2018/05/05

ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂の身繕い



2017年10月上旬

庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹の葉に
キイロスズメバチ♂(Vespa simillima xanthoptera)が止まって身繕いしていました。
触角が長く、腹部が7節あるので雄蜂♂ですね。

他のスズメバチ類のようにイチジクの熟果を食害したり吸汁したりしないのが不思議です。
満腹したのか、それとも交尾相手の新女王を待ち構えているのですかね?

ところでこの個体の写真で腹部末端付近の黒い縞模様に注目すると、寄生したスズメバチネジレバネXenos moutoni)が腹節の間から顔を覗かせているように見えます。
左右対称ならキイロスズメバチに固有の黒紋だと思うのですが、右側にしか黒い出っ張りがありません。
1年前に山中で捕獲した寄主個体は飛べなかったので、この個体も弱っているのかもしれません。

▼関連記事
ネジレバネに寄生され飛べないキイロスズメバチ♂
ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂は飛べなくなる?


キイロスズメバチ♂+スズメバチネジレバネ寄生?@イチジク葉+身繕い
キイロスズメバチ♂+スズメバチネジレバネ寄生?@イチジク葉+身繕い
キイロスズメバチ♂+スズメバチネジレバネ寄生?@イチジク葉+身繕い

オオハナウドの花蜜を吸うシロシタヨトウ(蛾)



2016年6月上旬

山麓の田園地帯(休耕田)の用水路沿いに咲いたオオハナウドの群落で地味な蛾が訪花していました。
伸ばした口吻を動かして盛んに吸蜜しています。
ヤガ科だとは思うものの、翅の損傷がかなり激しい個体なので、同定するのはとても無理だろうと諦めていました。
いつもお世話になっている新・蛾像掲示板に駄目元で投稿して問い合わせたところ、「シロシタヨトウSarcopolia illoba)では?」との回答を頂きました。
確かに後翅が白っぽく(シロシタ)、前翅に目立つ黒点がありますね。
こんなボロボロの翅でも見分けられるとは、達人の眼力は凄いです。
お陰様でお蔵入りしていたネタがようやく日の目を見ました。
成虫で越冬した生き残り個体なのか?と思うぐらいボロボロですが、シロシタヨトウは年2化で、越冬ステージは蛹だそうです。(wikipediaおよびdmothより)



2018/05/04

夕暮れにタケニグサ葉裏の初期巣を守るキボシアシナガバチ創設女王【暗視映像】



2016年6月上旬・18:56〜19:00(日の入り時刻は午後18:58)

山麓の路傍に育つタケニグサの大きな葉の裏面にキボシアシナガバチPolistes nipponensis)の初期巣を見つけました。
葉裏の主脈に巣柄が固定されています。
創設女王が巣にぶら下がって休んでいました。
このまま夜を過ごすのだと思いますが、典型的な抱卵姿勢ではありませんでした。
もう気温が高いので抱卵は不要なのかな?

赤外線の暗視カメラをそっと近づけると、気配に気づいたキボシアシナガバチ創設女王は翅を半開きにして警戒姿勢になりました。
少なくとも一つの育房内に産卵済みでした。
女王蜂は神経質に育房を点検して回ると、小さな巣盤を抱くように静止しました。
画面が全体的にややピンクっぽいのは残照のように外気温が高い影響です。

すぐ近くの軒下で見つけたキアシナガバチの巣の創設女王(映像公開予定)よりもキボシアシナガバチは警戒心が強い印象を受けました。

後半は補助照明の白色LEDを点灯しました。
それでも女王蜂は私に飛びかかってきたり刺したりというような攻撃性を一切示しませんでした。
アシナガバチのワーカーに比べて創設女王は一般に攻撃性が低いので、観察時にそれほど怖がる必要はありません。
女王蜂は産卵する使命があるので何よりも我が身が大事です。
したがって死物狂いで巣を防衛することはなく、「多少は警戒・威嚇するけれども、いざとなったら逃げるが勝ち(三十六計逃げるに如かず)」という振る舞いをするのです。
例外は、同種の女王蜂同士が初期巣の乗っ取りを企てたり、それに対して自分の巣を守ろうとして激しく戦うことがあります。
本当に危険が迫ると作りかけの巣を見捨てて(逃去)、新たな場所に巣を作り直すことがよくあります。

タケニグサは未だ背が低い株でしたが、これからぐんぐん成長するでしょう。
いつか草刈りされてしまいそうですけど、定点観察に通ってみることにします。

つづく→7日後:タケニグサ葉裏の初期巣で抱卵するキボシアシナガバチ創設女王【暗視映像】


キボシアシナガバチ創設女王@初期巣:タケニグサ葉裏
キボシアシナガバチ創設女王@初期巣:タケニグサ葉裏
キボシアシナガバチ創設女王@初期巣:タケニグサ葉裏・全景

アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガードと性的共食い



2017年10月上旬

田んぼでは稲刈りが始まっていました。
農道沿いに繁茂するセイタカアワダチソウの群落を見て歩くと、花が咲く前(蕾の状態)の花穂に止まっているアカオニグモ♂(Araneus pinguis)を発見。
黒くて複雑な形状の触肢が発達しているので、交接可能な成体です。
その左側の株では葉や蕾の花序を糸で綴り合わせた隠れ家があり、中には大型のアカオニグモ♀が潜んでいました。
セイタカアワダチソウの株間に張り渡した網は強風でほとんど壊れていました。
おそらく♀亜成体が脱皮して成体になるまで♂が辛抱強く待っているのでしょう。(交接前ガード)
アカオニグモ♂の居るセイタカアワダチソウの茎は♀の作った網から糸で繋がっていませんでしたが、おそらく強風でセイタカアワダチソウ群落が激しく揺れたせいで糸が切れてしまったのだと思います。


▼関連記事(1年前の撮影)
アカオニグモ(蜘蛛)の交接前ガード

クモ生理生態事典 2016』でアカオニグモの項目を参照すると、「交尾は8月,9月には 雄は見られない」とありますが、今回の記録はそれに対するささやかな反例になります。
地方によって出現時期にズレがあるのでしょう。

このアカオニグモ♀♂ペアを採集して飼育下で配偶行動を観察しようか迷ったのですが、この日の私は病み上がりで余力がありませんでした。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

アカオニグモ♂(蜘蛛)@セイタカアワダチソウ花穂+交接前ガード
アカオニグモ♂(蜘蛛)@セイタカアワダチソウ花穂+交接前ガード
アカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ花穂・全景
アカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ花穂
アカオニグモ♀亜成体(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ花穂


10日後(10月中旬)に再訪すると、交接前ガードしていた♂の姿が見えなくなっていました。
興味深い配偶行動を見逃してしまったようです。


同じ農道沿いでセイタカアワダチソウ群落のラインセンサスをすると、別個体のアカオニグモ♀が潜む隠れ家を新たに見つけました。
糸でラッピングされた小型のクモに噛みついて吸汁しています。

写真をよく見るとその獲物は腹部が黄色くて、どうやらアカオニグモ♂のようです。
(ムツボシオニグモの可能性は? ラッピングを取り上げて確認すべきでした。しかしムツボシオニグモがわざわざ他種の網に侵入する理由は無いでしょう。)
交接の成否は不明ですが、性的共食いが行われ♂は♀の餌食になってしまったようです。
私がもう少し早く見つけていれば、興味深い配偶行動の一部始終を観察できたかもしれません…(残念無念)。


アカオニグモ♀(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ+♂捕食(性的共食い)
アカオニグモ♀(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ+♂捕食(性的共食い)
アカオニグモ♀(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ+♂捕食(性的共食い)・全景

2018/05/03

池を歩きながら排泄するダイサギ【ハイスピード動画】(野鳥)



2017年10月中旬

水深の浅い溜池をダイサギArdea alba)が歩いて横断しています。
飛び立ちあるいは魚を捕食する瞬間を記録しようと240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
私の予想は外れたものの、その代わりに偶然、ダイサギの排泄シーンが撮れていました。

浅い池を歩いていたダイサギが一瞬立ち止まって液状便を排泄しました。(@0:30〜0:34)
その後ダイサギは何事もなかったように渡渉を再開。

ちなみに歩行シーンをスローモーションでよく見ると、ハトのように首振り歩行しています。
長い足を交互に前へ踏み出す度にダイサギは長い首の筋肉を使って頭部を前後に動かしています。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


セイタカアワダチソウの花で吸蜜するイカリモンガ(蛾)



2017年10月下旬

農道沿いに咲いたセイタカアワダチソウの群落で昼行性のイカリモンガPterodecta felderi)が訪花していました。
多数のハナアブ類に混じり、吸蜜しています。
イカリモンガはいつものように翅をしっかり閉じたまま花序を歩いて少しずつ移動しながら花蜜を吸って回ります。
複数個体(2頭a,c)を撮影。

この組み合わせは2年前にも撮影していますが、あのときは夕方だったので訪花と言っても夜に備えて休んでいただけのようでした。
今回は秋晴れの午後という好条件で、イカリモンガが口吻を伸ばして吸蜜する様子をしっかり動画に記録することが出来ました。
むしろ強い逆光に苦労しました。


イカリモンガb(蛾)@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜
イカリモンガb(蛾)@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜。逆光のため日中シンクロでストロボ撮影

2018/05/02

ヒメジョオンの花とジガバチ♀



2016年6月中旬

河川敷に咲いたヒメジョオンの群落でジガバチの一種の♀が訪花していました。
吸蜜している顔をよく見ると黒いので♀ですね。(ジガバチ♂の顔は白い)

サトジガバチ(Ammophila sabulosa nipponica)なのかヤマジガバチ(Ammophila infesta)なのか正しく同定するには採集して標本胸部の点刻や皺の状態を精査しないといけないのですが、私の殺気を感じたのか動画撮影後に飛んで逃げられてしまいました。
撮影地は明らかに平地ですけど、環境や標高だけからサトジガバチとは言い切れないのだそうです。
私のフィールドでは実際にどうなっているのか(棲み分けの有無を)自分でも確認したいと思い続けています。

しかし、いつも動画撮影を優先してしまうせいで、この問題は先延ばしになっています。(虻蜂取らず)


ジガバチsp♀@ヒメジョオン訪花吸蜜
ジガバチsp♀:顔@ヒメジョオン訪花吸蜜

キャットミントの花で吸蜜ホバリングするホシヒメホウジャク(蛾)



2017年10月上旬・午後17:30〜17:33(日の入り時刻は午後17:19)

日没後、民家の庭に咲いたキャットミントの群落で
ホシヒメホウジャクNeogurelca himachala sangaica )が3頭も訪花していました。
忙しなくホバリング(停空飛翔)しながら花から花へ飛び回っています。
吸蜜中も激しい羽ばたきを止めません。
この花壇をときどき定点観察しているのですけど、明るい昼間に訪花しているホシヒメホウジャクを見たことはありません。
本種は日没を待って薄暗くなると活動を始める習性(好暮性)があるのでしょう。
昼間はどこで寝ているのですかね?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
薄暮で実際はもっと薄暗かったです。

動画撮影の後は、ストロボを焚いて同定用の写真を撮りました。
(写真に撮れたのは胸背が禿げた1頭だけなので、別種が混じっていた可能性も否定できません。)


ホシヒメホウジャク(蛾)@キャットミント訪花+ホバリング吸蜜
ホシヒメホウジャク(蛾)@キャットミント訪花+ホバリング吸蜜
ホシヒメホウジャク(蛾)@キャットミント訪花+ホバリング吸蜜
ホシヒメホウジャク(蛾)@キャットミント訪花+ホバリング吸蜜

2018/05/01

コムクドリ♂(野鳥)が柳の灌木で採食?



2017年5月下旬

河川敷の歩道を私が歩いていると、目の前からコムクドリ♂(Sturnus philippensis)が飛び立ち、柳の灌木の低い茂みに隠れました。
虫を捕食しているのか、何をしているのか気になりますが、見失ってしまいました。

私の気のせいかも知れませんが、この個体はどうも少ししか飛べず、飛び方が下手糞というか、あまり上手く飛べない印象を受けました。
外見から幼鳥または巣立ち雛の可能性は除外できるので、本当に怪我をしているのかもしれません。
近くに巣があるとしたら、そこから私の気を逸らすために親鳥♂が偽傷行動をして見せたのかな?と妄想さえいだきましたが、真相は藪の中。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


熟したイチジクの果実を食害するオオスズメバチ♀



2017年10月上旬

民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹で収穫されずに放置された熟果を様々なハチが食害しているので、定点観察に通って撮影しています。
さあ、いよいよ真打ちの登場です。

この日はオオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀も数匹来ていました。

口器の動きをよく見ると、大顎で果肉をかじり取るのではなく甘い果汁を舐めているだけのようです。
2匹のオオスズメバチ♀が同じ果実で並んでいても喧嘩にはならないので、同じ巣からやって来たのでしょう。

ニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が来て一緒に吸汁してもオオスズメバチは甘い汁に夢中で、ミツバチを襲ったり(狩ったり)追い払ったりしませんでした。
微小なショウジョウバエの仲間(種名不詳)も多数、熟したイチジクの果実にたかっていましたが、オオスズメバチは全く気にしていません。

複数個体を撮影。
この日はイチジクの熟果に来るコガタスズメバチの数が少ない印象を受けました。
おそらくスズメバチ界最強のオオスズメバチが餌場を占有しているせいでしょう。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




2018/04/30

拡張を続けるコガタスズメバチの巣



枯木に営巣したコガタスズメバチの定点観察#12



前回の記事→#11

2016年8月上旬・午後17:43

軒下の板壁に営巣したコガタスズメバチVespa analis insularis)のコロニーの様子を2日ぶりに見に来ました。
見えている範囲だけでも5匹のワーカー♀が3箇所に別れてせっせと外皮を増築していました。
抱えている巣材をどこに付け足すかという判断は各ワーカーに任されていて、使い切る前に途中で場所を変えることもよくあります。
まだまだ巣は大きく成長しそうです。

その間、巣口で門衛2匹が外を見張っています。
新たに1匹のワーカー♀が外役から帰巣しました。


つづく→#13



セイタカアワダチソウの花蜜を吸うヒメアカタテハ



2017年10月下旬

セイタカアワダチソウの群落でヒメアカタテハVanessa cardui)が訪花していました。
この組み合わせは意外にも初見です。
翅をほぼ全開または半開きにして秋の日差しを浴びながら(日光浴)、吸蜜しています。
同じ日に2頭a,bを撮影。

様々なハエやハナアブ類も多数来ていました。


ヒメアカタテハa@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜
ヒメアカタテハa@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜
ヒメアカタテハa@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜

2018/04/29

ハシボソガラス(野鳥)が高圧線鉄塔の巣で抱雛



2017年5月中旬・午後18:29(日の入り時刻は18:45)

この年に励んだのは、高圧線の鉄塔に営巣したハシボソガラスCorvus corone)の定点観察です。
鉄塔#19および#21の巣を重点的に観察しました。

▼まとめの記事
ハシボソガラス(野鳥)の営巣観察:2017年

実は、同時期に鉄塔#27でもハシボソガラスの巣を見つけていました。

巣に座ってじっとしている親鳥の横顔が見えます。
おそらく♀が雛(または卵)を抱いていると思われます。

このまま親鳥は巣で抱雛したまま夜を過ごしたのか確認したかったのですが、とても余力がありませんでした。
高所に作られた巣は夜風が吹くと未だ少し寒そうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。(日没直前で実際はもっと薄暗い)

現場の周囲は住宅街で、私がじっくり腰を据えて(落ち着いて)観察できる場所を見つけられませんでした。
したがって定点観察には不向きで、その後、私は足が遠のきました。
ちなみに翌年(2018年)は春の訪れが早かったものの、この鉄塔#27でカラスは営巣しませんでした。



熟したイチジクの果実を食害するエントツドロバチ♀とニホンミツバチ♀



2017年10月上旬

民家の庭に植栽されたイチジク(無花果)の果樹でエントツドロバチ♀(別名オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)も熟した果実を食べに訪れていました。
イチジクの果実の上をぐるぐると歩き回り、熟した(食害)部分を探り当てると吸汁を開始。

手前に茂った枝葉が邪魔で撮影に苦労しましたが、なんとかぎりぎり撮れるのアングルを見つけました。
後からニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が飛来。
エントツドロバチ♀はミツバチに向き直ったものの、追い払ったりせず非干渉でした。(金持ち喧嘩せず)

よく見ると微小なショウジョウバエの仲間(種名不詳)も数匹、イチジクの熟果に集まっていました。
(ショウジョウバエは果物が好きなので納得)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



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