2023/12/16

育児の合間に巣外に出てヘルパー♂と相互毛繕いするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬

アナグマの営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで別アングルから監視することによって互いに補完し合い、間違った解釈に陥ることが減ります。


シーン1:5/1・午後14:25・(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
右手前にある巣穴Rと左奥にある巣穴Lが林床に2つ並んでいます。 


シーン2:5/1・午後19:48・(@0:03〜) 
晩にニホンアナグマMeles anakuma) の♀(右目<左目)が左からやって来て、巣口Rの前に座り込みました。 
仰向けになって毛繕いしたり体をボリボリ掻いたりしています。 
やがて巣穴Rからヘルパー♂(若い息子)が外に出てきました。(@0:40〜) 
身震いしてから♀に近づき、相互毛繕い始めました。 

正直に言うと、2頭目の個体は素人目には♀に見えるのですが、若い♂はいわゆる♂らしい体つきになっていないのでしょう。 
♀と違って、ヘルパー♂は左右の目の大きさが同じです。 


シーン3:5/1・午後19:49・(@1:34〜) 
♀とヘルパー♂の相互毛繕いを5倍速の早回しでご覧ください。 
しばらくすると、♀が右手前の巣穴Rに入りました。 
巣内で待っている赤ちゃんに授乳したり世話をしないといけません。 
ヘルパー♂は広場に残って、仰向け毛繕いを続けています。 


シーン4:5/1・午後19:53・(@2:22〜) 
ヘルパー♂が広場から手前に伸びる獣道を歩いてきます。 
私が置いた藁が地面に敷かれていることに気づくと、匂いを嗅ぎ回りました。 
急に出現した見慣れない藁に警戒して、獣道を引き返してしまいました。 



シーン5:5/1・午後19:55・気温11℃(@2:41〜) 
別アングルで撮れた監視映像に切り替えます。 
ヘルパー♂は起動したトレイルカメラを見て警戒していましたが、警戒を解くと広場に戻りました。 
仰向けに座り込んで体掻きや毛繕いを始めました。 
仰向けで開脚してくれたときに股間の外性器(陰茎や睾丸)を確認したいのですが、ちょうど手前に生えた灌木で隠れてしまっています。 


シーン6:5/1・午後19:55・(@3:04〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
ヘルパー♂が広場に座って体の手入れをしています。 


シーン7:5/1・午後19:56・(@3:22〜) 
遂に立ち上がって身震いすると、私が置いた藁を避けるように左へ立ち去りました。 
途中で立ち止まって茂みの陰でウロウロしています。 


シーン8:5/1・午後19:59・(@3:40〜) 
再び広場に戻って体の手入れに余念がありません。 



シーン9:5/1・午後20:02・気温15℃・(@3:58〜) 
別アングルのカメラに切り替えました。 
広場で身震いしてから右へ歩き出しました。 
地面を少し引っ掻いてから、回り込んで右へ向かいます。 
私が置いた藁を避けるように迂回しました。 
結局、ヘルパー♂は私が与えた巣材(新しい敷き藁)を巣穴に搬入しませんでした。
翌日になってからようやく♀が巣穴に持ち去りました。



シーン10:5/1・午後20:06・(@4:09〜) 
また別アングルの映像に戻りました。 
奥から戻って来たヘルパー♂がゆっくり回り込むようにして入巣Rしかけたものの、広場に戻って体掻きと仰向け毛繕い。 
ヘルパー♂が戻ってきたのではなく、余所者の♂が夜這いに来たのかもしれません。 


シーン11:5/1・午後20:10・(@4:43〜) 
巣口Rを覗き込んでいたヘルパー♂が慌てて飛び退きました。 
巣穴Rから♀が外に出てきて軽く唸り声♪を発しました。 
訪問者を撃退せずに仲良く相互毛繕いに移行したので、♀の相手は求愛♂ではなくヘルパー♂だったようです。 

この時期に♀と同居しているヘルパー♂の役割がよく分かりません。 (§追記参照)
暇そうに時間を潰しているだけのように見えます。
本当に母親の子育てを助けているのでしょうか? 
♂は赤ちゃんに授乳することができません。 
鳥類のヘルパーと違って、アナグマのヘルパー♂は♀に甲斐甲斐しく餌を運んできて与えることはありません。
♀が自分の食事のために巣穴を留守にする(外出する)間、ヘルパー♂が巣内で子守をしているのかな?
ヘルパー♂が大規模な造巣工事に従事している様子はありませんし、営巣地(セット)を侵入者から守る用心棒のようなものなのでしょうか? 


シーン12:5/1・午後20:12・(@5:33〜) 
長々と続く相互毛繕いを5倍速の早回しでお届けします。 
正面を向いたときに暗視カメラに写る左右の目の大きさが均等かどうかで、♀とヘルパー♂を見分けています。 


シーン13:5/1・午後20:13・(@5:52〜) 
相互毛繕いを止めて、今回も♀が先に入巣Rしました。 

広場に残ったヘルパー♂は、独りで仰向け毛繕いを続けています。 
立ち上がって身震いすると、再び巣口Rに頭を突っ込んで中の様子を伺っています。 


シーン14:5/1・午後20:23・(@5:52〜) 
広場から歩いて右手前の林内に消えました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


§【追記】
熊谷さとし『身近に体験!日本の野生動物(2)タヌキを調べよう』(2006)という本は、後半でニホンアナグマについて扱っています。

 アナグマもほんとうは、秋になるとタヌキのように「子別れ」をして、子どもは親からはなれるはずなのだが、母親は♀を1頭だけ手もとにのこし、翌年の子どもの世話をさせることがある。
 これは「ヘルパー制度」とよばれるもので、キツネやオオカミ、イノシシなどでもよく知られている行動だ。ヘルパーは子守ばかりでなく、妊娠中の母親に食べものを運ぶこともする。
ヘルパー制度は、母親の子そだてを楽にして、子どもの安全を守るほか、ヘルパーに子どもが生まれたときの子そだての訓練にもなる。(p25より引用)

最近の研究によると、アナグマのヘルパーは若い♂なのだそうです。
貴重な資料なのですが、この本の情報は古いので鵜呑みにすることはできません。
下線部の給餌行動について、私は観察したことがありません。
アナグマの主食はミミズです。
鳥と違ってアナグマのヘルパーが生け捕りにしたミミズを巣内で待つ母親♀に持ち帰ることは難しいでしょう。
ヘルパーはフィールドでミミズを捕食してから帰巣し、母親♀に吐き戻して給餌するのでしょうか?
確かめるには巣穴の中に監視カメラを設置しないといけませんね。


春の小川に来たハシボソガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年5月上旬・午前後:頃・ 

小川に架かる天然の丸木橋を監視する自動センサーカメラに写ったハシボソガラスCorvus corone)の映像をまとめました。 
この地点でカラスの鳴き声はよく録音されているのですが、動画で姿を撮れたのは初です。

シーン0:4/28・午後13:04 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
穏やかな流れの小川が手前から奥に向かって流れています。 


シーン1:5/3・午前5:18(@0:04〜)日の出時刻は午前4:39。 
春は下草の成長が予想以上に速く、画面の右から急速に伸びた若葉がレンズに被さってしまいました。 
画面の下端の赤丸にハシボソガラスが登場します。 
早朝に石だらけの右岸から浅い小川をピョンと跳び越えて、左岸へ。 
カメラの死角に消えてしまったのですが、小川の水を飲んだり浴びたりしに来たのでしょうか? 
餌を探し歩いていたのかもしれません。 


シーン2:5/8・午後17:30(@0:31〜)日の入り時刻は午後18:39。 
小川が夕方の西日に照らされています。 
風が吹いて周囲の草木がザワザワと揺れたせいで、カメラが誤作動したようです。 
しかし手前から奥へ小川の上を飛んで行くハシボソガラスがたまたま撮れていました。 
あまり羽ばたかず、滑空しながら右に旋回して川の本流の方へ向かいました。 

その後は別種の小鳥が飛来して、倒木から上に伸びる横枝の先端に止まりました。 
止まり木から下に飛び降りたので、夕方の小川で水浴または飲水に来たと思われます。
しかし、遠くて鳥の種類も分かりませんし、死角に消えてしまいました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


2023/12/15

ニホンアナグマ♀と親密に相互毛繕いしても結局は追い払われる夜這い♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地を2台の自動センサーカメラで見張っています。

シーン1:5/1・午後20:21(@0:00〜) 
晩に夜這いに来た余所者の♂が珍しく左奥の巣口Lに座り込み、♀が出てくるのを見張っています。 
巣の主が外出から戻って来たのか、画面奥を振り返って警戒しています。 
慌てて広場に走って来た♂が、右の林内に走り去りました。 
このとき右手前の巣穴Rに避難しなかったことから、ヘルパー♂ではないと考えています。 
そもそも今回登場する「♂」は外見からして♂っぽくありません。
若い♂なのかな?
外性器が見えないので確定できないのですが、前後の行動から求愛♂とみなしています。

しばらくすると、別個体が画面の左端から巣口Lに登場しました。 
次の映像を見ると、同一個体がぐるっとひと回りしてきたという可能性は除外できます。 


シーン2:5/1・午後20:24・気温18℃(@1:31〜) 
別アングルで撮れた映像を見てみましょう。 
気温はおそらく異常値です。 

夜這い♂が営巣地(セット)の広場から二次林内を右上奥へ走って逃げました。 
別個体が画面の左下隅から登場。 
巣口L、Rの横を通って広場を右へ。 
さっき走って逃げた個体の後を追いかけているのでしょうか? 


シーン3:5/3・午前3:28(@2:05〜) 
2日後の未明、夜這いに来た♂が巣口Lの左に座り込んで体をボリボリ掻いています。 
手前に忍び寄ると巣口Rを覗き込み、身震いしました。 
このとき♂の求愛声(ジェジェジェビーム♪)を発したはずですが、聞き取れませんでした。 

♂が奥へ立ち去ろうとすると、異変を感じた♀(右目<左目)が巣穴Rから出てきました。 
余所者の夜這い♂と対峙して目の前で身震いしただけで、♂は逃げ腰になりました。 
左にちょっと退散しかけたものの、♂が慎重に正面から♀に近づき、互いに匂いを嗅ぎ合います。 
そのまま親密な相互毛繕いを始めました。 
これは交尾前の前戯なのでしょうか? 


シーン4:5/3・午前3:30(@3:35〜) 
相互毛繕いを5倍速の早回し映像でご覧ください。 


シーン5:5/3・午前3:30(@3:49〜) 
長々と相互毛繕いしていたのに、急に機嫌が悪くなった♀が軽く唸って♪しつこい♂を追い払いました。 
♂は少し離れた所に座っています。 
再び♀に近づこうとするも、牽制されたのか、♂は諦めて右奥の茂みの陰に隠れました。 
広場に残った♀は独りで身だしなみを整えています。 

♀が交尾する♂の選り好み(配偶者選択)をしているのでしょうか?
発情期が終わったら♀は♂と交尾しなくなります。 
この♂は前年までヘルパー役を勤めた個体(息子)ではないか?と勝手に想像してみました。
あるいはヘルパーに選ばれなかった兄弟(♀の若い息子)かもしれません。


シーン6:5/3・午前3:33・気温2℃(@4:23〜) 
別アングルの監視カメラに切り替えます。 
広場の少し左、マルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の茂みの陰で♀が独りで毛繕いしています。 
そこへ夜這い♂が左の茂みから近づいて来ました。 
♀♂2頭が林縁ですれ違いました。 
♀は広場に残り、♂は少し奥の林内で体を掻いたり毛繕いしたりしています。 
やがて♀が広場から軽く突進して♂を追い払いました。 
逃げた♂は少し逃げただけで、♀の様子をうかがっています。 

♀が歩いて左下に移動し始めました。 
採餌やトイレ(排泄)に出かけたのかな? 
♂は♀について行くでもなく、広場の匂いを嗅ぎながらうろついています。 
そのまま♂が巣口Rに近づこうとしたら、♀が左下から戻ってきて巣口Lで座りこみました。 
それを見た♂は慌てて右へ逃げて行きます。 
♀がセットの広場に戻る途中で2分間の録画終了。 


シーン7:5/3・午前3:33(@6:24〜) 
別アングルでも撮れていました。 
広場に戻った夜這い♂がしばらくカメラ目線で警戒した後、地面の匂いを嗅ぎ回っています。 
こちらの旧機種カメラは電池が消耗して、断片的な映像しか撮れなくなりました。 


シーン8:5/3・午前3:34(@6:46〜) 
巣口Lの横で座っていた♀が立ち上がると、地面の匂いを嗅ぎ回ります。 
さっき来た夜這い♂の残り香を調べているのでしょう。
広場に座り込んでカメラ目線になると、左右の目の大きさが非対称であることが分かります(右目<左目)。 
立ち上がって身震いし、手前に歩き出したところ録画終了。 


シーン9:5/3・午前3:35(@7:06〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
広場に佇んでいた♀がようやく入巣Rしました。 

そのまま映像を撮り続けると、右から別個体(おそらく♂)がセットにやって来ました。 
巣穴Rには立ち寄らず、少し迂回しながら左へ素通りしました。 


シーン10:5/3・午前3:36(@7:49〜) 
続きを別アングルの監視映像でご覧ください。 
夜這い♂が左奥の巣穴Lに立ち寄ってからまた広場に戻ってきて巣穴Rを覗き込みました。 
体を掻いてから右の林内に立ち去りました。 
未明のしつこい夜這い行動はこれで一段落しました。 


シーン11:5/3・午前23:23・気温8℃(@7:49〜) 
同じ日の深夜に♀が右の巣穴からひょっこり外に出てきました。 
手前(画面下)へ走って来ます。 
カメラの背後で激しい鼻息や物音が聞こえるのは、おそらく♀が夜這い♂を撃退する行動と思われます。 
画面下から広場に戻ってきた♀が立ち止まって身震いし、今度は左へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


ホンドタヌキの溜め糞に集まり吸汁するハラビロヘリカメムシ

 

2023年5月上旬・午後15:15頃・晴れ 

スギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した最大級の溜め糞場wbcを見に行くと、新鮮な糞がこんもりと追加されていました。 
糞の一部には珍しく未消化の獣毛が混じっていました。 
タヌキが野ネズミなど小型の哺乳類を狩って捕食したのか、死骸を食べたようです。 
木漏れ日を浴びた溜め糞に多数のクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)が群がっていましたが(別の記事で映像公開予定)、それより気になる虫が居ました。 

前翅の黒点が目立たないことから、ホシハラビロヘリカメムシではなくハラビロヘリカメムシHomoeocerus dilatatus)だと思います。 
(参考:『カメムシ博士入門』p115) 
2匹のハラビロヘリカメムシが口吻の先でタヌキの糞の乾いた表面を頻りに探っているものの、深く突き刺してはいないようです。 
獣糞から吸汁するチョウ類と同じように、性成熟に必要なミネラル類を摂取しているのでしょうか?
口吻の動きをマクロレンズで接写すれば良かったですね。 
望遠マクロでも口吻が結構見えてますし、スギ林の林床は薄暗くて接写には向いてないと判断しました。 
本来はマメ科の植物を宿主としている(吸汁している)のだそうです。
(近縁種ホシハラビロヘリカメムシの情報) 
獣糞から吸汁するカメムシを見るのは久しぶりです。 

関連記事(7,10年前の撮影)▶  


溜め糞上を活発に歩き回るクロボシヒラタシデムシやハエ類が背中に乗っても、ハラビロヘリカメムシは無反応で吸汁を続けています。
2匹のハラビロヘリカメムシは同じ糞(表面が少し乾燥して硬そうな糞)を挟んで互いに向き合っているのに互いに無関心で、糞の味見に夢中です。 
一緒に居たクロボシヒラタシデムシとは異なり、配偶行動を始めません。 (同性なのかな?) 

タヌキの溜め糞のすぐ横に、緑の葉が千切れてスギ落葉の上で萎びていました。 
なんとなくオオバコの葉ではないかと思ったのですが、定かではありません。 
その上に1匹のハラビロヘリカメムシが静止していました。 
私にはカメムシの性別を外見で見分けられませんが、溜め糞場に来る♀を待ち伏せしている♂なのかな? 
横の溜め糞場に来ている先客2匹の存在に気づいていないのでしょうか? 
逆に、私が溜め糞場wbcに近寄ったせいで糞塊から少し逃げた個体なのかもしれません。 

2023/12/14

夕方に腹這いで休むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2023年5月上旬 

シーン0:5/1・午後14:25 
たまたま明るい昼間に撮れた現場の様子です。 
右手前の巣穴Rと左奥の巣穴Lの2つが二次林の林床に並んでいます。 


シーン1:5/4・午後18:16・(日の入り時刻は午後18:35)(@0:04〜) 
日没前の夕方にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が営巣地(セット)の広場に座り、毛繕いしていました。 
仰向けで自分の股間を舐めています。 
舌をペロペロと出し入れするのが見えます。 
広場の地面を前脚で軽く引っ掻くと、掘り返した土の上に腹這いで座り込みました。 
掘ったばかりの土がひんやりして気持ち良いのでしょう。
♀は巣内で赤ちゃんに授乳する仕事があるはずですが、腹面の乳首が土で汚れても大丈夫なのでしょうか?
授乳前に自分で乳首を舐めてきれいにするのかな?
現代のヒトが哺乳瓶をいちいち煮沸消毒するのと大違いですね。
 
ヘルパー♂と違って♀は砂を自分にかける砂浴び行動をなぜかやりません。 
ボリボリと体を掻いています。 
最後は立ち上がって歩き始めました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 




晩春の山道で遭遇したニホンカモシカ

 

2023年5月上旬・午後14:00頃・晴れ 

里山でカモシカの溜め糞場srを定点観察(※追記参照)した後に下山していると、前方に佇むニホンカモシカCapricornis crispus)を発見。 
この個体が溜め糞場srに通っているのでしょうか?
驚かせないように、下を向けていたカメラをゆっくり上にパンしてカモシカを狙います。 
スギ植林地をまっすぐに突っ切る林道を先に歩くカモシカが林縁で立ちどまり、私の方を振り返って見ていました。 
やや遠いので、近視のカモシカには私の姿がしっかり見えてないようです。 
ズームインしても、角や耳介に個体識別できそうな特徴は見当たりませんでした。 
濡れた鼻面がツヤツヤしています。 
顔にまとわりつくように飛ぶ吸血性昆虫を追い払うために、耳がピクピク動いています。 
やがて警戒を解くと、ゆっくり歩いて山道を下り始めました。 

私が足音を忍ばせて早足で追いかけると、先行するカモシカに追いつくことが出来ました。 
カモシカは山道の曲がり角で立ち止まって、こちらを振り返っています。 
手前に立つスギの枝葉でカモシカの顔が隠れてしまっているので、私がその場でゆっくりしゃがんで撮影アングルを確保しました。 
カモシカは蹄の先で立っていることが分かります。 
副蹄は地面に付いていません。 
股間をよく見ても、毛に覆われて外性器が見えませんでした。(性別不明) 
私の匂いを嗅ぎ取ったのか、カモシカは急に山道を駆け出しました。 
坂道を駆け下り、右に曲がって姿が見えなくなりました。 
このとき鼻息威嚇♪はせずに、黙って逃げました。(映像はここまで) 
横の藪に飛び込んでから、鼻息を荒らげているのが聞こえました。 

林道沿いに生い茂る常緑のユキツバキ群落で赤い花が咲いていました。 
近くの笹薮でさえずるウグイス♂の鳴き声も聞こえます。

※【追記】
スギ植林地の端に残された溜め糞場srの様子を写真で記録しました。

この後も不定期で現場入りして定点観察を続けると、林床の下草が生い茂るにつれて、ニホンカモシカの新鮮な糞粒が見つからなくなりました。
気温が上がって糞虫の活動が活発になったせいなのか、カモシカが溜め糞場に来なくなった(糞の供給が途絶えた)のか、不明です。
夏季もトレイルカメラを設置して溜め糞場srの利用状況を調べるのが、次の課題です。







2023/12/13

寝そべって砂浴びするニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地を新旧2台のトレイルカメラで見張っています。 
謎の砂浴び行動についてまとめました。 


シーン1:5/5・午後21:19・気温18℃(@0:00〜) 
広場をうろついていたアナグマがゆっくりと入巣Rしかけたものの、気が変わって広場に寝そべりました。 
前脚で地面を掻いて土を自分の体に掛けるという謎の行動を始めました。 
素人目には♂の外性器が見えましたし、左右の瞳が同じ大きさなので、♀ではなくヘルパー♂だと思います。 
仰向け状態で毛繕いし、股間を舐めました。 
また寝転がって砂浴びを再開。 
最後に録画が切れる寸前に、右前の巣穴Rから♀が顔を出しました。 


シーン2:5/5・午後21:18(@1:39〜) 
ほぼ同時に別アングルで撮れた映像を見てみましょう。 
林縁の広場に腹這いになって、謎の砂浴び行動を始めました。 

今回ヘルパー♂が前脚の爪で地面を掘っているのは、採餌のためでも巣穴拡張のためでもないことが、はっきり見て取れます。 
寝返りを打って右手と左手を交互に使って掘った土を自身の体に掛けています。 
仰向け毛繕いと砂浴びを交互に繰り返しています。 
開脚した股間に睾丸が見えたので、性別は♂(若い息子のヘルパー♂)で間違いなさそうです。 

やがて、右手前の巣穴Rから♀(右目<左目)が外に出てきました。 (@3:01〜) 
広場で息子のヘルパー♂合流するとすぐに相互毛繕いを始めました。 


シーン3:5/5・午後21:27(@3:09〜) 
別アングルのカメラに切り替わりました。 
広場で親子2頭が少しじゃれ合い、相互毛繕いを始めました。 
ヘルパーに関する予備知識がない状態でこの様子を見ると、アナグマは一夫一妻制なのかと誤解してしまうはずです。 
余所者の♂が求愛に来たとき、♀は自身の短い発情期以外では♂を激しく撃退するのに、若い息子のヘルパー♂に対しては寛容です。 
母親と若い息子の仲が良いのは結構ですが、近親交配をどうやって防いでいるのか、気になります。 
発情する前の若い♂をヘルパーとして同居させているのでしょう。 

面白いのはここからです。(@3:20〜) 
手前のヘルパー♂が横臥し、奥には♀が並んでいます。 
♀が自分の体を掻いたり毛繕いしている間に、隣のヘルパー♂がまた砂浴びを始めました。 
とばっちりで砂を掛けられた母親♀が怒って唸り声を上げ、少し右に離れました。 
♀の右目が失明しかけているのは、もしかすると土や砂が目に入ったせいかもしれない、と思いつきました。 (感染症の眼病?)
しばらくすると♀がヘルパー♂に歩み寄って、仲直りの相互毛繕い。 


シーン4:5/5・午後21:26(@4:09〜) 
別アングルのトレイルカメラでも同じシーンが撮れていました。 
相互毛繕いに飽きたヘルパー♂が林縁に寝そべって、地面を左前脚で掻き始めました。 
土を自分の腹にかけているようです。 
ただの暇つぶしなのか、それとも猫がやるように爪が伸び過ぎないよう研いでいるのかな?

若い息子に土を掛けられた背後の♀が怒って抗議し、少し移動しました。 
ヘルパー♂は構わずに砂浴びを続けます。 
やがて親子は相互毛繕いを始めました。 


シーン5:5/5・午後21:28(@5:02〜) 
同じことの繰り返しなので、5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン6:5/5・午後21:33(@5:31〜) 
親子水入らずのひとときを夜の広場で過ごした後、♀が先に右手前の巣穴Rに入りました。 
巣内で赤ちゃんに授乳したり面倒を見たりする必要があるのです。

広場に残ったヘルパー♂は、独りで仰向け毛繕いを続けています。 
巣口Rを覗き込んでも中には入らず、広場に戻って寝そべると、砂浴びを再開。 

必ず横に寝そべって(横臥)片手で地面の土を掻きます。 
採餌や造巣の際に見られる本気の穴掘り行動とは異なり、本格的に両手で地面を掻くことはありません。 


シーン7:5/5・午後21:34(@6:30〜) 
ヘルパー♂が独りで退屈しのぎ(?)の砂浴びを続けています。 
浅く掘った地面に腹這いになりました。 
掘ったばかりの土がひんやりして気持ち良いのかもしれません。 


シーン8:5/5・午後21:37(@7:32〜) 
ヘルパー♂が横臥のまま動きを止めたので、うたた寝しているのかもしれません。 
寝返りを打って腹這いになりました。 
砂浴びを再開しても、すぐに手を止めて横臥で目を閉じました。 


砂浴び行動と言えば、私はスズメで見たことがあるだけです。 
関連記事(4、10年前の撮影)▶  (例123) 

ニホンアナグマの砂浴びも、毛皮に付いた体外寄生虫(ノミやダニなど)を駆除するための行動なのでしょうか? 
私は未見ですが、イノシシは体外寄生虫対策として泥濘の中で転げ回り、泥浴びをすることが知られています。(ヌタ打ち行動) 
それに対して、アナグマのヘルパー♂が浴びていた土砂はさらさらに乾いていて、決して泥ではありません。 
そもそも私はアナグマの水浴行動を未だ一度も見たことがないのですが、水浴びしないのかな? 
アナグマ営巣地(セット)の近くには、小川や池、水田があります。
いかにも野生動物が水を飲んだり浴びたりしそうなのですけど、足跡などを頼りにもっとポイントを絞り込まないと監視カメラを設置できません。

ネット検索しても、砂浴びをするアナグマの事例はヒットしませんでした。 
まさか新発見?!
私が(良かれと思って)巣材の藁をアナグマに与えたせいで、藁に付着していた吸血性の寄生虫(ノミやダニなど)が巣内に蔓延したのかも?と自責の念に駆られます。 


しかし同じ穴のむじなのうち、砂浴びするのはなぜかヘルパー♂だけで、♀は一度もやりませんでした。 
私が与えた巣材を搬入したのは♀なので、藁に吸血性の寄生虫が付着していたとしたら、真っ先に体外寄生するのは♀のはずです。

ひんやりした土に腹這いで寝そべると気持ち良いのかもしれません。 
思わせぶりな砂浴び行動は、単なる「暇つぶしの遊び」という可能性もあり得ます。
しかし行動の進化を考えると、その区別はあまり意味がないかもしれません。
鳥や動物は体外寄生虫への対策を理知的に考えて砂浴びや泥浴びの行動をするわけではありません。
たまたま砂浴びや泥浴びを始めた個体が居て、結果的に体外寄生虫が駆除された場合には適応度が少しだけ高まり、世代を経るにつれてその行動が集団内に広がっていったのでしょう。
この後、長期間の定点観察を続けても、アナグマの砂浴び行動がほとんど記録されていないのは不思議です。(再現性に乏しい)




※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

つづく→

2023/12/12

夕方に晩春の林内をうろつくニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬 
ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) の営巣地で夕方に撮れた監視映像をまとめました。


シーン0:5/1・午後14:25・(@0:00〜) 
明るい時間帯に偶々撮れた現場の様子です。 


シーン1:5/1・午後18:17・(@0:03〜) 
日没前の夕方に♀が巣穴の外に出てきました。 
ちなみに、日の入り時刻は18:32。 
かなり薄暗くて画質が粗いですが、珍しくフルカラーで録画されていました。 
アナグマ♀が広場で痒い体をボリボリ掻いて身震いしてから、右手前の巣穴Rに入りました。 
実は巣口Rもよく見ると更に2つに別れているようです。 


シーン2:5/1・午後18:24・(@0:28〜) 
珍しくアナグマが左奥の巣穴Lに入る様子が記録されていました。 
地中で巣穴Rと繋がっているのか、独立した巣穴なのか、確かめていません。
しばらくすると、同じ巣穴Lから外に出て左に立ち去りました。 


シーン3:5/2・午後18:43・(@1:09〜)日の入り時刻は午後18:33。 
翌日も夕方に♀が登場。 
出巣Rした♀が身震いすると、前脚で軽く広場の地面を掻きました。 
獣道をノソノソと手前に歩いてきます。 
私が置いておいた藁の束はアナグマ♀が既に全て巣穴に搬入してしまい、もう残っていません。 


藁が敷いてあった地点に未練がましく座り込みました。 
やがて立ち上がると、手前にゆっくり歩き出し、死角に消えました。 


シーン4:5/2・午後18:44・(@2:20〜) 
別アングルの映像をご覧ください。 
右手前に生えた灌木の枝葉の陰に隠れてしまっていますが、獣道に座りこんで休んでいます。 
赤外線を照射するトレイルカメラ(新機種)の存在を嫌がり、死角に隠れようとしているのかな? 
やがて立ち上がると、地面の匂いを嗅ぎながらゆっくり右へ歩き去りました。 


シーン5:5/3・午後17:44・(@2:41〜)日の入り時刻は18:34。 
夕方に♀が巣口Rに座って体を左後脚で掻いていました。 
巣口Rを乗り越え、巣口Lとの中間エリアに座りました。 
近くの農地でトラクターが農作業する騒音♪や地響きのような振動が届いても、当地のアナグマはすっかり慣れていて全く気にしない様子です。 



立ち上がって身震いすると、左に立ち去りました。 


シーン6:5/6・午後18:05・(@3:14〜)日の入り時刻は午後18:37。 
3日後の夕方、雨がしとしと降っています。 
♀が巣口Rの周囲を回り込んで広場と巣口Lを経由してから、足早に左へ立ち去りました。 
早くも採餌に出かけたようです。 
いつも外出からの帰巣シーンが撮れてないのが謎です。 
トレイルカメラが撮り損ねているのか、それともどこかに別の巣穴があるのでしょうか? 


シーン7:5/7・午後18:24・(@3:37〜)日の入り時刻は午後18:38。 
雨が降る薄暗い夕方にアナグマが二次林の奥へジグザグに遠ざかる後ろ姿が撮れていました。 


シーン8:5/10・午後18:14・(@3:58〜)日の入り時刻は午後18:40。 
夕暮れに♀が巣口Lを経由して左へ歩き去りました。 


シーン9:5/10・午後18:18・(@4:08〜) 
カメラの起動が間に合わず、出巣Rの瞬間を撮り損ねたようです。 
(別個体の?)♀が同じコースを辿って左へ。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



山麓の草むらで縄張り宣言の母衣打ちをするキジ♂(野鳥)

 

2023年5月上旬・午後12:20頃・晴れ 

山麓の農村部の草むら(休耕地?)でキジ♂(Phasianus versicolor)が居ました。 
緑の草むらの中に派手な赤い頭部が一際目立ちます。 
横を向いていたキジ♂の落ち着きが無くなり、辺りをキョロキョロ見回すようになりました。 
やや後ろ向きになると、ケンケーン♪とけたたましく鳴きながら激しく羽ばたいて母衣ほろ打ち♪を披露しました(@0:55〜)。 
繁殖期に♂が縄張り宣言する鳴き声ですが、近所の別個体♂が鳴き返す応答は聞こえませんでした。 

母衣打ちの様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@1:22〜)、2回絶叫しながら4+9回羽ばたいていました。 

キジ♂の近くをウスバシロチョウが飛び回っています。 
手前に生えた草でキジ♂の頭部が少し隠れていたので、鳴き終えたキジ♂が後ろを向いている隙に、私は少し横にずれて撮影アングルを確保しました。 
ところが振り返ったキジ♂が私に気づいて正面から睨みつけると、警戒して土手の向こう側のへ降りて姿が見えなくなりました。 
私が欲を出さなければ、次の母衣打ちをハイスピード動画で録画できたのに、残念です。

ヒラドツツジの花で採餌するコマルハナバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月上旬・午後12:25頃・晴れ 

山麓の集落で民家の庭に植栽された躑躅に薄いピンクの花が満開に咲いていました。 
私は庭木に疎いのですが、調べてみるとヒラドツツジ(淡ピンクの花が咲く品種)ですかね? 
名前が長崎の平戸に由来するように、栽培適地は関東以西らしいです。
寒冷地(雪国)の山形県でも冬に「雪囲い」すれば栽培可能になったのでしょうか? 

コマルハナバチBombus ardens)のワーカー♀が複数で忙しなく訪花していました。 
近づいて接写すると、風切り音に混じって蜂の羽音♪がかすかに聞こえます。 
口吻を伸ばして吸蜜する蜂の後脚を見ると、白い花粉団子を花粉籠に付けて運んでいます。 
体毛には白い花粉が付着しています。 
橙色の花粉団子を満載した個体は、何か別の蜜源植物から花粉を集めてきた後と思われます。 

ヒラドツツジの5枚組の花弁のうち、上側に位置する1枚の花弁だけ内側の根元に赤い斑点が散りばめられているのは、送粉者に蜜腺の在処を知らせる蜜標なのでしょう。 
紫外線カメラで撮ると、どう見えるのかな?

晴れているものの春風が吹き荒れる虫撮りには最悪の条件で、じっくりズームインすることが出来ません。 
早々に諦めて、240-fpsのハイスピード動画での撮影に切り替えました。(@1:04〜) 
強風をものともせず採餌に勤しむコマルハナバチ♀をスーパースローで観察するのも面白いです。
訪花中に強風で激しく揺さぶられても、蜂は必死にしがみついています。(@3:46〜) 
激しい風揺れの中、伸ばした口吻の先端で蜜腺を探っています。(@3:18〜) 
ヒラドツツジの花から飛び立ったコマルハナバチ♀が次の花に移ろうとしても、風で激しく揺れる花に着陸失敗するNGシーンが撮れていました。(@2:12〜) 
着地しようとして、雄しべや雌しべの束を掴み損ねています。

2023/12/11

春雨の夜にうろつくニホンアナグマ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬 

二次林に営巣したニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の巣穴を自動撮影カメラで監視しています。 
雨の日の活動をまとめてみました。 


シーン0:5/1・午後14:25・(@0:00〜) 
晴れた明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
右手前の巣穴Rと左奥の巣穴Lが並んでいます。 


シーン1:5/7・午前2:52・(@0:03〜) 
未明に雨が降っています。 
広場から来たアナグマが巣口Rを覗き込んでから左へ立ち去りました。 
なんとなく夜這いに来た♂の求愛行動に見えますが、画面がやや曇っていてはっきり見えません。 
動画を再エンコードすると、画質が更に劣化してしまいます。


シーン2:5/7・午前4:30・(@0:31〜) 
1時間40分後、ほぼ同じ行動を繰り返しました。 
夜這い♂が戻ってきたのでしょうか? 


シーン3:5/7・午後19:05・(@0:49〜) 
晩になっても雨が降り続いています。 
右から来た♀が巣口Rで身震いしてから中に入りかけたのですが、カメラのバッテリー切れで録画打ち切り。 
雨が降ると、アナグマ♀はほとんど外出しないで穴に篭もるようです。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 




夕方の小川を泳ぎ下るカルガモ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年5月上旬・午後18:25頃(日の入り時刻は午後18:40) 

小川に架かる天然の丸木橋を見張っている自動センサーカメラにカルガモAnas zonorhyncha)らしき水鳥が写りました。 
日没前の夕方に丸木橋のすぐ左奥から現れ、川面を下流へゆっくり泳ぎ去りました。 

そもそも、どうやって来たのか、登場シーンが撮れていません。 
水路を遡上するシーンが撮れていないのは、カメラのセンサーの弱点かもしれません。 
(画角内を左右に横切る動きは検知しやすいが、前後や上下の動きは検知しにくいらしい。) 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 

2023/12/10

ニホンアナグマ♀♂の諸活動:4月下旬〜5月上旬 【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年4月下旬〜5月上旬 

二次林でニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の巣穴LRを新旧2台のトレイルカメラで監視しています。 
初見の行動や何か特筆すべき面白い行動は個別の記事として取り上げるのですが、残りのとりとめもない諸活動をまとめました。 
私の観察歴が浅いために見落としている行動が多々ありそうですし、念の為に記録として全て残しておきます。 
不完全でも記録があるのと全く無いのとでは大違いです。
翌年以降の撮影計画を立てる際に参考となります。


シーン1:4/21・午後14:19・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン2:4/21・午後14:43・気温27℃(@0:04〜) 
別アングルの映像。 


シーン3:4/21・午後21:26・(@0:07〜) 
夜這い♂が巣口Rを訪問。 


シーン4:4/21・午後21:32・(@1:01〜) 
巣口Rから右に出てきたばかりの♀が何かに警戒したようで、慌てて後退して入巣Rしました。 
しばらくすると、再び♀が巣口Rから顔を出しました。 
キョロキョロと周囲の様子を窺っていますが、右目の小さな♀個体です。(右目<左目) 
警戒を解くと慎重にゆっくり右へ立ち去りました。 


シーン5:4/21・午後23:10・(@2:00〜) 
外出から戻った♀が右の巣穴Rに戻りました。 


シーン6:4/21・午後23:43・気温6℃(@2:09〜) 
トレイルカメラを固定した灌木が春の強風で左右に大きく揺れています。 
手前に生えた細いマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)灌木の陰になって見にくいのですが、奥にある巣穴Lの周囲をうろついたり座り込んだりしています。 
おそらく求愛に来た♂が♀を待ち伏せしているのでしょう。 
5倍速の早回し映像に加工しました。 


シーン7:4/21・午後23:42・(@2:32〜) 
別アングルのカメラでも少し撮れていました。 


シーン8:4/22・午前0:30・(@2:51〜) 
夜這い♂が巣口Rに頭を突っ込んでいました。 
巣内には押し入らず、諦めて広場の奥の林縁でウロウロと待機してます。 

 ♂が林内を右に立ち去ると、♀が巣口Rから顔を出しました。 
♂の後を少し追い、画面の右端で立ち止まって見送っています。 
♂を追いかけて交尾する訳でもなく、セットに戻って来ました。(入巣Rまで撮れず。) 


シーン9:4/22・午前0:32・(@3:19〜) 
♀(?)が再び右へ外出。 


シーン8:4/22・午前1:04・(@3:27〜) 
夜這い♂がまた戻ってきたようです。 
奥の二次林で未練がましく右往左往する姿が写っています。 


シーン9:4/22・午前1:07・(@3:45〜) 
巣口Rから出た♀が広場に座って奥の二次林の方を油断なく見張っています。 
視線の先には夜這い♂が居て、林内を右へ歩いて行きます。 
♂を見送ると、♀は後ろ向きのままスルスルと巣穴Rに戻りました。 
ところがしばらくすると♀がまた巣口Rから身を乗り出しました。 
辺りを警戒してから入巣R。 


シーン10:4/22・午前1:19・(@4:31〜) 
夜這い♂と思われる個体がうろついています。 
広場の奥の林縁で穴掘りしたのは採食かな? 
巣口Lの横を通って左手前に立ち去りました。 


シーン11:4/22・午前1:21・気温5℃(@4:43〜) 
別アングルの映像です。 
夜這い♂が奥の巣穴Lの近くで見張っているようです。 


シーン12:4/22・午前1:29・(@5:07〜) 
奥の林内で居座っている個体が居ます。 
♀が外に出てくるまで夜這い♂が待機しているのでしょう。 


シーン13:4/22・午前2:47・(@5:23〜) 
♀に追い払われたはずの夜這い♂が、いつの間にか再び広場に戻ってきていました。 
林縁に座って体を掻いたりして時間を潰しています。 


シーン14:4/22・午前2:50・(@5:41〜) 
夜這い♂がセットをうろつき、巣口Rを覗き込んで(♀に挨拶?)います。 
仰向けでの毛繕いもしました。 
右へ立ち去りました。 


シーン15:4/22・午前2:52・(@5:59〜) 
夜這い♂が林縁に身を伏せて、巣穴Rから♀が出てくるのを待ち伏せしています。 
痺れを切らして手前の巣穴Rを覗き込んでから、手前へ歩き始めました。 
風が強く吹く日で、♂の求愛声は聞き取れませんでした。 
ずっと5倍速の早回し映像でお届けしています。 

♂が徘徊中にときどき腰を落として尻尾を左右に振るのは、スクワットマーキング(臭腺・肛門腺による匂い付け)でしょうか? 


シーン16:4/22・午前4:04・気温4℃(@6:18〜) 
画面奥の林縁に佇んでいる個体aが、さらに奥を見つめています。 
その間に別個体♀が身震いしてから入巣R。 
 aがようやく方向転換して左へ右へうろつき始めました。 
aは夜這いに来た♂なのか、ヘルパー♂(若い息子)なのか、不明です。 


シーン17:4/22・午前4:05・(@6:38〜) 
巣口L付近をうろつくアナグマ(夜這い♂?)が別アングルでも撮れていました。 


シーン18:4/22・午前4:24・(@6:45〜) 
夜這い♂(?)が未練がましく林縁で♀を待ち伏せしています。 


シーン19:4/22・午前4:40・気温5℃(@6:53〜) 
セットをうろついてから慎重に入巣Rしたのでビックリ! 
夜這い♂ではなく、ヘルパー♂だったようです。 


シーン20:4/22・午前4:39・(@7:14〜) 
別アングルでも撮れていました。 
夜明け前で辺りがしらじらと明るくなり始めました。 
ちなみに、日の出時刻は午前04:52。 
♂がまたうろついていたので、てっきり求愛に来たのかと思いきや、♀の抵抗を受けずに入巣Rしたのでヘルパー♂だったようです。 
私は未だ♂の個体識別が出来ていません。 
これが4/22日の出前の最後の記録になりました。 
昼間のアナグマは基本的に巣内で寝ています。 


シーン21:4/22・午後18:28・(@7:32〜)日の入り時刻は午後18:24。 
日没直後に♂がセットに登場。 
ヘルパー♂が出巣Rする瞬間を撮り損ねたのかと思ったのですが、その後の行動を見ると、どうやら夜這い♂が早くもセットに来たようです。 
刻々と暗くなる林縁を徘徊したり仰向け毛繕いで時間を潰したりしています。 


シーン22:4/22・午後18:41・(@9:16〜) 
急にもう1頭が合流していました。 
2頭が連れ立って奥の林内に移動開始。 
出巣Rした♀と夜這い♂が林内で交尾を始めるのでしょうか? 
しかし♀だけがすぐにセットに戻って来ました。 

残念ながらカメラ旧機種のバッテリーが消耗していて、これ以降は細切れの録画しか残されていません。 
交尾期の営巣地にはあまり頻繁に立ち入らない方が良いだろうと判断し、電池の交換が遅れました。


シーン23:4/22・午後20:20・気温5℃(@10:19〜) 
一方、新機種のカメラはなぜか出番が少なく、バッテリーに余力があります。 


シーン24:4/23・午前5:35・(@11:36〜) 
夜が明けて明るくなると赤外線の暗視映像ではなく自然光下で撮影可能となります。 
電力消費が少ない昼間は、バッテリーの消耗した旧機種でも長時間(90秒間)の撮影が可能となります。 


シーン25:4/23・午後17:56・(@11:45〜)日の入り時刻は午後18:24。
夕方に登場した♂が林縁で独り仰向け毛繕いしています。 
やがて♀の抵抗を受けずに入巣Rしたので、夜這い♂ではなくヘルパー♂でした。 
再び巣外に出てうろついています。 


シーン26:4/23・午後18:39・(@13:40〜) 
日が沈んで辺りがだいぶ薄暗くなりました。 
林縁で暇をつぶしていた♂が巣口Rに向かうと、別の方向へ穴を掘り始めました。 
ヘルパー♂が巣口Rを拡張したり、アクセストレンチを整備したりしているのでしょうか? 

夜になると、また細切れ録画になってしまいます。 


シーン27:4/24・午後18:14・(@14:22〜)日の入り時刻は午後18:26。 
翌日の夕方(日没直前)。 
出巣Rしたヘルパー♂がセットをうろつき、体を掻いたり毛繕いしたりしています。


シーン28:4/25・午後21:47・(@15:25〜) 
翌日の晩。♀? 


シーン29:4/27・午前2:26・気温5℃(@15:32〜) 
右目の小さい♀が外出しています。 


シーン30:4/27・午後18:34・(@16:03〜)日の入り時刻は午後18:28。 
日没直後に出巣Rした♀個体が巣口Rの縁にとどまり、座ってまったり休んでいます。 
やがて右にノソノソと歩き始めました。 

セットに戻ってくると、♀は仰向けで毛繕いしたり体を掻いたりと、身だしなみを整えています。 


シーン31:4/28・午後18:43・(@16:47〜)日の入り時刻は午後18:29。 
いつものように♀が巣外で身だしなみを整えています。 
餌を探しに出かけるのは、完全に暗くなってからのようです。 
 暗視モードになってからも同じ場所に居座っていたのですが、左右の目の大きさがほぼ同じだったので、我流の個体識別が混乱しました。(自信喪失) 
母親♀がワンオペ育児で一時的に酷い疲れ目になっていた(右目<左目)だけなのでしょうか? 
それとも更に別個体の♀が同居しているのかな? 


シーン32:4/29・午後17:32・(@17:21〜) 
カメラの起動が間に合わず、アナグマが入巣Rする瞬間を撮り損ねてしまいました。 


シーン33:4/29・午後18:41・(@17:25〜) 
巣口Rから顔を出していた♀が巣内に引っ込みました。 
その後は広場に出て、独り身だしなみを整えています。 

この時期の夜間の記録が無いのは、カメラのバッテリーが消耗しているためです。 


シーン34:4/30・午後18:15・(@17:52〜)日の入り時刻は午後18:31。 
翌日の夕方。 
セットの広場に居た♀が身震いしてから手前に向かってノソノソ歩いて行きます。 


シーン35:4/30・午後19:55・気温11℃(@18:00〜) 
久しぶりに別アングルの新機種カメラが起動しました。 
左から来た♀が右の林内を経由してから手前へ。 
しばらくして戻って来ると、奥の巣穴Lの近くで座り、毛繕いしているようです。 
行動はなんとなく♂っぽいのですが、体つきは♀です。 


シーン36:5/1・午前4:18・気温5℃・(@18:33〜) 
奥の巣穴Lの横を通って左へ。 


この期間中、左の巣穴Lにはアナグマが全く出入りしていませんでした。 
使われていない偽巣なのでしょうか? 
トレイルカメラのセンサーが反応できていないだけかもしれないので、巣口Lの近くにトレイルカメラを設置し直すべきかもしれません。 


※ 一部の動画は編集時に自動色調補正を施しています。 


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