2016/08/13

雛の糞を巣から捨てに行くハシボソガラス親鳥(野鳥)



高圧線の鉄塔に営巣したハシボソガラスの定点観察#2


2016年6月上旬・午後18:36〜18:54

郊外の田園地帯で高圧線の鉄塔d#24にもハシボソガラスCorvus corone)が営巣していました。
枯れ枝を組み合わせて作られた巣の位置は鉄塔のほぼ最上部です。
嘴で巣の形を整えているのか?と思いつつ見ていると、親鳥が巣から上の鉄骨にヒョイと登ってから飛び降りました。
軽く滑空してから羽ばたいて鉄塔から少し離れた送電線に止まると、何かを吐き出して捨てました。
おそらく、巣に居る雛が排泄した糞を親鳥が捨てに来たのでしょう。
すぐにもう一羽の親鳥が合流し、つがいで仲良く並んで高圧線に止まりました。
足元の電線に嘴を擦り付けています。
仲睦まじく相互羽繕いをしました。(L→R)
相互羽繕いを見るのは珍しく、やはり親子ではなくつがいなのだろうと思いました。
カラスの性別の見分け方は知りません。
その間に右にパンして鉄塔dにズームインすると、空き巣状態でした。

私はその後しばらく別の生物に気を取られていたのですが、ハシボソガラスの親鳥が排糞しに行くシーンをもう一度動画に撮ることが出来ました。
前回と同様に、親鳥が巣から一度鉄骨に跳び乗ってから飛び降りました。
送電線に止まって咥えて来た雛の糞を吐き出すと、嘴を電線に擦り付けて拭いました。
雛の糞はゼラチンで包まれているため、親鳥が咥えて運びやすく、不潔ではありません。


本や動物番組などで得た知識では、鳥の雛が排便するのはふつう親鳥が給餌した直後のはずです。
残念ながら、今回は給餌シーンを見ていません。
下から高い鉄塔を見上げるアングルでは、巣内の雛の様子が全く見えないのが難点です。
雛の糞を毎回わざわざ遠くまで捨てに行かなくても、巣から糞をそのまま下に捨てても衛生面では別に問題ない気がします。
しかし、おそらくヘビなどの天敵を誘引することを懸念して用心しているのでしょう。

また、排糞行動に先立ってもう一羽の親鳥が出巣した際は、鉄塔の真下に飛び降りたので見失いました。
採餌に出かけたのかな?

ちなみに、この日の日没時刻は19:00。


※ 
糞ではなく、未消化物を吐き戻したペリットの可能性もありますね。
高圧線の下は水田なので、落し物を拾いに行くことも出来ません。


※※ 日没直前で本当はかなり薄暗い映像なのですが、動画編集時に自動色調補正を施してあります。
雛の糞を2回目に捨てるシーン(@1:24〜2:23)ではHDRishフィルターを掛けて更にコントラストを上げています。


つづく→#3


ハシボソガラス番の相互羽繕い

オオマルハナバチに擬態したマツムラハラブトハナアブ♀?【名前を教えて】



2016年6月上旬

山麓の農村部の民家の花壇に咲いたキリンソウの群落で、オオマルハナバチにベイツ型擬態したハナアブが訪花していました。
花粉や花蜜を舐めています。


手元にある図鑑『札幌の昆虫』p214-215でマルハナバチに擬態するハナアブの仲間を調べてみると、素人目にはトゲミケハラブトハナアブ♀(Mallota tricolor)が一番似ています。
一方、「ハナアブの世界」サイトに掲載された標本写真を見比べると、マツムラハラブトハナアブ♀(Mallota rubripes)が一番似ている気がします。
今回は採集できなかったので標本はありませんが、もし間違っていたらご指摘願います。
ハラブトハナアブ属の一種(Mallota sp.)としておいた方が無難でしょうか。



▼関連記事(4年後の撮影)
マツムラハラブトハナアブ♀の身繕い【ベイツ型擬態】



【追記】
中公新書:鈴木紀之『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く 』を読んでいたら、とても興味深いことが書いてありました。
今回のハナアブは大型ですから、確かに優れたベーツ擬態になっています。
アブの仲間で擬態のうまさを網羅的に比較した研究では、アブの体サイズが小さいほど擬態が不完全になっていく傾向が見出されました。天敵はどちらかというと体の大きなアブを狙います。体が大きい分だけエサとしての栄養分が多く含まれているからです。そのため、体の大きなアブはできるだけ蜂に姿を似せて天敵からの攻撃を未然に回避する必要があります。一方で、体の小さなアブはそもそも天敵からの攻撃をそれほど受けないので、ハチに似せていく方向に働く圧力がそこまで強く生じません。天敵にしてみれば、エサの候補となりにくい小さい種類はアブであろうがハチであろうがどちらでも構わないため、そもそも識別しようとしないのです。この研究は、天敵からの圧力が弱い種類ほど不完全な擬態が維持されやすいことを示唆しています。 (p218より引用)





駐車場を走り回り羽繕いするハクセキレイの幼鳥?(野鳥)



2016年6月中旬・午後19:17

郊外の某大型店の駐車場で日没直後にハクセキレイMotacilla alba lugens)♀タイプの幼鳥と思われる個体が単独で居ました。
換羽中なのか羽が全体に少しボサボサで、胸の黒い部分に白が交じっています(個体差?)。

ヒトをあまり恐れないのは幼鳥だから?
だだっ広い駐車場をときどき小走りに走り回ります。
車が通りかかっても少し走って逃げるだけです。
立ち止まって足で頭を掻きました。

親鳥が給餌に来るのを待ってるのかと思いきや、最後はようやく集団塒の方へ飛び去りました。
この間、鳴き声を発していません。
聞こえるのは他個体の鳴き声です。

ちなみに、この日の日の入り時刻は19:05。
駐車場の水銀灯が点灯しています。



2016/08/12

ヒダリマキマイマイの排便【10倍速映像】



2016年6月上旬

ヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)の排便シーンを微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。
呼吸口や排泄口の蠢きが生々しいですね。
ニンジンを食べた後の糞はオレンジ色になります。
途中からデジタル時計を写し込みました。


カタツムリの肛門は、肺孔の横にありますが、ふだんは閉じていてめだちません。口からはいった食物は、Uターンした腸をとおって消化され、襟に開いた肛門から糞になって出ます。 (『カラー自然シリーズ16:カタツムリ』p?より)



水田から飛び立ち採餌場を変えるアオサギ(野鳥)



2016年6月上旬・午後18:50頃
▼前回の記事
水田でドジョウを捕食するアオサギ(野鳥)

薄暮の水田でアオサギArdea cinerea jouyi)が獲物を探しています。
獲物を狙うときに頭部を固定したまま、前に伸ばした首を左右に振る、という謎の行動がまた見れました。
しかし捕食行動には至らず、諦めました。

突然、アオサギが水田から飛び立ちました。
それほど高度を上げずに車道を飛び越え、隣の水田に着陸しました。
この田んぼは獲物が少ないと判断し、見切りを付けたのでしょう。(隣の田んぼは青く見える?)
あるいは、ずっとカメラを向けるパパラッチの存在を嫌ったのかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施して彩度を上げています。





2016/08/11

池の水を飲むドバト(野鳥)



2016年6月中旬・午前7:34

溜池の岸でカワラバト(=ドバト;Columba livia)が水を飲みに来ていました。
コンクリートで護岸された斜面を水際まで歩いて降りると、頭を下げて嘴を水面に付けたまま水を吸ってゴクゴク飲んでいます。
不思議なことに、この飲み方が可能なのは、鳥類ではハトの仲間だけです。
どうやら隠し撮りしている私のことを警戒しているようです。
鳩は水を少し飲んだだけで慌てたように斜面を登り返してクズの茂みの陰に隠れ、飛び去ってしまいました。
実は同様の飲水シーンを同じ日にもう一回見ているのですけど、撮り損ねました。

▼関連記事
川の水を飲むキジバト(野鳥)


【追記】
国松俊英『ハトの大研究―古代から人とともに生きてきた鳥』によると、

水道の水を(蛇口から)のむキジバト。ハトはほかの鳥とちがい、くちばしを水に入れたままのむことができる。 (口絵の写真より引用)
ハトは(中略)くちばしを鼻孔(はなのあな)まで水の中に入れ、頭をあげないで水をのむことができます。 (p11より引用)




タニウツギの葉柄でアブラムシのコロニーに随伴するクロオオアリ♀



2016年6月上旬

山間部の道端でガードレールの横から生えたタニウツギの幼木で
クロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀が葉柄に群がっていました。
よく見ると、タニウツギの葉柄にびっしり付いたアブラムシ(種名不詳)のコロニーに随伴しています。
甘露を舐めて護衛する共生関係なのでしょう。


水田でドジョウを捕食するアオサギ(野鳥)



2016年6月上旬・午後18:45頃

日暮れ時の水田でアオサギArdea cinerea jouyi)が獲物を探していました。
長い足を活かして泥の中をゆっくり優雅に歩き回っています。
カエルの大合唱♪が賑やかに聞こえます。
人馴れしたアオサギのようで、横の車道を車や自転車が走っても気にしませんでした。
むしろ私のような歩行者を警戒しているようでした。

嘴を一閃したのでデジタルズームしてみましたが、獲物は咥えていません。
捕り損ねて空振りだった模様。
再び歩き回って獲物を探索します。
次に狙いを定めて素早く嘴を突き刺すと、見事に獲物を捕らえました!(@2:25)
デジタルズームすると、嘴の根元で黒く細長い魚がピチピチ暴れています。
獲物はオタマジャクシではなく、おそらくドジョウMisgurnus anguillicaudatus)だと思います。
その場で丸呑みすると、移動再開。
三度目の漁は失敗でした。

気になったのは、漁の行動に入る直前に獲物に狙いを定めるときに、頭部を固定したまま長い首をゆらゆらと左右に振る謎の動きをしました。
泥濘で足元をしっかり固定するための運動なのか?と想像したものの、真相は分かりません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施して彩度を上げています。

素早い漁の瞬間をハイスピード動画でも記録したくて粘ってみたのですが、光量不足で画質が非常に粗くなる上に、そもそも漁の成功率が低くて、上手く撮れず断念。


つづく→水田から飛び立つアオサギ


ドジョウ?を捕食!



2016/08/10

ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】経過観察#2:ナラメリンゴタマバチの羽化?



2016年6月上旬

虫瘤ナラメリンゴフシの定点観察記録#2


山間部の道端に生えたミズナラ幼木の枝先に形成されたナラメリンゴフシの様子をちょうど1週間ぶりに見に行きました。

虫こぶ(虫えい、虫瘤)は表面の桃色が褪せていました。
リンゴというよりもジャガイモっぽく見えます。
触ってみると表面の張りが失われ、ブヨブヨのしわしわでした。
奥が硬くて木質の感触がありました。
虫こぶを圧しても中から蜂が飛び出して来ることはありませんでした。
虫こぶの表面を徘徊している超微小の虫こそが、虫こぶから羽化したナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)なのでしょうか?
それとも寄生蜂なのかな?
採集するか、もしくは現場で微小蜂をマクロレンズで接写すべきだったのに、横着してしまいました。
『虫こぶハンドブック』p23によれば、「5〜6月に雌雄(ともに有翅)が羽化」するらしい。
写真を拡大して初めて気づいたのですが、虫こぶの表面に小さな穴が多数開いています。
おそらくこれがナラメリンゴタマバチの羽化孔なのかもしれません。(非力なタマバチが内部から食い破れるのだろうか?)

それとも虫こぶの上部に初めから凹んでいた開孔部から羽化するのでしょうか?

つづく→#3



高圧線の鉄塔で羽繕いするノスリ(野鳥)



2016年6月上旬・夕方18:25〜18:33

高圧線の鉄塔c#23にノスリButeo japonicus)と思われる猛禽類が止まって羽繕いしていました。
今にも飛び出しそうな雰囲気で下界の田園地帯を見下ろしているのですが、飛んでくれません。
夕刻なので、このままここを塒にするのかな?
ちなみに、この日の日の入り時刻は19:00。
この日は望遠レンズを持参しませんでした。
仕方がないので、デジタルズームを多用しています。

※ 動画の編集時に自動色調補正を施してあります。

この時点ではノスリとは同定できませんでしたが、後日に同じ鉄塔から飛び立つのを撮影して翼の下面の模様を確認しました。
鉄塔c#23をお気に入りの止まり場としているようで、通りがかる度に同一個体と思しきノスリを見つけました。
数百メートル離れた両隣の鉄塔a#21,d#24に営巣しているハシボソガラスの親鳥は、巣の近くなのになぜ天敵の猛禽類をモビング(擬攻撃)で追い払わないのか不思議です。(鉄塔b#22にはカラスの偽巣)
ちなみに、ノスリが止まっている鉄塔c#23にはカラスの巣はありませんでした。


つづく→高圧線の鉄塔から見張るノスリ(野鳥)


【追記】
おそらく、この鉄塔#23は二つのカラスの縄張りの境界に位置しているのでしょう。
ノスリは一種の空白地帯を利用してカラスと平和に棲み分けているのかもしれません。




2016/08/09

オオダイコンソウを訪花するエゾ?スジグロシロチョウの羽ばたき【ハイスピード動画】



2016年6月上旬

峠道の脇に咲いたオオダイコンソウの群落でスジグロシロチョウの一種が花蜜を吸っていました。
スジグロシロチョウPieris melete)とエゾスジグロシロチョウPieris napi)のどちらなのか、私には見分けがつきません。
花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。


▼関連記事(同一個体をHD動画で撮影)
オオダイコンソウの花蜜を吸うスジグロシロチョウの一種



ヒダリマキマイマイ歯舌の動き【改訂版】



2016年6月中旬・室温21.4℃、湿度72%

ヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)が這い回りながらプラスチックの壁面を舐めている様子を透明容器越しに接写してみました。
ガリガリ齧る音は聞こえなかったので、ヤスリ状の歯舌を強く立ててはいないようです。

容器内に毎日欠かさず霧吹きするようにしているのですが、このとき壁面に水滴は残っていませんでした。
実は、この直前まで一緒に飼っている他の2匹が交尾していました。(動画は近日公開予定)
その交尾ペアが残した粘液や精子を舐めているのだろうか?と想像しました。


▼関連記事
ヒダリマキマイマイ歯舌の動き
4年前の映像はタッパーウェア容器越しに撮ったので不鮮明でした。


2016/08/08

イタドリの葉で揺籃を作るドロハマキチョッキリ♀



2016年6月上旬

麓に近い山間部の道端に生えたイタドリの群落で、特徴的な作りかけの揺籃を見つけました。
立ち止まってよく探すと案の定、小さなドロハマキチョッキリ♀(Byctiscus (Byctiscus) puberulus)を発見。
今回も♀の近くに♂の姿はありませんでした。
複数枚の葉を材料に細長い葉巻状の揺籃を作っています。
揺籃の位置は、葉柄に噛み傷を入れた折れ目から地上までの高さを測ると113cmでした。
少し離れたイタドリの株にも、おそらく同一個体の♀が作ったと思われる揺籃の完成品が吊り下げられて風に揺れていました。
道の左右はスギと雑木林の混合林です。
夕暮れ時ということもあり、かなり薄暗くて自然光で撮影するには厳しい条件でした。
仕方なくビデオカメラ内蔵の補助照明(白色LED)を点灯しながら撮りました。
その結果、美しい緑色のメタリックな構造色がどうしても不自然な色に写ってしまいます。
眩しい照明を嫌ってか、ドロハマキチョッキリ♀は揺籃の裏側に回り込んでしまいました。
自然な行動を記録するには、警戒されないように赤外線の暗視カメラで撮るべきだったかもしれません。
巻きかけの揺籃の中に潜んでいた♀をしつこく探すと、外に出て来ました。

葉が萎れるのを待つ間に次に揺籃へ追加する葉を物色しているのか、それとも揺籃を作っている間にお腹が空いた♀が食事をするのか?とあれこれ想像しながら見ていました。
天敵対策のために、待機中は揺籃から少し離れるのかな?
もし作りかけの揺籃に産卵済みなら、托卵や寄生を恐れて♀は揺籃をガードする気がします。

揺籃を離れて葉柄から茎を伝い、隣の葉へ移動しました。
最後は葉の縁から回り込んで裏側へ隠れてしまいました。
やはり眩しい光を嫌ったのかな?
しばらくすると、隣の葉に居た♀が、茎を下ってまた揺籃へ戻って来ました。

揺籃作製中のドロハマキチョッキリ♀を観察するのはこれで2回目です。
しかし残念ながら今回も時間に余裕がなくて全貌を掴めず、断片的でよく分からない記録になってしまいました。
もしかすると飼育下での観察に挑戦した方が早道かもしれません。

暗くなる前に下山しなければいけないので、泣く泣く観察を打ち切りました。
夜になるとドロハマキチョッキリ♀は作りかけの揺籃内に隠れて休むのでしょうか?
それとも夜通し揺籃を作り続けるのかな?



キアシドクガ?(蛾)の群飛【HD動画&ハイスピード動画】



2016年6月上旬

山間部を一見モンシロチョウのような白い蛾が多数飛び回っています。
この季節の風物詩です。
こんな山林にモンシロチョウが大発生するはずがありません。
おそらくキアシドクガIvela auripes)ではないかと思っているのですが、止まっている個体を見つけられず、同定できませんでした。

キアシドクガ?が青空をバックに乱舞する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮影してみました。(@1:08〜)
特定の1頭に注目すると、蝶道のように木の上を何度も往復しています。
飛んでいる個体の性別だけでも知りたいところです。
♂が交尾相手の♀を求めて探索飛翔しているのでしょうか?
しかし、互いに出会っても求愛飛翔に発展することはなく、縄張り争いの空中戦にもなりません。
♀が産卵する食樹(ミズキやエゴノキ)を探索しているのかな?
かと言って、特にミズキの上空で群飛していた印象はありません。



2016/08/07

前進するヒダリマキマイマイ腹足の蠕動【早回し映像あり】



2016年6月上旬

ヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)の腹足が細かく波打ちながら前進する様子を透明プラスチックの容器越しに撮りました。
微速度撮影(10倍速映像@2:30〜3:22)の方が、波打つ筋肉の蠕動を見易いですね。

曲がり角の対応が見ていて面白いです。
腹足全体を密着させるとは限らず、多少のギャップは乗り越えることが出来ます。(腹足の一部を着地面から浮かせて進むことがある)



【追記】
野島智司『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』によると、
 ガラスなどの透明な板や網の上にカタツムリを載せて、移動する様子を裏側から観察すると、カタツムリの後ろから前に向かって、暗い帯のようなものが動いている様子を見ることができます。(中略)この帯状の模様は「足波(そくは)」と呼ばれています。 足波は多くの軟体動物で見ることができますが、種によって足波の伝わり方が違っています。(中略)カタツムリはこの足波の部分で筋肉を伸び縮みさせ、それを利用して前進していると考えられます。 (p60-61より引用)


ちなみに、「足波」を岩波生物学辞典・第4版で調べると、
[英pedal wave 独Fusswelle]腹足類において,匍匐時にその足の下面に相ついで見られる一種の収縮波.動物をガラス板上に這わせてガラスを透して観察できる.筋肉運動の特殊な一形態であるが,動物体推進の機構は蠕動運動のそれに近い.足の下面に,物体表面と密着して静止した部分と,主に背腹方向に走る筋繊維の収縮によりもち上げられた部分とが交互に横縞状に生じたもので,これが前方へ移行する順行型(direct type)のもの(例:カタツムリ)と後方へ移行する逆行型(retrograde type)のもの(例:アメフラシ)とがある.前進はもち上げられた部分がつぎつぎに前方に移動することによって起る.後退がみられることはまれである.足波が1列の単走性(monotaxic)のもの,2列の二走性(ditaxic)のものなどが区別される. 

ブルーバックスのシリーズで鈴森康一『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか―工学に立ちはだかる「究極の力学構造」 』にもカタツムリの移動法が詳しく解説してありました。

 カタツムリやナメクジは地面に接する腹の部分にからだの前方に伝播する進行波を発生させて移動する。(中略)カタツムリやナメクジ、ゴカイでは、「進行波の進む向き」と「移動方向」は一致している。 (p70より引用)





ホオノキの葉裏でアブラムシに随伴するクロクサアリ♀



2016年6月上旬

山間部の道端に生えたホオノキの幼木を見上げると、全ての葉裏の主脈や葉柄に沿ってクロクサアリLasius fuji)のワーカー♀がびっしりと群がっていました。
ホオノキに花外蜜腺があるという話は聞いたことがありません。
注意深く接写して見るとホオノキの葉裏で吸汁するアブラムシ(種名不詳)のコロニーに随伴しているようです。
アブラムシは薄い黄緑色でした。
クロクサアリはアブラムシが分泌(排泄)する甘露を報酬として護衛しているのでしょう。(共生関係)

後日、アリを採集した際に、クロクサアリに独特の臭気(山椒の匂い)を感じました。

※ 接写パートの一部のみ動画編集時に自動色調補正を施してあります。(@1:30〜2:05)


【追記】
小松貴『昆虫学者はやめられない: 裏山の奇人、徘徊の記』という名著を読むと、教科書的なアリとアブラムシの共関係という認識を改めさせられました。
糖分の多いアブラムシの排泄物はすぐ腐ってカビるので、垂れ流し続けているとこれが自分たちの体にどんどんまとわりつき、やがて伝染病の温床になりかねない。でも、そうなる前にアリがどこかから勝手に嗅ぎつけて来て、それを綺麗に片づけてくれる。そのため、結果としてアブラムシは病気にもならず、また天敵から守って貰えている。(p156より引用)
アリの立場からすれば守ったアブラムシからもらえる報酬の量は、アブラムシを守ってやるのにかかった労力分を十分に補って余りあるべきである。だから、アブラムシがアリに守られた結果、過剰に数を増やしすぎると、アリは保護の手が回らなくなるため、自らの手でアブラムシを殺して食べてしまうようになる。(p156〜157より引用)
そのような殺害シーン(間引き)を私も観察してみたいものです。




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