2021/05/29

落葉したオニグルミ老木の樹皮を剥いで虫を探すカケス(冬の野鳥)

 

2021年3月上旬・午前11:00頃・晴れ 

未だ雪深い田畑を囲む防風林に2羽のカケスGarrulus glandarius)が溜池の畔から飛来しました。 
2羽が行動を共にしていたので、♀♂つがいなのかな? 
背後に見えるスギ(杉)林と手前の落葉樹(樹種不明)を行き来しています。 

おそらくオニグルミと思われる落葉した老木の幹から嘴で樹皮を剥がし、餌となる越冬昆虫を探しているようです。 
最後はスギ林に飛び込んで姿を消しました。 
春になって枝に花や葉がついたら樹種を確認しに行くつもりです。

【追記】
6月上旬の初夏に樹種を確認しに現場へ行くと、オニグルミで間違いありませんでした。

庭のポプラ樹上に見つけた鳥の古巣

2020年12月上旬 

(動画無しの写真ネタです。) 
 郊外の新興住宅地の庭で落葉した庭木に球状の鳥の巣を見つけました。 
たくさんの細い小枝や枯れ草だけでなく、人工物の白いビニール紐などを組み合わせて端正に作られています。 
手が届かない高さに巣が架けられていたため、古巣の中を覗いたり古巣を丸ごと採集したりすることはできませんでした。 

営巣木の樹種が分からなかったので、春になって枝に花や葉がつくまで定点観察に通うことにしましょう。

2021年4月中旬 

雪国の長い冬がようやく終わり、若葉が芽吹き始めました。 
風雪にさらされた古巣はかなり崩壊が進んでいます。
樹種は未だ分かりません。

2021年5月下旬 

鳥の古巣はいつの間にか完全に無くなっていました。
自然に崩落したのか、見苦しいという理由で家の住民に撤去されたのか、あるいは近所の野鳥が巣材を再利用するために持ち去ったのかもしれません。

謎の営巣木にせっかく一度芽吹いた若葉がなぜかほとんど枯れてしまいました。 
わずかに残った葉が育ち、おそらく若いポプラ(=セイヨウハコヤナギ)だろうと樹種がようやく判明しました。 
すぐ裏には水田が広がっていて、田植えのために水入れされた後ですから、かなり湿った土壌と考えられます。 
ポプラは湿地帯でも育つはずですけど、植栽後に根付きが悪かったのですかね?
隣の木に異状は見られませんから、まさか誰かが強い除草剤や枯葉剤を撒いたとは考えられません。

昨年の冬に初めて鳥の古巣を見つけた時の写真を見直してみると、ポプラの枯葉がまばらに少数しか付いていません。 (当時は単純に落葉した結果だと思っていました。)
ということは、昨年もこのポプラ灌木には葉がほとんど茂らなかったと想像されます。 

親鳥は巣の位置を天敵や捕食者に知られたくありませんから、葉が生い茂った樹上に巣作りするのが普通です。 
逆にこんな丸見えの状態で営巣したのでは繁殖に失敗した(または営巣を放棄した)可能性が高いはずです。 
繁殖経験の浅い若い親鳥ではないかと思いました。 

もう一つ別の可能性としては、ここにポプラの苗木を移植する前に育った土地で野鳥が巣を作り、造園業者が鳥の巣付きの苗木を庭に運んできたのかもしれません。

杉の木の下の隠れ家から雪山に逃げる疥癬症のホンドギツネ

 

2021年3月中旬・午前11:55頃・晴れ
前回の記事:▶ 雪山を逃げる疥癬症のホンドギツネ

8日ぶりに雪山に登りました。 
前回ホンドギツネVulpes vulpes japonica)と二度も出会った同じスギの木にそっと近づきカメラでズームインしてみると、杉の木の下にまたもや野生のキツネが潜んでいました。 
雪山では木の根元の周囲だけ雪解けが早いので、雪面ではなく露出した地面に座って休んでいたのでしょう。(日光浴?) 
あるいは、ここは縄張りを見張るのに好都合なのかな? 

周囲は雪山の銀世界なので、こちらを見据えているキツネはずっと眩しそうに目を細め、瞬きしています。(まさにキツネ目!) 
スギの根元におそらくツゲと思われる常緑広葉樹の低木が生えていて、キツネはその枝葉の陰に隠れているつもりのようです。 
しばらくすると、キツネはツゲの陰から少しずつ顔を出してくれました。 

私が身動きせずにひたすら動画を撮り続けると、痺れを切らしたキツネが隠れ家から急に逃げ出しました。(@2:05) 
前回と同じく、杉の木を回り込んで背後の雪山を逃げて行きました。 
雪を蹴立てて走り去るその後ろ姿は下半身の毛並みが悪く、長い尻尾の毛は抜け落ちていて異様な姿でした。 
前回と同じく疥癬症に罹患した同一個体と判明しました。 
跳ねるような逃走シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@2:26)、前足を同時に雪面に着いた後で、後足は左右バラバラに着地していました。 



直後に現場検証に向かうと、スギの木の根元付近だけ雪が解けて地面が露出していました。 
そもそもスギは常緑樹ですから、雪が降ってもほとんどが枝葉に積もり、根元の地面には雪があまり積もりません。 
キツネが隠れていた場所に食べ残しなどは見つかりませんでした。 
この地面には疥癬の原因となるヒゼンダニが付着している可能性が高いので、辺りを素手で触れないように注意しました。 
塒(ねぐら)だと嬉しいのですが、単なる一時的な隠れ家または休憩場所のようです。 (※ 追記参照)
すぐ横には、なぜかコカコーラの古い空き瓶がスギの根際に半ば埋もれていました。 
キツネがおもちゃとして持ち込んだのなら面白いのですが、かなり古い遺物です。 
この隠れ家に無人カメラ(センサーカメラ、トレイルカメラ)を仕掛けて、キツネの動向を動画で記録したら面白そうです。(カメラトラップ法)

 

シャーベット状になった残雪の表面に疥癬症キツネが残した新鮮な足跡を少しだけ辿ってみました。 
飯島正広『野生動物撮影ガイドブック: 機材選びから撮影テクニック、動物の探し方まで』によると、
キツネの足跡は直径5cmほどの大きさで、足跡はほとんど一直線に残る。1列なら足跡の数は半分で、用心深く、なるべく足跡の痕跡を残さない「ハンター歩き」だ。(中略)一本足あるきが何よりの特徴だ。(p161より引用)

その後も何度か山中の杉の木を訪れてみたものの、残念ながらこの日を最後にキツネの姿を見かけなくなりました。 
疥癬症が進行すると衰弱死に至ることがあるそうなので、心配です。 
キツネが繁殖している巣穴がどこにあるのか突き止めたいものです。 
しかし、性病のようにつがいの相手もヒゼンダニに感染させてしまう気がします。


※【追記】
塚田英晴『野生動物学者が教えるキツネのせかい』を読んで、キツネの塒について勉強してみました。
・(仮眠の)寝場所は本当に行きあたりばったり、通り道のすぐわきで丸くなります。ねむりながらもまわりの音には聞き耳をたて、顔は自分のしっぽの中にうずめながらも、耳だけはひくひくと動かしています。
・まわりにじゃまされることなく仮眠をとりたいときは、ちょっとしたやぶの中に入って身をかくして丸くなるようです。
・ キツネが寝場所に選ぶのは、人目につきにくいちょっとした茂みのような場所です。(中略)こうした防風林のササやぶなどが、キツネの寝場所としてよく使われていました。(kindle版32%より引用)

・キツネが、皮膚の中にひそむダニによって引き起こされる疥癬という病気にかかっていた場合、キツネが寝場所としたところなどに飼い犬や飼い猫が接触することで、この皮膚病に感染してしまう 

最後の点が重要で、もしこの寝床を他のキツネ個体や他の動物と共有した場合は、ヒゼンダニの感染が拡大してしまいます。

2021/05/28

雪山の樹上のアカゲラ♂(冬の野鳥)

 

2021年2月中旬・午後12:40頃・くもり 

雪山に立つ枯れかけの落葉樹(樹種不明)でアカゲラ♂(Dendrocopos major)が木登りしていました。 
後頭部が赤いのでアカゲラの♂と分かります。 
幹や枝を嘴で軽くつついて回り、材中に獲物となる甲虫の幼虫が潜んでいるか探索しています。 
残念ながら、本格的に穿孔を始めてくれませんでした。 
木の上部は冠雪しており、枯葉が残った枝や蔓などに幹が覆われていて、啄木鳥が見にくい状況です。 
最後、アカゲラ♂は斜め上に少し飛んで隣の枝に移動しました。 
この間、鳴き声は発していませんでした。(聞き取れず)

カラマツ林の樹上に作られたニホンリスの古巣?

 

2021年2月中旬・午後・くもり 

里山のカラマツ林を通る度に、樹冠にある球状の構造物が気になっています。
多数の小枝を組み上げた巣がカラマツ林の中のあちこちにいくつも作られているのです。 
カラマツが落葉した冬になると特によく目立ちます。 
てっきり私は鳥の巣(願望としては猛禽の巣)かと思っていたのですが、ニホンリスSciurus lis)の古巣ですかね? 
しかし、このカラマツ林で私はリスの姿を見たこともなければ鳴き声も聞いたこともありません。 
よほどヒトへの警戒心が強くて隠れているのでしょうか? 
いつか山中で一夜を明かして、じっくり調べてみたいものです。 

高木の梢に作られているので、下から見上げても巣内の様子がさっぱり分かりません。 
巣の上に積もった雪が溶けて、水が滴り落ちていました。 
ドローンを飛ばして上から巣の中を空撮してみたら何か分かるかもしれません。 

リスの巣は、小枝で組んだ球状巣、皿巣、樹洞、巣箱などの人工巣などさまざまだ。(中略)球状巣は針葉樹の高い場所につくるので、下から見上げてもなかなか見つからない。皿巣は、ツグミやタカなどの古巣を利用する場合と、リス自身がつくる場合があるという。(p113より引用)


【追記】
2021年3月中旬

約1ヶ月後に同じカラマツ林を再訪すると、謎の古巣の一つが強風に飛ばされたのか、樹上から落ちかけて枝に引っかかっていました。
完全に落ちていたら、巣の大きさや巣材などをじっくり調べてみたかったです。

2021/05/27

嘴に付いた食べかすを振り落とすモズ♀(冬の野鳥)

 

2021年3月上旬・午前11:45頃・晴れ

雪がだいぶ解けた川岸で落葉灌木の枝にモズ♀(Lanius bucephalus)が止まっていました。
いつものように尾羽を上下させています。 
モズの♀は過眼線が褐色で、胸に鱗模様があります。 

よく見ると、嘴の先端から何か細長い謎の物体が飛び出していて、気になりました。 
モズには口ひげが生えていますけど、それとは違います。 
止まり木(樹種不明)から別の止まり木(柳の灌木)へ飛んだ際に空中で虫を捕食したのかと思いきや、動画を見直すと初めから嘴に付着していました。 
私が撮り始める前に何か細長い幼虫?を捕食して、その食べかすが嘴に付いたままになっているようです。 
食べ残しや食べこぼしならいずれ咥え直して飲み込むはずなのに、なぜかモズ♀は頭部を激しく振って食べかすを振り落としました。 

最後は止まり木から川の上流へ向かって飛び立つと、橋を飛び越えて川の中から生えている柳の木に止まり直しました。 
この流域を縄張りとしている個体のようです。
飛び立つ瞬間および食べかすを振り落とす様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
   

雪山に隠れ走り去る冬毛のニホンノウサギ(フィールドサイン:足跡、食痕、糞)

 

2021年3月上旬・午後12:55頃・晴れ 

雪の積もった里山をスノーシュー(西洋かんじき)を履いて歩き回ると、近くに隠れていたニホンノウサギ(亜種トウホクノウサギ;Lepus brachyurus angustidens)が急に走って逃げ出すことがときどきあります。 
ノウサギの逃走シーンを動画で記録しようと慌ててカメラを構えて起動してもいつも間に合わず、悔しい思いをしてきました。 
GoProのようなアクションカメラを身体に装着して、雪中行軍中の主観映像を常に撮り続けるしかないかも?、と思っていました。
(しかしアクションカメラでは臨機応変に被写体へズームできません。)
新たに撮影機材を買えるようになるまで、手持ちのカメラでなんとか頑張ってみます。 
カメラのバッテリーを節約するために、普段は3〜5分間何も操作しなければスリープまたは電源をオフにするよう設定しています。
今回はその設定を切ってカメラを常時起動させておきました。 
野生動物と突然に遭遇しても、レンズキャップを外して録画開始ボタンを押すだけで、すぐに動画が撮れるはずです。 
作戦通りに上手く行ったので、この動画は我ながら嬉しい作品になりました。 

私が雪で覆われた林道を登って行くと、前方をノウサギが脱兎の如く走り去りました。 
山林の斜面を駆け上がって逃げる途中でニホンノウサギはなぜか立ち止まりました。 
木の根元の雪が溶けて穴が開いている横の雪面に座ってじっとしています。 
冬毛の保護色によっぽど自信があるようです。 
横目でこちらを油断なく見ています。 
毛皮は完全な純白ではなく、長い耳の先端だけがワンポイントで黒いのがおしゃれですね。 
耳が思ったよりも長くないのは、寒冷地への適応なのでしょうか? 

痺れを切らした私が動画を撮りながら歩いて近寄ろうとした途端に、ノウサギは雪山を駆け抜けて逃げました。 
華麗な逃走シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。


【追記】
高橋喜平『ノウサギの生態』によれば、
・古来、ウサギが走っている絵を見ると、長い耳を風になびかせるようにねせてえがかれているが、事実は耳をピンとたてて走るのが基本の姿なのである。 (p51より引用)
・ノウサギは走るとき耳をたてて、ラッパのように前方にむけて走るのが基本の姿である(中略)。必要に応じて、そのラッパを四方にまわしながら走っている。(中略)ただし、木立やブッシュのなかでは耳をねせることが多く、これは明らかに耳を保護するためのようであった。このほかに、斜面を馳けおりるときやはり耳をねせることが多い。 (p66より引用)

この鋭い指摘を読んで、まさに目から鱗が落ちました。

今回のスロー映像を見直してみると、確かに逃走時のニホンノウサギは耳を立てたままで、大きな空気抵抗に逆らって走っていました。

 


動画の後半は(@2:00〜)、同じ日の午前中に見かけたニホンノウサギのフィールドサインです。 
山麓のリンゴ園の雪面に丸くてコロコロしたウサギの糞が多数散乱していました。 
溜め糞のように1か所に固まっているのではなくバラバラなのは、動き回りながら排便したのか、それとも脱糞後に風が吹いて雪面を転がったのですかね? 
クラストした雪面にうっすらと新雪が積もっています。 
辺りを探すと、糞の近くの雪面にウサギの足跡も見つかりました。 
リンゴの木の下に短い小枝が何本か雪面に落ちていて、その切り口が斜めにスパッと切られていました。 
おそらくノウサギが鋭い門歯でかじり取った食痕だと思います。 
つまり、短い落枝はノウサギの食べ残しでした。
それから小便跡かと思ってズームインしたのですが、枝の雪が溶けて滴り落ちた水に木肌の色が付いていただけのようです。 
昔観察したノウサギの小便跡は、血のような濃いオレンジ色でした。
▼関連記事(9年前の撮影) 
雪面に残るニホンノウサギのフィールドサイン(足跡、糞、尿)

 

2021/05/26

川岸から入水、脱糞後に飛び去るダイサギ(冬の野鳥)

 

2021年3月上旬・午後15:10頃・晴れ 

川岸の雪が溶けて枯れ草が露出した部分にダイサギArdea alba)が単独で佇んでいました。 
ちょうど用水路が川の本流に合流する地点で2本足で立ち、川面を見つめています。 
ときどき長い首を伸ばして遠くを見張ったりしています。 
此岸にはネコヤナギの蕾が見えますね。 
風でダイサギ頭部の冠羽が逆立ったり胸元の羽毛がなびいたりする様子から、風は川の下流(画面左)から上流(画面右)に向かって吹いていることが分かります。 
軽く欠伸をすると、ダイサギはおもむろに歩いて川に入水しました。 
そのまま浅瀬でしばらく下流を向いたまま佇んでいます。 
川の中で足を少し屈めながら白い液状便を大量に排泄しました。 
体重を軽くした直後に風上の下流に向かって飛び去りました。 
横の堤防路を歩行者が通りかかったので、ダイサギは警戒して飛び去ったのでしょう。

1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、強風下での離陸シーンがちょっと面白かったです。
言葉にするのは難しいのですが、ダイサギは岸辺から力強く羽ばたきながらまず横っ飛びで川の中央部まで飛ぶと、強い逆風に流されそうになりながらも体勢を整え、川の上を低空で下流へ向かって飛び去りました。 
風上に向かって飛び出すことで翼の揚力を稼いでいるのです。

 

雪山を逃げる疥癬症のホンドギツネ

 

2021年3月上旬・午後12:15および14:45・晴れ 

スノーシューを履いた私が里山を散策していると、スギの木陰に潜んでいた野生動物が私の接近に気づいて逃げ出しました。 
立ち止まってこちらを振り返っている姿にズームインしてみると、ホンドギツネVulpes vulpes japonica)でした。 
やはりこの雪山にはキツネが生息していたのです。
▼関連記事(6週間前の撮影) 
ホンドギツネが雪山に残したフィールドサイン(足跡いろいろ・糞・小便跡など)
手前にある灌木のせいで肝心のキツネにピントが合っていませんが(前ピン)、この個体は全身の毛並みが悪く、特に尻尾はほぼ無毛で針金のようです。 
どうやら疥癬(ヒゼンダニの寄生による皮膚感染症)に罹患しているようです。
あまりの痒さに自分で患部を掻き毟って毛が抜けてしまうのだそうです。 

キツネは身震いしてから雪道を走り去りました。 
雪面に残る新しい足跡を辿って追跡してみましょう。 
「アニマルトラッキング」の本に書いてあったように、キツネの足跡は確かに一直線状でした。
(深雪では2本線で足跡が残るのか、というのが目下、私の知りたい疑問です。) 

少し進むと、キツネが立ち止まって排尿した跡が雪面に残っていました。 
ザラメ雪がキツネの黄色い尿で溶けています。 
縄張り内を匂い付けでマーキングしているのでしょう。 
小便跡に鼻を近づけて嗅いだ訳ではありませんが、通り過ぎても私は特に何も匂い(キツネ臭)を感じませんでした。 

疥癬キツネの足跡を追って、深い谷を右に見下ろしながら雪山の斜面を慎重にトラバースして行きます。 
しばらくすると、キツネの足跡を見失ってしまいました。 
春が近づき最近は新雪が積もりません。 
晩冬の雪質だと、どうしてもアニマルトラッキングが難しくなります。 

雪山を散策した私が2.5時間後にキツネ遭遇現場に逆方向から戻って来ると、同じスギの木からまたもやキツネが飛び出しました。 
尻尾がガリガリで毛並みが悪いので、往路で見た同一個体で間違いないでしょう。 
疥癬ホンドギツネは今度は山側へ走り去りました。 
疲れていた私は、再びキツネの足跡をトラッキングし直す余力はありませんでした。 

キツネが執着していた杉の木に近づいてみると、その根元付近だけ雪が溶けて地面が露出していました。 
近くにキツネの巣穴があるのか?と思って周囲を探し回ってみたものの、見つかりませんでした。 
ホンドギツネの繁殖期は冬(12月から2月)なのだそうです。 
この個体が独身かどうか分かりませんが、つがいのパートナーや生まれた幼獣も感染させてしまう厄介な病気です。

実は、現場から少し下った山麓の集落で疥癬症に罹患した野生タヌキを目撃したことがあります。
▼関連記事(5年前の撮影) 
雪国で疥癬タヌキの散歩を追跡すると…【前編】 
雪国で疥癬タヌキの散歩を追跡すると…【後編】
こんなド田舎で飼い犬をわざわざ運動させに来る施設が近くにあるので(冬季閉鎖)、飼い犬にも野生のイヌ科動物(キツネ、タヌキ)にも互いにヒゼンダニが感染するリスクがありそうです。 

2021/05/25

雪山の谷筋で出会ったカケス(冬の野鳥)

 

2021年3月上旬・午後12:20頃・晴れ 

スノーシュー(西洋かんじき)を履いた私が雪山に残るホンドギツネの足跡を辿っていると、カケスGarrulus glandarius)を見つけました。 
谷を挟んで反対側の斜面のスギ(杉)の倒木に止まってキョロキョロ辺りを見回しています。 
ときどき頭部の冠羽を逆立てているのは緊張の現れなのかな? 
やがてスギ倒木から左(沢の上流)に向って少し飛ぶと、落葉灌木(樹種不明)の枝に止まり直しました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
再び飛んで沢の上流へ移動しました。 
沢沿いでも日当たりの良い所は雪解けが進んで部分的に土が露出しています。 

今度は倒木から近くの落葉樹(樹種不明)に巻き付く太い蔓植物(左巻きなのでフジ(藤))に移動しました。 
その蔓に沿ってピョンピョンと上に登って行きました。 
カメラをズームアウトすると、斜面のあちこちに生えた落葉灌木の根元の雪が溶けて土が見えていました。 

実は近くに別個体のカケスがもう1羽居て、逆方向(沢の下流)へ飛び去りました。
残念ながら、そちらは撮り損ねました。 
おそらく♀♂つがいの縄張りなのでしょう。 

カケスと言えば野鳥の中でも警戒心が非常に強く、フィールドで見つけてもカメラを向けただけでジェージェー♪とだみ声の警戒声を発してすぐに逃げてしまいます。 
ブラインドを使って隠し撮りしないと無理なのかと半ば諦めていました。 
カケスをこれだけ近くから長時間撮れたのは珍しく、私も興奮しました。 
今回のカケスは警戒声♪を全く発しなかったのも異例です。 
私が全身着用していた冬用の迷彩服が効果を発揮したのかもしれません。 
もしかすると、この個体は冬に雪山を登りに来る物好きなヒトを見たことがなくて、警戒心が薄かった(好奇心が勝った)のでしょうか?

ハンノキの雄花序から飛散する花粉(風媒花)【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年3月上旬・午前11:10頃・晴れ 

春が近づき、農地を囲む防風林のハンノキに花が咲いていました。 
ハンノキは風媒花なのであまり目立ちませんが、枝先に付いた細長い赤紫色の雄花序に黄色い花粉を吹いています。 
春風に乗ってハンノキの花粉が自然に飛ぶ様子を動画で記録したかったのですが、この日は快晴でほぼ無風でした。 
指先で枝先を軽く叩いて雄花序を揺らすと、春のそよ風に乗って花粉が飛散しました。 
ハンノキの雄花序から花粉が飛散する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:48〜) 

周囲の農地は未だ残雪に覆われていて、日陰の池には薄氷が張っています。 
早春の林床に咲く草花はスプリングエフェメラルと呼ばれますが、ハンノキの花はそれよりも早くひっそりと咲くのですね。
ハンノキの若葉が芽吹くのはその後です。

田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』という本によると、
風媒花をつける樹木(ハンノキなど)たちが、葉が開くまえに花を咲かせるのは、生き残るための大切な習性である。葉が広がってしまうと、花粉を運ぶ風を弱めるし、せっかく風に乗った花粉が葉についてしまい、受粉の障害物となる。それを避けるために、花は葉が開くまえに咲く。それにしてもハンノキは早い。葉が開くのは開花から二ヶ月も後なのだから。 (p226より引用)

ちなみに、ハンノキの枝先にイラガ(蛾)が羽化した後の空繭を見つけました。 
イラガの幼虫は広食性で、ハンノキの葉も食べることが分かっています。
▼関連記事(5年前の撮影) 
ハンノキで見つけたイラガ(蛾)の幼虫
動画撮影時の私は、ハンノキの雌花について勉強不足でした。 
植物図鑑で調べて雌雄同株と知りました。 
後日(3月中旬)に雪山で撮った雌花の写真を掲載しておきます。
雌花にも目立つ花弁がありません。
 

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