2023/03/18

雨夜のスギ林道で撮れたアライグマの尻尾?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月下旬・午後22:35頃・雨・気温16℃ 

里山のスギ林道でタヌキとアナグマの溜め糞場sをトレイルカメラで監視していると、雨が降る晩に謎の野生動物が記録されていました。 

カメラの死角(手前側)から何やらガサゴソ♪と物音がしています。鼻息? 
残念ながら全身像は一度も写りませんでした。 
謎の獣が方向転換した際に、太い尻尾だけチラッと写りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、尻尾にくっきりとした横縞模様がありました。 
したがって、これはアライグマProcyon lotor)と判明しました。 
在来種の哺乳類で横縞模様の尻尾を持つ者はいません。

【追記】
ネコの尻尾という可能性もあり得ますけど、ふもとの飼い猫がこんな山奥まで登ってくるとは考えにくいです。
 

私は外来種のアライグマをフィールドで見かけたことが未だ一度もありません。 
遂に山形県の山林にまで分布を広げてきたようです。 
日本各地でアライグマは在来種を圧迫したり農作物を食害したりと問題となっているので、心配です。

林道脇の法面でアライグマが一体何をしてたのか、気になります。 
スギの木の根元の崖を掘り返して餌を探していたのでしょうか? 
杉林で雨宿りしに来たのかもしれません。
林道の逆側のアングルからも別のトレイルカメラで狙っていたらスクープ映像が撮れたのに、残念無念…。 
アライグマがもしタヌキとアナグマの溜め糞場sに興味を示していれば、必ずトレイルカメラにしっかり写っていたはずなので、溜め糞を避けるように迂回したことになります。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
冒頭は短くまとめたハイライト、後半は全記録です。 
画面に何も写って無いのにアライグマの動く物音が聞こえるだけのシーンが続きます。 

草地を飛び回り巣穴に出入りするモンスズメバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 



2022年8月上旬・午前7:00頃・晴れ 

朝早くから河川敷を歩いていると、コンクリート縁石の横に開いた穴にモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が出入りしていることに気づきました。 
6月に定点観察していたモンスズメバチのコロニーaは草刈り作業員に駆除されたと思っていたのですが、新しい巣bに引っ越し(逃居)してきたのでしょうか? 
新旧2つの巣は直線距離で北に(下流にa→b)約140m離れていました。 
蜂を個体標識していなかったので、同一コロニーとは限りません。
私が気づかなかっただけで、初めから独立した2つの巣があったのかもしれません。 
地中に営巣するモンスズメバチを見つけたのは2例目で、珍しくはないようです。 

イネ科の草(芝生?)が一面に生えた河川敷で元々は野ネズミの巣穴を再利用したのか、今回の巣口bはかなり大きく広げられています。 
数日前に集中豪雨が降ったのですが、この河川敷が氾濫するほどの増水はしてないので、巣内への浸水は免れたようです。 

複数個体のワーカー♀が連続して帰巣したり出巣したりすることがあり、活発なコロニーと分かりました。 
蜂が外役から戻ってくると、ブーン♪という羽音が聞こえます。 

黒っぽい小型のコオロギ?が巣口付近をウロウロしても、モンスズメバチ♀は獲物として狩るどころか全く無関心でした。 
門衛が追い払いに来ることもないので、コオロギは無害と判断されたのでしょう。 

この日は三脚を持参しなかったので、まずは手持ちカメラで動画を撮ります。 
私が巣に近づき過ぎると、警戒したワーカー♀が撮影する私の目の前をホバリングしてまとわりつき、誰何してきます。(映像なし) 
その度に落ち着いて後退したので、攻撃を受けずに済みました。 
黒い服を着ていたら危なかったかもしれません。 
モンスズメバチ♀が飛びながら大顎をカチカチ♪鳴らす威嚇は聞き取れませんでした。 
空中で透明な液体を排出したのは脱糞したのか、それとも毒液で警戒フェロモンを放出したのかな? (映像なし)

巣口を見下ろすように、帰巣する蜂の背側から撮ると、巣に何を搬入したのか、空荷かどうか確認できません。 
そこで巣口の横の地面にカメラを直置きし、240-fpsのハイスピード動画でモンスズメバチの離着陸を横から撮影してみることにしました。(@1:51〜) 
丸めたバンダナをカメラの下に挟み込んで、カメラの高さや角度を適当に調節しました。 
カメラという黒くて大きな異物が巣口の横に突然出現したので、帰巣した外役ワーカー♀は露骨に警戒するようになりました。 
しかし黒いデジカメに直接激しい攻撃を加えることはありませんでした。 
私は少し離れた場所から見守ります。 
しばらくすると、カメラの存在に慣れてくれた蜂がようやく落ち着いて巣穴に出入りするようになりました。 
後半からは緑の迷彩柄のバンダナを黒いカメラの上から被せてみたら、周囲の芝生に溶け込んで蜂はほとんど気にしなくなりました。
(この作戦はかなり有効です!)
 

空荷で帰巣したワーカー♀が真上から巣口に降下すると、周囲の草が蜂の羽ばたきでなびきます。 
まるでヘリコプターの着陸シーンのようで格好良いですね。
ホバリングしながらゆっくり降下しながらも、着陸するまで蜂は油断なく周囲を見回していました(空中で向きを変えています)。 
停飛しながらカメラ目線をくれることもありました。 
アシナガバチと違ってスズメバチは飛翔時に足を体側になるべく引き付け、空気抵抗を減らしています。 
その脚を伸ばして着陸します。 

トンネルから巣口まで這い出てきたワーカー♀は羽ばたきを始め、外役に飛び去ります。 

外役から戻ってきた個体が入巣しようとしたら、巣口から別個体が飛び出してきたので、着陸を延期しました。(出巣個体が優先?) 
一方、慌てて離陸した個体は巣口の横に生えた草にぶつかり、空中で少し体勢を崩しました。 

後半は手持ちカメラでもハイスピード動画を撮ってみました。 
巣口に置きピンしてから、飛来した蜂が入巣するまで上手く流し撮りすることができました。(@8:15〜) 
巣口の横に置いていたカメラが急に無くなったので、蜂は少し警戒しているようです。 
巣口の上でいつもより長くホバリングしています。 
あるいは営巣地の景色がまた変わったせいで、戸惑った蜂が少し迷子になっているのかもしれません。 
それでも結局は無事に帰巣しました。 
トンネルの入口で待ち構えていた門衛の誰何を受け、栄養交換をしたように見えました。 
門衛とすれ違って完全に入巣するまで、なぜか長く時間がかかりました。
(実時間でも長いので、早回しに加工しました) 

ラストシーンでは、出巣しかけた個体が巣口まで登ってきたものの、警戒・逡巡して巣内に戻りました。(@9:40〜) 

離着陸を繰り返す飛翔シーンをスーパースローで見ると、生きたモンスズメバチ♀は最先端の小型ドローンよりも高性能であることがよく分かります。 
何よりも静音性が段違いです。 
ハイスピード動画で迫力のある離着陸シーンが撮れたものの、期待したような獲物(肉団子)や巣材の搬入シーンは結局撮れていませんでした。 
撮れるまで愚直に粘るべきでしたが、太陽が高く昇るにつれて耐え難いほど暑くなりますし、徹夜明けで疲れていた私は撮影を打ち切って帰りました。 
周囲でミンミンゼミ♂がやかましく鳴いているのに、モンスズメバチは狩りに行かないのでしょうか?

※ 撮影順ではなく、ストーリーを考えて映像素材を並べ替えました。 

2023/03/17

カラマツの幹を駆け下りてクルミを運ぶニホンリスの謎【トレイルカメラ】

 

前回の記事:▶ ニホンリスの垂直跳び 


2022年9月下旬・午前10:22および11:00 

里山で雑木林の斜面に立つ泥カラマツを自動撮影カメラで監視しています。 
癖のある旧機種で撮影したせいで、明るい昼間なのに、画面全体が不自然なピンク色になってしまいます。 
動画編集時に自動色調補正を施して、なんとか不自然さを減らしました。 
(冒頭シーンは別日に辛うじてフルカラーで記録できた日中の現場の様子です。)

幹に泥汚れのついたカラマツの樹上からパラパラと樹皮の欠片?が落ちてきました。 
何事かと思いきや、湾曲したカラマツの幹をニホンリスSciurus lis)が駆け下りてきました。 
口に何か丸くて白っぽい果実を咥えていて、そのまま斜面を駆け上がりました。 
木の実をどこかへ貯食する(隠す)のでしょう。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:18〜)、リスが運んでいたのは、カラマツの松ぼっくり(球果)ではなく、オニグルミの堅果のように見えます。 
問題なのは、現場近くで自生するオニグルミの木を見かけたことがないということです。 
過去にニホンリスがクルミの堅果をわざわざ遠くから運んでカラマツの樹上に隠しておいた(貯食)のでしょうか? 
ちなみに、松ぼっくりはリスの大好物とされていて、エビフライのような特徴的な食痕になることがフィールドサインの本にはよく紹介されています。 
しかし私は未だ山中で海老フライ状になった松ぼっくりをなぜか一度も見つけたことがありません。 
実は、トレイルカメラを固定している樹種はシナノキです。 
カラマツと隣接して生えるシナノキの丸い果実をリスが運んでいる可能性もありそうですが、木の実の大きさが違う気がします。
シナノキの果実も堅果らしいのですが、動物散布ではなく風散布されると知ってびっくり!


38分後の午前11:00に、再びニホンリスが登場しました。(@0:37〜) 
小雨がぱらついています。 
前回と全く同じルートでカラマツの湾曲した幹を駆け下り、そのまま雑木林の斜面を走って登りました。 
いつの間にか同一個体が戻ってきたのかな? 
今回はスロー再生しても(@0:48〜)木の実を運搬しているようには見えず、おそらく空荷でした。 




 
 ↑【おまけの動画】 

2022年9月下旬・午前6:13(日の出時刻は午前5:30) 

5日後の早朝に現れたリスは空荷でした。 
トレイルカメラの画角が少し違いますが、画面の上から林床の斜面を左に駆け下りました。 

前の動画とつなげてから公開しようと思ったのですが、ファイル形式が微妙に違っていたので連結できませんでした。



クルマバナの花蜜を吸うモンシロチョウ♂

 

2022年7月中旬・午前11:30頃・晴れ 

休耕地に咲いたクルマバナの群落でモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が訪花していました。 
翅をしっかり閉じて吸蜜しています。 

クロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が飛来すると、モンシロチョウ♂は驚いて飛び立ちました。 
少し飛んだだけで上の花に止まり直し、吸蜜を再開。 
クロマルハナバチ♀とニアミスした瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

2023/03/16

夜の林道で独りミゾソバを食べ歩くニホンカモシカの幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月下旬・午後18:57〜19:15 

里山の林道で年中水溜りのある湿った区間をトレイルカメラで見張っています。 
動画の冒頭は明るい昼間に撮った現場の様子です。 

ある日の晩に1頭のニホンカモシカCapricornis crispus)が林道を右から左へ足早に通り過ぎました。 
カメラの起動が遅れ、下半身の左側がちらっと写っただけです。 
おそらく母親♀だろうと後に判明します。 

約1分後に画面の右端からカモシカの幼獣がやって来ました。 
先行する母親♀の後を追いかけてきたのでしょう。 
水溜りの手前で立ち止まり、下草を採食し始めました。

関連記事(9日前の撮影)▶ 渓流沿いの土手で下草を食べるニホンカモシカの母子

母親とはぐれて離れ離れになってしまったのか、それとも既にかなり親離れした個体なのか、どちらでしょう。
闇夜の林道でカモシカの幼獣が単独で採食していても安全なのでしょうか? 
ニホンオオカミが絶滅し野犬も駆除された現代の日本では、カモシカを襲う捕食者はほとんどいないと考えられています。 (大型の猛禽やキツネはカモシカ幼獣を狩るか?)
大型肉食獣の不在こそが日本の山林で生態系が荒廃する深刻な遠因になっているのですが、ここでは深く立ち入らないことにします。 

林道のこの区画には山から沢の水が流れ込み、水溜りが乾くことなく常にジメジメしています。 
その結果、ミゾソバなどの湿地帯を好む下草が林道一面にびっしりと生い茂っています。 
したがって、ニホンカモシカ幼獣はミゾソバを主に採食しているようです。 
カモシカにとってこの林道は食草が豊富に生えていて、食べ放題の餌場になっています。 
この幼獣はほとんど移動せずに立ち止まったまま、監視カメラの前で採食を続けています。(サービス精神旺盛?) 

カモシカ幼獣が急に採食を中断し、振り返って林道の右を凝視しました。(@1:12〜) 
音量を上げても私には何も聞き取れませんが、カモシカ幼獣は油断なく耳をそばだてています。 
やがて警戒を解くと、採食再開。 

しばらくすると、遠くから別個体のカモシカがフシュ♪と鼻息を荒らげました。
その鼻息威嚇を聞きつけると、幼獣はすぐに頭を上げて辺りを警戒しました。(@3:07〜) 
何事もなかったので、幼獣はすぐに警戒を解いて採食再開。 
カメラに写ってないだけで、実は母親♀が幼獣の近くに居るのかもしれません。 
ニホンザルは群れの仲間とはぐれないように、常に鳴き交わしています(コンタクトコール)。 
カモシカの鋭い鼻息は威嚇のディスプレイだとばかり思っていましたが、親子間のコンタクトコールとしての役割もありそうです。
しかし今回のカモシカ幼獣は、採食中に鳴き声を全く発しませんでした。 (そもそもニホンカモシカは滅多に鳴きません。) 

 1分間の録画時間が終わってもすぐにまた熱源センサーがカモシカ幼獣の動きを感知して撮影を再開します。 
カモシカ幼獣は水溜りの岸辺から離れようとしません。 
その辺りの下草が一番みずみずしくて美味しいのでしょう。 

採食の合間にカモシカ幼獣が体を曲げて右脇腹(または右腿?)を舐めました(または口で掻いた?)(@8:09〜) 
手前に生えた幼木の枝葉が邪魔でよく見えませんが、 おそらくヤブ蚊に喰われて痒かったのでしょう。 
ときどき耳をパタパタと動かしているのは、顔にたかるヤブ蚊を払っているのでしょう。 

延々と道草を食っていたカモシカ幼獣が遂にカメラの近く(画面の手前右)に近づいてくれました。 
道端に自生する幼木の葉に興味を示したものの、匂いを嗅いだだけで結局食べませんでした。(@10:45〜) 
最後は画面の右下隅に消えました。 
林道を外れて谷側に降りる獣道を利用したのかもしれません。 

1頭の野生動物がこれほど長時間トレイルカメラの前で立ち止まって自然な採食行動を披露してくれたのは初めてです。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



タヌキの溜め糞に集まる様々なハエ類に序列はあるか?

 



2022年9月中旬・午後13:45頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が里山の尾根道に残した溜め糞場cに集まるハエ類をマクロレンズで接写しています。 
オオマダラヒロクチバエEuprosopia grahami)が地面を歩き回っています。 
なぜか迂回するようにぐるっと回り込んでからタヌキの溜め糞に到着しました。 
溜め糞で待ち伏せている肉食性のハネカクシ類に捕食されないように警戒しているのかもしれません。
関連記事(9日前の撮影)▶ アカバトガリオオズハネカクシがタヌキの溜め糞で獲物を待ち伏せオオマダラヒロクチバエを狩る
タヌキの糞塊にようやく到達すると、オオマダラヒロクチバエは口吻を伸縮させて獣糞を舐め始めました。 
ズカズカと近づくと先客のキンバエ(青緑色:種名不詳)は飛んで逃げました。 
(先客を追い払った?) 

タヌキの糞を吸汁するオオマダラヒロクチバエの左後ろからツヤホソバエ科(Sepsis sp.)が乱入しました。
Sepsisは両翅を激しく振り立てる動きでオオマダラヒロクチバエを牽制しました。 
うんちレストランから追い払った訳ではなく、Sepsisは通り過ぎただけでした。 

今回登場したハエ3種の体格を比べると、Sepsis sp.<キンバエsp.<オオマダラヒロクチバエ でした。 
ところで、「ハナアブ類のあいだには、種類により花を利用するさいの優劣関係がある。優位の昆虫が来たら席をゆずる」ことが知られているそうです。
(田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』p113-114より) 
樹液酒場に集まる昆虫類の間に力関係の序列があるのは有名ですが、訪花するハナアブ類にも序列があるとは驚きました。 
それなら獣糞に集まる糞食性のハエ類の間にも餌資源をめぐる争いや序列があっても不思議ではありません。
ハネフリバエ科Euxesta sp.やツヤホソバエ科Sepsis sp.が翅を盛んに振り立てる謎の誇示行動は、体格のハンディキャップを補って異種間の縄張り争い(牽制)を少しでも有利に運ぶためにやっているのかもしれません。 
ハエには武器がありませんから、派手な異種格闘戦や「糞山の大将」を目指すバトルロイヤル(喧嘩・闘争)にはなりません。
それでも地道に動画撮影して、獣糞上でハエ同士がニアミスする度にどちらが逃げたかを丹念に記録すれば、何か傾向が見えてくるかな?

2023/03/15

野ネズミはカラマツの根元でアリジゴクを捕食するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月下旬・夜 

里山で雑木林の斜面に立つ泥汚れのついたカラマツの木を自動センサーカメラで見張っていると、ときどき野ネズミ(ノネズミ)が写ります。 

シーン0:9/19・午後14:18・くもり 
明るい日中の現場の様子です。 


シーン1:9/22・午後21:10・雨 (@0:04〜) 
画面の赤丸で囲ったところ(右上隅)を注目してください。 
野ネズミが雑木林の斜面を駆け上って行きました。 
ネズミのような体の小さな哺乳類が雨に濡れたらすぐ低体温症になるのではないかと素人考えでは心配になるのですが、実際は雨夜でも変わらず採餌活動に励むようです。 

ちなみに、カラマツの幹が根元付近で強く湾曲している(多雪地帯の山林に特有の樹形)ために、雨が降っても根本の地面はオーバーハングした幹に遮られて濡れません。 
標高が高い場所になると、しばしば矮小な木がねじ曲がった樹形となり、風の強い海岸地では風衝形を呈したものが見られる[10]。(wikipedia:カラマツより引用)

シーン2:9/22・午後21:27・(@0:12〜) 
雨が止んで、うっすらと霧がかかっているようです。 
画面の左端から白く光る目が現れました。 
野ネズミが走って左から右へ斜面をトラバース。 


シーン3:9/24・午前00:17・雨 (@0:27〜) 
雨が降る深夜に野ネズミが採餌活動しています。 
シシガシラという羊歯などの下草が生えている画面右上の斜面で食べ物を探し歩いています。


シーン4:9/24・午後21:09 (@0:44〜) 
画面の左下から野ネズミが登場。 
斜面を登って泥カラマツの根本に辿り着くと、乾いた土の地面を少し掘りました。 
ドングリなどの木の実(堅果)を運んでいた訳ではないので、貯食行動ではありません。
すり鉢状の巣穴がいくつも出来ています。
9月上旬の撮影

泥カラマツの根本の地面は前述のように常に乾いているため、その立地を利用してアリジゴク(蟻地獄)が営巣しています。 
アリジゴクの群れがすり鉢状の巣穴を掘って耕すために、集団営巣地の土はサラサラです。 
もしかすると、野ネズミは闇夜にアリジゴクの巣を見つけてウスバカゲロウの幼虫を掘り出して捕食したのかもしれません。
残念ながら、後ろ姿ではよく分かりません。 
その後、野ネズミはカラマツの左の斜面を登って行きました。 
もしアリジゴクを捕食したのなら、野ネズミは味をしめて(学習して)集団営巣地に狩りをしに繰り返し通ってくるはずですけど、どうでしょうか? 


シーン5:9/24・午後21:46 (@1:11〜) 
37分後、赤い丸の中にご注目。 
シシガシラに覆われた斜面を野ネズミが登って行き、すぐに姿を消しました。 


シーン6:9/25・午前00:20 (@1:19〜) 
泥カラマツの幹の背後にときどき隠れながら、右上の斜面をチョロチョロと徘徊しています。 
最後はカラマツの左の斜面に移動しました。 


※ 動画編集時に一部は自動色調補正を施しています。 


【追記】
飼育下の野ネズミに試しにアリジゴクを与えて捕食するかどうか実験することはできそうです。



マルバハッカで訪花吸蜜するベニシジミ夏型♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午後15:45頃・晴れ  

山麓の農村部の道端に咲いたマルバハッカ(別名アップルミント)の群落で、夏型のベニシジミ♂(Lycaena phlaeas daimio)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
腹部が細く、前翅の翅頂が尖っているので、♂のようです。 
翅を半開きのまま吸蜜しています。 

訪花中に後翅を左右交互にゆっくり動かしています。 
ベニシジミは尾状突起を持ちませんが、よく見ると痕跡のような短い尾状突起があります。 
ベニシジミでは尾状突起が退化したのか、それとも自己擬態するシジミチョウ類の前適応の段階にあるのでしょうか?
日本産ベニシジミ科全種の分子系統樹が解明されていれば、それを元に議論(推測)できるのですが、 なぜか未だ無いようです。

左前翅が引っかき傷で深く切れているものの、飛翔に支障は無いようです。 
花から花へ飛んで移動するだけでなく、隣接する花穂には渡り歩いて吸蜜を続けます。 

アップルミントの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:43〜) 
たまたま近くで獲物を待ち伏せしていたハエトリグモとの関係が面白かったです。 
ハエトリグモにはピントが合わず、種名まで分かりません。 
マルバハッカの花蜜を吸っているベニシジミ♂の背後でハエトリグモが蔓植物(ボタンヅル?)の葉に乗っていました。 
ベニシジミの方をしっかり凝視しています。 
ベニシジミ♂が飛び立った直後、奥で見ていたハエトリグモがビクッと動きました。 
跳びついて捕食するには距離が遠過ぎるのでしょう。(ハエトリグモの射程範囲外) 
再度ベニシジミが飛び去った際にもハエトリグモは目で追いました。(@2:00〜) 
(ハエトリグモは眼球だけ動かすことができないので、体ごと向き直ります。) 

実はベニシジミが居た花穂には別個体の小さなハエトリグモも潜んでいました。 
歩脚が黄色いので、ウスリーハエトリHeliophanus ussuricus)かもしれません。 
ベニシジミが2回目に飛び去った直後(@2:00〜)、ウスリーハエトリ?はアップルミントの花穂から隣の葉先へ跳び移り、更に葉裏からしおり糸を引いて懸垂下降しました。 
ハエトリグモが狩る獲物としては、ベニシジミは大き過ぎる気がします。

2023/03/14

スギ林道の溜め糞場でホンドタヌキはどの方角を向いて排便するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2022年9月中旬〜下旬・夜 

里山のスギ林道にある溜め糞場sを監視するトレイルカメラに写ったホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の記録です。 
ここではタヌキは完全に夜行性で、昼間は全く登場しません。

最近知ったのですが、イヌは脱糞時に南北方向を向くという研究結果が出たそうです。 
参考記事:

・Hart, V., Nováková, P., Malkemper, E.P. et al. Dogs are sensitive to small variations of the Earth’s magnetic field. Front Zool 10, 80 (2013). https://doi.org/10.1186/1742-9994-10-80 

同じイヌ科であるタヌキはどうでしょうか?
イヌと違ってタヌキは溜め糞をする習性があります。
撮影現場は右から左へと緩やかな上り坂になっていて、左が北です。 


シーン1:9/14・午前00:43・気温21℃ 
いつもの溜め糞場よりも左の位置で、カメラを見上げながらタヌキが排便していました。 
便秘気味なのか、いつもより時間がかかっているようです。 
その後はトレイルカメラを避けるように、手前の死角に消えました。 
「垂れ尾」か「フサ尾」かどうか不明です。 
脱糞時の頭の向きは西でした。 


シーン2:9/15・午後18:09・気温21℃ (@0:31〜) 
林道を右から歩いて来た「垂れ尾」のタヌキがトレイルカメラの起動に気づいて立ち止まり、カメラ目線になっています。 
やがて警戒を解くと、いつもの溜め糞場で北東を向いて排便しました。 
排便時は垂れた尾をピンと斜め上に伸ばしています。 
用を足しながらも振り返ってカメラを気にしました。 
やや硬目の立派な一本糞に続いて軟便をボトボトと排泄しました。 
そのまま左に立ち去りました。 


シーン3:9/15・午後18:13・気温23℃ (@1:09〜) 
4分後に別個体の「垂れ尾」が右から登場しました。 
溜め糞場sに残された新鮮な糞に気づくと、匂いを嗅いでから跨がり、自らも細い軟便を排泄しました。 
脱糞時の頭の向きは北でした。 

 「垂れ尾」も複数いることがこれで明らかになりました。 
個体識別に使える軽度な奇形ではないかと思っていたのに、雲行きが怪しくなりました。 
性差なのか、群れ内での順位を反映しているのでしょうか? (負け犬が尾を下げるようになる?) 
左に立ち去った後でクゥーン♪と甲高い鳴き声が聞こえたのは、先行する仲間と合流したのかもしれません。 


シーン4:9/17・午後18:40・気温22℃ (@1:41〜) 
「フサ尾」が林道を右から歩いて来ました。 
フサフサした尾に「ひっつき虫」が付着しています。 
いつものように自分たちタヌキの溜め糞の上に追加するのではなく、前夜のアナグマが残した糞のすぐ横で対抗するように排泄しました。 
脱糞時の頭の向きは北。 
やや硬めの糞をコロンと出してから、立派な一本糞をモリモリと出しました。 
そのまま左へ立ち去ります。 


シーン5:9/18・午前1:45・気温20℃ (@2:16〜) 
「フサ尾」が右から登場。 
タヌキおよびアナグマの溜め糞場sで匂いを嗅いだだけで左へ通り過ぎました。 


シーン6:9/18・午後20:02・気温24℃ (@2:37〜)
「垂れ尾」が珍しく左から登場しました。 
溜め糞の匂いチェックもせずに迂回しながら右へ立ち去りました。 


シーン7:9/20・午前3:50・気温26℃ (@2:56〜) 
対面に見えるスギ大木の下でタヌキが立ち止まり、幹の根元の匂いを嗅いでいます。 
前日に誰かさん(ヒト)が立ち小便した匂いに反応しているようです。 
スギ落ち葉に鼻面を突っ込んで匂いを嗅いでいます。 
林道上をぐるっとひと回りしてから、溜め糞場の匂いチェックもしないで左に立ち去りました。 
毛皮のあちこちに「ひっつき虫」が付着していました。 


シーン8:9/22・午前1:04・気温11℃ (@3:28〜) 
気温が一気に冷え込みました。 
レンズ手前の至近距離でザトウムシ?の細長い歩脚が動いています。 

林道を右から歩いて来た「垂れ尾」のタヌキが溜め糞場sの周囲でスギ落ち葉の匂いを頻りに嗅ぎ回っています。 
今回も、溜め糞場で排便せずに左へ立ち去りました。 
…と思いきや、画面の下から溜め糞場sに戻って来ました。 
何か警戒しているようですが、残念ながら排便の有無を見届ける前に録画終了してしまいました。 

この個体も藪の中を通ってきたようで、全身の毛皮に「ひっつき虫」が付着していました。 
タヌキは「ひっつき虫」型の植物の種子散布を助けていることになります。 
後でタヌキは「ひっつき虫」を取り除いたり食べたりするのでしょうか? 
私は未だタヌキの毛繕いを実際に見たことがありません。


シーン9:9/22・午後18:10・気温16℃ (@4:22〜) 
林道を右から歩いて来た「垂れ尾」が、溜め糞場sを素通りしました。 


シーン10:9/23・午後21:24・気温19℃ (@4:32〜) 
土砂降りの雨が激しく降っています。 
鬱蒼と生い茂るスギ林の林床までこれほど激しい雨が落ちてくるということは、よほどの豪雨です。 

林道を珍しく左から来たタヌキがスギ大木の傍らを小走りで通り過ぎました。 
今回も溜め糞場sに興味を示しませんでした。 
「垂れ尾」か「フサ尾」か不明です。 
※ 雨天のシーンのみ動画編集時に自動色調補正を施しています。 


さて、排便時の頭の向きをまとめると、西、北東、北、北でした。
未だデータが少ないものの、確かに南北方向を向いて脱糞する傾向がありそうです。
これまで撮れたタヌキの脱糞動画をすべて集計すれば、面白いかもしれません。
ただし、この手の実験は平坦で開けた場所(オープンスペース)でやるべきです。
現場は林道が南北方向に走っており、タヌキは地磁気を感じるまでもなく、その地形通り進行方向のまま排便することが多いのは当然でしょう。
タヌキがわざわざバランスの悪い不自然な体勢で排便するはずはありませんから、坂道(斜面)にある溜め糞場では自ずと向く方角が制限されてきます。
また、この溜め糞場はニホンアナグマと共有しているため、縄張り争いという干渉もあるかもしれません。
どうもタヌキはトレイルカメラの存在に気づいて(嫌がって)いる節があり、もしかすると排便方向に影響を与えている可能性もありそうです。

タヌキの溜め糞場をトレイルカメラで監視する際に、設置アングルが重要です。
排便姿勢に対して横あるいは後ろから撮らないと肝心の脱糞シーンが映らないからです。
もし本当にタヌキもイヌと同じく南北方向を向いて排便することが多いのであれば、とりあえずトレイルカメラは東西方向から狙えば良さそうという指針になって便利です。

後半になると、なぜかタヌキが溜め糞場で排便してくれなくなりました。 
トレイルカメラの存在をタヌキが嫌がって、別の場所に溜め糞場を変えたのではないか?という気がしてきました。 
それとも、同じ溜め糞場sを共有するアナグマとの匂い付け合戦(縄張り争い?)に決着が付いたのでしょうか?





ツルフジバカマの花で採餌するハキリバチの一種♂【名前を教えて】

 

2022年7月中旬・午後16:05頃・くもり 

堤防路に咲いたツルフジバカマの群落でハキリバチの一種が訪花していました。 
マメ科の蝶形花で正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、腹部の下面がちらっと見えた際に、スコパがありませんでした。 
さらに、顔に白い毛が密生していることから、雄蜂♂ではないかと思います。

この蜂の名前が見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えてください。

2023/03/13

朝霧の立ち込めるスギ林道を歩くヤマドリ♂【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月下旬・午前6:38・朝霧・気温20℃ (日の出時刻は午前5:25) 

朝日が昇ったはずなのに朝霧が発生した里山のスギ林は暗く、トレイルカメラが暗視モードで起動しました。 
尾羽の長いヤマドリ(亜種キタヤマドリ:Syrmaticus soemmerringii scintillans)が林道をゆっくり右へ歩き去りました。 
途中で立ち止まって地面を啄みました。 

この地点に設置したトレイルカメラにヤマドリが写ったのは初めてです。
ヤマドリのきれいな羽の色をフルカラーで撮れなかったのが残念です。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 





飛べ!ニトベベッコウハナアブ♀

 

2022年9月中旬・午後14:40頃・くもり 

砂利が敷かれた山道でニトベベッコウハナアブ♀(Volucella linearis)が小石の上に乗っていました。
このハナアブはチャイロスズメバチにそっくりで、いつ見ても心躍ります。 
レアな種類のスズメバチに擬態するメリットはあまり無いと思うので、ベーツ型擬態ではない気がします。
カメラを向けたらすぐ自発的に飛び去ってしまいました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 


つまり本種が居るということは、自然界のバランスが比較的よく保たれた山林ということになります。

2023/03/12

砂防堰堤の上で互いに毛繕いし合ってくつろぐニホンザルの群れ

 



2022年9月中旬・午前10:55頃・くもり 

里山から流れ出る渓流を制御する砂防堰堤に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが来ています。 
遊動する群れが一休みしているようで、コンクリートの巨大な堰堤に座り込んだり寝そべったりして、互いに毛繕いをしています。(対他毛繕い) 
なるべく警戒させないように少しずつ近づくようにしたら、猿のリラックスした表情を捉えることが出来ました。 
だらんと寝そべっている個体に甲斐甲斐しく毛繕いしています。 
マッサージの施術を受けているようで気持ち良さそうです。 
胸にピンクの長い乳首があるのは経産♀です。 
子ザルを胸に抱いた母猿が、寝そべる相手(成獣)の蚤取りをしていました。 
もしかすると、母子と祖母の組み合わせだったのかもしれません。 

別のペアでは、母猿が若い子猿に毛繕いをしていました。 
立ち上がって毛繕いを受けていた若猿が座ると、お返しに母猿の頭の毛をかき分けてノミ取りをしてやります。(相互毛繕い) 

巨大なコンクリート堰堤のあちこちで色んな出来事が巻き起こるので、どれを撮ろうか目移りしてしまい、細切れ映像のつなぎ合わせになってしまいました。 

仰向けにしたヤマナメクジが起き上がるまで

 

2022年7月中旬・午後16:30頃・晴れ 

下山中の山道で(標高約390m地点の山道)久しぶりにヤマナメクジMeghimatium fruhstorferi)を見つけました。
関連記事(8年前の撮影)▶ ヤマナメクジの交尾【50倍速映像】
道端の茂みに近い日陰で、勾玉(Cの字)のように曲がった姿勢でした。 
右上の頭部から黒い大触角が伸びています。 

定規を並べて置いて採寸してから、ヤマナメクジを裏返してみました。 
触れるとヤマナメクジの大触角が慌てて引っ込みました。 
腹足は白いことが分かります。 
警戒してしばらく擬死(死んだふり)するかと思いきや、意外にも直ちに起き上がり運動を始めました。 
落ち葉に引っかかって完全な仰向けには裏返せなかったのですが、体をねじりながら前進徘徊すると、簡単に起き上がることができました。 
起き上がって体勢が戻ると、徘徊運動(前進)が止まりました。 

ナメクジが這った後には分泌した粘液が薄く残ります。 
粘液が乾くとテカテカと光って見えるために、ナメクジが移動した軌跡が読み取れます。
三脚を持参していれば長時間の微速度撮影が出来たのに、残念でした。 

今思えば、採集して飼育すればよかったですね。
暑い夏だと家に持ち帰るまでに弱ってしまいそうです。


関連記事(2か月後の撮影):▶ 脱糞中のヤマナメクジを裏返してみる



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