湿地帯に自生する柳(樹種不詳)の樹液酒場に来ていたモンスズメバチ(Vespa crabro)のワーカー♀が先客のシロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea)に足蹴にされて退散しました。
正確には、シロテンハナムグリが天敵を蹴飛ばしたというよりも、後脚を持ち上げて「近寄るな!」と牽制したようです。
これも樹液酒場を巡る占有行動の一種と言えるでしょう。
※ 冒頭シーンだけ動画編集時に逆光補正を施しています。
シーン2:(@0:05〜)
カブトムシ♀(Trypoxylus dichotomus)の吸汁シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮影していると、飛来したモンスズメバチ♀が突然カブトムシ♀の胸背に着陸しました。
この2種には圧倒的な体格差がありますし(カブトムシ♀>>モンスズメバチ♀)、カブトムシは全身がクチクラの硬い装甲で守られているため、スズメバチでも歯が立たないようです。
(スズメバチは狩りの際に毒針を使うことはなく、大顎で獲物に噛み付くだけです。)
モンスズメバチ♀はカブトムシ♀を諦めてすぐに飛び去りました。
その間、カブトムシ♀は全く無反応で、平然と樹液を舐め続けていました。
このモンスズメバチ♀は獲物を探索中だった(探餌飛翔)という解釈です。
モンスズメバチ♀はセミを狩るのが得意だという噂ですけど、私は狩りの様子を未だ観察できていません。
あるいは、もしかするとモンスズメバチ♀は柳の幹かと誤認してカブトムシの背中にうっかり着地しただけかもしれません。
カブトムシから離れたモンスズメバチ♀は柳の幹の手前でホバリングしながら上昇して行きました。
樹液がもっと多く分泌する場所を探索しているのでしょう。
柳の葉の甘露を舐めに行った可能性も考えられます。
関連記事(6年前の撮影)▶ 柳の葉を舐めるモンスズメバチ♀
【追記】
森上信夫『樹液に集まる昆虫ハンドブック』に面白いことが書いてありました。
スズメバチ類は、力勝負でもカナブンやコクワガタには十分勝てるのだが、樹液酒場がこみ合ってくると、背後から甲虫たちの脚に噛みついては、パッと空中に逃げるという行動をくり返す。たまりかねた甲虫が向き直ると、その動きが隣の甲虫を刺激し、これを宣戦布告と受け止めた相手が応戦すると、そこで甲虫どうしの戦いが始まる。この混乱に乗じて、樹液上に空きスペースができると、スズメバチは空中からそこに舞い降りて自分の場所を確保するのである。甲虫を挑発して、同士討ちを誘発させるわけだ。(p36〜37より引用)
私が思っていたよりもスズメバチは賢いようです。
今回私が観察した樹液酒場は混み合っていませんでしたが、モンスズメバチ♀はカブトムシ♀を背後から挑発してどかそうとしていたのかもしれませんね。
しかしカブトムシ♀は、その挑発に乗りませんでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿