ラベル フィールドサイン の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル フィールドサイン の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025/08/21

山中の湿地で夜に水を飲み採食する2頭のニホンイノシシ【トレイルカメラ:暗視映像:フィールドサイン】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/24・午後12:41・くもり(@0:00〜) 
シーン0:6/24・午後13:17・くもり(@0:00〜) 
山林の中に少し開けた湿地帯があります。 
様々な野生動物や野鳥が水場として利用する、湧き水や雨水が溜まった水溜りを2台の自動センサーカメラ(旧機種)で見張っています。 


シーン1:6/27・午後20:11(@0:07〜) 
ある晩にニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が登場しました。 
水溜まりSに口をつけて泥水を飲んでいます。 
飲み終わると、そのまま此岸の泥濘を右へ向かいます。 
今回のイノシシは単独ではなく、後続個体が縦列でついて歩いていました。 
普通なら母子なのですけど、今回のペアには体格差がありません。 
なんとなく、若い兄弟姉妹のような気がします。 
ただし体表に縦縞模様はありませんでした。(ウリ坊ではない)。
横から腹面を見ても、乳房や乳首、外性器などは見当たりません。 


シーン2:6/27・午後20:11(@0:29〜) 
湿地帯の反対側に設置した監視カメラでも続きが写っていました。
2頭のイノシシは、湿地の泥濘を右から左へゆっくり歩いています。 
先行個体はどんどん左へ立ち去りますが、後続個体は一箇所に立ち止まっています。 
鼻面で泥濘を掘り返し、餌を探しているのでしょう(採食行動)。

残念ながら、手前の泥水溜りNには近づきませんでした。


シーン3:6/27・午後20:12(@1:12〜)
後続個体が対岸の左奥で立ち止まり、林縁で何か採食しているようです。 
左に立ち去った後で、イノシシが重低音で鳴く声♪がかすかに聞こえました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ イノシシの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


シーン4:6/28・午後13:10・(@0:00〜) 
翌日に現場検証すると、前夜に来たイノシシは、水が澄んだ浅い水溜りではなく、わざわざ白濁した左の深い水溜りから水を飲んでいたようです。 

約17時間前にイノシシ2頭が続けて歩いた泥濘に、蹄の跡がくっきりと残っていました。 
私はまだフィールドでニホンカモシカとニホンイノシシの蹄跡をしっかり見分けられる自信がないのですけど、今回はトレイルカメラの証拠動画が残っているので、間違いなくイノシシの足跡です。 

イノシシの足跡はスギ林の方へ向かっていました。 
採食痕のフィールドサインも現場でじっくり撮影すべきでしたね。


余談ですが、「所さんの目がテン!」という動物系長寿番組の2024年8月18日放送回は、「いきものの森SP:見られなくなった植物復活?タイムカプセル実験」というタイトルでした。 
埋土種子の発芽実験を実演した上で、「イノシシやアナグマなど、表土(腐葉土)を大規模に掘り返す動物は、撹乱して埋土種子が発芽しやすくしているのかもしれない」と専門家がコメントしておられました。 
ヒトのせいでイノシシやアナグマが絶滅した森は、植物の多様性が予想以上に劣化し、貧弱で貧相な森になってしまうでしょう。


つづく→

2025/08/12

林道で大量に吸水しながら排尿するミヤマカラスアゲハ♂

 

2024年6月下旬・午後14:10頃・くもり 

里山で砂利が敷かれたつづら折れの林道に沿って低く飛び回っていたミヤマカラスアゲハ♂(Papilio maackii)が着地すると、翅を全開にしたまま静止しました。 
前翅の翅表に黒いビロード状の性斑(性標)があるので、♂と見分けられます。 
伸ばした口吻を激しく動かして、濡れた砂利の表面を舐めています。 
かるく羽ばたきながら方向転換した際に、後翅の裏面に不明瞭な白帯がちらっと見えたので、夏型♂のようです。 
少し飛んで移動すると、林道のあちこちで小石の味見をしています。 
林道の傍らにはウツボグサドクダミの花が咲いているのに、ミヤマカラスアゲハ♂は花蜜にまったく興味を示しません。 
濡れた砂利やスギの落ち葉などを舐めて吸水し、性成熟に必要なミネラル成分を摂取しているのでしょう。 
飛び立ってもしばらくすると同じ地点に舞い戻り、吸水を再開します。 

よく見ると、ミヤマカラスアゲハ♂は吸水しながら、腹端から透明な液体をポタポタと排泄しています。 
水に薄く溶けている微量なミネラル成分を摂取するには、水を大量に飲まないといけないので、余った水分をどんどん排出しているのです。 

吸水しているミヤマカラスアゲハ♂の顔を正面からアップで撮ったストロボ写真をよく見ると、口吻の表面に水滴が点々と付いているのが興味深く思いました。 
口吻の接合部から水漏れしているのでしょうか? 
気化熱で冷やした水を飲んで体を効率よく冷やそうとしているのなら、面白い話です(水冷式の体温調節)。 


【アフィリエイト】 



ミヤマカラスアゲハ♂が飛び去ってから現場検証すると、林道の路肩の草むらに獣糞を見つけました。 
糞の色は黒く、未消化の種子がたくさん含まれています。 
テンの糞にしては太いですし、なんとなくツキノワグマUrsus thibetanus)が残した糞ではないかと思うのですが、あまり大きな糞ではありません。 

クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫1匹と、ニクバエの一種が獣糞に集まっていました。 

実はミヤマカラスアゲハ♂も初め、この獣糞に誘引されていた(舐めていた?)ようなのですが、草むらが邪魔で撮影できませんでした。 
私が回り込んで撮影アングルを確保しようとしたら、砂利を踏む音に警戒したチョウが警戒して飛び去り、吸水行動に切り替えたようなのです。 
今回は悔しい思いをしたのですが、次の年になってようやく、ミヤマカラスアゲハが獣糞で吸汁する証拠動画を撮ることが出来ました。(映像公開予定)

2025/07/26

空のマヨネーズ容器に残る歯型の謎【フィールドサイン】

2024年6月中旬 

フィールド調査のついでに、平地のスギ防風林に散乱する不燃ゴミを拾って帰ります。 
林内には野生動物たちが長年通った獣道が何本も作られています。
発泡スチロールの破片などの他に、林床に転がっていたプラスチックの透明な容器が気になり、写真を撮りました。
この特徴的な形は、明らかにマヨネーズのプラスチック容器です。 
よく見ると、容器にはAJINOMOTOのロゴがあります。 
中身は空っぽなのに、動物の噛み跡が付いてボロボロになっています。 
マヨネーズの主成分は油なので、いかにも野生動物(タヌキやキツネなど)が好みそうです。 
美味しそうな匂いに惹かれてゴミ捨て場から持ち去り、獣道の途中で捨てた後も幼獣などが繰り返し遊び道具にしたようです。 
ちなみに以前、林内で見つけたポテトチップスの空き袋も同じ理由でしょう。(写真を撮り忘れました。) 

専門家は容器に残る歯型を調べれば、動物の種類を推定できるのかもしれません。 
ゴミの表面に唾液が残っていれば、DNAで鑑定できそうです。 

田舎の林内には多数の不燃ゴミが放置されています。 
私は初め、誰かが不法投棄したのかと憤慨していました。 
しかしトレイルカメラなどを使って野生動物の観察を進めるにつれて、実はタヌキなどが気になるゴミを拾ってきて林内に捨てている場合もあると分かりました。 
山林にゴミを撒き散らすタヌキはけしからん!とは必ずしも言い切れません。 
元々は近隣住民のゴミの捨て方に問題があるのが元凶です。 
ゴミ捨て場を荒らすカラスの問題と同じで、ゴミ収集車が来るまで、鍵付きの頑丈なゴミ捨て小屋にしまっておけば解決するでしょう。 

私は野生動物が好きなので、ゴミ問題で悪者扱いされないように、微力ながら少しでも環境美化に務めることにしています。 
一番の理由は、せっかく撮れた野生動物の生態動画の背景にゴミが写っていると興ざめだからです。 
野外に放置されたプラスチックのごみはいつまで経っても自然に分解されず、粉々になったマイクロプラスチックは深刻な環境汚染をもたらします。
プラスチックのゴミを誤食した野生動物が健康を害する可能性もあります。


関連記事(1年前の撮影)▶ 獣道に片方だけ捨てられた古い長靴の謎


【アフィリエイト】

2025/07/02

田んぼの農道でシマヘビの抜け殻を見つけた!

 

2024年5月下旬・午後15:10頃・晴れ 

水田の間を通る農道の端にヘビの抜け殻を見つけました。 
右の水田は水入れしたばかりですが、左の水田は田植えが完了しています。 
田植え直前の農道に選択性除草剤を撒いたばかりらしく、イネ科の雑草だけ枯れています。 (シロツメクサの葉は青々としたままで枯れてない。) 

茶色に枯れた草に絡みつくように、長い新鮮な脱皮殻が残っています。 
抜け殻の頭部は、右の水田の方を向いていました。
まず巻き尺で抜け殻の全体を採寸すべきでしたね。 
脱皮殻は初めから上半身と下半身に千切れていました。 
動画に撮りながら、脱皮殻に絡みついた枯れ草を慎重に剥がして、ビニール袋に採集しました。 
抜け殻の下に隠れていた雑草も枯れていたことから、おそらくヘビの脱皮より前に除草剤が散布されたと考えられます。 

脱皮中のヘビは無防備です。
こんな農道で明るい昼間に脱皮したら猛禽やカラスなどの天敵に対して目立ってしまいますから、ヘビはおそらく夜に脱皮したのではないでしょうか。

さて、抜け殻からヘビの種類を同定できるでしょうか? 
この辺りでもっとも多い普通種である、アオダイショウElaphe climacophora)またはシマヘビElaphe quadrivirgata)のいずれかだと予想しています。 

参考サイト▶ 
[今日の観察]ヘビの完全な抜け殻 by いきもの通信 Vol. 186


採集した抜け殻の標本を調べてみると、伸ばした長さが約140cm(前+後=50+90=140)、体鱗列数が19、腹板数が196(88+108=196)だったのでシマヘビの成体だろうと判明しました。
数えているうちに分からなくなるので、油性マジックで鱗に印を付けながら、カウンターを使ってカチカチと数えました。
腹板は尻尾の先まで数えるのではなく、頭の下から総排泄孔までを数えるので要注意。
脱皮殻に縦縞模様などは残っていませんでした。

採集した立派な抜け殻をいずれラミネート加工などして、標本としてしっかり保存するつもりです。 
わざわざ額装までするのは大変そうです。

いつものように、Perplexity AIに相談して調べ物をしながら記事を書きました。


【アフィリエイト】 

採集前の脱皮殻
採集後の抜け殻

2025/06/21

山中の水溜りで泥水を飲むニホンイノシシ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月上旬 

シーン0:6/4・午後13:38・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
 山林内に広がる湿地帯や湧き水が溜まった泥水溜りを自動センサーカメラで見張っています。 
左右の水溜りを同時に監視してみたいという目論見で、湿地帯を広角で狙うようにスギの幹にカメラを固定しました。 


シーン1:6/6・午前2:40(@0:04〜) 
夜になると画面の右上からスギの枝葉が垂れ下がり、カメラの赤外線を至近距離でギラギラと反射して目障りですね。 
明るい昼間は横枝に張りがあるのですが、毎晩暗くなると横枝が少し垂れ下がってしまうのです。 
カメラの画角を決めた昼間には、そこまで予測できませんでした。 

奥を左右に通る林道からニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が草に覆われた緩斜面を降りて来ました。 
浅い水溜まりに口を付けて、泥水を飲み始めました。 
喉の乾きを癒やすと、イノシシは手前に向かって泥濘をゆっくり歩き始めました。 
ところが、監視カメラの存在に気づいたようで、慌てて左に走って逃げました。 
安物のトレイルカメラだと、夜に赤外線LEDがうっすらと赤く光って(可視光)しまうのです。 
トレイルカメラがかすかに発する電子音のノイズが耳障りなのかもしれません。 
イノシシは警戒心が非常に強く、なかなか泥浴び(ヌタ打ち)をしてくれません。 


シーン2:6/6・午前2:51(@0:40〜) 
10分後に、別個体らしいイノシシが水場に現れました。 
赤外線を反射して白く光るスギの枝葉が目障りで、肝心の暗所にいる被写体がよく見えなくなってしまうので、画面の右端を編集でカットしました。 

2頭目のイノシシは泥水溜りの対岸を左に歩き去り、泥水を飲んだり浴びたりすることはありませんでした。 
やや遠くて監視カメラの赤外線が届かず、はっきり見えないのですが、まるでカバのようなシルエットです。 


※ 水を飲む音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

後日に現場入りすると、画角の左外にホオノキの大木が立っていて、その手前の泥濘に蹄の跡がくっきりと残っていました。 
私はカモシカとイノシシの蹄跡をいまいち見分けられないのですが、トレイルカメラの記録と併せて考えると、イノシシが歩いた跡(フィールドサイン)だと分かりました。

2025/06/14

ニホンカモシカの溜め糞で糞虫が見つからず分解も遅いのはなぜか?【フィールドサイン】

 



2024年5月下旬

シーン1:5月下旬・午後14:10頃・晴れ(@0:00〜)
里山でスギと雑木の混交林に残されたニホンカモシカCapricornis crispusが残した溜め糞場sr2の定点観察にやって来ました。
ここにはカモシカが最近もよく排便に通っていることが、トレイルカメラによる監視で分かっています。

この溜め糞場sr2でハネカクシの仲間を見かけたのですが、撮り損ねてしまいました。
新鮮な糞粒は、まだ黒っぽく艶があります。
小枝を拾って溜め糞をほじくり返してみても、糞便臭は全く感じず、糞虫は1匹も見つかりません。
糞虫屋さんにしてみれば、こんな雑な探し方では駄目なのかもしれません。
ふるいにかけるなどして、もっと徹底的に探すべきですかね?
ここに生えていたキノコ(クズヒトヨタケ)は「一夜茸」の名前の通り、消失していました
ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀がうろついているだけでした。
古い糞粒の表面が点々と茶色い粉を吹いたようになっているのは、カビが生えてきたのでしょうか。



シーン2:5月下旬・午後13:00頃・晴れ(@1:39〜)
その前の週に、同じ里山で渓谷沿いのスギ植林地にニホンカモシカCapricornis crispus)が残した溜め糞場sr1の定点観察にやって来ました。
スギの林床に下草が伸びてきました。 
新鮮な糞粒はなくて、古い糞だけでした。
最近はカモシカが排便しに来ていないようです。

拾った小枝で古い糞粒をほじくり返しても、糞虫は全く来ていませんでした。 
糞便臭を全く感じません。 
糞粒の表面に粉を吹いているのは、カビが生えているのですかね?
キノコの子実体も生えていません。

関連記事(同時期に別の溜め糞場sr2で撮影)▶ ニホンカモシカの溜め糞場から生えてきたクズヒトヨタケ?【キノコ】




つづく→ 


【考察】 
私が定点観察しているカモシカの糞粒は、古くなっても形が崩れず、原型を留めたままです。 
カモシカの溜め糞にはキノコもあまり生えず糞虫にも人気がないのは、私のフィールドだけですか?
ある地域である生物を探しても見つからない、 というネガティブデータは、論文や報告書にもなりにくいですし、YouTuberも動画にしたがりません。
(日本各地にあるカモシカの溜め糞場でも同じだとすれば、話が変わってきます。)

糞虫に関する本を何冊か読んだことがあるのですけど、
どんな動物にもその糞を分解する糞虫がいるという話でした。
そのバランスが崩れると、例えば「有袋類しか生息していなかったオーストラリアで家畜を導入して外来種を放牧した結果、その糞が分解されずに地上に残り続けて大問題(糞害)を生じたものの、糞虫を海外から導入(放虫)したら解決した」という逸話が有名です。
その定説からすれば、カモシカの溜め糞がいつまで経っても分解されず、糞虫も来ていないのは異常事態だと感じてしまいます。
不思議なことに、同じ里山に生息する(同所性の)タヌキやアナグマ、ニホンザル、ツキノワグマなどの糞には糞虫が来ています。
したがって、当地ではカモシカの糞粒にだけ糞虫が寄り付かないと結論づけるしかありません。
それとも定説に問題(間違い)があるのでしょうか?
自分で調べたカモシカ溜め糞のサンプル数がまだ少ないので、一般論として語れる傾向なのかどうかもまだ分かりません。

私は他の地域のフィールドについては知らないので、私のフィールドだけが不健全な生態系なのかと心配でした。
ニホンカモシカはマタギ(猟師)による狩猟圧や開発のため、一時期は絶滅に瀕していましたが、天然記念物に指定されて保護された結果、個体数が回復しました。
そのような過酷なボトルネックを経た結果、カモシカの糞を好んで利用するスペシャリストの糞虫が当地では知らぬ間に絶滅してしまったのかもしれません。
 
以上のような仮説をいくつか立ててChatGPTとブレインストーミングを行い、その結果をレポートにまとめてもらいました。
一部の細かい文言だけ推敲してあります。
結論部分は完全にChatGPTが生成した作文なのですが、あまりにも大言壮語で笑ってしまいます。

 


ニホンカモシカの溜め糞場における糞虫不在現象に関する考察

1. 背景と発端

筆者が調査を行っている山形県の低山・里山域において、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)の溜め糞場では、排泄された糞粒が長期間分解されずに残存している現象が確認された。この糞は形状が崩れることなく保持され、キノコ類等の菌類も発生しにくい。加えて、フン虫(糞虫)類の活動痕跡が見られず、掘り起こし・埋設・球状運搬などの典型的なフン虫行動が全く確認されていない。

この状況は「野生哺乳類の排泄物には必ずそれを分解利用するフン虫類が存在する」という従来の昆虫生態学的通説と矛盾する可能性がある。筆者はこの疑問を基点に、以下のような仮説と解釈を考察した。

2. 既知情報と比較

2-1. 家畜ヤギ・野生シカの糞とフン虫

  • ヤギの団粒糞(ペレット型)は水分量が少なく、液状糞を好む大型コガネムシ(タマオシコガネ類やオオセンチコガネ)の誘引力が低いことが知られている。

  • 奈良公園のシカ糞ではセンチコガネ類が活動するが、同じペレット型でも密度・利用頻度の高さが寄与していると推定される。

  • カモシカは糞場への再訪頻度・個体密度ともにシカより低く、誘引力・検出確率がさらに下がる可能性。

2-2. ノウサギの糞

  • ノウサギ糞もペレット型で、乾燥後は容易に崩壊・土壌化するため、糞虫による積極的な利用は報告例が少ない。

2-3. 捕食性動物(テン、キツネ等)の糞

  • 肉食獣の糞は乾燥しやすく、植物食獣糞ほど糞虫の利用例は少ないが、特定の腐食性昆虫(ハエ類、シデムシ類)が利用する場合あり。

3. 仮説

仮説1:「カモシカ糞には防虫・抗菌成分が含まれる」

  • カモシカの食餌植物由来の二次代謝物(苦味成分、精油成分など)が糞中に残り、フン虫を忌避させている可能性。

仮説2:「フン虫不在型糞リサイクル系の存在」

  • 山地林内ではフン虫ギルド自体が貧弱であり、主に微生物・土壌動物(ダニ、トビムシ等)や物理風化で分解が進む「フン虫不在型系」が成立している可能性。

仮説3:「ボトルネック効果によるスペシャリスト絶滅」

  • 過去の狩猟圧でカモシカ個体群が激減した際、カモシカの糞に依存していたスペシャリストのフン虫類が絶滅した可能性。

仮説4:「カモシカ糞の低い誘引力と周辺フン虫相の組成」

  • 林内フン虫の種数・密度自体が低いため、偶発的にカモシカ糞に到達する個体が稀である可能性。しかし、同所性のタヌキやアナグマの溜め糞、ニホンザルやツキノワグマなどの糞には糞虫が来ていることが説明できない。

4. 思考実験とその考察

  • 奈良公園のルリセンチコガネ(Geotrupes属)のようなペレット糞適応型フン虫を山形県の低山地に人為的に放虫した場合、カモシカ糞の分解促進が期待できるか?→理論的には可能だが、国内外来種問題や気候・繁殖条件の違いにより定着は難しいと考えられる。

  • ノウサギ、カモシカ、ヤギなどペレット糞排泄動物の糞リサイクルは、フン虫が関与しない独自路線を取っている可能性。

5. 今後の調査方針

  1. カモシカ糞粒の化学成分分析(抗菌・防虫物質の検出)

  2. 冬期雪解け後・春先の糞粒の分解状況調査

  3. 林内フン虫相の再評価(マグソコガネ類等の存在確認)

  4. 飼育下カモシカ糞への野外フン虫誘引実験(無菌下設置)

  5. 他地域(中部、関西、九州)のカモシカ溜め糞場との比較調査

6. 結論

ニホンカモシカの溜め糞場におけるフン虫不在現象は、全国的・生態系的に普遍的な現象である可能性が高まった。ただし、化学的忌避・生息地的隔離・進化史的喪失など複数要因が複雑に絡む未解明分野であり、基礎生態学的価値は高い。

「日本山地林内におけるフン虫不在型糞リサイクル系の存在」という仮説は、今後の生態系モデルに新たな視座を提供する可能性がある。

2025/06/13

ツキノワグマの糞塊内に潜むセンチコガネ

 

2024年5月下旬・午前11:10頃・くもり 

山麓の小径を歩いていたら、かなり大きな糞塊を見つけました。 
ニホンザルの糞と迷ったのですが、ツキノワグマUrsus thibetanus)の落とし物でしょう。
道の中央で枯れた落ち葉(広葉樹)の上に残されていました。 
糞塊の表面は真っ黒で、半乾きの状態です。 


15cm定規を並べてみる。




小枝を拾って糞塊をほじくってみると、内部はまだ瑞々しい状態でした。
未消化物は緑色の植物繊維の塊でした。 
植物の若葉を大量に食べたことが分かります。 
この時期のツキノワグマはベジタリアン(植食性)です。 
糞塊をほじくってみても、糞便臭を全く感じませんでした。 
(同じ雑食性でもヒトの大便の方がはるかに臭いです。) 

クマの糞の中にセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が1匹だけ隠れていました。 
この路面は落ち葉の下が硬いコンクリートですから、糞虫たちはいくら頑張っても獣糞を地中に埋めることが出来ません。 
したがって、このセンチコガネはクマの糞を食べていただけでしょう。 
ほじくり出したセンチコガネは、擬死したまま動きません。 
ひっくり返すと、腹面も鈍い金属光沢(構造色)でしたが、オオセンチコガネほど綺麗な玉虫色ではありませんでした。 






クマの糞を見つける度に中をほじくって食性調査(糞内容物調査)の真似事をしてみるのですが、糞虫を見つけたのは今回が初めてで、嬉しい発見でした。 
糞の鮮度がちょうど良かったのでしょう。 
クマの専門家は糞を持ち帰って水洗いしながら網で濾し、小型の糞虫や未消化の種子などを丹念に探すのだそうです。 

関連記事(1、5、6年前の撮影)▶  


山中ならともかく、通い慣れた山麓の小径までクマが降りてきた証拠が残されていたのは衝撃です。 
「熊出没注意!」
熊よけスプレーと熊よけ鈴を携帯していることを改めて確認し、気を引き締めて先に進みます。 


【アフィリエイト】 

2025/06/02

タヌキの溜め糞場を踏んづけて横切るヤマドリ♂【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年5月下旬・午前5:15頃・日の出時刻は午前4:19 

里山でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場ltrがある林道を見張っていると、早朝にヤマドリ♂(亜種キタヤマドリ:Syrmaticus soemmerringii scintillans)が現れました。 
溜め糞の手前で立ち止まって見ていたので、もしかすると糞虫類を捕食しに来たのかもしれません。 
しかし糞虫が見つからなかったのか、左へゆっくり歩いて横切りました。 

関連記事(2年前に別の溜め糞場で撮影)▶ 昼間にスギ林道を歩くヤマドリ♂【野鳥:トレイルカメラ】


我々ヒトの衛生感覚からすると信じられないのですが、このヤマドリ♂は溜め糞を気にせず素足で直に踏んづけて歩きました。 
鳥は嗅覚が鈍く糞便の悪臭も感じないとすると、嫌悪感もないのでしょう。
穿った解釈をすると、鋭い嗅覚を頼りに獲物の足取りを追跡するキツネやテンなどの捕食者を撹乱するために、わざと獣糞の匂いを足の裏に付けたのかもしれません。
この場合、ヤマドリが脳で考えて対捕食者戦略を編み出したとは限りません。
獣糞を迂回して歩く個体よりも、無頓着に獣糞を踏んで歩く個体の方が捕食者によって狩られる頻度が下がれば、そのような性質が自然淘汰の結果として進化するはずです。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
綺麗なフルカラーでヤマドリ♂を撮れなかったのが残念です。



2025/05/25

ニホンカモシカの溜め糞場から生えてきたクズヒトヨタケ?【キノコ】

2024年5月下旬・午前 

里山にあるスギと雑木の混交林でニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2をトレイルカメラで定点観察しています。 
カメラの保守管理のため久しぶりに現場入りしました。 
 「溜め糞場」と言っても実際には、林床に糞粒の塊が何箇所にも分散しています。
溜め糞場の全景を撮った写真です。 
最後の写真は、アカマツの幹に固定したトレイルカメラと同じアングルから撮ったものです。
 

最も新鮮で瑞々しい糞粒は、表面が深緑色です。 
カモシカが食べた植物の葉緑素が含まれているのでしょう。 
カモシカが4日前に排便したものと思われます。 


 

真っ黒な糞粒はもう少し古いようで、さらに古くなると艶がなくなり茶色になります。

少し古い糞塊から、白いキノコがヒョロヒョロと育っていました。
写真に撮って画像検索(Googleレンズ)してみると、どうやらヒトヨタケ科のクズヒトヨタケである可能性が高いようです。

クズヒトヨタケはいわゆる「アンモニア菌」(ammonia fungi)の一種であり、動物の糞や窒素分の豊富な環境で発生する典型的な糞生菌(coprophilous fungi)です。
動物糞の分解初期に現れるらしいのですが、クズヒトヨタケの子実体は一晩で溶けてしまうほど短命で、観察機会が限られるため見逃されやすいのです。

また別の古い糞塊では、表面に粉を吹いていました。 
カビや菌類が生えかけているのでしょうか? 

カモシカの溜め糞に注目して、そこからキノコやカビが生えて分解される様子を接写のタイムラプス動画で記録してみたいものです。
しかし、設置したカメラにカモシカの糞尿が直撃する可能性があるので躊躇しています。
それともカモシカはカメラという人工物の出現に警戒して、溜め糞場に近寄らなくなってしまうかな?


不思議なことに、私はカモシカの溜め糞場で糞虫を1匹も見つけたことがありません。
この点がタヌキやアナグマの溜め糞場と異なります。
カモシカの古い溜め糞が林床でいつまで経っても分解されずに残っているのです。
その理由についてあれこれ妄想しています。 
私のフィールドでは生態系のバランスが何か崩れているような気がしています。

カモシカの糞はほぼ無臭で、いわゆる糞便臭がありません。
糞虫にとってあまり魅力がないのでしょうか?


与えるサルと食べるシカ: つながりの生態学』という本を読んでいたら、興味深い記述を見つけました。
 東北地方では、明治時代にサルが乱獲されて個体数が激減した。最近こそ回復傾向にあるが、多くの地域では、猿がいない森林が100年近く続いたことになる。(中略)猿が不在の森や最近サルが新たに進出した森では、糞虫の種多様性が著しく低いことがわかった。 (p157より引用)
東北地方のサルの分布が限られている(中略)大きな理由は、明治期に肉や薬にする目的で盛んに行われた狩猟による、地域的な絶滅だ。(p181より引用)


当地ではニホンザルが昔も今も里山に生息していますが、ニホンカモシカが狩猟圧によって一時期は絶滅に瀕していたのではないか?と想像しています。

特別天然記念物に指定されて保護されたのが奏効し、現在ではカモシカの数が増えて、里山(低山)でもありふれた哺乳類になりました。

その結果、カモシカの糞を好んで分解していたスペシャリストの糞虫類が絶滅してしまい、カモシカの生息数が回復しても糞虫類は戻ってきてないのかもしれません。(個人的な妄想・仮説です)


このような個人的な妄想をPerplexity AIとブレインストーミングした問答集をレポートにまとめてもらいました。

レポート:カモシカの糞と糞虫分解系に関するブレインストーミング


1. はじめに

本レポートは、山形県多雪地帯の里山フィールドにおけるカモシカの溜め糞と糞虫の関係について、現地観察と素朴な疑問を出発点とし、ブレインストーミングを通じて得られた知見と仮説をまとめたものである。


2. 現地観察の概要

  • カモシカの溜め糞が林床に長期間残り、分解が非常に遅い。

  • タヌキやアナグマの溜め糞場にはセンチコガネなどの糞虫が集まり、分解が進んでいる。

  • カモシカの糞にはカビやキノコなどの分解者もほとんど見られない。

  • カモシカの糞粒はほぼ無臭で、タヌキの糞に比べて糞便臭が弱い。


3. 主な仮説と考察

3.1 糞虫の不在・機能的絶滅仮説

  • 過去の狩猟圧などでカモシカが一時的に絶滅し、それに依存していた糞虫も局所絶滅した可能性。

  • カモシカの個体数が回復しても、糞虫は分散能力や気候適応性の制約により戻っていない可能性。

3.2 餌資源としての魅力の低さ

  • カモシカの糞は乾燥しやすく、臭気成分が乏しいため、センチコガネなどの糞虫にとって魅力が低い。

  • タヌキやアナグマの糞は水分や動物性成分が多く、糞虫を強く誘引する。

3.3 栄養バランス・分解者忌避仮説

  • カモシカの糞は繊維質が多く、発酵や微生物の多様性が乏しいため、幼虫の発育に適さない可能性。

  • カモシカが抗菌・忌避成分を含む植物を好んで食べている場合、糞中にこれらの成分が残り、糞虫やカビ、キノコの分解を阻害している可能性。

3.4 餌資源の希少性と糞虫の生態

  • カモシカの個体数密度が低く、糞の供給量も少ないため、糞虫にとっては「当てにならない」希少な資源であり、専門的に利用する種が成立しにくい。

3.5 糞虫導入による分解サイクル復活の可能性

  • オーストラリアの糞虫導入事例を参考に、他地域からカモシカ糞分解糞虫を移植すれば分解サイクルが復活する可能性はあるが、気候適応や生態系リスクの検討が必須。

  • 多雪地帯では、暖地性糞虫の越冬能力が不足し、定着が困難。

3.6 「もともと分解糞虫がいなかった」可能性の検証

  • 歴史的文献・標本記録、広域比較調査、気候・環境要因の検討を通じて、当地にカモシカ糞分解糞虫が「もともといなかった」可能性も調べる必要がある。


4. 今後の調査・検証の方向性

  • 過去の文献・標本調査や、他地域との比較による検証。

  • カモシカ糞の化学分析や分解実験による忌避・抗菌成分の有無の確認。

  • 糞虫導入のシミュレーションや、現地での分解サイクルの実験的再構築。


5. まとめ

本ブレインストーミングを通じて、カモシカの糞分解サイクルが途絶している現象には、動物の個体数動態、糞の性質、分解者の生態、地域環境の多様な要因が複雑に絡み合っていることが浮かび上がった。
今後は、フィールド観察と広域的・歴史的な視点を組み合わせ、糞虫と分解者ネットワークの成り立ちと変遷を明らかにしていくことが重要である。


見落としがちな視点・新しい仮説

あなたの観察と仮説は非常に多角的ですが、さらに検討できる新しい視点や仮説をいくつか挙げます。


1. カモシカの糞の社会的機能と分解抑制仮説

最新の研究では、カモシカの溜め糞がなわばり宣言ではなく、「メスがオスへ発情をアピールするため」に使われている可能性が指摘されています9
この場合、糞が長期間残ること自体がカモシカの社会的コミュニケーションにとって有利であり、分解されにくい性質(抗菌成分、乾燥しやすさ、無臭化など)が進化的に選択された可能性もあります。
つまり、「分解されにくい糞」は、カモシカ自身の生態的戦略の一部かもしれません。


2. シカとの種間関係・競争の影響

近年、シカ(ニホンジカ)の分布拡大が東北地方でも進んでおり、カモシカとの生息地競争やストレス増加が報告されています1013
シカの糞虫群集がカモシカの糞虫群集に影響している可能性や、シカの増加によってカモシカの糞虫が駆逐・交替した可能性も考えられます。
また、シカの糞が大量に供給されることで、糞虫がシカ糞に依存するようになり、カモシカ糞は相対的に利用されなくなった可能性もあります。


3. 糞の識別・誤認による調査バイアス

カモシカとシカの糞は外見が非常に似ており、DNA識別法が開発されるまで正確な区別が難しかったことが指摘されています12131415
過去の糞虫観察記録や分解状況の報告が、実はシカ糞とカモシカ糞を混同していた可能性もあり、糞虫が本当にカモシカ糞を利用していたかどうか再検証が必要です。


4. 微生物・土壌環境の特殊性

糞虫やカビ・キノコが付かないのは、糞そのものだけでなく、**フィールドの土壌微生物群集や環境条件(pH、含水率、他の有機物供給状況など)**が影響している可能性もあります。
例えば、分解者の「種のプール」がそもそも貧弱である場合、どんな糞でも分解が遅れることがあります。


5. 季節性・積雪の影響

多雪地帯では、糞虫や分解者の活動期間が短く、糞が分解される前に積雪で覆われてしまうことで、分解サイクルがリセットされている可能性も考えられます。
春先に糞虫が活動を始める頃には、糞がすでに乾燥・風化していて利用しにくくなっているかもしれません。


6. カモシカ糞の化学的多様性

カモシカの餌植物は季節や地域で大きく異なります。特定の時期や場所だけ分解者忌避成分が強くなる場合もあり、糞の分解難易度が一様でない可能性もあります。


まとめ

  • カモシカの糞が「分解されにくい」こと自体が社会的・進化的な適応である可能性

  • シカとの種間競争や糞虫群集の変化

  • 糞の識別誤認による過去データの再検証

  • 土壌や微生物環境の特殊性

  • 多雪地帯特有の季節性・リセット効果

  • 糞の化学的多様性と分解難易度の変動

これらの視点は、今後のフィールド調査や実験計画の新たな切り口となるでしょう。

(参考文献リストは割愛。)


なんか一丁前の研究計画のようなものが出来てしまいました。
最近のAI凄くないですか? (私の好みは今のところPerplexity AIです。)



実は翌年(2025年5月上旬)に初めて1匹のオオセンチコガネをカモシカの古い溜め糞場で発見することになります(映像公開予定)。

私の仮説は修正を余儀なくされそうです。

しかし、カモシカの溜め糞に集まる糞虫の数が相変わらず非常に少ないことには変わりがありません。



【アフィリエイト】

きのこと動物 

ニホンカモシカの生活

うんち学入門 生き物にとって「排泄物」とは何か (ブルーバックス) 

2025/05/24

溜め糞場に来て糞粒を排泄するニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年5月中旬 

シーン0:5/6・午後13:49・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
ニホンカモシカCapricornis crispus)が通う溜め糞場sr2を見張るために、自動センサーカメラを里山の雑木林(スギとの混交林)を抜ける獣道に設置しています。 


シーン1:5/17・午後19:26(@0:03〜) 
晩にカモシカが珍しく手前の獣道から来て、溜め糞場sr2の匂いを嗅いでいます。 
肛門がよく見える後ろ姿で立ったまま、排便を始めてくれました。 
糞粒をポロポロと大量に排泄しています。 
下痢便ではありませんが、同時に水分もかなり排出しています。
カモシカは大腸による水分の吸収が弱いのでしょうか。
脱糞中にときどき尻尾を上下に動かしています。 
手前の下草が邪魔で、地面に落ちた糞粒は見えません。 

1分半の録画時間では短くて、最後まで見届けれれませんでした。
(脱糞シーンを狙うなら、2分間に設定すべき。) 


シーン2:5/17・午後19:28(@1:33〜) 
次に監視カメラが起動したときには、排便後のカモシカが右へ立ち去るところでした。 
珍しくミズナラ立木の手前を通って暗闇の斜面を登って行きます。 
カモシカが通りすがりに足の蹄で灌木(樹種不明)の根元を踏んでしまい、枝葉が大きく揺れました。 

今回はカモシカの性別を見分けられませんでした。 



2025/05/22

ミズナラの幼木に出来たナラメリンゴフシ【虫こぶ】

2024年5月上旬

里山の細い林道の脇に自生するミズナラ幼木の群落で白いピンポン玉のような物が目に付きました。
ナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)の両性世代がナラ類の芽に形成した虫こぶらしい。
細い枝の分岐点で大きく膨らんだ虫こぶの表面はまだ黄緑色で、少しだけ赤く色づき始めていました。

以前もミズナラに寄生しているのを見つけています。

関連記事(8年前の撮影)▶ ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】#1 
定点観察した連載記事#1〜#6。


【アフィリエイト】

2025/05/18

獣道でノイバラの棘に引っかかった抜け毛はホンドタヌキの物か?【フィールドサイン】

2024年5月中旬・午後・晴れ 

休耕地にあるホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の営巣地をトレイルカメラで定点監視しています。 
休耕地から隣接する二次林には獣道が形成されています。 
春になって二次林の下生えでノイバラが若葉を開いて育ち始めました。 

トレイルカメラの保守管理のために私が現場入りすると、ノイバラの棘だらけの茎に白っぽい獣毛が引っかかっていました。 
獣道を往来するホンドタヌキの抜け毛と思われます。 
山形県で5月中旬はホンドタヌキの換毛期に当たるので、特に冬毛(ふわふわしたアンダーコート)が抜け落ちやすくなっていたのでしょう。 
毛が生え変わり終わると、ノイバラの藪をタヌキが通っても、あまり抜け毛が引っかかることはなくなるらしい。 
つまり、ノイバラの棘にタヌキの抜け毛がよく引っかかるのは主に換毛期特有の現象であり、換毛が終わればそのような抜け毛の痕跡はほとんど見られなくなるそうです。 

付近に設置したトレイルカメラに写る映像から、タヌキ以外にもアナグマやキツネなど他の野生動物(あるいは近所のイエネコ)の可能性もありそうです。 
ただし、トレイルカメラに写る頻度が最も高いのはタヌキです。
DNA鑑定しないと同定するのは無理ですかね? 
念のために、ノイバラの茎ごと採取して持ち帰りました。 

この件について、いつものようにPerplexity AIとブレインストーミングしてみました。
ノイバラの棘に引っかかったふわふわのアンダーコート(抜け毛)に毛根が含まれている可能性は低いです。 換毛期に自然に抜け落ちる毛(特にアンダーコート)は、通常「自然脱落毛」と呼ばれ、これは毛根(毛球や毛乳頭)が付かずに抜け落ちることが多いです。毛根は皮膚にしっかりと埋まっており、動物が強く引っ張られた場合や、何らかの力で無理に抜けた場合には毛根が付着することがありますが、自然な換毛や摩擦による脱落では毛幹部だけが残ることが一般的です。 DNA検査で高い確率で個体識別や種判定を行うには、毛根が付いた毛が必要です。毛幹部(毛根なしの毛)からも微量のDNA(主にミトコンドリアDNA)は抽出可能ですが、成功率は低くなります。特に野外で自然に抜け落ちたアンダーコートの場合、毛根が付いていることは稀です。 したがって、ノイバラの棘に引っかかったタヌキの抜け毛でDNA検査を確実に行いたい場合、毛根が付いているかどうかを顕微鏡などで確認する必要があり、ほとんどの場合は毛根が付いていないと考えられます。

関連記事(1年前の撮影)▶ 野生ニホンカモシカの抜け毛【フィールドサイン】


余談ですが、トレイルカメラで撮れた映像を見ると、タヌキやアナグマなどがときどき痛々しく跛行しているときがあります。 
しばらく日数が経つと、その症状は自然に回復しています。 
獣道を歩く際にノイバラなど棘の鋭い植物を誤って踏んでしまい、足の裏に棘が刺さって痛むのではないかと推測しています。 
ノイバラの藪が繁茂すると、野生動物は痛い棘を嫌って自然と迂回するようになるはずです。 (獣道の変更)
ノイバラの花には様々な昆虫が集まりますし、赤い果実は野鳥が食べます。 
このように、ノイバラと野生動物との関わりにも様々な局面があるのです。 


【アフィリエイト】 

ランダムに記事を読む