2018/07/21

ヨモギヒメヒゲナガアブラムシを捕食するナミテントウ若齢幼虫



ナミテントウの飼育記録#4


2018年5月中旬


▼前回の記事
ヨモギの葉を徘徊するナミテントウ若齢幼虫


背中の赤紋が点のような一対のみあるのは、ナミテントウHarmonia axyridis)の若齢幼虫の特徴です。
ヨモギの若葉に群がって吸汁していたヨモギヒメヒゲナガアブラムシMacrosiphoniella yomogicola)と思われる集団を見つけると、大型の個体(成虫?)にいきなりガブリと噛み付いて捕食開始。
餌食になったアブラムシは全く抵抗しません。
周りに居る小型のアブラムシも慌てて逃げたりしないので、利他性を発揮して警報フェロモンなどは分泌していないようです。



佐藤信治『テントウムシ観察記 (写真絵本 ぼくの庭にきた虫たち)』によると、

・アリマキを食べるナミテントウ
幼虫はエサを口で直接捕えて食べているのを、成虫はエサを前足で持って食べるのをよく見かけた。 (p9より引用)
・(ナミテントウ)孵化2日後には、1回目の脱皮がみられ、体長は3匹が3.5mm、2匹が3mm、黒地に赤い点が2つ見える。その翌日、早くも2回目の脱皮で、体長5mmになり、赤い点は線に変わった。 (p18より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#5:アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ





【追記】
アブラムシの名前について。
ナミテントウ幼虫の生き餌として、ヨモギをホストとする緑色のアブラムシのコロニーを与えました。
手元の図鑑『校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』を参考にしてヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)だろうと判断しました。


私はアブラムシ専門の図鑑や資料を持っていなくて、上記の古い図鑑(2001)しか持っていないのです。ところが、この和名でインターネット検索してもヒットするのは「ヨモギ”ヒメ”ヒゲナガアブラムシ」ばかりで、しかも学名は同じ(Macrosiphoniella yomogicola)でした。
一体これはどういうことなのか分からず、頭が混乱します。
最近になって和名が改名され、ヒメが付いたということなのですかね?
虫の和名でヒメが付くのは、あくまでもスタンダードな種類「(ナミ)○○○」と比べた上で、小型の種類「ヒメ○○○」がいる、というイメージです。
したがって、アブラムシで「ヒメ無し」が消えて「ヒメ有り」だけが残ったのは、事情がわからない素人からすると、ちょっと変な感じです。

九州大学昆虫学教室のデータベース「日本産昆虫学名和名辞書」を検索すると「Macrosiphoniella yomogicola ヨモギヒゲナガアブラムシ」が登録されているので、図鑑『校庭の〜アブラムシ』の単純な誤植ではないと思います。
一方、「ヨモギヒメヒゲナガアブラムシ」という和名はデータベースに登録されていませんでした。

疑問に思った私は、いつもお世話になっている虫Navi掲示板で問い合わせてみました。
するとtsukiさんから以下の回答を頂きました。
私は主に「アブラムシ入門図鑑」を参考にしていますがそれによると、ヨモギヒメヒゲナガアブラムシMacrosiphoniella yomogicolaとなっています。
ただ、近縁種にアオヒメヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogifoliae)がいて、「日本原色アブラムシ図鑑」ではこの種の別名がヨモギヒメヒゲナガアブラムシで、ヨモギヒゲナガアブラムシがMacrosiphoniella yomogicolaとなっています。

「アブラムシ入門図鑑」の誤りであれば正誤表にも載ると思うのですが、正誤表にもなく、「日本原色アブラムシ図鑑」が非常に古い図鑑なので「アブラムシ入門図鑑」に従っています。専門家ではないのでこれ以上のことは判断いたしかねますのでご了承ください。


経緯がややこしいのですが、やはり「ヒメ無し」の和名は古くて廃れたみたいです。
という訳で、この記事でも「ヨモギヒメヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)」と改めておきます。
九大の「日本産昆虫学名和名辞書」データベースも情報が少し古いことが他の例でも分かっているので、何事も鵜呑みにせずアンテナを広く張って総合的に判断するしかありません。



【追記2】
テントウムシを飼育すると、生き餌のアブラムシを調達するのが大変です。
しかしアブラムシの死骸でも食べてくれるらしいので、次に機会があれば試してみるつもりです。
アブラムシの動きを止めるために、アブラムシをいったん冷凍し、それからテントウムシの幼虫に与えることにしました。 (中公新書『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く』p98より引用)


ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食
ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食

ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食 


雛のためにイモムシを捕まえるハクセキレイ♀(野鳥)



2018年5月中旬

耕した畑の畝でハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)が大量のイモムシ(幼虫)を嘴に咥えていました。
雛鳥たちに給餌するために帰巣したのでしょう。
畑からすぐに飛び去り見失ってしまい、営巣地は不明です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハクセキレイ♀(野鳥)@畑

2018/07/20

ヨモギの葉を徘徊するナミテントウ若齢幼虫



ナミテントウの飼育記録#3


▼前回の記事
ナミテントウ一齢幼虫の孵化


2018年5月中旬

ナミテントウHarmonia axyridis)幼虫が孵化してから4日目です。

肉食性の昆虫を飼うときは毎日のように生き餌を調達するのがとても大変です。
獲物が少ないとすぐに共食いを始めるそうです。
卵塊から一気に30匹も孵化したので、口減らししないと、とても全ては世話し切れなくなりそうです。
私の身の回りで手軽に手に入るアブラムシは、ヨモギの群落に集るヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)?のコロニーです。

初めは密閉容器でナミテントウ幼虫を我流で飼ってみたのですが、アブラムシの付いたヨモギの交換が難しいことに気づきました。
容器内は蒸れるので、萎れたヨモギからカビが生えそうです。
虫の飼育書を参考にして、開放環境で飼うことにしました。
アブラムシのコロニーが発生したヨモギの株を道端から採取して水差しにしてやり、そこへナミテントウ幼虫を放ちました。
幼虫を移動させるときは決して手で直に触らず、必ず筆の毛先に乗せてやります。

ナミテントウの幼虫は6本の歩脚と腹端の吸盤を使ってヨモギの葉や茎を徘徊し始めました。
獲物となるアブラムシを探索しているようです。
私は甲虫の幼虫を飼育を飼育した経験があまりないので、若齢幼虫でも意外に動きが速いのに戸惑いました。

ナミテントウの幼虫は垂直のプラスチック壁面も難なく登れることが分かりました。
脱走されないよう注意しないといけませんが、あえて「去る者追わず」で自然に数が減ってくれることを期待して、気楽に飼うことにしました。
ナミテントウは害虫ではなく益虫とされていますから、飼育中にたとえ何匹か外へ逃げ出しても誰にも迷惑をかけません。
とにかく数が多すぎて観察の目が行き届かず、何齢かも分からなくなってしまいました。
もしかすると、既に脱皮して二齢になった個体もいるかもしれません。
生活史の一部始終をきっちり観察したければ、ナミテントウ幼虫を一匹ずつ小分けに飼うべきでした。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



つづく→#4:アブラムシの捕食


ハシボソガラスの育雛放棄?(野鳥)【10倍速映像】



2018年5月上旬・午後15:28〜16:51
▼前回の記事
川沿いの荒れ地で雛の餌を探すハシボソガラスの親鳥(野鳥)



5日ぶりの定点観察にやって来ました。
カメラの三脚を立てて親鳥が雛に給餌する行動をじっくり長時間撮影しようとすると、前回の撮影ポイントは通行人の邪魔になってしまいます。
そこで今回は対岸に渡り、河畔林の茂みの陰に三脚を設置しました。
前回もここから撮影しようとしたら親鳥に警戒されてしまったので、今回は三脚とカメラ全体に迷彩ブラインドを被せました。
これで巣から私の姿は目立たなくなるはずです。



私は横の茂みの陰に隠れて座ったのですが、横や背後からは丸見えです。
時間が経つと親鳥が近くまで様子を見に来て、私の存在があっさりばれてしまったようです。
知能が高く警戒心の強いカラスの子育てをフィールドで観察するには、テント型の迷彩ブラインドの中に隠れるか、本格的なギリースーツを着用する必要がありそうです。

いずれも私は持っていないので、別の工夫を考えます。(※追記参照)



ハシボソガラスCorvus corone)が営巣したニセアカシア(別名ハリエンジュ)の枝には冬芽から若葉が芽吹き始めました。

雛鳥は未だ小さいので、巣を見上げるアングルでは雛が背伸びをしてくれないと姿が全く見えません。
カラスの巣に狙いを定めて微速度撮影で長時間監視してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
この日は親鳥もなかなか帰ってこないので、ここ数日の間に雛が死んでしまったのではないか、親鳥が巣を見捨ててしまったのではないか、と心配になりました。

しかし早回し映像を見直すと、留守番している雛鳥が巣内でときどき動いている姿が写っていました。

雛の無事を確認できて一安心。
次に気になるのは、なぜ親鳥が給餌しに帰巣しないのか?という問題です。
雛が幼いうちは給餌頻度が低くても大丈夫なのかな?
飢えた雛が共食いを始めるのではないかと気が気ではありません。
これまでの私の経験では、親鳥の餌探しが不調でもときどき帰巣して雛の様子を見に来るはずです。
やはり、巣の近くで居座る怪しい私の存在が気に入らず神経質になっているのかもしれません。

親鳥が帰巣しないのに雛が餌乞いする姿が映像に写っていました。
大きく開いた嘴の中が真っ赤なのが幼鳥の特徴です。
もしかすると近くの電線や木の枝に親鳥が来たのかもしれませんが、巣にズームしている映像には写っていません。

撮影中に営巣地の周辺では次のような興味深い行動が色々と見れたのですが、カメラが一台しか無いので証拠映像を撮れず残念無念。
しばらくすると親鳥らしきカラスが近くの電線に止まって辺りを監視していました。
カワウが縄張りに飛来すると親鳥2羽が下流へ追い払いました。
親鳥?が整地された河川敷の水際で川の水を何度も飲み、その後は河川敷で採食していました。
カラス同士で縄張り争いの空中戦も目撃しました。
個体識別できていないのですけど、どうやら近くに若鳥の群れが居るようです。
ときどき鳴き騒いだり、遊びのような模擬空中戦を繰り広げたりしています。

そのうちバッテリー切れとなりました。
やむなくカメラを三脚から撤収し始めた途端に、私の様子をどこかで見張っていた親鳥が巣に戻り雛に給餌しました。
その際に雛鳥が餌をねだる賑やかな鳴き声が聞こえました。
やはりハシボソガラスの親鳥が巣に近づかなくなったのは、あからさまに怪しい私の存在とカメラを警戒したせいだと分かりました。
これがもしハシブトガラスなら、凄い剣幕で怒り狂って私を威嚇してくるはずです。
ただ耐え忍んでいるだけのハシボソガラスは健気ですね。
育児(育雛)放棄されては困るので、次回からは親鳥の邪魔をしないように撮影ポイントを巣から遠く離れた地点に変えることにします。
ニセアカシアの葉が茂ると巣が隠されてしまいそうなので、いつまで観察できるか、時間との勝負です。

※ 風が吹いてほぼ絶え間なく木が揺れるため、三脚を使っていても酔いそうな映像になりました。
それでも動画編集時に手ブレ補正のデジタル処理すると、だいぶ改善されました。

つづく→ハシボソガラス親鳥♀♂が雛に給餌しに通うニセアカシア樹上の巣【10倍速映像】(野鳥)




※【追記】
私は未だカモフラージュネットを上手く使いこなせていないのですが、プロの鳥類学者(カラスの研究者)はこういうとき、カモフラージュネットを頭から被ってしまうのだそうです。(参考:松原始『カラス先生のはじめてのいきもの観察』p31)


ハシボソガラス(野鳥)巣@ニセアカシア樹上
ハシボソガラス(野鳥)巣@ニセアカシア樹上

2018/07/19

カキドオシの花で穿孔盗蜜するクマバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2018年5月上旬
▼前回の記事
カキドオシの花で盗蜜するクマバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

川の堤防や河畔林の林床に咲いたカキドオシの大群落でキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)の♀ばかりでなく雄蜂♂も穿孔盗蜜していました。

複眼が大きく発達していて顔の頭楯が白いのが雄蜂♂の特徴です。
♂は採餌せず自分の空腹を満たすために吸蜜するだけですから、集めた花粉を巣に持ち帰るための花粉籠と呼ばれる器官が後脚には元々ありません。
訪花シーンをよく見ると、クマバチ♂は体が大きい(太い)ため、カキドオシの花筒の入り口から潜り込んで正当訪花することができません。
毎回常に花筒の根本に外側から口器を突き刺して吸蜜しています。
これは穿孔盗蜜と呼ばれる行動で、クマバチやクロマルハナバチのような舌の短い蜂の得意技です。
雄しべの花粉に全く触れませんから、カキドオシの受粉には関与しません。
カキドオシの立場にしてみれば、せっかく受粉の報酬として用意した花蜜が盗まれ損ということになります。


後半は240-fpsのハイスピード動画でも記録してみました。(@3:22〜)
複数個体を撮影。
リアルタイムでは見ているこちらの目が回りそうなくらい忙しなく飛び回ってます。
1/8倍速のスーパースロー映像でクマバチ♂の行動をじっくり見ると、面白いことが色々と分かります。
先客が残した盗蜜痕をそのまま利用することがありました。(例:@4:32)
このようなケースを二次盗蜜者と呼ぶらしい。
いちいち穿孔する手間も面倒なので、なるべく楽して省エネで盗蜜したいのでしょう。
腹端から白い小さな液滴がポトリと落ちたのは、飛びながら脱糞したのかもしれません。(@6:51)


クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜
クマバチ♂@カキドオシ訪花+穿孔盗蜜

田起こし後の畦道で縄張り宣言の母衣打ち♪を繰り返すキジ♂(野鳥)



2018年5月中旬

広い田んぼのどこか遠くでキジ♂(Phasianus versicolor)がケンケーン♪と鳴く声が聞こえました。
望遠レンズで鳴き声の主を探すと、田起こしの済んだ田んぼの畦道に一羽のキジ♂aが立っている姿を見つけました。
(後に別個体bが登場するので、便宜的にaと呼ぶことにします。)

こういうときは動画を長撮りしながら辛抱強く待つと、数分間隔で鳴いてくれます。
2回続けて映像で記録することが出来ました。
ケンケーン♪という勇ましい絶叫は♂による縄張り宣言の鳴き声囀りさえずりで、鳴いた直後に力強く翼を羽ばたいてドドドド♪とドラミングします。
この一連の行動は母衣ほろ打ちと呼ばれます。
母衣打ちの合間にキジ♂αはキョロキョロと辺りを見回しました。
隣り合う縄張りの♂同士が交互に鳴き交わしているようです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→キジ♂が畦道で羽繕いし、耕された田んぼを歩いて採食(野鳥)



2018/07/18

ナミテントウ一齢幼虫の孵化



ナミテントウの飼育記録#2



▼前回の記事
卵塊から孵化するナミテントウ一齢幼虫【60倍速映像】

2018年5月上旬

タニウツギの葉裏に産み付けられたナミテントウHarmonia axyridis)の卵塊から幼虫が続々と孵化する様子を微速度撮影する合間に、通常のリアルタイムHD動画でも記録してみました。
黒っぽい一齢幼虫が蠢いています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→ヨモギの葉を徘徊するナミテントウ若齢幼虫


ナミテントウ一齢幼虫群れ@孵化直後


【追記】
孵化翌日の幼虫の写真も載せておきます。
卵殻が食べられずに残っていて、その周囲に依然として群れを形成しています。
2匹だけが群れから離れ分散しつつあります。



川沿いの荒れ地で雛の餌を探すハシボソガラスの親鳥(野鳥)



2018年4月下旬
▼前回の記事
孵化した雛に給餌するためニセアカシア樹上の巣に通うハシボソガラス(野鳥)

巣で待つ雛鳥を養うためにハシボソガラスCorvus corone)の親鳥は対岸の荒れ地で餌を探し歩いていました。

この辺りの河川敷は人手によって整備されておらず荒れ放題です。
川に沿って岸には流木や倒木などが散乱しています。
放置されたゴミ(プラスチックのビールケース)が見苦しい…。
春の植物も未だほとんど育っておらず、カラスの餌となる虫もあまり居なさそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→ニセアカシア樹上の巣で親鳥を待つハシボソガラスの雛たち(野鳥)【10倍速映像】


ハシボソガラス(野鳥)@河川敷+採食

2018/07/17

ライラックの花で吸蜜するクロマルハナバチ創設女王



2018年5月上旬

公園に植樹されたライラック(=リラ、ムラサキハシドイ)の灌木で紫の花が満開に咲いています。
クロマルハナバチBombus ignitus)の創設女王が訪花していました。
大型の個体なので、この時期はワーカー♀ではなく創設女王でしょう。
後脚の花粉籠は空荷でした。
女王蜂はライラックの花蜜を少し吸っただけで飛んで逃げてしまいました。
時間に余裕があればその場で待機して蜂が戻ってくるまで粘ったのですが、この日は別の用事があり、後ろ髪を引かれつつ先を急ぎます。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


クロマルハナバチ♀創設女王@ライラック訪花吸蜜

ライラック花
ライラック花

早春の野原を3頭で散歩するイエネコ



2018年3月下旬

根雪が溶けたばかりの休耕地?を小走りで移動する黒猫を見つけた私は、野生動物かと思って撮り始めました。
すると更に2匹(黒猫1、茶猫1)のイエネコFelis silvestris catus)と合流しました。

茶色の猫が先頭に立ち、尻尾を左右に大きくくねらせながら枯れ草の茂みを歩き回ります。
おそらく野ネズミを探索しているのでしょう。
獲物に飛びついて捕らえ損ねたついでに、黒猫と茶猫の2頭がふざけたようにもつれ合いました。

私は家で猫を飼った経験が無くて本やテレビなどから得た中途半端な知識しかありません。
それでもなんとなく、茶色の個体が♀で黒猫♂2頭がつきまとっているように見えました。
発情が近い♀を♂が交尾前ガードしていると勝手に解釈してみたのですが、どうでしょう?
だとすれば♂同士がもっと喧嘩するはずですかね?
ただの仲良し3頭組なのかな?
首輪は見えませんけど、おそらく近所で飼われている飼い猫なのでしょう。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/07/16

卵塊から孵化するナミテントウ一齢幼虫【60倍速映像】


2018年5月上旬

ナミテントウの飼育記録#1


タニウツギの開花運動を微速度撮影するつもりで、膨らんだ蕾の付いた小枝を夜に採取してきました。
家に持ち帰って花瓶(ペットボトル)に生けるとき、一枚の葉の裏面に黄色い卵塊があることに気づきました。
数えると31個の黄色い卵が産み付けてありました。
これはテントウムシの卵だろうと予想しました。
そこで予定を変更して、テントウムシを飼育観察してみることにしました。





卵塊を側面から接写してみると↑、孵化しない未受精卵が1個写っていました。(最前列の右から3個目)
表面の橙色が不均一で、見るからに異常な卵でした。



翌日、卵塊が黒っぽく変色していました。
卵殻を通して中の黒い幼虫が透けて見えるようになったのです。
この時点でも、卵塊に未受精卵が1個混じっているのが分かります。
卵の色の変化が孵化の前兆らしいので、微速度撮影で記録することに。



60倍速の早回し映像をご覧下さい。(午後17:06〜23:34)
孵化寸前には白い卵殻を通して幼虫の黒い体節が縞模様のように透けて見えるようになります。
卵から出てきた一齢幼虫の頭部と胸部は初め黄色(橙色)でした。
上半身が外に出ると、黄色の長い脚が固まる(黒化する)までしばらく休息します。

黒っぽい幼虫が続々と孵化してきました。
映像では幼虫の集団が少しずつ下方へ移動しているように見えますが、実はタニウツギの葉が少しずつ萎れて垂れ下がっているせいです。
定規を写し込んで卵塊や幼虫を採寸するのを忘れてしまいました。

全身が黒化すると幼虫は卵殻から完全に抜け出て徘徊を開始。
しかし互いに離れようとしないで群れを形成しています。
卵嚢から出てきたばかりのクモ幼体が団居まどいを形成する様を連想しました。
テントウムシ一齢幼虫の体表にあるトゲトゲは共食いされないための武装なのかな?と妄想してみました。
腹端に吸盤のようなものが見えます。
体を基質に固定するための粘液(糞?)を腹端から分泌しているようです。



卵塊から無事に孵化した一齢幼虫は30匹でした。
計31個の卵塊だったので、96.8%(30/31)という高い孵化率でした。
1個の未受精卵は幼虫によって共食いされたようです。(食卵)
初めての食事として白い卵殻も少しは食べるのかもしれませんが、私は確認していません。
一齢幼虫が群れを解消して分散した後も卵殻は完食されず残っていました。


中公新書:鈴木紀之『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く 』を読むと、テントウムシ幼虫の食卵行動について私の知らなかったことが書いてありました。

アブラムシを食べる肉食性のテントウムシの仲間は、黄色の卵を数十個まとめて卵塊として産みつけます。しばらくすると一斉に幼虫が孵化しますが、一部の卵は孵化が遅れるか、あるいは孵化すらしません。すると先に孵化した幼虫は、こうしたなかなか孵化しない卵を生涯最初のエサとして食べ始めます。同種の卵、しかも同じ母親から生まれた兄弟姉妹を食べているわけですから、この行動は「共食い」と呼ばれています。 (p48-49より引用)

孵化して間もない幼虫はまだ運動能力が低いために、アブラムシをうまくハンティングできません。特に、体も大きくすばやく歩き回る種類のアブラムシは、テントウムシの幼虫にとっては手強いエサです。そこで、孵化した直後に共食いをすることで、幼虫は苦労することなく成長し、アブラムシを効率よく捕まえられるようにしているのです。 (p49より引用)

多くの昆虫と同様に、テントウムシの母親は産卵後に子(卵)の元を離れ、その後もいっさい面倒を見ません。しかし、母親は不測の事態に備えてわが子に「お弁当」を持たせてあげていると見なせるでしょう。テントウムシの孵化しない卵は、母親からの幼虫に対する追加的な投資なのです。  先に孵化した幼虫の栄養となるような、子の生存に役立つ卵は「栄養卵」と呼ばれています。 (p50より引用)
栄養卵はテントウムシの他に、カメムシやアリなどの昆虫、カエルやサンショウウオといった一部の脊椎動物にもみられます。それほど多くの種で採用されているわけではありませんが、広い分類群にまたがっているという意味で普遍的な戦略です。 (p50より引用)


詳しいメカニズムは分かっていませんが、ナミテントウはアブラムシの量に応じて栄養卵の供給を調整しているようです。だからこそ、孵化しない卵が単なる発生上のバグではなく、「母親の積極的な戦略」として捉えることができるのです。 (p58より引用)




この本の記述通りならば、今回の孵化率が高かったので、卵塊の周囲の餌環境が良好だと母親♀が産卵前に評価したことになります。
しかし、タニウツギの枝葉にテントウムシの餌となるアブラムシのコロニーは見当たりませんでした。(私の探し方が不十分だった?)
日当たりの悪い場所にあった株で、生育が悪い灌木でした。

タニウツギは落葉樹ですから、越冬したナミテントウの母親♀が春になって開いた葉裏に産卵したのです。

テントウムシの卵塊が孵化のタイミングを揃える秘密は何でしょう?
互いに密かに「今から孵化するぞ」とコミュニケーションしているのかな?

卵塊としてまとめて産めば気温など周囲の微気象も同じになるので、孵化までにかかる時間もほぼ同じになる、ということで単純に説明できるのかもしれません。
出遅れると共食いされてしまうので、卵塊が同期して孵化するように進化したのでしょう。


以下は、撮影中の気温を記録したデータです。
午後17:02 室温21.9℃、湿度43%
午後17:40 室温21.5℃、湿度43%
午後18:55 室温21.1℃、湿度43%
午後19:52 室温21.0℃、湿度43%
午後21:27 室温20.9℃、湿度44%
午後23:14 室温20.6℃、湿度43%

飼育を続けると、これはナナホシテントウではなくナミテントウHarmonia axyridis)の一齢幼虫と後に判明します。







↑【おまけの動画】

早回し速度を少し落とした40倍速映像をブログ限定で公開します。


つづく→#2:ナミテントウ一齢幼虫の孵化


孵化した雛に給餌するためニセアカシア樹上の巣に通うハシボソガラス(野鳥)



2018年4月下旬・午後16:33〜17:50
▼前回の記事
ニセアカシア樹上の巣で抱卵するハシボソガラス(野鳥)

7日ぶりの定点観察。
ニセアカシア(別名ハリエンジュ)の枝に葉は未だほとんど芽吹いていません。
ハシボソガラスCorvus corone)の巣内では既に雛鳥が孵っており、親鳥がせっせと給餌しに通っていました。

親鳥が帰巣すると、ニセアカシアの枝に着陸した振動に反応して雛鳥が一斉に伸び上がり、嘴を大きく開けて餌乞いします。
カラスの雛や幼鳥は嘴の中が赤いのが特徴です。(成鳥になると黒くなる)
少なくとも4羽の雛が見えます。
未だ羽毛が生え揃っていない裸の雛たちに親鳥は少量ずつ餌を口移しで与えています。
親鳥を個体識別できないので、♀♂つがいが交互に給餌に来ていることを確かめられませんでした。
食事を済ませると雛は巣にうずくまって休んでいるらしく、外からは全く見えません。
春風が吹くとニセアカシアの高木がゆっくり左右に揺れます。

給餌を済ませた親鳥は巣を離れると旋回、滑空して河畔林の枝に止まりました。
足元の枝に嘴を擦り付けています。
出巣した親鳥が近くの電線に止まって休むこともありました。
雛鳥に給餌した後に親鳥が雛の排泄した糞を巣の外へ捨てに行く排糞行動が、この日は私が見ている間は一度も見られませんでした。
孵化したばかりの幼い雛鳥は食後すぐには排便しないのかもしれません。
幼い雛は巣内に糞を垂れ流すのかもしれません。

親鳥は主に対岸の河川敷(荒れ放題の草地)で採食しているようです。(映像公開予定)
採食を済ませてもすぐには帰巣せず、近くの電線や木の枝などに一旦止まって辺りを警戒し、安全を確認してから雛鳥の待つ巣へ戻っていました。

この河畔林にはハシボソガラスとハシブトガラスが両種とも生息・営巣しています。
2種の縄張りや棲み分けはどうなっているのか興味深い問題です。

撮影アングルを変えながら同じ巣を観察しています。
対岸にこっそり渡ってから巣を狙ってみたり、撮影アングルを試行錯誤してみました。
巣に近づいても見上げるアングルになると、巣内にいる雛の姿がほとんど見えなくなってしまいます。
親鳥が私に対して露骨に警戒するようになり、私の頭上を偵察飛行に来たりしました。
その後、親鳥は巣に近寄らなくなってしまいました。
ちなみに、この日の日の入り時刻は午後18:26。
午後18:40まで粘って対岸から監視したものの、親鳥は巣に戻って来ません。
おそらく怪しい私の存在がばれてしまい、警戒して帰巣したくないのでしょう。
もう夜も気温が高いので抱雛する必要がないのかな?
だとすれば親鳥は夜どこに塒入りしているのか、気になります。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→川沿いの荒れ地で雛の餌を探すハシボソガラスの親鳥(野鳥)


ハシボソガラス(野鳥)@帰巣:ニセアカシア樹上+雛給餌
ハシボソガラス(野鳥)@帰巣:ニセアカシア樹上+雛給餌
ハシボソガラス(野鳥)巣@ニセアカシア樹上
ハシボソガラス(野鳥)巣@ニセアカシア樹上
ハシボソガラス(野鳥)巣@ニセアカシア樹上

2018/07/15

ヒゲナガハナバチの一種:♂同士の誤認求愛



2018年5月上旬


▼前回の記事
カキドオシの花蜜を吸うヒゲナガハナバチの一種♂

川の堤防に咲いたカキドオシの群落でこの日に見かけたヒゲナガハナバチの仲間は触角の長い雄蜂♂ばかりで、触角の短い♀の姿を見かけませんでした。
♀が未だ羽化する前に♂が活動を始め、交尾相手の♀を待ち伏せしているのでしょう。(雄性先熟)

一匹の♂αが吸蜜しながら腹部を身繕いしていると、そこへ(おそらく同種の)別個体♂βが背後から飛来して軽く飛びつきました。
すぐに離れて少し離れた別の花に着陸し、吸蜜を始めました。
餌場(蜜源)からライバル♂を追い出す縄張り争いではないようなので、おそらく♀と誤認して交尾しかけたのでしょう。

スーパースローで撮影していれば、一瞬の出会いで何か面白いことが行われていたのかどうか突き止められたかもしれません。

その後、二匹の雄蜂は花上で念入りに化粧をしています。
とても長い口吻を伸縮させ、前脚で拭いました。
このぐらい舌が長ければ、カキドオシの漏斗状の花筒の奥にある蜜腺から吸蜜するのは容易でしょう。
カキドオシに正当訪花して吸蜜するハナバチ類は長い舌が必要なのです。

上の個体♂βが先に花から飛び立ちました。
下に居た個体♂αに再び誤認求愛してから飛び去りました。
今回もすぐに離れましたが、♂αは何か交尾拒否(抗議)のシグナルを発したのかな?

蜂を同定するため撮影後に持っていたビニール袋を被せて採集しようとしたものの、逃げられてしまいました…。



河川敷の草地を歩き回り採食するヒバリ♂(野鳥)♪



2018年5月上旬

私が河原の堤防を歩くと、ヒバリ♂(雲雀;Alauda arvensis japonica)が空高く飛びながらさえずる鳴き声が聞こえました。
しかし飛んでいる姿は見つけられず、河川敷の草地に舞い降りたところから撮影開始。
草地でじっと静止していると保護色で全く目立ちません。
近くに巣があるのではないかと期待したのですが、警戒心が強いようです。(※追記参照)
キョロキョロと辺りを見回しています。
ようやく歩き回りながら採食を始めてくれました。

水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば、

ヒバリは草の種子も食べるが草原の中の昆虫も捕食する。(p25より引用)



ときどき甲高くピィピィ♪と鳴いています。
結構遠いのですが、鳴き声と嘴の動きが一致したので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。
これがヒバリの地鳴きなのかな?
バードリサーチ鳴き声図鑑」サイトで調べた「ヒバリの地鳴き」とは違うので、気になります。


オスは頭部の冠羽をよく立てるが、メスはオスほどは立てない[11]。(wikipediaより)
とのことですが、この個体は冠羽を立てませんでした。



※【追記】
小林朋道『先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学』によれば、
(ヒバリの)親鳥が帰ってきた。まずは巣から数メートル離れた場所に降り立った。これはヒバリの習性である。それから、巣のほうは見ないで、ジグザグに巣に近づいていった。これも、巣の場所を知らせないためのヒバリの習性である。 (p45より引用)
「ヒバリは環境への順応性が高く、多少のことでは巣を放棄したりしない」「ヒバリは人間からの干渉にかなり耐性のある動物」とも書いてあったので(p19、21)、早く私もヒバリの巣を見つけられるようになって営巣・育雛行動を観察してみたいものです。


ヒバリ♂(野鳥)@河川敷:草地



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