2021/10/09

アメリカザリガニの死骸に群がるキンバエとニクバエが繰り広げる行動

 

2021年7月中旬・午後14:15頃・晴れ 

大雨で増水した氾濫原の水が引くと、泥だらけになった遊歩道にアメリカザリガニProcambarus clarkii)が2匹並んで死んでいました。 
日向で腐敗が進んでいるようで、赤い殻の表面に黒斑が出ています。 
死骸に真っ先に集まるキンバエ類は、メタリックグリーンのものとメタリックブルーのものと2種類が来ているようです。(種名不詳) 
他にはニクバエの一種(種名不詳)も来ています。 
個体数ではキンバエ類の方がニクバエよりも多いです。 
集まったハエは、アメリカザリガニの死骸を舐め回したり、身繕いしたりしています。 

左の死骸Lは頭胸甲の殻が外れかけていました。 
脱皮の途中で死んだのかな? 
こちらの死骸Lはハエにあまり人気が無いようで、ニクバエが1匹だけ乗っていました。 

右の死骸R上では多数のハエが目まぐるしく飛び回り、互いに位置を変えています。 
その様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、ハエ同士の間で面白いドラマが繰り広げられていることが分かりました。(@1:34〜) 

(1)死骸上の熾烈な陣取り合戦 
隣り合うハエ同士が互いに脚で蹴ったり叩いたりして牽制し合っていました。 
小さなニクバエが隣の大きなキンバエを蹴って追い払うこともありました。 
それでも強引に割り込んで来るハエがいます。
ハエの占有行動で脚を使うとは知りませんでした。
武器の無いハエの喧嘩はどうもコミカルに見えてしまいます。

(2)ニクバエ同士で誤認求愛? 
小型のニクバエの新顔が死骸に飛来すると、先客の大型ニクバエが背後から飛びつきました。 
マウントして交尾を挑んだのかと思いきや、すぐに別れました。 
こうした♂同士の誤認求愛と思われる小競り合いが繰り返されていました。 (あるいは♀の交尾拒否?)

240fpsのハイスピード動画で撮れば、もっと詳細に観察できたはずです。 


 

ノギランの花蜜を吸い飛び立つシロホシヒメゾウムシ【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年7月下旬・午前9:30頃・晴れ 

山道沿いに咲いたノギランの群落でシロホシヒメゾウムシ(=シラホシヒメゾウムシ;Baris dispilota)が訪花していました。 
同一個体を追いかけて途中からマクロレンズで接写してみました。 
ノギランの花穂の中を歩き回ると、雄しべの葯の黄色とゾウムシの黄紋がマッチしていますね。 
しかし黒い体色なので、隠蔽擬態(保護色)にはなっていません。 
どうやら小花に口吻を突っ込んで吸蜜しているようです。(@1:22) 
花穂の先端まで来ると飛び立って、隣の株の花穂に移動します。 
花粉を食べてなくても花穂を徘徊中に雄しべや雌しべによく触れ、花穂間を盛んに移動するので、ノギランの送粉者として寄与していそうです。 

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:46〜) 
翅をパカッと開くと羽ばたいて飛び立とうとしても、周囲に林立する雄しべに翅が引っかかったりバランスを崩したりして無様に墜落することがあります。 
花穂の途中から飛び立とうとするとこうなるので、花穂の先まで登ってから飛び立つようになります。 
飛び立ちが上手く行くと、ほぼ垂直に離陸していました。 

花穂上で立ち止まり、身繕いする様子も撮れていました。 
顔や触角に付いた花粉を前脚で擦り落としています。 


2021/10/08

ゴミ集積所の軒下で休むセグロアシナガバチ♀の謎

 

2021年7月上旬・午後15:50頃・くもり 

街なかで飛来したセグロアシナガバチ♀(Polistes jokahamae)が道端のゴミ集積所の小屋の軒下に止まりました。 
白いスチール板壁の錆びた角の部分で長時間休んでいるのですが、近くに巣はありません。
やがて身繕いを始めました。 
化粧が済んでもじっとしています。 
ここに巣があったのに駆除されたのでしょうか? 
急に巣が無くなって呆然としているのかな? 
駆除の際に殺虫剤が使われたとしたら、その影響(神経症状)で方向音痴になってしまったのかもしれません。 
撮影中の私は、てっきり創設女王がここで季節外れに造巣を始めるのか?と期待したりしました。 (巣作りするには時期が遅いので巣の再建?)

しかし落ち着いて映像をよく見ると、複眼が真っ黒なので羽化直後のワーカー♀と分かりました。 
羽化後の日齢が進むと複眼が焦げ茶色になります。 

気になったので辛抱強く長撮りすると、セグロアシナガバチ♀はようやくゴミ集積小屋の軒下から飛び下りました。
車道の上を低く飛び回るものの、やや風が強く吹いているせいか飛びにくそうです。 
ゴミ集積所の小屋の横の路面に着陸しました。 
どうも羽化直後のワーカー♀は飛ぶのも下手糞のようです。 
舗装路上で少し休み、身繕いしてから再び飛び上がりました。 
今度は元気にどこかへ飛び去りました。 

羽化直後で外役経験の浅いワーカー♀が巣から初飛行したものの、途中で迷子になったか、あるいは狩りに行かずに出先でサボっていたのではないか?という気がしてきました。 
巣の位置を突き止められなかったのが心残りです。

ちなみに、この地域ではカラスによる生ゴミの食害を防ぐために、住民は檻のような鍵付きの小屋に決まった時間にゴミを捨てる決まりになっています。 
毎週決められた日時にゴミ回収車が街中のゴミ集積所を巡回するのです。 

草刈り後の河川敷で落ち穂拾いするカワラヒワ♀♂の群れ(野鳥)

 

2021年7月中旬・午後18:00頃・晴れ

草刈り機できれいにした直後の河川敷でカワラヒワ♀♂(Carduelis sinica)の群れが夕方に落ち穂拾いしていました。 
初めは計6羽(♂5♀1)の群れでした。 
警戒心が強く、私がカメラを向けた途端に続々と飛び立ってしまいました。 
♀が真っ先に逃げました。 


少し離れた所に残った2羽の♂が採食を続けています。 
刈った草の種子を次々に啄んでいることが分かります。 
急に勃発した小競り合いを1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。(@0:23) 
直後に等倍速でリプレイ。 
遊んでいるのかと思ったのですが、どうやら餌場で近づき過ぎた相手を追い払う占有行動のようです。 
嘴でつつかれそうになった個体は、慌てて離れました。 
野鳥の群れでも適切なパーソナルスペースやソーシャル・ディスタンスを守らないといけません。

2021/10/07

アベリアの花で穿孔盗蜜するハキリバチ♂【名前を教えて】

 

2021年7月中旬・午後16:25頃・晴れ 

民家の生垣に咲いたアベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)でハキリバチ科の一種の雄蜂♂が訪花していました。 
花筒に正当訪花せずに、盗蜜しています。
関連記事(4年前の撮影)▶ アベリアの花で盗蜜するクズハキリバチ♂
さて、このハナバチの名前は何でしょう? 
見るからにハキリバチ科の仲間です。 
腹部下面にスコパが無いので雄蜂♂だろうと判断しました。 
顔色を正面から見せてくれなかったのですが、横から見ると頭楯に白っぽい毛が密生しているようです。 
この蜂で一番興味深く、驚いたのは、前脚が異常に毛深いことです。(白い毛が密生) 
例えばミツバチ科の♀は後脚に花粉籠があります。 
一方、ハキリバチ科の♀は腹部下面に密生するスコパ(刷毛)に花粉を集めます。
前脚に花粉籠があるハナバチという存在を私は聞いたことがありません。 
実際にこの蜂が集めた花粉を前脚の毛束にまとめて運んでいたら大発見だったかもしれませんが、雄しべに体が触れない盗蜜行動を繰り返していますから、謎の花粉籠?は空荷です。
雄蜂♂なのだとしたら、花粉を採餌(集粉)しませんから、そもそも花粉籠は必要ありません。 
前脚の毛束から♀を誘引する性フェロモンを分泌するのかな? (※追記参照)
一部の蛾の♂は腹端に「ヘアペンシル」というフェロモン放出器官を持ちますが、それを連想しました。 
私はハキリバチの仲間を見分けるのが苦手です。
重い腰を上げて『日本産ハナバチ図鑑』を紐解いてみると、ヤマトハキリバチやムナカタハキリバチなどの雄蜂♂にそれらしき特徴があることを初めて知りました。
(ヤマトハキリバチの)♂の前脚は変形していて腿節外面は薄くヒレ状に張り出し下面は白色、脛節の先端から淡色で、第1〜3跗節は扁平で外面に跗節の幅と同じくらいの長さの毛の列がある。(p321より引用)
この奇妙な構造の解剖学的な正式名称(英語名)や機能については何も書いてありませんでした。 
残念ながら今回の個体はすぐに生垣の奥に飛び去ってしまい、採集のチャンスを逃しました。 
この蜂の名前を映像から見分けられる達人がいらっしゃいましたら教えて下さい。
そもそもハキリバチ科の仲間という私の予想が間違っているかもしれません。

ちなみに今回観察したアベリアの群落で正当訪花する送粉者はトラマルハナバチ♀だけで(映像公開予定?)、残りは盗蜜者ばかりでした。(セイヨウミツバチ♀、クロマルハナバチ♀、ハキリバチsp.♂)
関連記事(4年前の撮影:正当訪花)▶ アベリアの花で採餌するトラマルハナバチ♀


※【追記】

ハキリバチ科とは違いますが、北米産トモンハナバチの仲間による配偶行動を捉えた見事なスーパースロー映像がPBS Natureチャンネルで公開されました。

その雄蜂♂は♀にマウントして交尾を挑む前に前脚の毛束で♀の触角を交互に叩いていました。

おそらくそれが求愛行動になるのでしょう。

雄蜂♂だけが前脚に持つ毛束(性的二型)の役割についてヒントが得られました。

 


水辺の獣道を2頭のホンドタヌキが深夜徘徊【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年7月中旬・午前3:30頃・気温13〜14℃
前回の記事:▶ 泥の獣道に残るホンドタヌキの足跡

水辺の泥に覆われた路上にタヌキと思われる足跡が頻繁に残されていたので、証拠映像を撮るために、無人のセンサーカメラ(トレイルカメラ)を仕掛けています。 
野生の哺乳類の多くは夜行性ですから、明るい昼間はカメラの監視を休止するように設定してバッテリーの消耗を軽減しています。 

深夜に2頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が連続して現れ、獣道の匂いを嗅ぎながらを同じ方向に(左から右へ)歩き去りました。 
長期間の調査で監視映像に最も頻繁に登場した哺乳類は、予想通りタヌキでした。(映像公開予定) 
私には性別を見分けられませんが、今回の2頭はつがいの♀♂ペアなのかな? 
この獣道を計何頭のタヌキが利用しているのか個体識別できていませんが、少なくとも2頭が生息していると、この動画で明らかになりました。 
(細かいことを言うと、続けて撮れた2本の動画の間の数秒のタイムラグ中に3頭目がトレイルカメラの前を素早く横切った可能性を否定できません。) 

1頭目の個体はトレイルカメラの方を少し気にしました。
その目が白く光って見えます。
実は路上にアメリカザリガニの死骸が転がっているのですが(映像公開予定)、2頭のタヌキは無視して通り過ぎました。 

※ 赤外線による暗視映像が全体的に暗かったので、動画編集時に正規化処理(equaliz0r)しています。 

2021/10/06

オオウラギンスジヒョウモン♂がオカトラノオで訪花吸蜜【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年7月中旬・午後16:15頃・晴れ 

里山の山道に沿って咲いたオカトラノオの群落でオオウラギンスジヒョウモン♂(Argyronome ruslana)が訪花していました。 
翅を緩やかに開閉しながら吸蜜しています。 
この組み合わせは初見です。 

2頭目の個体は右後翅が破損していました。 
左右非対称のダメージなので、鳥の食痕(ビークマーク)ではありません。 
花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:18〜)



   

夕日を浴びたモズ = アカモズ?(野鳥)

 

2021年7月中旬・午後18:45頃・晴れ(日没時刻は午後19:02) 

日没前に民家の庭木(樹種不詳)の梢に止まったモズ♀(Lanius bucephalus)がキチキチキチ…♪と鳴いています。 
異様なほど真っ赤な姿で、まさかアカモズなのか?とギョッとしました。 
振り返ると見事な夕焼け空で、夕日を浴びて鳥が赤く染まっただけだと分かりました。 
おそらく同じ樹上に塒入りしていたつがいの♂パートナーと鳴き交わしています。 
私に対して警戒しているのでしょう。 
最後は樹冠から飛び去って奥の庭木に移動しました。 

夕刻にこの辺りを通りかかるのは初めてですが、別の時間帯にはモズの縄張りがあることが分かっています。 


※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
近くの電線に止まっていたムクドリも夕日に染まっていました。

2021/10/05

樹液酒場でカブトムシ♀を襲うモンスズメバチ♀【ハイスピード動画】

 

2021年7月中旬・午後14:30頃・晴れ
前回の記事:▶ 柳の樹液を吸いながら片足を上げて排尿するカブトムシ♀【HD動画&ハイスピード動画】

シーン1: 
湿地帯に自生する柳(樹種不詳)の樹液酒場に来ていたモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が先客のシロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea)に足蹴にされて退散しました。 
正確には、シロテンハナムグリが天敵を蹴飛ばしたというよりも、後脚を持ち上げて「近寄るな!」と牽制したようです。 
これも樹液酒場を巡る占有行動の一種と言えるでしょう。 

※ 冒頭シーンだけ動画編集時に逆光補正を施しています。 


シーン2:(@0:05〜) 
カブトムシ♀(Trypoxylus dichotomus)の吸汁シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮影していると、飛来したモンスズメバチ♀が突然カブトムシ♀の胸背に着陸しました。 
この2種には圧倒的な体格差がありますし(カブトムシ♀>>モンスズメバチ♀)、カブトムシは全身がクチクラの硬い装甲で守られているため、スズメバチでも歯が立たないようです。 
(スズメバチは狩りの際に毒針を使うことはなく、大顎で獲物に噛み付くだけです。) 
モンスズメバチ♀はカブトムシ♀を諦めてすぐに飛び去りました。 
その間、カブトムシ♀は全く無反応で、平然と樹液を舐め続けていました。 
このモンスズメバチ♀は獲物を探索中だった(探餌飛翔)という解釈です。 
モンスズメバチ♀はセミを狩るのが得意だという噂ですけど、私は狩りの様子を未だ観察できていません。

あるいは、もしかするとモンスズメバチ♀は柳の幹かと誤認してカブトムシの背中にうっかり着地しただけかもしれません。 
カブトムシから離れたモンスズメバチ♀は柳の幹の手前でホバリングしながら上昇して行きました。 
樹液がもっと多く分泌する場所を探索しているのでしょう。 
柳の葉の甘露を舐めに行った可能性も考えられます。
関連記事(6年前の撮影)▶ 柳の葉を舐めるモンスズメバチ♀



【追記】

森上信夫『樹液に集まる昆虫ハンドブック』に面白いことが書いてありました。

スズメバチ類は、力勝負でもカナブンやコクワガタには十分勝てるのだが、樹液酒場がこみ合ってくると、背後から甲虫たちの脚に噛みついては、パッと空中に逃げるという行動をくり返す。たまりかねた甲虫が向き直ると、その動きが隣の甲虫を刺激し、これを宣戦布告と受け止めた相手が応戦すると、そこで甲虫どうしの戦いが始まる。この混乱に乗じて、樹液上に空きスペースができると、スズメバチは空中からそこに舞い降りて自分の場所を確保するのである。甲虫を挑発して、同士討ちを誘発させるわけだ。(p36〜37より引用)

私が思っていたよりもスズメバチは賢いようです。

今回私が観察した樹液酒場は混み合っていませんでしたが、モンスズメバチ♀はカブトムシ♀を背後から挑発してどかそうとしていたのかもしれませんね。

しかしカブトムシ♀は、その挑発に乗りませんでした。

 

夕方の山道を横断し道草を食う野生ニホンザルの群れ(2頭の首輪装着個体)

 

2021年7月中旬・午後17:35頃・くもり
前回の記事:▶ 夕方の山林で樹上を移動するニホンザルの群れ
緩やかに下る山道の前方からニホンザルMacaca fuscata fuscata)の母子がこちらに向かってゆっくり登って来ました。 
四足歩行する母親の胸には長い乳首が見えます。 
子ザルも母親の傍を自分の足で元気に歩いています。 
子ザルは立ち止まると道草を食いました。(草を採食) 
すぐに走り出し、先導する母親を追いかけます。 
母親は道端の灌木の茂みの陰に座り込んで、採食を始めました。 
どうやら私の存在に気づいているらしく、死角に隠れて採食しています。 
残念ながら採食メニューは不明です。 
その間、子ザルは母親にまとわりつくように遊んでいます。 

山道の左側の森にニホンザルの群れが潜んでいるらしく、灌木や茂みがあちこちで揺れています。 
やんちゃな子ザルが遊動しながら(無駄に木に登ったりして)遊んでいるのでしょう。 
その動きから群れの接近を予測することが出来ます。 
左から右に遊動する群れのメンバーが山道に続々と現れました。 
草むらから私をチラッと見て安全を確認すると、山道を走って横断しました。 

生まれたばかりの赤ん坊ニホンザルは遊動中も母親の胸にしがみついたり背中に乗ったりしたままで運ばれます。 
しかし、この時期の子ザルは自分の足で歩けるぐらい成長していました。 
先導する母親の後を必死で走って追いかける子ザルの様子は微笑ましいですね。 

今回遭遇した群れの中には黒い首輪を装着した個体が2頭いました。(@1:24および2:35) 
農村部の猿害対策の一環として、ニホンザルの群れの動向をリアルタイムで知る必要があります。(テレメトリー調査)
そのために罠檻で生け捕りした個体に電波発振器やGPSを取り付けて再放獣するのです。 
1頭は胸に授乳の結果長くなった乳首が見えたので♀で間違いありません。 
もう1頭の性別が私には分かりませんでした。 
一般的に雄猿♂はいずれ群れを離れますから、首輪を付けても行方不明になってしまい機材が無駄になります。 
したがって、電波発振器(やGPS)を取り付けるなら♀だろうと予想されます。 
(離れ♂の行動を知りたいというマニアックな調査が目的なら、♂に首輪を付けることも考えられます。) 

ちなみに映像の後半では(@2:20〜)、森の奥からアカショウビン♂(Halcyon coromanda major)がキョロロロロ…♪と鳴く声(囀り)が聞こえました。
関連記事(1月前の撮影)▶ アカショウビン♂のさえずり♪(野鳥)
※ 猿や鳥の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げたら、沢の水音も強調されてしまいました。

2021/10/04

タヌキの溜め糞の横で落ち葉を舐めるジガバチ♀【ミネラル摂取】

 

2021年7月中旬・午後15:20頃・晴れ 

山道に残されたタヌキの溜め糞で吸汁するキバネセセリ♂を撮影していると、意外な珍客が登場しました。
ジガバチの一種(サトジガバチまたはヤマジガバチ)♀です。 
食性からしても営巣習性からしても、ジガバチ♀が溜め糞に来る理由が想像できません。 
ハエを狩る狩蜂なら分かるのですが、ジガバチ♀の獲物は蛾の幼虫です。
たまたま通りかかっただけでしょうか? 

ジガバチ♀とキバネセセリ♂は溜め糞上でニアミスしても互いに無関心でした。 
溜め糞の周囲を徘徊していたジガバチ♀が林床で立ち止まって、スギ(杉)の落ち葉の葉柄を舐め始めました。 
その表面は泥だらけで決して清潔そうには見えませんが、何か必須のミネラル成分を摂取しているのでしょう。 
新鮮な糞そのものを舐めるのではなく、おそらくタヌキの排泄した尿がかかった落ち葉を舐めるのが好みのようです。
ヒトが立ち小便した跡にも来るかどうか、調べたら面白そうです。 
似たようなミネラル摂取の習性は過去にも観察しています。
関連記事(8、9年前の撮影)▶  
土を舐めるジガバチ♂ 
ヤマジガバチの労働寄生#4:落ち葉舐めでミネラル摂取

ノスリが樹上で鳴き交わす声を声紋解析してみる(野鳥)

 

2021年7月中旬・午後14:45頃・晴れ
前回の記事(15日前の撮影):▶ スギ樹冠で鳴き続ける♪ノスリ(野鳥)

山麓でスギ(杉)の梢に止まっていたノスリButeo japonicus)が、林縁を歩いて来る私の姿を遠くから目敏く見つけると警戒し、ピーエ、ピーエ♪と甲高い声で鳴き始めました。 
この辺りを縄張りとしている(おそらく近くで営巣している)ペアのうちの1羽がお気に入りの止まり木で周囲を見張っているのです。 
冒頭のシーン(@0:00 〜 0:25)ではニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)たちがチー…ジー…♪と絶え間なく鳴き続ける蝉しぐれ♪がうるさいのですが、耳を澄ますとノスリの鳴き声も聞こえます。 

 ※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

嘴の動きと鳴き声が同期しています(リップシンクロ)から、この個体の鳴き声で間違いありません。 
ただし、初めは被写体まで遠いので、鳴き声が少し遅れて届きます。 

止まり木にもう少し近づいて撮影してみましょう。 
ノスリは樹冠で少しバランスを崩しかけたものの、なんとか体勢を立て直しました。 
嘴を大きく開けて鳴く際に、口内が少しピンクに見えました。 

私は未だ自信を持って個体識別できないのですが、同じ止まり木で鳴いていた前回の写真と見比べると別個体のような気がします。 
ただし、撮影した時間帯が違うので、光の当たり方で羽の色の印象が異なって見えるだけかもしれません。 (前回は夕日を浴びていた)

単独で鳴いていた前回と異なり、今回は近くにいる別個体とピーエ、ピーエ♪と鳴き交わしていました。 
もう1羽がどこにいるのか、残念ながら見つけられませんでした。 
おそらくつがいのパートナーではないかと思うのですが、巣立った幼鳥かもしれません。 
幸い後半はニイニイゼミの合唱(蝉しぐれ)があまり聞こえなくなりました。 
単調な鳴き声でも2羽の音程が微妙に違う点が興味深く思いました。 
被写体のノスリは、少し低い音程で鳴いています。 
ノスリは一般的に体格が♀>♂らしいので、鳴き声の音程が違っても不思議ではありません。 
逆に、今後は鳴き声の音程から個体識別できるかもしれません。  

撮影後に私が横を通り過ぎるとノスリは鳴き止みました。 
今回は私を追いかけてきたりディスプレイ飛翔で威嚇してくることはありませんでした。 
もうお互いに顔馴染みなので、私のことをある程度は信頼してくれているようです。

実はもう1羽が近くの灌木林に潜んでいて、私が知らずに横を通りかかると慌てて飛び去りました。 
その辺りに営巣木があるのかな?(要確認) 
もう1羽を動画に撮り損ねてしまったのが、残念無念。 
フィールドでこうした突発的な出来事にも対応するには、常に動画を撮り続けながら行動しないといけません。
ドライブレコーダーのように1人称目線で記録できるアクションカメラが欲しくなります。

ノスリの鳴き交わす声を声紋解析してみる

オリジナルの動画ファイルからいつものように音声をWAVファイルとして抽出し、鳴き交わしている部分を適当に4ヶ所切り出してからスペクトログラムを描いてみました。





風切り音のノイズが混入したり、背後でシジュウカラ?が鳴いていたりしたのですが、意外にきれいな声紋が得られました。
動画の被写体となった個体をAとして、少し離れたところで鳴いている別個体をBと呼ぶことにします。
ABAまたはABの順で鳴いている声紋です。
ピーエ♪と尻下がりで鳴く度に「へ」の字の形で記録されています。
近くで鳴いているAの方が鳴き声の倍音構造(への字が縦に重なる)が明瞭に描かれていました。
2羽の音程の違いが「へ」の字が描かれる位置の高低で示されると期待したのですが、意外にも素人目には違いがよく分かりませんでした。
それよりも興味深いことに、個体Bが鳴いた声紋の倍音構造がAよりもシンプルでした。
(下から2番目の約4kHz成分がBでは抜け落ちています。)
絶対音感が無くて音響学の用語を知らない私には、緻密な記述ができません…。
Bが少し遠い所で鳴いているせいだけではない気がします。
もしもノスリAとBがいつも決まってこのように鳴くとすれば、声紋から個体識別できそうです。
♀♂番の性別による違いなのか、それとも声変わり前後の違い(幼鳥→成鳥)なのか、いずれにせよ面白いですね。
あるいは、鳴き声に込められた意味・文脈によって違うのかもしれません。
とりあえず、見た目でもノスリを個体識別できるようにならないといけません。

【追記】
15日前に全く同じ止まり木の梢で私に対して警戒声を発していた個体の鳴き声も声紋解析してみたところ、Aと同じパターンでした。


2021/10/03

湿地帯に散乱するアメリカザリガニの大量死骸を処理するクロクサアリ♀の大群

 

2021年7月上旬・午後15:30頃・くもり 

大雨の後で氾濫原の水が引くと、死んだアメリカザリガニProcambarus clarkii)が湿地帯にたくさん散乱していました。 
大量死の原因が気になるところですけど、私には死因が分かりません。
泥だらけの遊歩道の一区画に集中して転がっていた4匹の死骸を動画で記録しました。 
なぜかここにだけクロクサアリLasius fuji)のワーカー♀が死骸に群らがっていました。 
甲殻類のアメリカザリガニは硬い外骨格で守られていますが、割れた隙間からクロクサアリが潜り込んで死肉を細かく千切り、巣に持ち帰っています。 
(ざり)かに道楽を楽しんでいます。 

アリも泥の上を歩くのは嫌なようで、倒伏した枯れ草(ヨシ?)の茎の上を歩きやすい高速道路として行列を作り、巣と往復していました。 
行列を追跡してクロクサアリの営巣地をしっかり突き止めるべきでしたね。 
堤防に自生する灌木の根際があやしいです。
(クロクサアリの)巣は樹木の根部にある。行列を作って樹木に生息するアブラムシに集まり、甘露を定常的な餌にしている。(『アリハンドブック』p61より引用)
ザリガニのハサミだけが転がっていたりすることもありました。 
冒頭に登場する死骸は、まるで映画『エイリアン』のフェイスハガーを連想する造形でした。 

ニクバエ科の一種もザリガニの死臭に誘引されて飛来しました。 
しかし、ハエはクロクサアリの大群に遠慮して順番待ちしている印象です。
つづく→死んだアメリカザリガニに群がり解体運搬するクロクサアリ♀【10倍速映像】

強風に乗って遊ぶハシボソガラスの群れ(野鳥)ウィンドサーフィン

 

2021年7月中旬・午後14:30頃・晴れ(強風) 

山麓の農村部に聳え立つドイツトウヒ(別名オウシュウトウヒ)の樹上にハシボソガラスCorvus corone)の群れ(5羽)が集まっています。 
枝からフワリと飛び立つと、強風に煽られて流される遊びを飽きずに繰り返していました。
空中に浮いた2羽で鬼ごっこが始まりました。 
ウィンドサーフィンを楽しむ合間に、奥の電線にも3羽のカラスが休んでいました。 
飛び立つと強い逆風で押し戻される感覚にスリルを味わっているのでしょう。 
空中で互いに追いかけっこしています。 

カメラのマイクにも強い風切り音♪が聞こえます。 
手持ちカメラで立って撮影している私も強風で煽られ、どうしても手ブレしてしまいます。 
体幹をもっと鍛える必要がありますね。 
関連記事(5、8年前の撮影)▶  
台風の強風で遊ぶハシボソガラスの群れ【野鳥】 
ハシボソガラスの風乗り遊びと屋上への就塒前集合(野鳥)


ハシボソガラスが止まっていた常緑針葉樹の高木にズームインすると、枝から細長い未熟な松ぼっくりが下向きにたくさん垂れ下がっていました。 

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