2015年6月中旬・夜20:30頃
道端の草むらで2匹の蛍が発光しています。
暗闇で光る蛍にピントを合わせるのは、私のビデオカメラでは無理です。
光りながら互いに飛んで接近したようです。
赤外線の暗視映像に撮ってみると、ようやく状況が分かるようになりました。
初めは少し離れ、ヨモギの葉に止まっています。
左がゲンジボタル(Luciola cruciata)♀で右が♂と後に判明します。
なぜか♂のほうが大型です。(普通は♀>♂)
♀に尻を向けていた♂が急に飛び立ち、♀の下に移動しました。
風に流されるほどの強風は吹いていなかったのに、どうしてそちらに飛んだのか謎です。
光りながら♀に接近する♂に♀も気づいて互いに歩き回ります。
途中で接触したのにすれ違いました。
やがて2匹とも初めと同じ場所に戻ってしまいました。
やがて再び右の♂が飛び立ち、光りながら♀の下から接近すると、背後からマウントしました。
ところが交尾には至らなかったらしく、すぐに別れてしまいました。
体長が不釣り合い(♂>♀)だったせいでしょうか?
♀が逃げ出しました。
白色LEDを点灯すると、胸背の斑紋からゲンジボタルと判明しました。
驚いたことに、眩しい照明下でも発光しながら再びマウントしました。
慌てて暗視モードに戻すと交尾器の結合が外れ、互いに光りながら歩き去りました。
♂の交尾器が伸びて見えたのが生々しかったです。
暗視モードに戻すと葉表に戻った♂が再び♀の背後から近づくも、マウントせずに歩き去りました。
最後は隣りの葉に並んで止まりました。
その間、奥の草むらでも別個体が光っていました。
ホタルの観察は今季から始めたばかりなので、何をしているのかよく分かりません。
家に帰ってホタルの本で復習すると、今回私が観察したのは交尾未遂だったようです。
撮影直後にペアを採集してホタルの種類と性別をしっかり見分けなかったのは痛恨のミスでした。
てっきり♀だと思っていた小型の個体も映像をよく見直すと腹部2節が光っていたので、小型の♂のような気がしてきました。
だとすれば同性愛のような行動になりますが、もしかすると♂同士の争いだったのかもしれません。
小型の♂がスニーカー戦略で♀のふりをしていて、その結果として大型の♂が誤認交尾したとしたら、非常に面白いのですが…。
『カラー自然シリーズ46:ホタルのくらし』p10によると、
相手が♀だと分かってから、強い光を何度も激しく発光するのは、明らかに自分の存在を相手に知らせようとする信号です。言い換えれば、「光による言葉」です。
ぴかぴか…と5回ぐらい連続して、何度か光る様子は、写真を撮るときのフラッシュのようなので、「フラッシュ発光」と呼ばれます。
ホタルの成虫は、♀1匹に対して、♂が3匹ぐらいの割合です。ですから、♂は、少ない♀を一生懸命探さなければなりません。
やっと♀に巡り会えた♂は、フラッシュ発光でプロポーズしますが、そのとき♀からも、強い光の答えがないと近づけないのです。1回、ぴかーっと♀が光ると、♂は、すぐに歩いて行って交尾します。すると、両方とも光は弱くなり、かすかに光るだけになります。交尾は、次の日の朝まで続きます。
『科学のアルバム:ホタル 光のひみつ』p9によると、ゲンジボタルは
交尾の間も、弱くずっと光り続けています。
『日本の昆虫12:ゲンジボタル』によれば、
♂の放つ光に別の♂がアプローチすることもあり、非常にまぎらわしい。♂が♂に接近したときには、しばらく相互に発光してからどちらかの個体が飛び去る。(p48)
♂は♀にマウントし、交尾する。その後、♂は♀の背から降りて反対向きの体勢となる。この交尾体勢はゲンジボタルが含まれるLuciola属の大きな特徴といえる。(中略)交尾時間は数時間にわたることがある、かなり長い。(p53-54)
2015年7月上旬
田園地帯を走る車道の電線にハシボソガラス3(Corvus corone)が3羽止まっていました。
三羽烏は平行に走る隣の電線にフワリと飛び移る遊びを繰り返しています。
なんとなく、遊んでいる2羽は若い鳥(幼鳥?)のような気がするのですけど、どうでしょう?(落ち着いている一羽は親鳥?)
最後は順番に飛び去りました。
※ 逆光のため、動画編集時に自動色調補正を施してあります。
2015年7月上旬
▼前回の記事
・柳の葉を舐めるクロマルハナバチ♀の謎 ・柳の葉を舐めるモンスズメバチ♀
湿地帯に生えた柳(種名不詳)の灌木林で数匹のスズバチ(Oreumenes decoratus)が飛び回っています。
♀だとしたら獲物(芋虫)を探索する狩りモードなのかと思いきや、たまに葉に止まるとアブラムシの甘露(または花外蜜腺?)を舐めて栄養補給しています。
スズバチ同士がニアミスすると飛んで追いかけっこするのですが、私には性別が見分けられないので、配偶行動なのか不明です。
縄張り争いにしては互いにゆっくり飛んでます(ほぼホバリング状態)し、敵対的な闘争行動は見ていません。
先行する個体を追尾しているのかな?
※ 逆光なので動画編集時に自動色調補正を施してあります。
2015年6月下旬・夜22:24
夜の山中から甲高い謎の鳴き声がずっと聞こえています。
姿は撮れなくても、気になる鳴き声を録音してみました。
音量をかなり上げて再生すれば聞こえるはずです。(ヘッドフォン推奨)
森を写しても真っ暗なので、半月(月齢12.5)にカメラを向けました。
単調で甲高い二音階を繰り返しているのですけど、悲しいかな絶対音感の無い私には書き表せません。
2羽が鳴き交わしているのか?と思ったり…。
帰ってから調べてみると、トラツグミ♂(Zoothera dauma aurea)の鳴き声(囀り)らしい。
夜中にこんなか細い声で鳴くので、昔から「鵺」と呼ばれて気味悪がられていたのも納得です。
▼関連記事(2012年10月中旬撮影)
樹上のトラツグミ?【野鳥】
トラツグミのさえずりを声紋解析してみる
いつものようにオリジナルのMOV動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてからスペクトログラムを描いてみました。
音量が小さくてノイズばかりが目立ちます。
16kHz付近に持続するシグナルと8kHz付近ですっぽり抜け落ちているのは、このビデオカメラ特有のノイズです。
24kHz付近に持続するシグナルも関係無さそうです。
何箇所か縦に走る線がトラツグミの鳴き声じゃないかと思うのですが、あまり自信がありません。
こういうとき、パラボラの集音器を使えば少しは改善するのでしょうか?
ノシメマダラメイガの飼育記録#20
2015年7月上旬・室温29℃、51%(蛹化直後)
完成した繭の中でノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)前蛹が脱皮(蛹化)に備えて眠の状態です。
終齢幼虫のときよりも体長が少し縮んだようです。
蛹化の前兆が分からないので、愚直に動画の長撮り(10倍速の微速度撮影)で監視・記録しました。
前蛹はときどき体を弓なりにして上下させて蠕動しています。
その蠕動が持続的になったと思ったら、いよいよ蛹化が始まりました。
幼虫時代の頭楯が後ろへ(右へ)移動していきます。
プラスチック容器と繭越しの観察なのであまりよく見えません。
脱皮したばかりの蛹の色は真っ白でした。
脱皮を完了しても蛹の蠕動はしばらく続き、抜け殻は腹端に押し込まれました。
結構激しく寝返りを打っています。
これ以降ははもう繭内で方向転換できません。
予想通り、頭部は左向きで確定しました。
営繭を完了し前蛹になってからほぼ24時間後に蛹化しました。
一旦蛹化が始まれば、意外に早く脱皮が進行することが分かりました。
写真のインターバル撮影ではなく、動画による微速度撮影をして正解でした。
※ 透明プラスチックの容器越しに撮ったやや不鮮明な映像に自動色調補正を施してあります。
【おまけの動画】
時間を少し遡って、同一個体の前蛹が蛹化(脱皮)に備えている眠の状態を100倍速の早回し映像でご覧下さい。(ブログ限定公開)
ほとんどの時間は静止していますが、ときどき突発的に蠕動しています。
動画を見直しても、脱皮(蛹化)の前兆はよく分かりませんでした。
繭から前蛹を取り出して直接観察すれば何か予兆が分かったかもしれません。
つづく→#21:成虫の死骸を解体して巣材とするノシメマダラメイガ(蛾)終齢幼虫
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前蛹 |
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蛹化直後 |
2015年7月上旬
堤防に咲いたクサフジの群落で咲きかけの蕾に止まっているナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)を見つけました。
小さなアブラムシを捕食しているようです。
クサフジの花に近い部分の茎がアブラムシのワックスで白い粉をふいたように汚れています。
アブラムシに随伴するボディーガードのアリが居ないので、ナナホシテントウは食べ放題です。
アブラムシのコロニーは天敵に次々と捕食されても逃げ出すこともなく、吸汁しながらときどき尻を振っています。
ナナホシテントウが横を向いて食べ滓を捨てるシーンが撮れました。
ナナホシテントウは食後に身繕い。
捕食する口元をマクロレンズでしっかり接写しようとしたら逃げられてしまいました。
手元の図鑑『校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』でマメ科植物をホストとするアブラムシを調べてみると、マメアブラムシ、ソラマメヒゲナガアブラムシ、エンドヒゲナガアブラムシ、コンドウヒゲナガアブラムシが載っていました(p194)。
ノシメマダラメイガの飼育記録#19
2015年6月下旬〜7月上旬
ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)終齢幼虫の繭作りがなかなか終わりません。
私のカメラではジオラマモードで10倍速の微速度撮影動画に記録(3fps)することが出来ます。
3日間にわたり断続的に撮り続けた素材から制作した100倍速の早回し映像をご覧下さい。
写真でインターバル撮影するよりも動きが滑らかな早回し映像になります。
次第に白い繭が厚くなり、中の様子が見えにくくなりました。
完成した繭は他種の繭と比べてとても薄く、どうしてこんなに長時間かかるのか不思議なくらいです。
最終的に幼虫は、頭部を左に向けて静止しました。
羽化に備えた脱出口の隙間を繭に残しています。
※ 透明プラスチックの容器越しに撮ったやや不鮮明な早回し映像に自動色調補正を施してあります。
怒涛の繭作り動画の連作はこれで終わりです。
つづく→#20:ノシメマダラメイガ(蛾)の蛹化【微速度撮影】
2015年7月上旬
湿地帯に生えた柳(種名不詳)の灌木でモンスズメバチ(Vespa crabro flavofasciata)のワーカー♀が飛び回り、柳の葉を舐めていました。
葉に付着したアブラムシの甘露を摂取しているのではないかと予想しているのですが、肝心のアブラムシのコロニーを見つけていません。
柳には花外蜜腺があるらしいので、益々弱気になってきます。
花外蜜腺の場所は具体的にどこにあるのでしょう?
濡れているようなテカテカ光って見える葉を蜂は選んで舐めています。
甘い樹液が葉に滴り落ちた可能性も考えてみましたが、それなら独特の発酵臭がするはずですし、スズメバチは幹から樹液が滲むスポットを直接目指すはずです。
※ 柳の木陰でしかも曇り空のやや薄暗い夕方に撮った映像素材に対して動画編集時に自動色調補正を施してあります。
柳の葉を舐めるという謎の行動はクロマルハナバチ♀だけではありませんでした。
▼関連記事
柳の葉を舐めるクロマルハナバチ♀の謎
ノシメマダラメイガの飼育記録#18
▼前回の記事
ゆっくり糸を紡いで繭を作るノシメマダラメイガ(蛾)終齢幼虫
2015年6月下旬
繭を紡ぐノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)終齢幼虫の進捗状況があまりにも遅いので、30秒間隔でインターバル撮影してみました。
写真のEXIFを元に時刻も焼き込める利点があります。
2日間に渡って撮り続けた計2,574枚の写真を元に制作した早回し映像をご覧下さい。
幼虫は長い休息を挟んで断続的に営繭しています。
繭の中でときどき方向転換しています。
※ 透明プラスチックの容器越しに撮ったやや不鮮明な早回し映像に自動色調補正を施してあります。
つづく→#19:営繭の100倍速映像
2015年7月上旬
湿地帯に生えた柳(種名不詳)の灌木林でクロマルハナバチ(Bombus ignitus)のワーカー♀が何匹も飛び回り、柳の葉に止まっていました。
採餌する花も咲いていないのに何の用だろう?と不思議に思って見ていると、どうやら葉に付いたアブラムシの甘露を舐めているようです。
実は他のハチ類も同様の行動をしていました(モンスズメバチ)。
狩蜂なら分かるのですが、花との結びつきが強いハナバチがアブラムシの甘露を採食するとは驚愕の発見でした!
あまりにも意外だったので、実は初めはクロマルハナバチに擬態したアブやハエ類(双翅目)なのかと思ったぐらいです。
葉に付いた朝露や雨水を飲む行動にしてはしつこいし、複数個体があちこちで同時にやっています。
この時期は蜜源植物に乏しい(花が咲いていない)のですかね?
ホバリング(停空飛翔)で甘露の付いた葉を探すと、止まった葉で口吻を伸ばして濡れた葉表を舐めています。
後脚の花粉籠は空荷でした。
甘露の付いた葉を蜂はどうやって探し当てるのでしょうか?
花のように独特の芳香があるとは考えにくいです。
アブラムシの甘露は濡れているのではなく乾いてテカテカに光って見えるので、それが手がかりになっていそうです。
「マルハナバチ&甘露」をキーワードにインターネットで検索すると、北海道自然史研究会による報告「マルハナバチの行動観察雑記」がヒットしました。(PDFファイル)
「アブラムシの甘露を吸汁する」
もちろん、これはマルハナバチと花で見られるような相利共生関係ではありません。
本来マルハナバチと風媒花のハンノキは係わり合いがないはずですが、アブラムシがいることで間接的な関係が生まれたという見方もできます。
このような観察例はマルハナバチの採餌行動の柔軟性を示すものといえます。
蜂が飛び去った後で、舐めていた葉を調べて写真に撮るべきでした。
アブラムシのコロニーも探していません。
手元にある図鑑『校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』で柳をホストとするアブラムシを調べると、ヤナギコブオオアブラムシ(p179)、ヤナギクロケアブラムシ、ヤナギアブラムシ(p190)が掲載されていました。
少し前の時期には柳の枝にアワフキムシ類の幼虫の泡巣を多数見つけました。
この日は泡巣を見かけなかったのですが、成虫に羽化したのでしょう。
アブラムシの甘露だけではなくアワフキムシの泡巣で濡れた葉を舐めていた可能性もありますかね?
記事を公開する土壇場になって思い出したのですが、柳には花外蜜腺があるらしいです。
蜂が舐めていたのはアブラムシの甘露ではなく花外蜜腺だったのかもしれません。
肝心の柳の樹種も私には分かりません。
どなたか映像で分かる人は教えて下さい。
この辺りの柳は複数種が混合していそうですが、私のような素人が見分けるのは難しそうです。
参考サイト:ヤナギ属Salixの種検索
夏の湿地帯(アシ原、柳林)は単調な緑の砂漠かと思いきや、意外な発見があって面白いです。
【追記】
『マルハナバチの謎〈上巻〉 (ハリフマンの昆虫ウオッチング・社会性昆虫記)』p104によると、
ミツバチと同じようにマルハナバチもまた、アブラムシがだす甘い汁を集めます。マルハナバチはアブラムシが葉を巻いてつくった筒の中に口吻を差し込み熱心に甘い汁を吸います。そして緑の葉からそれをなめつくします。
下線部についてはアブラムシ類に疎い私にはイメージが湧きませんし、今回撮れた映像とも異なります。
この本は旧ソ連の昆虫学者が1972年に書いた本を翻訳したものなので、日本の昆虫相とは若干異なる可能性もあります。
【追記2】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
ミツバチやマルハナバチでは、炭水化物源として、花蜜だけでなく、アブラムシやキジラミなどの排泄物である甘露も利用している。 (p147より引用)
ノシメマダラメイガの飼育記録#17
▼前回の記事
自ら排泄した糞も繭に織り込むノシメマダラメイガ(蛾)幼虫
2015年6月下旬〜7月上旬
ゴミ集めを止めたノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)終齢幼虫は営繭に専念するようになりました。
私がこれまで飼育観察してきた繭を紡ぐ他種の幼虫は頭部を8の字に動かしていました。
それに対してノシメマダラメイガ幼虫は絹糸腺があまり発達していないのか、分かりやすい吐糸行動ではありません。(動きが小さい)
4日間に渡り主に微速度撮影で記録したのですけど(次回に公開)、ときどき通常のリアルタイム動画でも撮影しました。
いかにのんびりした繭作りか、この映像で分かると思います。
たまに繭の中で方向転換して、糸を紡ぐ場所を変えます。
※ 透明プラスチックの容器越しに撮ったやや不鮮明な映像に自動色調補正を施してあります。
つづく→#18:営繭インターバル撮影
2015年7月下旬
田園地帯の電柱にノスリ(Buteo japonicus)が止まっていました。
私が近づいたりカメラを向けると嫌がって飛び立ち、少し離れた電柱に止まり直します。
ワシ・タカ類を同定するには広げた翼の下面を撮らないといけないので、飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ります。
離着陸と飛翔の一連のシーンをスローモーションで記録することができました。
流し撮りが上手く行くと気分が良いですね。
夏の積乱雲を背景に羽ばたいて飛ぶ勇姿が美しい。
目的地の電柱の手前で減速のため急上昇してから滑らかな動きで着陸。
新しい止まり木で辺りの水田をキョロキョロ見下ろしています。
嘴を開けたままなのは暑さに喘いでいるのでしょうか?