2016年5月中旬
▼前回の記事
ルイスアシナガオトシブミ♀bの揺籃作り【10倍速映像】
里山に生えたハルニレの若い灌木で、ちょうど作り終えた揺籃をルイスアシナガオトシブミ♀(Henicolabus lewisii)が切り落とそうとしていました。
この♀aに対して、♂は揺籃の完成間際まで交尾後ガードを続けていました。
♀aはハルニレの葉柄ではなく、最初の工程で葉を両裁して残った主脈を噛んでいます。
風が吹いたせいで、肝心の揺籃がポトリと落ちる瞬間がピンぼけになってしまいました。
枝の真下の地面(茂み)を探してなんとか揺籃aを見つけ出し、採集しました。
手のひらに乗せて転がし、ちっぽけな虫けらの作り上げた芸術作品をお見せします。
今回、ルイスアシナガオトシブミ♀aは揺籃作りの材料として未だ葉緑素が少なくて赤っぽい若葉を選んだ点が興味深く思いました。
確かに柔らかそうですけど、なんとなく青々とした(緑色の)葉の方が生まれてくる幼虫にとって栄養価が高いような気がします。
母親オトシブミ♀は気にしないのですかね?
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3日後の揺籃 |
採集した揺籃aをそのまま容器に入れて室内飼育しているのですけど、この記事を執筆中の現在(7月上旬)も未だに成虫が羽化してきません。
揺籃が乾燥し過ぎないように注意したつもりですが、もっと水気を与えるべきだったかもしれません。
カビの発生が怖くて霧吹きなどはしませんでした。
揺籃を切って中を調べてみるべきか、もう少し静観すべきか、悩みどころです…。(※追記参照)
以下は、採集したルイスアシナガオトシブミ♀aの標本写真です。(掲載予定)
※【追記】
小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』p182-183によれば、
(オトシブミの)落ちた葉巻は地面の湿気を吸ってやわらかくなり、カビも生えやすくなっていきますが、中の幼虫にとっては快適な状態となります。
幼虫は、湿気で腐りかけた葉のほうがやわらかくて食べやすく、また消化しやすいので都合がいいようです。逆に乾燥しすぎると、葉巻の中で休眠に入ってしまい、再び雨などで湿り気を帯びるのを待つといわれています。
2012年4月上旬
雪が残る林道脇で2羽のヒガラ(Periparus ater insularis)が落葉樹(樹種不明)の枝で鳴き交わしながら採食していました。
枝先の冬芽を啄んでいるようです。
2016年5月中旬
山麓の急斜面に聳え立つキリの高木で、おそらくセイヨウミツバチ(Apis mellifera)と思われるワーカー♀が訪花していました。
蜂が小さ過ぎて、あまり自信がありません。
望遠レンズで撮った映像があまりにも一瞬なので、1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
後脚の花粉籠に花粉団子を付けていて、正当訪花で採餌しています。
2016年5月中旬
▼前回の記事
農道や畑で仲良く採食するキジ(野鳥)の♂♀カップル
農道や畑でキジ(Phasianus versicolor)♀と一緒に採食する♂を長時間撮影した映像素材の中から、ケンケーン♪と勇ましく鳴いているシーンだけを抜粋してみました。
♂は定期的に縄張り宣言で鳴きながらその場で激しく羽ばたきます(母衣打ち、ドラミング)。
同一個体♂の縄張り宣言を3回動画に記録した後は、最後に母衣打ちを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:54-)
枯れ草などが積まれて少しだけ周りより高くなっている堆肥をお立ち台にして鳴いています。
ハイスピード動画の部分が無音なのは、カメラの仕様です。
スローモーションで見ると、この♂は母衣打ちの際に7回羽ばたきました。
ちなみに4年前に撮ったキジ♂個体は鳴きながら4回、ドラミングは9回羽ばたきました。
▼関連記事
キジ♂の母衣打ち【ハイスピード動画】
母衣打ちの羽ばたき回数に個体差(癖?)があることが分かります。
♂の鳴き方にも微妙な個性がありそうな印象ですけど、声紋解析のサンプル数が未だ足りません。
キジ同士でもそれを聞き分けて遠くからでも互いに聴覚で個体識別しているのでしょう。
2016年5月中旬
里山に咲いたクマイチゴ低灌木の群落で春型のサカハチチョウ(Araschnia burejana)が訪花していました。
翅を半開きにして吸蜜しています。
2016年5月下旬・午前3:50
深夜未明(日の出の30分前)、1羽のアオサギ(Ardea cinerea jouyi)の夜間飛行を撮りました。
夜明け前の空は暗く、遠くに町の夜景が見えます。
ちなみに、この日の日の出時刻は4:20。
昼行性の鳥が夜は目が見えない(鳥目で飛べない)という俗説は正しくないことが分かります。
田園地帯の上空を飛びながらギャー、ギャー♪と絶叫する鳴き声で気づいて動画に撮り始めたのですけど、アオサギの鳴き声は録音されていませんでした。
映像の冒頭で聞こえるのは、近くの湿地帯でケンケーン♪と鳴くキジ♂の縄張り宣言♪です。
このアオサギは夜通しで漁をした後の朝帰りなのか、それとも早起きの個体が塒から餌場へ向かっているところなのでしょうか?
アオサギにGPSを装着して塒の位置を突き止めたいものです。
2016年5月中旬
民家の庭木として植えられたキングサリ(=キバナフジ)でハイイロヒゲナガハナバチ♀(Eucera sociabilis)と思われるハナバチが何匹も訪花していました。
後脚の花粉籠にオレンジ色の花粉団子を付けています。
たまに胸背に大きな花粉の塊を付けているのは、植物(キングサリ)側の蜂を利用した受粉戦略なのでしょう。
体全体が花粉で汚れて、まるで別種のように見える個体も居ました。
ホバリング(停空飛翔)中に口吻を長く伸ばしています。
採餌に疲れた♀がキングサリの木の下に生えた何か草の葉に止まって日光浴しながら翅を休めていました。
しばらくするとようやく化粧を始め、体に付着した花粉をきれいに落として後脚の花粉籠の花粉団子に追加してまとめます。
化粧を済ませ、採餌に戻りました。
▼関連記事
ヒレハリソウの花蜜を吸うハイイロヒゲナガハナバチ♀
2016年5月中旬
飼育容器内で1匹のヒダリマキマイマイ(Euhadra quaesita)が脱糞していました。
透明プラスチック容器越しにカラフルな糞が見えました。
糞のオレンジ色は、餌として与えたニンジン由来のカロチン色素です。
緑色は、餌として与えたイワガラミの葉に由来する葉緑素でしょう。
糞は腹足と容器壁面に挟まれた状態で、背側からは隠れて見えません。
ヒダリマキマイマイの排泄口は普通のカタツムリとは逆で、体の右側にある…はずです。
ヒダリマキマイマイが右に曲がりながら前進したら、体の左側にオレンジ色と緑色の混じった新鮮な糞が出現しました。
次に機会があれば、微速度撮影で排泄シーンを記録してみたいです。
カタツムリ関連の飼育本で見るようにもっとニョロニョロと細長い糞を想像していたのですが、ニンジンは消化が良すぎるのかもしれません。(食物繊維が少ない?)
2016年5月中旬
里山に生えたキリの高木でクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が訪花していました。
もしかするとオオマルハナバチ♀かもしれませんが、あいにく望遠レンズを外していたので一瞬の映像ではよく分かりませんね。
オリジナルの映像はあまりにも短か過ぎるので、1/4倍速のスローモーションに加工しました。
ここでしばらく粘って観察していても、クロマルハナバチが撮れたのはこの一瞬だけでした。
桐を訪花するクロマルハナバチの数が少ないのはクマバチとの採餌競争に負けているためでしょうか?
餌資源(蜜源)を巡る縄張り争いがあるのかな?
【追記】
▼翌年は別の場所でもっとしっかり動画に記録できました。
キリの花で採餌するクロマルハナバチ♀
▼前回の記事
早朝ハクセキレイ♂(野鳥)の群れが集団塒の電柱から飛び立つまで
ハクセキレイ♂(野鳥)集団塒の電柱:定点観察#7
2016年5月下旬・くもり・午後18:32〜19:04
18日ぶりの定点観察に来てみると、冬の間に落葉していたケヤキ並木にようやく再び青葉が茂り始めました。
夏の到来でハクセキレイ(Motacilla alba lugens)は集団塒を変えるでしょうか?
それまで塒として使われていた2本の電柱(S&N)の下を未だ明るいうちに歩くと、路上に落ちた糞の数が減っていました。
雨で路上の糞が洗い流されたのか、定期的に清掃車が来るのか、不明です。
それとも、最近になってハクセキレイが塒の位置を変えた証拠でしょうか?
黄昏が迫ると辺りからハクセキレイが集まりだして就塒が始まります。
ちなみに、この日の日の入り時刻は18:50。
これまでメインの集団塒として使っていた電柱Sに近い街路樹のケヤキの茂みにハクセキレイが飛び込み始めました。
新旧の集団塒(電柱S⇔ケヤキの木)間の距離は、目測で約10m。
ケヤキ並木の枝葉が電線に触れて断線事故を起こさないように、電力会社が樹冠をかなり強く剪定しています。
引っ越した結果、塒の地上からの高さはかなり低くなりました。
天敵の蛇や猫などに寝込みを襲われるリスクが増したはずなのに、ハクセキレイにとっては人工物の電柱よりもどうやら安心するらしい。
横の歩道を自転車や歩行者が通っても気にしません。
もっとも、忙しい現代人はハクセキレイの集団塒の存在に気づかずに暮らしています。
3年前に初めてハクセキレイの塒入りを観察したケヤキの木は、通りを挟んで反対側にありました。
もしかすると当時は観察が不十分で、メインの集団塒を見落とした可能性があります。
▼関連記事
街路樹に塒入りするハクセキレイの群れ(野鳥)
ケヤキの茂みに塒入りしても、明るいうちは塒内の場所取りを巡って小競り合いが繰り広げられています。(※追記2を参照)
枝の手前で見事なホバリング(停空飛翔)を披露したり、空中戦の追いかけっこを繰り広げたりしています。
暗くなるまでに塒入りをやり直す個体も多いです。
塒の位置が低くなったおかげで、ハクセキレイの背中の色が確認できて性別判定が可能になりました。
注目すべき点は、塒入りした個体の中に背中の色が薄い(灰色)♀タイプも少数ながら混じっていたことです。
これまでは背中が黒い♂ばかりが集まり、性比の極端な偏り(♂100%)が不思議でした。
繁殖を早々に終えた(または繁殖に失敗した)♀成鳥または巣立った若鳥が♂の集団塒に合流したようです。
ケヤキ樹冠で♀の上に居た♂が細い小枝を伝い歩きしながら♀に接近しているのは求愛なのかな?(自信なし)
もしそうだとすると、塒は集団お見合いの場としても機能していそうです。
ハクセキレイが繁殖期に入る前の集団塒の様子を観察する必要がありますね。
手前の電線に別の♂が飛来した途端に、♀の近くに居た♂が塒から飛び立ち、追い払いました。
また、懸案だった就塒前集合の場所を今回ようやく突き止めることが出来ました。
従来のメインの集団塒(電柱S)の下に営業している某外食店(平屋建て)の赤いトタン屋根です。
屋根のてっぺんの棟や雪止めに少し間隔を空けて何羽も止まっています。
屋根でも互いに近づき過ぎると争いの種になります。
屋根に就塒前集合しているのは♂ばかりでした。
この屋根から塒に使うケヤキの木が目の前に見えるので、ハクセキレイは真っ直ぐ飛んで行けばすぐに就塒可能です。
塒に使うケヤキの木の方へ少しずつトコトコ歩いて屋根を移動したり飛び去ったりしています。
周囲の電線に一旦止まってから塒入りする個体も居ましたが、就塒前集合と呼べるほどの数が同時に電線上で鈴なりに並ぶことはありませんでした。
暗くなるとハクセキレイが続々とケヤキの木に塒入りします。
ときどき旧集団塒の様子も観察してみました。
すると以前メインの塒だった電柱Sには少数ながらもハクセキレイが来ていました。
柱上変圧器の周りがやはり好まれています。
一方、以前サブの塒だった電柱Nには1羽も居ませんでした。
個体群の一部が惰性の習慣または単純な好みで電柱を塒に選んだのでしょうか?
塒入りの順番待ちをしているだけかもしれません。
それとも、群れ内の力関係で強い個体だけがケヤキの樹冠に引っ越すことができたのかな?
これを解明するにはハクセキレイ全個体に足環を付けて個体識別する必要がありますね。
実はこの大通りの裏手には静かな桜並木があり、素人目には絶好の塒を提供しています。
ハクセキレイが集団塒としてそちらを選択しないのは、辺りに外灯がなくて真っ暗だから不安なのでしょう。
一方、実際に使われている集団塒は郊外の大通り沿いにあります。
夜もヘッドライトを点灯した車が行き交い、水銀灯やナトリウムランプが一晩中辺りを照らしています。
気象条件:くもり。
午後18:50の測定値で気温25.1℃、湿度41%。
18.53には23.6℃、46%。
つづく→#8:集団塒の街路樹から深夜に飛んで逃げるハクセキレイ【野鳥:暗視映像】
【追記】
日本野鳥の会『セキレイのなかまたち(みる野鳥記)』p15によると、キセキレイでは抱卵行動がよく調べられているようです。(ハクセキレイとどのくらい共通するかどうかは不明)
卵は♂と♀が共同で(交代で:しぐま註)あたためます。抱卵時間は♀>♂。夜の間、卵をあたためるのは、いつも♀。♂はテリトリーの中の別の場所で眠っています。
※【追記2】
川内博『大都会を生きる野鳥たち』という、都市鳥についてまとめた良書の「繁華街に眠る鳥ハクセキレイ」と題した章を読むと、この小競り合いについて書かれていました。
より良い場所を狙って、後から舞い降りた個体が、先住者を追い出そうとする。「チチンチチン・チンチュチュン」と鳴きわめき、大きくくちばしを開いて互いに争う。暗い夜空をバックに、街灯に照らされ、蝶のように白いつばさがひらひらと舞う。ピークは15分程度で、その間はだいぶ騒がしい。 (p208より引用)
2016年5月中旬
里山の林床に生えたクマイチゴの低灌木でダイミョウセセリ(Daimio tethys)が訪花していました。
翅を水平に広げたまま吸蜜しています。
2016年5月下旬・午前4:41〜4:44
早朝、集合住宅の脇の電線に止まった1羽のキジバト(Streptopelia orientalis orienralis)がデデッポッポー♪とさえずっていました。
囀っていたのは冒頭の16秒間のみで、すぐに鳴き止んでしまいました。
雄のさえずり声はかなり特徴的である。 「デデッポッポー」と表現される。主に早朝にさえずる。さえずり声は個体によって音程などに違いがあり通常5音の発声であるが、4音でさえずる個体も確認される。(wikipediaより)
この映像から音声を抽出して、キジバト♂の囀りを声紋解析してみたのですが、スズメなど他の野鳥も同時に鳴いているためにピンクノイズが多くて綺麗なスペクトログラムは得られませんでした。
電線でキョロキョロしていたキジバト♂が急に飛び立つと真っ直ぐ飛んで、住宅街の少し離れた電線に止まり直しました。
そこには相方(おそらく番の相手の♀)が待っていて、♂はその左に止まりました。
日の出時刻(4:20)は過ぎているのに、車道のナトリウムランプは未だ点灯しています。
番に少し近づいてから撮影続行。
2羽とも向こうを向いて止まっています。
仲良く並んで各々が羽繕いする後ろ姿を撮りました。
番で相互羽繕いをするかと期待したものの、もっと互いに近寄らないと嘴が届きませんね。
♂はもう鳴いていません。
先程のさえずりは、♀を呼ぶ鳴き声(モーニングコール)だったのでしょうか?
私が更に近づくと警戒されたのか、♀、♂の順に相次いで飛び去りました。
2016年5月中旬
庭木として植えられたキングサリ(=キバナフジ)の花で送粉者の真打ち登場です。
キムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が何匹も訪花していました。
マメ科の蝶形花をこじ開けるスペシャリストと言えばクマバチです。
雄蜂♂は見かけず、♀ばかりでした。
後脚の花粉籠にうっすらとオレンジ色の花粉団子を付けた個体がいました。
つづく→ハイスピード動画
2016年5月中旬・午後15:32〜17:34
▼前回の記事
ハルニレの葉裏で交尾するルイスアシナガオトシブミ♀♂
里山に生えたハルニレの幼木で若葉を巻いて揺籃を作っているルイスアシナガオトシブミ(Henicolabus lewisii)♀が数匹いました。
その中の一匹♀bに注目して、微速度撮影で作業の一部始終を記録してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。
ただし、映像のラスト22秒間のみ5倍速に落としました。(♀が揺籃を切り落とし始め、受け止めて揺籃と♀bを採集するまで)
この日は風が絶え間なく吹く悪条件でしたので、マクロレンズによる接写は早々に断念しました。
山の陰に日が沈み夕方になると風が止んで助かりました。
余談ですが、野外に持ち運べる風除けのための衝立があれば虫を楽に接写できるのになーといつも夢想します。
巨大なテントを立てても良いのでしょうが、被写体が暗くなったり中が暑くなったりと、色々と副作用がありそうです。
大名行列のように助手を何人も引き連れて出かけ、被写体を取り囲むように円陣を組んで長時間立たせるのも現実的ではありませんね。
閑話休題。
ルイスアシナガオトシブミ♀bが加工に適したハルニレ葉の吟味を終え、葉の根本(短い葉柄の少し上)で両裁型の加工を始めました。
残った主脈に傷をつけると葉が垂れ下がりました。
体重を利用しているのでしょう。
次に♀bは垂れ下がった葉の下方に移動しました。
いつの間にか♂が来ていて、作業中の♀の背後からマウントしていました。
交尾器が結合しているのか、それとも交尾後ガードでマウントしているだけなのか、接写しない限り分かりませんね。
♂を背負ったまま♀はハルニレ葉裏の主脈に噛み傷をつけているようです。
動きがあまり無くて退屈ですが、♀は葉が適度に萎れるのを待っているのでしょう。
しばらくすると、別のライバル♂が上から登場しました。(@3:30)
♀をめぐって♂同士が闘争を始めました。
♀はその喧騒から離れて黙々と作業と続けます。
交尾後ガードしていた♂も含めて、♂は2匹とも落下してしまいました。(喧嘩両成敗@3:48)
『オトシブミハンドブック』p26-27によると、
(ルイスアシナガオトシブミの)♀をめぐる♂同士の闘争では、向かい合って長い前脚を振り上げ合ったり、レスリングのように組み合う行動が見られる。
興味深い♂の闘争シーンを微速度撮影ではなくリアルタイムのマクロ動画でじっくり記録したかったです。
残念ながら撮影中はこの闘争シーンに気づきませんでした。
おそらく他の虫のことに気を取られていたのだと思います。
独り残された♀は垂れ下がった葉の主脈を中心に葉裏が表になるように二つ折りにします。
そして葉先から巻き上げ始めました。
この辺りで♀は産卵したはずですが、接写しないと産卵行動の詳細が分かりませんね。
再び♂が飛来して辺りを徘徊し始めました。(@4:57)
揺籃製作中の♀をランダムウォークで探し当てると♂は直ちにマウントしました。(@5:15)
先程争っていた♂の一方が戻って来たのでしょうか。
♂を背負ったまま♀bは葉の巻き上げ作業を続けます。
オトシブミ♀が揺籃を巻く向きを考えて撮影アングルを決めないと、♀が作業する裏側ばかり撮ることになります。
画面に写っているのは、交尾後ガードで♀に付き添いウロウロと徘徊する♂ばかりかもしれません。
しかしフィールドの現場では他の茂みがあったり斜面だったりと諸事情により、三脚を立てて撮影できるアングルに制限があるので仕方がありません。
明らかに産卵が済んだ揺籃作りの後半になっても♂がしつこく交尾後ガードを続けている点が不思議に思いました。
素人目には♂はただ♀の作業を邪魔しているだけのように見えますし(お邪魔虫)、♂の立場で合理的に考えれば次の交尾相手の♀を探しに出かけた方が良さそうな気がします。
ライバル♂から♀を守るだけでなく、労働寄生種のオトシブミ♀に托卵されないように献身的に警護する意味もあるのでしょうか?
葉の巻き上げが完了するとようやく♂が交尾後ガードを止めて♀から離れました。
マウントを解除しても♂はしばらく揺籃上をウロウロ徘徊しています。
完成した揺籃を切り落とす最後の工程を微速度撮影と同時並行で別アングルでも撮影しました。
真下に受け皿を置いて、完成した揺籃を採集します。
揺籃がポトリと落ちる肝心の瞬間がピンぼけになってしまいました。
カメラのバッテリー交換に手間取ったせいです。
『オトシブミハンドブック』p26-27によれば、ルイスアシナガオトシブミの♀は完成した揺籃を切り落とす場合と切り落とさない場合があるらしい。
実際にこのハルニレ幼木で探すと、切り落とされず枝に残ったままの揺籃も見つけました。
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3日後の揺籃 |
採集した揺籃をそのまま容器に入れて室内飼育しているのですけど、この記事を執筆中の現在(7月上旬)も未だに成虫が羽化してきません。
揺籃が乾燥し過ぎないように注意したつもりですが、もっと水気を与えるべきだったかもしれません。
カビの発生が怖くて霧吹きなどはしませんでした。
揺籃を切って中を調べてみるべきか、もう少し静観すべきか、悩みます…。
以下は、採集したルイスアシナガオトシブミ♀bの標本写真です。(掲載予定)
2012年5月中旬
山間部の水入れ前の田んぼで、奥の農道を遊動する野生ニホンザル(Macaca fuscata)を見つけました。
二頭が相前後して左へ向かっています。
途中で立ち止まり、文字通り道草を食っています。
採食メニューは残念ながら遠過ぎて不明ですが、何やら草を毟っているように見えます。
二頭がすれ違う際にマウントするかと思いきや、毛繕いすらしませんでした。
最後は杉林の中へ消えました。
林縁の農道に水仙の群落があり黄色い花を咲かせていますが、通りすがりのニホンザルが猛毒の水仙の葉には見向きもせず採食しなかったのは流石です。
人間界ではニラと誤認して水仙の葉を食べてしまい中毒死する事故が毎年報じられています。
2016年5月中旬
里山の林縁でクマイチゴの幼木に咲いた白い花にシロオビクロナミシャク(Trichobaptria exsecuta exsecuta)が来ていました。
翅を開閉しながら吸蜜しています。
隣の葉に移動し、休みました。
(日光浴するほどの日差しはありません。)