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2023/03/15

野ネズミはカラマツの根元でアリジゴクを捕食するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月下旬・夜 

里山で雑木林の斜面に立つ泥汚れのついたカラマツの木を自動センサーカメラで見張っていると、ときどき野ネズミ(ノネズミ)が写ります。 

シーン0:9/19・午後14:18・くもり 
明るい日中の現場の様子です。 


シーン1:9/22・午後21:10・雨 (@0:04〜) 
画面の赤丸で囲ったところ(右上隅)を注目してください。 
野ネズミが雑木林の斜面を駆け上って行きました。 
ネズミのような体の小さな哺乳類が雨に濡れたらすぐ低体温症になるのではないかと素人考えでは心配になるのですが、実際は雨夜でも変わらず採餌活動に励むようです。 

ちなみに、カラマツの幹が根元付近で強く湾曲している(多雪地帯の山林に特有の樹形)ために、雨が降っても根本の地面はオーバーハングした幹に遮られて濡れません。 
標高が高い場所になると、しばしば矮小な木がねじ曲がった樹形となり、風の強い海岸地では風衝形を呈したものが見られる[10]。(wikipedia:カラマツより引用)

シーン2:9/22・午後21:27・(@0:12〜) 
雨が止んで、うっすらと霧がかかっているようです。 
画面の左端から白く光る目が現れました。 
野ネズミが走って左から右へ斜面をトラバース。 


シーン3:9/24・午前00:17・雨 (@0:27〜) 
雨が降る深夜に野ネズミが採餌活動しています。 
シシガシラという羊歯などの下草が生えている画面右上の斜面で食べ物を探し歩いています。


シーン4:9/24・午後21:09 (@0:44〜) 
画面の左下から野ネズミが登場。 
斜面を登って泥カラマツの根本に辿り着くと、乾いた土の地面を少し掘りました。 
ドングリなどの木の実(堅果)を運んでいた訳ではないので、貯食行動ではありません。
すり鉢状の巣穴がいくつも出来ています。
9月上旬の撮影

泥カラマツの根本の地面は前述のように常に乾いているため、その立地を利用してアリジゴク(蟻地獄)が営巣しています。 
アリジゴクの群れがすり鉢状の巣穴を掘って耕すために、集団営巣地の土はサラサラです。 
もしかすると、野ネズミは闇夜にアリジゴクの巣を見つけてウスバカゲロウの幼虫を掘り出して捕食したのかもしれません。
残念ながら、後ろ姿ではよく分かりません。 
その後、野ネズミはカラマツの左の斜面を登って行きました。 
もしアリジゴクを捕食したのなら、野ネズミは味をしめて(学習して)集団営巣地に狩りをしに繰り返し通ってくるはずですけど、どうでしょうか? 


シーン5:9/24・午後21:46 (@1:11〜) 
37分後、赤い丸の中にご注目。 
シシガシラに覆われた斜面を野ネズミが登って行き、すぐに姿を消しました。 


シーン6:9/25・午前00:20 (@1:19〜) 
泥カラマツの幹の背後にときどき隠れながら、右上の斜面をチョロチョロと徘徊しています。 
最後はカラマツの左の斜面に移動しました。 


※ 動画編集時に一部は自動色調補正を施しています。 


【追記】
飼育下の野ネズミに試しにアリジゴクを与えて捕食するかどうか実験することはできそうです。



2022/08/21

手乗りキバネツノトンボ♀

 

2022年6月中旬・午後13:30頃・小雨 

河川敷の遊歩道に沿って咲いたヒメジョオンの茎の上部にキバネツノトンボ♀(Libelloides ramburi)がしがみついていました。 
(キバネツノトンボは)止まる姿勢も変わっていて、ススキの枯れ枝などにぴったり張り付くように止まる。 (海野和男『シンフォレスト:昆虫の惑星 The Planet of Insects』より引用)
腹端にハサミムシのようなフックが無いので、♀と判明。 
腹端から細い糸でぶら下がっている黒い小塊はキバネツノトンボの糞なのかな? 

静止状態を撮っても動画ブログのネタにならないので、指で翅先にそっと触れてみました。
するとようやく身動きして、ヒメジョオンの茎を登り始めました。 
すぐに飛んで逃げるか、せめて飛翔前の準備運動を始めるかと思いきや、相変わらずおとなしくしています。 
そっと左手ですくい取るようにすると、素直に私の手に乗ってくれました。 
顔は毛深く、黒い毛が密生しています。 
触角の先端は黒い棍棒状。 
黄色と黒の警告色を全身に纏っていますが、私には蜂にベーツ擬態してるとは思えません。 
足の色も黄色と黒のツートンカラーです。 

飛び立つ瞬間を動画で記録するつもりで私がしつこく触れると、ようやく翅を広げてくれました。 
あまりにも不活発なので羽化直後なのかと初めは思ったのですが、翅は伸び切っていて、しかも右前翅の端が欠損していました。 
しかし、その程度の損傷で飛べなくなるはずがありません。
(なんとなく素人目には羽化の直後ではなくだいぶ時間が経っているような気がします。) 
せっかく広げた翅をじきに閉じてしまいました。 
飛び立つ予兆や準備運動が全く見られません。 
私の左手の甲に歩いて移動しても、羽ばたいて逃げる気配がありません。 
小雨がぱらついているから飛びたくないのかな?
私が捕食者なら、この個体はもう餌食となっているでしょう。

キバネツノトンボ♀の扱いに困った私は、仕方なく元のヒメジョオンの茎に戻してやりました。 
従順に乗り換えてくれた際に少しバランスを崩して軽く羽ばたいたものの、すぐに休止体勢に戻りました。
なぜか飛べないキバネツノトンボ♀でも、久しぶりの嬉しい出会いでした。
次は幼虫を観察してみたいものです。

関連記事(6年前の撮影)▶ キバネツノトンボ♀の飛翔準備
    

2018/02/17

ツクネグモ(蜘蛛)の卵嚢



2016年6月上旬

峠道の道端に繁茂する雑草の葉先に奇妙な物体を見つけました。
虫の卵や繭だと思うのですが、今まで見たことがありません。
褐色で球に近い紡錘形の構造体が一つ、葉先から長い糸のような柄で吊るされています。

この細くて長い柄は、アリなどに捕食されないようにするための工夫なのでしょう。

(1)ウドンゲの花?
私がまず思いついたのは、「優曇華の花」と呼ばれるクサカゲロウの仲間の卵です。
孵化した幼虫が捕食するアブラムシの近くに卵を生むはずです。
確かにこの植物の茎には、黒いアブラムシ(種名不詳)のコロニーが形成されていました。
ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が随伴しています。
しかし、もしウドンゲの花ならば、もっと白っぽくて複数の卵が産み付けられるのでは?
クサカゲロウの仲間は幼虫からしか飼育したことがなくて、卵の実物は未見です。



(2)昆虫の繭?
『繭ハンドブック』を一通り眺めても、これと似た繭は載っていませんでした。



 (3)ヤマトカナエグモChorizopes nipponicus)の卵嚢
後日、新海栄一、緒方 清人『クモ (田んぼの生きものたち)』という本をたまたま読んでいたら、「メスグモが守らないクモの卵のう」の一例としてp39に掲載された写真がこれと似ているような気がしました。

針葉樹の葉の先に吊られたヤマトカナエグモの卵のう


私の知らないクモなので、いつもお世話になっている『クモ生理生態事典 2016』を参照すると、卵嚢に関して次のように記されていました。

・10cmほどの糸でスギの枝からつりさげられた茶褐色の卵のうがよく目につく
・ 7月に卵のうを作る〔山川・熊田73〕. 8月頃,山地の樹枝に10cm位の糸で吊り下げられた褐色の卵のう(長径5mm,短径3mm)を見掛ける〔中平AT23/24〕.
・ 三重県上野市にて1962年9月16日に採取した卵のうからヒメバチ科の一種 Phobetes sp. が2個体羽化, 他にタマゴバチの一種20個体羽化




YouTubeでは、nekonomesouさんが「ヤマトカナエグモの卵のう」と題した動画を公開なさっていました。
常緑広葉樹の葉先から2個の卵嚢が揺れていました。

インターネット検索すると、かぜくささんのホームページ「私の回り道」内で「ヤマトカナエグモの卵嚢」の生態写真が多数掲載されていました。
クモの卵嚢写真の見事なコレクションですね。

ここまで予習した上で、私のケースを検討してみましょう。

問題となるのは、6月上旬の北国(東北地方)でクモの新しい卵嚢が見られるはずがないのでは?という疑問です。
常緑樹の葉先なら前年の古い卵嚢が残っている可能性もありますが、この道端の雑草は雪が溶け春になってから生えてきたものです。
現場は山地の林縁です。
ヤマトカナエグモ♀が樹木ではなく下草の葉先に卵嚢を作ることもあるのかな?


この謎の物体を採集・飼育して正体を明らかにするべきだったと強く後悔しています。
少なくとも、しっかり採寸すべきでしたね。
定点観察するつもりで後日に現場を再訪すると、道端の雑草が根元からきれいさっぱり草刈りされていて大ショック!(唖然、無念)
謎の卵?も一緒に失われてしまいました。
気になる雑草の名前も、花が咲く前だったので、分からずじまいでした。(イネ科ではない)

何かご存知の方はぜひ教えてください。



【追記】
YouTubeのコメント欄にて、海外の方より「Theridiosoma sp.の卵嚢である可能性は?」との示唆を頂きました。
カラカラグモ類を今まで見たことがなく知識もない私は、何と返答したら良いものやら困ってしまいました。
そこで、いつもお世話になっている「クモ蟲画像掲示板」にて問い合わせたところ、きどばんさんより以下の回答を頂きました。
> ヤマトカナエグモの卵嚢?> 6月上旬の北国(東北地方)でクモの新しい卵嚢が見られるはずがないのでは?
「柄」が長いのでそのように思われている方もおられるかもしれませんが形状が異なります。私の添付画像とサイズ的に相違がなければツクネグモPhoroncidia pilula)の卵のうでしょう。東京で5~6月に普通に見られるので山形県6月上旬というのは何の問題もないと思います。昨年クモ屋の集まりで何気なく紹介したところ、何十年もクモの研究をしている先生方に「知らなかった」と言われびっくりしました。調べてみると確かにツクネグモの卵のうについて書かれた文献は見当たらず、ネット上に画像も見つかりませんでした。知っているのはごく一部のクモ屋さんだけかもしれません。
> 海外の方より「Theridiosoma sp.の卵嚢ではないか?」との示唆を頂いた
海外ではどうなのか知りませんが、日本で見られるTheridiosoma sp.の卵嚢はすべて特徴的な形状で、その「柄」は投稿画像のように長くはありません。
「ヤマトカナエグモ 卵のう」で検索したら画像がありました(笑)
ここの ↓ 下から2番目とか、vittataさんのブログにも・・・

2016/08/01

キバネツノトンボ♀の飛翔準備



2016年6月上旬

花が散りかけたノイバラの群落を観察していると、見慣れない昆虫がパラパラと羽ばたきながら飛来し、高い枝の葉に止まりました。
その正体はキバネツノトンボ♀(Libelloides ramburi)でした。
風で揺れる葉をよじ登りながら羽ばたいています。
私はツノトンボについてまるで疎いのですが、アブラムシの群落などに産卵している可能性もありますかね?(キバネツノトンボは植物の茎や枝に白い卵を並べて産み付けるらしい。)
ちなみにキバネツノトンボの成虫も幼虫も肉食性らしい。

再び飛び立つ前の準備運動ではないかという予感がしたので、ひたすら愚直に長撮りしてみます。
公開した映像では動きのないシーンを編集でかなりカットしています。
ところが横の農道を車が通りかかった瞬間に驚いたキバネツノトンボが飛び立ってしまい、飛翔シーンを撮り損ねた上に見失ってしまいました。
あーあ…。

参考:『自然の観察事典30:アリジゴク観察事典:脈翅目のなかまたち』p34-35






2015/10/11

アリジゴク営巣地で採土するミカドトックリバチ♀



2015年7月下旬

急斜面の杉林でスギの木の根元に数匹のアリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)が巣穴を構えていました。

▼関連記事
砂粒を跳ね上げ巣を作るアリジゴク【HD動画&ハイスピード動画】
杉の根本でアリを捕食するアリジゴク
その営巣地の横でミカドトックリバチ♀(Eumenes micado)が泥団子を作っていました。
巣材集めにせっせと通って来ているのです。
トックリバチの採土行動そのものはこれまで何度も観察しているので、物珍しさはありません。
水を吐き戻して土を軟化しながら大顎で地面を掘り、小さな泥玉に丸めて巣に持ち帰ります。

辺りの林床はスギの落ち葉で覆われていて、木の根元以外で土が露出した地面はありません。
巣材集めの場所はこの狭い範囲の中でも毎回微妙に違うようでした。
採土を始めても土質が気に入らなければ何度も場所を変えます。

後半は急斜面に苦労して三脚を立て、初めての試みとしてビデオカメラの動体検知モードで監視してみました。
しかし残念ながら、被写体の蜂が小さ過ぎてセンサーが動体検知してくれませんでした。
仕方がないので、蜂が飛来する度に手動で録画を開始しました。

トックリバチの造巣行動(徳利作り)を私は未だ観察したことがありません。
このミカドトックリバチの営巣地をなんとか突き止めようと、しつこく頑張りました。
泥玉を抱え飛んで帰巣する蜂を毎回追いかけるも、急斜面を登り切った辺りでいつも見失ってしまいます。
撮影はカメラに任せながら蜂の帰路の途中で待ち構えていても、独りで蜂を追跡するのは無理でした。
今回も悲願を果たせず、小型発信機を蜂に装着できれば…といつも思います。

採土の前に蜂は水を飲んでくるはずですが、その水場がどこにあるのかも分かりませんでした。



この個体はかなり臆病というか神経質な印象を受けました。
そっと近づきマクロレンズで接写しようとすると、嫌がって(警戒して)逃げてしまいます。
(※ この接写パートだけ動画編集時に自動色調補正を施してあります。)
逃げた蜂が、横のスギの小枝の下面にしがみつきながら泥玉を丸めていました。
齧り取った樹皮を巣材に混ぜ込んでいるのか?と一瞬興奮しかけたのですが、このとき限りの行動だったので、おそらく一時避難しただけでしょう。
接写は諦めて少し離れた位置から望遠マクロで狙うことにしました。
通りすがりの小さなアリに作業を邪魔されたときも蜂は警戒して一旦採土場から離れ、ほとぼりが冷めてから戻って来ます。



さて、ミカドトックリバチがアリジゴクの巣穴の近くで採土するのを見たのはこれが二度目です。

▼関連記事
ミカドトックリバチ♀が蟻地獄の巣穴に…
果たしてこれは偶然でしょうか?
アリジゴクとトックリバチは、今のところ互いに没交渉…に見えます。
もし好みの土質が同じなら、ドロバチもまずアリジゴクの巣を探すようになるかもしれません。
クレーター状の地形を目印に探しているかもしれません。
あるいはアリの死臭を頼りに探索する可能性も考えられます。
今回は蜂が足を踏み外してアリジゴクの落とし穴にうっかり嵌ることはありませんでした。
アリジゴクがもしミカドトックリバチの脚に噛み付き毒液を注入したらどうなるでしょう?
圧倒的な体格差があっても餌食になることがあるのかな?
それともミカドトックリバチ♀が毒針を使ってアリジゴクを返り討ちにするでしょうか?
そのうちに、獲物としてアリジゴクを狩る新種へと進化しないだろうか?(種分化)と…あらぬ空想に耽りながら眺めていました。(※※追記参照)
アリジゴクが丁寧に篩いにかけ耕したおかげで砂のようにサラサラになった土が豊富にありますから、そのクレーターからサラサラの土を失敬すれば楽に泥団子を作れそうです(一種の労働寄生?)。
しかしミカドトックリバチはそうしないで、小石の横などからわざわざ固い地面をかじり取るのを好むようです。
水分が飛んで乾燥すればカチカチに固まることが保証されている締まった土を選んで巣材としているのでしょうか。
むしろ固い地面をトックリバチがせっせと掘ってくれるおかげで蟻地獄の方が恩恵を受けているのかもしれません。


※ アリジゴクとは無関係の場所から採土するミカドトックリバチは何度も見かけています。
むしろこれまでアリジゴク営巣地での採土は2例しか見ていないので、仮説というには弱く、ただの妄想のようなこじつけかもしれません。

※※ 【追記】
小松貴『フィールドの生物学14:裏山の奇人―野にたゆたう博物学』p122-125によると、筆者はマレーシアの高床式住居の軒下で、ウスバカゲロウの幼虫に寄生するツリアブの一種や、蟻地獄の巣に自ら飛び込んで幼虫を狩るギングチバチの一種(おそらく新種)を目撃しています。



2015/09/24

杉の根本でアリを捕食するアリジゴク



2015年7月下旬


▼前回の記事
砂粒を跳ね上げ巣を作るアリジゴク【HD動画&ハイスピード動画】

急斜面に植林された杉の木の根元に数匹のアリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)が巣を作っていました。
そのひとつで、落とし穴に落ちたアリを捕食しているアリジゴクを観察しました。
大顎で噛んで吸汁しています。
アリの種名は普通種のクロヤマアリ♀(Formica japonica)ですかね?
私が餌を投入したのではなく、巣穴を見つけた時から捕食していました。
通りすがりのムネアカオオアリ♀(Camponotus obscuripes)が罠に落ちかけたのですが、慌てて脱出しました。

実はこの小さな砂地に巣材集めに通って来るミカドトックリバチ♀の観察がメインで(映像公開予定)、この動画は待ち時間の暇潰しで撮ったものです。
できればアリジゴクを採集して同定を試みたり、飼育下で成虫を羽化させたりしたかったのですけど、とてもそこまで手が回りませんでした。


2015/09/15

砂粒を跳ね上げ巣を作るアリジゴク【HD動画&ハイスピード動画】



2015年7月下旬

急斜面の杉林でスギの木の根元だけがちょっとした砂地になっています。
そこに数匹のアリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)が巣を作っていました。
大顎で砂を跳ね上げてすり鉢状の巣穴を作る様子を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。(@0:40〜)
複数個体(2匹)を撮影。
ひとつはアリの死骸が入った巣穴でした。
時計回りの後退で地中に潜り込みながら砂を巣外に跳ね上げていました。
完成すると巣穴の底で大顎を広げて待機します。

飼育して成虫まで羽化させれば同定できると思うのですが、そこまで余力がありませんでした。

つづく→杉の根本でアリを捕食するアリジゴク



2012/04/17

ミカドトックリバチ♀が蟻地獄の巣穴に…



2011年9月中旬

神社境内の床下でミカドトックリバチ♀(Eumenes micado)が巣材用にせっせと採土していました。
ここは小石だらけですけど乾いた土が一面にあり、あちこちにアリジゴク(種名不詳)が摺鉢状の巣穴を作っています。
ハチが低空飛行で場所を変えた際にアリジゴクの巣穴で足を滑らせ転がり落ちてしまいました。(@0:20)
瞬間的に脚をアリジゴクの毒牙に噛まれるかと期待したのですが、何事もなかったように作業を続けます。
体格に差があり過ぎて、きっと勝負になりませんね。

【追記】
当初はろくに調べずムモントックリバチと表記していたのですが、ミカドトックリバチの誤同定でした。訂正します。


2011/04/01

キカマキリモドキ




2006年9月中旬

灯火下で初めて見つけたキカマキリモドキEumantispa harmandi)。
ぴろぴろ動く触角が可愛らしい♪ 

アリジゴクから逃れるアリ



2006年8月下旬

ご存知アリジゴクはウスバカゲロウの仲間の幼虫です。
すり鉢状の巣から獲物に逃げられそうになると、潜んでいる穴から砂をかけます。
大きさの比較対照として、巣穴近くに10円玉を置きました(直径23mm)。

2011/03/22

食べ滓を穴の外に放り出すアリジゴク



2007年6月上旬

左の個体:
暴れる獲物を地中に引きずり込みました。
大顎で獲物を咥え直すときによく逃げられるようですが、砂の中に生き埋めにすれば簡単には逃げられません。
蟻も昆虫界では穴掘り工事のスペシャリストですが、無力化されてしまいます。
化学兵器(強い蟻酸)を放出して対抗している筈ですけど、アリジゴクは平気なのかな※1。
※【追記1】:「アリは大顎で敵を噛んでからでないと蟻酸を放出しないが、アリジゴクはその隙を与えないらしい。実験的に蟻酸をアリジゴクの頭部に垂らすと獲物を離す」とのこと。
アリジゴクは吸汁前に毒液を注入して獲物を麻痺させているそうです。 


右の個体:
吸汁し終えた蟻の死骸を巣穴の外へ勢い良く放り投げました。
アリジゴクは幼虫期に糞をしない(肛門が開通していない)ので巣穴はいつも清潔でサラサラです。 


皆さんも粋なペットとして蟻地獄を飼育してみては如何でしょう。
お洒落にワイングラスで飼ってる人も居るようです。 
水も不要で※2、飢餓にも強いです。
※【追記2】:この後残念ながら成虫に育つ前に飼育に失敗してしまったので種名は分からず仕舞い。普通のウスバカゲロウ(Hagenomyia micans)の幼虫の場合は飼育が若干難しく、土(シルト)に適度な湿り気を与えないと干からびて死んでしまうらしい。二匹を同居させたのも良くなかったかも。共食いした可能性があります。 


参考図書
『砂の魔術師アリジゴク:進化する捕食行動』中公新書←おすすめです!)


【追記3】
 小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p14によると、
アリジゴクに食いつかれた獲物の虫は、比較的短時間のうちに死にますが、これはアリジゴクがキバを使って強力な毒素を注射しているからだということが明かされています。この毒素は、アリジゴク体内の胃袋(そ嚢)に共生する細菌由来のものだそうです。


アリジゴクの巣穴掘りと獲物の引きずり込み



2007年6月上旬

飼っているアリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)の左の個体は穴掘り中。
反時計回りに後退しながら大顎で砂粒を外に跳ね飛ばします。
回る向きは決まっているのだろうか?※ 
体の構造が非対称? 
※【追記アリジゴクの回る向きは常に同じではないそうです。(参考図書『砂の魔術師アリジゴク:進化する捕食行動』中公新書←おすすめ!)



右の個体は捕食中の蟻を咥えたまま後退して地中に潜り込みました。
暴れる蟻を引きずり込んで生き埋めにすることもあります(次の記事を参照)。 



アリジゴクの捕食



2007年6月上旬

アリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)を二匹飼っています。
左の巣穴に蟻を投入すると一度は必死に虎口を逃れたものの、再びすり鉢状のトラップにはまり万事休す。
右側に巣穴を掘ったもう一匹のアリジゴクは既に蟻を捕らえて吸汁しています。


こうして観察してみると、落とし穴の中心で待ち構えるアリジゴクは巷でよく言われるように這い上がろうとする蟻を目掛けて砂粒をぶつけている訳ではないと気付きます。
アリジゴクは狩りの最中に体の向きを変えないのです。
アリジゴクが作る巣穴は粉体工学的にも理に適っており、すり鉢状の斜面は堆積安息角angle of repose)という不安定な平衡状態にあるらしい。
アリジゴクは大顎で砂粒を適当に跳ね飛ばして土砂崩れを起こすきっかけを作っているだけなのです。
それにしても素晴らしいですね。

アリジゴクは前進できない



2007年6月上旬
「決してこれは退却ではない、あくまでも戦略的転進だ。そしてこれは退化ではない、進化的適応だ。」
アリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)は後退するだけで前進できないという話は本当でした。


仰向けにされた虫がどのように起き上がるか観察するのを密かな趣味としているのですが、驚いたことにアリジゴクは素早い横回りで反転しました。
大顎の鋭い棘は中空で、獲物を噛みつつ毒液を注入して獲物を麻痺させてからここから体液を吸うのだそうです。
(参考図書:『砂丘のアリジゴク:不思議な昆虫の不可思議な生態』) 

追記】体表の土をよく払い落とせば幼虫でも同定可能らしいです。
実は、アリジゴクの仲間には前進できる種もいるらしいのですが、私は未見です。

アリジゴクの巣穴掘り(微速度撮影)



2007年6月上旬

アリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)の飼育を始めました。
神社の縁の下で見つけた巣から乾いた土ごと採集しました。
茶漉しで篩いに掛けて土を細かくし、プラスチック円筒容器(直径8cm、高さ8cm)に半分ぐらいの深さまで入れました。
アリジゴクを地表に置いてからすり鉢状の巣穴を掘る様子をwebカメラで微速度撮影してみました(3時間10分)。
反時計回りに初めは大きく次第に小さく螺旋状に後退しながら砂粒を外に跳ね飛ばし掘り進みます。
実はもう一匹居るのですけど、置いた直後に中に潜った切り地表に出て来ませんでした。
空腹の個体ほど大きなすり鉢を作るらしい(個体サイズには無関係)。

2011/02/24

イツホシアカマダラクサカゲロウ幼虫の塵拾い



2008年9月中旬

採集したイツホシアカマダラクサカゲロウDichochrysa cognatellus幼虫の蓑をピンセットで突付いたら背中の塵はあっさりバラバラになりました。
裸にされると慌てて塵を探して歩き、一つずつ大顎で拾い集め背中に乗せていきます。
ほどなくして偽装完了。
アブラムシなどを捕食して育つそうなので、いつか飼育してみたいものです。
(翌年の観察記録はこちら → 「アブラムシを狩るフタモンクサカゲロウ幼虫」






イツホシアカマダラクサカゲロウ幼虫の蓑虫式カモフラージュ



2008年9月上旬

オニグルミの葉の上で動き回る謎の蓑虫様物体。
てっきり蓑虫(蛾の幼虫)の一種かと思いきや、採集して持ち帰るとクサカゲロウの仲間の幼虫と判明。
イツホシアカマダラクサカゲロウDichochrysa cognatellusの幼虫だと教えて頂きました。
続編の記事も是非ご覧下さい。→「イツホシアカマダラクサカゲロウ幼虫の塵拾い

2011/02/05

アリジゴクにワラジムシを与えてみる



2009年4月下旬

神社の床下に今年もアリジゴクの巣(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)が出来ていました。
小さ目のワラジムシPorcellio scaber)を巣穴に投入し、観察してみます。

2011/01/18

クサカゲロウ幼虫の塵拾い




2009年8月下旬

採集してきたクサカゲロウの幼虫が背負っている塵を払い除け、同定用の写真を撮りました。
どうやら昨年も出会ったイツホシアカマダラクサカゲロウの幼虫らしい※。
裸にされると無防備に感じるのか、直ちにゴミ回収を始めます。
後退しか出来ない親戚のアリジゴクとは異なり、方向転換や前進・後退も自由自在です。
なかなかの歩行速度を誇ります。
6本足の他、尾端も支えにして前進します。
手頃な塵を見つけると前脚で塵を押さえながら何度か咥え直し、塵の端を大顎で咥えてから仰け反って背中に乗せました。
一度、勢い余って塵を跳ね飛ばしてしまったのが何とも微笑ましい。

《追記》
※ フタモンクサカゲロウかもしれません。
この個体は飼育に失敗して成虫を得られませんでした。



 


アブラムシを狩るフタモンクサカゲロウ幼虫




2009年8月下旬

採集してきたクサカゲロウ幼虫の飼育に挑戦です。
道端に生えたヨモギの茎で集団吸汁していたアブラムシ(ヨモギヒゲナガアブラムシだと思います)を与えてみました。
アブラムシを護衛するアリは予め除いてあります。
徘徊するクサカゲロウ幼虫はすぐ近くにアブラムシが居ても気づかないことがありますが、なんとか狩りのシーンが撮れました。
なかなかの迫力です。
大顎で噛まれたアブラムシは無抵抗で逃げません。
毒液で麻痺しているのだろうか。
体液を吸い尽くすと食べ滓を捨て、次の獲物を探し始めます。
クサカゲロウ幼虫は背中に背負ったゴミが邪魔で、茂みの中をうまく歩き回れないことがあります。
葉の下に獲物が隠れていないか、大顎で持ち上げて探したりもします。




《追記》
幼虫の写真判定でイツホシアカマダラクサカゲロウかと思ったのですが、その後羽化してきた成虫を見ると別種のフタモンクサカゲロウDichochrysa formosana)だろうと判りました。

葉上で繭を紡ぎました。

羽化した成虫

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