの黄葉に誤認求愛

 

2022年10月中旬・午後14:35頃・晴れ 

民家の外壁を覆うように雑草の蔓植物が繁茂して、天然の壁面緑化のようなマント群落を形成しています。 
軒下にはジョロウグモNephila clavata)が網を張り巡らせています。 
その壁際になぜか執着して1頭のキタキチョウEurema mandarina)が思わせぶりな飛び方をしていました。 
近くにはセイタカアワダチソウの花が咲いていて、蜜源植物には事欠かないはずなのに、わざわざ壁際に固執する理由が分かりません。 
遠目からはクモの網に何度もアタックしているように見えたので、不思議に思ってズームインしてみました。 
クモの網に捕まった♀に対して♂が求愛しているのかと初めは思ったのですが、その予想も外れました。

どうやらキタキチョウはキカラスウリの黄葉に興味を示しているのに、手前に張られたクモの網が邪魔で近づけないことが分かりました。 
同じキカラスウリでも緑の葉には興味がありません。
♂による誤認求愛だとすると、非常に興味深い行動です。 
障害があるほど恋心が燃え上がるのでしょうか。
もしクモの巣が無ければキカラスウリの黄葉に着地して足で触れてみて、同種の♀ではないと確かめて飛び去るはずです。 

キタキチョウ幼虫の食草はマメ科植物(クズは除外)なので、成虫♀が産卵目的で飛来したという訳でもなさそうです。 
マント群落にはキカラスウリの他にクズ(マメ科)の葉も生い茂っていますが、それに対してキタキチョウは全く興味を示しませんでした。 

もう一つ別の可能性として、茂みの奥に羽化間近の♀の蛹があるのかもしれません。 
羽化したら真っ先に交尾しようとキタキチョウ♂が引き寄せられたのでしょうか? 
しかし映像を何度見直しても、蛹は見当たりません。 


最後にキタキチョウはようやく諦めて飛び去りました。
その間、馬蹄形円網の主のジョロウグモ♀は全く無反応でした。 
誘蛾灯の近くに造網するクモがよく育つように、周囲の植生が黄葉し始めたおかげでジョロウグモの捕虫網にキタキチョウ♂がよく掛かるようになったら面白いですね。

キタキチョウが落ち着きなく飛び回るので、肝心の性別が見分けられませんでした。 
ハイスピード動画に切り替えれば良かったかもしれません。 
キタキチョウの性別は、大雑把に言うと翅の黄色が濃い方が♂で、薄い(白っぽい)方が♀です。
今回の飛翔個体は黄色い♂のような気がするのですが、日差しが強くて白飛び気味の映像になり、確信がもてませんでした。

紫外線カメラで撮ればキタキチョウの性別を簡単に見分けられるのだそうです。
・シロチョウ科のキタキチョウは♂の黄色い部分が紫外線を反射し、♀は吸収した。(中略)このキタキチョウの♂の翅は撮影する角度によってその紫外線反射量が変化した。これは構造色の発色のしかたと似ている。 (p24より引用)
・♂のキタキチョウはモルフォチョウと同じ構造で紫外線だけを反射している。それも少し角度が変わるだけで大きく変化する。(中略)キタキチョウは紫外線反射により、互いに雌雄を容易に見極めている。 (p25-26より引用)

紫外線カメラでキカラスウリの黄葉を写真に撮ったら、キタキチョウ♀と似て見えるかどうか、誰か調べてみませんか?

 

ランダムに記事を読む

  • セイタカアワダチソウの花蜜を吸うオオバコヤガ(蛾)27/04/2018 - 0 Comments
  • クジャクチョウの日光浴17/03/2011 - 0 Comments
  • 夜明けに垂直円網の横糸を張るアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】15/12/2015 - 0 Comments
  • ニセアカシアの木に登り警戒するニホンザル♂11/01/2020 - 0 Comments
  • シロバナジンチョウゲの開花【3600倍速映像】14/07/2017 - 0 Comments