2011/02/19
ノブドウの花蜜を舐めるキアシナガバチ♀
2010年7月下旬
ノブドウの花は蜂が好む蜜源植物の一つです。
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)のワーカー♀が訪花していました。
※ 古い記事の映像を見直したら、セグロアシナガバチと迷っている上に、花はヤブガラシと間違えていました。前伸腹節に黄紋があるのでキアシナガバチです。訂正しました。
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コガタスズメバチの巣の解体
2008年12月中旬
今季定点観察していたコガタスズメバチ(Vespa analis insuralis)のコロニーが解散したようなので、巣を軒下から採集してみました。
根元から小型ナイフで削り落とし持ち帰りました。
手に取ると意外に小ぶりで、グレープフルーツ大(直径約12cm)。
外被のマーブルクッキーのような鱗模様が美しい。
このまま記念に保存しても良かったのですけど、せっかくなので中の様子を調べてみました。
何事も経験です。
採集時に壊れた天井部から少しずつ指で穴を広げていきます。
外被は思ったよりも脆く、焼いたパイ生地のようなサクサクした触感。
何重にもなっていて断熱効果は抜群だろう。
こうして巣を解体して内部構造を見てみると、同じパルプを巣材に使う蜂でもスズメバチがアシナガバチよりも格段に進化した建築家であることがよく理解できました。
内部の巣盤はなぜか一段しか作られていません。
巣盤を取り出してみると育房は68室で全て羽化済み。
本で調べると(『スズメバチはなぜ刺すか』 松浦誠)、本種の巣の標準サイズ(巣盤数2~4、育房数150~800)よりも遥かに小さい。
定点観察していてコロニーとしての活動がいまいち鈍いと感じた印象が裏付けられました。
北国の巣は一般に小規模なのか、たまたま創設女王の繁殖力が弱かったのか、営巣開始が何らかの理由で遅れたせいだろうか(営巣地の途中変更など)。
この一例だけではよく分かりません。
巣の重量も測定すれば良かった。
コガタスズメバチ門衛の過剰反応
2008年9月上旬
外被作り作業を終えたコガタスズメバチ(Vespa analis insularis )のワーカー♀が巣内に戻りたがっています。
ところが、どうも門衛が過剰に警戒しているようで、なかなか中に入れてくれません。
巣口に近付くと威嚇するように飛び出して来ます。
外被の新しく付け足した部分(湿っている)が黒々と見えます。
軒先で巣が固定されている垂木の幅は3cm。
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コガタスズメバチの巣:外被作り
2008年8月上旬
コガタスズメバチ(Vespa analis insularis)巣の定点観察。
外被作りは昼間しか行わないらしい。
外で集めた巣材のパルプを少しずつ引き伸ばすように付け足していきます。
巣口で門衛が見下ろしています。
巣を取り付けた垂木の幅は3cm(大きさの比較対象)。
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コガタスズメバチの巣内活動
2008年8月上旬
軒下に作られたコガタスズメバチ(Vespa analis insularis)の巣。
スズメバチは外被を内部からガリガリ削り取り巣材にします。
映像の31秒の辺りで削り滓らしき物が巣口から落ちます。
巣口で門衛が顔を覗かせて常時見張っています。
ヤマトコノハグモ?若齢幼体の団居
2008年12月中旬
林床の地上約30cmで幼木や切り株の間に横にクモの糸が何本も渡してありました。
とても小さなクモの幼体が何匹も糸を伝って右往左往しています。
黒地に赤い斑紋が目立ちます。
こんな冬に孵化・出嚢するクモがいるとは知りませんでした。
団居(まどい)の解散なのだろうか。
近くに卵嚢は見当たりません。
しばらく観察しても風に乗った有糸飛行(バルーニング)は見られず仕舞い。
巻いた枯葉の中に隠れる幼体が何匹もいました。
闇クモ画像掲示板に問い合せたところ、
コガネグモ科オニグモ類の幼体にも似ているが、ヒメグモ科ヤマトコノハグモ(Enoplognatha caricis)若齢幼体かもしれないと教えて頂きました。
小さ過ぎて科の特徴を示す眼列が分かるような写真をうまく撮れませんでした。
採集すればよかった。
※ あまり真剣に見ると揺れる映像で酔いますのでご注意下さい。
風の吹く野外でのマクロ撮影は苦労します。
一脚を使い、カメラ本体の光学手ぶれ補正の他、動画編集のデジタル処理を駆使して精一杯ぶれを抑えています。
《追記》
雪もすっかり溶けた翌年4月中旬に同じ場所を再訪したら、糸の上に同種と思われる幼体を一匹だけ見つけました。
採集してみたら体長2mm。
小さ過ぎて私のマクロレンズでも眼列の観察は無理でした。
実体顕微鏡が必要です。
交尾中のヨモギハムシのペアに割り込む♂
2008年12月中旬
枯れた草原で何やらくんずほぐれつしていた3匹のハムシを発見。
拾い上げて撮影し易いよう柵の柱に乗せてやります。
どうやら交尾中のカップルにもう一匹の♂(お邪魔虫)が横恋慕しているらしい。
♀の前方からマウントし、頭でライバル♂と押し合います。
あぶれ♂の左触角が根元から欠損しているのは、喧嘩中に大顎で噛み切られたのだろうか。
闘争中も興奮しているのか、時おり♂交尾器の伸展が見られます。
♂交尾器の先端部が背面から見て錨状に広がっているのでヨモギハムシ(Chrysolina aurichalcea)と同定できました※。
マクロレンズの面目躍如♪
一方、腹部の大きく膨らんだ♀は落ち着き無く歩き回ります。
♀も相当の力持ちですね。
さすがに重心が不安定で何度も転び、舞台から転がり落ちてしまいました。
※ 図鑑『札幌の昆虫』 p164 ヨモギハムシの見分け方
>
昆虫は交尾器の形状が種によって微妙に異なり、♂♀が構造的に鍵と鍵穴の関係となることから性的隔離を実現しています(別種との交雑を防ぐ)。
標本を解剖して♂交尾器の微妙な形の違いが近縁種を同定する決め手となることが多いのです。
…という知識はあったものの、実際に目の当たりにするのは初めてでした。
ハスモンヨトウ幼虫(蛾)の雪上歩行
コウシサラグモsp♂の雪面歩行
2008年12月上旬
サラグモ科コウシサラグモ属の一種であると闇クモ画像掲示板にて教えていただきました。
このように雪面でよく見つかるクモなのだそうです。
前回よりはうまく撮れました。
雪面のタケカレハ(蛾)幼虫
イエユウレイグモ(蜘蛛)
2008年12月上旬
室内でイエユウレイグモ(Pholcus phalangioides)(体長8mm、♀?)を接写してみました。
霧吹きして不規則網を可視化すればよかったですね。
なぜか刺激しても体を揺する威嚇行動を示しませんでした。
室温が低いせいだろうか。
トゲハネバエ科の仲間が雪道で遭難
2008年12月上旬
雪が降った後の林道で見つけた体長7mmのハエ。
新雪の雪面で時々ぴょんと飛び跳ねます。
気温が低くてうまく飛び立てないようでした。
「一寸のハエにも五分の大和魂BBS」にてトゲハネバエ科の一種と教えて頂きました。
翅の前縁脈に沿って棘が生えているのが特徴です。
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アブ・ハエ・カ・ガガンボ(双翅目)
ムツボシオニグモ属幼体の雪上歩行(蜘蛛)
2008年12月上旬
ムツボシオニグモ属の仲間の幼体とご教示頂きました(体長3.5mm)。
雪面のクモは見つけ易いだけでなく、動きも鈍いので観察し易いです。
夏場は疾走して逃げ回るので、落ち着いて接写できないでしょう。
このクモは寒さで行き倒れていたのか雪道でじっとしていた。
暖かい吐息を周りの雪が溶けるほど何度もハーハー吹きかけてやるとようやく動き出しました。
レンズが曇るのを懸念して、蘇生シーンは撮りませんでした。
ところが、しばらく歩くとすぐに動かなくなってしまいます。
春を迎えられず凍死してしまう個体も多いのだろう。
2011/02/18
クルミの葉を集団食害するハバチ幼虫の威嚇姿勢【名前を教えて】
2010年10月上旬
里山でオニグルミと思われる木の葉に多数のイモムシが集っていました。
ハバチの仲間(種名不詳)の幼虫だと思います。
木の葉は縁から一斉に食害されてほとんど原形を留めていません。
幼虫の群れは頭を葉先側に向けている個体が多いようです。
口元は動いておらず、静止していました。
体の後半分を持ち上げ反り返らせ、ヨガのようなS字姿勢を取っています。
体を海老反りに折り畳んでいる個体もいます。
いかにも外敵を威嚇するような姿勢ですが、嫌な匂いを発したりはしませんでした。
背側と頭部が黒い他は全体に黄緑色。
黄/黒のツートンカラーで警戒色のつもりだろうか。
ひょっとすると、黒い背側を内側に曲げることによって眼状紋を模しているのかもしれない、などと想像を逞しくしてみました。
葉を指先でトントン叩いてみたものの、体を激しく揺するなどの派手な抗議行動は見られませんでした。
活動性が鈍いのは午前中で気温が低いためだろうか。
どなたか映像から種名が絞り込める方がいらっしゃいましたら教えてください(写真は撮り忘れ)。
幼虫図鑑サイトでクルミを食樹とする仲間を検索してみたものの、ハバチは登録されていませんでした。
(広食性なのかな?)
ハバチの幼虫からの飼育にもいつか挑戦してみたいものです。
【追記】
『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p10によると、
(広腰亜目の)自由生活をする幼虫はいもむし型で、チョウやガの幼虫に似るが、一般に毛がないことや、単眼が一対であること、腹脚が5対以上あることなどによって区別できる。茎、葉、木の幹などにもぐる幼虫や糸で葉を巻く幼虫では、腹脚の退化が見られる。
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ハチ・アリ(膜翅目),
食事
メガネドヨウグモ(蜘蛛)幼体の雪上歩行
2008年12月上旬 気温(雪温)4℃
雪に覆われた林道で見つけたクモ。
闇クモ画像掲示板にてメガネドヨウグモ(Metleucauge yunohamensis)幼体と教えて頂きました。
体長3.5mm。
エゾアシナガグモ幼体の雪上歩行
2008年12月上旬
新雪の林道で見つけたクモ(未採寸)。
暖かい吐息を何度も吹きかけてようやく動き出しました。
怪我しているようで右第二歩脚を引きずって歩きます。
エゾアシナガグモ(Tetragnatha yesoensis)幼体かもしれないと闇クモ画像掲示板にて教えてもらいました。
一般にアシナガグモ類やオニグモ類などの造網性のクモでも掴み取りで獲物を捕食することがあるそうです。
雪面ではどうでしょう。
今回近くを歩くユスリカには反応しませんでした(二度試行)。
造網性クモだから目が悪い?
寒いと食欲が無い?
歩脚の損傷で弱っているせい?
近づく獲物との角度が悪かったのかも。
クモガタガガンボ♀の雪上歩行
2008年12月下旬
クモガタガガンボの仲間♀(種名不詳。体長7mm)。
噂には聞いていたものの、実物を見つけたのは初めてでした♪
低温(氷点下)に適応して翅を退化させ、冬にしか現れないガガンボです。
平均棍は退化せずきちんと残っています。
尾端の形状から♀らしいと判明。
手乗りさせようとしたのですが、体温の温もりを嫌うような素振りを見せました(映像無し)。
機会があれば交尾行動などを観察してみたいものです。
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アブ・ハエ・カ・ガガンボ(双翅目),
体温調節
ヤマトコノハグモ♂亜成体の雪上歩行
2008年12月上旬 気温(雪温)6℃
闇クモ画像掲示板にてヤマトコノハグモ(Enoplognatha caricis)♂亜成体と教えて頂きました。
体長4.5mm。
果たしてクモの糸は雪にくっつくのか疑問だったのですが、雪面でもやはり時々しおり糸を付けながら歩くのだそうです。
背景が白銀なので白い糸はよく見えません。
ハエを捕食するアキアカネ♂
2008年11月下旬
「ここまで近寄らせてくれるとは随分のんびりした(警戒心の薄い)トンボだなー」と内心不思議に思いながら接写していたら、ハエを捕食中だとようやく気づきました。
口元をアップにして見ると、咀嚼する口器の複雑な動きが面白いです。
撮影後に捕獲してみたらアキアカネ♂(Sympetrum frequens)(体長42mm)と判明。
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アブ・ハエ・カ・ガガンボ(双翅目),
トンボ(蜻蛉目),
捕食
コウシサラグモsp.♂の雪面歩行
2008年11月下旬
闇クモ画像掲示板にて、サラグモ科コウシサラグモ属の一種と教えていただきました。
この仲間の特に♂は採集して標本を精査しないと種の同定までは困難だそうです。
雪の上を歩き、最後は枯草の中に潜り込んで隠れました。
タンポポの花を舐めるナミハナアブ♂
2008年11月下旬
タンポポの花でハナアブが蜜を舐めていました。
正面から撮ると顔の黒色中条が幅広かったのでナミハナアブ(Eristalis tenax)で良さそうです。
左右の複眼が接しているのは♂の特徴だそうです。
伸縮する口器がよく見えます。
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アブ・ハエ・カ・ガガンボ(双翅目),
訪花
雪を舐めるキイロスズメバチ♂
2008年11月下旬
林道上の残雪(根雪は未だ)でキイロスズメバチ♂(Vespa simillima xanthoptera)を見つけました。
雪を舐めて喉を潤しているようです。
体表は毛深い。
日が照りさえすれば雪があっても意外に元気なのですね。
時期的に越冬直前の新女王なのかと早とちりしたのですけど、
「頭部の幅が胸より小さく、触角が長い割に柄節が目立たないのでこれは♂のキイロスズメバチである」とのご指摘を頂きましたので訂正いたします。
交尾は済ませたのでしょうか。
スズメバチの性別は ♀:腹節6、触角12節。
♂:腹節7、触角13節
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ハチ・アリ(膜翅目),
飲水
2011/02/17
ヒメツノカメムシ@擬死からの起き上がり
2010年5月中旬
前シーズン某所に仕掛けておいた竹筒トラップを回収してきました。
竹筒を10本割ってみましたが、クモの住居網があるだけで蜂が営巣した形跡は全くありませんでした。
唯一出てきたのがヒメツノカメムシ(Elasmucha putoni)と思われる一匹のカメムシ。
竹筒内で越冬していたのだろうか。
仰向けにして方眼紙上に置くと、しばらく死んだふり(擬死)をしてから起き上がり、徘徊を始めました。
足先が滑ってなかなか起き上がれないでいます。
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セミ・カメムシ・サシガメ(半翅目)
ジョロウグモ♀の造網:横糸張り
2008年11月中旬
ジョロウグモ(Nephila clavata)の造網法は円網を作る他のクモとは幾つかの点で異なる特徴があります。
- 螺旋状に横糸を張るのではなく、扇状の領域を振り子状に左右に往復します。今回は観察できなかったが、 甑より上の網を張り替えるときは流石に下向きで作業するのだろうか?
- 粘着性の横糸を張る際に、予め張った足場糸を切らずに作業を進めます。残された足場糸のジグザグの方向は上下で異なります。完成した網は五線譜のように見えます。
- 本種は縦糸を張る際もユニークな方法を行うらしいのですが、未見です。この後、初雪が降ってしまいました。来季の宿題に持ち越しです。
《参考書》
『クモの巣と網の不思議:多様な網とクモの面白い生活』 文葉社・池田博明 編
『カラー自然シリーズ60:ジョロウグモ』 偕成社・難波由城夫
『クモの不思議』 岩波新書・吉倉眞 p90
※ 同じ個体で造網行動の早回し映像はこちら→「ジョロウグモ♀の造網:横糸張り・4倍速」。
ジョロウグモ♀の造網:横糸張り・4倍速映像
2008年11月中旬
本で読んだ通り、ジョロウグモ(Nephila clavata)の造網活動(張り替え)は夜行われていました。
草木も眠る丑三つ時に懐中電灯(白色LED)で照らしながら接写しました。
気温12℃。
縦糸11本分の扇状(?)領域に横糸を張り進みます。
毎日網の一部分しか張り替えないらしい。
動きが余りにも緩慢だったので4倍速再生でお届けします。
網や糸を目立たせるため映像にシャープ・フィルターをかけてあります。
夜風で網が前後に揺れます。
※ 同じ個体で映像を早回しせずに造網過程をじっくり撮った映像はこちら→「ジョロウグモ♀の造網:横糸張り」。
網を補修するジョロウグモ♀
2008年11月中旬 午前中(気温20℃)
ジョロウグモ♀(Nephila clavata;体長~22mm)が網の下部を張り替えていました。
直前にアブを捕食していたので、破れた部分の修繕かもしれません。
円網を作る他のクモとは異なり、粘着性の横糸を張る際に螺旋運動ではなく振り子のように往復運動するのがジョロウグモの特徴です。
張ったばかりの新しい糸は黄色くありません(白)。
修繕終了後は甑に占座し、歩脚を掃除します(身繕い)。
補助網には食べ滓のトンボなどが残されていました。
本で調べるとジョロウグモの造網は夜間行われるらしい。
撮影中は見落としましたが、とても小さなクモが網に同居しているようです(食べ残しに隠れていた。5:15~)。
ジョロウグモ♂にしては時期が遅過ぎると思うので、いわゆる居候グモの仲間でしょうか。
※ 網や糸が見え易いように、編集時に映像をシャープ処理してあります。
参考書:『カラー自然シリーズ60:ジョロウグモ』 難波由城夫
セグロセキレイの水浴び
2008年11月中旬
川辺で飛び石を渡ってから水浴び開始。
近くにもう一羽居ました。
写真判定でセグロセキレイ(Motacilla grandis)と分かりました。
光学12倍ズームでも未だ遠い。
欲を出して近寄ったら逃げられてしまいました。
《参考書》
『科学の読み物:セキレイの歌』 小笠原昭夫
オナガガモ♂(野鳥)の採餌
ジョロウグモ♀:網の歩き方
2008年11月中旬
ジョロウグモ♀(Nephila clavata;体長~22mm)を観察していたらうっかり網に触れてしまい、クモは周辺部に逃げて行きました。
この映像は避難先から網の中央部に戻る様子を撮ったものです。
歩脚の爪先に注目すると、必ず粘り気の無い縦糸の上を歩いていることが確認できました。
クモは自分の粘着糸がくっ付かないように爪先に油分を分泌しているらしい。
うっかり粘着性の横糸を踏んでしまうと口で噛み切りました。
後半はスローモーション。
網の中央部(甑、こしき)に辿り着くと頭を下に向き直して占座しました。
2011/02/16
羽化直後のキアシナガバチ初ワーカーを個体標識
2010年7月上旬
軒下に営巣したキアシナガバチ(Polistes rothneyi)のサテライト巣S10から最初のワーカーW1が羽化する様子を観察してから数時間後にまた様子を見に行くと、創設女王Q(水色)も巣S9から巣S10に移っていました。
母娘の初めての対面となります。
ここまで単独で営巣してきた女王蜂にとって喜びもひとしおだと思いますが、特に(感動的な)交流は見られませんでした。
女王とワーカーの体格差はさほど顕著ではないようです。
羽化直後のアシナガバチW1は複眼の色が黒いです。
それに対して創設女王Q(水色)の複眼は褐色です。
羽化直後に捕獲してCO2麻酔にかけるのは、もしかすると負担が大きかったかもしれません。
羽化の最中にも胸部にマーキングする機会はあったのですけど、クチクラが固まっているのかどうか心配で躊躇してしまいました(マーキングのせいで羽化に失敗したら元も子もありません)。
麻酔から完全に醒める前に、マーキングしたW1桃を元の巣S10に戻してやりました。
その間、女王Q水は自力で巣S9に帰りました。
【追記】
初ワーカーW桃を改めて見直すと、前伸腹節の黄紋が無くて、セグロアシナガバチっぽく見えます。まさか…?
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ノウハウ,
ハチ・アリ(膜翅目)
ヒメベッコウ卵・前蛹の観察
2008年12月中旬
飼育?記録の続編です。
ヒメベッコウの一種♀に狩られた日から数えて83日後。
獲物のマミジロハエトリ♀(Evarcha albaria)は毒針で麻痺させられ完全絶食状態なのに依然として生きています。
腹部はぺしゃんこになったものの、刺激するときちんと反応します。
むしろ反応性が亢進している気がします。
破壊された中枢神経がある程度再生しているのだろうか。
腹部に産み付けられたヒメベッコウの卵はやはり干からびてしまったのだろう。
クモの中で育っているようには思えません。
一方、繭を切開して摘出した前蛹は変化なし。
普段は暗所に置いていますが、明るいところで観察すると光を嫌うようにときどき蠕動します。
いつになったら蛹化するのだろう※。
繭無しで正常発生するのか心配です。
※(スズメバチやアシナガバチを除いた)カリバチの多くは巣内の繭の中で前蛹の姿で越冬する。
『カリバチ観察事典』 偕成社 p37
《追記》
その後、日常の忙しさにかまけて様子をチェックするのを忘れてしまいました。
残念ながら気づいた時には乾燥して干乾びてしまいました。
泥巣の替わりにきちんと保湿するのは難しいようです。
『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』岩田久二雄・眞野書店 p414より
ほとんどの場合永久麻痺の獲物は、志向的な全身運動はしないが、触角・肢・口器などを部分的に動かすことはでき、呼吸や排泄は行ない、特例をのぞいて変態も部分的に行う。(中略)昆虫の体液を与えるとAnopliusやBatozonellusのクモは2週間から2月も生存する。(中略)時日の経過によって麻痺は徐々に回復することが多いが、孵化した蜂の幼虫の吸血によってそれは減殺される。(中略)狩蜂の貯蔵する獲物が黴びたり腐朽したりしないのがふつうであるが、それを巣房から取出して保存すると直ぐに変質してしまうのが常で、自然の独房が如何に適当な状態に保たれているかに驚く。
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ハチ・アリ(膜翅目),
発生
ヒメベッコウ卵・幼虫・蛹の観察
2008年9月下旬〜10月下旬
ヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ)の一種(種名不詳)泥巣Scを発掘して貯食物を調べてみました。
全体が泥で塗り潰されていて独房の様子はよく分からなかったものの、一週間前に狩られたハエトリグモ(関連記事はこちら)や蜂の幼虫、繭を回収できました。
薄皮状の繭の中には前蛹が入っています。
獲物はマミジロハエトリ(Evarcha albaria)♀成体と判明。
左脇腹に産み付けられた白い卵は残念ながらその後干乾びてしまいました。
ヒメベッコウの幼虫はカビが生えてしまいました。
保湿と防カビという相反する条件を満たしつつ飼育するのは難しい。
軽く霧吹きした清潔なサランラップに包み、暗い所に放置してみます。
繭から取り出した前蛹は元気で時々動きます。
いつ本格的に蛹化するのだろう。
羽化は越冬後かな?
毒針で中枢神経を麻痺されたマミジロハエトリ♀はピンセットなどで触ると歩脚を動かします。
蜂の子が食べる大切な餌なので、死んで腐敗しないよう生かしておくというヒメベッコウsp. の知恵です。
狩られて4週間後も飲まず食わずで生きているのは驚きです。
もしかしたら孵化した幼虫がクモの体内で育っているのではないかと期待して飼育を続けます。
獲物のクモの歩脚が無傷である点が興味深いです。
以前近くで観察したヒメベッコウsp.は狩りの直後に全ての歩脚を根元から切り落としてから巣に搬入していたので、似た外見でも習性の異なる別種のヒメベッコウなのかもしれません。
つづく→シリーズ#16
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ハチ・アリ(膜翅目),
発生
ホシヒメホウジャク♀(蛾)の口吻を伸ばしてみる
2008年10月下旬
共進化のトピックとして、「スズメガと虫媒花」が有名です。
蛾が花の奥にある蜜をホバリングしながら吸うために口吻が長く進化したという話です。
標本写真でも口吻を伸ばした状態がよく本に載っています。
いつか自分でも調べてみたいと思ってたので、ホシヒメホウジャク♀(Neogurelca himachala sangaica)の死骸を使って口吻の長さを測ってみました。
前翅長21mmに対して、伸展した口吻は約16mmでした。
伸ばした口吻も死後硬直でゼンマイのようにくるくるっと元に戻ります。
舌を巻いたお話でした。
オオノコメエダシャク(蛾)を食すコカマキリ♀
2008年10月下旬
コカマキリ♀(Statilia maculata)の飼育記録。
本日のメニュー:オオノコメエダシャク♀(Acrodontis fumosa)
いつもと趣向を変えて、早食い競争風に4倍速再生でお届けします。
ファースト・フードのモス・バーガー♪というべたなオチ。
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捕食
ホシヒメホウジャク♀(蛾)の飛翔前準備運動
2008年10月下旬
夜の灯火下でホシヒメホウジャク♀(Neogurelca himachala sangaica)を捕獲して来ました。
後翅のオレンジが眼にも鮮やか。
すぐには飛び立てません。
しばらく小刻みに翅を震わせて体を温めないといけないのです(室温19℃)。
逆に止まっていた蛾がこの準備運動を始めると、じきに離陸するなと予想がつきます。
この個体は弱っているのか、照明に向かって飛び上がれず卓上を滑走するだけでした。
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チョウ・ガ(鱗翅目),
飛翔
コカマキリ♀に鏡を見せてみる
2008年10月下旬
カリバチやハエトリグモなど優れた視覚を持つ虫に鏡を見せると自分の姿に対して威嚇・攻撃することがあります。
カマキリはどうだろう?と実験してみました。
一応、鎌を振りたてて鏡に向かって行くものの、狩りの時の瞬発性の動きとは違いました。
鏡像に対する威嚇なのかいまいち不明です。
単に目の前の鏡面に登りたかったのだろうか。
飼育しているコカマキリ(Statilia maculata)♀b、cを使って調べたところ、二匹とも同様の反応。
鏡の裏面(何も映らない板)を見せたときの反応と比べるのを忘れてました(対照実験)。
♂で試せばまた違う結果になるのかもしれません。
トビケラを食すコカマキリ♀
2008年10月下旬
コカマキリ♀c(Statilia maculata)の飼育記録。
本日のメニューはトビケラの仲間(ホタルトビケラと思いますが定かではありません)。
プラスチックの飼育容器(DVDスピンドルケースの再利用)がツルツル滑り易くて可哀想なので、少しずつ改良中。
その後、天井だけでなく床面や中央棒にも滑り止めを貼り付けてやりました。
クルマバッタモドキ♀
2008年10月下旬
河原の土手近くの歩道で見つけたクルマバッタモドキ♀(Oedaleus infernalis;体長45mm)。
跳ぶシーンが撮れるかと期待してしばらく見守りましたが、ひたすら長い腹を地面に引きずって歩くだけです。
右前脚の先が欠損し、左後脚の先が不自然な角度に曲がっています。
ひどく弱っているのは怪我のためか、それとも産卵後なのだろうか。
それでも進行方向正面でカメラを構えると健気にちゃんと向きを変えます。
すぐ横を車が走るので交通事故に遭わないかと心配でした。車に轢かれるクルマバッタモドキなんて洒落になりません。
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バッタ・キリギリス(直翅目)
2011/02/15
キアシナガバチの初ワーカー羽化@巣S10
2010年7月上旬
軒下に営巣したキアシナガバチ(Polistes rothneyi)の定点観察記録。
![]() |
矢印は羽化直前の育房 |
二巣並行営巣しているうちの一つ巣S10(育房数15室、繭5)で正にハチが羽化しようとしていることに気づいて接写開始。
白い繭キャップが円形に破られて頭部が覗いています。
女王の手助け無しに繭キャップは自力で食い破ったようです。
触角や前脚をピクピク動かしているシーンを編集で抜粋しましたが、実際は退屈な静止状態が延々と続きます。
成虫が羽化中の育房の上段(ぶら下がっている巣なので実際は下)には既に次の幼虫が育っているのが見えます。
キアシナガバチは巣材節約のため育房を二段に使うのが特徴です。
本種の若齢幼虫はピンク色。
通り抜ける姉の体に妹が潰されないよう育房サイズもギリギリです。
産卵のタイミングも絶妙なのだろう。
隣の育房では老熟幼虫が蠕動しています。
この間ずっと、創設女王は長女の誕生に気づいていないのか、娘の羽化に立ち会うこともなく、約30cm離れた隣の巣S9に居ました。
進展がないので油断していたら、不覚にも新成虫が育房から抜け出す肝心の瞬間を撮り損ねてしまいました。
どうやらこちらを警戒していた節があります。
この日は三脚を用意していなかったので無理な体勢のまま手持ちカメラで接写を続ける他ありませんでした。
それでもアシナガバチの羽化を目にするのは初めてだったので、とても嬉しい収穫でした。
このハチは長女で初ワーカーとなります(W1)。
サテライト巣(創設女王にとって保険のため建てた別荘)だと思っていた小振りの巣S10の方から先に成虫が羽化してきたので少し意外でした。
※ 隣の巣S9は育房数49室、繭4。創設女王はこの4日間S9の増築に専念しているようでした(+10室)。
羽化したばかりのワーカーW1は巣上でしばらく身繕いしていました。
次に育房を点検して回り、妹分の幼虫から口移しで栄養交換を受けていました(初めての食餌)。
(続編の記事はこちら→W1の個体標識)
【追記】
初ワーカーの接写映像を改めて見直すと、前伸腹節の黄紋が無くて、セグロアシナガバチっぽく見えます。まさか…?
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ハチ・アリ(膜翅目),
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