2020/05/09

越冬地を探索するオオスズメバチ新女王



2019年11月上旬・午前10:30頃・晴れ

郊外の田畑を灌漑する農業用水路沿いでオオスズメバチVespa mandarinia japonica)の新女王が低空飛行で往復していました。
かなり大型の♀なので、ワーカーではなく新女王蜂だと思います。
忙しない探索飛翔をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
続けてリアルタイム(等倍速)でリプレイ。

防風林の落ち葉が積もった用水路沿いの地面に着陸するとオオスズメバチ新女王はウロウロと歩き回り、ときどき落ち葉の下に潜り込みました。
冬越しできる安全な場所を探索しているのでしょう。
しかし結局ここは地面が硬過ぎて気に入らなかったようです。
日の当たる枯葉の上で触角を前脚で拭うと、再び飛び立ちました。
今度は少し高度を上げると、右に左に激しく飛び回り、どこかへ飛び去ってしまいました。
本種の新女王は冬が来る前に地中に穴を掘って潜り込み、単独で越冬するのだそうです。
しかし、私は未だ実際に探し当てたことはありません。

今回の行動を見て私は直感で越冬地探索だと思いました。
用水路に隣接する雑木林(防風林)の林床で冬越ししそうな気がします。
11月上旬では未だ早いかもしれませんが、例年だとそろそろ初雪が降ってもおかしくはありません。※
別な解釈として、狩りのため獲物を探索していた(探餌飛翔)可能性もありますかね?
落葉層の下に隠れている昆虫を狙っているのだとしたら、具体的に何でしょう?

※ 2019〜2020年は暖冬で、撮影現場の平地でようやく初雪が降ったのは11月下旬でした。


【追記】
小野正人『スズメバチの科学』によると、
オオスズメバチやヒメスズメバチは原則的に地中で越冬するが、その発見は困難である。
土中で単独越冬するオオスズメバチの女王蜂。(p50−51より引用)



オオスズメバチ新女王@地表落葉+越冬地探索


枯れたヨシ原で鳴く♪カシラダカ(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午後14:45

河川敷のヨシ原で冬羽のカシラダカEmberiza rustica)が枯れて倒伏したヨシの茎に止まっていました。
性別は不明です。
私に対して緊張・警戒しているようで、冠羽を逆立てています。
小声で断続的にチッチッ♪と鳴いていました。(地鳴き)


(カシラダカの)地鳴きは「チッ、チッ」で、ホオジロより弱い声である。(山渓カラー名鑑『日本の野鳥』p506より引用)



▼関連記事(5年前の撮影)
カシラダカの地鳴き♪を声紋解析してみる【冬の野鳥】

ハシブトガラスが鳴きながら上空を飛来すると、カシラダカも飛んで逃げました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。




2020/05/08

交尾後ガード中のキボシカミキリ♂は浮気できない



2019年10月下旬・午後16:10頃・晴れ(日の入り時刻は午後16:41)


▼前回の記事
キボシカミキリ♂同士の喧嘩(強奪した♀と交尾)


西日を浴びたヤマグワの幹にキボシカミキリPsacothea hilaris hilaris)の♀p♂1ペアおよび単独♀sが居ました。
♀2匹はそれぞれ樹皮を齧って産卵加工しています。
♂pは長い触角を真横に広げ、♀pの背後で静止しています。
マウントしているものの交尾器は結合していないようなので、おそらくリッキングしながら交尾後ガードしているのでしょう(配偶者防衛)。

どうやら♀sは齧っていた場所が産卵に向いていないと判断したようで、別の産卵適地を探してヤマグワの幹を上に登り始めました。(@0:34)
上に陣取っていた♀♂pペアに♀sが触角で触れ、なぜか♀pに接近しました。
しかし結局、♀♂pペアから離れて更に上へ登って行きます。
♂pは自分の触角で♀sの存在に気づいたはずなのに、特に何もアクションを起こしませんでした。
ライバル♂に対するときのように敵対的に追い払わなかったということは、♀体表に存在するコンタクトフェロモンによって戦う必要のない♀だと認識していたのでしょう。
♂が新しい♀に乗り換えて浮気することもありませんでした。
交尾相手♀が産卵するまで一夫一妻で密着マークした配偶者防衛が必要なキボシカミキリ♂は、ハーレム(一夫多妻制)になれないのでしょう。

周囲にライバル♂が全く居ない状況であれば♂は交尾後ガードする必要がなくなり浮気し放題のはずですけど、実験してみたらどうなるか興味があります。
キボシカミキリは視力が悪くて触角頼みなので、「周囲にライバル♂が全く居ない状況」だと認識するのが困難かもしれません。
一方、♀pは産卵加工に夢中で、近寄って来た♀sが触れても全く無反応でした。
この結果からキボシカミキリの♀同士の争い(嫉妬?)は無いのかと私は思ったのですが、専門家によると♀同士で喧嘩することもあるらしいです。

奥が深いですね。

深谷緑『キボシカミキリの配偶行動と生態情報利用、体サイズ』によると、

 キボシカミキリは寄主上で♂、♀共に徘徊、待ち伏せをするが、♂の方がより活発に歩き回る。しかし雌雄とも、ごく近くに異性が存在しても直接に触る前に相手に気づいているようには見えない。(中略)キボシカミキリは接触する前に配偶者を認識し、定位するとは考えられていない。 (『カミキリムシの生態』第5章p160より引用)

同じ著者が公開している文献をPDFファイルでダウンロードして読むと、

キボシカミキリやマツノマダラカミキリにおいては雄どうし, 雌どうしの闘争行動がみられる. また奇妙なことにキボシカミキリでは雌 どうし(12), マツノマダラカミキリでは雄どうし(1)のマウント行動が観察されている.
(深谷緑 "さわってわかるキボシカミキリの雌と雄" 化学と生物 34(2) 92-95 1996年2月)





ここからは余談です。

余談その一(映像の後半について)。

幹の左側に独身♂xが登場し、どんどん上に登って行きます。(@1:07)
そこで交尾後ガード中の♀♂yペアと遭遇しました。
映像で見えているのは♂yだけですが、これ以降の行動から配偶者防衛中だと推測されます。
おそらく幹の陰で♀yが産卵加工しているのでしょう。
♂xが♀♂yペアの間に割り込もうとしましたが、♂yが怒ってお邪魔虫♂xを追い払いました。
体格を比べると明らかに♂x<♂yなので、あぶれ♂xが喧嘩に負けたのは納得です。
♂yは配偶者防衛戦に勝ちました。
負けたあぶれ♂xはすごすごと幹を登って行きます。
右後ろには♀sが単独で登って来ているのに、♂xは存在に気づいていません。
独居♀♂同士が出会ってカップル成立するまでの過程を残念ながら観察できませんでした。

次に機会があれば、特定の♀♂ペアをじっくり長撮りして、多回交尾(精子置換)を観察してみたいものです。
日没後に行われる産卵行動を暗視カメラで夜通し撮影するのも今後の宿題です。


余談その二。

この1本のヤマグワの木に集合した個体数を最後にカウントすると、♀♂ペアが7組、単独個体(あぶれ♂?)が3匹の計17匹でした。
(単独個体は常に動き回っている上に、日没後の暗闇でカウントしたので、数え漏れなどの誤差があるかもしれません。)
これほど多数のキボシカミキリを一度に見たのはこれが初めてです。

ここは東日本なのに、今回私が見たキボシカミキリは全て、なぜか前胸背の縦線が途切れる西日本型でした。(下記掲載の写真を参照)
新谷喜紀『キボシカミキリの生活史と休眠』によると、

日本本土のキボシカミキリの2型。前胸背の斑紋が中断するか連続するかが異なっている。 (『カミキリムシの生態』第6章p195より引用)

おそらくクワやイチジクなどの苗木を西日本から移植した際に本種幼虫が材中に潜んでいて、分布を東日本に拡大した結果と考えられます。


ちなみに、宮沢輝夫『山形昆虫記』に掲載されたキボシカミキリの写真も西日本型でした。

県内でよく見られるようになったのは近年のこと。
県内では1970年代に生息が確認され、数を増やしている。(同書より引用)


鈴木知之『新カミキリムシ ハンドブック』でキボシカミキリを調べると、
本州には前胸背板両側の縦条が分断される関西型と完全な関東型が知られ、DNA解析の結果、前者は中国大陸、後者は台湾からの移入と考えられている。関東地方には関西型も普通にいて、互いに交雑している。(p86より引用)




シリーズ完。



水浴直後に川から飛び立つカワウ(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午後12:45

1羽のカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が川でバシャバシャと行水しています。
水浴後にカワウが羽ばたきながら川面を助走してから下流へ飛び立ちました。
飛び去ったカワウは低空で少し羽ばたいただけで滑空し、着水しました。
右岸に集まっている仲間の群れ(コロニー?)に合流したようですが、手前に生い茂った落葉灌木林の死角に隠れてしまいました。
わざわざ飛んで行かなくても川の流れに乗って下流へ遊泳してコロニーに向かう方が楽だと思うのですが、体力的に元気いっぱいなのでしょう。(あるいは横の堤防を誰かが通りかかってカワウが警戒したのかもしれません。)

続けて1/5倍速のスローモーションでリプレイをご覧下さい。
背後から撮っても、両足跳びで助走していることがよく分かります。
完全に離陸するまで、力強く羽ばたく左の翼の先端で水面を打っていました。
離陸直後に低空飛行しながら尾羽を左右に激しく振ったのに(水切り?)、飛行の方向や安定性に影響しないのが不思議でした。

カワウは羽根の水気を切らなくても水面から直接飛び立てることが分かりました。
羽繕いを普段から欠かさなければ、羽根が濡れても油分が水を弾いてさほど重くならないのでしょう。


カワウ(野鳥)@川面+助走+飛翔

2020/05/07

五月蝿いハナアブ類を追い払いながらセイタカアワダチソウの花蜜を吸うウラナミシジミ♂



2019年10月下旬・正午頃・晴れ

川の土手に咲いたセイタカアワダチソウの群落でウラナミシジミ♂(Lampides boeticus)が訪花していました。
花穂を歩き回りながら一心不乱に吸蜜しています。
閉じた翅の隙間から見える翅表が青いので♂と判明。

様々な種類のハナアブ類やキンバエなども多数集まって花粉や花蜜を舐めています。
ハナアブ類が近くに飛来するとウラナミシジミ♂は翅をピクッと素早く開閉するも、逃げ出すことなく吸蜜を続けています。(@1:28、1:37、2:34、2:58)
五月蝿いハナアブを翅で威嚇して追い払っているのでしょう。

最後にようやく飛んで別の花穂に移動しました。


翅表
翅裏


冬の川で頭突きの喧嘩をするカルガモ(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午前10:50頃・晴れ

川面に浮いた2羽のカルガモAnas zonorhyncha)が正面から向かい合い、至近距離で睨み合っています。
互いに嘴で突ついたり頭で押したり(頭突き)して争っていました。
喧嘩に負けた右側の個体が逃げて行きました。
勝った左の個体もしつこく追いかけたりしませんでした。

喧嘩の原因は何だったのか、見逃したのが残念です。
性別を知りたいところですが、カルガモは性的二型ではないので外見で性別が分からないのです。
繁殖期が近づき、気が立った♂同士が(♀を巡って)争うようになったのかな?

カルガモの喧嘩は突発的に始まりすぐに終わるため、動画でなかなか記録しにくいのです。


▼関連記事
夏の川で頭突きの喧嘩をするカルガモ(野鳥)
池で頭突きの喧嘩をするカルガモ(野鳥) 




2020/05/06

菊の花蜜を吸うニホンミツバチ♀



2019年11月上旬・午前10:50頃・晴れ

郊外で民家の庭の花壇に咲いた赤紫色の菊(園芸品種)にニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。
筒状花を歩き回りながら吸蜜する蜂の体には黄色い花粉が付着していましたが、後脚の花粉籠は未だ空荷でした。

辺りに菊の花から良い芳香が漂っていました。
実はセイヨウミツバチ♀も見かけたのですけど、そちらの訪花シーンは撮り損ねてしまいました。




川面で羽繕いするエクリプス換羽中のミコアイサ♂(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午前10:00〜10:50頃・晴れ

川に浮かぶカルガモの群れに見慣れない水鳥が1羽混じっていました。
白っぽい羽できれいな鳥で目の周りがパンダのように黒く、お洒落な白黒ツートンカラーの装いです。
鳥の図鑑で調べてみると、ミコアイサ♂(Mergus albellus)でした。
しかもエクリプス羽が換羽中の個体です。
冬鳥が単独で渡来したのでしょう。
ミコアイサ♀の姿はありませんでした。

川の流れに乗って漂いながら水面で入念に羽繕いし、ときどき水掻きで流れに逆らって上流へ戻る、という行動を長々と続けています。
羽繕いの合間に川面で伸び上がりながら羽ばたきました。
尾脂腺の油分を嘴で全身の羽毛に念入りに塗り広げています。
体力を消耗するのにどうしてわざわざ川の流れに逆らいながら羽繕いするのか、理解に苦しみます。
岸辺に上陸すれば落ち着いて羽繕いできそうに思うのですが、水上の方が安心なのでしょう。

本流に用水路が流れ込む地点がお気に入りのようで、最後はスピードを上げて川面を横断し、そこに向かいました。
登場する水鳥2種の体格を比べると、カルガモ>ミコアイサ♂でした。

※ ブラインド内から隠し撮り。
あまりにも美しい初めて見る水鳥なので、長々と撮ってしまいました。

つづく→ミコアイサの潜水漁




2020/05/05

キボシカミキリ♂同士の喧嘩(強奪した♀と交尾)



2019年10月下旬・午後16:30頃(日の入り時刻は午後16:41)

▼前回の記事
キボシカミキリ♂同士の喧嘩(配偶者防衛に成功)

寄主植物ヤマグワの幹のあちこちでキボシカミキリPsacothea hilaris hilaris)の配偶者防衛(交尾後ガード)が繰り広げられています。
この記事では、♂が防衛戦に破れライバル♂が♀を強奪した1例を紹介します。

桑の幹に下向きになり産卵加工および交尾後ガードしている♀♂gペアの背後から独身のあぶれ♂hが迫って来ました。
配偶者♀を守る♂gは振り返らず、♀の背に覆いかぶさるようにマウントしたまま対抗します。
長い触角を振り立ててライバル♂hを払いのけようとしました。
今回のあぶれ♂hはすぐに♀♂gペアの間に割り込むのではなく、珍しい戦法を繰り出しました。



なんと、あぶれ♂hが交尾♂gの左触角の根元に背後から噛み付いたのです。(@0:20)
鋭い大顎で対戦相手♂gの触角を力任せに噛み切るのではなく、咥えた触角を上に引っ張り上げようとしているようです。
♀から♂gを引き剥がそうという作戦なのでしょう。
触角を咬まれた♂gは急に戦意喪失し、なんとか振りほどくと逃げ出しました。
勢いに乗った♂hは長い触角を使って♂gを♀から押しのけます。
このとき対戦相手♂gを一瞬見失った♂hが、顔を♀の下から潜り込ませて♀の腹端をグイグイ押し上げたのが興味深く思いました。
闘争中の興奮状態とは言え、キボシカミキリの視力は良くないことが改めて分かりました。

一旦離れて体勢を整え直した♂gが振り返って♂と正面から対峙しました。
触角の根元を使ったスタンダードな押し相撲になっても、♂hが勝ち切りました。
負けを悟った♂gが配偶者♀を残して敗走すると、勝者♂hはしつこい追撃をしませんでした。
交尾後ガードする♂が喧嘩に負けて♀を奪われるシーンを初めて目撃した私は、とても興奮しました。
キボシカミキリ♂同士の喧嘩では体長の大きな個体が勝つらしいのですが、今回対戦した♂2匹の体格が本当に敗者♂g<勝者♂hかどうか定かではありません。
マクロレンズで接写したことで大迫力の格闘シーンが撮れたものの、逆に♂の全身の長さ(体長)がよく分からなくなってしまいました。
独身♂gの作戦勝ちという可能性もありそうです。
背後から襲いかかる戦法を卑怯と非難しても仕方がありません。
もし少しでも勝率の高い必勝法だとすれば、いずれこの戦法が広まるでしょう。
相手触角への噛みつき攻撃を見たのはこれが初めてです。
触角が途中で欠損したカミキリムシをたまに見つけるのは、こうした激しい♀争奪戦の結果でしょうか?
♂の触角は♀を探索したり♂同士で戦ったりするのに必須ですから、片方でも失っては大変です。

カミキリムシの触角は、匂い、接触化学感覚、圧力、接触感覚などを受容する多種感覚情報受容器官なのである。 (『カミキリムシの生態』第5章p162より引用)
あるいは喧嘩中に相手の触角を噛み切ることはしないという紳士協定(武士の情け)があるのかもしれません。

♂同士が争っている間も♀はひたすら樹皮齧って産卵加工を続けていました。
♀としてはどちらが勝とうがお構いなしで喧嘩に勝った強い♂と交尾して精子を受け取ればそれで良いのかと思ったのですが、『カミキリムシの生態』という専門書を読むとそんな単純な話ではありませんでした。

 昆虫の♀は体が小さい♂を好まないことが多い。カミキリムシにおいても同様である。キボシカミキリの♀は、♂をマウント時に蹴飛ばす、逃走するなど交尾拒否行動を示すことがある。 (深谷緑『キボシカミキリの配偶行動と生態情報利用、体サイズ』p171より引用)
今回の観察で私はキボシカミキリ♀が交尾拒否する例を見ていません。


・一般的に♀をめぐる♂同士の闘争においては体サイズが大きい方が有利なことが多いとされている。(中略)キボシカミキリでは、特にサイズが近い雌雄同士で交尾が成立しやすいということもなかった。(p172より)
大きな♂よりもむしろ小さな♂の方が積極的に♀にアプローチする(中略)一方大きな♂は鈍く、♀に反応しないことが多い。 (p172より)
・小さな♂はそのフェロモン感受性を高め敏感にすることで、♀に対して活発に接近、交尾試行を行うと考えられた。交尾の機会を増やすことで、繁殖上の不利を挽回することにある程度成功していると予想された。 (p173より)


勝ったあぶれ♂hが♀と体軸の向きを揃えてマウントすると、直ちに交尾開始。(@0:55)
♂hは♀の背中を口髭で舐めています。
リッキングが効いたのか、♀は従順に新しい♂を受け入れました。
焦げ茶色で先が尖っている♂腹端が割れると、体内からおそろしく長い黄色の交尾器が伸びてきました。
その先端は♀の腹端にある産卵管?(褐色の円筒状)に挿入しています。
交尾中も♀はひたすら樹皮齧って産卵加工を続けていました。
♀の前傾姿勢は交尾を受け入れやすくするためかもしれません。

♂hが交尾器を引き抜くと、細長くねじれた黄色いペニスはくるくると縮んで腹端に格納されました。(@2:16)
♂交尾器は最大限伸ばすと、ほぼ♂腹部と同じ長さになり驚きました。
一方で♀の方は交尾後もしばらくは腹端から産卵管?が伸びたままでしたが、最終的には体内に格納されていました。

新しく誕生した♀♂hカップルの交尾は意外にも短時間で終わりました。
これは本当の交尾ではなく、前の♂gが残した精子を♀の体内から掻き出す「精子置換」行動だと思われます。
キボシカミキリ♂は短時間の精子置換を何度も繰り返してから、長時間の交尾で自分の精子を♀に送り込む(射精)のだそうです。
しかし予備知識がなかった当時の私は、激戦の余韻を味わいながらも満足してしまい、この♀♂hペアから目を離してしまいました。

つづく→交尾後ガード中のキボシカミキリ♂は浮気できない


川に飛来・着水したカワウが岸のコロニーに合流(冬の野鳥)



2019年12月中旬・午後12:50頃・晴れ

川の上流から飛来した1羽のカワウPhalacrocorax carbo hanedae)がスーッと滑空して川面に着水しました。
川面を横切って進み、右岸のカワウ・コロニーに合流しました。
新参の個体が空いていた川岸の倒木に飛び乗ると、すぐに羽繕いを始めました。

映像で数えると、計11羽のカワウが集合しています。
秋に襲来した台風19号の増水で川岸が侵食され大量の倒木が生み出された結果、カワウが以前よりも多数集まるようになったのです。
(あるいは私が知らなかっただけで、毎年冬になると、ここにカワウが集まるようになるのかもしれません。)


カワウ11群れ(野鳥)@川岸:倒木コロニー+羽繕い+羽根乾燥

2020/05/04

桑樹上の巣から飛び出すコガタスズメバチ♀



桑の木に営巣したコガタスズメバチ#2


2019年10月下旬・午前11:30頃・晴れ
▼前回の記事
コガタスズメバチ♀の巣をヤマグワ樹上に見つけた!【HD動画&ハイスピード動画】

15日ぶりに営巣木ヤマグワの様子を見に来てみると、幸いコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣は未だ駆除されずに残っていました。

巣を1分間長撮りすると、1匹の♀が巣口から外に出てきて飛び去りました。
ワーカー♀だと思うのですが、新女王の可能性もありそうです。
すぐに次の門衛が中から巣口を塞ぎました。
前回よりも巣に出入りする蜂の数が激減していて、コロニーの勢いは衰えているようです。
外被の増築は全く行われていません。
今季の活動を全うしたコロニーは、じきに解散しそうです。

桑の黄葉が進んでいました。
これから霜が降りたり雪が降る前に落葉するでしょう。


つづく→晩秋にコガタスズメバチの巣を桑の木から採集【暗視映像】






↓【おまけの動画】
6日後の11月上旬に再び巣を見に行くと、蜂の出入りは無くなっていました。
ブログ限定で公開します。




池で遊泳するホシハジロ♀♂(冬の野鳥)



2019年12月上旬

カルガモの群れに混じって、今まで見たことのない新顔のカモが溜池に来ていました。
図鑑で調べてみると、ホシハジロAythya ferina)の♀♂つがいでした。
冬鳥が渡来したのでしょう。

岸辺でカメラを構えた私を警戒して、ホシハジロ♀♂は私から離れるように水面を逃げて行きます。
いつも♀が先導し、♂がそれについて行きます。
♂が♀の尻を追い回しているようにも見えます。
同種のライバル♂が居ないのに、交尾前ガードしているのでしょうか?

途中で♂が嘴を水に浸したのは、水を飲んだのかな?

他にはマガモ♂も映像に登場します。
水面ですれ違っても互いに無反応でした。



▼関連記事(1ヶ月後に川で撮影)
川面を泳ぐホシハジロ♂(冬の野鳥)


ホシハジロ♂左、♀右、およびカルガモ

2020/05/03

ツキノワグマの糞塊をほぐしてみると…



2019年10月下旬・午後16:30頃・くもり

山麓の水路沿いでアカマツの木の下に獣糞の大きな塊を見つけました。
15cmの定規(金尺)を並べて置いて採寸してみます。
糞虫やハエなどの昆虫が何も集まってきていないということは、排泄されたばかりの新鮮な糞なのでしょうか?
タヌキの溜め糞という可能性も考えたのですが、おそらくツキノワグマUrsus thibetanus)の糞だと思います。
鼻を近づけて匂いを嗅いでも、不思議なことに前回と同じく糞便臭がしませんでした。(私の鼻詰まりではありません。)

▼関連記事(1年前の撮影)
ツキノワグマの糞塊?


次に、近くで拾った棒で糞塊をほぐしてみることにしました。
表面は黒くて少し乾いていたのに、糞の中身は黄土色でした。
湿っていてねっとりした感触がありました。
柿(カキノキ)などの分かりやすい果実の種子が未消化のまま糞に混じっているのではないかと期待したものの、大きな種子は見当たりませんでした。
何か小さな種子が少しだけ見えますが、まじめに調べた訳ではありません。
本格的に糞分析をするのなら、持ち帰った獣糞を水洗いして未消化物を濾し取るのだそうです。
直接観察が難しい野生動物の食性調査のために糞分析は必修とされていますが、なかなか試してみる根性がありません…。

こんな麓に熊が出没するとは予想外で、私も油断していました。
護身用の熊よけスプレーをこの日は持参し忘れたので、急に不安になりました。
滅多に使わない熊よけ鈴を装備の奥から取り出して、ことさらに鳴らしながら歩くことにしました。
すると、茂みに覆われた山林の斜面を謎の大型獣が慌ててガサガサと走り去る物音がして、更に焦りました。(映像なし)
ニホンカモシカなら良いのですが、ツキノワグマとニアミスしたのかな?
なんとか無事に下山することが出来ました。
近くの雑木林の樹上に熊棚と呼ばれる食痕が無いかどうか、探してみる余裕もありませんでした。




川で水浴びするカワウ(冬の野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】



2019年12月中旬・午後12:22〜13:40・晴れ

川に集まって1日を過ごすカワウPhalacrocorax carbo hanedae)の群れが暖かい昼過ぎになると、それぞれ水浴を始めました。
カワウは潜水漁が得意な水鳥なのに、それとは別に行水を欠かさないのは不思議です。

川面でバシャバシャと派手に水飛沫を上げる様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみると圧巻です。(@2:11〜)
この日はよく晴れて光量も充分だったので、ハイスピード動画の撮影日和でした。

翼を大きく広げて水面に何度も力強く打ちつけ、激しく水飛沫を跳ね上げます。
体に水をかけると、次は頭をザブンと水に漬けました。
そこそこ深い川のはずなのに、頭を水面下に入れた際も尾羽は水の上に残したまま広げていました。
つまり魚捕りの潜水行動とは明らかに異なります。

水浴の合間に首を左右に振って身震いし、水気を切ります。
川面で少し羽繕いするときもありますが、本格的な羽繕いは川岸の止まり木に上陸してから行います。
少し休むと再び水浴びを繰り返します。
此岸に近づいてくれた時は、水中で動く足の水掻きも見えました。

晴れていても冬の川の水温は冷たそうです。
何度くらいですかね?(温度計を持ってくるのを忘れました。)


※ ブラインド内から複数個体を隠し撮り。
カワウの水浴シーンをこれほど間近から撮れたのはブラインド作戦のおかげです。
カルガモの水浴行動より水音が激しいため、ブラインド内で音だけ聞いていても体の大きなカワウの水浴と分かります。
三脚を使ったので動画編集時の手ブレ補正は無し。




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