2024年2月上旬
シーン0:1/22・午後13:46・くもり・気温20℃(@0:00〜)
平地の二次林でニホンアナグマ(Meles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張り続けています。
画面の左右に2つの巣口L、Rが開口しています。
今季は異常な暖冬で積雪量が少なく、根雪が溶けて早くも林床の地面があちこちで露出しています。
シーン1:2/8・午前5:08・降雪・気温0℃(@0:04〜)日の出時刻は午前6:35
16日ぶりにアナグマが冬眠から覚醒して巣外に出てきました。
ただし、前回(1/23)と同一個体かどうか私には見分けがつきません。
前日(2/7)にホンドタヌキが巣穴Rに侵入したことが、アナグマの冬眠・覚醒リズムを乱したのかもしれません。
例えば、冷え込む夜に巣内で冬眠中のアナグマの横で侵入タヌキが添い寝して温めてくれた、なんてことがあるのでしょうか?
雪が降る夜明け前に、アナグマが雪面の匂いを嗅ぎながら、右から左へ向かいました。
冬眠明けなのに、この個体の足取りは珍しく軽快で、寝ぼけた様子もありません。
体温が充分に上がった状態で、体調が良いのかもしれません。
サーモグラフィカメラで撮影してみたいものです。
今回の気温(0℃)は前回(-1℃)とほぼ同じですから、気温が暖かくて体がよく動いた訳ではありません。
冬眠から覚醒したアナグマは、これから水を飲みに出かけるのか、それともアナグマ専用の溜め糞場stmpに向かったのかな?
雪国の厳冬期にアナグマが外を出歩いても食べる餌が見つかるとは思えません。
つまり、秋の食いだめで蓄えた脂肪を頼りに春まで絶食状態で耐え忍ぶのでしょう。
シーン2:2/8・午前5:11・降雪(@0:33〜)
約2分半後に、同一個体と思しきアナグマが左から戻ってきました。
巣口Rの匂いを嗅いでから周囲を少しうろつき、再び巣口Rに戻ってきました。
営巣地を歩き回るアナグマの足跡が残らないということは、雪面は固く凍結しているようです。
シーン3:2/8・午前5:12・降雪(@1:32〜)
結局このアナグマは巣穴Rには入らず、左へ移動しました。
次は巣口Lの匂いを嗅いでから、左に立ち去りました。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
【考察】
この個体は顔つきと体型から♀と思われます。
この♀個体が外出から戻って帰巣するシーンがなぜか監視カメラには写っていませんでした。
手前から来て入巣Rするルート(画角内で縦方向の動き)だと動体検知センサーが反応しにくく、撮り損ねもあり得ます。
トレイルカメラをもう1台追加して別アングルからも同時に監視すれば、アナグマの巣外活動を撮り漏らすことも減るはずですが、他のプロジェクトも同時並行していて機材が足りません。
これがもし♂ならば、春の交尾期に備えて冬のうちから早くも♀の営巣地を探索している余所者♂である可能性も考えられます。
冬眠中のニホンアナグマ♀には着床遅延という重要なイベントがあります。
イタチ科に属するアナグマ♀は、春の出産直後に♂と交尾し、その受精卵(初期胚)は冬眠中にようやく着床し、春に出産するのです。
たとえ♂と交尾・受精しても、秋から冬にかけて♀の栄養状態が悪ければ着床・妊娠しないのです。
通常は胚が子宮に侵入すると直ちに着床するが、イタチ科やクマ科、鰭脚類(アシカ科・アザラシ科・セイウチ科)、カンガルー、ラットなどの一部の動物種の胚は子宮内で浮遊状態を保ち、条件が整ってから着床する。これを着床遅延 と呼ぶ。 (wikipediaより引用)
ニホンアナグマの着床遅延は、非常に興味深い繁殖戦略の一つです。春から夏にかけて交尾を行うにも関わらず、受精卵が子宮に着床するのは冬眠中の2月頃と、かなり遅れるという現象です。この仕組みは、厳しい冬の環境下で子育てをするという、アナグマならではの適応戦略と考えられています。
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