2025/02/08

雪原の営巣地でホンドタヌキ、ホンドギツネ、ニホンアナグマ三種による同居/乗っ取り【トレイルカメラ:暗視映像】同じ穴の狢

 

前回の記事:▶  


2024年2月下旬〜3月上旬〜中旬 

雪が積もった休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 
タヌキ以外にも様々な野生動物が入れ代わり立ち代わりやって来ます。
特にこの時期は怒涛の急展開となり、「同じ穴のむじな」と簡単には言えない複雑な様相を呈してきました。 
これまで私は動物の種類ごとに映像をまとめてきましたが、それでは全貌を伝えにくくなったので、今回は改めて動物種を問わずに時系列順に映像を並べ直してみました。 


シーン0:2/20(@0:00〜) 
シーン1:2/21(@1:04〜) 
シーン2:2/22(@1:40〜) 
シーン3:2/24(@2:14〜) 
シーン4:2/25(@2:18〜) 
ここまで、タヌキが1〜2頭で営巣地をうろついています。 
おそらく♀♂ペアなのでしょう。 
巣口に顔を突っ込んで匂いを嗅いだりしています。 


シーン5:2/27(@3:22〜) 
夜明け前にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が登場。(@4:22〜) 
タヌキの営巣地をしばらく偵察した後に、画面の右下手前の雪面(または露出した地面)で何度も転げ回り、自分の毛皮に匂い付けをするようになりました。 
タヌキの巣口L周辺の雪面でも腹這いになり、同様の「匂い付け転がり」行動をしました。 
これは私の想像ですが、タヌキの小便跡(マーキング)の匂いに反応したキツネが、その匂いを自分の身にまとおうとしているようです。 
「匂い付け転がり」で化学擬態したキツネ「フサ尾」は、タヌキの巣口Rと巣口Mfに交互に顔を突っ込み、中の獲物を外に追い立て始めました。 
しかし、巣内の獲物は籠城したままです。 
キツネ「フサ尾」は諦めて立ち去りました。 
結局キツネが狙っている対象が野ネズミなのかタヌキなのか、私には分かりませんでした。 


 シーン6:2/28(@9:49〜) 
夜行性のタヌキ3頭が一緒にうろついています。 
1頭が画面の右下手前の地面で、キツネが前日に転げ回った跡を嗅ぎつけたようです。 
タヌキがキツネに対抗して排尿マーキングしたかどうかは画角の端で見えず、少なくとも興奮して地面に転げ回ることはしませんでした。 

明るい日中に、別個体のキツネが登場。 
疥癬の症状で毛並みが悪く、尻尾が細く見える個体です。(細尾) 
ヒゼンダニに寄生されて痒い体をしきりに足で掻き毟っています。 
キツネ「細尾」がいきなりタヌキの巣穴Rに潜り込んだので驚きました。 
そのまま外に出てこなかったので、巣穴を乗っ取って居座ったようです。 

晩遅くには、別のキツネ「フサ尾」が通りかかったものの、疥癬キツネ「細尾」が乗っ取った巣穴Rには近寄りませんでした。(気づいていないのか?) 


シーン7:2/29(@11:51〜) 
深夜にいつの間にか出巣Rしていた疥癬キツネ「細尾」が、画面右端の地面で転げ回り、匂い付けしました。 
その直後、タヌキの巣口Rと巣口Mfに交互に顔を突っ込み、中の獲物を外に追い立て始めました。 
何か小さな動物(おそらくハタネズミ?)が巣穴から暗闇の枯野に飛び出してきて走り回り、それをキツネが狩ろうとしています。 
狩りの成否は不明です。 

疥癬キツネ「細尾」が再び戻ってきて、お気に入りの場所で転げ回り、匂い付けしてから立ち去りました。

夜明け前に、外出(採餌)から単独で戻ってきたタヌキが、巣穴Mfに潜り込みました。(帰巣) 
明るい昼間、タヌキは巣内で寝て休みます。 

再び暗くなった晩に、夜行性のキツネ「フサ尾」が営巣地を通過。 

次に、疥癬キツネ「細尾」が出巣Rして手前の二次林に向かいました。 

深夜にタヌキのペアが登場し、1頭はすぐに入巣R。 
もう1頭は、巣口Mf付近で排尿マーキングしてから、入巣Rしかけたところで録画終了。 


シーン8:3/2(@14:51〜) 
吹雪の吹き荒れる深夜に、キツネ「フサ尾」がいつもの場所で転げ回り、匂い付けしてから立ち去りました。 

その後は疥癬キツネ「細尾」が出巣Rして手前の二次林に向かいました。 

雪が降り止んだ明るい朝に、疥癬キツネ「細尾」が出巣Rして手前の二次林に向かいました。 

しばらくすると外出(採食)から戻ってきて、巣穴Rに潜り込みました。 


シーン9:3/4(@15:48〜) 
明るい午前中に、疥癬キツネ「細尾」が外出(採食)から戻ってきて、通りすがりに巣口Mの匂いを嗅いでから巣穴Rに潜り込みました。 


シーン10:3/5(@16:09〜) 
明るい午前中に出巣Rした疥癬キツネ「細尾」が採食のため外出。


シーン11:3/6(@16:17〜) 
明るい昼下がりに出巣Rした疥癬キツネ「細尾」が手前の二次林に向かい、採食のため外出します。 


シーン12:3/7(@16:24〜) 
疥癬キツネ「細尾」が外出から戻ってきたのは、翌日の晩でした。 
真っ直ぐに帰巣R。 


シーン13:3/8(@16:42〜) 
明るい午前中に出巣Rした疥癬キツネ「細尾」が採食のため外出します。 


シーン14:3/9(@16:50〜) 
疥癬キツネ「細尾」が外出から戻ってきたのは、翌日の未明でした。 
真っ直ぐに帰巣Rしかけたところで録画が終了。 


シーン15:3/10(@17:00〜) 
晩にニホンアナグマMeles anakuma)が単独でやって来ました。 
冬眠から目覚め、久しぶりに外出していたようです。 
雪原を横切り、躊躇なく巣穴Mfに潜り込みました。 
この巣穴Mfでアナグマが冬眠していたことを、私はそれまで気づきませんでした。


シーン16:3/11(@17:19〜) 
タヌキが単独で凍った雪原を右往左往。 
巣口Lの匂いを嗅いでから、巣穴Mfに潜り込みました。 
そこは前夜にアナグマが入巣したので、「同じ穴のむじな」としてタヌキも同居していることになります。 
冬眠中のアナグマと非冬眠性のタヌキが寄り添って寝ているのか、それとも居住区は別なのか、知りたいところです。 

冬ごもりするアナグマは他者の侵入にかなり寛容なのか? 自分で深い穴を掘れない野生動物にとって、よほどの住宅難なのだろう。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
トレイルカメラは素晴らしい文明の利器ですが、決して完璧ではありません。 
厳冬期は低温のせいで電池の電圧が低下(カメラの性能低下)していたり、画角の縦方向の動きに対しては反応が鈍く、撮り損ねが結構ありそうです。 
断片的で不完全な映像記録から想像するしかありません。

三種類の食肉目が巣穴を共有するとは思いもよりませんでした。
力づくで(暴力的に)巣穴という不動産を強奪したというよりも、主が不在の時を狙って乗っ取ったようです。
疥癬キツネ「細尾」がタヌキの巣穴Rを乗っ取って住み着いた後、タヌキは遠慮してあまり近寄らなくなりました。 
なるべく鉢合わせしないように、時間をずらして訪問している印象です。 
時間帯を分割してニッチ(同じ巣穴)を共有しているという説があります。 
タヌキの営巣地だったと言っても、元々はアナグマが掘った巣穴ではないかと私は想像しています。
アナグマがなぜこれほど他者(別種)に寛容で巣穴への居候を許しているのか、不思議でなりません。




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カタバミの花蜜を吸うヤマトシジミ♀

 

2023年10月中旬・午後12:35頃・晴れ 

住宅地の道端に咲いたカタバミの群落でヤマトシジミ♀(Zizeeria maha)が訪花していました。 
翅を半開きにしたまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
秋風が強く吹いてカタバミの花が揺れると、ヤマトシジミ♀は翅を閉じます。 

ルリシジミ♂(Celastrina argiolus)と迷ったのですが、ヤマトシジミ♀で大丈夫でしょう。 
翅表の斑紋からヤマトシジミの♀と判明。 
実は私にとって、ヤマトシジミはちょっと珍しい(馴染みの薄い)蝶なのです。 
この2種類の見分け方をPerplexity AIに質問したところ、私の知らなかった(手持ちの図鑑に載ってなかった)見分け方も教えてくれました。
3. 目の色(複眼): - ヤマトシジミ:グレーまたは褐色です[1][4]。 - ルリシジミ:黒色です[1][4]。 
8. 触角:ルリシジミは触角の先が黄色です[1]。


カタバミはヤマトシジミ幼虫の食草なのですが、この成虫♀は花から花へ飛び回るだけで、産卵行動を始めてくれませんでした。 

後半は、訪花中に半開きの翅を互いに擦り合わせるように動かしました。(@1:30〜) 
シジミチョウ科で後翅に尾状突起がある種は、それを動かして自分の触角だと天敵(捕食者)に誤認させる自己擬態をします。 
ヤマトシジミの翅には尾状突起も眼状紋もありませんが、自己擬態行動の前適応段階にあるのではないか?と私は推測しています。 
逆に、ヤマトシジミでは尾状突起と眼状紋が退化した可能性も考えられます。 
それとも、後翅を擦り合わせる行動は、シジミチョウ科で何度も独立に進化したのでしょうか? 
後翅を擦り合わせる動きを司る運動神経回路のエボデボ(進化発生生物学)を研究するのが王道ですけど、いかにも大変そうです。 
日本産シジミチョウ科79種の分子系統樹が調べられていれば、とりあえず私の仮説が検証できそうです。 
この疑問を長年抱いていたので、PerplexityやGeminiのAIに相談してみました。 
残念ながら、今のところ網羅的な分子系統樹は描かれていないようです。 
現状では、ムラサキシジミ属の一部、シルビアシジミ属、フジミドリシジミ属などで部分的な分子系統樹が調べられているだけなのだそうです。 

ヤマトシジミ♀が花から飛び立つ瞬間を狙ってハイスピード動画に切り替えたら、途端に飛んでくれなくなりました。 
最後は物を投げつけて無理やり飛び立たせたのですけど、撮影に失敗しました。(映像なし) 


余談ですが、カタバミについて最近ちょっと面白い研究結果が報告されました。 
 関連ニュース記事()▶  

今回私が観察したカタバミは郊外の住宅地の道端にあった群落ですけど、葉は青々としており(緑色)、赤くはありませんでした。 
つまり、当地は幸い自然度が比較的高く保たれヒートアイランドがまだ進行していないことが分かります。    


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2025/02/07

ニホンアナグマが冬眠する巣口で通りすがりに小便でマーキングするホンドタヌキ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月上旬

シーン0:3/3・午後12:31・晴れ・気温24℃(@0:00〜) 
シーン0:3/3・午後12:36・晴れ・気温22℃(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで別アングルから監視しています。 
暖冬ですが、雪がまた少し林床に積もりました。 


シーン1:3/9・午後23:20・気温-3℃(@0:07〜) 
晴れて静かな晩遅くに3頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が続々とやって来ました。 
雪面が凍結していて、タヌキが歩いても足跡が残りません。 

先行個体aがアナグマの巣口Lの手前で立ち止まり、匂いを嗅いでいます。 
左へ立ち去ろうとすると、対面に設置した監視カメラのセンサーが反応して赤外線LEDが点灯しました。 
雪面がレフ板になっているため、2台分の赤外線で煌々と照らされ、画面全体が明るくなりました。 
タヌキaは、ちょっと振り返って監視カメラを見上げただけで、そのまま左へ立ち去りました。 

後続個体bが巣口Lに向かう手前で、落葉したマルバゴマキの細い灌木の根元に排尿マーキングしたようです。(@0:25〜) 
巣口Lの匂いを嗅いでから、左に向かいました。 

殿しんがりを務める個体cが右奥の林内からセットに登場。 
アナグマの巣口R➔L➔Rの順に点検しました。 
巣穴Rに入りそうになったところで、1分間の録画が打ち切られました。 


シーン2:3/9・午後23:21・気温-4℃(@1:07〜) 
続きが別アングルの監視カメラでも撮れていました。 
先行個体aが左から右へ横切る動きで起動したのです。 

後続個体b♂がマルバゴマキ灌木の根元に小便をかけて匂い付けする行動がしっかり撮れていました。(@1:17〜) 
右後足を軽く持ち上げながら排尿したので、♂と判明。 
巣口Lの奥を覗き込んでから、跨いで右へ立ち去りました。 

最後に登場した個体cは、スギの落ち葉を尻尾に引っかかったまま引きずって歩いています。 
タヌキたちは、落葉した二次林に隣接するスギ林を通ってきたことが分かります。 
巣口Lを回り込んでから一旦左の巣口Rへ戻り、死角に消えました。


シーン3:3/9・午後23:25・(@1:53〜) 
約3分50秒後に、単独行動のタヌキがセットの林縁を左へ向かいました。 
私にはタヌキの個体識別ができていません。 
殿の個体cがアナグマの巣穴Rに潜り込んで内見していたのかもしれませんが、この個体は尻尾にスギの落ち葉を引きずっていません。 
まったく別の個体dが来ていたという可能性もあり得ます。 
セットの端で身震いしてから左へ立ち去りました。 

最後のタヌキがセットを左に横切っても、対面に設置した監視カメラは反応しませんでした。 
私が監視カメラを長期間同じ場所に設置しているため、夜な夜なここを巡回するタヌキは学習して、なるべくセンサーの死角を選んで歩くようになったのかもしれません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


この3頭のタヌキは親子なのですかね?
若い3兄弟(姉妹)が一緒に暮らしている可能性はどうでしょう?


稲刈り後の田んぼで落穂拾いをして頭を掻くハシボソガラス(冬の野鳥)

 

2023年12月中旬・午前11:20頃・晴れ 

郊外の稲刈りが終わった田園地帯でハシボソガラスCorvus corone)が採食していました。 
イネの落ち穂を見つけると足で押さえつけ、白い小さな米粒を嘴の先端で器用に摘み上げて食べました。 
食後は、足で痒い頭をぼりぼり掻きました。 

この刈田には二番穂ひこばえは出ていません。 
関連記事(2ヶ月前の撮影)▶ イネの二番穂


ちなみに、田んぼの用水路の中にも複数のカラスが入っていました。 
水を飲んでいるのか、それとも水浴びしているのかな?と期待したものの、私が近づくと警戒したカラスは飛んで逃げてしまいました。 

1羽のカラスが何か餌(オニグルミ堅果?)を刈田に貯食したような気がしたのですが、肝心の埋めるシーンを撮り損ねてしまいました。 
その様子を周りで仲間が見ていたので、隠した餌はすぐに盗まれそうです。 


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2025/02/06

冬眠から一時的に目覚めたニホンアナグマが営巣地を素通り【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月上旬 

シーン0:3/3・午後12:31・晴れ・気温24℃(@0:00〜) 
シーン0:3/3・午後12:36・晴れ・気温22℃(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)に2台の自動撮影カメラを設置して見張っています。
林床には雪がまだ積もっています。 


シーン1:3/10・午後22:34・気温-4℃(@0:07〜) 
晴れて静かな晩遅くに、アナグマが久しぶりに写りました。 
冬眠の合間に覚醒して外に出てきたようです。
顔馴染みの♀(右目<左目)のような気もしますが、体型はずんぐりむっくりの♂に見えます。
♀が脂肪を蓄えて太っているだけかもしれません。 
アナグマの個体識別ができていないので、巣穴Lから外に出てきた直後なのか、それとも他所からの訪問者なのか、不明です。 
雪面が凍結していて足跡が残らないため、どこから来たのか足跡からも推理できません。 

巣口L付近の細長い落枝を跨いで、ノソノソと左へ向かいました。 
もう1台の監視カメラは、なぜか反応しませんでした。 


シーン2:3/10・午後23:25・気温-5℃(@0:16〜) 
約50分後、同一個体と思しきアナグマが戻ってきたようです。 
セットを右から左へ横切り、左上奥の林内へ立ち去りました。 

別アングルの監視カメラが反応しなかったのは、アナグマがセンサーの死角を選んで通ったからでしょう。 


シーン3:3/11・午後13:18・晴れ・気温17℃(@0:38〜) 
翌日の昼間はよく晴れて雪解けが一気に進み、林床のあちこちで地面が露出するようになりました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
2つの巣穴L、Rを素通りしたということは、ここで冬眠しているアナグマ個体ではなさそうです。 
近くの休耕地でタヌキと共有している巣穴で冬眠していた個体なのかもしれません。 

春が近づくと発情期が始まり、アナグマ♂は夜な夜な遠征して、交尾相手の♀が住む巣穴を探し歩くようになります。 
今季は暖冬だったので、♂による夜這い行動の始まりを撮り損ねないように、早くから監視カメラを2台体制に戻しました。 



山中の砂利道で産卵のため試掘と跳躍移動を繰り返すミカドフキバッタ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月下旬・午後14:10頃・くもり 

里山の砂利が敷かれた坂道で、ミカドフキバッタ♀(別名ミヤマフキバッタ;Parapodisma mikado)が産卵する場所を探していました。 
砂利道をゆっくり横断しながら、腹端で地面に穴をあちこち試掘しています。 
前に少し歩いて移動し、また試掘します。 
フキバッタの仲間は、卵を1個ずつ地中に産み付けるのではなく、泡状の物質とともに卵塊としてまとめて産卵するはずです。 
つまり、もし産卵に成功していれば、腹端の産卵管を地中にもっと長時間伸ばしているはずです。 

少し離れた位置から様子をしばらく見守ったものの、乾燥した土壌が石だらけで硬すぎるのか、ミカドフキバッタ♀は本格的な産卵行動を始めてくれませんでした。 
どうやら深く掘れる土質ではなかったようです。 
それならどうして、硬い砂利道ではなく適度に湿った柔らかい土壌の場所(林床の黒土など)を選んで産卵しないのか、理解に苦しみます。 
卵寄生者や捕食者への対策なのでしょうか? 
小石の下がむしろ掘りやすかったり、水はけの良い砂地や砂利に好んで産卵するのかな? 

しばらくすると、ミカドフキバッタ♀は自発的に跳躍を繰り返して、砂利道を素早く横切りました。 
さすがに場所を大きく変えて産卵地を探そうと思ったのかもしれません。 
産卵シーンを真横から撮りたくて私が少し移動したので、フキバッタ♀を警戒させてしまった可能性もありそうです。 
2回の跳躍シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:57〜) 
後半は、道端で跳んで逃げる様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@4:27〜) 
フキバッタの仲間は成虫でも翅が退化しているため、遠くまで一気に飛ぶことができません。


かなり古い図鑑なのですが、保育社『検索入門セミ・バッタ』(1992年)でミカドフキバッタを調べると、気になる記述がありました。
形・色♀の腹部1・2節は本属の他種に比べて幅広く、寒冷地適応と思われる。 
生態:(中略)本属中で最も北に分布をのばしている。 (p72より引用)
下線部の意味が分からず、詳しく知りたかったので、Perplexity AIに質問してみました。 
質問: とある昆虫図鑑で「ミカドフキバッタ♀の腹部1・2節は本属の他種に比べて幅広く、寒冷地適応と思われる。」という記述がありました。どうして幅広い腹部が寒冷地に適応した形質なのですか? まさか、産卵のために凍った土を腹端で掘る必要があるのですか?
回答: ミカドフキバッタ♀の腹部1・2節が幅広いことと寒冷地適応の関係については、直接的な説明が検索結果には含まれていませんが、昆虫の寒冷地適応に関する一般的な知識と推論を用いて説明することができます。 
## 寒冷地適応としての幅広い腹部 
昆虫の寒冷地適応には、主に以下の要因が関係していると考えられます: 
1. **体温調節**: 幅広い腹部は、体積に対する表面積の比率を減少させます。これにより、寒冷環境下での熱損失を抑える効果があります[1]。 
2. **エネルギー貯蔵**: 寒冷地では、活動可能な期間が限られるため、より多くのエネルギーを貯蔵する必要があります。幅広い腹部は、より多くの脂肪や栄養を蓄えるスペースを提供します[1]。 
3. **卵の保護**: ♀の場合、幅広い腹部は多くの卵を保護し、保温する役割を果たす可能性があります。これは、厳しい環境下での繁殖成功率を高めるのに役立ちます。 
4. **凍結耐性**: 寒冷地の昆虫は、体内に糖や糖アルコールを蓄積して凍結耐性を獲得します。幅広い腹部は、これらの物質をより多く貯蔵するのに適しています[1]。 
## 腹端での土掘りについて 
ミカドフキバッタ♀が凍った土を腹端で掘る必要性については、提供された情報からは確認できません。一般的に、バッタ類は産卵管を使って土中に卵を産み付けますが、凍った土を特別に掘る適応があるかどうかは不明です。 寒冷地適応としての幅広い腹部は、主に体温維持、エネルギー貯蔵、および凍結耐性の獲得に関連していると考えるのが妥当です。これらの適応は、ミカドフキバッタが厳しい寒冷環境で生存し、繁殖する能力を向上させると推測されます。 
(出典を34個も列挙したURLリストは割愛) --- Answer from Perplexity: pplx.ai/share

セカンドオピニオンとして、同じ質問をGemini2.0 AIにも尋ねてみました。 
その回答は、Perplexityとほぼ同じ内容でしたが、ダブルチェックしてみても、Google検索では関連情報(出典)がろくにヒットしません。 
この問題に対するAIの推論が正しいのか、それとも知ったかぶりのハルシネーションなのか、私には判断しかねます。
ミカドフキバッタの幅広い腹部が寒冷地適応である理由について、複数の要因が考えられます。 
**体積と保温** 
寒冷地では、体温を維持することが重要です。幅広い腹部は、体積を大きくすることで、熱を蓄えやすく、体温の低下を防ぐ効果があると考えられます。また、腹部には内臓器官が集中しているため、幅広い腹部が内臓を寒さから守る役割も果たしている可能性があります。 
**脂肪の蓄積** 
寒冷地では、食料が不足する時期があるため、エネルギー源となる脂肪を蓄えておくことが重要です。幅広い腹部は、より多くの脂肪を蓄えることを可能にし、寒さや飢餓に対する抵抗力を高めると考えられます。 
**産卵と繁殖** 
寒冷地では、繁殖期間が限られています。幅広い腹部は、一度に多くの卵を産むことを可能にし、繁殖効率を高める効果があると考えられます。また、産卵場所の確保や卵の保護にも役立つ可能性があります。 
**その他の要因** 
寒冷地に適応した幅広い腹部は、積雪時などに体が雪に埋もれるのを防ぐ効果や、風雪から体を守る効果も考えられます。また、ミカドフキバッタの祖先が寒冷地に適応した際に、たまたま幅広い腹部を持つ個体が生き残りやすかったという可能性もあります。 
**産卵のために凍った土を掘る必要性について** 
ミカドフキバッタが産卵のために凍った土を腹端で掘る必要性は低いと考えられます。一般的に、バッタ類は土壌中に産卵管を挿入して産卵します。凍った土壌は硬く、産卵管を挿入しにくいため、産卵に適した場所とは言えません。ミカドフキバッタは、比較的温暖な時期や場所を選んで産卵すると考えられます。 
**結論** 
ミカドフキバッタの幅広い腹部は、体温維持、脂肪蓄積、繁殖効率の向上など、複数の要因によって寒冷地適応した形質であると考えられます。産卵のために凍った土を掘る必要性は低いと考えられます。 
**補足** 
ミカドフキバッタの寒冷地適応については、さらなる研究が必要です。他の寒冷地性バッタ類との比較や、遺伝子レベルでの解析などを行うことで、より詳細なメカニズムが解明される可能性があります。

どうやら「近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息する」というベルクマンの法則と似た話のようです。
しかしフキバッタは昆虫で変温動物ですから、ベルクマンの法則は適応されないはずです。
むしろ変温動物の昆虫では、寒冷地に行くほど小型のものが生息する傾向が見られ、「逆ベルクマンの法則」と言われます。
コオロギでは寒冷地では活動できる時間が短いので、成虫になるまでに摂取できる食料が少ないためと言われる。さらに小型のスズムシ類では本州南部では年3回発生、北部では年2回発生する種があり、この場合、本州南部から北に向かうにつれて小型の個体が生息するが年2回になる境界線を越えると一旦大きな個体が現れ、そこから北へふたたび次第に小型になってゆく現象がある。(wikipediaより引用)

フキバッタ類は卵で越冬するので、冬が来る前に成虫は死んでしまいます。
したがって、成虫の凍結耐性向上のために腹部が幅広になったという可能性については考慮する必要はない気がします。

2025/02/05

大雪が降る晩、ニホンアナグマが冬眠する巣穴に避難するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】同じ穴の狢

 



2024年3月上旬・午後22:30頃・気温-1℃ 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠している営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。
3/5は二十四節気のひとつ「啓蟄けいちつ」です。 
冬ごもりをしていた虫が春の気配を感じて動き出す頃なのですが、雪国の季節感とは違います。
寒の戻りで雪がしっかり降りました。 

雪が激しく降る晩遅くに1頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が登場しました。 
新雪の上に残る足跡を見ると、奥の二次林内からタヌキがセットにやって来たことが読み取れます。 
タヌキはあちこちで雪の中に鼻面を突っ込んで匂いを嗅ぎ回っています。 
アナグマの巣口Rの匂いを慎重に嗅いでから、中に潜り込みました。 


【考察】
このタヌキが再び外に出てくるシーンが監視カメラに撮れていないことから、どうやら大雪を凌ぐための一時的な避難所として、しばらくアナグマの巣内に留まったようです。 
アナグマとタヌキが「同じ穴のむじな」として寄り添って寝るのか、それとも別々の居住区で寝るのか、巣内の様子を知りたいものです。 





 

↑【おまけの動画】 
"Tanuki - Japanology Plus" by NHK WORLD-JAPAN
海外向けに日本のタヌキを紹介した番組です。
タヌキ研究の第一人者がじきじきに案内してくれる豪華な番組。
英語の勉強にどうぞ。(翻訳字幕を表示することも可能です。)

庭を探索する3匹の子ネコ

 

2023年9月中旬・午後14:05頃・くもり 

私が道を歩いていると、道端のイロハモミジの茂みの中に子猫が潜んでいました。 
イエネコFelis silvestris catus)の幼獣2頭が横に並んで、私をこわごわと見上げていました。 

右の個体は目が青く、左耳の後部が白毛でした。 
左の個体は目が茶色で警戒心が強く、すぐに隠れてしまいました。 
残された子ネコ「青目」も大きな庭石に飛び乗って向こう側に姿を消しました。 

この茂みの奥は、車道に面した民家の庭でした。 
池や庭石、庭木も配置された、小さいながらも立派な「お屋敷の日本庭園」のようです。 

私が少し横にずれると、生垣の隙間に3頭目の子猫を発見。 
この個体は白黒の柄模様で、鼻の先が黒でした。 
庭の池の畔から私を見上げていましたが、警戒して奥に歩き去りました。 

じっくり探せば、もっと多くの子猫が一緒に居たかもしれません。 
今回見つけた少なくとも3頭の子猫たちは、柄の模様や瞳の色がまちまちでしたが、おそらく同じ母親♀から産まれた同腹の兄弟姉妹なのでしょう。 
あるいは、この民家の住人がペットショップから様々な品種の子猫を同時に買ってきたのかもしれません。 
母親が近くで子猫たちを見守っていると予想したのですが、その姿は見当たりません。 
逃げた仔猫たちの後を追って、私が横の路地に回り込んでみると…。 




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2025/02/04

雪原にあるホンドタヌキの巣穴に潜り込む冬眠明けのニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】同じ穴の狢

 




2024年3月上旬・午後21:50頃・気温-3℃ 

雪の積もった休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の営巣地を自動撮影カメラで監視してます。 

晴れて静かな晩に、右手前の二次林からノソノソと雪原を歩いて来たのは、ニホンアナグマMeles anakuma)でした。 
この地点でアナグマの姿を見たのは久しぶりです。 
冬眠の合間に覚醒し、外出していようです。 
(巣穴Mfから外に出てきたシーンは、どうやら撮り損ねてしまったようです。)
凍結した雪面にアナグマの足跡は残りませんでした。 
アナグマはまっすぐに巣口Mfに向かい、躊躇なく中に潜り込んだので、私はびっくりしました。 



【考察】 
「同じ穴のむじな」と昔から言われていますが、 この営巣地では、ホンドタヌキ、ニホンアナグマ、ホンドギツネという三種の食肉目によるかなり複雑な(三つ巴の)同居関係が成立していることが分かりました。 
タヌキとアナグマが巣口Mfに出入りし、キツネは巣口Rに出入りしています。 
複数の巣穴が地中で連結しているのかどうか分かりませんが、最近引っ越してきたキツネだけ別の玄関(巣口)を使っています。 
タヌキとアナグマは時間をずらして同じ巣穴をシェアしている、という説もあります。
この営巣地から、ますます目が離せなくなりました。


ウラナミシジミ♂の探雌飛翔とヤブツルアズキの花から飛んで逃げる♀【ハイスピード動画】

 

前回の記事:▶  


2023年9月中旬・午後16:00頃・晴れ 

民家の裏庭にはびこるヤブツルアズキの花で、翅をしっかり閉じて吸蜜しているウラナミシジミ♀(Lampides boeticus)を240-fpsのハイスピード動画で撮っていると、左上から別個体♂が飛来しました。 
すると、訪花中の個体はすかさず飛び立ちました。
2頭ともどこかに飛び去ってしまい、元の花には戻って来ませんでした。 

何が起きたのか、さらに1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう(最終的には1/40倍速になります)。 
訪花していた個体は、翅表の縁の暗色部が広いことから♀と分かりました。 
交尾する気がないのに♂から求愛されそうになったので、飛んで逃げたのでしょう。 
シジミチョウ科は、♂による儀式的な求愛飛翔や、止まったままの♀による交尾拒否行動をしないのかな?

2025/02/03

雪が溶けた晩冬の夜に根返りスギをうろつく野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬 

シーン0:2/20・午後14:46・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林で、画面の手前から左奥に向かって根こそぎ倒れた「根返りスギ」の根元に掘られた巣穴bをトレイルカメラで見張っています。 
画面の中央に見える巣穴bでニホンイタチ(Mustela itatsi)が越冬していたのに、なぜか最近は姿を見せなくなりました。 
異常な暖冬のため、林床の積雪は完全に溶けてしまっています。 


シーン1:2/29・午後22:45頃・(@0:04〜) 
晩遅くに根返りスギの倒木上に1匹の野ネズミ(ノネズミ)が現れました。 
慎重に地面に降りて、手前に姿を消しました。 
餌を探し歩いているのでしょう。




倒木が散乱するスギ林で虫を探すカケスのペア(冬の野鳥)

 



2024年2月下旬

シーン0:2/20・午後14:46・くもり(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
平地のスギ防風林で、画面の手前から左奥に向かって根こそぎ倒れた「根返りスギ」の根元に掘られた巣穴bを自動撮影カメラで見張っています。 
画面の中央に見える巣穴bでニホンイタチ(Mustela itatsi)が越冬していたのに、なぜか最近は姿を見せなくなりました。 

異常な暖冬のため、林床の積雪は完全に溶けてしまっています。 


シーン0:2/20・午後13:21・晴れ(@0:04〜) 
巣口bに来ていたカケスGarrulus glandarius)が太い風倒木に飛び上がりました。 
倒木上には残雪がほんの僅か残っています。 
カケスは朽ちたスギ倒木の表面を啄んでいます。 

やがて左から水平倒木に乗った別個体のカケスが登場しました。 
真下を覗き込んだり、水平倒木の最近剥がれた樹皮の隙間を調べたりしています。 
獲物となる虫を探し回るカケスの羽毛が強風でなびいています。
この2羽は、おそらく♀♂つがいなのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→


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2025/02/02

疥癬に罹ったホンドギツネがホンドタヌキの巣穴を晩冬に乗っ取って住み着いた!【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬〜3月上旬

雪が積もった休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 

シーン1:2/28・午後13:02・くもり・気温7℃(@0:00〜) 
雪がほとんど溶けて、地表面が露出しています。 
白昼堂々、右からホンドギツネVulpes vulpes japonica)が登場しました。 
 尻尾の毛が抜け落ちて細く見える個体「細尾」で、疥癬の症状と思われます。 



雪原に立ち止まっている間に、左後脚で左前脚を掻いたり、そのまま座り込んで左脇腹を掻いたりしています。 
やはりヒゼンダニが体外寄生した皮膚の猛烈な痒さに悩まされているようです。 
この営巣地のタヌキに感染が拡大しないことを祈るしかありません。 
疥癬キツネは立ち上がって一旦手前の二次林に立ち去ったものの、すぐに同一個体が戻ってきました。 

今度はタヌキの巣口Mfに真っ直ぐ向かい、覗き込んで匂いを嗅いでいます。 
奥の巣口Mbおよび右の巣口Rも順に点検し、そのまま巣穴Rの中に侵入したので驚きました。 
同じキツネでも「フサ尾」個体よりも大胆でした。 
巣穴の主のタヌキから全く抵抗を受けませんでした。 
タヌキの巣穴Rを(留守中に?)あっさり乗っ取ったのでしょうか? 


シーン2:2/29・午後20:37・気温2℃(@0:45〜) 
新機種のトレイルカメラでも、画角の縦方向の動きを検知するのは苦手で、どうしても起動が遅れてしまいます。 

翌日の晩に、尻尾の毛が抜け落ちた疥癬個体の「細尾」が、営巣地からまっすぐ手前の二次林に立ち去るところでした。 
もしも出巣Rした直後だとすると、巣内で丸一日以上も過ごしたことになります。 


シーン3:3/2・午前2:04・降雪・気温-3℃(@0:52〜) 
2日後の深夜、寒の戻りで雪が降っていました。 
雪面の足跡を読み取ると、疥癬キツネの「細尾」が巣穴Rから外に出てきて手前までやって来たようです。 


シーン4:3/2・午前8:55・晴れ?・気温0℃(@1:00〜)
約7時間後の明るい朝、辺りは新雪に覆われ一面の銀世界になっていました。 
疥癬キツネの「細尾」が画面右下隅の匂い転がりポイントで立ち止まり、身震いしてから右へ立ち去りました。 

雪面が眩しくて見づらいのですが、自動色調補正を施すと、キツネの足跡が巣穴Rから手前に続いていました。(@1:07) 


シーン5:3/2・午前9:20・晴れ・気温4℃(@1:11〜)
 約30分後、快晴となり雪原は強烈に眩しくなりました。 
右下隅から登場した疥癬キツネの「細尾」が自分の足跡を忠実に辿って、まっすぐ巣穴Rに帰巣しました。 


シーン6:3/4・午前8:40・降雪・気温0℃(@1:27〜) 
2日後、雪がしんしんと降りしきる朝に疥癬キツネの「細尾」が右からやって来ました。 
いったん巣口Mbに立ち寄って中を覗き込んでから、巣穴Rの中に潜り込みました。 


シーン7:3/5・午前10:08・晴れ?・気温11℃(@1:49〜) 
翌日の朝、雪は降り止んでいました。 
疥癬キツネの「細尾」が出巣Rする瞬間をいつも撮り損ねてしまいます。 
手前の右へ立ち去りました。 

左の巣穴Lに向かって2列の足跡が付いているのに、そのシーンが撮れていないのも気になります。 (誰の足跡か不明)


シーン8:3/6・午前10:08・くもり・気温11℃(@1:56〜) 
翌朝も出巣Rシーンを撮り損ねたのか、疥癬キツネの「細尾」が手前に向かって歩いて来ました。 
奥の雪原は眩しく白飛びしていて、巣穴が全く見えません。 



シーン9:3/7・午後21:02・気温-2℃(@2:03〜) 
翌日の晩に、監視カメラが起動しました。 
前日にキツネが付けた古い足跡が巣口Mfから手前の二次林に向かって続いています。 

外出から戻った疥癬キツネの「細尾」が奥の営巣地に向かって歩く後ろ姿が写っていました。 
雪面は固く凍結していて、キツネが歩いても新しい足跡は残りません。 
身震いしてから右の巣穴Rに潜り込みました。 


シーン10:3/8・午前10:15・晴れ・気温12℃(@2:22〜) 
翌日の明るい朝遅く、疥癬キツネの「細尾」が出巣Rしたシーンをまた撮り損ねたようです。 
眩しい雪原で身震いしてから右手前に立ち去りました。(二次林内へ) 


シーン11:3/9・午前4:42・気温-3℃(@2:29〜) 
翌日の未明、左下手前から戻ってきた疥癬キツネの「細尾」が右へ回り込んでから入巣R。 
監視カメラの電池が消耗したせいで、暗視用の赤外線が遠くまで届かなくなりました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
まったく予想外の展開になりました。 
疥癬に感染したホンドギツネ「細尾」が、ホンドタヌキが越冬する巣穴Rをあっさり乗っ取ったようです。 
タヌキと違ってキツネは自力で巣穴を掘れるはずなのに、チャンスがあれば乗っ取りも辞さないのでしょう。 
タヌキと激しい争い(巣穴を巡る闘争)があったのか、少なくともこの監視カメラには写っていませんでした。 
タヌキの留守中を狙ったのでしょうか。 
以前、このキツネがタヌキの営巣地で転げ回って自分の毛皮に先住者の匂いを付けていたのは、やはり巣穴への侵入・乗っ取りが目的だったのかもしれません。 
タヌキの巣穴の乗っ取りに成功した以降、キツネは地面転がりの行動をやらなくなりました。 



あるいは、タヌキとキツネが「同じ穴のむじな」として仲良く同居しているのかもしれません。 
2種が同居したとなると、ますますヒゼンダニの感染拡大が心配になります。 
この営巣地には巣穴の入口が少なくとも4つあり、内部構造がどう連結しているのか分かりませんが、キツネはタヌキの巣穴の一部を間借りしているだけかもしれません。 
今のところキツネは巣口Rに、タヌキは巣口Mfに出入りしています。(棲み分け?)

いずれにせよ、穴居性のキツネが別種(タヌキ)の巣穴を乗っ取って住み着いたのは、巣穴を掘る労力を節約するための労働寄生と言えます。
そもそも、この営巣地は元々ニホンアナグマが掘った巣穴をタヌキが乗っ取ったのではないかと、私は疑っています。
そのキツネにはヒゼンダニが体外寄生しており、複雑な生態系を織りなしています。

キツネは夜だけでなく明るい昼間も巣外で活動しているのが意外でした。
素人の予想では、疥癬キツネの「細尾」はおそらく♀で、これから巣穴Rの中で出産しそうです。
しかし、生まれた子供も授乳など母親♀との濃厚接触により疥癬に感染してしまうでしょう。

私はまだキツネの観察歴が浅いのに、いきなりトリッキーな(入り組んだ)応用問題に直面して、困ってしまいました。(嬉しい悲鳴) 





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スギ倒木横のタヌキ溜め糞場に集まる虫たち:オカダンゴムシ♂、ワラジムシ、クロボシヒラタシデムシの幼虫および成虫、サビハネカクシ、糞虫など

 

2023年6月下旬・午後14:55頃・晴れ 

ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が平地のスギ防風林に残した溜め糞場phを定点観察しています。 
すぐ横に風倒木が転がっているのが目印です。 
新鮮な糞が追加されていて、
糞の一部には未消化の獣毛が混じっています。 
換毛期に毛繕いしたタヌキが自分の体毛を飲み込んでしまったのか、それとも動物の死骸を食べた(腐肉食)のか、野ネズミなど小型哺乳類を捕食したのでしょうか? 
糞をDNA解析すれば、たちどころに分かるはずです。 

糞食性の様々な虫が集まっていました。 
動画に登場した虫たちを列挙してみます。 

1匹のオカダンゴムシ♂(Armadillidium vulgare)が溜め糞の匂いに誘引されて来ました。 
背中に斑点が無くて真っ黒(黒光り)なので、♂と判明。 

ワラジムシPorcellio scaber)も何匹かいました。 

クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫だけでなく幼虫もいました。 
写真にはオオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫も写っていました。 

小型の糞虫が糞塊に潜りかけていたのですが、全身を見せてくれず、種類を見分けられませんでした。(センチコガネではない) 

サビハネカクシOntholestes gracilis)と、別種のハネカクシ(種名不詳)もいました。 
肉食性のハネカクシ類がダンゴムシやワラジムシを襲って捕食することはありませんでした。 
もっぱらハエの幼虫(蛆虫)を捕食するのでしょう。 

ショウジョウバエのような微小なハエも来ていたのですが、真面目に同定していません。

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