2024/10/05

ナツメの種子散布者としてのホンドタヌキ

 



2023年11月下旬・午後12:25頃・晴れ 

平地のスギ防風林に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbc1を定点観察に来ました。 
まるでノウサギの糞のようなコロコロと丸い小さな糞粒が目に付きました。 
時間が経つとタヌキの溜め糞にケカビが生えてきます。 
新鮮な糞塊にベッコウバエ♂(Dryomyza formosa)が来ていました。 
交尾相手の♀を待ち伏せしているのです。(動画公開予定)

イチョウの種子(銀杏)やカキノキの種子が消化されないまま糞と一緒に排泄されていたのは前回と同じです。 
今回は、見慣れない茶色の果皮がほとんど消化されず大量に排泄されていました。 
この時期のタヌキがよく食べている旬の果物は何でしょう? 
私には心当たりがありました。 
近くの民家の庭に植栽されたナツメの果実ではないかと予想したのです。 
(その後、近所の別な地点でもナツメの若い庭木を見つけました。) 





早速、溜め糞場wbcから直線距離で約800m離れたナツメの木を見に行ってみると、完全に落葉した後の枝先に熟した果実が実っていました。 
ナツメの果実は核果に分類されるのだそうです。 
木の下には大量の落果が散乱しています。 
動画に撮りながら、ナツメの落果を手でほぐして、中に含まれている種子を確認しました。 
ほぐした茶色のナツメ果皮が、タヌキの溜め糞場で見つけた未消化物とそっくりです。
ホンドタヌキはナツメの落果(核果)を少し咀嚼しただけでほぼ丸呑みしているようで、消化が悪く、ほとんどそのまま糞と一緒に排泄されていました。

このときは種子を捨ててしまいましたが、後日に再訪してナツメの種子を改めて採集しました。 (写真公開予定)
今後はタヌキの糞分析で見つけた未消化の種子がナツメかどうか、詳細に比較することができます。 

ナツメの種子はタヌキによって被食型の動物散布されていることが分かりました。 
やがてタヌキの溜め糞場からナツメが芽生えてくるでしょう。


今後の課題は次の3点です。
今回はナツメの果皮だけで判断してしまいました。
まず何よりも、タヌキの溜め糞にナツメの種子が含まれることをしっかり確認しないといけません。 (※ 追記参照)
もう一つは、ナツメの木の下で秋に落果を夜な夜なタヌキが拾い食いに来るかどうか、トレイルカメラを設置して確かめる必要があります。
タヌキ以外の野生動物もナツメの種子散布を助けているかもしれません。
最後に、溜め糞から回収した種子の発芽能力を調べたら完璧です。


※【追記】
2023年12月上旬
少し離れた別の溜め糞場ph:スギ倒木横で撮った写真に、未消化のまま排泄されたナツメの茶色い果皮および両端の尖った細長い種子が写っていました。





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ヤマハッカの花蜜を求めて飛び回るイチモンジセセリ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年9月下旬・午前11:35頃・晴れ 

里山の山腹に咲いたヤマハッカの群落で複数のイチモンジセセリParnara guttata)が訪花していました。 
翅を閉じたまま口吻を伸ばして吸蜜しています。

イチモンジセセリがヤマハッカの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:54〜) 
素早い羽ばたきと滑空を交互に繰り返す飛翔のリズムが独特です。


減少率が顕著な鳥と蝶のリストが掲載されていて、私のフィールドでの体感にもほぼ合致していたのですが、その中にイチモンジセセリが含まれていたことに衝撃を受けました。
イチモンジセセリなんか、ごくごくありふれた普通種で、虫好きは誰も見向きもしない蝶だったのに、まさか希少種になる日が来るとは思いもよりませんでした。
生物多様性が急激に減少し、ますます単調で貧困な生態系になりつつある現状に危機感を覚えます。
今の子供が昆虫採集やバードウォッチングに目覚めても、(周りの大人が必死でお膳立てをしてあげないと)ちっとも面白くないだろうなーと同情してしまいます。
次世代の虫好きや鳥好きが育たないのも悪循環の一因です。

2024/10/04

越冬用の巣穴入口からアクセストレンチを四方八方に掘りまくる晩秋のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬 

シーン0:11/23・午後12:14・晴れ・気温26℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の落葉した二次林でニホンイタチMustela itatsi)の越冬用営巣地をトレイルカメラで見張っています。 


シーン1:11/27・午前1:13・気温0℃(@0:04〜) 
冷え込む深夜に巣穴Rから勢い良く外に出てきた個体aが巣口Rを見下ろして、巣内の個体bと対峙しています。 
アナグマaは巣口Rの縁を前脚で引っ掻いて掘り始めました。 
なぜかアクセストレンチを新しい方向に掘り始めたようです。 


シーン2:11/27・午前1:20・気温2℃(@1:04〜) 
独りで巣外に居るアナグマが、営巣地(セット)の広場で落ち葉の上に座り込みました。 
林縁でうつ伏せに寝そべると、前脚で地面を掻き始め、そのまま横臥姿勢になりました。 
観察歴の浅い私にはなんとも解釈に苦しむ行動なのですが、掘ったばかりのひんやりした土に触れると気持ち良いのかもしれません。 
しかし暑い夏ならともかく、寒い晩秋の深夜にやることではないと思うのですが…? 


シーン3:11/27・午前1:20・気温2℃(@1:32〜) 
ようやく横臥から起き上がると、新たなアクセストレンチを掘り始めました。 
掘り返したばかりの黒土の上に腹這いになりました。 


シーン4:11/27・午前1:26(@2:31〜) 
巣口Rから外に向かって、なだらかなスロープを作ろうとしています。 
作業の合間に身震いしました。 
座り込んでしばしの休息。 


シーン5:11/27・午前1:32(@3:18〜) 
左から急いで巣口Rに戻ってきたアナグマが短い鳴き声を発しました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、ここだけ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

巣穴Rに入りかけたものの、アクセストレンチをまた別方向に掘り始めました。 


シーン6:11/27・午前1:36・気温4℃(@4:18〜) 
アクセストレンチを掘り続ける個体と、それを巣R内から見守る個体(門衛?)が対照的です。 
アナグマの社会(家族群)では分業がしっかり別れているのでしょうか。 
穴掘りはヘルパー♂の担当なのかな? 
体型や顔つきは確かに♂っぽいのですが、越冬前で丸々と太っているために、分かりにくいです。 
巣内で見守る個体の顔つきは♀っぽいのですが、顔馴染みの母親♀(右目<左目)ではありません。(@4:26) 
穴掘り作業を途中で交代することはありませんでした。 


シーン7:11/28・午前7:28・気温3℃(@5:19〜)日の出時刻は午前6:29 
2日後の明るい朝にたまたま撮れたセット(営巣地)の様子を最後にお見せします。 
晩秋の林床は落ち葉に覆い尽くされているのですが、巣口Rの周囲だけが掘り返されて、黒土が露出しています。 


【考察】 
アナグマのアクセストレンチというのは本来、巣穴の奥から掘り出した土砂を外に捨てる際に自然に形成されるスロープや溝のことです。 
今回はトンネル(巣穴)を深く掘る土木工事はしないで、表土を耕すようにアクセストレンチの拡張整備だけに専念していました。 
巣口Rからアクセストレンチを放射状に(四方八方に)伸ばして掘りました。 

巣材(寝床)として使う落ち葉の搬入に続いて、これから深い根雪が積もる前の冬越し準備だと思うのですけど、一体どういう意味があるのか、私にはさっぱり分かりません。 
我々ヒトが野営(キャンプ)する際には、テントを張ってから四方に排水用の溝を掘るのが鉄則です。 
それに対して、アナグマのアクセストレンチが排水を考えて掘られているとは思えません。 
巣口付近が深いすり鉢状になると、大雨が降ったときや春の雪解けで巣内に浸水するのではないか?(まるで城の水攻め)と老婆心ながら心配になります。 
巣口付近を予め整地しておかないと、厳冬期の吹雪が吹き荒れる荒天時に変な吹き溜まりができてしまうのかもしれません。 

タヌキやテン、イタチなどの部外者がセットを訪問することがあまりにも多いので、アナグマが落ち着いて越冬できるように、巣口付近の表土を掘り返してマーキングの匂いを消していた、という可能性はどうでしょう?



翼の下面が黄色いノスリの謎(野鳥)換羽中?

 

2023年9月中旬・午後15:00頃・晴れ 

山麓の農村部で道端の電柱の天辺にノスリButeo japonicus)が止まっていました。 
周囲の田畑に潜む獲物を眼光鋭く探しています。 
動画の冒頭で被写体に合焦する前に、ノスリが尾羽を上げながら前傾姿勢になり後方に勢い良く脱糞しました。 

白くて柔らかそうな羽毛が毛羽立っているということは、換羽の途中なのかな? 
しかし、あまり羽繕いをしませんでした。 

私がしつこく動画撮影すると警戒して飛び立ち、少し離れた別の電柱に止まり直す、という行動を何度も繰り返します。 
最後も電柱から飛び立つ瞬間を撮り損ねましたが、遠く離れた電柱に向かって飛ぶ様子を流し撮りできました。 
ノスリが飛び去るシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:29〜) 
広げた翼の下面が黄色いノスリを初めて見ました。 
これはノスリ幼鳥の特徴または換羽中の特徴なのかと思ったのですが、『フィールドガイド日本の猛禽類vol.04ノスリ』という専門的な図鑑を紐解いて調べても、そのような記述はありませんでした。 

参考ブログ:ノスリ幼鳥 共通の特徴は | 南紀ロマンチックワールド
虹彩が淡黄色で、翼角近くの暗色パッチ(矢印)が小さくて隙間が多い特徴は幼鳥に共通しています。 また、ノスリ腹巻と言われる腹部の暗色班、幼鳥は縦班だけが集まって腹巻を形成しています。(ブログ記事より引用)

秋の陽射しに照らされる角度によって、たまたま真っ黄色に見えただけとは考えにくいです。 
ヒトの柑皮症(ミカンの食べ過ぎで皮膚が黄色くなる症状)のように、このノスリも何かおかしな餌を食べてしまい、羽根が黄色く染まった可能性もありますかね?
鳥に黄疸の症状が出ることはあるのか?と思いついてネット検索してみると、羽の黄色化(はねのおうしょくか)を解説した小鳥専門病院のサイトがヒットしました。
肝機能障害や高脂血症、甲状腺疾患などに付随して見られる。黄疸の際の色素である黄色い色のビリルビンが羽に沈着して黄色い羽になると言われている。肝機能障害の場合、「嘴の過長」や「嘴、爪の出血斑」が見られる事もある(3兆候)。別名「Yellow Feather Syndrome(YFS)」とも言われる。
インコやオウムの羽根が黄色くなると、腎機能の低下や老化が疑われるそうです。(猛禽でも当てはまるのかどうか不明)
今回のノスリで眼球が黄色くなっていたかどうか、遠くて分かりませんでした。

私はノスリの個体識別ができていませんが、このエリアを縄張りとする顔馴染みの個体のはずです。
翼の下面が黄色い個体に出会ったのは、後にも先にもこのときだけなのが不思議です。
よそ者のノスリが迷い込んできたのかな?

ノスリは羽ばたきと滑空を交互に繰り返して飛び去り、遠くの電柱の天辺にフワリと止まり直しました。 
着陸前に、一旦高度を下げてから急上昇によって減速する様子がいつ見ても格好よくて惚れ惚れします。 
着陸直後は尾羽を少し下げて左右に振り振り。 
今回観察している間にノスリは鳴き声を一度も発しませんでした。 


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2024/10/03

晩秋に雪が降る山中の水場で獲物を探し歩くニホンイタチ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年11月下旬〜12月上旬 

シーン0:11/27・午後13:08(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
里山の水場を自動撮影カメラで監視しています。 
周囲の雑木林から大量に降り積もった落ち葉が池に溜まっています。 
画面の左下から細長い池に流れ込んだ湧き水が右上に流出し、山の斜面を下って沢の源流となります。 


シーン1:11/29・午前4:21(@0:03〜)日の出時刻は午前6:30 
本格的に雪が降りしきる深夜未明にニホンイタチMustela itatsi)が右から登場しました。
岸辺の水際に沿って落ち葉の下や岸の隙間に鼻面を突っ込んで獲物を探しています。 
越冬中の両生類(カエルやサンショウウオ)を探しているのかな?

関連記事(同所で撮影)▶ 


池畔の崖をもう少し(数十cm)上に登ると野ネズミの巣穴があるのですが、このイタチは水際に執着しています。 
雪が溶けた冷水に足を浸しても平気なようです。

後半はイタチが画面の左下(湧き水が池に流入する地点)に長々と留まって何かしていました。 
獲物を捕食したかもしれないのに、画角にしっかり写ってなくて残念無念。 




シーン2:12/1・午後21:22(@1:10〜) 
2日後の晩にもイタチが水場に現れました。 
カメラの電池が消耗していて、わずか1秒間しか暗視動画が撮れていませんでした。 
前回と同じく、池の浅い岸辺を左へ向かう姿がちらっと写っていました。 
一瞬の登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
山中の泉でニホンイタチが撮れたのは初めてです。
なんとなく、イタチは平地にテンは山地に棲み分けているようなイメージがあったのですが、そんなこともないようです。

この水場を利用する野生動物は普通、水浴びするか水を飲むのが目的です。
明らかに狩りをするために水場に来たニホンイタチは、かなり異色な存在です。




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ヤマハッカの訪花昆虫を狙ってオオカマキリ♀が待ち伏せするもクマバチ狩りに失敗

 

2023年9月下旬・午前11:55頃・晴れ 

里山の草に覆われた斜面で褐色型のオオカマキリ♀(Tenodera sinensis)が笹の葉(種名不詳)の上に乗っていました。 
周囲でヤマハッカの群落が花を咲かせているので、オオカマキリ♀は訪花昆虫を狙って待ち伏せしているようです。 
虫が近くに来る度に向きを変えて、狙いを定めます。 

ヤマハッカの花畑では実際にキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)やシロオビノメイガSpoladea recurvalis)などが吸蜜していました。 

関連記事(同所同日の撮影)▶  


オオカマキリが狩りをする瞬間が撮れるのではないかと期待して、ハイスピード動画に切り替えて長撮りしてみたものの、獲物がカマキリの手が届く射程距離になかなか入ってくれません。(その映像は退屈なので割愛) 
シロオビノメイガがヤマハッカの花から飛び立つと、オオカマキリ♀はそっちを見ました。 

遂に、オオカマキリ♀が待ち伏せしている笹の葉の近くに咲いたヤマハッカの花にクマバチが飛来しました。 
耳を澄ますと、クマバチが羽ばたく重低音の羽音♪が聞こえます。 
オオカマキリ♀は笹の葉の縁から身を乗り出して鎌を素早く一閃しました。 
カマキリがぶら下がるようにササの葉陰に隠れてしまったので、狩りの成否を見届けられませんでした。 
私がなんとか撮影アングルを変えて草むらの隙間から覗き込むと、オオカマキリ♀は獲物を捕食していませんでした。 
右の鎌を舐めて掃除し始めました。 
クマバチの羽音が鳴り続けていますし、狩りは失敗だったようです。 
もしもクマバチ♀がオオカマキリ♀の鎌で捕らえられたときに毒針や大顎で反撃するかどうか興味があったのですが、間一髪で天敵から逃げ延びたようです。 


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別個体のオオカマキリ♀@ヤマハッカ花畑+獲物待ち伏せ

2024/10/02

越冬用巣穴に入る前に取っ組み合いをする2頭のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬 

シーン0:11/23・午後12:14・気温26℃(@0:00〜) 
明るい時間帯に撮れた現場の状況です。 
平地で落葉した二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)をトレイルカメラで監視しています。 


シーン1:11/27・午前0:44・気温0℃(@0:04〜) 
深夜に2頭のアナグマが前後してセットに現れました。 
巣口Rの匂いを嗅いでいた先行個体が振り返ると、後続個体がにじり寄ってから飛びかかりました。 
越冬巣穴を巡る縄張り争いが勃発したのでしょうか? 
小声で唸りながら格闘しています。 
ところが、すぐに取っ組み合いを止めて2頭が相次いで巣穴Rに潜り込んだので、幼獣同士による遊びの兄弟喧嘩ではないかと思います。 
(夏から秋にかけて、アナグマ幼獣同士の格闘遊びを散々見てきました。)
それまで一緒に採食に出かけていた兄弟(姉妹?)がセットに戻ってきて、誰が先に入巣Rするか、という幼稚ないざこざがあったのかもしれません。



越冬に備えて脂肪を蓄えているために体型が変わってしまって分かりにくいのですが、素人目には2頭ともずんぐりむっくりとした♂のように見えます。(自信なし) 
顔馴染みがある母親♀(右目<左目)でないことは確かです。 


シーン2:11/27・午前1:36(@0:46〜) 
(シーン1との関連や繋がりはなくて、おまけのような付け足しです。) 
約1時間後に出巣R直後と思われるアナグマが左へ立ち去り、しばらくすると、別個体(♀?)が巣口Rに顔を出して外の様子を警戒しています。 

計何頭のアナグマがこの営巣地で越冬するのか知りたいのですが、やはり個体識別がしっかりできないことには話になりません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→(今回のシーン1と2の間に起きた出来事)

雪が降っても平気で池の水中に留まる晩秋のカエル【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬〜12月上旬

シーン0:11/27・午後13:08(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
里山の水場をトレイルカメラで見張っています。 
画面の左下から細長い池に流れ込んだ湧き水が右上に流出し、斜面を下って沢の源流となります。 
周囲の雑木林から大量に降り積もった落ち葉が水場に溜まっています。 

カエルは変温動物なので、本来はいくら動いてもトレイルカメラのセンサーは検知できないはずなのに、風や落ち葉が横切る動きで誤作動した映像の中に、たまたまカエルが写っていることがあります。 


シーン1:11/28・午後18:35・みぞれ(@0:04〜) 
冷たい雨(みぞれ?)が降る晩に、2匹のカエル(種名不詳)が水中に居ました。 
左の個体がたまに瞬きすることから、生きていることが分かります。 


シーン2:11/29・午前4:14・雪(@1:36〜) 
日付が変わった未明に雪が激しく降っています。 
依然として2匹のカエルが池に留まっていました。 
いつの間にか2匹の距離が縮まっています。 
池に堆積した落ち葉によって形成された岸辺でじっとしていました。 
ときどき瞬きしているので、生存確認できました。 

実はもっと激しく雪が降っている夜にも同様のシーンが撮れていたのですけど、動画をうっかり削除してしまいました。 

安全な越冬場所に移動する前に雪が降り始めてしまい、逃げそびれた個体なのでしょうか?
このまま凍死するのではないかと心配です。 
晩秋にまだ大丈夫だろうと油断していたら、急に気温が下がって身動きできなくなり、絶体絶命になったとしたら、まさに「茹で蛙(ゆでガエル)」の逆バージョンということになります。
茹でガエル(ゆでがえる、英語: Boiling frog)とは、緩やかな環境変化下においては、それに気づかず致命的な状況に陥りやすいという警句。生きたカエルを突然熱湯に入れれば飛び出して逃げるが、水に入れた状態で常温からゆっくり沸騰させると危険を察知できず、そのまま茹でられて死ぬという説話に基づく。


シーン3:12/4・午後12:27・晴れ(@3:08〜) 
5日後の昼下がりにカエルの無事な姿が撮れていました。 
水面に浮かんでいたカエルが急に右の日向へ向かって泳ぎました。 
(カエルの種類を見分けられないのが残念です。) 

今季は驚くほどの暖冬で、山中でもまだ根雪にならず全て溶けてしまいました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
変温動物のカエルは、てっきり雪が降る前にどこか安全な場所に隠れて(地中に穴を掘って?)冬眠するのだと私は思っていました。 
雪が降る池に平気で留まっているのは、とても意外でした。 

この映像ではカエルの種類を見分けられないのが残念です。 
水底で冬眠する種類のカエルもいるらしいのですが、呼吸はどうしているのでしょう? 
ヤマアカガエルは、主に林床や泥の中、落葉の溜まった溝の底で冬眠します。また、他のカエルと同様に、土の中や水底で冬眠することもあります

厳冬期に「池の水をぜんぶ抜く」作戦を敢行し、浅い水底でカエルが本当に冬眠しているかどうか、確かめてみたいのですが、実際にやるとなると大変そうです。

旧機種のトレイルカメラでは撮影時の気温データが取得できないのも残念です。 
地下水の湧き水が貯まった池なので、冬は水温が気温よりも少し高い可能性があります。 
(この点を確かめる必要がありますね。)


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2024/10/01

初雪やみぞれが降る晩秋にホンドタヌキが1〜3頭でニホンアナグマの越冬用営巣地を訪問【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年11月下旬 

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 
近所のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が入れ代わり立ち代わりやって来るシーンをまとめました。 

シーン0:11/23・午前11:48・晴れ・気温25℃(@0:00〜) 
シーン0:11/23・午後12:14・晴れ・気温26℃ 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。


シーン1:11/25・午前3:38・気温-1℃(@0:07〜) 
初雪が激しく降りしきる深夜未明にタヌキがうろついていますが、セットには近寄りませんでした。 

シーン2:11/25・午前4:01・気温0℃(@0:26〜) 
約20分後にタヌキが戻ってきました。 
同一個体か別個体か不明ですが、ちらっとカメラ目線をくれました。 


シーン3:11/29・午後16:29・気温3℃(@0:36〜)日の入り時刻は午後16:24。 
4日後の日没直後、雨(みぞれ)が降る中をタヌキがペアでやって来ました。 
トレイルカメラの起動が遅れてしまい、先行する個体は左へ立ち去る姿がチラッと写っただけでした。 
後続個体はアナグマの巣口Rに顔を突っ込んで匂いを嗅いでからセットをあちこちうろつき、結局は左に立ち去りました。 


シーン4:11/30・午前6:16・気温0℃(@1:33〜)日の出時刻は午前6:31。 
翌日、みぞれ混じりの激しい雨が降りしきる夜明け前にタヌキが単独で登場。 
身震いして雨に濡れた毛皮の水気を切ってから、左へ立ち去りました。 


シーン5:11/30・午前6:17(@1:44〜) 
同一個体がすぐにまた戻ってきたのか、二次林内をジグザグに奥へ向かう後ろ姿が写りました。 


シーン6:11/30・午前10:58・くもり・気温3℃(@1:44〜) 
明るい日中にもタヌキが出没します。 
アナグマの巣穴には立ち寄らず、横を通り過ぎました。 
地表の温度がまだ高いようで、前夜に降ったみぞれはすぐに溶けてしまいました。 
(まだ根雪にはなりません。)


シーン7:11/30・午後16:17・雪・気温0℃(@2:06〜)日の入り時刻は午後16:24。 
雪が降る日没直前に、タヌキが3頭一緒に現れました。 
親子なのか、それとも幼獣の3兄弟(姉妹)なのか、私には見分けられません。 
アナグマの巣口Rの匂いを点検してから左に立ち去りました。 

別アングルで設置したトレイルカメラにはなぜか撮れていませんでした。 
冬は気温の低下とともに乾電池の電圧も下がるようで、トレイルカメラの起動が遅れがちになります。 



センニチコウ(ピンク)の花蜜を吸うキタキチョウ

 

2023年10月上旬・午前10:20頃・晴れおよび10月下旬・午前11:05頃・晴れ 

家庭菜園の片隅の花壇に咲いたセンニチコウ(千日紅)の群落でキタキチョウEurema mandarina)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅をしっかり閉じたまま口吻を伸ばして吸蜜しています。 
花から飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

別日に違う場所で撮影した動画をつなげました。 
センニチコウの群落でも色とりどりの花の品種が同時に咲いている中で、2回とも薄いピンクの花のセンニチコウを選んで訪花していました。 


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2024/09/30

初雪が降った次の晩に巣材の落ち葉を追加で集めて越冬用巣穴に運ぶニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬・午後17:40頃・気温3℃(日の入り時刻は午後16:25) 

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用巣穴をトレイルカメラで見張っています。 

初雪が降った翌日の晩に、アナグマが追加の巣材を集めていました。 
めっきり冷え込んで、巣内で寝床(断熱材)の落ち葉が足りないと判断したのでしょう。 
落ち葉が根雪で埋もれてしまう前に、なるべく多く集めておかなくてはいけません。
こんなん、なんぼあってもいいですからね!

林床に積もった落ち葉を前脚で掻き集めながら後退し、巣穴Rに運びました。 
普段なら後ろ向きのまま巣穴の奥まで潜り込んで巣材を搬入するはずです。
しかし今回は珍しく落ち葉を巣口Rに押し込んだだけで、次の作業に移りました。 
すぐに出巣Rして、巣口LRの中間地点からも落ち葉を集めています。 
我々の感覚では、乾いた落ち葉ならともかく濡れた落ち葉は断熱材(寝床)として暖かそうには思えないのですけど、アナグマは気にしません。 

やはり、アナグマがこの巣穴で越冬すると考えて間違いなさそうです。 
タヌキなど他の野生動物もときどきこの巣穴Rに侵入しますが、巣材を搬入することは一度もありません。 
アナグマが巣材集めの作業中にカメラに正面を向いてくれなかったので、この個体が顔馴染みの♀(右目<左目)かどうか区別できませんでした。 


晩秋の渓流から飛び去る警戒心の強いヤマガラ(野鳥)

 

2023年11月中旬・午後13:50頃・くもり 

里山の砂防ダムに前後を挟まれた渓流でエナガやヤマガラなど野鳥の混群がにぎやかに鳴き交わしながら♪集まっていました。 
渓流で午後の行水をしに来たようです。 
晩秋の渓流には周囲の雑木林から降り積もった落ち葉が大量に溜まっています。 

ヤマガラSittiparus varius)は私を警戒して、水浴シーンをしっかり撮らせてくれませんでした。 
川岸の茂みの陰に隠れながら渓流で水浴し、私が横にそっとずれて撮影しようとしても、すぐに飛び去ってしまうのです。 
ヤマガラが飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

予め近くにブラインドを張って待ち伏せすれば、水浴シーンをじっくり隠し撮りできそうです。 
フィールド日記、個人的な備忘録として残しておきます。

2024/09/29

秋が深まっても山中の水場に飛来するコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬 

シーン0:11/20・午後14:52・雨(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
里山の湧き水が貯まる池に周囲の雑木林から落ち葉が降り積もり、浅くなっています。 
泉の水は画面の左下から右上に向かって流れ、その先では斜面を下って沢の源流となります。 
雨が降っていて、水面に波紋が広がります。 


シーン1:11/21・午後18:23(@0:04〜)日の入り時刻は午後16:27。 
ある晴れた晩に、コウモリの仲間が飛来しました。 
晩秋でも山のコウモリは未だ冬眠していませんでした。 

水場の上空を低く旋回して飛び去る間際に一瞬だけ着水しました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイすると(@0:16〜)、水面の2箇所から連続して波紋が広がりました。
旧機種のトレイルカメラで撮れた動画は、フレームレートが15fpsしかないので、野生動物の行動が素早いと、スローモーションにしても何をしているのかしっかり捉えることができません。 
コウモリが飛びながら一瞬で水を飲んでいるのか、それとも水浴しているのか、という問題を長年解決できないでいます。 
晩秋の夜は気温も下がって肌寒いはずですから、コウモリがわざわざ冷水で水浴・冷却するだろうか?という疑問が生じます。 
同じ恒温動物の鳥は真冬でも水浴しますから、寒さは問題ないのかもしれません。
旧機種のトレイルカメラでは、動画撮影時に気温のデータが取得できないのが残念です。 


シーン2:11/26・午後20:39(@0:38〜) 
5日後の晩にもコウモリが飛来しました。 
池の岸辺には、前日に降った初雪がまだ残っています。 
監視カメラの電池が消耗していて、わずか5秒間の映像しか撮れていませんでしたが、水場で飛び回るコウモリがしっかり写っています。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:43〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

初雪が降る前後にもコウモリが冬眠せずに活動しているとは意外でした。 
ただし、水場に飛来する頻度はかなり減りました。
獲物となる虫がまだ活動しているのでしょうか? 
コウモリが冬尺蛾を狩っているとしたら、面白い話です。 

ポットマム(赤)の花を舐めるオオハナアブ♂とナミハナアブ♂♀の群れ

 

2023年11月中旬・午後13:25頃・晴れ 

民家の裏庭の片隅に咲いたポットマム(赤)というキク科の園芸植物にハナアブ類の大群が訪花していました。 
オオハナアブ♂(Phytomia zonata)およびナミハナアブ♀♂(Eristalis tenax)が口吻を伸縮させて花蜜や花粉を舐めています。 
他に名前を知らないハエも訪花しています。

黄色のポットマムも隣に咲いていたのですが、とある理由があって、赤い花の品種にだけ注目しました。 


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