2018/04/07
ガードレールの枯れ蔓に初期巣を作るコアシナガバチ創設女王
2016年5月上旬
平地の池に近いガードレールにクズの蔓が絡みついたまま枯れていました。
そこにコアシナガバチ(Polistes snelleni)の創設女王が営巣していました。
ガードレールの南東面に営巣していたのは、やはり日当たり良好な物件を作っているのでしょう。
巣材集めから戻った直後らしく、口元に小さな巣材(パルプ)の団子を抱えています。
その巣材を使って育房の増設を始めました。
造巣作業を終え、巣盤の下面に止まって休んでいるところをマクロレンズで接写しました。
枯れた蔓が藪のように絡み合って私の接近を阻んでいるため、撮影アングルを確保するのに苦労します。
しつこいパパラッチの存在に苛立ったのか、女王蜂は巣盤の天井部に登るとこちらを睨み、半開きの翅を少し震わせて警戒姿勢になりました。
初期巣を下から覗き込むと、育房内に白い卵が見えました。
このガードレールには他にも別の種類のアシナガバチが営巣していました。(映像公開予定:キアシナガバチ、フタモンアシナガバチ)
巣の目印としてガードレールにビニールテープを貼って帰りました。
しかしその後、私は忙しくなり、定点観察にはろくに通えませんでした。(続編は無し)
初夏になると辺りの雑草が恐るべき勢いで繁茂してガードレールを覆い尽くしたり、人手によって一気に草刈りされたりしました。
女王蜂は営巣環境の悪化を嫌って逃去してしまったようです。
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造巣
オオハンゴンソウの花蜜を吸うモンキチョウ♀
2017年9月中旬
街中の空き地に咲いたオオハンゴンソウの群落でモンキチョウ♀(Colias erate poliographus)が訪花していました。
翅をしっかり閉じて吸蜜しています。
※ 私のお恥ずかしいケアレスミスで、初めは♂と間違えて書いていました。
YouTubeのコメント欄にて横室稜さんのご指摘を受け、♀と訂正しました。
【追記】
この花はハチミツソウではなくてオオハンゴンソウですね。
遅まきながら訂正します。
YouTubeのコメント欄でご指摘くださったsatoko kuroda
さん、ありがとうございました。
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訪花
2018/04/06
フェンネルの蕾に群がり吸汁、身繕いするアカスジカメムシ
2017年8月下旬
雨上がりの夕方、民家の庭に生えたフェンネル(=ウイキョウ)でアカスジカメムシ(Graphosoma rubrolineatum)が群らがっていました。
蕾にじっとしているだけで、映像としてはあまり面白くありません。
おそらく花芽から吸汁していると思われますが、マクロレンズで口元を接写して口吻を植物体に突き刺しているかどうか確かめるべきでしたね。
近くに黄色の花が咲き始めているのに、花よりも蕾の部分が好みのようです。
他にも細い花柄をよじ登っている個体や、前脚を互いに擦り合わせ触角をしごいている個体がいました。
▼関連記事 (前年の映像ではアカスジカメムシを1匹しか撮れていません)
フェンネルとアカスジカメムシとコアシナガバチ♀
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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食事
スズバチ♂同士の空中戦
2017年8月下旬
民家の庭の片隅に咲いたキャットミントの群落でスズバチ♂(Oreumenes decoratus)が訪花の合間に葉に乗ってしばし休んでいました。
やがて探雌飛翔のために葉から飛び立つと2匹(♂同士?)が出会い、空中で互いに睨み合いながら空高く急上昇しました。
♂同士?による一瞬の空中戦を1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみます。
もし相手が♀なら♂はすぐに飛びついて交尾を試みるはずです。
見失ってしまいましたが、すぐに一匹だけキャットミントの花壇に戻って来ました。
しばらく探雌飛翔してから葉上で休息。
訪花する♀と交尾しようと待ち伏せていて、ライバルの♂が飛来すれば追い払うのでしょう。(縄張り争い?)
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飛翔
2018/04/05
コガタスズメバチ♀の帰巣と出巣【HD動画&ハイスピード動画】
枯木に営巣したコガタスズメバチの定点観察#8
前回の記事→#7
2016年7月下旬・午後17:39〜17:50
3日ぶりの定点観察で夕方に様子を見に来ました。
コガタスズメバチ(Vespa analis insularis)
巣に出入りするワーカー♀の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:16〜1:43)
外役に出る個体は巣口から門衛を押しのけるようにして外に出ると、外皮上を少し下に歩いて降りてから飛び立ちます。
黒っぽい巣材を持って帰巣した個体は巣口のすぐ近くに着地して、門衛の
映像の後半は通常のリアルタイムのHD動画に戻して、造巣行動を記録しました。
2匹のワーカー♀が別々の場所で外皮を増築しています。
巣材を使い切ると、巣内に戻りました。
外皮に白い巣材を使わなくなったようで、巣の全体の印象が変わりました。
白い縞模様(鱗模様)が薄れてきています。
つづく→#9
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オオハンゴンソウの花蜜を吸うウラギンスジヒョウモン♀
2017年9月中旬・正午頃
道端の空き地に咲き乱れるオオハンゴンソウの群落でオオウラギンスジヒョウモン♀(Argyronome ruslana)が訪花していました。
やや風のある日でしたが、半開きの翅を少し開閉しながら吸蜜しています。
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訪花
2018/04/04
ツユクサの実を食べるキジバト(野鳥)
2017年9月中旬
平地の道路を一羽のキジバト(Streptopelia orientalis)が首を前後に振り振り歩きながら採食していました。
道端に咲いたツユクサの群落で頻りに何か植物体を嘴で繰り返しつついています。
アブラムシなどの小さな虫を捕食しているのかな?と初めは不思議に思いました。
「道草を食う」瞬間の映像をスロー再生してみると、どうやらツユクサの舟形の
ツユクサの実を後で動画や写真で記録しようと思いつつ、すっかり忘れてしまいました。
画像検索で見つけた写真(撮影:Blue birdさん)へのリンクを載せておきます。
実が熟すと黒っぽい種子ができます。
ちなみに、ツユクサの花は朝咲いて午後には萎んでしまう一日花らしい。
しかも9割以上の花で、咲いた時には自家受粉が完了しているのだそうです。
野鳥と木の実の共生関係が有名ですから、初め私はツユクサの実を食べるキジバトも種子散布を助けているのだろうと短絡的に思い込み、そんなストーリーで記事を書きかけていました。
ところが鳩は種子食性のはずだと思い出し、ならば種子を消化できないとおかしいだろうと思い至りました。
▼関連記事
・大豆の芽生えを食害するキジバト(野鳥)
・豆畑に撒いた種を採食するキジバトのつがいと餌乞い(野鳥)
・落穂を採食するドバト(野鳥)の群れとつつきの順位
・刈田で落ち穂拾いするカワラバト(野鳥)2羽資料によると、「ツユクサの種子は長径5mmほどあるから比較的大きい」とのこと。
(『花の自然史:美しさの進化学』という本の第16章。森田竜義「花の性型の可塑性:雄花を咲かせるツユクサの不思議な性表現」p241より引用)
念のためにインターネット検索すると、日本野鳥の会 大阪支部の広報誌の連載記事:和田岳「身近な鳥から鳥類学」がヒットしました。
よく果実を食べているのを目にするヒヨドリ、ムクドリ、ツグミ類などは種子散布者です。一方、キジバトなどのハト類は、果実を呑み込んだら、タネまで消化してしまい、タネを運んでくれません。他に、カモ類、キジ類、アトリ類などもタネまで消化するグループです。こうした鳥は種子捕食者と呼ばれます。
次に平凡社『日本動物大百科4.鳥類II』を紐解いてキジバトの食性について参照すると、
ハト類はすべて植物質を主食にしており、キジバトもその例にもれず植物の果実、種子、花、芽などをおもに食べる。(中略)
樹木の果実はキジバトの主要な食物の一つである。果実を食べるとはいっても、ヒヨドリやムクドリが果肉目当てで種子は消化せずに糞やペリットとして出すのとは異なり、キジバトは種子も消化してしまう。植物の立場から見れば、種子散布に役立つヒヨドリやムクドリとは異なり、キジバトは大変迷惑な存在である。むしろキジバトは果肉ではなく種子が目当てで、ヒヨドリやムクドリが排出した種子をあさることも多い。(p22-23より引用)
「種子捕食者」という用語は初耳で、とても勉強になりました。
危うく知ったかぶりで「キジバトによるツユクサの種子散布」などと間違ったことを書くところでした。
種子食性のハト類は飲み込んだ種子を砕く砂嚢(いわゆる砂肝)が特に発達しているのでしょう。
鳥類では歯を欠くが,食物は砂嚢で細かく砕かれる.肉食性の鳥に比べ,果実・穀類などを食べるものにおいて砂嚢は特に発達し,のみこまれた砂や小石が内腔にあって食物の破砕をたすけるためにこの名がある.(『岩波生物学辞典 第4版』より引用)
野間直彦『種子散布にみる植物との共生』によれば、
(液果の)種子は鳥に丸飲みにされるが、果実食鳥の砂嚢・消化管はこれらを破壊しない。ただし、アトリ科の鳥やキジバトは種子を壊して中身を食べる。 (『鳥類生態学入門:観察と研究のしかた』第9章:p132より引用)
ハト科の中でも強力な砂嚢をもつキジバトは壊してしまう。(p134より)
【追記】
実は同一個体のキジバトの排便も観察しています。
▼関連記事
キジバトの首振り歩行と脱糞 【HD動画&ハイスピード動画:野鳥】キジバトの糞に植物の種子が含まれているのかどうか、次回は確かめてみたいものです。
【追記2】
国松俊英『ハトの大研究―古代から人とともに生きてきた鳥』によれば、
キジバトが食べるのも、草の種、木の実、果実、花、芽、穀物など植物質のものです。えさは地上でさがします。(中略)果実を食べる時、ヒヨドリやムクドリは種子は消化しないで、フンやペリット(骨や毛など消化できなかったものをかたまりにしてはきだしたもの)として出してしまいます。けれどキジバトは種子が好きなので、出さないで消化してしまいます。ヒヨドリやムクドリは、種子を遠くへ運んでまいてくれます。けれど種子を食べてしまうキジバトは、植物の立場になればちょっとこまる鳥です。 (p16より引用)
種子散布の問題は鳥の糞だけでなくペリットにも注目して調べる必要がありますね。
ペリットのことを忘れていました。
【追記3】
吉川徹朗『揺れうごく鳥と樹々のつながり』 (フィールドの生物学 25)によれば、
ハト類のなかでも穀物類を主食とするキジバトやドバトは、より種子食性が強い種類であり、糞から種子が見つかったという報告はない。おそらく砂嚢で種子をすりつぶす力が強く、液果種子に対してもっぱら種子捕食者になっているとみられる。 (p115より引用)
【追記4】
根本正之『雑草たちの陣取り合戦―身近な自然のしくみをときあかす (自然とともに)』という植物学の本を読んだら、ツユクサの種子散布戦略について学ぶことができました。
ツユクサは遠くまで種子を散布するための仕組みを特に持たず、種子自身の重さで近くに落下する重力散布種子なのだそうです。 (pp33-34より)
【追記5】
矢追義人『ミクロの自然探検: 身近な植物に探る驚異のデザイン』によると、
ツユクサの仲間の種子は、凹凸のある土偶のような独特の形をしている。土にまぎれ鳥などに発見されないよう、色も形も土くれだ(p37-38より引用)
ミヤマアカネ♀♂連結打水産卵からの♀単独打水産卵
2017年9月上旬・午後12:13〜12:16
正午過ぎに街中の側溝でミヤマアカネ♀♂(Sympetrum pedemontanum elatum)が連結飛翔しながら連続で打水産卵していました。
用水路を流れる水深はかなり浅かったです。
産卵地点は流れの中央ではなく、コンクリートの護岸付近のようです。(死角でうまく撮れず)
本種は卵で越冬するそうです。
しかし、こんな水草も生えていない殺風景なコンクリート三面張りの水路に産卵しても、無事に孵化してヤゴが育つとは思えません。
冬は融雪溝として使われるため水量が激増し、大量の雪が連日投下されるからです。
やがて、この♀♂ペアは尾繋がりを解消してしまいました。
私が近づいたから焦って連結が外れてしまったのかと申し訳なく思ったのですけど、後に本種の産卵習性を知るとどうやら自然に別れたようです。
驚いたことにミヤマアカネ♀は単独でも産卵を続け、♂はその近くでホバリング(停空飛翔)しながら警護していました。
本種は分かりやすい性的二形(雌雄異型)なので、観察しやすくて助かります。
成熟した♂は目にも鮮やかな「赤とんぼ」ですが、♀は地味な黄色っぽい体色です。
その後、♀だけが近くの路上で暫し休息(日光浴?)しました。
私が♀の写真を連写している間に♂の姿を見失ってしまいました。
次の♀を探しに行ったのかもしれません。
図鑑『日本のトンボ (ネイチャーガイド)』でミヤマアカネについて調べると、まさに観察した通りの産卵行動が書いてありました。
交尾後のペアは連結態のまま浅い流れを訪れ、水面や泥面を腹端で打って産卵する。♂の警護飛翔を伴い、♀が単独で産卵することもある。飛翔中は翅の模様がちらつくように目立つ。(p405より引用)
wikipediaでも同様の記述でした。
産卵は打水産卵または打泥産卵で、緩やかで浅い流れの上を通常は雌雄が連結して行う。流速が早い場所、水深の深い場所は産卵には適していないようである。産卵の途中で「キ」の字に連なったまま植物などにつかまり休息することも多い。その後連結を解いて雌の単独で産卵に移行することもあり、その場合は短時間ではあるが雄が上空で警護飛翔をする。
ミヤマアカネ♀♂@用水路+連結打水産卵 |
ミヤマアカネ♂@用水路+警護飛翔 |
ミヤマアカネ♀@路上+休息:産卵直後 |
2018/04/03
ナスとリンゴの果実を食べ排便するノハラナメクジ?【40倍速映像】
2016年9月下旬
ヒダリマキマイマイと同じ容器(大き目の水槽)でナメクジを何匹か飼っています。
台所の流しで徘徊するナメクジを見つける度に採集して、飼育容器に投入していたのです。(野菜と一緒に外から持ち込まれたナメクジ?)
餌として野菜屑を適当に入れてやると、この日はナス(茄子)のヘタが気に入った様子です。
40倍速の早回し映像をご覧下さい。
ナスの黒紫色で固い果皮には全く口を付けていません。
輪切りにした断面の白くて柔らかいスポンジ状の果肉にえぐれたような食痕が残りました。
この嗜好はヒダリマキマイマイと同じでした。
▼関連記事
ナスの実を食べるヒダリマキマイマイ 【10倍速映像】
黒い大触角を途中で引っ込めたのは、撮影用の照明が眩しいからですかね?
ナスに頭をつっこんでいる体勢のため、触角が傷つかないように引っ込めているだけかもしれません。
移動する前に、体の前方右側からオレンジ色の糞をニョロニョロと少し排泄しました。(@1:39)
糞の色は前に食べたニンジンの色素(カロチン)から来ているのでしょう。
橙色の糞がナスのへたに残りました。
松尾亮太『考えるナメクジ ―人間をしのぐ驚異の脳機能』によると、
ヒトのうんちは、ヘモグロビンの分解産物の色の影響が強く、食べた物の色にあまり左右されないような色(茶色系)になりますが、ナメクジが排泄するうんちは食べたエサと同じ色をしています。(p34より引用)
後半ナメクジはナスのヘタから離れ、隣に置いてあったリンゴの皮を摂食しました。
体を左右に動かしながら、皮の裏に薄く残った白い果実の部分をデザートとして食べているようです。
宇高寛子、田中寛『ナメクジ:おもしろ生態とかしこい防ぎ方』によれば、
ナメクジはゴミ食い(動植物の遺体食い)であり、生きた植物はそれほど好きではない(p83より引用)もっと腐りかけの生ごみが好みなのかもしれませんが、飼育下では衛生面からご希望に応えられず誠に申し訳ないです。
さて、このナメクジの和名、学名が分かりません。
背中に甲羅が見えるのでコウラナメクジ科だと思うのですが、チャコウラナメクジとは違い、体の左右に黒い線が全くありません。
体全体が茶色で、素人目には特徴がありません。
体長を採寸するのを忘れました。
動画撮影中にコインでも並べて置くべきでしたね。
ヨーロッパからの外来種ノハラナメクジ(Deroceras reticulatum)でしょうか?
「ナメクジの見分け方(簡易版)」サイトを参考にしたら、ノハラナメクジが候補に残りました。
体長は這っている時で5cm程度と小型。全体的に灰色~茶色で目立った模様は無い。体色が違い自信がないので、もし間違っていたら、ご指摘願います。
大触覚(原文ママ。「大触角」の誤植)が灰色~黒色。外来種。コウラナメクジ科。
この検索表は「簡易版」と断っているように、国内で見られるナメクジを網羅しているとはとても思えません。
それともチャコウラナメクジ類の一種(Ambigolimax sp.)とすべきでしょうか?
日本にはチャコウラナメクジのほか、外見的によく似た複数種が侵入し、定着している。これらは生殖器の形で区別できる。(『カタツムリハンドブック』p64より引用)
※ 接写パートのみ動画編集時に自動色調補正を施しています。
↑【おまけの動画】
オリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。
ミドリシジミ♀AB型の日光浴
2017年9月中旬
柳やハンノキなどが生えた湿地帯の遊歩道を歩いていると、アメリカセンダングサ?の葉の上で見慣れないチョウを見つけました。
翅をゆっくり開閉しながら日光浴していました。
一瞬コムラサキかと思いきや、尾状突起があるのでシジミチョウの仲間でしょう。
翅の縁がやや破損していますが、翅表に美しい青とオレンジ色の斑紋があります。
帰宅して図鑑で調べてみると、ミドリシジミ♀AB型(Neozephyrus japonicus japonicus)と判明。
ヒサマツミドリシジミは本州西南部にしか分布しないので除外しました。
(ミドリシジミの)雌の翅には遺伝的多型があることが知られ、表面全体がこげ茶色で斑がない[1]O型、橙色の小さな斑点がある[1]A型、紫色の帯(青色の斑[1])のあるB型、それらの両方がある[1]AB型である[注釈 1:]。^ ミドリシジミの雌の表翅の斑紋による識別のO、A、B、AB型は、人間の血液のABO式血液型とは遺伝形態が異なる。(wikipediaより引用)この個体はAB型の♀になります。
素早く飛んで逃げるシーンをスロー再生にすると、翅裏の斑紋もなんとか確認することができました。
こんな時期に(しかも平地で)、まさかゼフィルスの仲間と出会えるとは意外でした!
栗田貞多男『ゼフィルスの森』という専門書(生態写真集としても見事)を紐解いてミドリシジミの出現期を調べると、
低地では6月中、下旬が盛期だが、山地や寒冷地では7月中旬〜8月上旬に入ってから見られる。(p141より引用)それにしても9月中旬というのは、時期的に遅い目撃例になりそうです。
近くの河畔林にはミドリシジミ幼虫の食樹であるハンノキが生えているので、ここが生息地なのだと納得しました。
【追記】
浅間茂『カラー版 虫や鳥が見ている世界―紫外線写真が明かす生存戦略 』という中公新書にミドリシジミについての記述もありました。
ミドリシジミの翅も構造色である。(中略)日中は下の草原や低木に休んでいるか、翅を閉じている場合が多い。ときには日光浴のためか、翅を広げている場合がある。♂の表の青緑色の部分と、♀の前翅表の青色の斑紋の部分は、いずれも強く紫外線を反射する。 (p31-32より引用)
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2018/04/02
モズ(野鳥)の早贄にされたコオロギ♂
2017年9月上旬
河原でニセアカシア(別名ハリエンジュ)の灌木の鋭い棘にコオロギ♂の死骸が突き刺してありました。
これは、モズ(Lanius bucephalus)の
地上からの高さは148cm。
死骸はモズの食べ残しのようで破損が激しく、コオロギの種類は同定できませんでした。
翅がある成虫なのに産卵管が無いので♂ですね。
記念に小枝ごと採集して持ち帰りました。
実は私にとってモズの早贄の実物を見つけるのはこれが初めてで、ちょっと嬉しい発見でした。
モズ自体は身近に居る野鳥なのに速贄を一度も見たことがなかったので、ひょっとして当地のモズは早贄を立てる習性が無いのでは…?(獲物を食べ残さず完食するのかも…?)と少し疑っていたぐらいです。
探すときの目の付け所が分かったので、これからはもっとたくさん見えてくるかもしれません。
しかし、撮影後に周囲のニセアカシアの枝を見て回っても、モズの速贄はもう見つけられませんでした。
モズが獲物を狩る瞬間も未だ観察できていないのですが、早贄を立てる一連の行動をいつか動画撮影してみたいものです。
関連記事(4年後の撮影)▶ アブラゼミ♀を庭木の枝の刺に突き刺して捕食するモズ♂(野鳥)
【追記】
モズが速贄を立てる理由には諸説あるらしのですが、大田眞也『田んぼは野鳥の楽園だ』によると、
【追記2】
長年謎だったモズが早贄を立てる理由が遂に解明されたようです。
大阪市立大学からのプレスリリース記事。
原著論文はこちら。
【追記】
モズが速贄を立てる理由には諸説あるらしのですが、大田眞也『田んぼは野鳥の楽園だ』によると、
モズを飼育しての観察によると、速贄を作る行動は孵化して1ヶ月目頃から見られ、季節には関係なく一年を通して行われ、特に満腹のときや獲物がまずそうなとき、食べにくいときに作る傾向があったそうです。(p181-182より引用)
【追記2】
長年謎だったモズが早贄を立てる理由が遂に解明されたようです。
大阪市立大学からのプレスリリース記事。
モズの『はやにえ』の機能をついに解明!―はやにえを食べたモズの雄は、歌が上手になり雌にモテる―フィールドでの地道な観察とエレガントな操作実験で証明しています。
原著論文はこちら。
Nishida, Yuusuke, and Masaoki Takagi. "Male bull-headed shrikes use food caches to improve their condition-dependent song performance and pairing success." Animal Behaviour 152 (2019): 29-37.
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貯食,
鳥類
ツリフネソウの花粉を食すコアオハナムグリ
2017年9月上旬
山麓の湿地帯(休耕田)に咲いたツリフネソウの群落でコアオハナムグリ(Gametis jucunda)が訪花していました。
花に潜り込んで花粉を食べているようです。
ツリフネソウの花蜜は、花の後部でくるりと巻いた距の先端にあるのですが、図体の太いコアオハナムグリは蜜腺までとても口が届きません。
とても長くてしなやかな口器を有するトラマルハナバチやスズメガ類を送粉者として指名するようにツリフネソウは花の形状を共進化させてきたのです。
一方、コアオハナムグリはツリフネソウの花粉を報酬にして送粉を助けていると言えそうです。
2018/04/01
苔むしたコナラの樹液酒場で吸汁・排尿するオオスズメバチ♀
2014年9月上旬
里山の雑木林でコナラの苔むした幹の根元付近でオオスズメバチ(Vespa mandarinia japonica)とモンスズメバチ(Vespa crabro flavofasciata)のワーカー♀が小競り合いしていました。
体格で圧倒的に勝るオオスズメバチがモンスズメバチを追い払うと(@〜0:05)、大顎で激しく噛み付いて苔を円形に剥ぎ取り樹皮を露出させました。
しかし、ここは樹液の出が悪かったようで離れました。
あちこち飛んで移動すると、苔むした幹で樹液の滲むスポット(樹液酒場)を探索しています。
おそらく樹液の微かな匂いを頼りに探し回り、あちこちで幹を覆う苔を試しに剥ぎ取っています。
苔を毟る作業中に腹端を少し持ち上げると、透明の液状便(尿)を勢い良く排泄しました。(@4:35)
オオスズメバチのおしっこを撮影できたのは、これが二度目です。
▼関連記事排尿したということは、それまで樹液を大量に吸汁していたと思われます。
ミズナラの樹液を吸いつつ排泄するオオスズメバチ♀
しかし私の目には、この幹から樹液が分泌しているようには見えません。
通常スズメバチは樹皮に噛み傷をつけて樹液の分泌を促すのですが、もしかするとこのコナラ幹では柔らかい苔に樹液が染み込んでいて、オオスズメバチ♀はそれを大顎でスポンジを搾り取るように吸汁しているのかもしれない…と想像を逞しくしてしまいました。
もし樹液が全く出ていないのなら、スズメバチは長居せずにすぐ立ち去るはずです。
樹液の匂いに惹かれて近づいてくるハエやクロアリ(種名不詳)をオオスズメバチ♀は嫌がり、牽制しました。
その場で短く羽ばたいて威嚇したり、強大な大顎を見せつけたりしています。
チャイロスズメバチ♀が守っている樹液スポットの付近を飛び回ったときは、不思議とオオスズメバチ♀は喧嘩を挑みませんでした。
樹液酒場でチャイロスズメバチの序列(力関係)はオオスズメバチに次いでナンバー2ですから、手強い相手だと認識しているのでしょうか。
このオオスズメバチ♀の腹端付近をよく見ると、スズメバチネジレバネ(Xenos moutoni)に寄生されているようです。
▼関連記事
ネジレバネに寄生されたオオスズメバチ♀がコナラの樹液を吸汁
※ どなたかこのコケ(苔)の名前をご存知でしたら教えて下さい。
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排泄
飛べ!セグロシャチホコ♂(蛾)【ハイスピード動画】
2017年9月中旬
▼前回の記事
繭を紡ぐセグロシャチホコ♂(蛾)終齢幼虫
繭を紡いでから10日後、室内でセグロシャチホコ♂(Clostera anastomosis orientalis)の終齢幼虫が羽化しました。
繭から羽化する様子は残念ながら見逃してしまいました。
夜中に消灯したら暗闇の室内を蛾が飛ぶ羽音が聞こえました。
繭を容器に閉じ込めていなかったので、羽化した成虫が逃げ出したようです。
翌朝、天井に止まっていた個体を写真に撮ると、セグロシャチホコ♂でした。
腹端に毛束が見えるので♂と判明。
更に翌日になると、明るい窓にかかったレースカーテンに止まっていました。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました(@1:19〜)。
指で軽く触れると、準備運動なしにいきなり飛び立つ時もあれば、翅を広げて小刻みに震わせてから飛ぶこともありました。
正の走光性があるようで、少し飛んでも明るい窓際のレースカーテンに舞い戻ってきます。
逆光の条件でハイスピード動画を撮るために蛍光灯で蛾を照らしたら、蛍光灯のチラツキ(明滅)が目障りになってしまいました。
強制的に何度も飛び立たせてしつこく撮影したら嫌気が差したのか、セグロシャチホコ♂は最後に長く飛んで天井に避難しました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
セグロシャチホコ♂(蛾)@天井 |
セグロシャチホコ♂(蛾)@天井 |
セグロシャチホコ♂(蛾)@天井 |
セグロシャチホコ♂(蛾)繭@羽化後 |
セグロシャチホコ♂(蛾)@白壁+採寸 |
セグロシャチホコ♂(蛾)@レースカーテン |
セグロシャチホコ♂(蛾)@レースカーテン |
セグロシャチホコ♂(蛾)@レースカーテン+準備運動中。この姿勢(翅形)を見るのは珍しい。 |
以下は死後の標本写真。
羽毛状に発達した触角と腹端の毛束を確認しました。
(生前は触角の形状をしっかり見分けられませんでした。)
脚は前脚だけ太く見えます。(毛が密生?)
口吻は退化しているのかな?
後翅の色は地味でした。
セグロシャチホコ♂(蛾)繭+羽化殻@方眼紙 |
セグロシャチホコ♂(蛾)繭+羽化殻@方眼紙 |
セグロシャチホコ♂標本:背面 |
セグロシャチホコ♂標本:側面 |
セグロシャチホコ♂標本:側面 |
セグロシャチホコ♂標本:腹面 |
セグロシャチホコ♂標本:腹端の毛束(腹面) |
セグロシャチホコ♂標本:羽毛状の触角 |
セグロシャチホコ♂標本:右前翅 |
セグロシャチホコ♂標本:右後翅 |
セグロシャチホコ♂標本:退化した口吻?(腹面) |
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スローモーション,
チョウ・ガ(鱗翅目),
飛翔
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