2021/11/06

翔べ!マドガ♀(蛾)【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月上旬・午後15:55頃・晴れ 

堤防路のガードレール下の草むらにマドガ♀(Thyris usitata)が居ました。 
今季初見です。 
クズの葉の縁でいつものように翅を広げて止まっています。 
腹部が太く腹端に毛束(ヘア・ペンシル)が無いので♀のようです。 
【参考】「相模原 ブラブラ録」サイト内より引用
マドガ(Thyris usitata) メスの方がオスより大きめで、オスの触角は片側のみ櫛歯状で、メスは繊毛状。 また、オスの腹端は細長く伸びているが、メスの腹端は丸い。
動きがない蛾を撮っただけでは動画ブログのネタにならないので、飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:17〜) 
羽ばたき始めてから離陸するまで若干のタイムラグがあるのが興味深く思いました。 
懸命に羽ばたいて飛び去る姿がなんとも健気です。
関連記事(9年前の撮影:220fps)▶ マドガ♂(蛾)の飛び立ちハイスピード動画
ちなみに、真夏の直射日光は強過ぎるので、照射面を最小にするためクズの葉が立っていました。

防鳥ネットに止まって鳴く♪ミンミンゼミ♂

 

2021年8月下旬・午前6:30頃・晴れ  

山麓のリンゴ園は防鳥ネットで全体が覆われています。 飛来したミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)が防鳥ネットをすり抜けられず、ネットにぶつかって止まりました。 
(動画はここから。) 
垂直のネットにしがみつき、腹部を伸縮させながら大音量でミンミン♪鳴き始めました。 

横の農道をバイク(スーパーカブ)が通りかかると、ミンミンゼミ♂は驚いて飛び去りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしても、飛び立つ瞬間におしっこを排泄してはいませんでした。

【追記】
本来の設置目的とは違うと思うのですが、防鳥ネットで果樹を覆うと、吸汁しに飛来するセミを寄せ付けなく効果もあるようです。

2021/11/05

アオサギ若鳥の尾羽を何度も引っ張って嫌がらせするカラス混群(野鳥)

 

2021年8月中旬・午後18:00頃・くもり  

田園地帯の砂利が敷かれた農道にハシボソガラスCorvus corone)およびハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の混群が集まっていました。 
誰かが農道にぶちまけた餌を食べに集まっているのか?と初めは思ったのですが、カラスはそれほど熱心には採食活動していませんでした。 
(その後、現場検証をしても誰かが農道に餌を撒いた形跡はありませんでした。)
夕方なので、おそらく就塒前集合で時間を潰しているのでしょう。 
各々がのんびり羽繕いしたり、採食したり、遊んだりしていました。 
とにかく大群なので、どの個体の行動に注目すべきか目移りしてしまいます。 
知能の高いカラスがあちこちで様々な行動を繰り広げ、見ていて飽きません。 

例えば隣の個体に対他羽繕いしているペアもいました。 
農道の右側にコンクリートの水門があり、その上に数羽のカラスが鈴なりに並んで止まっていました。 
そのコンクリート水門に下の農道から飛び乗ろうと何度も挑戦している個体がいます。 
初めは上手く飛び乗れずに、まるでコンクリート壁面に「飛び蹴り」をして遊んでいるように見えました。 
他にもじゃれて追いかけ合ったり、遊びの行動が多いので、おそらく巣立った幼鳥や若鳥が多い群れではないか、という気がします。 

動画を見直して初めて気づいたのですが、アオサギArdea cinerea jouyi)の若鳥を数羽のカラスが執拗にからかって(いじめて)いました。 
このアオサギにもっと注目してズームインすべきでした…。 
アオサギも初めは田んぼや農道で平和に採食していたのでしょう。 
しかしアオサギの背後からカラスが忍び寄ると、隙を見て尾羽をグイッと引っ張りました。 
いたずら好きのカラスがアオサギをからかって遊んでいるようです。
不意をつかれたアオサギは身震いしたり、翼を大きく広げてカラスを威嚇したりしています。 
しかし多勢に無勢で、とても敵いません。
アオサギはカラスの挑発に堪りかねて農道を右往左往しています。 

特定の1羽がアオサギを繰り返しいじめているのではなく、ハシボソガラスもハシブトガラスもやっていました。 
これはモビングの一種と呼べるのでしょうか。 
アオサギは図体こそ大きいですけど、カラスを捕食したり何か脅威を与えるとは思えません。 
それでもカラスはアオサギの存在が気に入らず、餌場から追い払おうとしているのかもしれません。 

カラスの群れに執拗な嫌がらせを受けたアオサギは、おちおち採食する暇もありません。 
警戒を強めたアオサギは、カラスが忍び寄ると振り返って向き直るようになりました。 
まるで「だるまさんが転んだ」をして遊んでいるようです。 
振り返ったアオサギに見つかったカラスは、慌てて飛び退いたり、白々しく農道で採食する振りをしたりしています。 
しかし、悪童カラスは次のチャンスを虎視眈々と狙ってアオサギの横から背後に回り込もうとしています。 
別のカラスがアオサギの注意を引いた瞬間に隙ができるのです。 
ヒットアンドアウェイでアオサギの尾羽をつついたり引っ張ったりしています。 
いかにもカラスの意地の悪さが現れていて、それもまたヒトと似た知性を感じさせます。
アオサギに嫌がらせしているのはカラス混群の中の少数の個体に限られ、大多数の個体はアオサギの周囲でまったり過ごしています。 
何が原因でこのモビングが始まったのか、きっかけを見逃したのが残念です。

カラスの混群もアオサギも、車が手前の道を走り去っても、犬の散歩をするヒトが奥の道を通りかかっても、気にしませんでした。 
動画では遠近感が分かりにくいのですが、画面の手前と奥で平行して左右に走る道は220m離れています。
その区間にカラスの混群が集まっているので、動画の見た目ほど密集している訳ではないのかもしれません。 
農道の右側に見えるコンクリートの水門は、農道の中間地点にあります。 
約50羽のカラスが前後約50mの範囲に集まっているようです。 
ちなみに、手前の車道に沿って張られた電線にも少数のカラス(ハシボソガラスおよびハシブトガラス)が止まっていました。

私が目を離した隙に、アオサギ若鳥は居なくなっていました。 
嫌になってどこかに飛び去ったのでしょう。 



【追記】
中村純夫『謎のカラスを追う―頭骨とDNAが語るカラス10万年史』という本を読んでいたら面白い記述を見つけました。
この近年稀に見る名著の本筋から外れるのですが、引用させてもらいます。
水田の畦でヘビに対してカラスの親が大騒ぎをしていた。少し離れたところで幼鳥が見ている。親はヘビを挑発して、慎重に間合いを詰めてから尻尾を咬むことまでした。ヘビの危険さと間抜けさを教えているようである。
 更に半月後、今度は畑で大騒ぎ。ネコを挑発していた。少し離れたところで幼鳥たちが見学している。親はネコの尻尾を噛んだり、腰のあたりを突いたりした。(中略)カラスの親がやっていたことは「危険だから逃げろ」と教えるだけでなく、「このように間合いを取れば安全だ」とか、「このように攻撃したら撃退できる」と実地に教えているように見えた。危険なものにいかに対応するかを、わが身を危険にさらしながら現場で教えているらしい。(p208より引用)
アオサギはカラスにとって危険な相手ではありませんが、このような見方は新鮮でした。
私の動画では残念ながら少し遠くて、成鳥(親鳥)と幼鳥の区別ができません。
カラスが乗っていたコンクリート水門


ゴマの花で採餌するセイヨウミツバチ♀

 

2021年8月中旬・午後16:15頃・くもり

ゴマ(胡麻)を栽培している畑でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が忙しなく訪花していました。 
いつも正当訪花(花筒の入口から奥に潜り込む)で吸蜜し、後脚の花粉籠に黄白色の花粉団子を満載しています。 
つまり、ミツバチはゴマの花の重要な送粉者と考えられます。 
「開けゴマ!」 

最後の1/5倍速スローモーションはNGシーンです。 
なぜかセイヨウミツバチ♀がゴマの白い花から転がり落ちました。

2021/11/04

夕方に街の上空を飛ぶチゴハヤブサ(野鳥)

 

2021年8月中旬・午後18:35頃・くもり 

川沿いの街なかの上空を飛ぶチゴハヤブサFalco subbuteo)を見つけました。 
ほとんど羽ばたかずに滑翔しています。 
短い出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
薄暗い夕方でも空を見上げると逆光になってしまいます。 
それでもなんとか、チゴハヤブサだろうと分かりました。 

 実は4分前にもチゴハヤブサ?が堤防路の上空を飛び去る姿を見ています。 
この近くに巣やねぐらがありそうな気がするのですけど、突き止められませんでした。 
今季チゴハヤブサを撮れたのは、結局これだけです。

後日、チゴハヤブサ幼鳥および成鳥を観察することが出来ました。
関連記事(1月後の撮影)▶ 
 

ウドの花蜜を吸うヒメスズメバチ♀

 

2021年8月下旬・午前9:20頃・晴れ 

山道の横の法面(斜面)に生えたウド(独活)の群落でヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)のワーカー♀が訪花していました。 
スズメバチやアシナガバチなど様々な狩蜂の仲間が好んでウドを訪花しますが、ヒメスズメバチとの組み合わせは初見です。 
忙しなく飛び回り、吸蜜して回ります。

2021/11/03

有毒植物ホツツジの花蜜を吸うキンモンガ(蛾)

 

2021年8月下旬・午前10:55頃・晴れ 

山道の横に咲いたホツツジの群落でキンモンガPsychostrophia melanargia)が訪花していました。 
翅を開閉しながら吸蜜しています。 
この組み合わせは初見です。 

ホツツジはグラヤノトキシンなどを含む有毒植物なのに、チョウやハナバチ類が花蜜を吸っても平気なのはどうしてなのか、いつも不思議でなりません。
グラヤノトキシンは無脊椎動物のナトリウムイオンチャンネルには結合しないのかな?
ホツツジは虫媒花ですから、送粉者を殺すような毒は進化しなかったのだろうという説明はできそうです。

渓流で激しく縄張り争いするオニヤンマ♂の謎【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年7月下旬・午前7:30頃・晴れ 

立派なオニヤンマ♂(Anotogaster sieboldii)が渓流でスギの落枝に翅を広げて止まっていました。 
どうやら渓流の一区間に縄張りを張っているようです。 
隣の縄張りの個体(♂?)が侵入すると、止まり木から直ちに飛び立って激しい空中戦を繰り広げ、侵入者を追い払いました。 
縄張り争いの後は渓流の上を低空で往復パトロールしました。 
このとき日陰の区画まで行っても、すぐに日向の区画に戻って来て、先程とほぼ同じ止まり木に着地しました。 

見応えのある激しい空中戦が2回撮れたので、1/5倍速のスローモーションでリプレイをご覧ください。 (@1:06、4:24)
求愛行動ではなさそうです。 
渓流の真上を2匹が互いにグルグル回っています。 
戦闘機の空中戦と同じく、相手の背後をとろうとしているのかな? 
喧嘩の決着がどうやってつくのか、不明です。 
空中で相手にぶつかったり噛み付いたりすることはありませんでした。
あまりにも動きが激しいので、喧嘩の相手がオニヤンマ♂かどうか、映像からは確認できません。 (ハイスピード動画で記録できなかったのは残念。) 

最後は同一個体の♂がお気に入りの止まり木(スギ落枝)から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@7:10〜) 
スローモーションにすると、朝日を浴びた清流の水面がキラキラと光って映えますね。 
画面左上から飛来した別個体の影がちらっと見えました。 
それに反応して、止まり木のオニヤンマ♂は即座に迎撃発進します。 
飛び立った直後に左急旋回し、侵入者を追い払いに飛んで行きました。 

てっきり私はオニヤンマ♂が縄張りを張って交尾相手の♀を待ち構えているのだと思い込みつつ観察していました。 
ところが手元にある資料を漁って復習してみると、オニヤンマ♂の探雌行動は縄張り型ではないと知りました。 
つまり、今回のオニヤンマ♂は獲物を捕食するために止まり木で待ち構えていた、ということになります。 
(オニヤンマの)成熟♂は夏の朝夕を中心に、木陰の多い細流に沿って長距離を往復飛翔しながら♀を探す。川沿いの林道上などもよくパトロールする。(『日本のトンボ』p291より引用)

この行動は私も観察済みです。 

関連記事(8年前の撮影@里山の林道)▶ 縄張りを巡回するオニヤンマ♂の飛翔【ハイスピード動画】


少し古い本ですが、『トンボの繁殖システムと社会構造 (動物 その適応戦略と社会)』によると、 

オニヤンマやムカシトンボなどでは、♂は縄ばりをもたないで広く♀を探し回る。トンボの♂が♀を獲得するために縄張りをもつか、それとも探索するかは、種によって固定されたものであるという考えが以前は根強かった。 (p63より引用) 


新井裕『トンボの不思議』によれば、
 さほど忍耐力を持ち合わせないトンボの場合には、♀が卵を産んでいそうな場所を探す積極戦法をとる。その代表がオニヤンマで、川に沿って行ったり来たりしながら♀を探す。産卵している♀を見つけると、そっと近づいて狙いを定め、次の瞬間♀に飛びついてゲットする。♂同士が出会うと追いかけるものの、あまり激しい争いはしない。 (p46より引用)

しかし、これらの本に書いてあることは果たして本当でしょうか? 
今回動画に撮れた行動は、縄張り行動でも説明できそうです。 
この地域の個体群だけ、あるいはこの時間帯だけ、に見られる特殊な行動なのでしょうか? 
オニヤンマ♀♂が出会ってから交尾を始めるまでの決定的瞬間を私は未だ見たことがないので、それが今後の宿題です。 
編集でカットしたのですが、実際は止まり木でオニヤンマ♂は長々と休息していました。 
その間に近くの岸辺の濡れた石の上をハエが徘徊しても、横に居るオニヤンマ♂は狩ろうとせず無反応でした。 
止まり木のオニヤンマは上しか見てないのかもしれません。
飛び立ってから止まり木に戻ってきたオニヤンマ♂が空中で狩った獲物を咥えていたことは一度もありませんでした。
やはり獲物ではなく交尾相手の♀を待ち伏せしていたような気がします。

それともまさか、私が撮ったのはオニヤンマ♂ではなく別種のヤンマなのですかね?


【追記】
灯台下暗しというか、wikipediaに詳しい解説が載っていたのを見落としていました。
(オニヤンマは)成熟すると流水域に移動して、オスは流れの一定の区域をメスを求めて往復飛翔する。従来、この往復飛翔は縄張り維持とされていたが、最近の研究で、オスは羽ばたくものはすべてメスと見なしてしまい、出会うオスをメスと見なして追いかけ、縄張り維持でないことがわかった。(中略)
オニヤンマのオスは流れの一定区域をパトロールし、侵入する同種個体に接触を図る。オスに出会うと激しく追いかけて排除し、メスに出会うと捕まえて交尾をおこなう。

この記述によれば、今回私が撮影した空中戦は2匹の♂が互いに♀だと誤認して追尾し合い、縄張り争いのように見えただけ、ということになります。

後半の下線部はまさに縄張り行動だと思うのですけど、前後半で筆者が違うのでしょうか?

次に機会があれば、♀が飛来するまで待って、どうなるか見届けたいものです。

♂同士が戦って♀を獲得する動物の中には、生まれつき体格に劣り喧嘩に弱い♂個体はスニーカー戦略(サテライト戦略)という裏技で子孫を残そうとする例が知られています。

つまり♂の繁殖戦略に個体差があっても不思議ではありません。

あえて個人的な仮説を立てるならば、オニヤンマでも強い♂は縄張りを張って♀を待ち伏せし、縄張りを獲得できなかった弱い♂個体が♀を積極的に探索する放浪の旅に出るのではないでしょうか?

トンボの古い図鑑ではどう説明されているかと言うと、

 未熟な(オニヤンマの:しぐま註)成虫は林冠の樹梢をしばしば数匹〜10数匹の小群をつくって高飛するが、夏日やぶのそばの路上の同じ場所を往復飛翔する性質のあることはよく知られている。また成熟した♂は流れの上を往復飛翔して縄張りをつくりパトロールする。(保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIトンボ編』(1969年)p100より引用)

 


2021/11/02

早朝からクリ樹洞の巣口を守るモンスズメバチ♀門衛

前回の記事:▶ クリ樹洞の巣口を守り迎撃に飛び立つモンスズメバチ♀門衛

2021年7月下旬・午前4:45頃・晴れ(日の出時刻は午前4:40) 

前回の定点観察から7日後。 
前回よりも更に少し早い時刻にモンスズメバチVespa crabro)の巣の様子を見に来ました。 
画質が粗くピントが甘いのは、未だ相当薄暗い時刻(薄明)のためです。 
夜明け直前からクリ(栗)樹洞の巣口に門衛が陣取って警戒していました。 
外役ワーカー♀が樹洞から次々に飛び去ります。 

動画には撮れてませんが、ちょっとした事件がありました。 
外役から戻った1匹のワーカー♀が帰巣途中に私の黒いカメラに勢いよくぶつかってきたのです。 
カツーン♪と衝突音が響きました。 
幸いカメラを持っていた手を刺されずに済みました。 
私が巣口の門衛を写真に撮ろうとフラッシュを何度も焚いていたのが気に食わなかったのかもしれません。 
怒ったモンスズメバチ♀が大顎を開閉してカチカチ♪鳴らす警告行動(威嚇)がなかったので、油断していました。
たまたま寝起きで機嫌の悪い個体、あるいは寝ぼけた個体だったのかもしれません。
私の着ていた黒っぽい服装が良くなかったのかもしれません。(上半身のタンクトップが黒と白・赤の細い横縞)
スズメバチの巣を観察・撮影する際は、専用の防護服がなくてもせめて白っぽい服を着るべきです。 
集団で私を襲ってきた訳ではないので、怯まずに動画撮影を続けます。(巣がある樹洞からもう少し離れました。) 

樹洞入口の横の幹に止まって門衛が身繕いしていました。 
左右の後脚を互いに擦り合わせたり腹部を擦ったり、前脚で顔を拭ったりしています。 
羽ばたいてはいないものの激しく腹式呼吸しながら周囲を油断なく警戒しています。 
幹の物陰にもう1匹の門衛が隠れていました。 

早朝から門衛はピリピリしていて、小さな蚊?が飛来しただけですかさず向き直り、つっかかるように威嚇しました。 
その後、2匹の門衛は相次いで飛び立ちました。 
1匹は定位飛行のように営巣木の方を向いてホバリングしながら扇形に飛び再んでから幹に止まりました。 
2匹の門衛が小競り合いすることもありました。(原因を撮り損ねたのが残念) 
帰巣した外役ワーカーに対しても門衛は迎撃に飛び立ち、誰何しました。 
門衛の飛び立ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

撮影できた行動としては前回とほぼ同じで、面白みに欠ける報告かもしれません。 
しかし同じだったという結果が私には重要な収穫でした。 
門衛が過敏に警戒し巣口を厳重にガードしているのは、モンスズメバチのどのコロニーでも普通に見られる習性なのだろうと確信できたからです。 
それまでは、もしもクリ樹洞に引っ越したばかりの二次巣だとしたら、引っ越し直後は門衛が警戒を高めているのか?とか、例えば前日にオオスズメバチなどの天敵に襲撃されて警戒態勢を高めていたのではないか?などと他の可能性をいくつか考えていたからです。 

コロニーの活動を一度ぐらいは終日観察してみたいものです。
しかし人目につくとすぐに巣を駆除されてしまうので、早朝または深夜の撮影だけで我慢しています。
無人カメラを仕掛けるのも藪蛇になりそうです。
ヒトが誰も来ない山奥でモンスズメバチの巣を見つけて、心置きなく観察・撮影したいなー。

ところで、門番は若いワーカー♀(羽化後の日齢が浅い個体)が務めるのかな? 
ミツバチからの連想で、スズメバチも年老いた(経験豊富な)個体が外役に出るような気がします。 


ベニシジミ夏型2頭の激しい卍巴飛翔【ハイスピード動画】求愛飛翔?縄張り争い?

 

2021年8月上旬・午後15:55頃・くもり 

川沿いの堤防路の上空を2頭の夏型ベニシジミLycaena phlaeas daimio)が激しく乱舞していました。 
240-fpsのハイスピード動画で撮ってみましょう。 
♀♂間の求愛飛翔なのか、それとも♂同士が縄張り争いで卍巴飛翔しているのか、不明です。 
引きの映像では2頭の性別が外見で見分けられないからです。
 一定の空間を占有し、侵入してくるライバルの♂を追飛などの行動で追い払い、やってくる♀と交尾しようとする「縄張り」行動を繁殖戦略に採用している種も知られている。ベニシジミの場合、幼虫の寄主植物であるギシギシやスイバの生育している湿潤な草地において、♂は静止場所一帯で排他的な占有行動を示し、通過する♀に交尾を試みている。 (渡辺守『チョウの生態「学」始末』より引用)
チョウが互いに相手の周りを飛び回る卍巴飛翔は、縄張り争いの一種と説明される。しかし鋭い牙も爪も持たないチョウがただ飛び回ることが、なぜ「闘争」になるのだろうか。試行錯誤の末に著者がたどり着いたのは、チョウにはライバルという認識がないために縄張り争いが成り立つという“常識外れ”な結論だった。(竹内剛『武器を持たないチョウの戦い方: ライバルの見えない世界で (新・動物記 2)』商品紹介より引用) 
この本もすごい面白そうなのに積読状態なので、早く読まないといけません。 

求愛飛翔だとすると、♀は♂が気に入らず、逃げ回り振り切ろうとしているのでしょうか?
しかし、わざわざエネルギーを激しく消耗してまで♀が高速で♂から逃げ回る必要はない気がします。 
私が過去に観察したベニシジミ♀の交尾拒否行動は、訪花中になされました。
関連記事(7年前の撮影)▶ ベニシジミ春型の求愛と交尾拒否【ハイスピード動画】

縄張りに侵入したライバル♂を追い払おうと、もう1頭の♂が追尾しているのかもしれません。 
後半は互いにもつれ合うようにグルグルと激しい乱舞が始まりました。 
素人目にはゼフィルス(ミドリシジミ類)で見られる卍巴飛翔と似ている気がします。 
やがて2頭は再び追いかけっこモードに戻りました。 

激しい空中戦?が終わり、2頭は別々に飛び去りました。 
求愛飛翔だっだとしても、交尾には至らなかったことになります。 
片方の個体を目で追うと土手の草むらに着地しました。 
雑草の葉に止まって休息しています。 
きっちり閉じた翅裏をしっかり撮るために回り込もうとしたら、手ブレした瞬間に飛び立ってしまいました。 
すぐ近くの枯れ草の先端に止まり直し、翅を開いて日光浴を始めました。 
腹部が細く、前翅頂が尖っていることから♂と分かりました。 
周囲の草むらには♀が産卵するギシギシやスイバなどが生えていそうです。(未確認)
この♂個体はここで縄張りを張り、♀を待ち伏せしているのでしょう。

2021/11/01

川の岸辺で採食する巨大魚:野ゴイ?ソウギョ?【名前を教えて】

 

2021年8月上旬・午後15:15頃・晴れ・気温38℃ 

川の対岸の浅瀬で魚の黒い背中が動いています。 
初めはカメの甲羅かと思ったぐらい大きな魚でした。 
素人の目測では1mぐらいはあったように思いました。 
釣りを嗜まない私は魚類に関して全く疎いのですが、この淡水魚は野生のコイ(鯉;Cyprinus carpio)、つまり野ゴイですかね? 
もしかしてソウギョ(草魚;Ctenopharyngodon idellus)ですかね? 
どなたか教えていただけると助かります。 
現場は最上川の上流域で、堰の手前の流れが緩やかになった地点です。 
釣り禁止区域との看板があり、ここまで大きく育ったのも納得しました。

川岸近くの浅瀬に長々と留まっているので、初めは座礁しているのかと思ったぐらいです。 
水面から上に背中だけ出ています。 
背中がラクダの瘤のように少し隆起して見えるのはカラフトマス♂を連想しました。
背びれは寝ていて(後方に畳んでいて)形が分かりません。 
やがて川岸を離れて深みを遊泳したものの、再び川岸の浅瀬に戻って自ら乗り上げました。 
一体何をしているのでしょうか? 
川底の石に付着した藻でも食べているのかな? 
頭で川底を掘っているようにも見えます。(産卵準備?) 

鯉♀の産卵行動にしては時期が遅いでしょう。
4〜5月の午前中に、岸近くの浅瀬で大きな水しぶきがあがっていることがある。これはいわゆるコイの”乗っ込み”で、産卵行動である。コイはバスとソウギョ両者の食性をもち、汚染水にも耐性のある魚であることから、生態系の均衡を考えて、野外への意識的放流は避けるべきであろう。 (野上宏『街の水路は大自然―1.8kmの川で出会った野生動物たち』p89より引用)

営巣木(八重桜)の樹洞入口を外皮で完全で塞いだモンスズメバチ【暗視映像】

前回の記事:▶ 八重桜の樹洞内の巣を夜に守り威嚇するモンスズメバチ♀【暗視映像】

2021年7月下旬・午前1:10頃・外気温24.9℃・湿度69% 

前回の定点観察から8日後。 
明るい昼間に観察しているとモンスズメバチVespa crabro)の巣の存在を誰かに知られてしまい、運が悪いと駆除依頼の通報をされてしまいます。 
「迫害されがちな肩身の狭いスズメバチ好き」は藪蛇にならないように、ひと気のない深夜にこっそり観察するはめになります。 
モンスズメバチは場合によって夜行性になるので、その確認のためでもあります。 
この日も蜂のコロニーは静まり返っていました。 
営巣木の周囲を飛び回る外役ワーカーの姿は無く、巣口で夜警する門衛は1匹も居ませんでした。 
全ての蜂が夜は巣内で寝ている(休んでいる)ようです。(このコロニーは非夜行性) 

モンスズメバチの巣に驚くほど大きな変化がありました。
幹の低い位置で縦長に開いていた樹洞の開口部全体が外皮状の皮膜で完全に塞がれていたのです。
この点は昨年のコロニーとは異なります。 
上下に2つあった出入り口を狭い巣口1つにしてしまえば、コロニーの防衛力は上がります。
スズメバチの造巣は女王バチが設計図を元に命令するのではなく、多数のワーカーがそれぞれ現場の判断で動く結果、自然に出来上がるのが不思議なところです。
今回の樹洞入口を塞ぐ行動も、コロニー内でどのような意思決定がなされ実現したのか、興味深いところです。
モンスズメバチ♀が突貫工事する様子を微速度撮影(タイムラプス)で記録できなかったのは残念でした。
樹洞入口が閉鎖された結果、従来のように樹洞内の巣の様子を暗視映像で録画できなくなってしまい、私としては困りました。 
今後はファイバースコープ(スネークカメラ)が必要になりそうです。 
樹洞入口を塞いだ皮膜を壊すとモンスズメバチのワーカー♀たちは急いで修復するでしょうか? 
好奇心で実験したいのはやまやまですが、万一それ以降モンスズメバチ♀が通行人に対して攻撃的になったら困るので諦めました。 
樹洞開口部を閉じた外皮の表面をワラジムシPorcellio scaber)が徘徊していました。 
パルプ製の外皮を食害するのでしょうか? 

地上約2mの位置で昔に切り落とされた枝の切り口が朽ちて広い樹洞の上端と繋がっています。
枝の古い切断面がメインの巣口になっていました。 
 この巣口周辺を閉じていた外皮状の皮膜が、この日はなぜか大きく破損していました。 
誰か(ヒトや野鳥、オオスズメバチなど)が巣を襲い破壊したのでしょうか? 
外敵に襲撃されてモンスズメバチが籠城しているのなら、夜も巣口を門衛が厳重に守っていそうなものです。 
巣内の温度調節や換気のためにモンスズメバチが自ら外皮を壊して巣口を広げた可能性も考えられます。 
巣口のすぐ近くを這い回っていたナメクジ(種名不詳)がひょっとして外皮を食害したのでしょうか? 
飼育下のナメクジは紙を食べるらしいので、パルプ状の外皮を食べても不思議ではありません。 
巣口周囲に残った外皮の表面をアリやワラジムシが徘徊していました。 
明るい昼間なら巣口に陣取るモンスズメバチ♀の門衛が侵入者を追い払うはずなのに、夜は寝静まっていました。 
穴の奥を覗いても真っ暗で、樹洞内の巣盤や蜂は全く見えませんでした。

つづく→

2021/10/31

水辺の獣道をパトロールするホンドタヌキの動画まとめ【トレイルカメラ】

 

2021年7月中旬〜8月上旬

湿地帯の周囲の獣道を利用する野生動物の活動を知るためにトレイルカメラ(無人センサーカメラ)を設置したところ、最も多く登場した主役はホンドタヌキNyctereutes viverrinus)でした。 
タヌキの動画をまとめてみました。(初出しのシーンも含まれます。) 
1ヶ月以上調査した結果、計9日分の記録が撮れました。 
ただし、トレイルカメラで24時間監視する設定にはしていないので、記録漏れがあるかもしれません。 
夜行性のタヌキは明るい昼間に活動しないだろうと考え、バッテリーの消耗を抑えるために夕方から早朝までの時間帯に限定して監視するタイマーを設定しました。 
撮れた映像を見ると、確かにタヌキはまだ明るい薄暮の頃から活動を始めるようです。 
明るい真っ昼間にタヌキが活動することは絶対ないと言い切るには、24時間監視してみないといけません。 

進行方向は、左から右へ(→)が計5回、逆の右から左(←)が計9回でした。 
途中で引き返したのは両方にカウントしました。 

大雨が降るとここは氾濫原となり、獣道も泥だらけになったり、すっかり水浸しになったり(冠水)します。 
水が引くと道に残った泥が夏の日差しでカラカラに乾き、ひび割れた状態になります。 
路上に残されたアメリカザリガニの死骸をタヌキが拾って持ち去ったのが、このトレイルカメラ調査の白眉でした。
関連記事▶ 水辺の獣道でアメリカザリガニの死骸を持ち去るホンドタヌキ【トレイルカメラ】
カメラの前で立ち止まり、左後足で体を掻いてくれた役者のタヌキも愛嬌がありました。(@1:59) 

タヌキの性別判定も個体識別もできていませんが、2頭のタヌキが続けざまに通りかかったシーンが2回撮れたので(7/15および8/4)、少なくとも2頭のペアが生息していると分かりました。 
おそらく♀♂つがいではないかと予想しています。 

しばらく調査を続けると、画面の左右をまっすぐ通る獣道(元々は舗装された遊歩道)とは別に、左斜め奥へとヨシ原の茂みに潜り込む別な獣道もありそうだと気づきました。 
つまり現場は獣道のY字路になっていたのです。 
どうやらタヌキはヨシ原の奥から頻繁に登場するようです。 
後半にカメラのアングルを少し左に向けたところ、予想通り獣道の分岐点を捉えることが出来ました。(@2:46) 
ちなみに、一度だけ登場したハクビシンも吉原(ヨシ原の奥)に通っていました。
関連記事▶ 水辺の獣道をハクビシンが深夜徘徊【トレイルカメラ:暗視映像】
湿地帯の中を通る獣道に踏み込んで柳灌木林やヨシ原を掻き分けながらタヌキの足跡を追跡しようか、私は迷いました。 
タヌキの生態についてよく知らないのですけど、子育て中の巣穴が近くにありそうです。 
見てみたい気持ちもありつつ、不用意に踏み込んでタヌキの家族を怖がらせてしまって引っ越しされると元も子もありません。 
繁殖期が終わるまで今季はこのまま見守ることにしました。 
ところが台風の上陸で大雨が降り、川の増水で氾濫原が再び冠水してしまいました。 
せっかく面白くなってきたのに、これを最後にタヌキは獣道に来なくなってしまいました。 
泥の上の足跡も見かけなくなりました。 
なんとなく、タヌキたちは平地から山に避難したまま帰らなくなったのではないかと予想しています。 
やはり思いついたときに躊躇せずヨシ原の奥の足跡を辿ってみるべきだったと後悔しました。 

シーン1:7/12 ← 
シーン2:7/15 →→ 連続で2頭が登場。 
シーン3:7/17 →←(ザリガニの拾い食いでUターン)。←。時間を空けて2回登場(別個体?)。 
シーン4:7/19 ← 
シーン5:7/21 ← 
シーン6:7/26 ← 体掻き。ヨシ原奥の獣道入口に興味を示すも通り過ぎる(@2:04)。 
シーン7:8/04 →→ 連続で2頭が登場。 
シーン8:8/06 ← 
シーン9:8/08 ←← 時間を空けて同一個体が戻って来た?別個体? 


シリーズ完。 
トレイルカメラの使い方にだいぶ慣れてきたので、次はまた別な場所に仕掛けてみることにします。 

トレイルカメラの調査はすごく楽しいのですけど、使い捨て乾電池の消費が激しいので環境への負荷が心苦しくなります。 
試しにメーカー推奨のアルカリ乾電池からニッケル水素充電池に変えてみたところ、電圧が低いのか動画で記録してくれなくなりました。 
一時期、記録が全く途絶えたのはそのためです。 
ソーラーパネルで給電するエコなオプションも用意されているものの、絶対誰にも見つからない僻地に設置しない限り、機材の盗難が心配で導入に踏み切れません。 

キオビツチバチ♂がオトコエシに訪花吸蜜【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月中旬・午後16:35頃・くもり 

山麓の林縁に咲いたオトコエシの群落でキオビツチバチ♂(Scolia oculata)が訪花していました。 
雄蜂♂との組み合わせは初見です。
関連記事(9年前の撮影)▶  
キオビツチバチ♀がオトコエシに訪花吸蜜 
オトコエシに訪花吸蜜するキオビツチバチ♀を接写

初めは通常マクロモードで接写してみます。 
カメラを近づけてもキオビツチバチ♂は逃げずに吸蜜を続けました。 
次は少し離れてから望遠マクロで撮影。
蜂は花序をひたすら歩き回りながら花蜜を吸い、隣の花序へ少し飛んで移動します。 
長い腹部の下面を花に擦って歩くので、オトコエシの送粉者として働いているようです。 
ただし、腹部に毛はあまり生えておらず、効率的に授粉できないかもしれません。

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:55〜)

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