2020/08/08

採餌経験の浅いヤマトツヤハナバチ♀はルピナス蝶形花の攻略に苦労する【NG集】



2020年5月中旬・午後14:50頃


▼前回の記事
青いルピナスの蝶形花で採餌するヤマトツヤハナバチ♀

ヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)がノボリフジ(別名ルピナス)の群落で採餌する様子を生まれて初めて観察しました。
前回の動画では採餌の成功シーンばかりをまとめ、それを元にさも分かったかのような書き方をしました。
しかし実は、出会ったばかりの個体は採餌方法が下手糞で、何をしているのか私にはよく分からず初めは混乱しました。
今回は、そんなNG集をまとめてみました。
ヤマトツヤハナバチ♀がルピナス(マメ科)の複雑な蝶形花を攻略して中の花粉や花蜜を得るには、どうやら経験と学習が必要なようです。
つまり、羽化したばかりの成虫の生得的な本能行動ではいきなり対応できないみたいです。
ルピナスの花は、まるで敷居が高い会員制の高級店のように「一見さんお断り」にしています。
蝶形花の構造を熟知した一部の優秀なハナバチだけを送粉者として採用し、報酬として花蜜と花粉を提供しているのです。
これも長年に渡る共進化の結果です。


シーン1:午後14:53(@0:00〜0:53)


ルピナス蝶形花の左右の翼弁がぴったり閉じていて、ヤマトツヤハナバチ♀はその隙間をこじ開けられずに悪戦苦闘しています。
中にルパンのお宝(餌)が隠されているということを、蜂はおそらく匂いで認識しているのでしょう。
悔し紛れに翼弁の合わせ目を大顎で軽く噛んだりしています。
花弁を食い破って穿孔盗蜜行動を始めるか?と私は期待したものの、蜂は諦めて飛び去りました。
後脚の花粉籠 スコパ(花粉採集毛)にオレンジ色の花粉を少し運んでいるということは、ルピナスの花に対して全くの初心者ではないようです。
それでも未だ経験と学習が足りないのでしょう。
風が吹いて花穂が絶え間なく揺れるので、マクロレンズによる接写は大変でした。


シーン2:午後14:43(@0:54〜)


このときは未だ後脚の花粉籠 スコパ(花粉採集毛)が空荷でした。
(雄蜂♂である可能性は、頭楯の黄紋を見れば否定できます。)※追記参照
ルピナスの花に着陸した蜂がなぜか蝶形花の後部に回り込んでしまい、萼に生えている白っぽい剛毛にうっかり左後脚の跗節が引っかかってしまいました。
もしこの剛毛が、穿孔盗蜜を試みる蜂を排除(足止め)するためにルピナス(ルパン)が仕掛けた罠だとしたら非常に面白いのですが、おそらく私の考え過ぎ(ただの偶然)でしょう。

(あるいは、茎を下から登ってくるアリを足止めする仕組みなのかも知れません。)
しばらく暴れていたヤマトツヤハナバチ♀は、ようやく足を振りほどくと採餌もせずに飛び去りました。
望遠マクロで撮影。




※【追記】
ツヤハナバチを野外で全く見たことがない頃に、坂上昭一・前田泰生『独居から不平等へ:ツヤハナバチとその仲間の生活』という専門書を読んでも、マニアック過ぎて内容が全く頭に入りませんでした。
久しぶりに読み返すと、いろいろと勉強になりました。
(ヤマトツヤハナバチの)脚の明色(黄色)なのが♂(p93より引用)
『日本産ハナバチ図鑑』で標本の写真を見直すと確かにその通りで、キオビツヤハナバチ♂の脚も黄色でした。(p349-350)
♀の脚は黒色です。
これで頭楯の黄紋が見えないアングルでも性別が簡単に見分けられるようになりました。


【追記2】
ヤマトツヤハナバチ♀に対して後脚の「花粉籠」という用語は不適切でしたので、スコパ(花粉採集毛)と訂正します
坂上昭一・前田泰生『独居から不平等へ:ツヤハナバチとその仲間の生活』の第1章「ハナバチの生い立ち」を読み返すと、精巧なスケッチとともに比較形態解剖学的に専門用語の違いを解説していて、とても勉強になりました。
 花粉集めの道具。葯から放出され体毛に付着した花粉は、脚で掃き寄せられ、体の一定部位―――後脚か腹部下面―――に密生する花粉採集毛(スコーパ)に集められて運搬される。ツヤハナバチでは後脚にスコーパをもつ。一方ミツバチ科では、後脛節の表面が無毛、両縁線が長毛となった花粉バスケットが形成され、大量の花粉を積みこむのに適している。もう1つの型がハキリバチ科(中略)で、後脚の毛はまばらだが、腹部下面は他のハナバチと異なり、密生したスコーパをもつ。(p3〜4より引用)

スコパという用語はハキリバチ科♀の腹部下面に発達した毛を指す、という私の認識は間違いで、ツヤハナバチ♀でも使われるのだそうです。
また、引用部は少し誤解を生む書き方になっていますが、ツヤハナバチ類もミツバチ科に属するハナバチです。

ヤマトゴキブリ♀が夜の浴室から逃走



2020年5月中旬・午後21:20頃・浴室の室温23.6℃、湿度37%

夜に入浴しようとしたら、浴室の壁面角に黒光りするヤマトゴキブリ♀(Periplaneta japonica)を発見。
逃げられないように窓を閉め切ってから、急いでカメラを取りに戻りました。
換気のために浴室の窓を少し明けていたので、半野生のヤマトゴキブリが野外から外壁を伝って室内に易々と侵入したと思われます。
もしかすると、最近見つけた幼虫の同一個体が成虫に羽化したのかもしれません。


▼関連記事(9日前に撮影)
夜の浴室に侵入したヤマトゴキブリ幼虫

ビデオカメラの白色LEDを点灯してそっと接写すると、夜行性のヤマトゴキブリ♀は慌てて逃走を始め、壁の隅をどんどん下に降りて行きました。
浴室の床に達したときに一瞬、黒光りした胸背に短翅が見えたので、幼虫ではなく♀成虫と判明しました。
本種♀は成虫になっても短翅で飛ぶことが出来ません。
一方、♂成虫は長い翅を有し、飛べるのだそうです。

立ち止まった際に浴室の濡れた床で水滴を舐めているのかもしれませんが、背面から撮っても肝心の口元が見えません。
床面を逃げ回るゴキブリをしつこく追い回して撮影しました。
走行時の脚の運びを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

最後は浴室の閉めた扉の下の隙間に潜り込みました。
おそらく隙間風を触角で感知して潜り込んだのでしょう。
そこで見失ってしまいました。
私が浴室の扉を開けてもヤマトゴキブリ♀は潰れず、無事に隣の脱衣所へ逃げ込んだと思われます。
そこから食料の多い厨房(キッチン)へ向かうのは時間の問題でしょう。

風呂上がりの湿気を換気するために窓を終日開け放しているのが仇となり、ヤマトゴキブリの侵入口になっていたことが分かりました。
本気で対策しようとすれば、浴室の窓を網戸に交換したり、脱衣所にゴキブリ・ホイホイなどのトラップを仕掛けたりしないといけないかもしれません。


2020/08/07

ベニサラサドウダンの花蜜を吸うツツハナバチ♀?【名前を教えて】



2020年5月中旬・午後17:30頃・晴れ

民家の庭に咲いたベニサラサドウダンの赤い花に見慣れないハキリバチ♀(種名不詳)も来ていました。
正当訪花で吸蜜を繰り返しています。
腹部下面のスコパは花粉を運んでいない(空荷)ように見えます。
明るい茶色(オレンジ色?)の黒い毛が体に密生しています。

私はハキリバチ科の仲間を見分けるのが苦手です。
今回は動画撮影に専念したので、同定のための採集まで手が回りませんでした。
何となく当てずっぽうで、ツツハナバチ♀(Osmia taurus)ですかね?
どなたか教えて下さい。




スイバの実をついばむカワラヒワ♀♂の群れ(野鳥)



2020年5月中旬・午後16:50・晴れ

川岸の原っぱに自生するスイバの群落でカワラヒワ♀♂(Carduelis sinica)が群がり、実を食べていました。
これは季節の風物詩であることが私にも分かってきました。


▼関連記事(1、7年前の撮影)
スイバの実を食べるカワラヒワ♀(野鳥)
スイバの実を採食するカワラヒワ(野鳥)

カワラヒワが止まると体重でスイバの茎がしなります。
途中からもう1羽が合流して、♀も♂も含む計5羽が集まっていました。

最後は何かに驚いて一斉に飛び立ちました。
すぐ近くの草むらに隠れただけという少数派の個体は、警戒心より食への執着が強いのでしょうか。(それとも逃げ遅れただけ?)
群れが飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

カワラヒワ♀♂(野鳥)群れ@スイバ実採食

動画撮影直後に現場検証し、採食メニューがスイバであることをしっかり確認しました。


スイバの実
スイバの葉
ギシギシと違いスイバの葉は茎を抱く。

2020/08/06

ナツグミ訪花中のクマバチ♂同士で誤認求愛



2020年5月上旬・午前11:55・晴れ

庭園に咲いたナツグミの黄色い花でキムネクマバチ♂a(Xylocopa appendiculata circumvolans)が次々と吸蜜していると、探雌飛翔中の別個体の雄蜂♂bがやって来ました。

♂aが次の花へ向かおうとナツグミの花から飛び立った途端に背後から♂bが狙いを定めて襲いかかり、空中であわや衝突しそうになりました。(♂bが躊躇した?)
♂bが再び飛びかかって相手を掴まえようとした瞬間に♂aは奇襲攻撃をかわし、ナツグミの花から急発進で高速離脱しました。
♀との交尾はとにかく早い者勝ちなので、雄蜂♂は焦っているのでしょう。
一瞬の誤認求愛をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。
その後にリアルタイム(等倍速)でリプレイ。

別の解釈としては、誤認求愛ではなくて、自分の縄張りからライバル♂を追い払おうとする行動かもしれません。


柳の樹液を吸う越冬明けのキタテハ



2020年5月中旬・午後14:40頃

川岸に生えた柳(樹種不明)の樹液酒場に越冬明けのキタテハPolygonia c-aureum)秋型が来ていました。

柳の幹に下向きに止まり、口吻を伸ばして樹液を吸汁しながら翅をゆるやかに開閉しています。
翅の縁がボロボロに破損していました。
暖冬だったとは言え、冬越しの厳しさが忍ばれます。(キタテハは成虫で越冬します。)
翅裏のCマークがキタテハの紋章です。
翅裏の地色が薄い褐色なので、シータテハは除外できます。
やがて幹を回り込むと、上に登り始めました。
柳の枝には若葉が生い茂っています。

幹の一部が小さな樹洞のようにえぐれていて、キタテハは樹洞の内側を口吻で舐めていました。
近寄ってきたアリを嫌ったのか、キタテハは翅を開閉しながら樹洞から歩き去ります。
幹の陰に回り込んで再び死角に消えたので、もしかすると私を警戒しているのかもしれません。
樹液を充分に吸汁すると、満ち足りたキタテハは柳の幹から飛び去りました。

キタテハの樹液吸汁シーンは、意外にもこれまで1例しか撮ってませんでした。

▼関連記事(7年前の撮影)
樹液酒場で飛ぶキタテハ、シータテハ、アカタテハ【ハイスピード動画&HD動画】


ちなみに、柳の樹液が滲む樹洞内には得体の知れない白い蛆虫のような謎の幼虫が大小数匹、蠢いて(泳いで)いました。
ハエ類なのか甲虫の幼虫なのか、私にはさっぱり分かりません。
この蛆虫を採集し、昆虫ゼリーを与えれば成虫まで飼育できるかな?


さらに余談ですが、撮影中に頭上から水滴が何度も滴り落ちてきました。
透明で冷たい液体でした。
雨水ではないと思うのですが、アブラムシの甘露かな?

『ヤナギハンドブック』を手に入れたので、自力で樹種を同定できるように頑張ります。
この辺りでよく見かける平凡な普通種だと思います。
花や葉、実など通年で総合的に判断しないといけないみたいで、定点観察に通うことにします。







2020/08/05

青いルピナスの蝶形花で採餌するヤマトツヤハナバチ♀



2020年5月中旬・午後14:50頃・晴れ

空き地の原っぱにノボリフジ(別名ルピナス)の花が咲き乱れていました。
今どき、こういう「空き地の原っぱ」はとても貴重です。
ノボリフジに訪花して送粉者となる昆虫を知りたくて、この春はルピナスの群落に通い詰めました。
まず出会えたのは、ヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)でした。
とても小さな蜂なので、途中からマクロレンズを装着して接写します。(@1:07〜)
ヤマトツヤハナバチは最近私のお気に入りです。
この群落ではピンクの花も少し咲いていたのに、私が見たヤマトツヤハナバチ♀は青い花ばかり訪れていました。(確率の問題?)

ルピナスの花は花弁が特殊化しており、マメ科に特有の蝶形花という複雑な構造をしています。
ヤマトツヤハナバチ♀は、ぴったり閉じた左右の翼弁をこじ開け、頭を中に突っ込みました。
頭隠して尻隠さずの状態で、吸蜜および集粉しているようです。
蝶形花の中にヤマトツヤハナバチ♀が完全に侵入することもあります。
左右の翼弁が自然にぴったり閉じて蜂の姿が全く見えなくなりました。
ルピナスの蝶形花内で方向転換した蜂は、頭だけ外に出しました。
愛嬌のある顔を正面からクローズアップすると、頭楯の特徴的な黄紋からキオビツヤハナバチではなくヤマトツヤハナバチと同定できます。
図鑑によればヤマトツヤハナバチは山地性らしいのですが、ここは平地です。
そもそも私は未だ平地性のキオビツヤハナバチを見つけたことがありません。
ここは北の雪国なので、気温による補正が入って虫の垂直分布が変わるのではないかと個人的に予想しています。

ノボリフジの花粉がたくさん採れると、ヤマトツヤハナバチ♀は次の花へ飛び立つ前に身繕いをします。
後脚の花粉籠 スコパ(花粉採集毛)に橙色の花粉団子を集めて巣に持ち帰るのです。

ルピナスの花に止まっていた蜂が飛び去ると軽くなり、蝶形花の竜骨弁が自然に持ち上がって再び閉じる様に驚きました。(感動!)
ヤマトツヤハナバチ♀は花弁が散って雄しべが剥き出し状態の花にも訪れて採餌(集粉)していました。

後半になるとヤマトツヤハナバチ♀は経験を積んで学習したのか、採餌行動が洗練されてきました。
蝶形花の翼弁をこじ開け、中から尖った鈎状の構造物(竜骨弁)を外に引っ張り出しました。
その中に雄しべが隠されているようです。
鈎状に尖った先端を蜂が噛んだり舐めたりすると、雄しべの葯からオレンジ色の花粉が大量に湧き出してきます。
その場で身繕いして体に付着した花粉を花粉籠 スコパ(花粉採集毛)に移します。
花粉を集める(集粉)だけでなく花蜜も吸っているはずだと思うのですが、吸蜜シーンはよく見えませんでした。

ルピナスの花は、マメ科に特有の蝶形花という複雑な構造をしています。
初めて見るヤマトツヤハナバチ♀の採餌行動がよく理解できなかったので、最後に私も自分の手でノボリフジの蝶形花をひとつ分解して調べてみました。
翼弁をむしり取り、竜骨弁の先端をちぎり取ると、雄しべと雌しべが現れました。
雄しべの先端の葯を潰すと橙色の花粉で指が染まります。

つづく→採餌経験の浅いヤマトツヤハナバチ♀はルピナス蝶形花の攻略に苦労する【NG集】




川岸で縄張り争いするハクセキレイ♂の誇示行動(野鳥)



2020年5月中旬・午後14:30頃・晴れ

街中を流れる川のコンクリート護岸の縁で2羽のハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が奇妙な激しいダンスを繰り広げていました。
カメラでズームインすると、♂同士でした。
護岸を行きつ戻りつする2羽の動きを同じ画角に収めるのに苦労します。

右側の個体Rが左側の個体Lの近くまで走り寄ると目の前で高く飛び上がる、という謎の行動を繰り返しています。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
初めはフライングキャッチで飛んでいる虫を捕食する練習をしているのかと思いました。
どうやら縄張り争いの誇示行動のようです。
ちょうどこの地点に、2羽♂の縄張りの境界線があるのでしょう。
左の個体LはRの誇示行動(ディスプレイ)をただ見てるだけで、特に応戦しませんでした。
どうやって決着をつけるのかと興味津々で見ていると、先に飛び去ったのは意外にも、激しく縄張りを主張していた個体Rの方でした。
コンクリート護岸に居残った個体Lにズームインすると、チチッチチッ♪と鳴いていました。(勝利の凱歌?)
鳥は縄張り争いをする前にまず囀りさえずりで縄張り宣言するはずですが、そのような特殊な鳴き方は聞こえませんでした。(聞き逃した?)

小笠原昭夫『セキレイの歌』 (文研科学の読み物)はセグロセキレイの生活史をまとめた児童向けの名著です。
「なわばり」の章を読み返すと、ヒントになりそうな記述がありました。

(キセキレイは)あとからあとからやってきて、こみあってくると、なかまどうしで、しばしばはでなおどしあいがおきた。1わの頭上へべつの1わが飛んでいき、ぶつかりそうな近さで宙返りしてもとへもどるという動作を、なんどもくり返した。相手も腰を低めて上をむき、くちばしを開いてはむかった。そんなときにはきまって、チチチチチ、スイスイスイーと細くするどい鳴き声をたてた。(中略)
 いっぽうハクセキレイは、池や川原へおりて、セグロセキレイと争うことが、ときどきあった。たいていはチュイリーと聞こえるするどい声を発するだけで、わかれわかれになったが、空中でもつれてたたかったり、つかみあったまま、2わいっしょに水面へ落ちてしまうほどのけんかをすることもときにはあった。(p39−41より引用)


ただし、セキレイ類の中でも種によって縄張り争いの誇示行動は微妙に異なる可能性があります。
今回私が観察したハクセキレイの事例では、喧嘩中の鳴き声は風の音にかき消されて対岸からあまり聞き取れませんでした。
ハクセキレイの激しい空中戦は以前一度だけ撮影に成功しましたが、取っ組み合いの喧嘩は未だ見たことがありません。


▼関連記事(3年前の撮影)
縄張りを巡り空中戦を繰り広げるハクセキレイ(野鳥)





2020/08/04

ベニサラサドウダンの花蜜を吸うクロマルハナバチ♀

 
  2020年5月中旬・午後17:25頃・晴れ

 民家の庭に植栽されたベニサラサドウダンに多数のマルハナバチ♀が訪花していました。 
クロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)だと思うのですが、どうでしょう? 
正当訪花を繰り返して吸蜜しています。 
後脚の花粉籠は空荷でした。 
大型の個体なら時期的に創設女王だと思うのですが、小型の個体も来ていました。 
暖冬で春の到来が早かったせいで、クロマルハナバチのワーカー♀が既に羽化したのかな? 
あるいは、早春に羽化するコマルハナバチ(Bombus ardensのワーカー♀という可能性も考えられます。

クロマルハナバチ♀


クロマルハナバチ♀

動画とは別に写真でも訪花吸蜜シーンを記録してみたら、そこには小型のオオマルハナバチ♀(ワーカー?)らしき個体が写っていました。 
 (胸部の首元が白いのでオオマルハナバチだと思ったのですが、もしかするとクロマルハナバチ♀の胸背に白っぽい花粉が付着しただけかもしれません。) 
早春にこの3種を見分けるのは少し厄介です。 
今回は夕暮れ時で薄暗く、いまいち納得の行く撮影ができませんでした。 
忙しなく飛び回る蜂にカメラのピントを合わせづらいのです。 
来年に持ち越しです。 
複数個体を撮影。

オオマルハナバチ(ワーカー♀)?

ニワトコの茎や葉を徘徊するヒトリガ(蛾)中齢幼虫



ヒトリガ(蛾)の飼育記録#4



▼前回の記事
ニワトコの葉を蚕食するヒトリガ(蛾)終齢幼虫【10倍速映像】

2020年5月中旬・午後

採集してきた大小2頭のヒトリガArctia caja phaeosoma)幼虫のうち、小さい方の個体bは活発で食樹植物ニワトコの上をしばらく元気に徘徊していました。

最後はようやく落ち着いてくれてニワトコ若葉の縁に食いつきました。
しかし、撮影用の照明に慣れてくれるまではすぐ葉裏に隠れてしまいます。
ラストの食害シーンのみ10倍速映像。(@4:48〜)

この個体bはその後、脱走して残念ながら行方不明になってしまいました。(未採寸のまま)
残るは終齢幼虫aだけです。

つづく→#5:ニワトコの若葉をもりもり食べるヒトリガ(蛾)終齢幼虫




2020/08/03

ナツグミの花の周りで縄張りを張りホバリングするクマバチ♂の群れ



2020年5月上旬・正午頃・晴れ

庭園に植栽されたナツグミの花が満開に咲くと、多数のキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)がその周囲に集まってブンブンと忙しなく飛び回っていました。
ここに集まっているのはなぜか雄蜂♂ばかりでした。
交尾相手の♀が採餌に飛来するのを待ち構えて、それぞれの雄蜂♂が空中に縄張りを張り、一点でホバリング(停空飛行)しています。
縄張り内に何者かが侵入すると直ちにすっ飛んで行き、ライバル♂であれば追い払います。
クマバチ♂のエネルギー消費も激しいはずで、空腹になればナツグミの花で吸蜜して燃料を補給します。


▼関連記事
ナツグミの花で吸蜜するクマバチ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】

訪花中の♂を♀と誤認して別個体の♂が飛びかかっていく(誤認求愛)こともよくあります。(映像公開予定
群飛のハイスピード動画も撮りたかったのですが、停飛中のクマバチ♂にカメラのピントを合わせる暇もありませんでした。


墓地を駆け抜けるキジ♀(野鳥)



2020年5月中旬・午後16:05頃


▼前回の記事
墓地に出入りするキジ♂(野鳥)

寺の墓地に潜んでいたキジ♀(Phasianus versicolor)も慌てて走り去りました。
地味な羽根色なので、立ち止まると墓地の砂利にとてもよく紛れています。
私から充分に離れると、キジ♀は墓石を回り込んで農道(田んぼ)の方へ向かったようです。
残念ながら私はその後♀を見失ってしまいました。

つづく→ 耕耘中の田んぼを飛んで逃げるキジ♂(野鳥)




2020/08/02

オドリコソウの花で盗蜜するオオマルハナバチ創設女王



2020年5月中旬・午後17:50頃・晴れ


▼前回の記事
オドリコソウの花で盗蜜するクロマルハナバチ創設女王【HD動画&ハイスピード動画】

用水路沿いの土手に咲いたオドリコソウの群落に訪花していたのはクロマルハナバチ♀がほとんどでしたが、1匹だけオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)も来ていました。
大型の個体ですし、時期的にワーカー♀ではなく創設女王でしょう。
山地性のオオマルハナバチがここ(平地)まで遠征してくる個体が少ないのは納得です。
(ちなみにここで優占していたクロマルハナバチは平地性。)

吸蜜シーンをよく見ると、オオマルハナバチ♀も正当訪花せずに穿孔盗蜜していました。
雄しべに体が触れませんから、後脚の花粉籠は当然ながら空荷です。

Newton special issue『植物の世界 第2号:ナチュラルヒストリーへの招待』を読むと、更に興味深いことが書いてありました。

オオマルハナバチはこの花(=オドリコソウ:しぐま註)を盗蜜者として訪れ、花冠筒部の前部に穴をあける。その際、腹部や背部が花冠の上唇の中に入り雌しべと雄しべの先にふれるのである。その行動は盗蜜に似ているが、実際にはオオマルハナバチはポリネーターの役割を果たすことになる。
オドリコソウの花は、盗蜜者をポリネーターとして利用できるような形態をもつにいたったのであるとも解釈できよう。(p118〜120より引用)


昆虫をあざむく花:盗蜜者をポリネーターとして利用するしくみをもつと思われるオドリコソウ (p121:図10Bより引用)

決定的瞬間を捉えた見事な生態写真も掲載されていて、専門家の鋭い観察眼と緻密な記述に舌を巻きました。
ところが、私が撮った動画に記録された盗蜜行動と比べてみると微妙に違います。
私が見たオオマルハナバチ♀は常にオドリコソウの花冠の下唇の下に潜り込みながら穿孔盗蜜しますから、上唇の中にある雄しべや雌しべに体は全く触れていません。
間違いなく純粋な盗蜜行動です。
個体差なのか、地域によって異なるのか、興味深いところです。

カースト(女王蜂とワーカー)の違いによる体格差で説明できるかもしれません。
私も未だこの1例しか見ていないので、今後の観察が楽しみです。

参考サイト(@福岡教育大学):シソ科の唇形花(オドリコソウとヤマハッカ)  ← 唇形花の構造の勉強になりました。




ニワトコの葉を蚕食するヒトリガ(蛾)終齢幼虫【10倍速映像】



ヒトリガ(蛾)の飼育記録#3



▼前回の記事
排便中に糞を振り落とすヒトリガ(蛾)終齢幼虫

2020年5月中旬

ヒトリガArctia caja phaeosoma)の幼虫aをノギスで採寸すると伸びた状態で体長60mmなので、おそらく終齢と思われます。(『イモムシハンドブック』p89の記述と一致)
河畔林から一緒に採取してきたニワトコ幼木を与えると、猛烈な食欲で若葉を次々に食べ始めました。
10倍速の早回し映像でご覧ください。
食休みのシーンは編集でカットしています。
太い茎に腹脚で下向きにしがみつき、葉縁を左右の胸脚で抱え込んで葉を摂食します。

脱糞シーンも3回撮れていました。(@0:23、1:44、 2:53)
食休みしていた幼虫が腹端を少し持ち上げて、脱糞しながら下半身を左右に激しく振って糞を振り落とします。
排便後は腹端を下ろし、尾脚も茎をしっかり掴みます。

つづく→#4:ニワトコの茎や葉を徘徊するヒトリガ(蛾)中齢幼虫




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