2012/07/14

メガネアサヒハエトリ♂の徘徊、身繕い(蜘蛛)



2012年6月上旬

湿地帯に流れ込む用水路の欄干に、初めて見る美しいハエトリグモが2匹居ました。
とても小さなハエトリグモですが、たぶんメガネアサヒハエトリ♂(Phintella linea)だと思います。
欄干で徘徊、跳躍する二匹を特に区別せず接写しました。

首を傾げてレンズを凝視する様子が可愛らしいですね。
歩脚の先を舐めて身繕いする際に、大顎の牙が見えます。
触肢の先だけ黒いのもお洒落。
ストロボを焚いて撮った写真では第1脚の腿節に美しいコバルトブルーの条が目立ちます。
メガネアサヒハエトリ♂第一脚の美しい金属光沢や触肢の白黒ツートンカラーは♀には見られず性的二型のようです。
ハエトリグモの♂が♀に求愛誇示する際は第一脚や触肢を振り動かすことが多いので、これで同種の♀を誘惑するのかもしれません。
いつか実際に配偶行動を観察してみたいものです。

(つづく→♂同士の闘争





【追記】

『野外観察ハンドブック:校庭のクモ』p67によると、
クモの同定は生殖器の形態で行うが、その外雌器(♀の生殖器)が眼鏡の形をしているのでメガネアサヒハエトリと名づけられた

シロトラカミキリとウワミズザクラの花



2012年6月上旬


満開のウワミズザクラの花に来ていた小型のカミキリムシ。
たぶんシロトラカミキリParaclytus excultusだと思います。
続きを撮ろうとしたら見失ってしまいました。
警戒されて擬死・落下したかな?





2012/07/13

道草を食うニホンカモシカ



2012年6月上旬

山道を下山中(標高480m地点)、前方遠くに白い獣を発見。
野生のニホンカモシカCapricornis crispus)です。
文字通り、のんびりと道草を食っているようです。
気づかれないよう立ち止まりテレコンで狙ったものの、初めは手前の木の葉が邪魔で前ピンになってしまいました。
こちらの匂いや気配を感じたのか、カモシカが振り返りました。
(カモシカは視力が悪いので私の姿は見えていないはずです。)
林道を外れ、夏草の茂った急斜面をゆっくり登り始めました。

死角になったので忍び足で急行すると、カモシカは未だ斜面の途中で食べ歩きしていました。
離れているため、どんな種類の草を食べていたのか採食メニューの真相は薮の中です。


ゆっくり登坂する後ろ姿を捉えます。
角が細く、未だ若い個体の印象。
なんとなく同じ山系で4月中旬に見た白毛のニホンカモシカと似ている気がします。
少し成長して大きくなったのかな?
ただの勘や願望で、同一個体である確証はありません。
私もカモシカを個体識別できるようになりたいものです。


背の高い草むらに見え隠れしながら登坂します。
身震いしたり耳や尻尾を振ったりと、体に付き纏う虫(吸血性の蚊?)を必死で追い払おうとしています。
最後は潅木の茂みに入りました。






2012/07/12

キビタキ♂【野鳥】




2012年6月上旬

林道脇の茂みで2羽の野鳥が、もつれ合うように争っていました。
小競り合いの直後に1羽だけ撮れたのが、このキビタキ♂です。
目の覚めるような美しい鳥ですねー。
残念ながらすぐに飛び立ってしまいました。
このとき聞こえる鳴き声はヒヨドリのような気がします。

初めの騒ぎは♂同士の縄張り争いだったのかな?
喧嘩なのに、けたたましく鳴かないのが不思議でした。
野帳には「ジジジジというような不思議な羽音、ディスプレー?」と記録してありますが、あまり覚えてません。

【追記】
『カルガモ親子はなぜ引っ越す:鳥たちの素敵な素顔』p108によると、
さえずっているキビタキは、ときどき「ジジッ」というセミのような声を出し、尾羽を開きながらおかしな飛び方をする。そのようなときには、決まって近くの枝に、ほかのキビタキの♂が侵入してきている。テリトリーの主は、侵入者に猛然と向かって行く。多くの場合は、先にいた♂が侵入者を追い払うようだ。








2012/07/11

モリアオガエル集団の抱接産卵と泡巣作り





2012年5月下旬・気温16℃

里山の小さな湿地(沼)で、岸辺に生えたマユミの枝に毎年モリアオガエルの泡巣が鈴なりに作られます。
積年の宿題だった抱接と集団産卵をようやく観察することができて感無量です。
山形県では準絶滅危惧種に指定されているらしい。

山渓ハンディ図鑑9『日本のカエル』p130によると、
(モリアオガエルの)♀は産卵しながら、卵塊を膀胱に貯めておいた水といっしょに後脚でこねながら卵を乾燥から防ぐ泡巣を作る。



ここの個体群は体色にバリエーションはあるものの、ほぼ全身が緑色で斑点模様が目立ちません。
集団の中央に見える大型の個体が♀と思われます。
一つの泡巣で産卵に参加している♀は一匹なのか複数なのか、知りたいところです。
wikipediaによれば、
繁殖期になると、まずオスが産卵場所に集まり、鳴きながらメスを待つ。メスが産卵場所にやってくるとオスが背中にしがみつき、産卵行動が始まるが、卵塊の形成が進むに連れて1匹のメスに数匹のオスが群がる場合が多い。


泡巣作りに集まったモリアオガエルは間欠的に鳴きながら、後脚を動かして泡立てます。
鳴くときは喉が膨らみます。
観察していると、集団で鳴くリズムは各個体がバラバラです。
揃えて斉唱することはないようです。
鳴き終わりと同時に泡立て運動も止まり、しばらく休みます。
ヒキガエルの蛙合戦とは異なり、♂の鳴き声にリリースコールの意味は無いようです。仲間の鳴き声に誘われて辺りから馳せ参じるのでしょう。
しかし♂は互いにライバルのはずなのに、一体なぜ鳴いてわざわざライバルを呼び寄せるのか不思議に思いました。
泡の中で激烈な精子競争が繰り広げられているはずですから、ライバルが少ないうちに黙ってこっそり♀と抱接し受精させた方が得策な気がします。
何匹か集まって協力しないと大きな泡巣が作れないのだろうか?
鳴き声に惹かれて次の♀が来てくれることを期待している、というのが最も合理的な説明でしょうか。


抱接するカップルを中心に、あぶれ♂が周りでスクラムを組み、おしくらまんじゅうをしています。
体は粘液でヌルヌルしているはずなのに互いに滑り落ちないのは指先の吸盤のおかげでしょう。
集まった♂同士の争いがほとんど見られないのが非常に印象的でした。
ライバルの♂を蹴飛ばし合うヒキガエルの蛙合戦と比べれば、平和そのものです。
それでもよく見ていると、周辺部の♂は互いに位置取りを変えています(陣取り合戦)。
体外受精に有利なように、少しでも中心の♀に近づこうとしているのでしょう。


泡巣作りと集団産卵から離脱して枝を登って行く個体が時々います。
あぶれ♂が周辺部のおしくらまんじゅうに疲れ諦めたのかな?
産卵を終えた♀が離脱したのかと初めは思いました。
ところが、鳴きながらの泡立て行動が活発になると再び戻って来て「飛び入り参加」したので、やはり未練がましいあぶれ♂なのでしょう。


時間経過と共に、泡巣の下部が褐色に変化してきました。





ストロボを焚くと夜のような雰囲気に

モリアオガエルの目の虹彩は赤褐色。


ヤブ蚊に食われながら夢中で動画を長々と撮ってはみたものの、どのように編集すべきか困りました。
結局、素材をそのまま繋いだだけで公開します。
長いので前編、後編に分けました。
さすがに全編通して見てくれる人も少ないと思いますが、環境ビデオ(BGV)として眠れない夜にお酒でも飲みながらボーッと眺めるのも悪くないと思います。

次回は三脚を立てて微速度撮影にも挑戦してみたいと思います。

モリアオガエル泡立て行動の鳴き声を声紋解析したかったのですが、バックグランドのピンクノイズ(他の生物が立てる声)が多過ぎて訳が分からなくなりそうで止めました。この沼ではトノサマガエルなど別種のカエルも盛んに鳴いている他、野鳥の鳴き声もひっきりなしに聞こえます。
静かな飼育下で録音するしか方法が無いのかなー?


(つづく→オタマジャクシの孵化



森哲『シマヘビのあの手この手の餌捕り法』によると、
昼間(スダジイの)樹冠で休んでいたモリアオガエルは、夕方になると枝伝いに跳ね降りながら人工池へ向かう。夜明けが近づくと、幹や枝を登って樹冠へ戻る。 (ポピュラーサイエンス『動物たちの気になる行動(1)食う・住む・生きる篇』p109より)




2012/07/10

オオムネアカハバチ♀の徘徊、身繕い



2012年5月下旬

里山の草むらで、見慣れないハバチを発見。
黒い翅を持ち胸部だけが赤いので、ムネアカオオアリの女王蟻なのかと一瞬思い、二度見してしまいました。
ヨモギの葉や茎をうろうろと徘徊したり触角を掃除したりています。
気温が低いせいか、飛び立ちません。

ヨモギに産卵するハバチなのだろうか?

なんとなく気になる蜂なので、撮影後に採集。







帰ってから調べてみると、胸が赤いハバチは沢山いることが判明!
私にはお手上げです。

いつもお世話になっている蜂類情報交換BBSに投稿したところ、青蜂@管理人さんから以下の回答を頂きました。

動画のハバチは、オオムネアカハバチのメスではないでしょうか。とまっているのはヨモギですが、幼虫はイネ科植物を食植物としています。

ネット検索で調べてみると、確かにオオムネアカハバチDoleus ephippiatusイネ科牧草の害虫とされているようです。

採集地は水辺の草むらで、思い出すとイネ科の草は周囲に幾らでも生えていました。



腹部腹面が黒いので、オスグロハバチ♀ではないですね…。

顔。大顎は貧弱

右翅の翅脈

左翅の翅脈

左触角

腹端側面。これが産卵管なのか?!

腹端腹面。謎の突起



2012/07/09

ホオジロ♂が虫を捕食【野鳥】



2012年5月下旬

コナラの樹上で鳴いていたホオジロ♂(Emberiza cioides)が何か虫を狩りました。
枝を跳んで移動しながらすぐに食べました。
雛に給餌するための捕食ではなかったらしい。
食後は嘴を枝に擦り付けて掃除します。

飛び去るときに鳴き声も遠ざかります。
ホオジロはあまり嘴を動かさなくても(腹話術師のように)鳴けるのかな?








2012/07/08

アオジョウカイの捕食



2012年5月下旬

満開のウワミズザクラには肉食性のアオジョウカイThemus cyanipennisも来ていました。
風で花が揺れて口元がよく見えないものの、何か獲物を捕食しているようです。
待ち伏せして訪花昆虫を狩ったのでしょう。
残念ながらすぐに擬死落下してしまいました。


動画とは別に2枚だけ写真を撮ったのですが、獲物の正体はよく分かりませんでした。
その代わりに興味深いものが写っていました。
アオジョウカイの体にとても小さな虫が取り付いているのです。
ヌカカの仲間でしょうか?
2枚の写真で移動しているので、アオジョウカイから吸血しているかどうか不明です。
あるいはアオジョウカイが食べている獲物(死骸)からちゃっかり吸汁しようと機会を狙っているのかなと想像しました。

補食中のアオジョウカイの腹下に一匹のヌカカ?

補食中のアオジョウカイの腹端と腹下面上部に2匹のヌカカ?





ヒゲナガオトシブミ♂の飛び立ちハイスピード動画



2012年6月上旬

山腹を葛折れで登る山道で見つけた一匹のヒゲナガオトシブミParatrachelophorus longicornis
首の長いのは♂です。
狭い範囲を飛び回っていたので、飛び立つ瞬間をハイスピード動画(220 fps)に撮ってみました。
追いかけて繰り返し撮影しても短距離しか飛びません。

足元を確かめてから中脚および前脚を持ち上げ、万歳の姿勢で飛び立ちます。
翅を広げかけたのになぜか躊躇して離陸を中断することもありました。

今まで様々な甲虫の飛び立ちを撮ってきましたが、シャキーン!と翅を広げた際に後翅の先までピンと伸びているのは珍しいと思いました。
多くの甲虫では後翅を広げても先端は折り畳まれたままの状態で羽ばたき始め、その勢いで先端が伸びるのです。
ヒゲナガオトシブミは後翅の折り畳み方に何か独特の工夫を凝らしているのだろうか?








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