2024/01/06

暗い夕方に活動を始めたニホンアナグマ【トレイルカメラ】

 

2023年5月下旬 

シーン1:5/23・午後18:02・(日の入り時刻は午後18:52)。 
旧機種の気まぐれなトレイルカメラに珍しく自然なフルカラーで録画されていました。 
日没前の夕方なのに、葉が鬱蒼と茂った林内はかなり薄暗いです。 
曇りの日なのかもしれません。

左から来たニホンアナグマMeles anakuma)が奥の巣穴Rに入りました。 
毛皮の色が自然光下で撮れた動画は貴重です。 


シーン2:5/23・午後18:28・(@0:11〜) 
相当暗くなったのに、依然として暗視モードに切り替わりません。 
出巣Rした個体が身震いしてから広場に座って体をボリボリ掻きました。 


シーン3:5/23・午後18:31・気温12℃・(@0:41〜) 
続きは別アングルのトレイルカメラ(新機種)で撮れていました。 
営巣地(セット)から獣道を辿って右に歩き去りました。 
採餌に出かけたのでしょうか。 

この個体の性別を見分けられませんでした。 




河原で脱糞後に飛び立つセグロセキレイ(野鳥)

 

2023年4月下旬・午後14:00頃・晴れ 

河原で石の上に乗ったセグロセキレイMotacilla grandis)が羽繕いしていました。 
私がカメラを向けたら羽繕いを止めてしまい、身震いしたり、辺りをキョロキョロ見回したりしています。 
私を警戒したのか、一声鳴きながら下流へ飛び去りました。 
セグロセキレイの背側がしっかり見えず、性別は不明です。 
現場は橋の下で、石だらけの中洲でした。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、飛び立つ直前に脱糞していました。 
尾羽根を持ち上げ、足を少しかがみながら、白い糞を少量排泄しています。 

※ スロー映像は1.5倍に拡大しました。

2024/01/05

リフォームした子供部屋に落ち葉を運び入れるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2023年5月下旬・午後18:30頃・日の入り時刻は午後18:50。 

日没前の夕方に奥の巣口Rからニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が顔を出して風の匂いを嗅いでいます。 
巣口Rの右に出て座り込み、体をボリボリ掻きました。 
立ち上がって右に向かいます。 

しばらくすると、林床の落ち葉を前脚で手前に掻き集めながら後ろ向きで戻って来ました。 
そのまま後退して巣材を巣穴Rに搬入しました。 

すぐにまた♀が出巣Rすると、2回目の巣材集めに出かけました。 
前足で掻き集めた落ち葉を抱えながら、後ろ向きで帰巣Rします。 

産室だった巣穴Rがヘルパー♂によって拡張工事が行われ、それが終わると次は新しいインテリア(寝床)を子供部屋に運び込んでいるようです。 
アナグマ営巣地(セット)周辺の林床がきれいなのは、アナグマが絶えず落ち葉を掃き掃除しているからです。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
別アングルのトレイルカメラ(新機種)が不調で、撮れていないのが残念です。


春にタヌキの溜め糞場に群がるクロクサアリ♀

 

2023年4月下旬・午後13:15頃・晴れ 

笹薮が広がる河畔林でオニグルミ大木の下にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場rpがあります。 
定点観察に来てみると、新鮮な糞がこんもりと追加されていました。 
木漏れ日が落ちる溜め糞上に、頭でっかちで黒光りするアリが多数うろついていました。 
クロクサアリLasius fuji)のワーカー♀ですかね? 
アリをつまんでみて山椒臭を発するかどうか確かめるべきだったのですが、状況が状況だけに素手で触りたくありませんでした(※追記参照)。 
どうやら林床で枯れた笹の落ち葉や茎などを通ってアリの行列ができているようです。 
溜め糞に未消化の種子が含まれているのが見えますが、それを採食しに来たという訳でもなさそうです。(種子食性のアリではない) 
クロクサアリ♀たちは食糞性で集まっているというよりも、ただの通り道なのかもしれません。 
今思えば、オニグルミ大木の根際に営巣しているのかもしれませんが、行列の行き先を突き止めていません。 
アリハンドブック』によると、
(クロクサアリの)巣は樹木の根部にあり、行列を作って樹木に生息するアブラムシに集まり、甘露を定常的な餌にしている。 (p61より引用)

気温の低い春にいわゆる糞虫はまだ活動していないようで、アリの他にはハエが1、2匹来ていただけでした。 
クロバエ科と思われる大型のハエが1匹と、あとは小型のハエがちらっと写っています。 
溜め糞場に集まる昆虫相を通年観察してきて、アリが主役というのは珍しいので、動画で記録してみました。

この溜め糞場rpには早春までトレイルカメラを設置していたのですが、アナグマの観察に集中するために泣く泣く撤去しました。


※【追記】 
溜め糞場の近くで未知の昆虫を見つけても、どうしても採集するのをためらってしまいます。 
吸虫管を自作して虫を採集していた時期もあったのですけど、不潔な獣糞の臭気+αを虫と一緒に吸い込むのは嫌過ぎます。 
最近では口で直接吸わなくても、電動で吸い込んでくれるタイプの吸虫管手動の吸引器具(シュポシュポ)も販売されているようなので、そうした文明の利器を使えば良いのでしょう。 
あとは、溜め糞に集まるハエを採集したくても、捕虫網を下手に振り回すと網が糞で汚れるのが嫌で躊躇してしまいます。 
使い捨てできる安価な網があるとか、何か良い採集テクニックがあるのでしたら、教えて欲しいです。 
捕虫網ではなくトラップ式でハエ類を捕獲するのかな?

2024/01/04

ニホンアナグマの営巣地で夜な夜な探餌徘徊する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・(@0:00〜) 
 二次林でニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の巣穴を自動センサーカメラで見張っていると、夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が頻繁に出没します。 
林床をうろちょろして餌を探し回っているようです。 
ときどきピョンと跳んだりします。 


シーン2:5/16・(@0:23〜) 
アナグマが掘った2つの巣穴LRに野ネズミがときどき出入りしているようですが、一緒に同居しているのか、それともただの探索行動(穴があったら入りたい)なのか、分かりません。 


シーン3:5/17・(@2:22〜) 
アクセストレンチを辿って、まっしぐらに入巣Lしていました。 
やはり自分の巣穴なのかなぁ?


シーン4:5/17・(@2:41〜) 
同時に2匹の野ネズミが撮れていました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしないと気づかないのですが、初めに画面の右端から1匹(赤丸に注目)が右へ走り去りました。 
続けて左からもう1匹が登場し、右へ追いかけて行きます。 
野ネズミにも縄張り争いがあるのでしょうか? 
暗闇で野ネズミがどのぐらい見えているのか分かりませんが、物音を頼りに追跡しているのかもしれません。 

私には野ネズミの種類も見分けられないのに個体識別するのは無理ですけど、これで複数個体の野ネズミがアナグマの営巣地(セット)に生息していることが分かりました。 


シーン5:5/18・(@3:41〜) 
奥に見える林内に入ってうろつくことがあります。 

画面の左手前からハリギリの細い倒木が画面を遮っているのですが、その陰に野ネズミが隠れて何かしていることがあります。 
私の気のせいかもしれませんが、監視カメラの存在に気づいた野ネズミがその死角に隠れながら左右に移動しているようです。 


シーン6:5/19・(@5:30〜) 


シーン7:5/20・(@5:51〜) 
雨が降る夜でも野ネズミは平気で活動しています。 
一方、明るい日中には天敵(捕食者)を恐れて外では全く活動しません。 


カメラの電池が消耗しており、細切れの映像しか撮れていません。 
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


送電塔天辺の巣で4羽の雛を育てるハシブトガラスの親鳥【10倍速映像】給餌行動など

 



2023年5月中旬・午後14:15〜17:00・晴れ 

三脚を立ててカメラを固定し、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の巣を微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 

送電塔の天辺にある巣の中には4羽の雛が順調に育っています。 
風が吹くと雛の羽毛がなびいて逆立ちます。 
好奇心旺盛な雛鳥は暇潰しで巣材の小枝を嘴でつついています。 
鉄骨のボルトを締めるナットが気になり、嘴で何度も悪戯している個体がいました。 
ボルトが外れると大惨事なので、外れないように電力会社は対策すべきでしょう。 

親鳥が帰巣したのが計5回。 
そのうち♀♂つがいがほぼ同時に帰巣したのが1回でした。 
横から飛来して直接入巣するのではなく、鉄塔の下段に一旦止まってから、鉄骨を梯子のようにピョンピョン登って入巣することが多いようです。 

親鳥が帰巣すると、雛たちは一斉に嘴を大きく開けて空腹をアピールします。(餌乞い) 
嘴を開いたときに口内が赤いのがカラスの幼鳥の特徴です。 
成長すると口の中が黒くなります。 
親鳥は喉袋に詰め込んできた餌を口移しで雛に与えます。 
複数の雛に口移しで次々と給餌しますが、 最も空腹そうな(強くアピールする)雛鳥から優先的に給餌しているようです。 
親鳥による給餌シーンは、等倍速でリプレイしました。 

食後に雛は排泄します。 
巣の縁から外に上手く排泄できれば良いのですけど、巣内に排泄してしまった場合は、親鳥が摘み上げて外に捨てに行きます。(排糞行動) 
雛の糞はゼラチン質の袋に包まれていて、汚さずとも簡単に持ち運びができるようになっています。 
給餌後の親鳥は雛が便意を催すまで、しばらく巣内で見張っています。 
雛の肛門(総排泄孔)を覗き込んで、白い糞が出て来るやいなや咥えて飛び去りました。 
排糞行動は4回撮れてました。 

巣から飛び去った親鳥は次の餌を探しに出かけますが、ときどき巣の横の高圧線に止まって、周囲を警戒したり鳴いたりすることがあります。 

 次の食事まで待っている間、雛は各々が羽繕いしています。 
巣立ちに備えて羽ばたきの練習をする個体がいたものの、すぐに止めてしまいました。 
後半(夕方)になると、巣内の雛は頭をこっくりこっくり下げて居眠りするようになりました。

※ 水を入れたペットボトルを重りとして三脚に吊るせば、風が吹いても振動が抑えられます。 
私の三脚は安物なので、剛性が足りないのです。(軽いのが取り柄です) 

2024/01/03

巣穴を掘り広げて子供部屋を増築するニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・午後21:01〜21:05・(@0:00〜) 
奥の巣穴Rでヘルパー♂と思われるニホンアナグマMeles anakuma)が再び穴掘りを始めました。 
後退しながら土を掘り出すと、巣口Rからアクセストレンチが形成されます。 

これから4頭の幼獣が大きく育ちますから、子供部屋を増築しているのでしょうか? 
それとも自分の部屋を育児部屋として♀に乗っ取られたので、仕方なく自分の部屋を新たに掘っているのかもしれません。


トレイルカメラの電池が消耗しているために、細切れの録画になっています。 
別アングルのトレイルカメラ(新機種)で撮れていなかったのが残念です。


シーン2:5/20・午前4:44〜4:46・(@0:50〜)日の出時刻は04:22。 
5日後もヘルパー♂が早朝から穴掘りを始めました。 
奥の巣口Rに顔を突っ込むと、前脚で土を後ろに掻き出しています。

アナグマの♀は授乳などの子育てに忙しいので、穴掘りの重労働はヘルパー(1年仔の息子♂)に任せているようです。 
つまり分業が存在するようです。
それにしても、なぜ一夫一妻(交尾した♂と同居)ではなくヘルパー制なのか、不思議です。
アナグマの社会システムが更に進化すると、ハダカデバネズミのように真社会性やカースト制度が進化してくるのでしょうか?(この辺は勉強不足なので、曖昧かつ適当な推測です。)

アクセストレンチという用語について解説しておきます。
巣穴の掘削方法は、穴の中から前足で土を押し出し、押し出したあとにはアクセストレンチと呼ばれる溝ができる。 (wikipedia:ニホンアナグマより引用)
しかし、この記述は私の観察結果と明らかに異なります。 
私の見ているアナグマ(ヘルパー♂)は、穴の中から頭を先頭にして出巣しながら土を前足で押し出したりしません。 
後退しながら前足で土を後ろに掻き出すというのがポイントです。 
一方、「飯能の自然メモ」というブログサイトで穴熊ノ溝という記事を読むと、
フィールドで地中にできた巣穴を観察した際に、アナグマが掘ったものかどうかを判断する指標のひとつに、「アクセストレンチ」と呼ばれる溝がある。これは、アナグマが掘った土を外に出すときに残る跡で、どのようにつくかは諸説あるが、動物園で観察したアナグマの場合、掘った土を前肢で抱きかかえるようにし、後退りしながら外に引きずり出した際にできた。
こちらの記述は私にもしっくりきます。 


アナグマは林内の営巣地でこれほど大規模な土木工事を何年も継続することから、様々な種類の生き物に影響を与えることになります。
(アナグマの掘った巣穴を利用する生き物は多い。)
アナグマが巣材集めのために落ち葉掻きをした林床は乾燥が進むことになるでしょう。
つまり、アナグマは日本の山林で独特な生態系エンジニアとしての役割りを果たしていると言えそうです。 
後々、これに関連した動画を公開予定です。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



シャクの花蜜を吸うセスジハリバエ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月中旬・午後15:45頃・くもり 

ニセアカシアを主体とする河畔林の林床に咲いたシャクの群落でセスジハリバエTachina nupta)が訪花していました。 
風で激しく揺れるシャクの花序にしがみついたまま、口吻を伸縮させて花粉や花蜜を舐めています。 
この白い花を、あやうくドクゼリと間違いそうになったのですけど、同じセリ科でもこの植物はシャクのようです。 

樹々が展葉した林床は薄暗い上に、激しい風揺れに悩まされました。 
虫撮りには最悪の条件です。
ハエ類は敏感なので、私が手でシャクの茎をつまんで揺れないように押さえようとすると逃げてしまいます。 
「シャクに触わるなぁ…。」 

セスジハリバエがシャクの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:51〜) 
スーパースローで見ると、ひどい風揺れも気にならなくなります。 
ところがハイスピードモードに切り替えたら風が収まり、ハエがなかなか飛んでくれなくなりました。 (マーフィーの法則) 
それでも愚直に撮り続けたら、身繕いのシーンが撮れました。 
左右の前脚を互いに擦り合わせています。 
ようやく花序の上で方向転換してから、隣の花序に飛び移りました。
足を伸ばせばなんとか渡り歩ける距離なのに、わざわざ飛んで移動しました。
足場が風で揺れるので、バランスを取るために羽ばたいているのでしょう。

カワラヒワCarduelis sinica)の鳴く声が聞こえますね。

2024/01/02

早朝に営巣地の林内で排便するニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ】

 



2023年5月中旬 

シーン1・5/20・午前5:44・気温14℃(@0:00〜)日の出時刻は午前04:22。 
新機種のトレイルカメラのおかげで、自然光下でニホンアナグマMeles anakuma) の体色が撮れていました。 
これまでモノクロの暗視映像ばかり見てきたので、なかなか新鮮です。 
右手前に巣穴Rが、左奥に巣穴Lがあるのですが、手前に生えた灌木が邪魔で巣穴Lは隠れてよく見えません。 
マルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)などの若葉の新緑が鮮やかです。 

広場の奥に行ったアナグマが林床にしゃがんで排便していました。 
現場で私が探しても、アナグマの溜め糞場がどうしても見つからないのが不思議です。 
糞虫の活動が活発なのかな?
タヌキと違ってアナグマはしっかり形に残る固形糞ではなく泥状の下痢便を排泄するからでしょうか。

地面の匂いを嗅いだり体を掻いたりしながら、営巣地(セット)にゆっくり歩いて戻ります。 
巣口Rに入りかけたものの、何を躊躇しているのか、念入りに匂いを嗅ぎ回るだけです。 
まさか監視カメラを警戒しているのでしょうか? 
やがて、トレイルカメラの死角になるよう茂みの背後に隠れてしまいました。 


シーン2・5/20・午前5:45・(@1:41〜) 
つづきは別アングルの旧機種で撮れた映像に切り替えます。 
奥の巣口Rで辺りをキョロキョロ見回してから、座って体をボリボリ掻き始めました。 
少し右に移動してから、画面の右端で毛繕いを続けています。 
この映像を見る限り、この個体は首筋に白斑が無いのでヘルパー♂のようです。 


※ 後半は編集時に自動色調補正を施しています。 


田んぼで代掻きするトラクターを利用して虫を捕食するムクドリとハクセキレイの群れ(野鳥:オートライシズム)

 

2023年5月中旬・午後16:45頃・晴れ 

雪国の田園地帯に水入れが始まり、田植えに備えてトラクターが代掻きしていました。 
作業するトラクターの近くに珍しく野鳥が集まっています。 
ムクドリSturnus cineraceus)の群れの他にはハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)1羽の姿を認めました。 
稲刈り後の刈田は水を抜かれて乾田でした。 
急に水没した上に泥土を撹拌されて溺れそうになった虫を鳥が捕食しに来たのです。 

トラクターが轟音を上げて通り過ぎた直後にムクドリやハクセキレイが飛来して、撹拌したばかりの泥濘に虫がいないか探して啄んでいます。 
獲物はケラやミミズなどと思われますが、映像では遠くてしっかり確かめられませんでした。 
泥の上に浮かぶ藁などに乗れば、ムクドリやハクセキレイはほとんど泥に沈まないで立つことができます。 
トラクターが近づくと、その前方に居た個体は横の畦道に飛んで一時避難してやり過ごします。 
 動画ではスズメの鳴き声も近くから聞こえますけど、スズメは水入れ直後の田んぼに来ませんでした。

代掻き作業中のオートライシズム(片利共生の採餌行動)を実際に観察できたのは今回が初めで、いたく感激しました。 
この採餌行動を撮りたくて、ここ何年も私はしつこく田んぼのトラクターを注視していたのです。 
鳥の本や写真集に載っているのに、オートライシズムをなかなか観察できないというのが私の実感です。
 (トラクターが田畑で作業していても、鳥がその周りに必ずしも群がるとは限らない。)
当地の野鳥はたとえ人里近くで暮らすシナントロープでも農民やトラクターをひどく恐れてなかなか近寄ろうとしないのでしょうか?
あるいは、長年の農薬使用によって田んぼで暮らす虫の数が激減しているのではないか?と疑っています。 
過去に遡るのは無理ですけど、有機農法(減農薬)の田んぼで比較すれば検証できるはずです。


関連記事(4、5、7年前および1ヶ月後の撮影)▶  



※ 動画編集でモザイク処理を練習するため、動き回るトラクターのナンバープレートをモザイク処理してみました。 
動体追尾機能(モーショントラッカー)に頼るよりも、手動でちまちまと数フレームごとにモザイク範囲を指定する方が結局は早いですね。 
Kdenliveを使って編集している私が今回参考にした動画がこちら↓。 


2023/12/31

ニホンアナグマ♀が古い巣材を産室から次の引越し先に運び、ヘルパー♂が巣穴を掘り直す【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・午後18:54・(@0:00〜)日の入り時刻は午後18:45。 
ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣4匹を連れて巣穴Rから手前の巣穴Lへ引っ越したのが早朝で、これはその日の夕方の出来事です。 
日没直後の薄暗い営巣地(セット)で、奥の巣穴Rから出てきた♀個体が、なぜか巣口Rでぐるぐる回っています。 
一体何をしているのでしょうか? 
画面の手前の左からハリギリ(別名センノキ)の棘だらけの細い倒木が右に突き出しているせいで、奥の巣穴Rが見えにくくなっています。 
謎の行動を同時に逆アングルからも動画で記録したかったのですが、残念ながらこの時期はもう1台のトレイルカメラ(新機種)が不調でした。 

アナグマ♀は何か白っぽい物(古い巣材?)を巣穴Rの中から巣口Rに捨てたようです。 
身震いしてから右に立ち去りました。 


シーン2:5/15・午後18:56・(@0:54〜) 
次にカメラが起動したときには、赤外線の暗視モードに切り替わっていました。 
♀が巣口でグルグル回る謎の行動をまたやっています。 
次回の幼獣引っ越しに備えて、巣口Rに柔らかい巣材(クッション・緩衝材)を予め敷き詰めておくのでしょうか? 
再び右に立ち去りました。 


シーン3:5/15・午後18:59・(@1:40〜) 
後頭部(首筋)に白斑のある♀個体が後ろ向きで手前の巣穴Lに入るところでした。 
前脚で落ち葉などを掻き集めながら巣穴Lに搬入しています。 
途中で落枝に引っかかってしまった落ち葉を口で拾い直しました。 

空荷で出巣Lすると、身震いしてから奥に入巣R。 
次に出巣Rする際には、後ろ向きで古い巣材を外に掻き出しました。 
これほど大量の落ち葉を地下の巣穴に溜め込んでいたとは驚きました。 
私が以前試しに与えてみた藁束も含まれているでしょうか? 


アナグマ♀が何をしているのか、私にもようやく意図が飲み込めました。 
産室だった巣穴Rに何度も出入りしては古い巣材を外に排出し、引越し先の巣穴Lに運んでいたのです。

使い古した巣材(寝床)にはノミやダニなどの体外寄生虫がまぎれていそうなのに、大丈夫なのでしょうか?
アナグマは巣材をときどき天日干し(虫干し)するという話を聞いていたのに、この個体は横着して新居に古い巣材をそのまま運び入れました。

(アナグマは)巣材として草を根から引き抜いて使用していると推測される。巣材が大雨などで濡れると、昼に穴の外に出して乾燥させて夜に穴に戻す、という話もある。(wikipediaより引用) 


その後は奥の巣穴Rから土を外に何度も掘り出しています。 
トンネルの拡張工事を始めたのでしょうか。 


シーン4:5/15・午後19:13・(@4:25〜) 
少し時間が開きました(7分後)。 
2つの巣口LRの間に座っていたアナグマが立ち上がって身震いすると、奥の巣穴に入りました。 
すぐにまた後ろ向きで外に出てきました。 
黒い土を外に掻き出しています。 
巣穴Rから奥に向かってまっすぐ後退しながら土を掻き出すので、なだらかなスロープが形成されます。 
これはアクセストレンチと呼ばれ、アナグマの巣穴入口に隣接して必ず見られる構造です。
少し疲れたのか、アナグマは身震いすると右上に立ち去りました。 
採食に出かけたのかな? 



シーン5:5/15・午後20:25・(@5:45〜) 
70分後にアナグマが巣穴Rの拡張工事を再開しました。 
巣口Rから何度も後退しながら土を外に排出しています。 
トレイルカメラの電池が消耗してきて、細切れ映像しか撮れなくなってきました。 
巣口Rに頭を突っ込み、土を前足で後方に掻き出しています。 

作業中にたまたま左後脚を持ち上げてくれたので、股間に睾丸が見えました。(@6:30〜) 
やはり穴掘り作業を担当するのは母親♀ではなく、ヘルパー♂(1年仔の息子♂)だったようです。 
地下で穴掘りを続ける個体の毛皮は黒い土で汚れ、個体識別が困難になります。 
正面からのカメラ目線をくれないので、左右の目の大きさも分かりません。 
この間、母親♀は手前の巣穴Lで幼獣4頭の面倒を見ていて忙しいのでしょう。 


シーン6:5/15・午後20:28・(@6:53〜) 
巣口Rで何やら作業を続けていますが、尻尾しか見えなくなりました。 


シーン7:5/15・午後20:31・(@7:10〜) 
巣穴Rを掘りながら、画面の右側にも新たにアクセストレンチを伸ばしているようです。 
近くにある細い蔓がブラブラ揺れています。 
その後も午後20:40まで穴掘り作業を続けていました。 

巣口から四方にアクセストレンチが伸びています。
これから梅雨になりますが、雨水の浸水対策はどうなっているのでしょうか?
ニホンアナグマは地中でトンネル(坑道)が一度下がってから少し上がった地点に居住区を作っているのかな?(ビーバーの巣からの連想です)

※ 動画の一部は、編集時に自動色調補正を施しています。 
この動画を編集した5月には、アナグマが何をしているのか、いまいち分かっていませんでした。 
♀が巣穴Rの古い巣材(寝床)を外に排出して引越し先(巣穴L)に運んだ前半部と、ヘルパー♂が巣穴Rを掘って拡張工事している後半部を分割すべきでしたね。 
登場個体が♀からヘルパー♂にいつ入れ替わったか、しっかり見極められないのが問題です。


尾根道で日光浴してから飛ぶ越冬明けのヒオドシチョウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の尾根道を歩くと、日陰のところどころに残雪が未だ少しありました。 
越冬明けのヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)を尾根道で何頭も見かけました。 

尾根道の路肩で落ち葉の上に止まって閉じた翅を小刻みに震わせている個体がいます。 
翅の外縁が激しく破損していて、越冬の厳しさを物語っています。 
翅をパッと全開にしてから飛び去りました。 
気温が未だ低いので、くもっていると飛び立つ前に準備運動が必要だったようです。 


次は日向で翅を全開にして日光浴している個体がいました。 
自発的に飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:58〜) 
尾根道に転がっている丸太の上で翅を開閉しながら日光浴していた個体は、翅がほぼ無傷でした。 
複数個体を撮影。 

関連記事(1、9年前の撮影)▶  

ヒオドシチョウの性別を私は外見から判別できませんが、蝶道を作って侵入者(他のチョウ)を追尾していたことから、おそらく♂が尾根道に縄張りを張っているようです。 
そのシーンは動きが激し過ぎて、動画に撮れませんでした。 

 越冬後は山頂や稜線でよく見られ、♂は見晴らしのよい場所で占有行動をとる。(フィールドガイド『日本のチョウ』p225より引用) 


関連記事(同じ尾根道で同日の撮影)▶ 日光浴してから飛ぶ越冬明けのエルタテハ 


冬の間になまった体に鞭打って尾根道まで登ってきたのは、ギフチョウ類の配偶行動を観察するためでした。
しかし残念ながら、 目当てのギフチョウ、ヒメギフチョウは1頭も見かけませんでした。 
どうやら時期を逃してしまったようです。
今季は春の雪解けが早かったので、もっと早く観察に来るべきでした。

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