2021/01/09

メドハギの花で採餌するミヤママルハナバチ♀

 

2020年9月下旬・午後13:40頃・晴れ 

里山の林道に沿って咲いたメドハギの群落でミヤママルハナバチBombus honshuensis honshuensis)のワーカー♀が訪花していました。(標高544m地点) 
黄色いマルハナバチなので一瞬クロマルハナバチの雄蜂♂かと思いきや、後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けていたので、採餌中のワーカー♀と分かりました。 
メドハギの蝶形花に正当訪花すると、長い口吻を伸ばして吸蜜しています。  
メドハギの白い花弁に紫色のハニーガイド(蜜標)があり、マルハナバチはそれを目印にして訪花するのでしょう。 
 『岩波生物学辞典第4版』によると、
ハニーガイド [英honey guide 独Saftmal] 【同】蜜標,蜜しるべ 多くの花に見られる,蜜の分泌部位を目立たせるような特別な色彩配置.他と異なる色や花被にある斑点や模様があたかも分泌部位を指示するような配列が見られる.これが訪花昆虫が蜜に到達するのを助ける機能を果していることは,実験的にも証明されている.なお,植物種によっては,ハニーガイドが可視部の色でなく紫外線反射率のちがいによって生じている場合もあり,また局部的な匂いによるハニーガイドもありうると考えられる.
ミヤママルハナバチとメドハギの組み合わせは初見です。 
私のフィールドで、ミヤママルハナバチは滅多に出会えないレア種です。 
きちんと調べた訳ではありませんが、生息地が山地の中でも一部に限局されてる印象です。
不思議なことに、この日の山行では他の種類のマルハナバチを全く見かけませんでした。

複数個体(2匹?)を撮影。 
あまりにも忙しなく飛び回るので、試しにスポーツモードで撮影してみました。 
ピントを合わせる間もなく次の花へ飛び去ってしまうため、蜂を追いかけながらの撮影には難儀しました。 
砂利道に沿って自生するメドハギ群落の中で、ミヤママルハナバチ♀の訪花ルートに規則性は感じられませんでした。 
素人考えでは、群落の端から順に訪花した方が効率良く(無駄なく)蜜源を巡回できると思うのですけど、マルハナバチの流儀は違うようです。  


マミガサキアザミの花蜜を吸うイカリモンガ(蛾)

 

2020年9月下旬・午前11:10頃・晴れ 

里山の林道沿いに咲いたアザミの群落でイカリモンガPterodecta felderi)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
 翅をしっかり閉じたまま黒い口吻を伸ばして吸蜜しています。 
干からびかけた(萎れかけた、枯れかけた)花なのに、長い時間かけて、夢中で花蜜を吸っていました。 

なかなか飛び立つ気配がないので痺れを切らした私は、指で軽く蛾に触れて飛び立たせました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
羽ばたくと初めて翅表の赤い斑紋がちらっと見えました。
このアザミは、山形県特産のマミガサキアザミという種類だと思います。 
花の総苞に触れても粘り気がありませんでした。

2021/01/08

樹洞内の巣が壊れても居残るモンスズメバチ♀♂と居候ゴキブリの群れ【暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#12

▼前回の記事 
モンスズメバチの巣内で羽化した雄蜂♂、居候ゴキブリ・ゲジの跳梁跋扈【暗視映像】

2020年9月中旬・午前1:30頃・くもり(雨上がりでやや蒸し暑い)  

6日ぶりに定点観察にやって来ました。 
いつものように赤外線の暗視カメラを樹洞内にそっと差し込んでいる途中で、珍しく中からブーン♪という重低音の羽音が聞こえたので焦りました。 
寝ていたモンスズメバチVespa crabro)が警戒したのかな?  
気温は高くなく、扇風行動もしていませんでした。  

巣内を観察すると、モンスズメバチ成虫(計10匹?)の性比に圧倒的な偏りがありました。(♂>>♀) 
雄蜂♂の数が増えていて、♀(ワーカーまたは新女王)よりも数で圧倒しています。  

前回と比べて巣盤の形状が激変していて、育房が全く見えません。 
遂に私が恐れていた事態が起こりました。 
昼間にモンスズメバチの巣が誰かに破壊・駆除されてしまい、残党の成虫が巣の残骸に居残っているだけのようです。 
難を逃れたワーカー♀が健気にも新たに形成された外皮で巣を修復しようと試みているのでしょうか? 
しかし育房内で育つ幼虫が居ないと在巣の成虫は栄養交換できずに飢えてしまうことになります。  
駆除されたとしたら、樹洞の底に巣の破片が散乱していたはずですが、迂闊にもこの日の私は気づきませんでした。
私が初めに聞いた謎の羽音も、最近昼間に巣を駆除されたモンスズメバチが樹洞への侵入者に対して敏感になり、警戒の羽音を立てたのかもしれません。

モンスズメバチのワーカー♀が減少したせいで、巣の防衛力が明らかに低下しています。 
その結果、樹洞内に居候する多数のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)が傍若無人に徘徊するようになりました。 
モンスズメバチがゴキブリを攻撃したり巣から追い払ったりする行動は皆無でした。 
その結果、居候ゴキブリによる巣の食害を抑止できなくなったのでしょうか? 
しかし、ゴキブリの口元にカメラをズームインしても巣を食べているかどうか定かではありません。 
パリパリ♪という咀嚼音も聞こえませんでした。 

樹洞内に隠しカメラを据え付けて微速度撮影(タイムラプス)すれば、モンスズメバチの巣に一体何が起こったか一部始終を記録できたはずです。 

ゲジらしき多足類も樹洞内を徘徊していました。(@2:11。巣の外側:4時の位置) 
モンスズメバチの巣の方へ近づいていたのに、撮影中は気づかず別の場所にズームインしてしまいました。 

赤外線カメラのモノクロ映像では巣の破壊状況がよく分からないので、白色光でも撮影しようか迷いました。 
しかし、スズメバチ用の防護服を着用していないので自重しました。(安全第一) 
白色光の照明で照らした途端に夜行性のゴキブリは散り散りに逃げ出して、撮れなさそうな気がします。 

撮影後に赤外線のデジタル温度計で測定すると、 樹洞内壁(巣門)の表面温度は20.8℃。 
巣内に残った外皮の表面温度は20.7℃。 
営巣木の周囲の外気温は21.0℃、湿度80%。 



カメバヒキオコシの花蜜を吸うヒメクロホウジャク(蛾)のホバリング【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年9月下旬・午後14:40頃・くもり 

里山の林道沿いにひっそりと咲いたカメバヒキオコシの群落で蛾がホバリング(停空飛翔)しながら訪花していました。 
胸背が緑色で初めて見るスズメガ科です。 
調べてみるとヒメクロホウジャクMacroglossum bombylans)と分かりました。 

激しく羽ばたき続ける蛾の羽音は聞き取れませんでした。 
近くの樹上でカケスがずっと警戒声♪を発しています。 

ヒメクロホウジャクの吸蜜ホバリングを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:21〜) 
スローモーションで見て初めて分かることがたくさんありました。  
停飛中は脚を全て畳んで体に引き付け、空気抵抗を減らしています。 
激しく羽ばたくホバリング中に頭部は空中で完全に静止している…という訳ではなく、上下に少し振動していました。 

口吻の先端部が橙色の花粉で薄っすらと汚れていました。 
口吻を差し込む細い花筒に飛びながらどうやって狙いを定めるのでしょうか? 
口吻を一発では花筒に挿入できず、慎重に何度も試行錯誤していました。 
視覚に頼るだけでなく、長い口吻自体に触覚の感覚器官が発達していそうな気がします。 
口吻をぐっと花筒の奥に押し込むと、カメバヒキオコシの茎全体が押されて少し傾きます。
吸蜜している花筒に羽ばたきの振動が伝わって震えています。 
少し離れた次の花へ飛んで移動する際は、口吻の先端をクルクルとゼンマイ状に丸めて飛んでいました。 

この群落で結構長い時間、訪花してくれました。 
現場の標高は約310m地点。 
夕方には未だ早いのですが、曇り空の山中はかなり薄暗い環境でした。
ヒメクロホウジャクの活動は薄暮性なのでしょう。


2021/01/07

キセキレイ♀とセグロセキレイ♂が朝の河原で採食(野鳥)

 

2020年8月下旬・午前6:55頃・晴れ 

朝の河原で囀りながら採食(虫の捕食)するセグロセキレイ♂(Motacilla grandis)を撮っていると、近くにキセキレイ♀(Motacilla cinerea)も居ました。 
喉元が黒くないので、夏羽の♀と分かります。 
岩だらけの河原をどんどん右に歩きながら餌を探しています。  

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。  

今回興味深く思ったのは、2種のセキレイが互いに争わなかったことです。 
特にセグロセキレイ♂は囀りさえずりの鳴き声を発して朝の縄張り宣言をしていたのに、異種のキセキレイ♀に対して寛容だったことはとても意外でした。 
縄張り争いは、♂同士、♀同士で戦うのかな?(♂は異種の♀に対しては寛容なのかな?)
まさかこの異種の♀♂がつがいを形成しているのでしょうか?!  
そもそもキセキレイをこんな中流域の河原で見かけるのは珍しいです。
(セグロセキレイは)ハクセキレイやキセキレイとは概ね棲み分けている。(中略)縄張り意識がとても強く、同種のほかハクセキレイ、キセキレイと生活圏が競合する場合には追いかけ回して縄張り争いをする様子がよく観察される。なお、他のセキレイと競合した場合に本種が強い傾向がある。(wikipediaより引用)
(キセキレイの)雄は特に縄張り意識が強く、同種およびセグロセキレイ、ハクセキレイと追いかけ回して縄張り争いをする様子もよく観察される。(wikipediaより引用)
キセキレイ♀が右へ右へどんどん逃げて行ったのは、対岸から撮影する私を警戒したのかと初めは思いました。 
あるいは、キセキレイ♀はセグロセキレイ♂に遠慮して餌場をさり気なく譲ったのかもしれません。 

実は対岸の河原でセキレイ類の縄張り争い(空中戦)もちらっと見かけたのですが、動画に撮り損ねました。 

ストーリーを説明しやすいように、記事を公開する順序を逆にしました。 

早朝の観察こそがバードウォッチングの王道だと改めて実感しました。 
様々なドラマが巻き起こり、まさに早起きは三文の得。

イチモンジセセリの求愛と交尾拒否@ニラ花

 

2020年9月中旬・午後15:00頃・くもり 

川沿いの土手に咲いていたニラの群落で訪花中のイチモンジセセリ♀(Parnara guttata)に同種の♂が背後からしつこくつきまとって求愛していました。 
口吻を伸ばしてニラの花蜜を吸っている♀のすぐ背後に♂が密着するように止まっていて、♀に交尾を迫っています。
一方、吸蜜中の♀はしっかり閉じた翅を小刻みに高速で羽ばたいていました。 
これは飛び立つ前の準備運動というよりも、交尾拒否の意思表示だと思います。 
おそらく♀は既に交尾を済ませていて、「色気より食い気」の状態なのでしょう。  
細かく震わせている♀の翅に♂は右触角で触れていました。 
ニラの茎にしがみついた♂もゼンマイ状の口吻を軽く曲げ伸ばししていました。 
ときどき♂は飛び立つと♀に背後から頭突きでぶつかり、文字通り求愛のアタックを繰り返しています。 
私の想像ですが、♂は♀のしっかり閉じた翅を背後から頭でこじ開けて交尾体勢に入りたいのかもしれません。 
♂のしつこいセクハラに嫌気が差した♀はあちこちに飛んで逃げ、近くのニラの花序に止まり直しました。 
それでも♂は♀を密着マークし続けます。 

後半になると♀は吸蜜を止めてしまいました。 
♂にしつこくセクハラされてる間、♀は吸蜜行動や産卵行動が邪魔されたり(機会損失)、目立って天敵に捕食されるリスクが高まったりするので、性的対立は深刻な問題です。 
性的対立の解消法(妥協点)は生物の種類によって異なるので、それを調べるのが面白いところです。 
やがて求愛を諦めた♂は潔く紳士的に飛び去りました。 

そのままカメラを左にパンして、振られたイチモンジセセリ♂がニラに吸蜜して栄養補給するシーンを撮影。(@1:42〜) 
…したつもりだったのですが、映像をよくよく見直すと、同一個体の♂どころか別種のオオチャバネセセリZinaida pellucida)でした。
(ストーリーがブレるので編集でカットすべきでしたね)

残念ながら私は未だイチモンジセセリの求愛が成就して交尾が成立する過程を観察できていません。

2021/01/06

ミゾソバの花を舐めるアシブトハナアブ♂:吸蜜・身繕い・飛び立ち【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年9月下旬・午後14:45頃・晴れ 

山麓の農村部の道端に咲いたミゾソバの群落でハナアブの仲間が訪花していました。 
口吻を伸縮させて花粉や花蜜を舐めています。  
体に白い花粉が付着するので、食事の合間に身繕い。
種数が膨大なハナアブ類は名前を調べるのが億劫で敬遠していました。 
今回はよく見かける種類なので重い腰を上げて調べてみると、アシブトハナアブ♂(Helophilus eristaloideus)と判明。 
黒い後脚の太い腿節が名前の由来です。  
苦手意識を払拭するには、普通種でも1種ずつ地道に覚えていくしかありません。

ミゾソバの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:08〜) 
隣の花へは飛ばずに歩いて移動しています。 

少し離れた場所で2匹を撮影。

【追記】
アシブトハナアブの後脚の腿節が太いという形質は、♂だけの性的二型ではありません。(♀も太いらしい)
交尾の際に♀を♂が後脚でがっちり捕まえて離さないようにしたり、♀を巡る闘争で♂同士が蹴り合いをしたりするのか、配偶行動をじっくり観察してみたいものです。
参考:石井誠『昆虫のすごい瞬間図鑑: 一度は見ておきたい!公園や雑木林で探せる命の躍動シーン』p142

アレチウリの花で採餌するニホンミツバチ♀

 

2020年9月中旬・午後16:10頃・くもり 

川沿いの土手に蔓延るアレチウリの群落でニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。 
吸蜜する蜂の後脚を見ると、花粉籠は空荷でした。  

この組み合わせは意外にもこれまであまり撮影していませんでした。

▼関連記事(7年前の撮影) 

2021/01/05

アケビの蔓棚を守る鳥よけ棒(螺旋オブジェ)防鳥グッズ

 

2020年7月中旬・午後15:10頃・くもり 

民家の庭でアケビの蔓棚に見慣れない防鳥グッズがぶら下がっていました。 
蔓棚で育つアケビの未熟果を野鳥や動物の食害から守るための工夫なのでしょう。  
プラスチック製の赤くて細長い螺旋状のオブジェが糸で吊り下げられていて、風が吹くとクルクルと回ります。 
調べてみると、「鳥よけ棒」という名前で色とりどりの商品が売られていました。 
鳥よけ棒の両側には、片面が銀色に光るCD-ROMを糸でぶら下げていました。 
回転の仕方が鳥よけ棒とCDは違うので、併用することで鳥に慣れが生じないようにする効果がありそうです。 

※ 動画編集時のミスで無音になってしまいました。 
風の音が無いと雰囲気が伝わりませんね。 


しかし、そもそもアケビの実を食害する野鳥がいるのでしょうか? 
候補としてはヒヨドリやカラスなどが考えられそうです。 
アケビの実は熟しても赤く色づかないので、種子散布に鳥はあまり当てにしていない気がします。 
むしろ哺乳類に種子散布してもらいたいはずです。 

 『種子散布:助け合いの進化論〈2〉動物たちがつくる森』によると、
種子がヌルヌルした甘い果実に包まれているのは、歯のある哺乳類に食べられても種子が破壊されずに丸呑みしてもらうための適応。(p111より引用)
これはまさにアケビに当てはまる特徴です。
タヌキやハクビシンなどの野生動物が民家の庭に忍び込んでアケビの実を盗み食いするのかな? 
さすがにニホンザルはこんな街なかに出没しないはずです。

  wikipediaでは、アケビ果実の種子散布戦略について次のように説明しています。
成熟した果実の果皮は心皮の合着線で縦に裂開し、内部に乳白色で柔らかい果肉(胎座)と、そこに埋もれた多数の黒い粒状の種子を裸出する[7]。種子は黒色の径5 - 6ミリメートル (mm) の偏楕円形で、エライオソームがつく[6]。この胎座の部分は甘くて可食でき[7]、様々な鳥類や哺乳類に食べられて[6]、種子散布に寄与する。
また、アケビの種子の周囲にエライオソームが付いていることから、アリによっても種子散布されると考えられます。 

アケビを巡る生態学だけでも今後撮影してみたい多くの題材があります。  

もしかすると、鳥よけ棒やCDは必ずしも蔓棚のアケビ果実を食害から守るために設置したのではなくて、周囲の家庭菜園の作物を守るためかもしれません。


【追記】
飯島正広『野生動物撮影ガイドブック: 機材選びから撮影テクニック、動物の探し方まで』というハウツー本を読んでいたら、アケビの実を食べに来たらしいヤマネの見事な生態写真がp119に掲載されていました。
ただし今回の撮影現場は郊外の住宅地なので、ヤマネが生息しているとは考えにくいです。


交尾中のミドリヒョウモン♀♂

 

2020年9月中旬・午後15:25頃・くもり 

私が河川敷を歩いていると、交尾中のミドリヒョウモン♀♂(Argynnis paphia)が下草から?飛び立ち、堤防路の横に立つニセアカシア(別名ハリエンジュ)の枝先の葉に止まりました。 
互いに逆向きの交尾姿勢で、左の個体が♂、右が♀です。  

交尾器を連結したままの交尾飛翔を1/5倍速のスローモーションで見ると、左の♂が主導権を握り♀を引っ張って行ったようです。 
古い資料(1972)ですが、保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』には「交尾中における飛翔習性」と題した章があります(p88〜89)。
(ミドリヒョウモンの)交尾飛翔は←♂+♀、←♀+♂の両型。(p214より引用)
この表記に従うと、今回の事例では♂が飛翔し♀は交尾したまま♂に連行され飛翔しなかったので、←♂+♀となります。  

ニセアカシアの葉上で交尾を続けながら翅を緩やかに開閉するL♂に対して、R♀は翅を閉じたままおとなしく静止しています。 
たまに♀も翅を開閉したのは、風で枝が揺れた時に羽ばたいてバランスを保つためのように思いました。  

交尾が完了して♀♂ペアが別れるまで長撮りしても良かったのですが、いまにも雨が降り出しそうなので諦めました。 
直後に小雨が降り始めた中、同じ河川敷の数百メートル離れた場所で、別のミドリヒョウモン♀♂ペアの交尾飛翔も目撃しました。  

ミドリヒョウモンの求愛行動と交尾拒否、そして交尾飛翔はたまに観察できるものの、依然として求愛が成就して交尾に移行する肝心の瞬間を見届けることができていません。
▼関連記事(6、10年前の撮影) 
ミドリヒョウモンの交尾 
ミドリヒョウモン♀♂の交尾 
交尾中に連結飛翔するミドリヒョウモン♀♂

2021/01/04

ヒメキンギョソウ(リナリア)の花蜜を吸うオオハナアブ♀

 

2020年9月下旬・午前9:45頃・晴れ 

民家の庭先に咲いた黄色いヒメキンギョソウ(リナリア)オオハナアブ♀(Phytomia zonata)が訪花していました。 
口吻を伸縮させて花粉や花蜜を舐めています。

アレチウリの花で休み、土手を飛び回るキアゲハ♀

 

2020年9月中旬・午後15:30頃・くもり 

河原の土手に蔓延るアレチウリの群落でキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
いそいそと口吻にズームインしてみたら、残念ながら吸蜜はしておらず、ただの休息でした。 
翅はやや半開きのまま静止しています。 
強い風にアレチウリの蔓が煽られても、キアゲハ♀は花にしがみついたままです。 

しばらくすると突然、自発的に飛び立ちました。 
クズなど雑草にびっしり覆われた土手の上を低空で行ったり来たり飛び回ります。 
産卵するために食草のセリ科植物を探索しているのでしょう。 
しかし私はこの土手でセリ科植物を見た記憶がありません。  
アキノノゲシやイネ科雑草の穂先に一瞬だけ止まったものの、すぐに忙しなく飛び立ちました。 
私も右往左往しながら撮影しました。 
最後は飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでご覧ください。

2021/01/03

アオサギ若鳥が朝の川岸で羽繕い・徘徊・脱糞・飛翔(野鳥)

 

2020年8月下旬・午前7:10〜7:35・晴れ 

アオサギArdea cinerea jouyi)の若鳥を朝の川岸で見つけました。 
ブラインドの陰から隠し撮りしているのにアオサギは警戒心がとても強く、こちらの様子を用心深く窺っています。 
少し羽繕いしたものの、すぐに茂みの陰に引っ込んでしまいました。 
アオサギは夜どこで寝ていたのでしょう? 
近くの河畔林にねぐらがありそうですけど、見つけられませんでした。 

しばらくすると再びアオサギ若鳥が用心深く姿を現し、川岸をゆっくり歩いて行きます。 
少し脚を屈めながら白い液状便を排泄しました。 
体重を軽量化すると、次は大きく屈んだ反動でジャンプしながら飛び立ちました。 
排便および飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

川を飛び越えると、対岸から川に倒れたオニグルミ倒木の枝に着陸しました。 
カメラをズームアウトすると、背後のニセアカシア樹冠で別個体のアオサギ成鳥が朝日を浴びながら羽繕いしていました。

 

キボシトックリバチの古い泥巣を見つけた!

 

2020年9月中旬・午後15:40頃・くもり 

河川敷の遊歩道と堤防の間に生えたメドハギの群落を通り過ぎようとした私は何か違和感を覚えました。 
茎の膨らみは虫こぶ(虫えい)かと思いきや、引き返してよく見るとドロバチ科の作った泥巣が茎に作られていました。 
3つの徳利が並んでいます。 
同じ母蜂が続けて造巣したのでしょう。
残念ながら成虫が羽化後の古巣で、独房には全て大きな穴が破られていました。 
母蜂が封じた徳利状の出入り口から成虫が羽化する訳ではないのですね。 
(トックリバチの成虫ではなく寄生者が羽化した脱出孔かもしれません。) 
『ファーブル写真昆虫記2:つぼをつくるかりうど』という本のp17には、
つぼのかべに穴をあけて、顔をのぞかせたキアシトックリバチの成虫。つぼからでた成虫は、すぐにとびたつ
と題した見事な生態写真が掲載されていました。 
鳥が泥巣を嘴でつついて破壊して蜂の子や貯食物を捕食したという可能性もありますかね?

 

メドハギには小さな白い花が咲いています。 
営巣基となったメドハギの高さは約95cmで、泥巣は地上約75cmの高さに作られていました。 
母蜂の造巣時はメドハギの成長前でもっと低かったはずです。
泥巣の付いた茎をナイフで切り落とし、邪魔な枝葉も取り除きました。 
定規で採寸すると、見慣れたスズバチの泥巣に比べてとても小さな造形物(壺)でした。 
手で茎を持ってクルクルと回し、360°アングルで泥巣を披露します。
さて、トックリバチにも何種類かいますが、今回の作り主を推理できるでしょうか?
日本には、トックリバチのなかまが5種類います。(『ファーブル写真昆虫記2:つぼをつくるかりうど』p42より引用)
今回の古い泥巣には襟が残っていることから、まずムモントックリバチを除外できます。
(ムモントックリバチは)日本の他のEumenes属のハチと異なり、トックリを閉鎖する際に襟※の部分を壊してその土を使うため、完成した巣では襟を見ることはできない。※襟…トックリの入り口の反り返った部分を「襟」という。(『狩蜂生態図鑑』p86より引用)
次に、複数の独房が1箇所にかためて造られていたことから、キアシトックリバチも除外されます。
(キアシトックリバチは)ヒメジョオン等の草本の茎に球形のトックリ形の巣をただ一つ付ける。巣は1mほどの高さのところにあり、比較的目立つ。(同書p88より引用)
少し古い資料ですが、古典的名著の岩田久二雄『日本蜂類生態図鑑』を紐解いてみると、
(トックリバチ属Eumenesのうちで)8種の修正が明らかにされている。その半数は独房を1つずつ別々に造る種であって、ミカドトックリバチ・キアシトックリバチ・ムモントックリバチ・サムライトックリバチがこれにぞくする。それ以外のスズバチ・キボシトックリバチや南西諸島にいるクロスジスズバチやハラナガスズバチはいずれも多くの独房を1箇所にかためて造る種類である。(p35より引用)
状況証拠と消去法から、キボシトックリバチ♀(Eumenes fraterculus)が夏に作った泥巣だろうと推測できました。
夏は草の中ほどか木の上に、秋には草の根近くや石の上に数個の壺を固めて巣を作る。トックリバチ類のように壺型の巣は開けた場所に造られ、材質は撥水性を持っている。(『狩蜂生態図鑑』p85より引用)

メドハギの茎ごとナイフで切り取り、トックリバチの古い泥巣を記念に採集して持ち帰りました。 
帰り道で100円ショップに立ち寄り、小さなガラス瓶を買って中に保管しました。 
古巣を壊して独房内の抜け殻(羽化殻)や貯食物の食べ残しなどを調べれば、寄生の有無を確かめられるかもしれません。 
しかし貴重な泥巣を壊すのが惜しい私は、そのまま保存しています。


トックリバチ類の営巣行動を私は未だ観察できていません。 蜂好きの端くれとしては徳利作りぐらいは当然見ておかないといけないのに…密かにコンプレックスとなっています。 
探し方が悪いのか、私の通うフィールドにはトックリバチの個体数がとても少ない印象です。 
キボシトックリバチという種類の蜂も見たことが一度もありません。(実は見ているのに別種だと誤同定してるのかも?) 
生息地がきわめて局所的なのかもしれません。 
古巣を見つけられるようになっただけでも、ささやかな前進です。 

ちなみに、私が過去に写真で記録した数少ない例は、2009年11月上旬にクリの葉裏に見つけたトックリバチの仲間の古巣です。


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