2023/03/11

スギ林道に現れた謎の鳥【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】(名前を教えて)

 

2022年9月中旬 

里山のスギ植林地を通る林道を監視する自動撮影カメラに謎の野鳥が写りました。 
別種だと思うのですが、私の知らない地味な鳥をまとめました。 
名前を教えていただけると助かります。 

シーン1:9/14・午後12:01・気温26℃ 
冒頭から画面の右で林道上に佇んでいました。 
背中に白い羽根の部分があるのが目立ちます。 
すぐに右へ飛び去ってしまいました。 
警戒声などの鳴き声は聞き取れませんでした。 
飛び立つ瞬間を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:05〜)


シーン2:9/19・午前5:12・気温23℃(日の出時刻は午前5:21) (@0:12〜) 
夜明け前の未だ暗い林道を地味な鳥がピョンピョン跳んで右から左へ移動しました。 
地味な鳥ですけど、クロツグミのように真っ黒ではありません。 
薄明薄暮性の鳥なのでしょう。

※ 動画編集時に後半の暗視映像を暗くして、白飛びを解消しました。 


ここに鳥が来るのは、アナグマとタヌキが共有している溜め糞場sに糞虫やハエなど虫が多く集まるのを経験的に知っていて、それを捕食しに来るのでしょう。 
しかし、この2羽は虫取りどころか、虫をろくに探しもしませんでした。 
この時期は獣糞の供給が減り、虫もあまり集まらなくなったのかもしれません。


ナワシロイチゴの花蜜を吸うウラギンヒョウモン♂

 

2022年6月下旬・午後16:35頃・晴れ

里山の山頂広場に咲いたナワシロイチゴの群落でウラギンヒョウモン♂(Fabriciana adippe)が訪花していました。 
翅を開閉しながら吸蜜しています。
この組み合わせは初見です。

2023/03/10

杉林道を歩くニホンカモシカの記録:2022年9月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2022年9月中旬 

里山のスギ林道に設置した自動センサーカメラに最も頻繁に写るのはニホンカモシカCapricornis crispus)です。 
スギ林にカモシカの食料が豊富にあるとは思えないのですが、歩きやすい通り道(獣道)としてよく利用しているようです。 
カモシカは群れではなく単独生活を送り、昼も夜も活動しています。 
日に何度も行き来することがありますが、個体識別できていないので、計何頭のカモシカが生息しているのか不明です。 
トレイルカメラの写真や動画を元に人工知能(AI)で野生動物の個体識別を自動化してくれたら非常に助かります。
ニホンザルではそのような研究が進んでいるらしいです。 
一刻も早く実用化して欲しいものです。
私の理解では、最初に誰か個体識別の得意な研究者がAIに教え込む必要があるはずですけど、教師なし学習も可能なのかな?
成長しても老化しても個体識別できる安定した特徴をAIは見つけられるでしょうか。
動画だと歩幅や歩き方の微妙な癖なども個体識別の手がかりになりそうです。(※ 追記参照)


シーン1:9/13・午前3:24・気温19℃ 
深夜に右から左へ横切りました。 
林道の左端を歩くので、カメラに近過ぎます。 


シーン2:9/13・午後18:26・気温24℃ (日の入り時刻は午後17:54)(@0:08〜) 
日没後の晩に、林道を右から左へ横切りました。 
林道の真ん中を歩き、タヌキの溜め糞を跨いで行きました。 


シーン3:9/15・午前00:11・気温18℃ (@0:18〜) 
今回は深夜に林道を左からやって来ました。 
対面に見えるスギ大木(胸高直径60.5cm)の右横に生えたコシアブラ幼木の枝葉に顔を擦りつけたようです。 
眼下腺マーキングしているカモシカの顔が残念ながら画角の外に見切れてしまいました。 
トレイルカメラの設置位置をもっと上にずらせば、溜め糞場sとコシアブラ幼木の両方写るようになるかもしれません。 
匂い付けした後は林道を右に立ち去りました。 


シーン4:9/16・午後15:45・気温24℃ (@0:59〜) 
翌日は明るい午後に画面の下からノッソリと登場しました。 
林道脇の斜面(法面)を下りてきたのか、それとも林道の右端を歩いてきたのか、どちらでしょう? 
林道を渡ると、コシアブラ幼木の枝葉に顔を擦りつけてから、右に歩き去りました。 
コシアブラに眼下腺マーキングするカモシカは特定の個体だけなのか、それとも複数個体が代わる代わるやっているのか、気になります。 


シーン5:9/16・午後18:11・気温22℃ (@1:26〜) 
2.5時間後の晩に、カモシカが林道を右から左へ通り過ぎました。 
同一個体が戻ってきたのかな?
この林道は緩やかな坂になっていて、今回は登ってきたことになります。 

前夜にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が林道の真ん中に排便した溜め糞が未だ原形を留めたまま残っています。 
センチコガネなどの糞虫が地中に埋める活動が間に合わなかったのでしょう。 

カモシカは暗闇の林道でもタヌキの溜め糞を踏まずに毎回しっかり跨いで通り過ぎるのが不思議です。 
ニホンカモシカは頭を下げて歩きますから、わざわざ溜め糞を迂回するまでもなく、糞便臭で溜め糞の存在に気づくのでしょう。 


シーン6:9/17・午前8:13・気温20℃ (@1:36〜) 
朝日が射す林道の真ん中を左から歩いてきたカモシカが、溜め糞場の手前で左に逸れました。 
対面のスギ大木の横を通り過ぎたものの、今回はコシアブラ幼木で眼下腺マーキングをしないで右に立ち去りました。 


シーン7:9/18・午後12:48・気温29℃ (@1:49〜) 
翌日は正午過ぎに登場しました。 
林道の真ん中を歩いて右から左へ通過しました。 


※ 暗視映像の一部を動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 
逆に、至近距離で白飛びしたパートを暗く加工しました。 





※【追記】
Microsoftが提供しているCopilot(ChatGPT4)に相談したところ、以下の回答が得られました。


自分 が送信しました:
定点観察している野生動物の動画を大量に撮りためて、それをAIに学習させて個体識別させるプログラムは実現可能か?

Copilot が送信しました:
はい、実現可能です。実際に、野生動物の個体識別にAIを活用するプロジェクトがいくつか存在します。

例えば、**Wildbook**というオープンソースのプラットフォームは、AIとコンピュータビジョンを使用して、野生動物の個体識別や人口分析を行っています²。また、**Wildlife.AI**は、特定の動物種の個体識別を支援するパターン認識ソフトウェアを提供しています¹。

これらのプログラムは、カメラトラップや定点観察カメラで撮影された大量の動画や画像データをAIに学習させることで、特定の個体を識別し、追跡することができます³。

もし具体的なプロジェクトや技術についてさらに知りたい場合は、ぜひ教えてください。どのような動物を観察しているのか、どのようなデータを収集しているのかなど、詳細を教えていただければ、さらに具体的なアドバイスができるかもしれません。

ソース: Copilot との会話、 2024/10/1
(1) Wildbook - Wild Me. https://www.wildme.org/wildbook.html.
(2) Wildlife.AI – Using artificial intelligence to accelerate .... https://wildlife.ai/.
(3) Project Zamba: Computer Vision for Wildlife Research and .... https://zamba.drivendata.org/.
(4) About Wildlife Insights AI | Wildlife Insights. https://www.wildlifeinsights.org/about-wildlife-insights-ai.

自分 が送信しました:
トレイルカメラで撮った監視映像が大量にあるので、それを活用したい。

Copilot が送信しました:
それは素晴らしいですね!トレイルカメラで撮影した映像を活用して、AIに学習させることで、個体識別や行動解析が可能になります。以下のステップで進めることができます:

1. **データ整理**: まず、撮影した映像を整理し、各映像に対してメタデータ(撮影日時、場所、環境条件など)を付与します。

2. **データラベリング**: AIに学習させるためには、映像内の動物を手動でラベリングする必要があります。これには、動物の種類や個体の特徴をタグ付けする作業が含まれます。

3. **モデル選定**: 個体識別に適したAIモデルを選定します。例えば、YOLO(You Only Look Once)やResNetなどのディープラーニングモデルがよく使われます。

4. **モデル訓練**: ラベリングされたデータを使ってAIモデルを訓練します。この過程では、大量のデータが必要となるため、できるだけ多くの映像を用意することが重要です。

5. **評価と改善**: 訓練されたモデルを評価し、精度を確認します。必要に応じて、モデルのパラメータを調整したり、追加のデータで再訓練を行います。

6. **実装と運用**: 最終的に、訓練されたモデルを実際のデータに適用し、個体識別や行動解析を行います。

もし具体的なツールやソフトウェアについて知りたい場合や、プロジェクトの進め方についてさらに詳しく知りたい場合は、ぜひ教えてください。お手伝いできることがあれば、喜んでサポートします!





自分 が送信しました:
個体識別のAIによる教師なし学習は可能か?

Copilot が送信しました:
はい、個体識別においても教師なし学習を活用することは可能です。教師なし学習は、ラベル付けされたデータがなくても、データのパターンや構造を自動的に見つけ出すことができます。以下のような手法が一般的です:

1. **クラスタリング**: データを類似性に基づいてグループ分けする手法です。例えば、動物の画像をクラスタリングすることで、同じ個体や似た特徴を持つ個体をグループ化できます¹。

2. **自己組織化マップ(SOM)**: 高次元データを低次元にマッピングし、データのパターンを視覚的に理解する手法です。これにより、個体の特徴を視覚的に分類できます¹。

3. **生成モデル(GAN)**: 敵対的生成ネットワーク(GAN)を使用して、データの特徴を学習し、新しいデータを生成することができます。これにより、個体の特徴をより詳細に理解することが可能です¹。

教師なし学習は、特に大量のデータがある場合に有効で、手動でラベル付けする手間を省くことができます。ただし、最終的な結果の解釈や評価には人間の判断が必要です。

具体的なプロジェクトや使用するツールについてさらに知りたい場合は、ぜひ教えてください。お手伝いできることがあれば、喜んでサポートします!

¹: [教師なし学習の概要と手法](https://aismiley.co.jp/ai_news/unsupervised-learning/)

ソース: Copilot との会話、 2024/10/1
(1) 教師なし学習とは?種類・活用事例・クラスタリング手法を .... https://aismiley.co.jp/ai_news/unsupervised-learning/.
(2) 【2024】教師あり学習と教師なし学習の違いとは?それぞれの .... https://ai-kenkyujo.com/artificial-intelligence/kyoushiarigakusyu-kyoushinasigakusyu/.
(3) 2012年にAIの歴史が動いた! - ダイヤモンド・オンライン. https://diamond.jp/articles/-/165402.
(4) 教師なし学習とは | 教師あり学習や強化学習との違い ... - Ledge.ai. https://ledge.ai/articles/unsupervised.
(5) 文系でも分かる「機械学習」のススメ 教師あり/なし、強化 .... https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/23/news025_2.html.
(6) ja.wikipedia.org. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%81%AA%E3%81%97%E5%AD%A6%E7%BF%92.

モンスズメバチ♀とザクロ

 

2022年9月中旬・午後12:45頃・晴れ 

民家の庭に植栽されたザクロの木に赤い果実がなっていました。 
モンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が飛び回っていたので、甘党の蜂がザクロの熟果を食害・吸汁しに来たのかと期待しました。
関連記事(0、5年前の撮影)▶  
リンゴの果実を食害するモンスズメバチ♀と待ち伏せるニホンアマガエル 
ブラックベリーの完熟果実から吸汁するモンスズメバチ♀
うっすらと赤く色づいたザクロの果実に着陸したものの、ちょっと身繕いしただけで飛び立ちました。 
果実の表面に蜂が食害した食痕は見当たりません。 

今度は太い枝の切り口(剪定跡)に着地しました。 
古い切り口なので、樹液が滲み出している様子もありません。 
モンスズメバチが営巣できるほど大きな樹洞があるようにも見えません。 
おそらく、モンスズメバチ♀は獲物を探索する探餌飛翔していただけなのでしょう。 

後でネット検索しても、ザクロの実を食害・吸汁するスズメバチの情報はヒットしませんでした。
wikipediaによるとユダヤ教では「ザクロは虫がつかない唯一の果物」とされているそうですが、その詳細は不明です。
天然の虫よけ物質(忌避物質)を含んでいるのだとしたら、面白そうです。

2023/03/09

車に轢かれたニホンイタチの死骸に群がるハエ他

 

2022年9月中旬・午前10:20頃・くもり 

田園地帯を通る農道(砂利道)の端にニホンイタチMustela itatsi)の死骸が転がっていました。 
イタチの遺骸を見つけたのは、これで2回目です。
関連記事(5年前の撮影)▶ ニホンイタチの死骸

前回は死骸の損傷が激しく、テンとの区別も迷いました。
今回の死骸は足の裏が黒くないので、テンではないと分かります。

15cmの定規を死骸の横に並べて置きました。 
開いたままの目は少し濁っていました。 
乾いているものの、全身が泥水をかぶった後のように汚れている点が気になります。 
車にはねられたイタチが砂利道を転がって砂で汚れたのかな? 
それとも、イタチは死ぬ直前まで水田に出入りしていたのでしょうか? 
田んぼには黄色い稲穂が実っています。 
農薬による中毒死という可能性も頭をよぎったのですけど、頭頂部に乾いた流血痕があることから、おそらく夜の間に走ってきた車と正面からぶつかって即死したのでしょう。 
私はロードキルの加害経験がないのですが、果たして夜の砂利道で野生動物を轢き殺すほど車のスピードを出すでしょうか? 
車の眩しいヘッドライトに照らされると野生動物はパニックになり、徐行していても車に向かって突進してくるのかな?
直線の舗装路を夜中に猛スピードで暴走していた車がイタチをはねてしまい、動転した運転者がその死骸を横の農道までわざわざ運んで捨てたのかもしれません。 
しかし、普通の人は野生動物の死骸を手で持つ気になれないでしょう。 


せっかく新鮮なご馳走(遺骸)があるのに、朝からカラスやトビなど大型のスカベンジャーが来てないのも不思議です。 
死骸を食い荒らした形跡がありませんでした。
もしかすると、トビなどがイタチの死骸を車道(舗装路)から農道(砂利道)まで一旦持ち去って、いざ食べようとしたら邪魔が入って逃げたのではないか?などと想像しました。 

関連記事(7ヶ月後に現場近くで撮影)▶ 動物の死骸を独り占めする恐妻家のトビ(野鳥)


屍肉食の昆虫は、ハエとアリしか来ていませんでした。 
死骸にウジ虫(ハエの幼虫)は未だ発生しておらず、新鮮な死骸であることを物語っています。 
飛来したクロバエの仲間(種名不詳)がイタチの開いた口から吸汁を始めました。 
キンバエ類(種名不詳)も多数飛び回っています。 


せっかくの機会なので、この死骸をお土産としてありがたく持ち帰ることにしました。 
素手で触れないように、ありあわせのビニール袋を手袋として使います。 
イタチの死骸をジップロックに詰めてから、更に大きなビニール袋で二重に密閉しました。 
こういうときのために、10kgの米が入っていた大きなビニール袋を私は常に持ち歩いています。 
米袋はビニールの材質がとても丈夫ですし、匂いやドリップ(死骸の血液・体液)も通しませんし、中身が透けて見えることもありません。 
ニホンイタチの亡骸を持ち上げると、ぐにゃりと柔らかい感触が印象に残りました。 
死後硬直は未だ起きていないことになります。
急ぐ用事のあった私は、外性器をチェックする余裕もありませんでした。(性別不明) ※追記参照
死骸の下には微小なアリ(種名不詳)が群がっていました。 


本当はイタチの頭骨標本を作りたいのですが、残念ながら頭蓋骨は折れていそうです。 
この日は忙しい予定があり、イタチの死骸を解剖して胃内容物を調べる余力もありませんでした。 
どこか人里離れた山中に死骸を放置して、様々なスカベンジャー(屍肉食者)によって分解され土に還るまでの一部始終をトレイルカメラで記録するのも面白そうです。 
しかし、いざ実際にやろうとすると細々とした準備が必要なので、急には対応できませんでした。 
残暑が続く季節のため、放っておくと死骸は刻々と腐敗してしまいます。 
仕方がないので、今回は手っ取り早く遺骸をそのまま地中に埋めて、白骨化するまで気長に待つことにしました。 

つづく→?


※【追記】
日本の食肉類:生態系の頂点に立つ哺乳類』という専門書の終章「これからの食肉類研究」によると、
イタチ属(Mustela)では、捕獲個体や交通事故死体において、♀が少なく♂が多いという性差が見られる。これは♀の行動範囲が保守的で狭いことが理由であると考えられる (p291より引用)

タヌキの溜め糞が乾燥しても居残るオオセンチコガネとセンチコガネ

 

2022年9月中旬・午後13:15頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が里山の尾根道に残した溜め糞場cを定点観察しています。 
この地点は日当たりが良いので、溜め糞の乾燥が早く進みます。
古い溜め糞が乾燥してザクザクした状態を経て、ほとんど土のようになっていました。 
「うんちレストラン」にハエ類は居なくなり、この日はオオセンチコガネPhelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)とセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)だけが見つかりました。 
赤紫色のオオセンチコガネは、溜め糞場に穴を掘って潜り込もうとしているのか、耕すような動きをしていました。 
一方、右に居た藍色のセンチコガネはじっと静止しています。 

遠足に来た子供たちが私の後ろから賑やかにやって来ます。 
狭い尾根道で通行の妨げにならないように、撮影を早々に打ち切って先へ急ぎます。 

その代わり、糞虫を2匹とも手早く採集して持ち帰りました。 
後で時間のあるときに、標本の写真を撮って載せるつもりです。 
体長と性別を調べること。
左:オオセンチコガネ、右:センチコガネ

2023/03/08

水溜りのある林道を早朝に駆け回るニホンリス【トレイルカメラ】

 



2022年9月中旬・午前5:20頃・(日の出時刻は午前5:15) 

里山の林道で常に水溜りができている区間があり、ミゾソバなど湿った土を好む雑草が一面に生い茂っています。 
そこをニホンリスSciurus lis)が日の出直後に走り回っていました。 
この近くの樹上にリスの巣やねぐらがあるのかな? 
短い映像を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:08〜) 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



オカトラノオで訪花吸蜜するコキマダラセセリ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月下旬・午後14:00および15:45頃・くもり後晴れ 

山腹の細い山道に沿って咲いたオカトラノオの群落でコキマダラセセリ♂(Ochlodes venatus)が訪花していました。 
晴れているせいか、翅を半開きにしたまま吸蜜しています。 
翅表の斑紋からヒメキマダラセセリではなくコキマダラセセリと判明。 
嬉しいことに、コキマダラセセリを撮れたのは初めてでした。 
同じ日に複数個体(2頭)を撮影。

オカトラノオの花穂に潜んで獲物を待ち伏せしていたハナグモ(蜘蛛)?がそっと歩脚を伸ばして触れた瞬間に、コキマダラセセリ♂は驚いて飛び去りました。 

2頭目の個体は、くもり空のせいか翅をしっかり閉じたままで口吻を伸ばして花蜜を吸っていました。 

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみましょう。(@1:27〜) 
素早く羽ばたいて、隣の花穂へ移動します。 

2023/03/07

落枝を登り降りして遊び、ゼンマイ(羊歯)の葉を試食するニホンザルの幼児

 



2022年9月中旬・午後14:45頃・気温17℃ 

トレイルカメラを設置している里山のスギ林道を野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが次々と通り過ぎます。 
音量を上げるとニホンザルが静かに鳴き交わす声が聞こえます。 
コンタクトコールやクーコール♪と呼ばれる鳴き声でしょう。 

対面に見えるスギ大木の左隣に太い落枝が急に出現し、奥の斜面に引っかかるように止まりました。 
秋の台風や冬の大雪で横枝が折れかけたままずっとブラブラしていたのですが、通りすがりの猿が跳びついて重みに耐え切れず、遂に折れたのかもしれません。 
枝が折れてバキバキッと落ちてくる瞬間はさすがに撮れていませんでした。 
それでも、落下時刻が2022年9月20日の午後14:43とほぼ正確に推定できてしまいます。 

遊動する成獣の後を追いかけるように赤ん坊の子ザルが懸命に走ってきました。 
例の太い落枝の手前で立ち止まると、両手を掛けて後足で立ち上がりました。 
子猿はキュルキュル♪と可愛らしい声で鳴きながら、落枝に素早くよじ登ると、すぐに天辺から林道へ大きくジャンプして跳び降りました。 
好奇心旺盛で元気一杯な子猿の独り遊びはいつ見ても微笑ましいものです。 
画角の右端ギリギリで座っていた母親の元へと子猿は駆け戻りました。 

次に、子猿は林床から自分の背よりも高く育ったゼンマイ の葉に興味を示すと、手で掴みました。(@0:37〜) 
母親の真似をして食べたのではなく、自発的に戯れで口にしたように見えました。
葉を味見しても美味しくなかったのか、子猿の歯では噛み千切れなかったのか分かりませんが、結局ゼンマイの葉を食べませんでした。 
その間、子猿のすぐ横で母親は林道に座り直すと、頬袋に詰めていた餌を取り出して食べました。 
子ザルが近寄って来ても、食べ物を分け与えたりしません。(給餌しない) 
逆に母猿は子猿を手で邪険に押しのけると、スギの落ち葉をかき分けて何か虫?を拾い食いしました。

成獣でもニホンザルがシダ植物を採食した例を私は観察したことがありません。
PDFで公開されている『ニホンザル採食植物リスト』を参照すると、驚いたことにゼンマイが含まれていました。 
ゼンマイのどの部位を食べたのか、細かい情報を知るためには原著論文に当たらないといけないようです。 
ヒトが山菜として食べるように、ニホンザルもゼンマイの芽や若葉が好きなのでしょうか?
三戸幸久. (2002). ニホンザル採食植物リスト. Asian paleoprimatology, 2, 89-113.
今回の動画でゼンマイを味見したのは、子猿の気まぐれや遊びではなかったようです。 




 

タヌキの溜め糞に集まり産卵するツヤホソバエ科の一種【名前を教えて】

 

2022年9月中旬・午後13:40頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が里山の稜線(尾根道)に残した溜め糞場cに様々なハエ類が群がっています。
去年からの懸案だった謎の微小昆虫が何匹も集まっていたので、カメラにマクロレンズをいそいそと装着して接写してみました。 
三脚なしの手持ちカメラだと無理な体勢を強いられ、長時間の接写は疲れて無理でした。 
一緒に来ていたハネフリバエ科Euxesta属のハエとは明らかに別種と私でも分かります。 

翅は透明ですけど、全身が美しい金属光沢の構造色で覆われています。 
特に腹部は見る角度によって赤紫や鈍い金色に輝き、とても綺麗です。 

透明な翅の先端付近(前縁)に黒いシンプルな斑紋(縁紋?)あります。 
その翅紋を誇示するように広げた翅を振り立てることもありますが、Euxestaほど熱心ではありません。 
歩行中も白い平均棍を上下にピコピコと動かしています。 

白くて細長い卵を腹端から出し入れしている個体がいました。 
立ち止まると後脚を擦り合わせて身繕いを始めました。 
せっかく♀が産卵しそうだったのに、なぜか私は撮影を中断してしまいました。 

糞塊の上をとにかく忙しなく歩き回るので、口吻を伸ばして獣糞を吸汁するシーンが上手く接写できませんでした。 
同種のハエ同士が糞上で頻繁にニアミスするものの、もう少しズームアウトしないと求愛や闘争などの相互作用が撮れません。 

さて、このハエの名前は何でしょう? 
ときどきお世話になっている「みんなで作る双翅目図鑑サイト」の画像一括閲覧ページを眺めてみると、似た写真に「ツヤホソバエ科Sepsis sp?」とキャプションが付いてました。 
ツヤホソバエ科Sepsis」で改めて検索すると、フッカーSさんのブログ記事がヒットしました。 
翅の外縁あたりに1対の小黒点がある、スリムな体型のハエ。頭部は丸い。 翅に小黒点があるツヤホソバエといえば、Sepsis属のヒトテンツヤホソバエ(Sepsis monostigma)がよく知られているが、Sepsis属で翅に黒紋があるものは10種類くらいおり、安易にヒトテンツヤホソバエとは判断出来ない。 (ツヤホソバエ科の一種 @東京23区内の虫 2 より引用)
今回私が撮ったハエも、とりあえずSepsis sp.としておきます。 
もし間違っていたら、ご指摘願います。
昨年は通常レンズでしか撮れず、ハエなのかハチなのかさえ見分けられませんでした。
微小な寄生蜂なのかと思い込んでいたぐらいです。
この謎の虫をなんとか接写したいがために、今季は頑張ってタヌキの溜め糞をひたすら見て回っていたと言っても過言ではありません。
手ブレの酷い動画ですけど、これで一歩前進です。




【追記】
平凡社『日本動物大百科 (9)昆虫II』を紐解くと、ツヤホソバエ類に関する詳細な解説が載っていました。
 ツヤホソバエ科は小型で体の細いハエで、アリに似ていることから英語でant fly、地上では翅を頻繁に動かすことからドイツ語でSchwing Fliegenと呼ばれている。
 日本全国に分布し、11属35種が知られる。(中略)
翅の先に黒い点状の斑紋をもつものが多い。
 成虫は(中略)あらゆる環境に生息し、動物、家畜の糞、堆肥、腐肉など、広く腐敗物によく集まり、(中略)花を訪れるのは吸蜜するためである。(中略)幼虫はほとんどが糞食性または腐食性で、成虫が集まる糞や腐敗物に発生するが、なかには泥に発生するものもいる。
 卵は白く、長楕円形で、大きさは0.7〜1.5mm、ほとんどが卵の長さの何倍もある呼吸管をもっている。卵は少なくとも2日以内に1齢幼虫となる。(中略)幼虫は、糞や腐敗物を食べて成長し、発生源の内部または下の土中で蛹になる。
 ツヤホソバエ類の成虫の行動でもっとも特徴的なものは、求愛行動と繁殖戦略である。とくにSepsis属の多くの種の交尾行動は新鮮な牛糞上で起きる。♀を探索する♂は、牛糞周辺で活発に活動し、翅を頻繁に動かしたり、腹部を上下に動かすなどして、牛糞に飛来した♀をつかまえる。そして♀の体の上に乗り、そのまま牛糞上を移動して歩き、♀が産卵しているあいだ、交尾器の接触を試み、ほかの♂に侵略されそうになると翅を頻繁に動かして反応する。♀が成熟卵を産み付けたのち、ペアは牛糞から離れ、一般には交尾は成立するが、♀に拒否されることもある。交尾は約20分ほど続く。このように、最初の産卵の後の交尾によって受精が起きる。最初の産卵における受精については正確にはわかっていない。
次に機会があれば、Sepsisの繁殖行動をじっくり観察してみたいものです。

産卵シーン?

2023/03/06

タヌキの溜め糞場で早朝に虫を捕食するトラツグミ?【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月中旬・午前5:18・気温16℃ (日の出時刻は午前5:14) 

夜明け直後のスギ林にはまだ朝日が射さず、かなり暗くてトレイルカメラは赤外線の暗視モードのまま起動しました。 
里山のスギ林道上にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞の上に冒頭から鳥が乗っていました。 
赤丸の中に注目してください。 
林床に佇み、辺りをキョロキョロ見回しています。 
見事な迷彩模様で、動かないと絶対に見つけられません。 
熱源の動きを感知するトレイルカメラは、その点でヒトの視覚より優れています。(擬態や保護色に騙されない。)
この地味な鳥はトラツグミZoothera aurea)ですかね? 
もし間違っていたら、ご指摘願います。 

しばらくすると、急に左へ歩き始めました。 
ホッピングではなくウォーキングで駆け寄ると、スギの落ち葉を嘴で2回啄んで何か虫を捕食したようです。(@0:30〜) 
気温の低い(1日の最低気温になる)早朝は虫の動きが鈍く、捕食しやすいはずです。
その後のトラツグミは動きに乏しく、飛び去る前に尻切れトンボで録画終了してしまいました。 
トラツグミも朝目覚めたばかりで未だ少し寝ぼけているのでしょうか? 

トラツグミの食性について調べると、
食性は雑食。雑木林などの地面で、積もる落ち葉などをかき分けながら歩き、土中のミミズや昆虫類などを捕食することが多い。(wikipediaより引用)
 比較的暗い林の林床で大好物のミミズや虫を捕っている。この時、屈伸運動をするように上下に尾を振る仕草をする。(『やまがた野鳥図鑑』p44より引用)

今回の動画を見直しても、尾羽根を動かしていませんでした。 



つづく→晩秋の朝、スギ林道に出没したトラツグミ【野鳥:トレイルカメラ】

獲物を巣穴に運び込むモンスズメバチ♀

 



2022年6月中旬・午後17:45頃・晴れ(日の入り時刻は午後19:05) 

モンスズメバチVespa crabro)の巣穴を見つけてから2日後の夕方に、定点観察に来ました。 
採寸代わりに巣口の横に1円玉(直径20mm)を並べて置きました。

カメラの起動が間に合いそうになかったので、焦った私は営巣地に飛来した蜂を足で軽く追い払ってから、再び戻ってくるのを待ちました。 
巣穴を見下ろすように撮ると、帰巣した蜂が何を持ち帰ったのか見えにくいのが問題です。 
横から狙うべきでしたね。 
帰巣シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:42〜)、初回のワーカー♀は黄緑色の肉団子を巣穴に搬入していました。 
モンスズメバチと言えばセミを(専門に?)狩るというのが図鑑でも定説になっています。 
しかし私はモンスズメバチが獲物を狩る様子を未だ見たことがありません。
撮影時は初夏で、セミの鳴き声を周囲で未だ聞いていません。 
したがって、今回餌食になったのはセミ以外のおそらくイモムシ類(鱗翅目の幼虫)と思われます。 
狩蜂の中でもスズメバチとアシナガバチは狩った獲物をその場で解体して肉団子を巣に持ち帰ります。 
帰巣した蜂から肉団子をたとえ取り上げたとしても、獲物の原形を留めていませんから、素人が正確に同定するのは難しいでしょう。 

6分後、2匹目のワーカー♀が帰巣しました。 
飛来した蜂はかなり迷子になってからようやく巣穴に入りました。 
営巣地に私がカメラを持って突っ立っているせいか、または巣口の横にピカピカ光る見慣れない1円玉が置かれているせいでしょう。
ブタナの群落で少し離れた別の茎の周りを飛び回ったり、巣口の左から右から何度もアプローチをやり直してから、ようやく無事に入巣しました。 
(もっとズームアウトしないと、飛来した蜂が迷っている様子は撮れません。)

関連記事(2日前の撮影)▶ 巣穴に帰る途中で少し迷うモンスズメバチ♀

今回は帰巣した蜂が抱えていた空輸便の荷物をしっかり見極められませんでした。 
獲物の肉団子ではなく、巣材のパルプかもしれません。 
DNAバーコーディングの手法が普及すれば、肉団子から獲物の正体を突き止めることができるはずです。 
巣材の樹種も同定できそうです。 


【後日談】 
この河川敷は定期的に草刈りしているので、作業員にモンスズメバチの巣穴が見つかって駆除されてしまうのは時間の問題だと思っていました。 
案の定、このコロニーの活動を観察できたのは、この日が最後になりました。 
撮影したいテーマが未だ色々とあったのに、残念無念。 
(夜行性のシーンおよび雨天時の様子を観察できなかったのが心残りです。) 
少し無理をしてでも、撮影できるときに集中的に観察・撮影しておくべきでした。 
難しいのは、私が長時間立ち止まって地面の一点をじっと見つめていると、通りすがりの人に怪しまれて(興味を持たれて)蜂の巣の存在がばれてしまうことです。 
最近は蜂恐怖症のヒトが増えてますから、ヒステリックに反応して駆除業者に通報されてしまったら最期です。 
この日私は長居せずに、あえて短時間の撮影をしただけで立ち去りました。 
人通りの無い時間帯を選んで定点観察に来ないといけません。
目立たない無人カメラを巣口の横に設置したいところですが、トレイルカメラは変温動物の活動には反応してくれません。 

営巣地の周辺の草がきれいに刈られ、巣穴に出入りするモンスズメバチが完全に居なくなったものの、地面を掘り返して地中の蜂の巣を完全に破壊した形跡はありませんでした。 
したがって、駆除業者は巣口から中に殺虫剤を噴霧しただけのようです。 
しかし、駆除されたと思ったのは私の被害妄想かもしれません。 
モンスズメバチはコロニーが繁栄して営巣地が狭くなると新天地に巣を引っ越すことが知られています。 
もっと安全な(人目につかない)場所へ自発的に引っ越しただけなら良いのですが、モンスズメバチの世界も住宅難が深刻です。 
治水事業のために河畔林が次々に伐採されてしまい、樹洞のある大木(老木)はほとんど残っていないからです。 

危険なスズメバチを保護すべきだという主張はなかなか理解してもらえません。
決して可哀想だからという情緒論ではありません。
スズメバチは日本の生態系で上位に位置する捕食性昆虫と理解することがまず必要です。 
営巣後期にスズメバチの巣を丸一日観察すると、莫大な量の獲物を巣に搬入することに驚かされます。 
したがって、「怖いから」という理由でスズメバチの巣を見つけ次第駆除して根絶やしにしてしまうと、生態系のバランスが乱れて下位の昆虫が不自然に増えてしまうことになります。 
害虫駆除業者や殺虫剤のメーカーにとっては生態系が乱れて害虫が増えれば増えるほど、経済的に利益が増えます(儲かる)から万々歳なのでしょう。 
「害虫が大発生するのは全て地球温暖化のせいだ」ということにしておけば生態系破壊の責任を逃れられます。
近視眼的な市場原理に任せておくと、誰も歯止めをかけようとしません。 
都市化の進行で自然とのつながりが希薄になった結果、世界中で虫嫌いの潔癖症は年々エスカレートするばかりです。
蜂の巣駆除は必要悪というのが私の認識で、なるべく最小限に留めて欲しいのです。 
スズメバチの巣を無闇矢鱈に駆除して絶滅させるのを止めて欲しい、というのが私のささやかな主張です。 
蜂の巣の存在を告知する注意書きをして、立入禁止のロープを張り巡らせたら、後は1シーズン放っておけば良い場合もあるのに、駆除業者の尻馬に乗ってスズメバチの危険性を(良かれと思って)過剰に煽るマスコミも問題です。 
正しい知識があれば、スズメバチを無闇に恐れる必要はありません。
営巣地を迂回して通れば、スズメバチに攻撃されることはありません。 
基本的にスズメバチは忙しくて、ヒトの存在など眼中に無いのです。 
 「朝顔に釣瓶取られてもらい水」のような心の余裕(慈悲の心)をもつ日本人が少しでも増えてくれることを祈ります。 
うっかりスズメバチと出会ってしまったときの正しい対処法を子供に教えるのも大切です。

都会も含めて日本の自然界にスズメバチが何種類も住んでいるのは当然で、これからも居てもらわないと困ります。 
我々ヒトはなんとか折り合いを付けて(正しい知識を身につけて)スズメバチと共存するしかありません。 
言い出しっぺの私がまず蜂の巣の存在を告知する注意書きを設置すべきかもしれません。
しかし、どうせ駆除業者に通報されるだけ(藪蛇)だろうという諦念があり、撮影観察を優先してしまいます…。
もしも不幸な刺傷事故が起きた場合、蜂の巣の危険性を予見していたのに周知しなかったのは無責任だと怒られるのでしょう。
一体どうすれば良いのか、スズメバチ愛好者(絶滅危惧種)の悩みは尽きません。

2023/03/05

スギ林で雨宿りしながら立って反芻するニホンカモシカ♂

 

2022年9月中旬・午前11:30頃・小雨 

私が山道を静かに歩いていると、前方にニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)を見つけました。 
足音を忍ばせながら早足で追いつくと、カモシカは緩やかに登る坂道の途中で振り返り、私の方を見ていました。 
間の悪いことに、ニホンアマガエル♪が鳴く声と共に、小雨がぱらつき始めました。 
ガサガサといういう耳障りな物音は、カメラが雨に濡れないように、ありあわせのビニール袋をカメラの上にかざした音です。 
たとえ生活防水のカメラでも、なるべく雨で濡らしたくありません。
急いで雨具を着たりザックカバーを装着したりしたいところですが、未だ小雨なので野生動物の撮影を優先します。 

後ろ姿の毛深い股間に睾丸が揺れていたので、♂と判明しました。 
真横を向いた際に、下腹部に黒い陰茎も見えました。(@0:47〜0:55) 
フィールドで遭遇したカモシカの性別が外性器で見分けられるのは稀です。 
 

カモシカ♂は近視で私の姿がよく見えてないのか、なぜか私に対して鼻息を荒らげて威嚇してきません。 
角や耳介に目立った特徴は無く、私には見覚えのない個体ですが、向こうからしたら私は顔馴染みの(匂いで記憶している?)ヒト個体なのかもしれません。 
やがてニホンカモシカ♂は方向転換すると、林道から右に逸れて行きました。 


カモシカはスギが植林された斜面を登り始め、スギ木立の陰に隠れました。 
雨宿りするために杉林に入ったのかな? 
私も追いかけるようにそっと移動して撮影を続けます。 
カモシカ♂は緩斜面のスギ林の途中で立ち止まり、こちらを振り返っていました。 
鬱蒼としたスギ林の林床は昼間でもかなり薄暗く、画質が粗くなってしまいます。 
スギ高木の下は日光が遮られるだけでなく、雨も地上に達する前に枝葉に弾かれて蒸散してしまいます。(TV番組『所さんの目がテン!』2023/03/05林業の回より)
つまり、スギ林は雨宿りに最適です。
カモシカは急に駆け出して逃げるかと思いきや、油断なく私を見下ろしながらじっと佇んでいます。 
立ったまま(立位休息)で口をモグモグと咀嚼し、反芻を始めました。 

雨の日の森の中は蚊やブヨなどの吸血昆虫が多いらしく、私よりもカモシカ♂の方が悩まされています。 
眼球から涙を吸汁しようと飛び回るメマトイがいます。 
カモシカ♂は頻りに頭や尻尾を振って、まとわりつく虫を追い払おうとしています。 
胴体の皮膚がときどきピクッと動くのも、蚊やブヨに刺された反応なのでしょう。 
耳を左右別々に動かして、顔にたかる虫を追い払っています。 
舌舐めずりした際に、舌はピンク色でした。 

林床に生えた常緑のエゾユズリハと思しき幼木の葉の匂いを嗅いでから、顔の眼下腺を擦り付けてマーキングしました。(@5:55〜6:06) 

にわか雨が止むと、カモシカ♂は斜面をゆっくりトラバースし始めました。 
長撮りしている間、私に対して鼻息威嚇♪を一度もしなかったのは、斜面で私よりも高い位置に居るので優位性を感じているからでしょう。 

カモシカ♂が「スギ林に入って雨宿りした」という私の解釈は、ただの擬人化した結果論かもしれません。 
つまり、毛皮に覆われたカモシカ♂はにわか雨(しかも小雨)に濡れることなど全く気にしてなくて、たんに追跡者の私を警戒してスギ林の斜面に逃げ込んだだけという可能性もあります。
しかし以前、望遠レンズを使って遠くから撮影した動画でも野生のカモシカは雨宿りしていたのを思い出しました。 
私が人畜無害(あるいは顔馴染み)だと分かるとカモシカは警戒を解き、藪に覆われた斜面をゆっくりトラバースして元の林道に戻りました。 
カモシカ♂が林道を横断してスギ林と反対側の草地へ入るシーンは撮り損ねてしまいました。 


眼下腺マーキングの直前@エゾユズリハ

センチコガネがタヌキの糞を巣穴にせっせと運び、戸締まりして中に籠もるまで【10倍速映像】

 



2022年9月中旬・午後12:05〜12:25・晴れ・気温30℃ 

スギ林道上に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞をセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が横の巣穴にせっせと運び込んでいます。 
その仕事ぶりをタイムラプスで記録したかったのですが、あいにくこの日は三脚を持参していませんでした。 
仕方がないので、カメラを地面に置いてローアングルで微速度撮影することにします。 
適当な小石をカメラの下に敷いて少し斜めに固定し、センチコガネの巣口に狙いを定めます。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 

タヌキの糞塊を少しずつ糞玉にして巣穴に搬入するためにセンチコガネは何度も往復しています。
巣内でセンチコガネが移動するとスギの落葉がモコモコと上下動するので、深い巣穴というよりも浅い隠れ家なのかもしれません。 
後半になるとセンチコガネは巣口を中から糞玉で塞ぎました。 
1日分の充分な食料(獣糞)を溜め込んで(貯食)満足したのでしょう。 

撮影後に糞虫を採集して性別を調べるつもりだったのに、後半になるとセンチコガネは巣穴に篭もって外に出て来なくなってしまいました。 
私の殺気を感じて隠れた可能性もありますが、時間帯が午後になると貯食活動を停止して巣内に籠もり、幼虫のために糞玉を加工したり自分の食事に専念したりするのでしょう。 
糞虫の巣穴を発掘調査するにはミニスコップも必要ですね。 

センチコガネが勤勉に働いている間、キンバエの仲間やキバネクロバエ?など多数のハエもタヌキの溜め糞を吸汁しに群がっていました。 
更に、そのハエ類を狩って捕食しようとサビハネカクシOntholestes gracilis)やアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)が溜め糞上をうろついて虎視眈々と獲物を待ち伏せしています。 

白っぽいザトウムシの一種がタヌキの溜め糞を何度か横切りました。 
溜め糞場そのものには特に用が無いようで、素通りしただけです。 
カマドウマの一種も溜め糞を通過しました。 
他には多数のアリも徘徊しています。 

余談ですが、溜め糞場で私が長撮りしている間、周囲の森から何か硬い物をガリガリ齧る音が延々と響き渡り、気になりました。 
残念ながらカメラの仕様で微速度撮影では音声が録音されません。 (無音)
現場から少し離れた斜面(スギ植林地の端)に自生するオニグルミの木で野生動物が堅果(クルミの実、落果?)を齧る音だろうと想像がつきます。
もし万一イノシシやクマだとニアミスが怖いので、こっそり様子を見に行くのは自重しました。 
後になって思えば、リスの仕業だったのかもしれません。 

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