2018/10/13

クリの樹皮を噛り幹を登るキマワリ



2018年7月下旬

農村部のクリ(栗)の大木でキマワリPlesiophthalmus nigrocyaneus)が幹に取り付いて樹皮をかじっていました。
やがて太い幹をどんどん登り降りし始めました。
あちこちで立ち止まっては樹皮を味見しています。
キマワリの性別判定法も産卵習性も知らないのですが、もしかするとこの個体は樹皮に穿孔してから産卵する♀なのかな?と妄想しました。
最後は蟻と出くわしてビックリ

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


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ミズナラの幹を徘徊するキマワリ


キマワリ@クリ幹+樹皮噛り
キマワリ@クリ幹+樹皮噛り

クリ実(未熟イガ)

古巣のある高圧線鉄塔で鳴き騒ぐハシブトガラスの家族群(野鳥)



2018年7月中旬

水辺に建てられた高圧線の鉄塔#26の天辺付近で、カラスがいつの間にか枯枝を組み合わせた巣を作り、今季の繁殖を既に終えたようです。
昨年はここには営巣せず、しかも今年の春(3月下旬)に見たときには造巣してなかったので、すっかり油断していました。

高圧線で1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がやかましく鳴き騒いでいました。
飛び立つと鉄塔に残された古巣の下の段の鉄骨に止まり、更に鳴き続けています。
そこへ更に2羽が相次いで飛来し合流しました。
ここで巣立った家族群(親鳥と幼鳥)なのでしょうか?
営巣期の状況を観察していないのですけど、警戒心の強いハシブトガラスがこんな丸見えの場所に巣を作るとは考えにくいです。
なんとなくハシボソガラスの古巣ではないかと私は思います。
(作りかけのまま使われずに放置された偽巣という可能性もあります。)
警戒心の強いハシブトガラスだからこそ、古巣をじっと見上げている私に対して警戒声を発しているのかな?

撮影後にこの群れが隣の鉄塔#27へ飛んで移動しました。
隣の鉄塔に巣はありません。(昨年は鉄塔#27でハシボソガラスが営巣していました。)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

今季は樹上に営巣したカラスの巣を重点的に観察していたので、ここは見回りしていませんでした。


ハシブトガラス(野鳥)@高圧線
ハシブトガラス3(野鳥)@高圧線鉄塔#26
カラスsp古巣(野鳥)@高圧線鉄塔#26
カラスsp古巣(野鳥)@高圧線鉄塔#26
カラスsp古巣(野鳥)@高圧線鉄塔#26

2018/10/12

コナラの樹液酒場で交尾するヨツボシケシキスイ♀♂と群がるムネアカオオアリ♀



2018年7月中旬・午後17:50

里山の林道を登っていると、発酵した樹液の濃密な匂いが漂ってきました。
帰路の下山中にも同じ場所で樹液臭がします。
辺りを見回すとスギが多くてそれ以外の樹種は少ないので、樹液臭の元を頑張って探してみることに。
すると案の定、林道の横の崖を少し登った所に生えているコナラの幹に樹液が滲んでいました。

薄暗くなってきた夕方の雑木林で、ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が5匹、コナラの樹液に群がっていました。
甘い樹液を飲み過ぎてアリの腹部の節間膜が伸び切っています。

アリの他には交尾中のヨツボシケシキスイLibrodor japonicus)♀♂ペアが居ました。
樹液を吸汁している♀の背後から♂がマウントして交尾しています。

ストロボを焚いて撮った写真を見返すと、ヨツボシケシキスイ以外にも、とても小さい謎の甲虫も何匹か樹液に来ていました。
マクロレンズで接写する気になれないほど薄暗かったので、そちらは追求せずにスルーしてしまいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ヨツボシケシキスイ♀♂交尾+ムネアカオオアリ♀5群れ@@コナラ樹液酒場
ヨツボシケシキスイ♀♂交尾+ムネアカオオアリ♀5群れ@@コナラ樹液酒場

コナラ葉裏(ミズナラと異なり葉柄が長い)

動画撮影後にヨツボシケシキスイの♀♂ペアを採集しました。
容器内で離れた際に、♂の伸ばした長い交尾器が見えました。
以下は標本の写真。

ムラサキツメクサに訪花するキアゲハの羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月下旬

用水路と田んぼに挟まれた農道に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落でキアゲハPapilio machaon hippocrates)が訪花していました。
意外にもこの組み合わせは初見です。
半開きの翅を小刻みに羽ばたかせながら吸蜜しています。
強い風に吹かれてムラサキツメクサの茎が大きくしなっても必死でしがみついています。

多数の個体が訪花していたのに、互いに出会っても求愛飛翔などは一度も見れませんでした。
たまに翅色の濃い個体が居たのは性差なのかな?と思い、帰宅後に保育社『標準原色図鑑全集1:蝶・蛾』でキアゲハを調べると、

春型では♂♀ほとんど差はないが、夏型では♀のはねの地色は汚黄色(♂は鮮黄色)で、強く黒いりん粉がひろがる。(p16より引用)

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。
飛び立つと強風に煽られながらも力強く羽ばたいています。

複数個体を撮影。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


キアゲハ@ムラサキツメクサ訪花吸蜜
キアゲハ@ムラサキツメクサ訪花吸蜜
キアゲハ@ムラサキツメクサ訪花吸蜜
キアゲハ@ムラサキツメクサ訪花吸蜜

2018/10/11

アカメガシワ雌株の花蜜を吸いに集まるクマバチ♀



2018年7月下旬

街中の庭に植栽された高木に見慣れない不思議な花が咲いていて、多数のキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花して賑やかに飛び回っていました。
どの個体を撮るべきか、目移りしてしまいます。
この日は望遠レンズを持ってきていなかったのが悔やまれます。

帰ってから樹種を調べると、どうやらアカメガシワのようです。
赤い葉柄が目を引きました。
花がほとんど散りかけの状態だと後に分かったのですが、そのせいで名前を調べるのに苦労しました。

訪花するクマバチ♀のどの個体を見ても後脚の花粉籠は空荷でした。
アカメガシワは雌雄異株で花弁が無いとのこと。
この木は雌株なので、花粉を出さない雌花しか咲きません。

クマバチ♀以外にも黒い小型の蜂が高速で飛び交っていたのですが、動きがあまりにも速過ぎて撮影中の私は気づきませんでした。
それでも撮れた動画をスロー再生すると、オオハキリバチ♂かもしれません。

おそらく花蜜が目当てというよりも、交尾相手を待ち伏せして探雌飛翔していたのでしょう。
来季はアカメガシワ雌花の咲き初めから定点観察して、訪花昆虫をしっかり観察するつもりです。
(秋になると実がなったので、どこか近くに雄株の木がありそうです。)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


クマバチ♀@アカメガシワ訪花吸蜜
クマバチ♀@アカメガシワ訪花吸蜜
クマバチ♀@アカメガシワ訪花吸蜜
クマバチ♀@アカメガシワ訪花吸蜜
クマバチ♀@アカメガシワ訪花吸蜜

アカメガシワ
アカメガシワ
アカメガシワ雌花
アカメガシワ葉
アカメガシワ葉
アカメガシワ葉
アカメガシワ幹

電波塔で鳴くノスリ♪(野鳥)



2018年7月下旬

田園地帯にそびえ立つ携帯電話基地局の鉄塔(電波塔)に1羽の猛禽類が止まっていました。
鉄塔の中段付近の鉄骨に止まって辺りをキョロキョロ見回しています。
ピーエ、ピーエ♪と甲高い声で断続的に鳴き続けています。
同定のために翼の下面を撮りたいのですが、一向に飛び立ってくれません。
胸の辺りの羽毛が白いので、この辺りで顔馴染みのノスリButeo japonicus)だと思います。

辺りでひっきりなしに鳴く蝉時雨(ミンミンゼミ♂など)がやかましいので、ノスリの鳴き声の声紋解析は諦めました。
この鳴き声は「囀りさえずり」なのでしょうか?
そしてノスリの場合もさえずるのは♂だけだとすれば、タイトルに「ノスリ♂」と書けるのですけど、どうなのでしょう?
つがいの♀を呼んでいるのかな?

実はつい先程まで鉄塔の天辺にカラスが止まっていたのを思い出してカメラを上にパンすると、いつの間にか居なくなっていました。
繁殖期が終わるとカラスは猛禽類に対してあまりモビング行動しなくなるのかな?

アングルを変えてノスリの後ろ姿も撮ってみました。
ズームアウトすると、鉄塔の背景に夏の青空と白い雲が美しいコントラストをなし、なかなかフォトジェニックでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
風で大きく揺れる杉の木が鉄塔の手前にあるせいで、いつものように手ブレ補正処理すると副作用が酷く、鉄骨がグニャグニャになるので今回は省きました。


ノスリ?(野鳥)@携帯電話基地局鉄塔
ノスリ?(野鳥)@携帯電話基地局鉄塔♪
ノスリ?(野鳥)@携帯電話基地局鉄塔・全景

2018/10/10

オオアワダチソウの花蜜を吸うカタグロチビドロバチ



2018年7月中旬

山麓の畑の隅に咲いたオオアワダチソウの群落でおそらくカタグロチビドロバチStenodynerus chinensis)と思われる小型の狩蜂が訪花していました。
性別は不明です(見分け方が分かりません)。
ちょっと吸蜜するとすぐに飛び去ってしまいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ニガナ?の茎を蹴倒して種子を食べるカワラヒワ(野鳥)



2018年7月下旬

民家の庭の片隅で種子食性のカワラヒワCarduelis sinica)がキク科の雑草の種子を食べていました。

画面の奥にはヒメジョオンの花の群落が見えます。
その手前で花が散った後の雑草(ヒメジョオンよりも背が高い)の種子をカワラヒワは集中的に食べています。
ひょろりとまっすぐ伸びた細い茎を足で押さえつけて倒伏させ、細長い種子を地面で喋んでいます。
地面から茎に跳びついて足で器用に蹴倒す技には感心させられました。
この植物の茎はあまりに細くて華奢なので、カワラヒワが茎に掴まりながら実を食べようとしても体重が支えきれず茎が折れてしまうでしょう。
種子に白い綿毛(冠毛)が見えるので、キク科ですね。
採食シーンをよく見ると、綿毛の部分は捨てて種子だけ食べているようにも見えます。
後半は茂みの奥で採食するようになり、撮影終了。

この日は望遠レンズを持ってきておらず、遠目からではカワラヒワが採食した草の種類が良く分かりません。
花が散った後でキク科の雑草をきっちり見分けるのは難しいかもしれません。
なんとなくニガナではないかと思うのですけど、どうでしょうか?
園芸植物や外来種だとすると、私にはお手上げです。
今思うと、私もこの種子を少し採取して家で栽培すれば、種類を同定できたはずですね。
そこまでやる発想も根性もありませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


カワラヒワ(野鳥)@ニガナ?種子採食
カワラヒワ(野鳥)@ニガナ?種子採食
カワラヒワ(野鳥)@ニガナ?種子採食

ニガナ?種子@群落

2018/10/09

ツルマサキの花蜜を吸うエントツドロバチ♀



2018年7月下旬

街中の神社の境内で神木(樹種不明:杉ではない針葉樹)に常緑の蔓植物ツルマサキが絡みついて、ホストの幹よりも太く育っていました。
巻きつかれたホストの木は横枝を過度に剪定されたこともあり枯死してしまい、今や全体がツルマサキに覆われるように乗っ取られてしまいました。(ツルマサキに絞め殺された後で邪魔な枝を切り落としたのかも)

そのツルマサキに地味な花が咲くと、エントツドロバチ♀(別名オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)が訪花・吸蜜していました。

他の狩蜂も訪花していたのですが、動きが素早くて撮り損ねてしまいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


エントツドロバチ♀@ツルマサキ訪花吸蜜

ツルマサキ花
ツルマサキ花
ツルマサキ花@蔓根元

シマヘビの日光浴と蛇行



2018年7月下旬・午後14:32

湿地帯の遊歩道でシマヘビElaphe quadrivirgata)が全身伸びた姿勢で日光浴していました。
舌は出し入れしていません。
私が動画を撮りながら近づくと、慌ててスルスルと蛇行し、道端の草むらへ逃げて行きました。
近くを流れる用水路の水音が聞こえます。

蛇の傍らに血痕(内臓?)が残っていたのは偶然でしょうか?
もしかすると、カエルや野ネズミなど獲物を捕食した後なのかもしれません。



▼関連記事
トノサマガエルを丸呑みするシマヘビ

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


シマヘビ@舗装道+日光浴

2018/10/08

ナミアゲハ♀♂の求愛飛翔【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月中旬・午後15:21〜15:28

快晴で猛暑の午後、アベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)の生垣でナミアゲハ♀(Papilio xuthus)を見つけました。
アベリアに訪花して吸蜜中なのかと思いきや、枝先の葉にしがみついて翅をゆるやかに開閉していました。
風が吹いて枝が激しく揺れても逃げません。

これ以降の展開で性別が重要になるので、先に説明しておきます。
wikipediaでは

ナミアゲハのオスメスは腹部先端の形で区別できるが、外見からはあまり判らない。
と書いてありますが、保育社『標準原色図鑑全集1:蝶・蛾』を紐解いてナミアゲハについて調べると、

雌雄の区別
春形では♂♀の差はほとんどないが、夏型では♂のはねの地色は白みが強く(♀は汚黄色)、後翅の前縁の黒色の丸い斑紋は強く鮮明(♀ではあっても不鮮明)、肛角部の赤い斑点がない(メスには春型の♂♀と同様にあらわれる)

変異
季節による大きさの差があり、夏型は春型に比べて大きく、はねの外縁に近い黒い帯は幅広くなる。
(p16より引用)
私のフィールドではキアゲハに比べてナミアゲハはレアなこともあり、未だ細かい点まで見分けられていません。
とりあえず、後翅肛角部の赤い斑点の有無で性別判定することにして話を進めます。

性別判定の説明はこのぐらいにして、動画の説明を続けます。
アベリアの枝先で翅を全開にして休んでいた♀の背後からナミアゲハ♂が飛来しました。
♀も枝先に止まったまま翅を羽ばたかせてから、飛び立ちました。
生け垣の奥でナミアゲハの♀♂ペアによる乱舞のような求愛飛翔が始まりました。
横の開けた空間(芝生の低空)で、もつれ合うように飛び続けます。
おそらく♂が♀に着陸を促しているのでしょう。

めくるめく乱舞をじっくり観察するために、私も慌てて240-fpsのハイスピード動画に切り替えてみました。(@1:41〜4:04)
♀♂は肛角部の赤い斑点の有無で見分けることにします。

スローモーションで見ると、逃げる♀を♂が必死で追いかけているのではありませんでした。
♂が♀の直前をしばらく飛び、急に羽ばたきを止めて地面に急降下する、という運動を繰り返しています。
やはり♂が♀を下へ下へ誘導しているようです。
♂は♀に翅の斑紋を見せつけ、性フェロモンを振りまいているのかな?
熱烈な求愛を受けてもなぜか♀はその誘いに乗らず、ホバリング(停空飛翔)したり上に飛んだりしています。
ホバリングの際は胴体をほぼ垂直に立て力強く羽ばたいています。
結局2頭は空高く舞い上がり、ペアを解消した模様です。
1頭は行方を見失ってしまいました。
芝生のエリアに残った個体(性別不明)は低空でアベリアの生け垣の方へ飛び去りました。

しばらくしてから私もアベリアの生垣に戻ると、先程と同じように2頭の♂が枝先に互いに離れて停まっていました。
ここは集団お見合いの待ち合わせ場所になっているのかもしれません。


資源とは特に関係の無い場所に集まった雄が、そこで小さな縄張りを作り、求愛のディスプレイを行う。このような行動をする雄たちを「レック」という。レックが求愛のディスプレイで自分をアピールし、雌を呼び寄せて交尾をするというのが「レック型一夫多妻」である。(wikipediaより引用)
♂が縄張りを構えてアベリアに訪花する♀を待ち構えているのだとすれば、♂同士の縄張り争いが起こらないのが不思議です。
アベリアの花で吸蜜するナミアゲハも見ていません。
私の知る限り、アベリアの白い花はアゲハチョウが好む色では無いように思います。
スイカズラ科のアベリアはナミアゲハ幼虫の食草(ミカン科)ではありませんから、ここで成虫が一斉に羽化したとは考えられません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』によると、ナミアゲハの

交尾飛翔型は←♀+♂。(p138より)


交尾したまま飛翔する場合は、♂、♀のどちらか一方が飛び、他方はぶら下がっている。♂も♀も翅を使って同時に飛ぶことはない。このように交尾しながら飛ぶときに♂が飛ぶか、♀が飛ぶかは種によって一定していて、属や科についても通則がある。(中略)ここで←♀+♂の記号は、♀が飛翔し、♂は交尾したまま♀に連行され飛翔しないことを示す。 (p88より引用)



アゲハの追飛(交尾拒否)←♀+♂[1970年9月27日]
追飛の形式は種によっていくらか異なるが、空高く舞いあがるという共通した性質が認められる。それは突然にあらわれる動く物体に驚いた個体に急に負の走地性(正の走光性とする説もある)があらわれるためではないかとも思われる (p86より引用)



今回、求愛が成就して交尾成立するまで見届けられなかったのは残念でした。
しかし鈴木紀之『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く (中公新書)』を読むと、しつこく求愛してくる♂をいちいち断ったり上手くあしらったりしなければいけない♀の暮らしも大変そうです。

♂はたくさんの♀と交尾したいがゆえに、♀にとってコストになるような行為さえも厭わないことが知られています。モンキチョウやアゲハチョウの仲間では、よく一匹の(もしくはそれ以上の数の)♂が♀の周りにくるくるとまとわりついて飛んでいるのが観察されます。これは陽光の下で起きている、♂と♀の微笑ましい求愛の光景ではありません。たいていの場合♀はすでに交尾をしており、愛情に必要な量の精子を体内に蓄えています。そのため、これ以上交尾する必要はなく、それよりはむしろ、捕食者から身を守りつつ、栄養をたくさん摂取して、産卵に備えるほうが重要です。ところが、♂は交尾できるかもしれないというわずかな望みにかけて、♀に「ちょっかい」を出し続けます。こうした♂の利己的な行動は♀にとってははっきり言って邪魔なだけです。♂が♀にもたらすこのような行動は、進化学の専門用語として「セクシャル・ハラスメント」と呼ばれており、♂は不要どころか、繁殖の邪魔をする存在にまでなってしまったのです。 (p179-180より引用)





【追記】
『蝶の自然史―行動と生態の進化学』という本の第2章に収録された山下恵子『オスはどうやってメスを探すのか――ナミアゲハのオスの配偶行動を解発する 視覚的信号の定量的解析』によると、
チョウの♂が♀を探しだす方法には、静止している♂が飛来してくる♀を待つ見張り型と、♂が飛翔し静止している♀を探す探索型が知られている。(p17より引用)
 (ナミ)アゲハの♂は、午前中、♀を探してカラタチやミカンといった食樹のまわりをたんねんに飛んでいる。(p21より引用)




ナミアゲハ♀@アベリア枝先
ナミアゲハ♀@アベリア枝先
ナミアゲハ♂@アベリア枝先(直後に飛び立つと、後翅表の肛角部に赤点無し)

ソバ畑から逃走するキジ♂(野鳥)



2018年7月下旬

耕して畝が作られたばかりの広い畑でキジ♂(Phasianus versicolor)とバッタリ遭遇しました。
おそらく種まきした直後の畑で採食中だったのでしょう。
一緒に居たキジバトは、私がカメラを向ける間もなく、慌てふためいて飛んで逃げてしまいました。
このキジ個体がほっそりした体型なのは、若鳥♂なのかな?
繁殖期を終えた夏の羽毛は量が少ないのでしょうか?

歩き去る途中で地面を喋みましたが、手前の草が邪魔でよく見えません。
私を警戒したキジ♂は走って逃げ出すと、畑に隣接する草むらに逃げ込みました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

撮影時点では畑を耕した直後で、何が生えてくるのか不明でした。
9月になってから現場を再訪すると、一面のソバ畑になっていました。


キジ♂(野鳥)@ソバ畑

2018/10/07

止まり木から飛び立つ未成熟オオシオカラトンボ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月中旬

山麓の用水路沿いでオオシオカラトンボOrthetrum triangulare melania)の未成熟♂が枯れた小枝の先に止まっていました。
翅を深く下げて休息中です。
頭部をグリグリ動かして、大きな複眼で辺りを油断なく見回しています。
体色は♀と同じですが、腹端が大きく膨らんでいないので未成熟♂ですね。

▼関連記事
飛べ!オオシオカラトンボ♂【HD動画&ハイスピード動画】


飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
後半は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
物を投げつけて飛び立たせたら、同じ小枝には戻って来ませんでした。
離陸直後に脚を胴体に引き付けて畳み、空気抵抗を減らしています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。





電線で酷暑に喘ぐスズメスズメ(野鳥)



2018年7月下旬・午後16:51

街中の電線にスズメPasser montanus)の成鳥が一羽で止まっていました。
そろそろ夕方なのに気温35℃と猛暑の日でした。
このスズメは嘴を開けて暑さに喘いでいるように見えました。
鳥類は暑い時にどうやって体温調節しているのでしょう。
金子凱彦『銀座のツバメ』によると、

犬と同じように鳥類には発汗作用がなく、口を開けて暑さをしのぐ。 (p78より引用)


我慢できなければ日陰に移動したり水浴するのかな?
最後は電線からどこかに飛び去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


▼関連記事(3年前に撮影。気温データなし)
スズメ(野鳥)の耐暑法?



【追記】
酒井仙吉『哺乳類誕生 乳の獲得と進化の謎:驚異の器官がうまれるまで』という本(ブルーバックス)によると、
 体温が限度を超えると脳の機能は著しく低下する。体温を下げる機能として哺乳類には汗腺がある。ところが鳥類は呼吸器と気嚢からの放熱に頼る。(中略)鳥類は体温が上昇すると、あえぎ呼吸(パンティング)によて気道と口から放熱をさかんにする。 (p144〜145より引用)


スズメ(野鳥)@酷暑:電線

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