2016年10月下旬・午後22:39〜23:23
夜、いつものように飼育容器内に霧吹きしようと蓋を開けたら、その蓋の裏にへばりついて居たヒダリマキマイマイ(Euhadra quaesita)が大量の泡を吹いていました。
同居させているチャコウラナメクジ(Ambigolimax valentianus)がヒダリマキマイマイの殻に乗って攻撃しているようです。
2匹の軟体動物による緩慢な闘争・逃走シーンを微速度撮影で記録してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
(もう少し早く気づいて撮り始めていれば…。)
泡を吹きながら逃げ回るヒダリマキマイマイをチャコウラナメクジが執拗に追い回しています。
野菜屑などの餌をきちんと与えているつもりでしたが、このナメクジはひどく飢えているのでしょうか?
カラスのモビング行動(擬攻撃)を連想しましたが、まさか縄張り争いではないでしょう。
カタツムリの分泌する粘液を舐めているだけかもしれません。
ヒダリマキマイマイが這った跡に残した粘液を頼りにチャコウラナメクジが追跡していることは確かです。(本来ナメクジは夜行性ですし、その眼は光の明暗を感じる程度で周囲のものの形をみることはできないらしく、視覚で追跡しているのではありません。)
ヒダリマキマイマイが嫌がって逃げているのは分かりますが、ナメクジがカタツムリの殻に乗っているのは果たして偶然でしょうか?
映像ではどう見ても獲物として繰り返し襲おうとしているようです。
ナメクジがカタツムリを襲うとは予想だにしなかったので、初めて見る光景に仰天しました。
宇高寛子、田中寛『ナメクジ:おもしろ生態とかしこい防ぎ方』という本を紐解いてみると、ナメクジが時に獰猛な肉食性になることを初めて知りました。
ナメクジは肉も食べるということがわかる。
実は、多くのナメクジはタンパク質を食べなくては成長することができない。ナメクジにとって一番身近にあるタンパク質は、同じ仲間のナメクジなので、生きているナメクジを積極的に食べるわけではないようだが、死んだ(または弱っている)ナメクジを食べることはある。
日本にいるナメクジは基本的に草食・雑食性であるが、海外には肉食性のナメクジもいて、彼らはミミズや他の陸貝をエサとしている。 (p27より引用)
また、侵入生物データベースのサイトにてチャコウラナメクジが「ハマキガ類の卵塊を捕食する」との記述がありました。
徘徊速度を比べると殻を持たない身軽なナメクジにカタツムリは負けていて逃げ切れないのかもしれません。
ヒダリマキマイマイはナメクジに正面から触れた瞬間にビクッと身を縮めました。
殻口から奥に侵入できる捕食者に対しては殻の中に軟体を引っ込んで籠城するだけでは身を守れません。
サザエとは違ってカタツムリは殻口を閉じる固い蓋を持たないからです。
このような緊急時にカタツムリが自衛のために激しく泡を吹くらしいのですが、実際に見るのは初めてでした。
この泡は苦い分泌物(毒?)が含まれているのだそうです。
容器の蓋の縁を乗り越えようとするついでに、ヒダリマキマイマイは殻を大きく振り回してナメクジを振り落とそうとしました。(@1:06〜1:15)
この動きはカタツムリの第二の自衛手段です。
最後にヒダリマキマイマイが殻の中に籠城すると(第三の自衛手段)、ナメクジはようやく諦めて立ち去りました。
このときヒダリマキマイマイは殻口を容器蓋のプラスチック面に伏せているため、ナメクジは攻撃できませんでした。
思い返してみると、以前にも同居しているヒダリマキマイマイの殻や軟体部にナメクジがへばりついていることがありました。
徘徊中に偶然出会っただけかと思って見過ごしていました。
実はナメクジが競争相手を密かに一匹ずつ殺そう(捕食しよう)としていたのか?と戦慄しました。
無知な私は横着してナメクジとカタツムリを同居させてしまいましたが、別々の容器で飼うべきでしょう。
逆に言えば、素人ならではの失敗が転じて興味深い発見(セレンディピティ)ができました。
その後、ヒダリマキマイマイとチャコウラナメクジの同居飼育を続けても捕食シーンを二度と観察できませんでした。(私が見逃しただけ?)
必死で防御・抵抗するヒダリマキマイマイを手強い相手だとチャコウラナメクジが記憶して、襲わなくなったのでしょうか。
襲われた蝸牛が泡を出し始める様子をいつかじっくり見てみたいものです。
唾液で泡を立てるのでしょうか?
呼吸孔からブクブクと息を吹き込んで泡立てるのかな?
泡立ちやすい界面活性剤を含んだ特殊な粘液を急激に分泌するのですかね?
今回の映像を見直すと、ナメクジの執拗な追跡をやり過ごし殻の中に籠城したヒダリマキマイマイが泡を出したのは左側からでした。(@3:20〜3:28)
なぜ粘液を泡状にするのか?という理由を私なりに考えてみると、SF映画などでお馴染みの「バリアを張る」作戦なのでしょう。
つまり、生身の体(軟体部)に到達される手前に忌避剤を含む軽い膜を素早く張って防衛線とするのだと思います。
もし相手がアリのように小さな虫なら、何重ものバリアを突破する必要があり、かなり有効そうです。
2017年9月上旬・午前7:24〜7:50
▼前回の記事
柳の葉を蚕食するセグロシャチホコ♂(蛾)終齢幼虫
飼育を始めた翌日、セグロシャチホコ♂(Clostera anastomosis orientalis)終齢幼虫が餌の柳(カワヤナギまたはオノエヤナギ)を食べ尽くしそうなので、早朝から食樹植物を採集しに行きました。
近所に柳(種名不詳)の灌木があったので助かりました。
新鮮な葉の付いた柳の枝に移してやると、セグロシャチホコ幼虫は徘徊・探索を始めました。
ところが、なかなか葉に食いついてくれません。
元居た柳の葉よりもかなり若くて柔らかそうなのにどうしてだろう?(同じヤナギ科でも樹種を変えたからか?)と心配しつつ見守ります。
やがて口元から白い絹糸を吐いて柳の葉を綴り合わせ始めました。
どうやら繭作り(営繭)が始まったようです。
周りから糸で葉を何枚か引き寄せて自分の体をどんどん隠していきます。
隣り合う柳の葉の縁に何度も糸を付着させて互いに少しずつ引き寄せています。(葉の隙間を無くしている)
営繭を微速度撮影で記録しようか迷ったのですが、幼虫が柳の葉に身を隠した後はあまり面白い映像にならないだろうと思った私はそのまま出かけてしまいました。
途中で柳の葉を剥いでやれば営繭を観察できたかもしれません。(剥がすタイミングが難しそう)
半日後、夜に帰宅すると、もう白い繭が完成していました。(午後20:15)
白い繭の中で幼虫の動きはもう見えません。
この個体は体長25mmと終齢幼虫(資料では35mm)にしては未だ小さかったので、まさか営繭を始めるとは思わず私も油断していました。
前日まで食欲旺盛で眠の期間が(ほとんど)無かったことも私の判断を誤らせました。
昼間の隠れ家(巣)を作っているのか、あるいは脱皮用の足場や隠れ家なのか? などと暢気に考えていたのです。
充分に育ってないのに営繭して大丈夫なのかな?
無事に変態して成虫になれるのか、ちょっと心配です。
しかし後日、小型のセグロシャチホコ♂成虫が羽化してきました。
♂(の一部)は体を大きくするよりも生育スピードを優先するのかも知れません。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→飛べ!セグロシャチホコ♂(蛾)【ハイスピード動画】
2017年8月下旬
稲穂が実る田んぼの隅に居た白鷺にカメラを向けると、身を屈めてその反動で飛び立ちました。
飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
力強く羽ばたいて飛び去る姿を流し撮りできました。
低空飛翔で田んぼを横切り、遠くの畦道に着陸。
チュウサギ(Ardea intermedia)またはダイサギ(Ardea alba)だと思うのですが、遠過ぎて見分けられませんでした。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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水田に着陸後の白鷺 |
2017年9月上旬
▼前回の記事
ミソハギの花蜜を吸うシロオビノメイガ(蛾)
山麓の小湿地帯(休耕田)に咲いたミソハギの群落でシロオビノメイガ(Spoladea recurvalis)が訪花していました。
花蜜を吸う合間に葉の表面を口吻で舐めていたのが、とても興味深く思いました。
蛾が口直しに葉の水滴を吸水したのかもしれません。
それにしても、その葉がどうして濡れていたのか謎です。
撮影時刻は晴れた午後(15:52)なので、朝露の最後の残りなのかな? (他の葉には残っていない)
ミソハギに花外蜜腺があるという話は聞いたことがありません
アブラムシの排泄した甘露でもなさそうです。(アブラムシのコロニーが見当たらない)
葉を舐め終わるとシロオビノメイガは飛んで隣の株に移動し、吸蜜を再開しました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
枯木に営巣したコガタスズメバチの定点観察#6
前回の記事→#5
2016年7月中旬・午後17:43
前回から2日後の定点観察。
巣口でコガタスズメバチ(Vespa analis insularis)門衛が外を見張っています。
その門衛を押しのけるように、別のワーカー♀が外役に出かけました。
つづく→#7
2017年8月下旬
用水路沿いに咲いたナガボノシロワレモコウの群落でスズバチ(Oreumenes decoratus)が訪花していました。(♀?)
花蜜を舐めているところへ、飛来したもう一匹の個体(♂?)がやって来ていきなり飛びつきました!(@0:39)
スズバチには儀式的な(ロマンチックな)求愛行動は全く無いようです。
飛びつかれた♀が翅を斜め下に下げたのは交尾拒否の意思表示なのかな?
♂はマウントもせずにあっさり諦めて飛び去りました。
♂が去ると♀はすぐに翅を戻しました。
♀はこの間ずっと吸蜜を続けています。
一瞬の出来事なので、1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
登場したスズバチ2匹の性別を外見(形態)からしっかり見分けられていません。(自信なし)
行動から私が勝手に性別を想像しただけです。
吸蜜中の♂を♀だと誤認して♂が交尾を挑んだ可能性もありますかね?
餌場での縄張り争いにしては淡白な交流でした。
▼関連記事
交尾を迫るスズバチ♂を背負ったまま飛び回る♀【HD動画&ハイスピード動画】
2017年6月下旬
川沿いの堤防で2〜3羽のキジバト(Streptopelia orientalis)が地上採食していました。
路上をとことこ歩きながら、ときどき何か餌を喋んでいます。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年8月下旬
用水路沿いに咲いたキンミズヒキの小群落で全身真っ黒なハキリバチ、スミゾメハキリバチ♀(Megachile willughbiella sumizome)が訪花していました。
吸蜜しながら集めた橙色の花粉を腹部下面のスコパに付けて運んでいます。
本種はムナカタハキリバチ(Megachile willughbiella munakatai)の亜種なのだそうです。
実はこの個体は直前まで隣に咲いたハチミツソウの群落で採餌していたのですが、途中で蜜源植物をキンミズヒキに切り替えたのでした。
▼関連記事
ハチミツソウの花で採餌するスミゾメハキリバチ♀
これら二種の植物は花弁が黄色という点は共通ですが、花の形状が全く異なるので、蜂が誤認した可能性は低いと思います。 (ハナバチは視覚だけでなく芳香でも花の種類を識別するはずです)
2017年8月下旬
民家の庭先に咲いたスペアミントの群落でスズキハラボソツリアブ(Systropus suzukii)またはニトベハラボソツリアブ(Systropus nitobei)と思われる細長い体のツリアブが訪花していました。
吸蜜シーンをじっくり撮りたかったのですが、軽くホバリングを披露しただけですぐに飛び去ってしまいました。
あまりにも短い動画なので、1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
飛翔時には極端に長い後脚をダラリと垂らしています。
これでは空気抵抗が大きくて、あまり速く飛び回れないでしょう。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年9月下旬・午後17:11〜17:28 (日の入り時刻は17:33)
湿地帯に近いススキの原で夕方になるとコガネグモダマシ(Larinia argiopiformis)があちこちで造網を始めます。
10倍速の早回し映像でご覧ください。
慌てて三脚を立てて撮り始めた時はもう縦糸張りの後半でした。
まず放射状に縦糸を張り、網の中心部から外側に向かって螺旋状に(反時計回りに)足場糸を張り、最後に粘着性の横糸を密に張り巡らせます。
横糸張りの初めに何度か回る向きを変えたのは、枠糸にしっかり固定、補強するためでしょう。
横糸張りの後半は時計回りで安定しました。
網が完成すると中央の甑下向きに占座しました。
風が吹くとススキの穂が激しくなびくために、AFではすぐにピントが合わなくなります。
仕方がないので、枠糸を固定してある左のススキの茎に焦点を固定して長撮りしました。
全体的にピンぼけなのは、そのためです。
▼関連記事
・コガネグモダマシ♀の造網:足場糸と横糸張り(15倍速映像) @2011年10月中旬
・コガネグモダマシ♀の造網(横糸張り:4倍速映像) @2009年10月中旬
コガネグモダマシが網を張る過程の一部始終を動画で記録したくて頑張っています。
この季節になる度に何度かトライしているネタなのですが、なかなか自分でも満足の行く生態動画が撮れません。
今回も残念ながら逆光で、クモの糸や網はほとんど見えませんでした。
クモの動きから造網プロセスを想像してもらう他ありません。
縦糸張りの過程が少しだけでも撮れたのがささやかな収穫(前進)です。
どうしてもこの時期は魅力的な被写体が他にも色々とあるために、浮気症の私はすぐに目移りしてしまいます。
じっくり腰を据えて取り組まないといけませんね。
夕方で無風になる日を待つのも大変なので、やはり飼育下で網を張らせるのが近道かもしれません。
↑【おまけの動画】
長撮りしたオリジナルの動画(早回し加工する前)をブログ限定で公開しておきます。
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コガネグモダマシ(蜘蛛)@垂直円網 |
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画像処理で無理やり垂直円網を可視化 |
2017年8月下旬
農業用水路沿いに咲いたハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落で赤銅色型のコアオハナムグリ(Gametis jucunda)が訪花していました。
筒状花に潜り込んで花粉や花蜜を食べているようです。
▼関連記事 (通常の緑色型)
ハチミツソウの花で食事するコアオハナムグリ
2017年7月中旬
路地裏の用水路沿いで出会った2羽のハシボソガラス(Corvus corone)です。
栗の花が散乱している小路を小柄なカラスが一羽トコトコ歩き回っていました。
この華奢な個体は、なんとなく巣立ったばかりの幼鳥ではないかと思うのですが、口の中の色を見せてくれなかったので分からずじまいでした。
小路の向こうからもう1羽が歩いて来ました。
体格に少し差があるので、初めは親子なのかと思いました。
ところが合流しても幼鳥?は餌乞いしなかったので、幼鳥の兄弟姉妹なのだろうと思い直しました。
2羽のカラスは用水路沿いの柵をくぐって側溝を見下ろしていますが、以前のように側溝内(流水の中)に入って探検(採食?)することはありませんでした。
▼関連記事
側溝内を探検するハシボソガラス(野鳥)
道端の雑草の陰に隠れて根元を調べたりしているものの、積極的に採食しているようには見えません。
親鳥が巣外給餌に来るのを待っている幼鳥なのかな?
私が動画を撮りながら少しずつ近づくと、一羽は側溝の白い鉄柵の上に飛び乗りました。
やがて嗄れ声の警戒声を発しながら相次いで飛び去りました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017年9月上旬
山麓の小湿地帯(休耕田)に咲いたミソハギの群落でチャバネセセリ(Pelopidas mathias)が訪花していました。
吸蜜中は翅を閉じていることが多いですが、少し半開きにすることもありました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。